*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「19-029」で検索した結果

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  • 19-029
    四兄弟 「お前んち、四兄弟なの?」と聞かれる度に、「まぁ、そんなもん」と答えている。 両親を田舎に残し、兄弟のいる都会の家に暮らして始めてから1年が経った。 家にいるのは4人だ。商社勤めの大(おお)兄ちゃんに、広告デザイナーのちょっと変な小(ちい)兄ちゃん、こっちの高校に進学したオレ、それから、役所勤めの中野さん。 中野さんは小兄ちゃんの高校からの友人だ。 もともと中野さんも別の場所に住んでいたそうだけど、こっちの家の方が勤め先に近く、何度か遊びに来たり泊まっていったりするうちにいつの間にか居着いてしまったらしい。 ……そんなにアバウトで大丈夫なのか、この家は。 「ただいまー、はらへった」 「おかえり。二人とも遅いらしいから先にご飯にしようか」 キッチンから中野さんの声がする。 ダイニングのドアを開けると、テーブルにはハンバーグとミネスト...
  • 9-029
    手のひらの中の 生まれて初めて告白された。 部活の先輩に。 男に。 ジュースをおごって貰った後、「手を出せ」と言うので 差し出したらなにか油性マジックで書き込まれた。 「あとで見ろ」と言って先輩が去った後、ジュースを 握らされた手を開くと『好きだ』の3文字が。 「どうすりゃいいんだ」 俺は手のひらの中の妙に綺麗な字に向かって呟いた。 割れた眼鏡
  • 4-029-1
    いやいやいや、新幹線駅じゃなくても迷うよ。天王寺とかややこしいし。 「ぅあー……。」 半ば押し付けられての出張で人生初めての大阪に降り立った俺はうんざりとした声を上げた。 広さ的には東京駅の方がはるかに広いのだろうが不慣れな分やたらと広く見える。 在来線の名前も見慣れないからどれがどれだかわからない。 「環状線ってどこだよ!」 表示を見ながら構内をうろついていたがそんな文字はどこにもない。 出張を押し付けられた苛立ちも手伝ってつい大声を出していた。 「環状線はこっから出てへんよ。一旦大阪まで出な。」 背後からやわらかい関西弁が聞こえた。関西なんだから関西弁で当然か。 振り向くと人のよさそうな笑みを浮かべた男が立っていた。 「あー…そうなんですか。どうも…。」 一人で叫んでいるところを聞かれた気まずさも手伝って曖昧に答...
  • 8-029-1
    一方通行の両想い 「俺、おまえのなんなんだよ」 ついに急ききってしまった。 こいつの部屋から長い髪毛がみつかる度にうんざりしていた。 酔っぱらって向こうから、というこいつの言い訳も許してきたわけじゃない。 譲歩してただけだ。 「なにって…。  だってあんたが俺を離してくれないから一緒ににいるんだろ?」 ああうんざりだ。もういい。 こいつに妬くのももう疲れた。もういい。 長く俺はこいつに尽くした。 別に見返りを求めるわけでも押しつけるわけでもない。 ただただ好きというだけでその感情のままに動いていた。 額に手をあて俺はため息をつきながら言った。 「わかった。さよならだ。じゃあな。」 クソガキ。 結局俺はいつまでたってもこいつの良いところひとつ 見つけられなかった。 あまりに無神経で幼稚すぎる言動。 理想とはかけ離れている。 それでも好きだっ...
  • 3-029-1
    出版社営業×書店バイト 結局のところ、ほぼ日参するあいつに根負けして初回10だけ平積み、てことになった。 マイナー出版社の無名作家のエッセイなんて普通売れると思わないだろ。 蓋を開けてみればそのまさかだったわけだけど。 「こんにちは」 相変わらず汗びっしょりでやってくる。 変わったところと言えば最近心なしか嬉しそうな気がする。 「数字、見てもらえますか?」 「60入りの57売れ。残が3。ああ、少し展開広げるから30ほど追加してくれってさ」 「ありがとうございます!」 嬉しそうに笑って深々と頭を下げる。 俺じゃねーよ。社員がそういったんだっての。どう見ても5つは年下の俺に敬語使うなって。 ああイライラする。 「じゃあ、展開広げていただくお礼に飲みにでも行きませんか?」 なに言いだすんだと思ったけどタダ酒タダ飯の誘惑にかなう...
  • 27-029-1
    甥っ子×叔父さん 「おじさん結婚しないの」 19歳下の甥っ子に突然尋ねられた。ついに兄貴が婚期を心配しだしたのだろうか。 「もしかして今日、見合いの話持ってきた?」 「違うって。親父からは別に何も言われてないよ。ただ俺が聞きたいだけ」 「なんだよ焦った。まったく予定ない。残念なことに彼女もなし。  それよりお前はどうなんだよ。コレ、できたか?」 小指を立てて聞いてみる。 「それおっさんくせえからやめたほうがいいよ。彼女なんていない」 「20過ぎたら30まであっという間だぞー。ちなみにその先の30代はもっと早い。  今のうちにいい子つかまえとけよ」 「……んん」 アラフォーからのありがたい忠告だというのに、テーブルに頬杖をつきながら適当な相槌を打たれた。 しょっちゅうお馬さんごっこやヒーローごっこをして遊んでやったこいつも、あと10日で成人だ。 時の流れは恐...
  • 19-019-1
    滅びを予感する軍師 その軍師は、今帝の物心ついた時分より老人であった。 年輪のように刻まれた皺は深く顔に貼り付き、まるで生まれた時から老人であったようでさえある。 その灰色の眼は、今帝、先帝、先々帝と三代に亘る治世を見守ってきた。 実の正体は仙人であると囁かれるのも無理はない。若い姿を知る者は最早この宮廷には居ないのである。 さて幼き頃よりこの軍師に稽古をつけられし帝もちらほらと白髪の混じり始めた初春、 かねてより勢力を増していた西の異国が大陸の向こうより騎馬20万もの大軍で押し寄せてきた。 対する自軍は5万、小国ながら軍師の策により初めは拮抗していたものの、 夏にもなると若き国、若き軍に押され始め、遂に疲弊しきった自軍は僅かに宮廷を守るのみとなってしまった。 かつての美しかった都は焼け、民は南の国へ次々と逃げ落ちた。 今にも帝の玉間に敵軍の蹄の音が聞こえ...
  • 23-029-1
    熱々あんかけ対決 「おい勝負だ!」  あるアパートの一室で、今夜も料理対決のゴングが鳴る。  お題は「あんかけ」。対戦するのは板前見習と大学生だ。 「店の片付けで疲れてない? 別の日でもいいんだよ」 「バーロー、お前に勝ち逃げされてたまるか! つか卒論抱えてるくせに余裕だなお前」 「真面目な学生だからね。はい、それじゃ大家さん審査よろしく」 「おんやまあ、今日もかい? 二人の料理を食べられるのは嬉しいねえ」 「ばーさん、審査は公平に頼むぜ」 「じゃあ、スタート!」  ――奴の料理はあんかけ炒飯だった。  玉子とネギだけのパラパラ炒飯に、エビのとろとろ熱々あんかけ。  炒飯もあんかけもどっちも美味しいのに、まるっと全部一緒に食べると、咀嚼する度に小気味よい食感が味わえる。最初は炒飯のぱらぱら感とエビのぷりぷり感が歯に心地良く、咀嚼が進むにつれて双方...
  • 15-029-2
    ツンデレ泥棒×お人好しな刑事 まったくあの馬鹿野郎が! 飛んでくる弾丸をかわしつつ、床で蹲っている男に対し、悪態を吐いた。 男の腹部からは大量の出血。背後には金を盗まれた怒りで目が血走っているマフィア。 あのままだと、あの愚かな刑事は死んでしまうだろう。 長年、自分を追いかけている正義感の塊のような男。 見るたびにイラついてしょうがなかった。 刑事が勝手にしくじったというのなら、「馬鹿な奴」と嘲笑い、そのまま放ってさっさと逃げ出しているのに。 あの男が自分を庇って撃たれたのでさえなければ。 泥棒助けて、自分が死にかけるなんて笑い話もいいとこだ。 世の中、善が報われるとは限らない。むしろ、自分の生きてきた世界ではお人よしであればあるほど早死にしていたのだ。 一向に逃げずにいる自分に苛立ちを覚えつつ、刑事の方に目を戻せば彼の周りは十数人のマフィアで取り囲まれていた。...
  • 15-029-1
    ツンデレ泥棒×お人好しな刑事 「では、男爵家の秘宝『アドニスの涙』は確かに頂戴した」 高らかにそう宣言すると、さえ渡る月光の中、黒い影はさっと身をひるがえしました。 「待て!怪盗赤鴉!逃がすものか!」 赤鴉を宿敵と定め、もはや3年の長きにわたる戦いを繰り広げてきた蟹村警部が、 ここで逃がしてなるものかと腰のサーベルをスラリと抜くも、 男爵家の豪奢なホールの高い天井、そこに取り付けられた高窓にとりついた赤鴉、 その名のとおり、カラスでもなければ到底届きはしないのです。 「蟹村君、毎度忠勤ご苦労である、そして我が仕事への御協力いたみいる、さらば!」 「待て!」 蟹村警部はぎりり、と歯噛みします。なんという人を馬鹿にした態度でしょう。 変装の名人、怪盗赤鴉は、こともあろうに宝の持ち主である男爵に化け、 宝を守らんとする警部の手ずからまんまとお宝をせしめたのです。 ...
  • 6-029
    駅員 駅のホームに立っているのを毎日見つめる俺・・・。 あの人は俺の視線に気付いているんだろうか? 今日はわざと白線より外側に出た。電車が俺の前を通り過ぎる直前にだ。 はっきり言ってどうかしてたのかもしれない。この感情は恋だと認めたくなかった。 この間は目があっただけで顔に血が一気に登ってきた。 認めたく、ない。だって俺は同性愛者なんかじゃないからだ。 今までだって女の子に普通に好意をいだいたりしてきた。でも男なんかに・・・。 試したかったんだろう。きっと。俺は今にも自殺しそうな顔で白線の外側に足を踏み入れた。 白線を越える瞬間、あの人に目をやった。 すると、信じられないほどの凄い剣幕で俺のほうに走ってくるではないか。 恐すぎてこっちの顔まで引きつってしまった。 電車が通り過ぎるギリギリのところで俺は止まったというのに、その人は俺の腕をつ...
  • 5-029
    東/京/三/菱×U/F/J また同じ会社になるんだな。 俺は胸の中に残る槇田の面影に話し掛けた。 男同士の社内恋愛なんて洒落にもならない。しかし、俺と槇田は入社以来5年半、躰の関係を続けていた。 最初に見染めたのはどちらが先だったのか分からない、それ程すぐに俺たちは互いに惹かれ合い、恋に堕ちた。 最初は営業で一緒になった帰り道、酒でもと誘われてふたりで居酒屋に行った。語り合うと言うよりも見詰め合いながら杯を重ねた。 そうして何度かふたりだけで酒を呑みに行く内に、いつもよりも幾分杯を重ね過ぎた槇田が、何度か俺の名を呼んでは黙り込み、なんとも言えない悩まし気な視線を投げつけ、堪えきれないという風に席を立って、帰ろうとした。俺は急いで会計を済ませると、先に店を出た槇田を追い掛け、もう一軒付き合わないと帰さないと無理を言ってボックスに仕切られた座敷のある店に誘い込み、酔い潰れた...
  • 8-029
    一方通行の両想い そんな顔で、そんな眼をして、俺を見るな。 お前のせいじゃない。 お前と出会う前の、あの凄惨な日常は、俺から心を奪い、痛みを奪い、愉悦を奪い。 その代わりにお前を悦ばせることの出来る身体を残した。 お前と出会い、心を取り戻し。だから、俺はこれで十分だ。 この気持ちは伝わらないのか? そんな顔で、そんな眼をして、俺を抱くな。 この身体が快楽を感じないのは、お前が嫌いだからじゃない。 お前を悦ばせることができるなら、それが俺の快楽なんだ。 お前だから。仮初めの、偽りの反応を、声をあげたくない。 お前だから。この何も感じない身体を預け、お前に熱を感じさせたい。 こんな俺で、こんな身体で。お前が悦ぶなら。お前の満ちた顔を見たいから。 この思いは通じているのだろう? そんな顔で、そんな眼をして。 俺を満たそうとするな。お前だ...
  • 4-029
    いやいやいや、新幹線駅じゃなくても迷うよ。天王寺とかややこしいし。 待ち合わせ場所の改札口でヤツを待つこと数10分。やっと電話がかかってきた。 今日こそ怒ってやろうと思ったのに、電話口のあいつは半分泣き声で…なんか、もう、いいや。やる気そがれた。 「ったく…また迷ったのか?」 「うん。迎えに来て。」 「今どこだよ。」 「なんかね、薬局の前。」 …知るかよ。 俺はとっくに集まってたみんなに声をかけて先に行ってもらうことにした。 いっつも当然みたいに迎えに来させやがって。なんで幼馴染みってだけで毎回俺が行かなくちゃならないんだ。 …そりゃ、他のやつが行くのも、それはそれでムカつくけどさ… すっかり元気になって 「大体さ、天王寺ってややこしくてどっちに行ったらいいのかわかんないんだよね。」 とか文句を垂れているあいつに、絶対動くなと念を押して、俺は走り出し...
  • 3-029
    出版社営業×本屋バイト また来てるよこの人。このクソ暑いのに背広着ちゃって。 あーあ、顔なんか真っ赤。背中もぐっしょり。見苦しいなあ。 客もイヤな顔してる。レジの前邪魔だよ。どけって。暑苦しさがうつるんだよ。 どうせまた追い返されるだけなのに、まったく迷惑な人だ。 「暑いですねえ」 なんで俺に話しかけんだよ。なんだその笑顔。 顔見知りになったからっていいことないぞ。俺はただのバイトだ。誰にでも媚売るなよ。 ていうか、アンタだっていい加減分かってるんだろう? 聞いたことも無いようなドマイナー作家のエッセイなんて売れるわけないって。 そんなヤツのために走り回って、頭下げて。笑顔振りまいて。なにやってんだよ。 アンタ本当にそんな仕事がしたかったのか? 「キツイですね」 彼は困ったように笑った。しまった。いつのまにか声に出...
  • 7-029
    その時触れられたのは指先だけで 彼はベッドの上でぐっすり眠っていた。 昔大好きだったけど些細なことで喧嘩して、それきり会わなくなった人。 もう会う事なんかないだろうと思っていたのに、 彼が事故に遭って入院していることを人づてに聞いてしまい、 悩んだ末に見舞いに行ったらこの状態だ。 ベッド周りにはいろんな装置が置かれ、 頭には電極のついた帽子のようなもの、鼻の部分にはチューブが付けられ、 腕には点滴の針が刺さってる。 点滴がついていない方の手を握り、声を掛ける。 彼は相変わらず眠ったままだ。 そっと髪を撫でる。また彼の名を呼ぶ。 一瞬むずがる様な表情を見せた後、彼はゆっくりと薄目を開けた。 「○○?」 俺の名前を呼んだ後、彼は震えながらゆっくりと手を伸ばしてきた。 俺のことを触って本当にいるのか確認しようとしているんだろう、 そのまま彼...
  • 2-029
    獅子座×天秤座 「お前なぁ、なんなわけ?」 不機嫌な顔で彼が言う。 「仕方ないじゃん。先約あるんだもん。」 昨日の夜にいきなりデートしようと電話があった。 今日は友達と会うから断ったわけだけど、それ以来うちに来てまで延々と文句を言い続けている。 まったく、自分の思い通りにならないと機嫌が悪いんだから。 「…ゼミのことだし……。ほんとは俺だってデートしたいんだからな。 なのに自分のことばっかり……。」 こんな時はこうだ。精一杯悲しげな顔をして見せる。 案の定、眉間に皺を寄せていた彼は慌てたような顔をした。 「いや、その、確かに直前に言い出した俺も悪かったし。だからほら、そんな顔すんなよ。な?」 ぐしゃぐしゃと乱暴に髪を撫で回す彼にそっと抱きついて間近で目を合わせる。 悲しげな顔は崩さないまま。...
  • 1-029
    日○経済新聞×スポーツ新聞 こう日○経済新聞ってお堅いイメージでスポーツ新聞は強気で受けってイメージがあるよな だけどスポーツ新聞の前では優しいというかヘタレなんだよ で、スポーツ新聞に挑発されて日○経済新聞は激しくなるだよ、きっと 鉄棒×砂場
  • 19-019
    滅びを予感する軍師 彼は暴君だった。 欲望のままに全てを欲しがり、手に入れたものを飽きては捨てる。 軍師である私は、この国を正しい方向に導く役目にも関わらず、国王の暴走を止められないまま国は荒れていくばかりだ。 この国はいずれ滅びる。 その責任は誰にあるのか、彼の欲しがるままに与えた私か、全てを欲しがり捨てる彼なのか。 いくら頭を悩ませようが、この国が母なる大地の怒りに触れるのは時間の問題だろう。 私ができる事は、せめてその時を遅らせる為に、この国を神の目を逸らす事くらいだ。 しかし今、王は私の制止も聞かずにその扉を開けようとしている。 「シュウ君、ふすま開けちゃ駄目!」 「や!」 「ふ・た・り・と・も!!なーにやってるのっ!」 「あ、ママあのね、いま二人でお片付けしようと思ってたの」 「こんなに散らかして!あー壁に落書きしちゃ駄目...
  • 19-009
    絶対に知られたくない人 僕は知られたくないのだろうか。それとも知って欲しいのだろうか。 絶対に知られたくない人 「おはよう」 「おはよう」 彼は僕の幼馴染みだ。 「はい、これ今日の分」 「・・・こんなの相手にしなくていいって、いつも言ってるのに」 僕の渡した数枚の封筒に、彼はうんざりとした顔をした。 彼はもてる。整った顔立ち、男らしい性格に加えて、文武両道。天が二物も三物も与えたのが彼、だ。 逆に僕は平々凡々、顔立ちも普通だし、性格も無難、成績も中の中。母が、彼の爪の垢でも煎じて飲ませてもらいなさい、と常々言うほどだ。 「そういうわけにはいかないよ。朝イチで待っていてくれる彼女たちをむげに断るわけにもいかないし」 「まぁお前の顔をたてて一応、貰っとくけど」 「焼却炉行き?」 「そうだな。こんなもの、俺には必要ない」 「彼女たちが可哀想だよ」...
  • 19-099
    クマのぬいぐるみだと思ってたらサルだった ガタイが良いのにおっとりしててタレ目でいっつも笑ってる。 誰だったかが言ってた。くまのぬいぐるみみたいだって。 ――なのに 「――陽っ…!!」 くまのナニガシこと陽太と何故だか体を重ねる関係になって1週間。 「はぁ…はぁ…っはぁ…」 運動部の体力は底無しなのか?貫かれた俺はこんなに息が上がってるのに 「アキちゃん、もいっかい、いい…?」 良くねぇよ。腰がダルくて立てねぇんだよ。 恨みがましい視線を向けても一切通じず。 「――んっ、あぁ…」 ほらまた溺れる俺。 誰がくまのぬいぐるみだって? これじゃサルじゃねぇか。 クマのぬいぐるみだと思ってたらサルだった
  • 19-089
    共犯者 「ち、ちいちゃん、どうしようっ」 息を切らしながら俺の家のインターホンを鳴らした瑛はひどく焦っていた。 理由を聞くとどうやら、近所で有名なカミナリジジイの植木鉢を割ってしまったようだ。 「そうだ!俺にいいかんがえがあるぜ」 そういうと俺は割れた鉢を両手でかかえて自分ん家の庭に走り出した。 「ええっ」 「なんだよ、文句あんのかよ。お前のためだぞ」 穴を掘って、割れた植木鉢を埋める。 「しょーこいんめつってコトバ知ってるか?」 「も、もし見つかったら、ちいちゃんも怒られちゃう!やっぱり僕・・・」 「いいの、俺も きょーはんしゃ」 10年たっても変わらない。幼馴染の瑛は相変わらず鈍くさかった。 「ち、ちいちゃんどうしようっ」 勢いよく教室に飛び込んでくる。 「あ...
  • 19-049
    チンポ狂いの超淫乱係長 係長であるからには、大前提としてリーマン。 白いシャツ、ネクタイ、スラックスに色気の無い革ベルト。 それに眼鏡があると萌える。 髪はきっちりとセットしていてくれればなお良し。 もちろん普段は真面目そうな顔をしている。 真面目そうな外見だから、Yシャツの中にアンダーウェアが透けてもよろしい。 イメージとしては、ドラマえすぴーのこーあん第一科、銀縁眼鏡のたなかいちろう氏。Rは付かない。 そんな係長が、服を脱いだら淫乱。 だけどただの淫乱じゃない。 淫乱な自分の身体に非常に羞恥を感じる性格。 だから言葉責めに弱い。 そして複数での行為が大好き。 愛があればいいけど、愛がなくてもいい。 後から入れられて、口ではねっとりとしゃぶる。 自分の上で、前と後にいる二人がキスしているともっと燃える。 トライアングルに繋がっている、その感じがいい...
  • 19-059
    ひぎぃぃぃぃぃらめぇええええこわれちゃうぅぅぅぅぅぅっつ 「『ひぎぃぃぃぃぃらめぇええええこわれちゃうぅぅぅぅぅぅっつ』ってどうやって発音するのかな」 「なんですか?」 「エロマンガのセリフです」 「今読んだ通りに発音するんじゃないんですか?」 「最後の『っつ』はやっぱりちゃんと『つ』も言うんですよね、きっと」 「知りません」 「試してみませんか」 「誰が」 「あなたが」 「誰と」 「私が」 「嫌です」 「どうしてですか」 「どうしてもです」 「試してみないとわからないじゃないですか」 「僕はわからなくても困りません」 「私はわからないとこの好奇心が収まりません」 「収まらなくてもいいじゃないですか」 「いいですけど、納得するまであなたで妄想しますがいいですか」 「それは嫌です」 「あなたの顔を見る度に、どんな声を出すのかなとか、妄想で頭が...
  • 19-069
    24時間 あいつはデート、俺は家。 執行猶予は24時間、そう決めた。 俺は男だし、あいつも男だったから、もともと叶う恋なんかじゃないってわかってた。 あいつは俺のことを友人だと思っていたし、俺もそう思われるように振舞っていたから。 気付かれないのも当たり前で、優しいあいつに初めての彼女ができるのも当たり前。 好き合う男女が2人で休日に出かけるのも当たり前。 たとえ今日が俺の誕生日でも、彼女を優先するのは当たり前なんだ。 俺は男で、友達だから。 もういいじゃないかと俺の中の誰かが言った。 もういいじゃないか、お前は頑張ったよ。不毛な片想いを、もう3年目。 それでも相手は気がつかない。そろそろ潮時じゃないか? わかってる。多分一生気付いてもらえない。一生友達、それで終わり。 でもこの気持ちに気付かれたら友達ですらいられない。 友達になって3...
  • 11-029
    つばさ  たとえばこの背に翼があるならば。  今すぐにでも翼を広げ、海を越えて君に逢いに行くのに。  けれどこの背には何もなく、二人を阻む、海は広すぎて。 「……なんて事考えてたんだけど、よく考えれば自力でこの距離飛ぶのは結構きついよなー。てなことで土産」 「確かにそうだけどさぁ、何はなっから諦めんのよお前。おお、梅干」 「カップ麺の新作も持ってきたぞ」 「おおー。気が利くじゃん。今日はカップ麺パーティーな。つうかその梅干あいてんじゃん。酔い止めに使ったか?」 「まあまあ、気にしない気にしない」  空港で落ち合った二人は、がらがらとスーツケースを引っ張りながらそんな会話を繰り広げていた。河合は現在英国に語学留学中で、伊藤は休暇を使って会いに来たところだ。 「元気そうだな」 「……うん。案外こっち合ってんのかな。それよか、こんな早く会えると思わなかったから、...
  • 23-029
    熱々あんかけ対決 A「第一回チキチキ!攻めVS受け・熱々あんかけ対決~!!」 B「イエ~~」 A「中華鍋に入ったあつあつの中華あんかけをお玉で掛け合うという対決ですけども」 B「おいしそうですね~」 A「さあ!ということで早速対決していただきましょう」 B「はじめ!(ゴングを鳴らす)」 A「おお!早速受けがにじり寄っていきますね~さすが強気受け」 B「攻めは余裕ですね」 A「身長差で攻めが有利でしょうか?」 B「でも受けはすばやさがありますからね」 A「ああ~!受けがあんかけをぶちまけましたよ!」 B「ウヒャヒャヒャ」 A「攻めはギリギリでかわしました!」 B「さすがやね~」 A「ああ~!受けが怒涛の攻撃!ぶっかけまくってんでオイ!」 B「攻めテンパってるやん!めっちゃ逃げてるやん!」 A「いい男があんかけまみれや(笑)」 B「おいしそうや...
  • 25-029
    可愛いだけじゃないんです 御主人は僕をかわいい、かわいいと褒めそやす。でも、そんなふうに思うのはたぶん御主人だけ なんじゃないかなって思う。 体は普通の犬の倍以上は軽くあるし、歯は大きくて鋭いし、目つき悪いし、長い尻尾はへたすれば 凶器になるし。ご飯をたくさん食べるからうんこの量すごいし。あとたぶんすごく臭いんだと思う。 御主人以外の人間が僕に近寄ると、十中八九顔をしかめる。 それでも御主人は僕を普通の犬みたいにかわいがって大事にしてくれる。頭を撫でまわして、耳の付 け根をカリカリくすぐる。顎の下をさすられるのなんてたまんないね、ふにゃふにゃになっちゃう。 嫌われ者の御主人。はぐれ者の魔術師の御主人。術のかけすぎで普通の犬とはかけ離れた生き物に成り 下がった僕をかわいがる、組織の中でも一番きたない仕事を押し付けられて、それでも笑顔を絶やさな い御主人。 口から人...
  • 26-029
    据わった目 「今お前何してるんだ」 2ヶ月ぶりのその第一声のせいだと言いたいけれど、確かに先に悪い態度をとり始めたのは俺の方だ。 「大学だけど。可愛い女の子と昼ー」 等と続けたのだから。貴方が嫌がるのを知っていて。 そのあと俺は完全に拗ねた態度しかとらず、貴方が謝ったり、機嫌を取ろうとしたいけれどそんなのは苦手なので困ったりするのを放っておいた。 厳つい風貌の貴方が途方にくれてるのを少し可哀想だなと思ったりしたけれどやっぱり放っておいた。 貴方だって好きでいつも音信不通になる訳じゃないとわかっているのに俺は冷たかった。 特殊な仕事に就いている貴方を好きになってしまったのだから仕方がないのだ。 ただ今回は長すぎて俺は寂しすぎたあまり混乱してたんだと思う。 そんな今週だったよね。 で貴方の眼が今据わっていて、正面でその真顔の迫力に俺は全身を射抜かれたみ...
  • 14-029
    言葉が交わせない 私と貴方では身分が違いすぎる 私には、貴方を間近で見ることさえ叶わないのです だから、お願いですから こんなところへ来てはいけません 「今日は天気が良いからな…つい外に出たくなった」 貴方のお声が上から降り注ぐ ひざまずいて頭を下げる私には、貴方の表情は見えないけれど 「お前のつくる庭は本当に素晴らしいよ」 お褒めの言葉なんて私にはもったいない 答えることを禁じられている私をお許しください 「花たちがきれいに咲くのは、お前が育てているからだろうな」 貴方の微かな微笑みが、下を向いたままの私にも伝わってくる もし…もし、そうだとしたら 私が育てているから、花たちがきれいに咲くのだとしたら それはきっと、貴方に見てほしいからです 貴方のために私は花を育てているのだから 「私もお前が育てている花の一つになれたらいいのに」 髪の毛をさらり...
  • 17-029
    へたれな君が好き えーと、こんな時って何言えば良いんだ?  頭の中をぐるぐると意味の無い言葉ばっかり回ってる。  あーっと、えー、うーん……。  ぱくぱくと、口だけが言葉を発しないまま動く。  多分、顔も赤いし金魚みたいになってるんじゃないか? おれ。  アイツは、なんか困ったみたいに笑ってる。  ゆっくりと近付いて頬に触れた手に、少しだけ体が跳ねた。 「、ごめん」  直ぐに離れた手。俯いて、ポツリと呟かれた。  そうじゃないんだ。言おうとしても相変わらず空回りする唇。  代わりに手を延ばして、おずおずとそいつの腰に腕を回した。 顔を見られないように胸に顔を押し付ける。 「ちがくて、さ」  やっと言葉が出せた。  伝えなくちゃ、伝えなくちゃ。気持ちだけが急いてしまう。  こんな土壇場で怖がって、へたれなおれだけど。 「おまえが嫌なんじゃない。ただ、...
  • 12-029
    「全部あげる」×「全部欲しい」 何でもやると言ったら鼻で笑われた。 不満を顔に出したら俺ん家の猫が拗ねてる顔に似ていると笑われた。 どんな顔だったっけと思い出そうとしたら俺の膝の上の猫を撫でながら 何でもやるなんて簡単に口にするな 自分は欲張りだから全部欲しいと言ってしまうかもしれない と寂しそうに笑ったので じゃあ全部やるから受け取れ と言ったら叩かれた。 でもいらないとは言われなかった。 そんな隣人の誕生日。 オワタ\(^o^)/×( A`)
  • 21-029
    言葉が通じない 「あーあ、やってもた」 ほんま最悪や。 放課後の個人授業っつう響きはエロうてドキドキするもんやのにな。 教室で待ってんのが野郎やと思うだけで足重いわ。 まあ英語で赤点取ってもたんは自分の勉強不足やからしゃあないけど、 これ以上成績落として今バイト禁止されたらあかんて。 長い事口説いてた彼女、もう少しでモノに出来そうやのに。 はあ、せめて補習受けるんやったらカンナ女史が良かったわ。 こんな日に限って休みなんてほんまついてへん。 委員長って堅物とかクールとか無愛想とかええ噂聞かんし、 明日の追試ら無かったら、オレも絶対近づきたくないタイプや。 あんな堅物を絵に描いたような奴と補習どころか、会話成立するかも怪しいわ。 「はあぁ・・・」 ドアの前に着いてもた。 しゃあないわ、自分から頼んだんやし数時...
  • 16-029
    たとえ傷付けるためだったとしても構わない 姉にとっては真実の恋だったのだろう。 だから、義兄を捨てて男と逃げた。 「……僕はいい笑いものだよ、結婚してまだ1年だというのに」 義兄は唇をゆがめた。怒りなのか、笑いなのか。伏せられた表情は読みにくい。 「父も母も、姉は死んだと思おうと。義兄さんにはできる限りのことを」 「金なんか要らないんだ、ただ……僕は本当に好きだった、彼女を」 「姉は……馬鹿です。僕も、許せない」 父も母も憔悴しきっていて、代わりに弟である僕が義兄と姉の家に来た。 何もかもまだ新しい新居には、片付けるほどの物もない。 姉は、大切な物をすべて持って行ってしまったらしい。 行方はわからず、ただ、署名済みの離婚届が郵送されてきた。 姉は幸せなのだろう。昔からやりたいことは思ったとおりやってのける人だった。 そんな姉を...
  • 15-029
    ツンデレ泥棒×お人好しな刑事 「つかまえたっ! ドロボーつかまえたっ! クラスで二番目に足のはやい菅原をつかまえたぞ! あとのドロボーはいちもうだじんだっ」 「み、見逃しくれ、刑事さん。こきょーに病気のおかっかさんがいるんだ…」 「なんだって、そんなおっかさんを残して来たのか」 「おっかさんの病気のクスリを買うために東京へやって来たはいいものの、 さぶ、さぶぷらいむろーん?のせいで仕事を失いこのザマだ…」 「うーむむ、はけんしゃいんだったのですな」 「そうです、はけんぎりです」 「ハンバーグですか」 「ハローワーク?」 「Yes! Wii can!」 「ゲームですね」 「いつの世も、ろーどーしゃにはきびしいですな。こーむいんで良かった…」 「あっ、刑事さんの後ろにさぶぷらいむろーんが!!」 「え!? 嘘、どこどこどこ!?」 ...
  • 22-029
    エアコンと扇風機 こんにちは、僕はエアコンです。 んなバカなと思うかもしれませんがエアコンなのです。 最近のエアコン内部に知能をもったチップを埋め込まれて…おっと詳しい話は後です。 今日は待ちに待った新入りがやってくる日、主人が帰ってくる音がします。 「ただいまぁ。フー暑かったぁ」 僕はお帰りなさいと呟きます。 もちろんご主人には聞こえませんしエアコンが知能をもっているなんて彼は知りません。 ただ僕を普通のエアコンだとしか思っていないのです。 そんな彼が汗を拭いながら部屋へ新入りを運び入れました。 扇風機というやつです。 新品の扇風機を起動させて主人は扇風機の目の前に座り涼み始めました。 「あー涼しい…やっぱり扇風機だよなー」 何て事でしょう。 毎日昼夜問わず、主人が体を壊さないように風力や向きをコントロールし快適な室温を保ち続けているのは僕です。 そ...
  • 18-029
    先生ごめんなさい。 誰もいない教室の教壇に一人で立ってみる。いつも座っているところより一段高いそれは、いい眺めだった。 優越感を少し感じる。先生は教壇に立って、この優越感を毎日感じているのだろうか。だんだん気分が高揚してくる。 僕のあまり高くない身長でも一番後ろまで良く見えた。 先生の身長は僕よりも十センチ高いから、もっとよく僕の座る一番後ろの席が見えるに違いない。 背伸びをして、先生と同じくらいの身長になってみる。 そうだ、やっぱりよく見える!先生はこの教壇から毎日僕を見てくれているに違いない。そう思うともういてもたってもいられなかった。 教壇の中に隠れて、ズボンのチャックをおろしていく。ズボンの中でも、それはすっかり勃ち上がっていて、いまにも爆発しそうだった。 そろそろと勃起したものに手を伸ばして、ゆるゆると擦ってみる。 自宅のベッドで先生のことを想像しながら自...
  • 24-029
    ボディーガード 「危ないからこっち来て!信号、ホラ赤だから」 「なんだよ渡ろうよ、全然車来ないじゃん」 「ダメだって、もし万が一とか億が一とか、来たらどうするの!車に勝てるの!?ショウタくん勝てないでしょ!」 「あーもーわかった、わかったよ」 「そこ!ホラ蛙死んでるからこっち!すべって転ぶから!危ないから!」 「ひっぱんなよ、わかったよー」 「あーストップストップ!」 「なに、行こうって」 「ちょっと待ってって…ホラ来たー!バイク!ピザのバイク!危ないじゃん絶対気付いてなかったじゃん!」 「今の間で渡れたじゃんか」 「あれ?翔太?」 「あ、山井」 「翔太の家ってこっちだっけ?」 「や、違うけど」 「ショウタくんこの人誰?誰?友達?ショウタくん耳赤いけどなんで?」 「ああ、こんちはー。名前は?」 「ロッキーですけど!」 「俺と妹はロッキーって呼んで...
  • 19-009-1
    絶対に知られたくない人 人里離れたこの学校に、転校生が来た。 噂によると、転校生はジャ●ーズジュニア真っ青なかわいらしい顔立ち、編入試験もほぼ満点。 転校初日に副会長の似非スマイルを見抜き、寮の同室である一匹狼な不良を懐柔。 双子会計を見分け、無口ワンコな書記の言いたいことを理解し、会長に「面白い」と言わしめたらしい。 随分とスゴい奴が来たものだ。 既に転校生の親衛隊も作られたとも聞いた。 近いうちに生徒会入りかもな、と生徒会顧問が呟いていた。 そんな面白い奴なら、是非お目にかかりたいと思いながら、タイミングが合わずに早一ヶ月が過ぎていた。 どうやら生徒会入りが本格的に決まったようだ。 それを知ったのは書面だった。 各委員会当てに配られたプリントに、生徒会補佐の承認を求める内容が書かれていた。 時期が時期なため、選挙とはいか...
  • 19-059-1
    ひぎぃぃぃぃぃらめぇええええこわれちゃうぅぅぅぅぅぅっつ 「…暇だぁー」 「銀也、お前今朝からそれしか言ってないぞ」 「いや、そう言われてもね。マジ暇なんだって」 「いい加減、聞き飽きた。そんなに暇なら勉強でもしたらどうだ?次の試験、赤点だと単位ヤバいんだろう?」 「嫌だ。つまんねーもん」 「嫌って…お前な…。春休みに補習したいのか?」 「いや…そういうワケじゃ…ってか、そっちのが嫌だ。そーだ、お前勉強みてくれよ。どーせ、もうお前はカンペキだろ、首席サマ?」 「来週までにお前のそのポンコツ頭に知識詰めこむ自信はないな」 「眼鏡のくせにエラソーに。ポンコツって何だよ、殴るぞ?」 「偉そうって何さ。というか、眼鏡関係ないだろっ。まったく…そもそも、それが勉強教えてもらう奴の態度か?まあ、教えなくて良いなら…」 「えーっ」 「えー、じゃない」 「…。…。…。え...
  • 19-099-2
    クマのぬいぐるみだと思ってたらサルだった ショータが放課後、女子と一緒に何かしてたのは何となく知ってたけど、まさかフェルトでぬいぐるみを作っているとは思わなかった。 「ソウマ、これやるよ。お前もエナメルに付けとけ」 「おー、なにコレ、作ったん?」 「おうよ」 「すげー。さんきゅ、かわいいじゃん」 「サッカー部で貰えてないのはお前だけだからなあ、かわいそうで見てられね」 関東大会出場が決まってから、部の連中のエナメルバッグにはお守り代わりの手作りぬいぐるみがぶら下がるようになった。 いる奴は彼女とか、ファンの子とかがくれるのだが、俺は全部断っていて、ショータもそれはよくわかっていた。 多い奴は10個ぐらいぶら下がってるが、俺のはシンプルに飾りは無い。 ショータがくれたものをまじまじと見る。 手が込んでるのかどうなのか俺にはよくわからないけど、目がちんまいビーズだ。...
  • 19-089-1
    共犯者 …えェ、ですから私は共犯者なんです。 藤野が?全て罪を認めると? いいですか…イイエ、毛布なんぞ要りませんよ。飴玉?子供扱いしないで下さいよ。 水?そんなら一杯頂きます… …フゥ。 いいですか、藤野が何と言ったかは知りませんが、私は藤野の共犯者なんです。 えェ、私は四宮の長男です…そして藤野は我が家に出入りしていた庭師です… 坊っちゃんと呼ぶのは止めて下さい。幼く見えましょうが私はもう十八です。 そうです。来月祝言を挙げる事になっていました。そしてゆくゆくは四宮商事を継がされる… 結構じゃあありませんよ。冗談じゃない。毎日ゝゝ息が詰まりそうでした。 藤野とは良く話をしました。口を利いている所を見つかりますと叱られましたので、こっそりと障子越しに話を。 イエなにという事もない話です。しかし私の知らない世界の話でした。 年もそう変わら...
  • 19-099-1
    クマのぬいぐるみだと思ってたらサルだった 「いや、お前はクマじゃなくてサルだよ」 「…へ?」 突然言われた衝撃的な一言に、俺の思考回路が一瞬止まる。 「だから、お前はクマじゃなくてサルのぬいぐるみ」 …えーと…俺が、クマじゃなくて、サル? 「いやいや!お前何言ってんの!俺はクマだろ!?」 「…お前、自分の姿見たことないのか」 目の前のクマのぬいぐるみがため息をつきながらそう言う。 「…え…だって工場からUFOキャッチャーまで段ボール箱の中だったし……マジで?」 「…手見てみろ。同じ茶色だけど俺のとちょっと違うだろ」 そう言われて自分の手をまじまじと見てみる。 茶色だ。薄茶色で…指がついている。 「ほら、俺のは指までついてない。もっと丸いんだ」 隣のこいつの手と比べれば、その違いは一目瞭然だった。 「…知らなかった…」 俺はてっきり、クマだとばかり。 ...
  • 19-929
    二人がかりで 何事も二人がかりで取り組めば、完璧に近い形を作り上げられた。 例えば、夏休みの宿題。 例えば、文化祭での二人司会。 例えば、大学での卒業研究。 一人では不可能に感じることも、二人がかりだと些細な事のように思えてくる。 俺らは自他共に認める最強のコンビで、行く先に怖いものなどない。…はずなのだが。 はぁ、と溜め息を漏らした俺を見て、相棒が困ったように笑った。 「そんなに緊張しないでよ。俺にまで伝わってくるじゃない」 ほら、幸せ逃げちゃうよ? と続けた相棒は、いつも通りへにゃりと表情を崩した。 「この状況で緊張しない方がおかしいんだよ。あー、汗かいてきた」 俺はそう言いながら、黒いスーツに両手を拭いつける。 落ち着かず、ソワソワと体を動かし続ける俺に呆れたのか何なのか。 急に相棒は俺に手を差し出した。 意図を掴めず、呆けた顔を上げた俺に、...
  • 19-129
    手が触れた  携帯が鳴ってる。俺のじゃない。こんなセンス悪い着メロ、断じて違う。 「あ、奥さんからだ」  何だっけな、メロディ。聴いたことあるぞ。  ていうかお前、自分の母さんを奥さんって呼んでるのかよ。 「メール?」 「うん。仕事が終わったから帰るよって」 「仲いいな」 「だろう」  ふふん、と得意気に笑う。マザコンか、こいつ。  違うな。多分母親思いなんだろうな。こいつの口から父親の話なんて出てきたことがない。  だから、きっとこいつの家庭は…。いや、やめとこ。  ぱちん、と携帯を閉じる音。返信はえーな、おい。 「お前さん、夏休みに入ったら何をするのかね?」 「何だよ、その口調は」  呆れた。 「いいじゃないの教えなさいよ。母さんとあんたの仲でしょ」 「誰が親子だよ。同い年だろ。電車来るぞ」 「はい、黄色い線...
  • 19-529
    夏休みの宿題が終わらない 「よっしゃあ英語終わった!」 「見せて――よし、ちゃんと所々間違えてる。じゃあ次は数学だね、はい」 「えー!? ちょっとは休みたいんですけどー」 「え? どこぞの馬鹿の読書感想文をゼロから書かされてる僕の目の前で、 単純な書き写し作業しかやってない君がどうしたいって?」 「や、何でもないっすスミマセン……」 「全く、どうしてここまで溜め込めたんだよ。 最初から期限に間に合わせる気がなかったとしか思えない」 「いや、そんなつもりはゃなかったよ? ただ、お前と海行ったり花火やったりしてたら楽しすぎて忘れてたっていうか」 「なっ――人を言い訳に使うなよ。それを言うなら僕だって条件は一緒だ」 「ですよねー……けど手伝ってもらえてホント有難いわ。マジ感謝、マジ愛してる」 「気持ち悪いこと言うな馬鹿、僕は君なんか――はぁ」 「ん? どした?...
  • 19-729
    ゲームに夢中で話を聞いてくれません 「なあ」 「はいはい」 「聞いてんの」 「聞いてるよーん?」 「嘘つけ」 「ほーんとほんと」 「こないだのテスト」 「あー」 「お前やばかったよな」 「うん」 「だから俺が今日来たんだよな」 「あー…ちょっくそっ」 「なんでゲームしてんの」 「始めちゃったもんはしょうがないっしょ…」 「あと10分」 「あいよ」 これ以降はもう、返答がない。 この集中力を勉強に使えば、あんな点数取らずに済むのにな。 「なあ」 「…」 「昨日のサッカーすごかったな」 「…」 「お前女子アナで誰がいい?」 「…」 「…好きな人とかいんの」 バカらしい。 高校生に、こんなにドキドキして、聞いてないって保険かけて、やっと出た言葉がこれかよ。 「はい、終わったよ。だいたい10分でしょ?」 ...
  • 19-229
    華道家とフラワーアレンジメント講師 「一万円でアレンジメント頼む。全体的にピンクな感じで」 事務所兼教室に現れた着物の男は、なんともアバウトな注文をすると、ドサッとソファーに腰かけた。 「出来上がるまで待ってるんで、早くな」 「デザイン考えて、花仕入れてから取りかかったら、有に一日かかる」 「泊まり込みか。着替えは貸してくれ」 「アホか、自分で生けろ」 華道家が花を生けずに、注文しに来るとは何事だ。バカにしてるのか、冷やかしか。 生徒さんが帰った教室を片付けながら、話だけ聞いてやる。 「お前が作ったのが良いんだよ。誕生日プレゼントなんだ」 嬉しそうに目を細めて笑う。 そんな相手なら、尚更自分でやれよ。 イラッとしたから、顔なんぞ見てやらん。 「メッセージカードにちゃんと書いてくれよ」 「そこにあるから自分で書け」 「お...
  • 19-329
    噂の二人 あいつらは犬猿の仲だ。 そう囁かれる二人のことを、田中はよく知っていた。  この小中一貫校で、彼らのことを知らないクラスメイトはいない。  尤も、九年の間、クラス編成は行われないのだから、知らない者が 居るわけがないのだが。 だが、幼稚園から二人と一緒の田中は、彼らを他の連中よりも、はるかに熟知していた。  幼馴染と呼ばれる間柄で、家族ぐるみの付き合いもないわけではない。 だから、他のクラスメイトなんかと一緒にされては困る。 田中は誰よりも二人のことをよく知っている。 山田は派手な外見のお調子者で、いつでも馬鹿騒ぎをしている。 だがしかしクラスメイトの人望も厚く、その騒々しさによってクラスが良好な雰囲気に 保たれていることもまた事実であった。 そして佐藤。彼は頭はいいが、少し面白みがない。 頭が固く、少しのルールも、改...
  • 19-299
    見てないようで見てる 「なんだ、もう寝ちまったのか?」 今夜はオールで飲もうって約束してアパートに呼んだのに、同僚の遠野はすっかり夢の中だ。 いつの間に運んだのか、ベッドの上に置いてあったクッションを敷いて寝息を立てている。 俺は半分ほど中身の残ったビールの缶をテーブルに置いた。 テーブルの上には空き缶や食い散らかされたつまみの残骸が散乱している。 あいつコロッケは絶対付けろって言うから、わざわざ買ってきてやったのに…言ったからには全部食えよな そう思いながら食い残しのコロッケを手づかみで口に運ぼうとするとした。 だがその手を、下から伸びてきた手が制止した。 「…食うな、俺の」 「遠野、起きたのか?」 「寝てない…ずっとみてた…」 そう言いながらも声は寝起き特有の擦れた声だ。 「嘘つけ」 そう言いながら俺は、あいている方の手で平野...
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