アグリアス様に萌えるスレ SSまとめ@wiki内検索 / 「ある日常の攻防 その5」で検索した結果

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  • ある日常の攻防 その5
    観念したように、アグリアスはすっと目を閉じ、抵抗をやめた。 アグリアスがまた暴れださないように、できる限り素早く、 的確に服を裂き、アグリアスが最も痛むと訴える箇所をさらけ出す。 服を裂くといっても、本当にごく一部分を裂くだけであり、 最も異性に見せたくないであろう、女性の胸は まるで見えないのだから、ラムザが散々変態変態と アグリアスに罵られるいわれなど、本来ないはずなのだが、 そのあたりの理屈をラムザが懸命に説明しても、アグリアスは 聞く耳を持たなかった。 どうにか彼女を説得して、こうして患部を観察したはいいものの、 異常は何も見当たらない。わずかな斬り傷、かすり傷はおろか、 あざすら見つからない。 異常を見つけようとするときに、一番困るのが、何も異常が 見つからなかった時である。 外傷がないのに痛むということは、原因は体内の傷…と...
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    ...、血色の花 その3 ある日常の攻防 その1 ある日常の攻防 その2 ある日常の攻防 その3 ある日常の攻防 その4 ある日常の攻防 その5 れっどふぉーど さん(◆EyREdFoqVQ )の作品 竜は一寸にして 様付け 無題 誓いと呪い 温泉暴走曲 にゃんこ! その1 にゃんこ! その2 屋根裏散歩士さん(◆0MKMjdfW.M)の作品 続・機工都市ゴーグは案外と海に近い ヴァルプルギスの悪戯 その1 ヴァルプルギスの悪戯 その2 ヴァルプルギスの悪戯 その3 ヴァルプルギスの悪戯 その4 ギルロゼ珍道中さん(◆.cOjTjK0LY)の作品 孤剣の死 その1 孤剣の死 その2 孤剣の死 その3 孤剣の死 その4 孤剣の死 その5 ◆mvTcu.Q18wさんの作品 おめかし 賭け事 見てはいけない物 混浴 ◆d2jCTeYv9wさんの作品 調教END それぞれの朝 ...
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    ...42より モトベ ある日常の攻防 その1 2/16 シリーズ物 モトベ ある日常の攻防 その2 モトベ ある日常の攻防 その3 モトベ ある日常の攻防 その4 モトベ ある日常の攻防 その5 行く人 アリシアの日記 3/4 洗脳竜騎士 酔いつぶれた夜に 3/5 カテナツィオ ローリア 3/6 名無し 夢と言う名の世界 3/7 行く人 ミルクパニック 3/8 ◆5Mb/EgkS.c 戦慄の王女 4/11 れっどふぉーど 竜は一寸にして 7/2 Part44より カテナツィオ O・NE・SYO 7/5 行く人 七夕地獄変 7/7 ◆dcFX3kCQuM さくらんぼ 7/13 名無し 収穫の秋(とき) 7/7 ※タイトル変更 行く人 夏の浜辺を血に染めて 7/7 行く人 ゴンザレスは何度でも蘇るさ! 7/7 行...
  • ある日常の攻防 その4
    爆発の直撃を受けたときも酷い有様だったが、 アグリアスの今の状態は、それにも増してさらに酷い。 全身に力が入らず、腕は剣を満足に支えることが できないほどに震えている。腕の震えにつられて、膝まで笑い出していた。 もはや、自身の体重を支えられないほど体がボロボロに なっている証である。 めまいと吐き気に襲われる中で、少し気を抜けば即座に気絶… 場合によってはそのまま死ぬかも知れないことは、本能的に察しがついた。 揺らぐ視界の中央に立つセリアは、足元に転がる、 血だまりの中に沈むレディの骸を見つめていた。 相変わらず、人形じみたその顔には表情も何も浮かばずに、 彼女の目には、夜の砂漠のように冷たく乾ききった色しか宿っていない。 右手は壊れて使い物にならず、あまつさえ死にかかっている アグリアスが、目の前の万全の状態のセリアに勝つ見込みは、 ...
  • ある日常の攻防 その2
    ラムザ達の予想は見事に的中し、雑兵どころか ついに一人の刺客とも遭遇しないまま、二人は広間へと到着した。 燃え盛る二つの燭台に照らされて、薄暗い部屋に 5つの影が浮かび上がる。 ラムザとアグリアスの眼前に立つのは、銀髪鬼エルムドア。 その脇には、右と左に一人ずつ悪名高い女の殺し屋を はべらせている。 まんまとここまでラムザの侵入を許したにも関わらず、 エルムドアはあくまで泰然として、優雅な立ち振る舞いを決して崩さない。 二人の殺し屋は、人でありながらまるで闇の中に わだかまる影のような存在である。 存在感がおぼろで、実体をもった幽霊であるかのような 不気味な印象を二人に与えた。 見るからに、人気の無い場所では会いたくない類の人間である。 「ようこそ我がランベリー城へ。  手荒な歓迎になってしまったが、許して欲しい。  彼らは所...
  • ある日常の攻防 その3
    「(何か手を…!)」 斬り結びながら策を必死で模索するアグリアスの目に、 奇妙な光景が映った。 レディが突如、後ろに大きく跳躍した。 しかも、跳躍中になぜか右手の忍刀を腰に佩びた鞘に 納めつつ、である。 着地と同時にどこからか取り出したのは、針状の手裏剣。 灰色に仄光るそれが、一瞬だけアグリアスの目に留まった。 「な…!?」 刹那の間に、アグリアスの左胸を狙って正確に投擲された手裏剣は、 全く想定外の攻撃手段であった。 だがしかし、戦場においては戦況が予想外の事態に展開する のが常であり、百戦錬磨のアグリアスはそれに慣れていた。 思考を介さない、戦士の直感が彼女の体を動かし、 手裏剣は心臓を射抜くことは叶わず、肩を覆う装甲に突き刺さる。 手裏剣は肩の寸前で止まり、流血には至らなかったものの、 アグリアスは再び驚愕に...
  • ある日常の攻防 その1
    ランベリー城城門前にひしめく、100を越える殺気の群れ。 その殺意は、ラムザを始めとして、彼の4人の仲間にも わけへだてなく平等に降り注がれている。 多勢に無勢という言葉にふさわしいこの状況で、 平静に佇む、たった5人の侵入者の様子は明らかに異常であった。 城を護る剣士達の殺意、罵倒、嘲笑。 そのいずれにもまるで応じず、沈黙を貫く5人―― それはどこか、闇夜に巣食う亡者たち… 人の手に負えぬ死霊の集まりを思わせる、不吉な存在だった。 「――そろそろいってもいいでしょうか?  どうせこの手の輩は説得になど応じはしません。  今までだってずっとそうだったでしょう」 気だるげなレーゼの問いかけに、ラムザは迷う事無く答えた。 「お願いします」 レーゼの言う通りであったし、本物の戦場とは、口喧嘩の場などではない。 ど...
  • その他
    ...8a.SQ 26 ある日常の攻防 カテナツィオ ◆l4zufnK/uM 378 ローリア Part43 [全1000レス](2008/04/18~2008/07/03) ※散り終えた桜を優しく見つめる彼女は最高です sage 706 859 Part44 [全レス](2008/07/02~2008/09/16) SSが豊作なスレ。 ※これなんてアグリアス?と話題になるほど今なお愛されている彼女は最高です 名無し ◆dcFX3kCQuM 初SS 147 さくらんぼ ◆pn4TDSOMPM 295 ※初SS。 アグスレSS保管wikiにて「昔話を少し…」の名前で保管 392 ※アグスレSS保管wikiにて「人柱」の名前で保管 598 女の悩み 754 貴公じゃイヤ! れっどふぉーど ◆...
  • ラムザさんのエッチ!
    (元ネタは勿論…) ~ラムザさんのエッチ!~ 「ラ、ラムザ、まだ昼のさなかだぞ」 「時間なんて関係ありません。僕はアグリアスさんが欲しいんです」 「し、しかし野外でこのようなことを」 「僕が嫌いなんですか?」 「そんなことは無い!断じて無い。しかし、皆も見ているというのに…」 「それがどうしたっていうんですか?」 ある日を境に、ラムザは変わってしまった。女の身体を知ってから。 正確に言うと、初めてアグリアスと結ばれた、その日にだ。 ラムザ・ベオルブとアグリアス・オークスは、神ならぬ人の前で婚姻の誓いを交わした。 異端者の身では大々的に式を挙げる事など出来るはずも無い。 おままごとのような結婚式だが、隊の皆は祝福してくれた。 そしてその夜、宿屋の2階で二人は契りを交わすのだが…。 それからというもの、ラムザは事あるごとにアグリアスを求め...
  • 孤剣の死 その4
    一昨日から降りしきる雨の黄昏時、ウォージリスの街外れを傘を差して歩く影が一つあった。 ローブに隠れてその表情を窺い知ることは出来ないが、僅かに覗く口元は真一文字に引き結ばれ、全身に纏う雰囲気は堅い。 土砂降りの雨は激しく傘を叩き、空気を重くしていた。 今朝、オルランドゥは日課の朝稽古に起き出した際、自室ドアの足元に一通の手紙を見つけた。 『黄昏時北の街外れにて』 豪快な筆遣いで簡潔に書かれたその手紙を、しかしオルランドゥはなんとなくは予期していた。 そうして単身街外れに向かうのである。 低い丘を一つ越えると、オルランドゥの眼前に、かつて見た一つの光景が広がる。 地面に突き立つ無数の剣、剣、剣。 百は下らぬ剣の林、その中心にその男は編み笠を被り、雨に打たれながら佇立していた。 「懐かしい景色だ」 オルランドゥはまずそう口にした。 「果し合いに応じて戴き、感謝する」 ...
  • クールビズ?
    乾季と雨季が交互に来るイヴァーリスの季節模様。 夏真っ盛りの天秤の月。そんなある日――― 「アグリアスさん大丈夫ですか?」 「すまない。迷惑をかけた、ラムザ」 「最近、戦闘での動きが変ですよ?どこか怪我をしているんですか?」 「立ち眩みだろ?このクソ暑いのにそんなにガッチリ着てるから鈍くなるんだよ」 「ムスタディオ、うるさいぞ。いつ敵に襲われるか分からんのだぞ?それに暑さで動きが鈍くなっているのではない」 「ラヴィアン、アリシア。少し良いか?」 「アグリアス様、どうしたんですか?」 「最近、胸に汗疹ができるんだ。それが戦闘中に痛んでな」 「あー、最近熱いですからねぇ」 「特に隊長の胸は大きいですから・・・」 「別に好きで大きくなったのではない。お前たちだって、小さくはないだろう」 「私は大きくなく、小さくなくって感じですから...
  • 続・機工都市ゴーグは案外と海に近い
    機工都市ゴーグは異端者たちをその懐に迎える 機械の町、工業の町というイメージが強いゴーグは、海が近いということを案外知られていない。 ブナンザ親子をはじめ住民たちの多くは潮風にやられた色あいの髪をもっている。 ねんがら年中地下坑道にこもっているはずの機工士たちが日に焼けていることを疑問に思ったよそ者は、 町を散策するうち偶然に海を見つけ、時にはそこで珍妙な機械を操って遊ぶ機工士たちと遭遇し、はじめて合点がいく。 海側の窓を開ければ潮のかおりが入り込んでくる家も多い。屋上がある家のテラスともなれば尚更だ。 今晩彼らが、寒いのにわざわざテラスで飲み食いするのには理由があった。 ゴーグ職人の遊び心の結晶ともいえる、火薬と金属粉を混合した玉を打ち上げる花火が夜を派手に飾る。 ブナンザ親子の恩人であるラムザたちが死地から全員無事で帰ってこれたこと...
  • 夏の夜に咲く、血色の花 その1
    聖ミュロンド寺院礼拝堂―――。 異界の悪魔に魅入られ、生ける屍と化したザルバックの鋭い牙が アグリアスの首に突き立てられた。 滴り落ちる鮮血のしずくが床と彼女の服を紅く染める。 人ではないモノに血を啜られるという嫌悪感と、戦士としての矜持が 彼女に抵抗を命じる。このモノを振りほどき、反撃せよ、と。 しかし何かがそれを許さない。全身を巡る、未だかつて体験したことのない 強烈な快感が思考を溶かし、意識を蝕んでいく。 総身を支配する快楽を前に成す術もなく、心の中に流れ込む 得体の知れない黒い何かを受け入れ、彼女は意識を闇に委ねた。 。 アグリアスが眠るように床にくずおれた直後、 聖騎士の生き血をむさぼったザルバックはラムザの手によって殲滅された。 変わり果てた兄を手にかけたラムザは、無力感と絶望で涙を流す以外になかった。 戦闘終了後、アグ...
  • ゴンザレスは何度でも蘇るさ!
    ある日、ラムザ一行の食卓にマインドフレイアの活け造りが現れた。 ゲテモノ好きの(と言うと怒る)アリシアが腕によりをかけて作ったのだ。 食糧難の事情から蛙も蛇もモンスターも調理してきたラッドの手解きもあって、 その晩の夕食はとても楽しいものとなった。 が、さすがにマインドフレイア丸ごと一匹はボリュームがありすぎましたので、 あまり味のよろしくない頭部を残して生ゴミ処分といたしました。 夜が更け、皆が寝静まった時刻、アグリアスはふと尿意を覚え、 同室のアリシアとラヴィアンを起こさないよう注意しながら、そっとトイレに立ちました。 コン、コン。 礼儀正しいアグリアスは、もう夜分だというのにわざわざトイレの戸をノックします。 当然、こんな時間に返答があるはずもなく、アグリアスはノブを掴みました。 コン、コン。 ところが、トイレの内側か...
  • 哀・騎士 1P劇場
    【春風の残り香】 「さあ、新発売の『身かわしの服』大安売りだよ!  ドラクエ大陸から輸入した防具で、これを着ると回避力が上昇するって代物でさぁ!  さらに服なのに全ジョブ装備可能! 向こうの大陸でそういう仕様ですんで!」 という訳でとある貿易都市にて身かわしの服を買ってみるアグリアスとラファ。 アグリアス(ホーリーナイト)は元々優れた回避率を持っているが、 鈍足ゆえにゲルミナスブーツを装備しているためマントで回避率を補強できぬため、 体防具で回避率が上昇するというのは非常に魅力的であった。 本来ホーリーナイトは『服』を装備できないが、 店主の言う通りドラクエ大陸仕様なのかホーリーナイトでも装備できて万々歳だ。 ラファは天魔鬼神習得+大地の衣購入のための先行投資としての判断だ。 「という訳で身かわしの服を実戦投入だ! 行くぞ...
  • moon
    獅子の月 夏真っ盛りのある日― 「アリシア、今日も稽古を付けてやるぞ」 「あ、今日は無理で~す。私、食事作らないといけないので」 「む、そうか。そう言えば、今日はラヴィアンも洗濯当番だったな」 仕方ない、一人で鍛練に励むか。 ハッ ホッ ウリャッ ふぅ・・・少し休憩するか。休憩のついでに服を着替えよう ヌギヌギ ふ~。夏ともなれば午前中といえども暑いな。ん―あれはラヴィアンではないか 「ん、ラヴィアン。洗濯物は終わったのか?」 「え?あ・・・洗濯物でしたら現在、洗濯中ですよ?」 「ついでですまないが、この服も洗ってくれ。今日は暑いから午前中の鍛錬だけでもうビショビショだ」 「はい、了解です」 ハッ フッ グゥッ むぅ・・・流石に昼になると鍛錬もキツイな。体調を崩してしまっては意味がない。続きは夕...
  • ターゲットは磨羯宮の男
    ラッド。 ガフガリオンの同僚すなわち傭兵であり、ガフガリオンほどではないが性格悪し。 突出した戦闘力は無いが小器用に何でもこなすため、 戦況によって様々なジョブやアビリティを使い分け結構活躍している。 それはいい。 不満点があるとすれば、彼の性格と、星座である。 アグリアス・オークスは巨蟹宮。そしてラムザは磨羯宮。相性は最高だ。 で、ラッド。彼もまた磨羯宮なのである。 戦闘になれば、アグリアスはたいていラッドとチームを組む。 理由は、部隊をいくつかの班に分けて行動するさいの部隊長をできる人材にある。 リーダーのラムザ、サブリーダーのアグリアス、この二人が班を率いるのは自然な事。 アグリアスは主にラッド、アリシア、ラヴィアンを率いて前衛となる。 聖剣技や高い回避率を考えればアグリアスが前衛なのは当然、 アリシアとラヴィアンは騎士だから...
  • 星に願いを
    今日は機織り祭の日だ。 勇敢な戦士である男神、北斗星と、機織りの上手な女神、南斗星が1年に1度、 星の海を越えて出会うとされる日である。 また、この日に、男性は北斗星、女性は南斗星に願いをかけると叶うとされている。 女性が家事や機織りの上達を願って南斗星を祭ったのが起源とされ、 イヴァリースの祭りの中でも規模の大きなものである。 ラムザの一隊も、お祭りの日は隊務が休みだ。 都合よく大きな街に駐留中でもある。空はよく晴れており、北斗星も南斗星もよく見えるだろう。 街には出店が所狭しと並び、隊の面々も今日ばかりは、と喜び勇んで街へ繰り出す者が大半だった。 こんな日ではあるが、アグリアスは静かな宿の食堂でひとり本を読んでいた。 人込みが苦手なのである。 お祭りそのものは好きなのだが、それにかこつけた騒がしさというのがどうも好きになれないというのもあった。 ...
  • 収穫祭
    今日は収穫感謝祭の日だ。 今年の収穫を神に感謝し、来年の豊作を祈る日である。 この時期に収穫されたカボチャを料理して、神に捧げた後で食べるのが一般的だ。 また、そのカボチャを使ってランタンを作り、火を灯して各家につるしておく。 この灯は「ウィル・オー・ウイスプ」と呼ばれ、先祖の霊を呼び寄せる役目を持つが、 同時に悪魔や妖精を呼び寄せるとも言われている。 このため、この日は悪魔や妖精が現れやすい日とされる。 「お菓子くれよ~!」 「くれないとイタズラするぞ!」 家々を、子供たちが悪魔や妖精のいでたちで訪ねて回る。 ウィル・オー・ウィスプが、悪魔や妖精を呼び寄せるという言い伝えから、 収穫感謝祭の日には、子供たちがそのいでたちで家々を回り、お菓子やおもちゃをせしめていく、 というのが恒例となっているのだ。 「おい、アリシアに...
  • ラヴィアンの頑張り物語
    私の名はラヴィアン。 愛と勇気と希望と平和と情熱と恋と浪漫と夢と金と酒のために闘う、 ラブリーでプリティーでチャーミングでビューテホーでエレガンツな近衛騎士である。 得意技はブレイク。武器だろーが鎧だろーがブレイクします。 今日も今日とてブレイク日和。 ほーらご覧の通り、アグリアス様が大切にしてる手鏡がパリーンとな! 名づけてミラーブレイク!! おおっ、何だかとってもかっくいー響き! …………。やばい。メガやばい。ギガやばい。テラやばい。ペタやばい。 ウルトラやばい。グレイトやばい。スーパーやばい。ハイパーやばい。ビッグやばい。 だってこれ、アグリアス様の手鏡、誕生日プレゼントだもの。ラムザさんからの。 毎日欠かさずこの手鏡で身だしなみを整えるくらい重要アイテム。 で、なぜこうなったかというと、谷よりも海よりも深い訳がある。 ...
  • 孤剣の死 その3
    ~これまでのあらすじ ~ 盗賊を追っていたアグリアス達の前に彼女の師匠、エルヴェシウスが現れる。 彼を父親のように慕うアグリアスは再会を喜びラムザに引き合わせる。 しかしエルヴェシウスは軟弱な容姿のラムザに激怒し、鍛えなおしてやる、とラムザを拉致したのだった。 …… 「ひ、酷い目に遭った・・・」 「すまんラムザ! お前にとんだ迷惑を掛けてしまった!」 医務室でラムザの手当てをしながらアグリアスは平謝りする。 エルヴェシウスに連れ去られたラムザは、あの後、彼と素手の組み手をやらされた。 豪腕でありながら柔軟で精緻なエルヴェシウスの投げ技の数々に、小柄なラムザは為す術なく幾度も地面に叩きつけられ、その度に意識は遠のき、アグリアスと後から止めに来たメリアドールの必死の懇願が無ければ、今頃彼は無様に失神していただろう。 「いえ、勉強になりました。世界の広...
  • Antipyretic
    まだ本当の意味での外に出た事の無い、小さな勇者である、子供のころ。 前日に、彼女に微笑みを投げかけるような色彩豊かな自家の庭の前で、雨にも挫けずに丹念に剣の素振りを行っていた少女は、心挫けずとも体が挫け、自室で寝込んでいた。 普段、時計の針が半周するほどの長い時間を布団で過ごした事の無かった少女は、 外に出られないもどかしさを切に感じ、自らの弱さについて切に省み、そのせいあってか彼女はなかなか睡魔とは無縁の関係が程暫く続いていた。 ごろんごろんと、冷たさを失った布団の中で、何度も何度も寝返りをうち、やがて心地よい眠りが彼女を包み始めた時、少女は何の気なしに状態を仰向けに戻した。 すると、どうだろうか。今までは気付きもしなかった、天井に得体の知れない物がいることに少女は突如気がついた。そこには少女の目から見たら、可笑しな顔をした“異形の者たち”がいた。 それは、誰の目...
  • バー“アグリアス”
    最後の戦いに赴く前夜、オーボンヌ修道院の少し手前にある森で野営をしている時の事だった。 「みんな、聞いて欲しい事があるんだ。前々から考えていた事なんだけど……ここで二手に分かれようと思う。 明日、オーボンヌ修道院に行くのはオルランドゥ伯。それにクラウドとメリアドール、そして僕だ。 本当は、もっと早くに言うべきだったんだけど……こんな直前になるまで言い出せなくてごめん。 あとの皆は、帰る場所や身寄りのある人はそれぞれに聖石を持って各地に散って欲しい。 もし僕らが敗れる様な事になっても、残りの聖石が奴らの手に渡らない様に隠し、守り通してもらいたいんだ。 ムスタディオはタウロスとスコーピオ、 アグリアスさん、ラヴィアン、アリシアにはキャンサーとサジタリウス、パイシーズ、それにカプリコーンを預けます。 マラークとラファにはジェミニとアリエスを...
  • 戦う理由 彼女の居場所 その2
    5- ぐったりとリリスに凭れかかるラムザ。 「貴様、ラムザに何をしたッ!?」 「暴れたら面倒だから、寝て貰っただけ。―今夜は良い夜ね」 「何!?」 「お酒の匂いでまた来てみれば、お酒の他にオ・ト・コ付き☆」 「ふ、ふざけるなッ!だいたい、逃げられると思うか!」 聖剣技を繰り出す。 リリスはラムザを離し、回避する 「聖剣技が使えるのね~。感心感心」 「ああ。神の加護より繰り出される剣技だ。ラムザは渡さんぞ、妖魔!」 「"は"…って。何?貴女、仕事よりラムザちゃんが大事なの?」 「む…つ、積み荷も渡さんぞ!」 「! は~ん、貴女、彼のこと好きなのね?」 「そ、そんな事は―」 「そう、そうなんですよ!隊長は――」 「アリシアァ!」 「………ゴメンナサイ。何デモナイデス」 「ラムザは隊の長だ。…尊敬はしている」 「それだけ?」 「そ...
  • 戦う理由 彼女の居場所 その1
    1- セッ! ハッ! フッ! ヤァー!! まだ辺りに霧が立ち込めているなか、アグリアスは早朝から剣の鍛錬をしている。 毎日の朝起きたら素振りをする。 誰に言われたわけでもない。 自分のためだ。 特に最近は鍛錬をより厳しくした。 ――まだ、足りない ――――もっと強くならなければ だというのに、なぜだろう…? 最近、剣を持つ手が重いのだ…。 ある国(またはそれに準ずる地域)と別の国(同)との間で行なわれる商品の売買のことを貿易いう―― このイヴァリースにもいくつか貿易都市があるが、その一つにドーターと呼ばれる街がある。 陸路による貿易の中継地として発展した都市で、様々な人々が行き来する活気にあふれた町だ。 町人、商人、貴族、従者、護衛、農民など様々な身分の者達が行き来するが、当然その中には身分を明かせない者もいる。 闇商人や盗賊など・・・。それは好ましい...
  • Polymorphisme
    街に着き宿へ。情報収集と物資調達のため三日ほどは逗留、担当以外は今日も明日も全員フリーだ。 嬉々として買い物へ赴くもの、酒場へ繰り出すものを見送って、さて僕はどうしようかと夕日の差すベッドに腰掛けたとき。 剣の柄に、小さなカードが差してあるのに気がついた。 「えーと…あれかな?」 書いてあった住所は街の繁華街からちょっと離れたところ。果し合いと勘違いしそうなシンプルな内容だが、逆に書いた人が誰か一発で分かるというものだ。 その店の前には人だかりができていた。…どうも、誰かがケンカしてるみたいだな。 「どうした酔っ払い。私に酌をさせるんじゃなかったのか?三人掛かりで情けないことだ」 美しい流れるような金髪にシックな髪留め、鎧を脱いだ平服姿。見た目は完全に貴族の令嬢と見まごうばかり。……ごつい男の胸ぐらを、片手でつかみ上げていなければ。 「ん、ラムザか。ちょ...
  • バレンタインの憂鬱
    バレンタイン・デイは憂鬱だ。 何故か? そこには悲愴なドラマがあったのだ。 「へーい、マイハニー! 明日は何の日か知ってるかい?」 「もちろんよマイダーリン! 明日は宝瓶の月26日(太陽暦2月14日)じゃない!」 「だったら僕の言いたい事は解るよね!」 「とびっきりなのを用意しちゃうから覚悟して待っててね!」 しかしその日、獅子戦争が始まった。 そして彼女のいた街は戦果に飲まれ……約束の日、約束の場所に、彼女は来なかった。 その理由を想像して、彼は夜が明けるまで泣き続けた。 いつしか彼は、恋人を奪った戦場に身を置くようになった。 この戦争を一刻も早く終わらせるために、彼は剣を手に取ったのだ。 幾つかの戦場を渡り歩き、異端者と呼ばれる者達と遭遇し、剣を交え、 当事話術士だったラムザに勧誘され、戦争を裏で操る巨悪の存在を知り、 ...
  • 無人島だよアグリアスさん!
    【前編 湖底の女神】 難破した。 ディープダンジョン攻略のため補給や休息はもっぱら貿易都市ウォージリス。 果たして何度往復しただろう、三桁以上も往復していれば一度くらいは船も沈むというもの。 こうして無人島に流れ着いたアグリアス。他の仲間が無事なのかどうか一切不明。 とはいえ。 水上移動を習得しているラッド、アリシア、ラヴィアンは海の上を歩いて帰れるだろう。 ムスタディオは機工都市ゴーグで新武器の開発をしているため今回はいない。 ラファは浮遊移動がある。 マラークは蛙。 ベイオウーフとレーゼはリバイアサンを召喚して乗っていた。メリアドールとボコはそれに救助されたようだ。 クラウドは「潜水のマテリアがある!」とか言って自分から飛び込んだ。多分生きてる。 オルランドゥ伯はオルランドゥ伯のオルランドゥ伯をオルランドゥ伯だから心配無用。 ラムザは船が引っくり返...
  • 月光 その3
    「今日は特に暑いわね」  時刻は昼時を過ぎた頃、市場が開かれている広場は今日一番の賑わいを見せていた。  そんな中で文字通り日蔭者となっているシュガリーとアグリアスは市場を退屈そうに見つめている。  いつの間にか一つ増えた日傘にすっぽりと収まっているアグリアスが額の汗を拭った。 「今はもう春か?それとも夏?」 「そんなの私が知った事じゃないわよ。そもそもこの村にそんな概念は無いしね」  手で生温かい風をおくりながらうんざりとした顔でシュガリーはそう告げた。蒸し風呂状態となっているアグリアスの身体からは 遠目越しに見ても湯気が沸いているのが確認できた。 「鎧ぬがないの?死ぬわよ」 「…」  どこか遠い眼でアグリアスは、向こうの世界たる市場の中心を見つめている。返答がないアグリアスを見かねたのか、 シュガリーは手にした如雨露でアグリアス目がけて水を投げかけた。...
  • ローリア
    「聖光爆裂波ッ!」  セイブザクイーンが一閃し、衝撃波が男を地面に叩きつける。 「く、くそぉ――!」  断末魔のうめきと共に、最後の一人も地に伏した。アグリアスは、ふっと息を 吐くと、おもむろに辺りを見回した。 「終わったか」  彼女はひとりごちた。 「隊長、お怪我は?」  アリシアがよって来る。 「無い。それより、こやつらの残党や、逃げのびた奴はいないか?」 「いないようです。全滅と考えていいかと」 「そうか」  ベルベニア山脈の南端、グレアド高地というのが、今アグリアスのいる場所 である。戦乱に乗じて付近を荒らす山賊を退治してくれ、という儲け話を請け、 こんな山奥までやってきたのだ。 (寂しいところだな)  アグリアスは周囲を見まわした。満目蕭条とはこのことか。目に付くものは 倒された山賊の亡骸と、鬱蒼とした森しかない...
  • 力強く美しく、戦場に舞う蝶は料理が苦手
    『力強く美しく、戦場に舞う蝶は料理が苦手』 ため息などいかんと思いつつ……この頃はこのまま剣に人生を捧げてしまっても良いものかと思うにつけ、つい深く息を吐いてしまう。 剣を振り続け、気がつけば男前だの、ゲルミナスパンティだの、脇がきついだの、足が臭うだの。 我々の業界ではご褒美とか言われる始末。 もううんざりだ。 とは言え、女らしく……か。 私には程遠い言葉だ。 今更この口調を変えるわけにもいかないし、王族付きの騎士として培ってきたこの仕草を直そうにも無理がある。 今ここにある私自身は、厳しい戦いを生き抜いてきた大事な私の結晶だ。 捨てられるわけがない。 だが騎士としての厳しさを持った私が、更に女性らしさを身に着けることができたなら…… 強さとやさしさを併せ持つ理想の人間像とも言えるのではないだろうか。 皆からの人望...
  • オトメの悩み
    「ねぇ、ラヴィアン。最近、私達って……ちょっとヤバいわよね」 「そうね……しかも、ちょっと、って感じじゃないわよね、アリシア……」 ふたりは顔を見合わせて、大きくため息をついた。 この前立ち寄った街でのことである。 長い行軍から解放され、皆がそれぞれに羽を広げられる。 とりわけ、女性陣の楽しみのひとつが、入浴である。 行軍中はなかなかそんな機会はないので、街の宿屋での入浴は大きな楽しみなのである。 宿の浴室はそれなりに広いので、たいてい数人で一緒に入ることになる。 その日は、アグリアス、アリシア、ラヴィアンの3人で入浴することになっていた。 「では、先に入っているぞ」 そう言って、アグリアスは浴室へ入る。 普段は厚い騎士服に隠れてあまり目立たないが、アグリアスは素晴らしいスタイルをしているのである。 女性らしい豊かな胸と、日々の厳しい鍛錬できりりと引き締...
  • ヴァルプルギスの悪戯 その1
    ヤードー アグリアスお姉ちゃん、「こい」って、したことある? ブロンドというには赤みの強い髪の少女は興味津々、 小首をかしげてアグリアスの顔を覗き込む。 10歳。 大体の意味をわかりながらおませな言動をしかける少女は、 あまり見かけない不思議な金色の瞳をクルクル輝かせる。 アグリアスに甘えて飛びつき、あかがね色の髪が揺れる。 少女とは年の離れた妹がよくわからない顔をしてふたりを見比べる。 「お姉ちゃんみたいな美人は『ひくてあまた』だって八百屋のおじさんが言うの」 少女のおませな言動には冷や汗をかかされることも多いが これが彼女の本来の姿なのかもしれない。 アグリアスは苦笑しながらかつて憧れた人の話、その背に憧れるだけだった話を少しだけした。 「そうじゃないの!いまいるお姉ちゃんのコイビトの話をして!」 リオファネ...
  • ラムザの三日坊主
     最近、隊のみんなが日記をつけているらしい。  理由は人それぞれ。  いつ死んでしまうか分からないから、という者もいれば、  戦後に、これをネタに小説を書く、と逞しい考えの人もいる。  あと、ラヴィアンとアリシアはどうも他人の日記を盗み読みしているようだ。  士官候補生時代を思い出す。  同室のディリータが、毎晩欠かさず日記を書いていた。妹に送るのだと言っていた。  感心して、僕も始めたが、三日で終わってしまった。  正月に家族で集まった時に、アルマにそのことをからかわれた。  「私もディリータさんみたいなお兄さんが欲しかったわ」だなんて。  あれ以来何度か挑戦してみたけれど、日記が三日以上続いたことがなかった。  いい機会かもしれない。僕は久方ぶりに日記を書き始めることにした。  アルマに会ったら、見せてやろう。 一...
  • 夏の夜に咲く、血色の花 その3
    アグリアスが今まさに牙を突き立てようとした刹那――― 後頭部にガラス瓶のようなものが直撃した。 それは衝撃で粉砕し、中身がアグリアスの全身にぶちまけられた。 「あ゛あ゛……!!?」 至福の瞬間を滅茶苦茶にされ、怒りが瞬間的に頂点に達した アグリアスは後ろを見やる。 見れば、 「やったー命中命中!」 などと声を上げてぴょんぴょんと飛び跳ねているルナと、 明らかに今しがた、ガラス瓶のようなものをアグリアスに向けて投げつけたと 思われるオルランドゥが、投擲ポーズを保ったままそこに居た。 怒り心頭のアグリアスは、メリアドールから奪った剣を片手に 二人にずかずかと歩み寄り、 「貴様ら生きてここから帰れると…お、もう…な……よ……?」 と言い残し、二人に剣が届く前にぱたりと倒れた。 アグリアスの全身からもくもくと黒い煙のようなものが立ち上り、...
  • 月光 その1
     春のうららかな風と海から吹き寄せるひんやりとした風のどちらをも肌で感じながら、一路はフォボハム平原を進んでいる。 彼等はこの平原を超えた先にある、ある台地を目指していた。 何故、その地へ向かっているのか。 その理由に答えるには、まずラムザの過去を語らねばならない。  おおよそ一年前、骸旅団と呼ばれる義勇団がラムザ、ディリータを中心とする士官候補生の前に立ちふさがった。 貴族に対して要人誘拐や暗殺などのテロ活動を各地で行っていた骸旅団の行いは、もはや北天騎士団には看過しえぬ状況になっていた。  そして、士官候補生とミルウーダ率いる骸旅団の残党は盗賊の砦で初めて相まみえた。 貴族などの支配者階級の圧政に苦しむ民を解放する。 そのような桃源郷とも言える世界の理想を掲げる頭目ウィ―グラフの実妹、ミルウーダからすれば禍根である畏国軍の、 それも貴族ばかりが...
  • 竜は一寸にして
     人通りの少ない、急な斜面と林に挟まれたとある峠道。  太陽が照りつける急勾配の山道を、一人の竜騎士が甲冑姿で槍を構えていた。長身痩躯、独特の フォルムを描く兜が、竜騎士の顔を太陽の日差しから覆い隠している。見るからに熱そうだが、 その表情は兜が作る黒い影に遮られ窺い知ることはできない。  そして、その竜騎士の周囲に屯するのは、無数のゴブリンたちだった。中には竜騎士に討ち取られ、その身を 物言わぬ骸となした者もいる。槍を手に、しかし無形の型にて微動だにせぬ竜騎士の姿からは一部の隙も伺えない。 その一方で仲間をやられたゴブリンは敵意を剥き出しにして、竜騎士を威嚇しながら取り囲んでいる。 見るからに多勢に無勢。しかし竜騎士は動じることなく、半歩間合いに足を踏み入れたゴブリンの額を 寸分たがわず突き破る。そのたびにゴブリン達はわさわさと周囲をうごめき、また先ほどと...
  • 孤剣の死 その2
    アグリアスとエルヴェシウスは東の空が白み始めた未明のウォージリスを歩いていた。 ムスタディオ達には先に帰らせ、山賊達に襲われた商人夫婦と使用人の亡骸に鳥車の積荷、そして生き残った娘を、商人が取引しようとしていた相手に送り届けてきたのだ。 相手の商人はこの面倒事を、それも火急の事とはいえ深夜に訪ねたにも関わらず、いやな顔一つせず応対し、適切な処置を行うことを約束してくれた。 アグリアスは迷惑料にいくらか包んだが、それも丁重に断られたのだった。 「中々の人物でしたね。あの方なら悪いようにはしないでしょう。一先ず安心しました」 「そうだな。商人ギルドも責任持って対処するといって居るしまず大丈夫だろう」 アグリアスとエルヴェシウスはウォージリスの商人の義侠心に感服していた。 「しかし、驚きました。まさか先生にこうして再び出会えるとは」 アグリアスは未だ興奮冷めやらぬ様子で横を歩くエ...
  • 月光 その2
    先程までの草木が折れるこそばゆい音ではない、力強い大地を噛みしめる音が響き渡る。 アグリアスとラムザは靄のかかった町に入ったのだ。お互いはお互いの足音で存在を確認し合いながら片手を鞘に、 もう片手を柄にかけ態勢を低く保ちながら慎重に一歩ずつ歩く。 町の中だというのに人の声、生の声がこだましない。そして二人の前に広がる靄。警戒をしない理由はなかった。 「…ラムザ。目の前に何かないか?…」 アグリアスの声に、靄に塞がれている辺りを見回していたラムザが前方に目を凝らす。 暗がりで徐々に目が冴えてくるのと同じ要領で、白い靄にラムザの目は、少しずつではあるが回復へ向かっていた。 立ち止まる。 ラムザは目の前にある、不安定な一本脚で直立不動を心がける看板を見上げた。 「なんと書いてあるんでしょうか」 「…畏国語ではなさそうだな。貴公は読めんのか?」 「鴎国...
  • O・NE・SYO
    お漏らしがどうとか、タイムリーにもこんなSS書いてしまった…支援レス入れてもらえると有難いかもデス 「あ、あああ……よく、寝た」  アグリアスの一日は、盛大な欠伸とともに始まる。  ただし、周りに確実に誰もいない時に限る。誰かがいるときには、彼女は決して そのような緊張感の無い表情を見せない。  名門貴族出身の淑女というプライドが、そんな態度を他人に見せることを許さない のである。  もっとも、それをくだらない見栄だと指摘されると、沸騰した湯沸かし器のごとく 逆上するのが彼女の性格であるが。 「ううん、久々にぐっすり眠れた。ここ数日行軍続きだったからな……」  アグリアスはひとりごちた。  何日かぶりの投宿。この日の朝は彼女に仕事は割り振られていなかったので、 疲れを癒すべくいささか遅くまで寝ていたというわけだ。  同室のラヴィア...
  • 誓いと呪い
    王妃オヴェリアの訃報。  その報せを知ることなく、彼女はこの世を去った。  アグリアス・オークスの突然の死…ディリータが王位に就いてから半年後、ラムザ一行がイヴァリースに 帰還してからおよそ七ヵ月後のことだった。  死の原因は…わからない。  アルマの救出後、機工都市ゴーグに身を潜めていた一行は、少しずつではあったが人並みの生活を 取り戻していた。数人はゴーグから旅立ち、また別の旅を始めた。今ゴーグにいるのは、ラムザ、アルマ、 ムスタディオ、ラッド、アリシア、ラヴィアン、そしてアグリアスという、古い付き合いの面々である。  ドラクロワ枢機卿亡き後から教会の影響力から解放されつつあったゴーグの町は、ムスタディオという 友人の力もあって、異端者であるラムザにとって格好の潜伏場所であった。悪名高いバート商会を追っ払った ことも、彼らが歓迎された一因で...
  • 惑わぬ日々へ
    「しかし伯、年齢を重ねることによって見極めを知ることもあるでしょうし、 つまりその、なんといいましょうか、熟慮できるようになるのでは」 「それは否定できぬな。が、その分、忘れっぽくなることも確かなのだよ」 「そのような………」  アグリアスとオルランドゥは、時折とりとめのない話をしながら剣の手入れを する。  いつから始めた習慣だったか、すでにふたりとも覚えてはいない。が、二人が 並んで手入れを始めると、他の用事を入れぬようにする程度に、周囲も気遣うよ うになっていた。このふたりが結論の出ない話題をだらだらと話す余裕など、普 段の生活には無いからである。  今日の話題は、年齢と技とのバランスだった。 「では、いくつくらいの年齢が一番良いとお考えですか」 「経験と判断力が共に最も充実する年齢か?」 「はい。自分の技に迷いなく、自信と実...
  • 再会と誓い
     「僕は……まだ生きているのか………」 何もない空間をラムザ・ベオルブは漂っていた。 イヴァリースの命運をかけた戦いがあった。 死都ミュロンドに飛ばされたラムザ達は、飛行船の墓場で統制者ハシュマムと聖大天使アルテマを倒し、ルカヴィの野望を見事阻止した。 ラムザがアルテマに止めを刺し、そのアルテマから放出された光に飲み込まれ、気がつけばこの空間へと飛ばされたのだ。 天も地もない空間。頬を撫でる風もなく、降り注ぐ光もない。 普通の人間なら「ここはどこなのか?」「どうすれば脱出できるのだろう」と考えるところだ。 あの爆発の中心に居て命があっただけでも僥倖だというのに、ラムザにはその考えはなかった。 むしろ、絶望していた。 自分の短慮によって起きてしまった様々な出来事。 みんなを巻き込んでしまった不甲斐なさ。 アルマを助けられなかった情...
  • 孤剣の死 その1
    「急げ! 急がぬか!」 主人の狼狽した叱責を浴びながら、使用人は二頭のチョコボを必死に走らせる。 しかしながら、鞭を打たれること既に小半時に達しようとする今、豪奢な鳥車を引くチョコボは最早限界に近かった。 秋も深まって間も無く、夜の林道は冬の到来を思わせる肌寒さである。 そんな季節に見合わぬ大量の汗をチョコボに掻かせながら、それでも使用人は走らせざるを得なかった。 それは土煙を上げながら鳥車の後方に迫り来る、林道一杯の山賊の一党が故である。 武器を掲げ、奇声・雄叫びを上げながら、チョコボで追走する悪党どもは、さながら獲物を追うのを楽しむ野獣の如く、いずれ劣らぬ下種な顔立ちに下卑た笑いを浮かべながら、 「どうしたどうしたー!」 「そんなんじゃ逃げられねーぞ!!」 などと囃し立てては笑い合うのである。 「何をしているのだ! 追いつかれてしまうではないか! 殺されてしまうぞ!...
  • 孤剣の死 その5
    宿の異変に気付いたアグリアスは一目散にラムザに割り当てられた部屋へと急いだ。その表情に余裕は微塵も無くただただ必死さが滲み出ている。 「ラムザ!」 ドアを破壊せんばかりの勢いで開けて踏み込むと、窓辺に座るラムザは一瞬、沈痛な面持ちでアグリアスを見たが、すぐに顔を背ける。 「皆は何処へ行った! 誰一人居らんぞ! おまけに装備まで持ち出されている! 言え! 皆は何処へ行ったのだ!」 「儲け話ですよ。僕が頼んだんです」 「ふざけるな! 全員行く必要が何処にある!」 「ちょっと隊費が底を尽きかけていまして・・・・・・」 「見え透いた嘘はやめろっ!」 アグリアスはドアに拳を叩きつけた。ラムザは口を噤み、俯く。 「頼む、正直に言ってくれ、ラムザ。先生に関わることなのだろう? あの人は私の父も同然なのだ。私はあの人を失いたくない。二度も父を失いたくない。お願いだから教えてくれ!」 ア...
  • 月日を経ても
    朝になって貿易都市ドーターに到着した異端者一行は連日の強行軍に疲れ果てていた。 貸し切った小さな安宿に入るなり殆どの者が食事も採らずにベッドに倒れ伏し、そのまま夢も見ない程の深い眠りに落ちていく有様。 起きているのはラムザとラッド、アグリアスの三人だけになってしまっていた。 しかし、スケジュールの都合上、ドーターに居られるのは明日の早朝まで。 隊の長たるラムザは、今日中に物資の補給やら何やらといった雑事を片付けておかなくてはならない。 「遅くても昼までには戻ります」 そう言ってアグリアスに留守を頼むと、ラムザはラッドを伴って街の中心部の市場へ買出しに出かけて行った。 アグリアスが宿の小さなロビーに置いてあるソファーで目を覚ました時、壁にかけられた古めかしい時計は午後一時を指していた。 しまった、いつの間に眠ってしまったのだろう。 ラムザは寝ていて下...
  • 辛いはうまい
     浅黒い顔に真っ黒な髭を生やし、色鮮やかな布を頭と体にぐるぐる巻いた男達が、 土埃の舞う中をせわしなく行き交う。耳慣れぬ言葉と、聞き慣れぬ動物の声が 飛び交い、通りすがる男達は時折、落ちくぼんだ眼の底で彼ら同士にだけわかる 合図をかわす。  貿易都市ウォージリス。イヴァリースで最も異国人の多いこの街の、ごったがえす 市場の人混みをかき分けて、四人は進んでいた。 「まだ見つからぬのか。もう半分ほども見て回ったぞ」 「まだ半分だ。こういうものは時間をかけてじっくり探すものさ」  先頭を行くマラークはもの慣れた様子で、雑踏の中を縫うようにすいすいと人を かわしながら左右の店先にすばやく目を配っている。ルザリアやライオネルでは 日が落ちてからでないと表通りを歩けないその黒い肌も、この街であれば目に留める 者もない。異国の香料や反物、南方人のもつ独特の体臭...
  • 暗闇
    城内に怒号が飛ぶ。銀髪鬼と恐れられるエルムドアの一撃が、アリシアに致命傷を負わせたためだ。 それを見逃さず彼の部下であるレディが彼女の周りに残る敵を焼き払おうと 魔術の詠唱に入る。 皆がその場を離れ、起死回生を狙うなか、怒りに我を忘れたアリシアの上司が取り残される。 「アグリアスさん!」 彼女の名を呼んだ青年、ラムザが見せた表情をエルムドアは見逃さなかった。 そのままさらなる追撃を仕掛けてくる。 追撃に気がついたアグリアスが剣をふるより早く、エルムドアは彼女に接近すると 右手で剣をなぎ払い、左手で素早くアグリアスの細い首を捕らえた。 常人ならざる力が彼女の首に襲いかかるが、アグリアスは諦めない。 必死に抵抗し腰に隠していたナイフをエルムドアの腕につきたてた。 が、エルムドアは動じない。 脳に酸素を送る主要な血管、気管を封じられ何秒アグリアスがもつか試している。 次...
  • にゃんこ! その1
    「ふっふっふ、やっと見つけたわ」  闇夜の草むらの影からこそりと姿を見せる怪しげな影。帽子の下で黄色く輝くその瞳は、 見るからに黒魔道士のそれにしか見えないが、実際そのとおりである。 「ベオルブ家の御曹司が異端者ねえ…名門のおぼっちゃまもおちたもんね」  そう呟いて彼女はにやりと笑ったのだが、黒魔道士の彼女の表情はやはり伺えない。 「見てなさいよぉ、あのラムザを捕まえればいかにあたしが優れた魔道士か、あの馬鹿な  連中もきっと理解するわ…うふふふふ…!」  彼女の名はジェニック。ラムザ一行を狙う賞金稼ぎの一人であった。 「人数増えたなあ…」  焚き火の前でそう呟くのはムスタディオである。 「ラムザさんは異端者なんだから、もっと自重して少人数で行動すべきだと思うんだけど…」 「いいじゃない、旅は道連れ世は情け、って言うし、味方だって多い方がい...
  • にゃんこ! その2
     一方そのころ。 「猫がこんなに可愛いなんて思わなかったわ」 「ははは、もうすっかり懐いちゃいましたね」  …アグリアスが陥落していた。メリアドールのされるがままに、ぐったりとしたまま眠りに落ちていた。  名うての剛剣の使い手は、対象の猫の精神も粉々に粉砕するという、剛『指』の使い手でもあったと いうわけだ。ときに御両人、タイタンの地響きもジェニックの絶叫も聞いてなかったんでしょうか。  そんなのんきな二人の元へ向かうマラークとクラウドは、アグリアスを探していた。 「ところでクラウド。アグリアスが何にされていたか、お前知ってるか?」 「……白い…動物だったな。狸やイタチ…じゃないと思うが、その辺りだ」 「白い…」  そう言われて、カエルにされた後遭遇した、白い猫を思い出す。  と、同時に、メリアドールの膝の上で眠る白い猫が目に入る。 「...
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