アグリアス様に萌えるスレ SSまとめ@wiki内検索 / 「夏の夜に咲く、血色の花 その1」で検索した結果

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    ...a.SQ )の作品 夏の夜に咲く、血色の花 その1 夏の夜に咲く、血色の花 その2 夏の夜に咲く、血色の花 その3 ある日常の攻防 その1 ある日常の攻防 その2 ある日常の攻防 その3 ある日常の攻防 その4 ある日常の攻防 その5 れっどふぉーど さん(◆EyREdFoqVQ )の作品 竜は一寸にして 様付け 無題 誓いと呪い 温泉暴走曲 にゃんこ! その1 にゃんこ! その2 屋根裏散歩士さん(◆0MKMjdfW.M)の作品 続・機工都市ゴーグは案外と海に近い ヴァルプルギスの悪戯 その1 ヴァルプルギスの悪戯 その2 ヴァルプルギスの悪戯 その3 ヴァルプルギスの悪戯 その4 ギルロゼ珍道中さん(◆.cOjTjK0LY)の作品 孤剣の死 その1 孤剣の死 その2 孤剣の死 その3 孤剣の死 その4 孤剣の死 その5 ◆mvTcu.Q18wさんの作品 おめかし ...
  • 夏の夜に咲く、血色の花 その1
    聖ミュロンド寺院礼拝堂―――。 異界の悪魔に魅入られ、生ける屍と化したザルバックの鋭い牙が アグリアスの首に突き立てられた。 滴り落ちる鮮血のしずくが床と彼女の服を紅く染める。 人ではないモノに血を啜られるという嫌悪感と、戦士としての矜持が 彼女に抵抗を命じる。このモノを振りほどき、反撃せよ、と。 しかし何かがそれを許さない。全身を巡る、未だかつて体験したことのない 強烈な快感が思考を溶かし、意識を蝕んでいく。 総身を支配する快楽を前に成す術もなく、心の中に流れ込む 得体の知れない黒い何かを受け入れ、彼女は意識を闇に委ねた。 。 アグリアスが眠るように床にくずおれた直後、 聖騎士の生き血をむさぼったザルバックはラムザの手によって殲滅された。 変わり果てた兄を手にかけたラムザは、無力感と絶望で涙を流す以外になかった。 戦闘終了後、アグ...
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    .../25 モトベ 夏の夜に咲く、血色の花 その1 9/27 シリーズ物 モトベ 夏の夜に咲く、血色の花 その2 モトベ 夏の夜に咲く、血色の花 その3 屋根裏 続・機工都市ゴーグは案外と海に近い 9/29 機工都市ゴーグは案外と海に近いの続編 ◆vRT4gG3lws 踊り子アグリアス 10/2 とびねずみ 惑わぬ日々へ 10/3 Part40より40スレ到達記念 ◆d2jCTeYv9w 調教END 10/16 ◆d2jCTeYv9w それぞれの朝 10/17 ◆mvTcu.Q18w おめかし 10/23 ◆mvTcu.Q18w 賭け事 10/24 ◆mvTcu.Q18w 見てはいけない物 10/31 ◆mvTcu.Q18w 混浴 11/4 れっどふぉーど 無題 2008 1/13 Part41より 行く人 アグリアス会談 ...
  • 夏の夜に咲く、血色の花 その3
    アグリアスが今まさに牙を突き立てようとした刹那――― 後頭部にガラス瓶のようなものが直撃した。 それは衝撃で粉砕し、中身がアグリアスの全身にぶちまけられた。 「あ゛あ゛……!!?」 至福の瞬間を滅茶苦茶にされ、怒りが瞬間的に頂点に達した アグリアスは後ろを見やる。 見れば、 「やったー命中命中!」 などと声を上げてぴょんぴょんと飛び跳ねているルナと、 明らかに今しがた、ガラス瓶のようなものをアグリアスに向けて投げつけたと 思われるオルランドゥが、投擲ポーズを保ったままそこに居た。 怒り心頭のアグリアスは、メリアドールから奪った剣を片手に 二人にずかずかと歩み寄り、 「貴様ら生きてここから帰れると…お、もう…な……よ……?」 と言い残し、二人に剣が届く前にぱたりと倒れた。 アグリアスの全身からもくもくと黒い煙のようなものが立ち上り、...
  • 夏の夜に咲く、血色の花 その2
    屈辱的な姿を幾たびも衆目に晒されたことによる精神陵辱と、 元々の倦怠感とあいまってすっかり憔悴した様子のアグリアスは、 まるで生きた人形のように二人のされるがままになっていた。 レーゼによって首に百八の数珠をかけられ感想を問われるも、返事を返す気すら起こらない。 「一発芸。修行僧アグリアス」 メリアドールが腹を抱えてゴロゴロと床を転がり 「似合う似合う!アグリアスの禁欲的なイメージと絶妙にマッチしてる!」 二人の笑い声をどこか傍観者のように聞きながら、アグリアスはただ この時が早く過ぎ去ることだけを祈った。 「夕ご飯の支度ができましたよー」 隊員の一人がアグリアスのテントにやってきて、夕飯ができたことを告げた。 聞きなれたその言葉が、今のアグリアスにとっては天使の囁きのようにさえ聞こえた。 「あれ?もう夕飯?楽しいことをしてると時間が経つのが...
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    ...a.SQ 635 夏の夜に咲く、血色の花 屋根裏散歩士◆0MKMjdfW.M 879 (「機工都市ゴーグは案外と海に近い」の続編) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ Part40 [全1000レス](2007/10/03~2007/12/15) 記念すべき40スレ目。 始めは40スレを称えるレスとアグリアス40歳ネタが繁茂する。中にはアグリアス180歳というのもある。 スレ中盤頃からラムザ×アルマが出てきて、アグリアスが報われないor苛められるネタが多い。 また、荒しの襲来などもあって「スレの雰囲気変わった」や「もう少し愛に溢れていた気がしたんだが 」などのレスも見られる。 ※40を迎えてもなお現役女神の彼女は最高です。 ◆kZ8t0obToM → ◆d2jCTeYv9w 名無し作者。232の初SSは無題だが、アグスレSS...
  • ある日常の攻防 その5
    観念したように、アグリアスはすっと目を閉じ、抵抗をやめた。 アグリアスがまた暴れださないように、できる限り素早く、 的確に服を裂き、アグリアスが最も痛むと訴える箇所をさらけ出す。 服を裂くといっても、本当にごく一部分を裂くだけであり、 最も異性に見せたくないであろう、女性の胸は まるで見えないのだから、ラムザが散々変態変態と アグリアスに罵られるいわれなど、本来ないはずなのだが、 そのあたりの理屈をラムザが懸命に説明しても、アグリアスは 聞く耳を持たなかった。 どうにか彼女を説得して、こうして患部を観察したはいいものの、 異常は何も見当たらない。わずかな斬り傷、かすり傷はおろか、 あざすら見つからない。 異常を見つけようとするときに、一番困るのが、何も異常が 見つからなかった時である。 外傷がないのに痛むということは、原因は体内の傷…と...
  • ローリア
    「聖光爆裂波ッ!」  セイブザクイーンが一閃し、衝撃波が男を地面に叩きつける。 「く、くそぉ――!」  断末魔のうめきと共に、最後の一人も地に伏した。アグリアスは、ふっと息を 吐くと、おもむろに辺りを見回した。 「終わったか」  彼女はひとりごちた。 「隊長、お怪我は?」  アリシアがよって来る。 「無い。それより、こやつらの残党や、逃げのびた奴はいないか?」 「いないようです。全滅と考えていいかと」 「そうか」  ベルベニア山脈の南端、グレアド高地というのが、今アグリアスのいる場所 である。戦乱に乗じて付近を荒らす山賊を退治してくれ、という儲け話を請け、 こんな山奥までやってきたのだ。 (寂しいところだな)  アグリアスは周囲を見まわした。満目蕭条とはこのことか。目に付くものは 倒された山賊の亡骸と、鬱蒼とした森しかない...
  • 月光 その3
    「今日は特に暑いわね」  時刻は昼時を過ぎた頃、市場が開かれている広場は今日一番の賑わいを見せていた。  そんな中で文字通り日蔭者となっているシュガリーとアグリアスは市場を退屈そうに見つめている。  いつの間にか一つ増えた日傘にすっぽりと収まっているアグリアスが額の汗を拭った。 「今はもう春か?それとも夏?」 「そんなの私が知った事じゃないわよ。そもそもこの村にそんな概念は無いしね」  手で生温かい風をおくりながらうんざりとした顔でシュガリーはそう告げた。蒸し風呂状態となっているアグリアスの身体からは 遠目越しに見ても湯気が沸いているのが確認できた。 「鎧ぬがないの?死ぬわよ」 「…」  どこか遠い眼でアグリアスは、向こうの世界たる市場の中心を見つめている。返答がないアグリアスを見かねたのか、 シュガリーは手にした如雨露でアグリアス目がけて水を投げかけた。...
  • 騎士と人形
    「隊長、これ、落し物みたいですよ」 そう言って白魔が持ってきたのは、だいぶくたびれた人形だった。 布と革、毛糸で作られた、素朴で可愛らしい人形。黄色の毛糸で作られた長い髪は三つ編みになって、 革で作られた服はどうやら騎士服を模しているようだった。 (これって……アグリアスさん?) 「ああ、分かった。これってどこに落ちてたんだい?」 「昨日泊まった宿の部屋です。宿の主人が見つけて届けてくれたんですよ」 「誰の部屋だったか分かるかな」 「アグリアスさんの部屋だったと思います。多分アグリアスさんの物だと思いますけど……」 そこまで言って、白魔はくすっと笑った。 「アグリアスさんにも、可愛いところがあるんですね。こんな可愛い人形を持ってるなんて」 その日の夜、野営のテント。 「アグリアスさん、よろしいですか」 「ん?ああ、ラムザか。構わない...
  • 月光 その2
    先程までの草木が折れるこそばゆい音ではない、力強い大地を噛みしめる音が響き渡る。 アグリアスとラムザは靄のかかった町に入ったのだ。お互いはお互いの足音で存在を確認し合いながら片手を鞘に、 もう片手を柄にかけ態勢を低く保ちながら慎重に一歩ずつ歩く。 町の中だというのに人の声、生の声がこだましない。そして二人の前に広がる靄。警戒をしない理由はなかった。 「…ラムザ。目の前に何かないか?…」 アグリアスの声に、靄に塞がれている辺りを見回していたラムザが前方に目を凝らす。 暗がりで徐々に目が冴えてくるのと同じ要領で、白い靄にラムザの目は、少しずつではあるが回復へ向かっていた。 立ち止まる。 ラムザは目の前にある、不安定な一本脚で直立不動を心がける看板を見上げた。 「なんと書いてあるんでしょうか」 「…畏国語ではなさそうだな。貴公は読めんのか?」 「鴎国...
  • ヴァルプルギスの悪戯 その1
    ヤードー アグリアスお姉ちゃん、「こい」って、したことある? ブロンドというには赤みの強い髪の少女は興味津々、 小首をかしげてアグリアスの顔を覗き込む。 10歳。 大体の意味をわかりながらおませな言動をしかける少女は、 あまり見かけない不思議な金色の瞳をクルクル輝かせる。 アグリアスに甘えて飛びつき、あかがね色の髪が揺れる。 少女とは年の離れた妹がよくわからない顔をしてふたりを見比べる。 「お姉ちゃんみたいな美人は『ひくてあまた』だって八百屋のおじさんが言うの」 少女のおませな言動には冷や汗をかかされることも多いが これが彼女の本来の姿なのかもしれない。 アグリアスは苦笑しながらかつて憧れた人の話、その背に憧れるだけだった話を少しだけした。 「そうじゃないの!いまいるお姉ちゃんのコイビトの話をして!」 リオファネ...
  • ヴァルプルギスの悪戯 その2
    ヤードー、数日のち アグリアスの献身もあってほどなく両の手の傷跡までが消えてきたラムザは、 ムスタディオとつきっきりで剣を握れるようになるまでの、手指の機能を回復させる訓練を続けている。 ラムザが単調な作業を黙々とこなすおかげでその回復は目覚しかった。 ラファの心身の疲れや塞ぎの虫もいくらか良くなり、リオファネス城の見取り図を描くと申し出てそれを仕上げている。 ただ、大量に回復薬を消費したこと、大怪我をしたラムザを受け入れてくれた宿への口止め料、 破損した装備品の新調などで彼らの懐具合は少々心もとない状況だった。 教会に名前を公表されていないラッド、アリシア、ラヴィアン達が儲け話から戻るまでの間をつなげるかどうか、 流れ者の暮らしに相応な金銭感覚に恵まれないアグリアスですら危機意識を抱きかけていた。 ラムザには適当に休みを入れることを約束させ、い...
  • ある日常の攻防 その4
    爆発の直撃を受けたときも酷い有様だったが、 アグリアスの今の状態は、それにも増してさらに酷い。 全身に力が入らず、腕は剣を満足に支えることが できないほどに震えている。腕の震えにつられて、膝まで笑い出していた。 もはや、自身の体重を支えられないほど体がボロボロに なっている証である。 めまいと吐き気に襲われる中で、少し気を抜けば即座に気絶… 場合によってはそのまま死ぬかも知れないことは、本能的に察しがついた。 揺らぐ視界の中央に立つセリアは、足元に転がる、 血だまりの中に沈むレディの骸を見つめていた。 相変わらず、人形じみたその顔には表情も何も浮かばずに、 彼女の目には、夜の砂漠のように冷たく乾ききった色しか宿っていない。 右手は壊れて使い物にならず、あまつさえ死にかかっている アグリアスが、目の前の万全の状態のセリアに勝つ見込みは、 ...
  • 女の悩み
    ~自治都市ベルベニア~ 「いいわね!次に会うときがあなたの死ぬときよ!」 神殿騎士メリアドールと名乗るイズルードの姉らしい 騎士の部隊に強襲を受けたラムザ一向は、疲労回復もかねて、また 先ほどの騎士にボロボロにされた装備を買いなおすため、 2日ほど宿屋に滞在することになったラムザ一行であった・・・ ムス「なんなんだよあの追いはぎは!」 アグ「メリアドールと名乗っていたが、ラムザ、知り合いか?」 ラム「いや、彼女は前に戦った神殿騎士イズルードの姉らしいんです。 彼女はイズルードを僕に殺されたと思っているらしく・・・」 ラッド「イズルード?ああ、オーボンヌにいたやつか。 ぴょんぴょんとんでたやつだな。 意味不明なジョブヘルプメッセージとともに・・・」 ラム「ラッド、何の話だ?」 ラッド「いや、なんでもない。しかしけっこういい女だったな! ...
  • 孤剣の死 その3
    ~これまでのあらすじ ~ 盗賊を追っていたアグリアス達の前に彼女の師匠、エルヴェシウスが現れる。 彼を父親のように慕うアグリアスは再会を喜びラムザに引き合わせる。 しかしエルヴェシウスは軟弱な容姿のラムザに激怒し、鍛えなおしてやる、とラムザを拉致したのだった。 …… 「ひ、酷い目に遭った・・・」 「すまんラムザ! お前にとんだ迷惑を掛けてしまった!」 医務室でラムザの手当てをしながらアグリアスは平謝りする。 エルヴェシウスに連れ去られたラムザは、あの後、彼と素手の組み手をやらされた。 豪腕でありながら柔軟で精緻なエルヴェシウスの投げ技の数々に、小柄なラムザは為す術なく幾度も地面に叩きつけられ、その度に意識は遠のき、アグリアスと後から止めに来たメリアドールの必死の懇願が無ければ、今頃彼は無様に失神していただろう。 「いえ、勉強になりました。世界の広...
  • ラムザさんのエッチ!
    (元ネタは勿論…) ~ラムザさんのエッチ!~ 「ラ、ラムザ、まだ昼のさなかだぞ」 「時間なんて関係ありません。僕はアグリアスさんが欲しいんです」 「し、しかし野外でこのようなことを」 「僕が嫌いなんですか?」 「そんなことは無い!断じて無い。しかし、皆も見ているというのに…」 「それがどうしたっていうんですか?」 ある日を境に、ラムザは変わってしまった。女の身体を知ってから。 正確に言うと、初めてアグリアスと結ばれた、その日にだ。 ラムザ・ベオルブとアグリアス・オークスは、神ならぬ人の前で婚姻の誓いを交わした。 異端者の身では大々的に式を挙げる事など出来るはずも無い。 おままごとのような結婚式だが、隊の皆は祝福してくれた。 そしてその夜、宿屋の2階で二人は契りを交わすのだが…。 それからというもの、ラムザは事あるごとにアグリアスを求め...
  • 月光 その4
     ラムザたちが宿屋に戻ってきたのは夕飯時だった。そのまま顔を洗い食事となる。 居間ではやはり、どこかしこから村人が集まり宴が催されていた。  暫くマズラと、市場から帰ってきたシュガリーの三人で食事を取っていたラムザだが、 その場にアグリアスの姿が無いことに気付くのにそう時間はかからなかった。 「そんなに気になるんなら行けばいいのに」  ソーセージを頬張りながらマズラは至極当然のことを述べた。マズラの隣では、 気落ちした表情でシュガリーがミルクをすすっている。 「ラムザ、行ってあげて。…ごめんなさい。今は、私も彼女をいたわる余裕は…」  シュガリーの意を酌んだラムザは階上へ行く決心を固めた。 「アグリアスさん。もう食事はできていますよ」  扉越しに聞こえてきたその声に、アグリアスは瞼を開けた。 電灯を付けずにそのままベッドに倒れこんだせいか、部屋は薄暗い。...
  • ラムザの三日坊主
     最近、隊のみんなが日記をつけているらしい。  理由は人それぞれ。  いつ死んでしまうか分からないから、という者もいれば、  戦後に、これをネタに小説を書く、と逞しい考えの人もいる。  あと、ラヴィアンとアリシアはどうも他人の日記を盗み読みしているようだ。  士官候補生時代を思い出す。  同室のディリータが、毎晩欠かさず日記を書いていた。妹に送るのだと言っていた。  感心して、僕も始めたが、三日で終わってしまった。  正月に家族で集まった時に、アルマにそのことをからかわれた。  「私もディリータさんみたいなお兄さんが欲しかったわ」だなんて。  あれ以来何度か挑戦してみたけれど、日記が三日以上続いたことがなかった。  いい機会かもしれない。僕は久方ぶりに日記を書き始めることにした。  アルマに会ったら、見せてやろう。 一...
  • 無題
     ふう、とアグリアスがため息をつく。 ――私としたことが…。  憂鬱そうに頭を抱えてテーブルに肘をつくアグリアスは、昼間の出来事を反芻していた。  相手の陰陽士に混乱させられ、あろうことかラムザに深手を負わせてしまった。 正気を取り戻したときに見たものは、自分の剣で傷ついた、左腕を押さえるラムザの姿。 「くそっ」  抑えたつもりだったのだが、意志に反して言葉が声に出てしまう。 苛立ちを抑えられないアグリアスに、誰も声をかけられなかったのは、無理のないことであった。  そんなアグリアスの背後に近づく、一人の女性。 「だーれだ?」  彼女はそんなアグリアスの両目を手で隠し、声色を変えて話しかけた。 「…メリアドール」  低く、そしてはっきりした声でアグリアスは答える。そうしてゆっくりと振り向いて、 声の主――メリアドールに向き直っ...
  • ゴンザレスは何度でも蘇るさ!
    ある日、ラムザ一行の食卓にマインドフレイアの活け造りが現れた。 ゲテモノ好きの(と言うと怒る)アリシアが腕によりをかけて作ったのだ。 食糧難の事情から蛙も蛇もモンスターも調理してきたラッドの手解きもあって、 その晩の夕食はとても楽しいものとなった。 が、さすがにマインドフレイア丸ごと一匹はボリュームがありすぎましたので、 あまり味のよろしくない頭部を残して生ゴミ処分といたしました。 夜が更け、皆が寝静まった時刻、アグリアスはふと尿意を覚え、 同室のアリシアとラヴィアンを起こさないよう注意しながら、そっとトイレに立ちました。 コン、コン。 礼儀正しいアグリアスは、もう夜分だというのにわざわざトイレの戸をノックします。 当然、こんな時間に返答があるはずもなく、アグリアスはノブを掴みました。 コン、コン。 ところが、トイレの内側か...
  • 辛いはうまい
     浅黒い顔に真っ黒な髭を生やし、色鮮やかな布を頭と体にぐるぐる巻いた男達が、 土埃の舞う中をせわしなく行き交う。耳慣れぬ言葉と、聞き慣れぬ動物の声が 飛び交い、通りすがる男達は時折、落ちくぼんだ眼の底で彼ら同士にだけわかる 合図をかわす。  貿易都市ウォージリス。イヴァリースで最も異国人の多いこの街の、ごったがえす 市場の人混みをかき分けて、四人は進んでいた。 「まだ見つからぬのか。もう半分ほども見て回ったぞ」 「まだ半分だ。こういうものは時間をかけてじっくり探すものさ」  先頭を行くマラークはもの慣れた様子で、雑踏の中を縫うようにすいすいと人を かわしながら左右の店先にすばやく目を配っている。ルザリアやライオネルでは 日が落ちてからでないと表通りを歩けないその黒い肌も、この街であれば目に留める 者もない。異国の香料や反物、南方人のもつ独特の体臭...
  • 新スレ乙!
    アリシア「隊長、大変です!」 アグ「どうした騒々しい。」 ラヴィ「どうせたいしたことじゃないんでしょ」 アリ「たいしたことある! ついに、ついにFF13の発売日が決定したんですよおっ!」 アグ「そうか。いよいよ本家の13代目が世に出るというわけだな。たしかにおめでたい話であるが、私達が騒ぐことではないだろう」 アリ「なんということを……わたしたちFFT全体に関わってくる問題ですよ?」 アグ「なんだというのだ」 アリ「そうですね……それでは質問です。光速の異名を持ち重力を自在に操る高貴なる女騎士ことFF13のダブル主人公の一人ライトニングと、アグリアス隊長との意外な共通点とは?」 アグ「ライトニング殿と私との間に共通点があるのか。ふむ、なんだろうか」 ラヴィ「どちらも女騎士、っていうこと?」 アリ「ヒントは、最初の文字が、お」 ラヴィ「だから女騎士...
  • 孤剣の死 その2
    アグリアスとエルヴェシウスは東の空が白み始めた未明のウォージリスを歩いていた。 ムスタディオ達には先に帰らせ、山賊達に襲われた商人夫婦と使用人の亡骸に鳥車の積荷、そして生き残った娘を、商人が取引しようとしていた相手に送り届けてきたのだ。 相手の商人はこの面倒事を、それも火急の事とはいえ深夜に訪ねたにも関わらず、いやな顔一つせず応対し、適切な処置を行うことを約束してくれた。 アグリアスは迷惑料にいくらか包んだが、それも丁重に断られたのだった。 「中々の人物でしたね。あの方なら悪いようにはしないでしょう。一先ず安心しました」 「そうだな。商人ギルドも責任持って対処するといって居るしまず大丈夫だろう」 アグリアスとエルヴェシウスはウォージリスの商人の義侠心に感服していた。 「しかし、驚きました。まさか先生にこうして再び出会えるとは」 アグリアスは未だ興奮冷めやらぬ様子で横を歩くエ...
  • ヴァルプルギスの悪戯 その3
    再度、ヤードー 回復魔法とチャクラで目に付くような傷はふさいだものの、 ひとりで四連戦を切り抜けたラムザの消耗は激しかった。 「ラムザ、水は飲む?」 濡らしたタオルの下からラムザが上目遣いで「ほしい」と目で言う。 アグリアスは助け起こしながら口元に水を近づけて飲ませる。 「起きられるなら少し食べましょうか?」 亜麻色の頭がゆっくり縦に揺れる。 ほうほうの体でリオファネス城を脱出した一行はライオネルにルカヴィが顕現したとき同様、 「リオファネス城の怪異」がおさまるまでの間ヤードー滞在を余儀なくされた。 一度は死んだはずのマラークが案外と元気で、 侘びの意味も込めてかいがいしく一行の面倒を見て回っていた。 重傷をおったラムザには回復魔法やチャクラの相性がよいアグリアスがつききりとなり、 たまにムスタディオが汗だくの身体を拭いたり着替...
  • Polymorphisme
    街に着き宿へ。情報収集と物資調達のため三日ほどは逗留、担当以外は今日も明日も全員フリーだ。 嬉々として買い物へ赴くもの、酒場へ繰り出すものを見送って、さて僕はどうしようかと夕日の差すベッドに腰掛けたとき。 剣の柄に、小さなカードが差してあるのに気がついた。 「えーと…あれかな?」 書いてあった住所は街の繁華街からちょっと離れたところ。果し合いと勘違いしそうなシンプルな内容だが、逆に書いた人が誰か一発で分かるというものだ。 その店の前には人だかりができていた。…どうも、誰かがケンカしてるみたいだな。 「どうした酔っ払い。私に酌をさせるんじゃなかったのか?三人掛かりで情けないことだ」 美しい流れるような金髪にシックな髪留め、鎧を脱いだ平服姿。見た目は完全に貴族の令嬢と見まごうばかり。……ごつい男の胸ぐらを、片手でつかみ上げていなければ。 「ん、ラムザか。ちょ...
  • 30分1,000,000ギル
    ※アグリアス、メリアドールによるソープ物ssです  「除名?」 「うん。ごめん、人数結構増えてきたしさ、剛剣技ってやっぱり使い所が限られるよね?ていうかぶっちゃけシドいるし」 「・・・分かった」 いつもの笑顔で割と酷い事を言うラムザ。言われたメリアドールは淡々と離脱支度を整えはじめた。 ……ま、新作で多少改善されたとはいえ貴女の運命は変わらなかったって所か。大丈夫、ラムザを守る女騎士は私一人で 釣りが来る。あのちょっと小悪魔な金髪の貴公子は、私が立派に守ってみせる・・・ などとニヤつきながら勝手な考えに浸り始めたアグリアスにラムザはつかつかと近寄ると、彼女の肩をぽん、と叩いて 「シドいるから」 自分の顔から血の気が引く音というのを、アグリアスは初めて聞いた。 「うッ・・・うッ・・・ラムザ・・・ラムザぁ・・・。・・・それが・...
  • バレンタインの憂鬱
    バレンタイン・デイは憂鬱だ。 何故か? そこには悲愴なドラマがあったのだ。 「へーい、マイハニー! 明日は何の日か知ってるかい?」 「もちろんよマイダーリン! 明日は宝瓶の月26日(太陽暦2月14日)じゃない!」 「だったら僕の言いたい事は解るよね!」 「とびっきりなのを用意しちゃうから覚悟して待っててね!」 しかしその日、獅子戦争が始まった。 そして彼女のいた街は戦果に飲まれ……約束の日、約束の場所に、彼女は来なかった。 その理由を想像して、彼は夜が明けるまで泣き続けた。 いつしか彼は、恋人を奪った戦場に身を置くようになった。 この戦争を一刻も早く終わらせるために、彼は剣を手に取ったのだ。 幾つかの戦場を渡り歩き、異端者と呼ばれる者達と遭遇し、剣を交え、 当事話術士だったラムザに勧誘され、戦争を裏で操る巨悪の存在を知り、 ...
  • ある日常の攻防 その3
    「(何か手を…!)」 斬り結びながら策を必死で模索するアグリアスの目に、 奇妙な光景が映った。 レディが突如、後ろに大きく跳躍した。 しかも、跳躍中になぜか右手の忍刀を腰に佩びた鞘に 納めつつ、である。 着地と同時にどこからか取り出したのは、針状の手裏剣。 灰色に仄光るそれが、一瞬だけアグリアスの目に留まった。 「な…!?」 刹那の間に、アグリアスの左胸を狙って正確に投擲された手裏剣は、 全く想定外の攻撃手段であった。 だがしかし、戦場においては戦況が予想外の事態に展開する のが常であり、百戦錬磨のアグリアスはそれに慣れていた。 思考を介さない、戦士の直感が彼女の体を動かし、 手裏剣は心臓を射抜くことは叶わず、肩を覆う装甲に突き刺さる。 手裏剣は肩の寸前で止まり、流血には至らなかったものの、 アグリアスは再び驚愕に...
  • バー“アグリアス”
    最後の戦いに赴く前夜、オーボンヌ修道院の少し手前にある森で野営をしている時の事だった。 「みんな、聞いて欲しい事があるんだ。前々から考えていた事なんだけど……ここで二手に分かれようと思う。 明日、オーボンヌ修道院に行くのはオルランドゥ伯。それにクラウドとメリアドール、そして僕だ。 本当は、もっと早くに言うべきだったんだけど……こんな直前になるまで言い出せなくてごめん。 あとの皆は、帰る場所や身寄りのある人はそれぞれに聖石を持って各地に散って欲しい。 もし僕らが敗れる様な事になっても、残りの聖石が奴らの手に渡らない様に隠し、守り通してもらいたいんだ。 ムスタディオはタウロスとスコーピオ、 アグリアスさん、ラヴィアン、アリシアにはキャンサーとサジタリウス、パイシーズ、それにカプリコーンを預けます。 マラークとラファにはジェミニとアリエスを...
  • 汎用燃える! その2
    10日 夜になり、宿の屋上の風が強くなった。 髪を結んで来るべきだったと見張りに立った彼女らは思った。 「あ~退屈ぅ~!」 アリシアが背伸びしながら言った。 ラヴィアンは生真面目に街頭に視線を走らせていたが 不真面目な相方の姿に溜め息をついた。 「最近…変わったわねアリシア」 「俗世に馴染んだのよ 私は努力家だもの」 アリシアは誇らしげに言う。 「間違っている…とは思わない?」 「なにが?」 「…」 ラヴィアンは痛くもない頭を抱えた。 ガチャと屋上のドアが開いた。 傷心のムスタだった。 「当たって砕けたわね」 「…何に」 (良からぬ入れ知恵でもされたのかしら…) 後年、ラヴィアンが記した人物評にはこうある。 『ムスタはアリシアの玩具であった』 『然る後 みんなの玩具となった』 と。 「…駄目だったよ...
  • Antipyretic
    まだ本当の意味での外に出た事の無い、小さな勇者である、子供のころ。 前日に、彼女に微笑みを投げかけるような色彩豊かな自家の庭の前で、雨にも挫けずに丹念に剣の素振りを行っていた少女は、心挫けずとも体が挫け、自室で寝込んでいた。 普段、時計の針が半周するほどの長い時間を布団で過ごした事の無かった少女は、 外に出られないもどかしさを切に感じ、自らの弱さについて切に省み、そのせいあってか彼女はなかなか睡魔とは無縁の関係が程暫く続いていた。 ごろんごろんと、冷たさを失った布団の中で、何度も何度も寝返りをうち、やがて心地よい眠りが彼女を包み始めた時、少女は何の気なしに状態を仰向けに戻した。 すると、どうだろうか。今までは気付きもしなかった、天井に得体の知れない物がいることに少女は突如気がついた。そこには少女の目から見たら、可笑しな顔をした“異形の者たち”がいた。 それは、誰の目...
  • 孤剣の死 その1
    「急げ! 急がぬか!」 主人の狼狽した叱責を浴びながら、使用人は二頭のチョコボを必死に走らせる。 しかしながら、鞭を打たれること既に小半時に達しようとする今、豪奢な鳥車を引くチョコボは最早限界に近かった。 秋も深まって間も無く、夜の林道は冬の到来を思わせる肌寒さである。 そんな季節に見合わぬ大量の汗をチョコボに掻かせながら、それでも使用人は走らせざるを得なかった。 それは土煙を上げながら鳥車の後方に迫り来る、林道一杯の山賊の一党が故である。 武器を掲げ、奇声・雄叫びを上げながら、チョコボで追走する悪党どもは、さながら獲物を追うのを楽しむ野獣の如く、いずれ劣らぬ下種な顔立ちに下卑た笑いを浮かべながら、 「どうしたどうしたー!」 「そんなんじゃ逃げられねーぞ!!」 などと囃し立てては笑い合うのである。 「何をしているのだ! 追いつかれてしまうではないか! 殺されてしまうぞ!...
  • アルテマ無双
    ※ラファ、アルマ、メリアドール、アグリアス、レイプ物ss ダーク系ssのため苦手な方はご注意を 「ワタシノ… 復活ヲ… サマタゲル… ツモリ… カ……  ソウハ…… サセヌ……  イデヨ…… ワガ… シモベ… ドモヨ……  ワタシノ… 復活ヲ… サマタゲル者ハ…  何人タリトモ… 許シテハ… オカナイ!  行クゾ…… 非力ナル者ドモヨ……!」  死都ミュロンド、飛空挺の墓場。古に伝わる暗黒の地で、ラムザ一行と聖天使アルテマとの最終決戦が始まった。 「デーモンは引き受けたッ! 貴公は妹君をッ!」  聖騎士アグリアスが弾かれた様に跳んだ。聖剣エクスカリバーに加速された肉体が、神速の速さで以ってアルテマデーモンに肉薄する。 「大気満たす力震え、我が腕をして、        閃光とならん! 無双稲妻突き!」  聖気を纏った雷撃の連続突...
  • ある日常の攻防 その1
    ランベリー城城門前にひしめく、100を越える殺気の群れ。 その殺意は、ラムザを始めとして、彼の4人の仲間にも わけへだてなく平等に降り注がれている。 多勢に無勢という言葉にふさわしいこの状況で、 平静に佇む、たった5人の侵入者の様子は明らかに異常であった。 城を護る剣士達の殺意、罵倒、嘲笑。 そのいずれにもまるで応じず、沈黙を貫く5人―― それはどこか、闇夜に巣食う亡者たち… 人の手に負えぬ死霊の集まりを思わせる、不吉な存在だった。 「――そろそろいってもいいでしょうか?  どうせこの手の輩は説得になど応じはしません。  今までだってずっとそうだったでしょう」 気だるげなレーゼの問いかけに、ラムザは迷う事無く答えた。 「お願いします」 レーゼの言う通りであったし、本物の戦場とは、口喧嘩の場などではない。 ど...
  • ヴァルプルギスの悪戯 その4
    「なあムスタディオ、ゴーグに埋まっている失われた科学文明って、キカイ以外にもあったのかな」 「そうだなあ、うーん、たまに状態がいい古文書みたいなのが出るときもあってさ、  オレら機工士もたしなみとしてそれを解読するくらいはやってるんだ。ちょこちょこそういう文章は読んでる。  科学と魔法の架け橋になった錬金術っていう技術とか、ちょっとお前らが試してみてもよさそうなのもあるらしいな」 「何で僕らが試してみてもよさそうなんだい?」 「あー、なんと言うかな、機械を造ったり直したりするのって、経験とか手先の器用さとか技量なんかの勝負だけどさ、  錬金術だと魔法の知識や魔力の方がものをいうらしいんだ」 「へえ、カガクと魔法は案外相性がいいものなのかな」 「そうかもな。たとえば、禁呪のたぐいだって忌み嫌われた技術で死者の蘇生なんかもやったヤツがいたみたいだな」 「アレ...
  • 再会と誓い
     「僕は……まだ生きているのか………」 何もない空間をラムザ・ベオルブは漂っていた。 イヴァリースの命運をかけた戦いがあった。 死都ミュロンドに飛ばされたラムザ達は、飛行船の墓場で統制者ハシュマムと聖大天使アルテマを倒し、ルカヴィの野望を見事阻止した。 ラムザがアルテマに止めを刺し、そのアルテマから放出された光に飲み込まれ、気がつけばこの空間へと飛ばされたのだ。 天も地もない空間。頬を撫でる風もなく、降り注ぐ光もない。 普通の人間なら「ここはどこなのか?」「どうすれば脱出できるのだろう」と考えるところだ。 あの爆発の中心に居て命があっただけでも僥倖だというのに、ラムザにはその考えはなかった。 むしろ、絶望していた。 自分の短慮によって起きてしまった様々な出来事。 みんなを巻き込んでしまった不甲斐なさ。 アルマを助けられなかった情...
  • 様付け
    ムス「なあアグリアス」 アグ「ん、どうしたムスタディオ」 ムス「いや、ひとつふたつお前さんに訊きたいことがあるんだけどさ。     アグリアスはお姫様のことを様付けで呼んでるよな」 アグ「オヴェリア様のことか?」 ムス「そうそう。それでさ、そのお姫様の友達って、ラムザの妹なんだっけか?」 アグ「ああ、アルマ様のことだな。ラムザがベオルブ家の人間だと知ったときは驚いたな」 ムス「そこ! そこなんだけどさ」 アグ「?」 ムス「お前、ラムザは呼び捨てなのに、妹には様付けなんておかしいと思わねえ?」 アグ「…! い、言われてみれば…確かにそうだが、あの時ラムザは身分を隠していた     わけだからな。今更になって様付けするのも余所余所しくておかしくないか?」 ムス「そりゃそうだけど、以前俺が姫様と話をしたときお前が俺の態度を怒ってたのに、    ...
  • にゃんこ! その1
    「ふっふっふ、やっと見つけたわ」  闇夜の草むらの影からこそりと姿を見せる怪しげな影。帽子の下で黄色く輝くその瞳は、 見るからに黒魔道士のそれにしか見えないが、実際そのとおりである。 「ベオルブ家の御曹司が異端者ねえ…名門のおぼっちゃまもおちたもんね」  そう呟いて彼女はにやりと笑ったのだが、黒魔道士の彼女の表情はやはり伺えない。 「見てなさいよぉ、あのラムザを捕まえればいかにあたしが優れた魔道士か、あの馬鹿な  連中もきっと理解するわ…うふふふふ…!」  彼女の名はジェニック。ラムザ一行を狙う賞金稼ぎの一人であった。 「人数増えたなあ…」  焚き火の前でそう呟くのはムスタディオである。 「ラムザさんは異端者なんだから、もっと自重して少人数で行動すべきだと思うんだけど…」 「いいじゃない、旅は道連れ世は情け、って言うし、味方だって多い方がい...
  • O・NE・SYO
    お漏らしがどうとか、タイムリーにもこんなSS書いてしまった…支援レス入れてもらえると有難いかもデス 「あ、あああ……よく、寝た」  アグリアスの一日は、盛大な欠伸とともに始まる。  ただし、周りに確実に誰もいない時に限る。誰かがいるときには、彼女は決して そのような緊張感の無い表情を見せない。  名門貴族出身の淑女というプライドが、そんな態度を他人に見せることを許さない のである。  もっとも、それをくだらない見栄だと指摘されると、沸騰した湯沸かし器のごとく 逆上するのが彼女の性格であるが。 「ううん、久々にぐっすり眠れた。ここ数日行軍続きだったからな……」  アグリアスはひとりごちた。  何日かぶりの投宿。この日の朝は彼女に仕事は割り振られていなかったので、 疲れを癒すべくいささか遅くまで寝ていたというわけだ。  同室のラヴィア...
  • 貴公じゃイヤ!
    酒場。  昼間は雇われ仕事を求めて戦士達の集うこの場所も、夜になれば本来の職分を取り戻す。  喧噪の店内。  壁際の席を3人の女が占めている。  ルザリア聖近衛騎士団の俊英アグリアス・オークスとその部下二人である。オヴェリア王女の護衛を任じられ、現在は故あって流浪のラムザ軍団と行動を共にしている。  やんごとなき人材に付き従う護衛隊員は、当然選考基準に容姿の優劣も含まれている。そのため3人とも相応の美女であり、特にアグリアスは清澄な意志を宿す瞳が印象的な、ぬきんでた美貌の女騎士であった。  さぞ人目を引いたことだろう。普段であれば。  アグリアスはすでに相当きこしめしていて、据わった目つきと赤らんだ顔色とで、酔客のなかにすっかり溶け込んでしまっていた。 「隊長、ちょっと飲み過ぎなんじゃないですか?」  ラヴィアンがおずおずと声をかけるが、アグリアスは横柄...
  • 月光 その1
     春のうららかな風と海から吹き寄せるひんやりとした風のどちらをも肌で感じながら、一路はフォボハム平原を進んでいる。 彼等はこの平原を超えた先にある、ある台地を目指していた。 何故、その地へ向かっているのか。 その理由に答えるには、まずラムザの過去を語らねばならない。  おおよそ一年前、骸旅団と呼ばれる義勇団がラムザ、ディリータを中心とする士官候補生の前に立ちふさがった。 貴族に対して要人誘拐や暗殺などのテロ活動を各地で行っていた骸旅団の行いは、もはや北天騎士団には看過しえぬ状況になっていた。  そして、士官候補生とミルウーダ率いる骸旅団の残党は盗賊の砦で初めて相まみえた。 貴族などの支配者階級の圧政に苦しむ民を解放する。 そのような桃源郷とも言える世界の理想を掲げる頭目ウィ―グラフの実妹、ミルウーダからすれば禍根である畏国軍の、 それも貴族ばかりが...
  • ジューンブライド
    誕生日記念 空気なんか読まない 貿易都市ウォージリスのとある宿屋。入り口には、「本日貸切」の札がかかっていた。 一階の食堂から、陽気な笑い声が響いていた。 道行く人も、その陽気な騒がしさに興味を惹かれて立ち止まる人が多かった。 「今日は何かやってるのか?」 「何でも結婚のお祝いらしいよ」 人々は、宿を見上げてそう話すのだった。 夜も更け、宴もひとり、またひとりと酔い潰れて、そろそろお開きとなりかけた頃。 アグリアスはレーゼに連れられて、控え室となっている部屋に入った。 レーゼは手際よくドレスを脱がせ、髪飾りやアクセサリを外すと、 「じゃ、これに着替えて」 と、レースをたっぷりと使った豪勢な白い下着をアグリアスに渡した。 「これを……着るのか……?」 普段から華美なものをあまり身に付けないせいか、アグリアスは下着を手にしてひどく戸惑った。 「着るの」...
  • moon
    獅子の月 夏真っ盛りのある日― 「アリシア、今日も稽古を付けてやるぞ」 「あ、今日は無理で~す。私、食事作らないといけないので」 「む、そうか。そう言えば、今日はラヴィアンも洗濯当番だったな」 仕方ない、一人で鍛練に励むか。 ハッ ホッ ウリャッ ふぅ・・・少し休憩するか。休憩のついでに服を着替えよう ヌギヌギ ふ~。夏ともなれば午前中といえども暑いな。ん―あれはラヴィアンではないか 「ん、ラヴィアン。洗濯物は終わったのか?」 「え?あ・・・洗濯物でしたら現在、洗濯中ですよ?」 「ついでですまないが、この服も洗ってくれ。今日は暑いから午前中の鍛錬だけでもうビショビショだ」 「はい、了解です」 ハッ フッ グゥッ むぅ・・・流石に昼になると鍛錬もキツイな。体調を崩してしまっては意味がない。続きは夕...
  • 孤剣の死 その4
    一昨日から降りしきる雨の黄昏時、ウォージリスの街外れを傘を差して歩く影が一つあった。 ローブに隠れてその表情を窺い知ることは出来ないが、僅かに覗く口元は真一文字に引き結ばれ、全身に纏う雰囲気は堅い。 土砂降りの雨は激しく傘を叩き、空気を重くしていた。 今朝、オルランドゥは日課の朝稽古に起き出した際、自室ドアの足元に一通の手紙を見つけた。 『黄昏時北の街外れにて』 豪快な筆遣いで簡潔に書かれたその手紙を、しかしオルランドゥはなんとなくは予期していた。 そうして単身街外れに向かうのである。 低い丘を一つ越えると、オルランドゥの眼前に、かつて見た一つの光景が広がる。 地面に突き立つ無数の剣、剣、剣。 百は下らぬ剣の林、その中心にその男は編み笠を被り、雨に打たれながら佇立していた。 「懐かしい景色だ」 オルランドゥはまずそう口にした。 「果し合いに応じて戴き、感謝する」 ...
  • 力強く美しく、戦場に舞う蝶は料理が苦手
    『力強く美しく、戦場に舞う蝶は料理が苦手』 ため息などいかんと思いつつ……この頃はこのまま剣に人生を捧げてしまっても良いものかと思うにつけ、つい深く息を吐いてしまう。 剣を振り続け、気がつけば男前だの、ゲルミナスパンティだの、脇がきついだの、足が臭うだの。 我々の業界ではご褒美とか言われる始末。 もううんざりだ。 とは言え、女らしく……か。 私には程遠い言葉だ。 今更この口調を変えるわけにもいかないし、王族付きの騎士として培ってきたこの仕草を直そうにも無理がある。 今ここにある私自身は、厳しい戦いを生き抜いてきた大事な私の結晶だ。 捨てられるわけがない。 だが騎士としての厳しさを持った私が、更に女性らしさを身に着けることができたなら…… 強さとやさしさを併せ持つ理想の人間像とも言えるのではないだろうか。 皆からの人望...
  • 戦う理由 彼女の居場所 その2
    5- ぐったりとリリスに凭れかかるラムザ。 「貴様、ラムザに何をしたッ!?」 「暴れたら面倒だから、寝て貰っただけ。―今夜は良い夜ね」 「何!?」 「お酒の匂いでまた来てみれば、お酒の他にオ・ト・コ付き☆」 「ふ、ふざけるなッ!だいたい、逃げられると思うか!」 聖剣技を繰り出す。 リリスはラムザを離し、回避する 「聖剣技が使えるのね~。感心感心」 「ああ。神の加護より繰り出される剣技だ。ラムザは渡さんぞ、妖魔!」 「"は"…って。何?貴女、仕事よりラムザちゃんが大事なの?」 「む…つ、積み荷も渡さんぞ!」 「! は~ん、貴女、彼のこと好きなのね?」 「そ、そんな事は―」 「そう、そうなんですよ!隊長は――」 「アリシアァ!」 「………ゴメンナサイ。何デモナイデス」 「ラムザは隊の長だ。…尊敬はしている」 「それだけ?」 「そ...
  • 夏の浜辺を血に染めて
    夏――! 夏といえば――水着ッ!! 「という訳で、プールにでもいきませんか?」 「却下。なんか関西弁を話すマインドフレイアに触手プレイされる予感がする」 「じゃあ海に行きましょう」 「解った」 こうしてラムザとアグリアスは戦いの疲れを癒すため海水浴を決定した。 ウォージリスの浜辺で、水着姿の一同はおおはしゃぎだ。 ムスタディオは「スイカ割りをするぞ」と叫び、ラヴィアンとラファが参加する。 ラッドはアリシアを岩陰に連れ込んだ。釣り具を持って。 ベイオウーフもレーゼを岩陰に連れ込んだ。特に何も持たず。 オルランドゥ伯は赤フンで海に飛び込んだ。 マラークは蛙になって波にさらわれた。 残ったラムザは右腕をアグリアスの胸に挟まれ、左腕をメリアドールの胸に挟まれていた。 「メリアよ。ほれ、スイカ割りが楽しそうではないか。  ああいうの...
  • カミガタ
     髪を切ろう。 そう思ったのは今朝の事だった。 いつものように早朝の日課である鍛錬を終た後、水浴びに行く途中で暑い風が吹いてきたのだ。 じわっと汗が噴き出る。 雨季から乾季に変わる時の季節風だ。 たまに夏と思わせるような風が吹いてくる。 頭が暑い。 風で噴き出た汗に加え、鍛錬で掻いた汗で首周りがべとつく。 いっその事切ってしまおうか。 うん。そうだ。そうしよう。 髪は女にとって特別だと言うが、私はそうは思わない。 別段綺麗な髪でもないし、今さら乙女のように容姿に気を掛ける必要もない。 この道を選んだ時から女としての道は捨てて来たのだから。 そう。だから別に髪を長くしている理由もないのだ。 「実はラムザ。髪を切ろうと思うんだが――」 「えっ!!」 驚愕の表情と共に椅子を蹴って立ち上がるラムザ。 「ぼぼぼぼ、僕何か悪い事しましたか!?それ...
  • 孤剣の死 その5
    宿の異変に気付いたアグリアスは一目散にラムザに割り当てられた部屋へと急いだ。その表情に余裕は微塵も無くただただ必死さが滲み出ている。 「ラムザ!」 ドアを破壊せんばかりの勢いで開けて踏み込むと、窓辺に座るラムザは一瞬、沈痛な面持ちでアグリアスを見たが、すぐに顔を背ける。 「皆は何処へ行った! 誰一人居らんぞ! おまけに装備まで持ち出されている! 言え! 皆は何処へ行ったのだ!」 「儲け話ですよ。僕が頼んだんです」 「ふざけるな! 全員行く必要が何処にある!」 「ちょっと隊費が底を尽きかけていまして・・・・・・」 「見え透いた嘘はやめろっ!」 アグリアスはドアに拳を叩きつけた。ラムザは口を噤み、俯く。 「頼む、正直に言ってくれ、ラムザ。先生に関わることなのだろう? あの人は私の父も同然なのだ。私はあの人を失いたくない。二度も父を失いたくない。お願いだから教えてくれ!」 ア...
  • @wiki全体から「夏の夜に咲く、血色の花 その1」で調べる

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