SCP-2352

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&font(#6495ED){登録日}:2017/01/05 (木曜日) 12:30:00 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 8 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&font(b,i,blue){少なくとも、私はサイモンに借りがあるのだろう ― こうして彼を巻き込んでしまったのだから}} SCP-2352とは、怪異創作コミュニティサイト「[[SCP Foundation]]」に登場する[[オブジェクト>オブジェクト(SCP Foundation)]]の一つである。 項目名は『死に体のビデオブロガーと諦めの悪い異次元のファン(A Sorta-Dead Vlogger and Their Clingy Extradimensional Fan)』。オブジェクトクラスは「Euclid」、後に「Neutralized」に指定されている。 SCP-2352は、YouTubeの『SimonM34』というチャンネルに投稿されていた十数本の動画である。 投稿者は、チャンネルの名前からも分かる通りサイモンと言う名の少年であり…&bold(){なんと現在は死亡している}。 死因は報告書の中では名言されていないものの、【&bold(){身体の65%は第二・第三度熱傷に覆われており、この火傷は特に手と顔の周辺において深刻です}】と言う死亡時の状況から相当悲惨なものであったことが推測できるだろう。 さて、財団によって『SCP-2352-1』と定義されたサイモン少年の遺体であるが、なんと定期的に蘇生しては動画に出演してまた遺体に戻るという心霊現象まがいのことを繰り返していたのである。 勿論、すでに遺体となっているサイモン少年が自分の姿を撮影し、あまつさえ動画として投稿するなんていう芸当ができるわけがない。 サイモン少年の遺体を一時的に蘇生させて動画に出演させ、YouTubeにアップロードしているプロデューサーがいるのである。 財団によって『SCP-2352-2』と指定されたこのプロデューサーは、恐らくは異世界の住人と思われる水晶に似た構造の体を持った人型の実体である。 顔はのっぺらぼうで体も中性的なこのプロデューサーは、人の目には映らずカメラ越しに見ることで初めてその姿を捉える事が可能な謎の存在だ。 そして、よっぽどサイモン少年が気に入っているのか、彼の遺体が財団によって回収された後もわざわざ警備網をかいくぐってまで遺体安置所にある彼の遺体のそばに現れ、放送を行わせていたのだ。 この異世界から来たプロデューサーが、サイモン少年の額に手を当てる事で死者のYouTube配信がスタートする。 サイモン少年の遺体がむくりと半身を起こし、生前に彼がアップロードしていた動画と同様に特定のテーマに関する話題を話し始めるのだ。 サイモン少年の遺体は、自らの周囲を動き回っているSCP-2352-2以外の存在に反応を示さず、しばらく喋り続けた後ばたりと後ろへ倒れ込んで元の遺体に戻る。 それから数刻後、わざわざレンダリングまでしたと思われる動画がYouTubeにアップロードされるのである。 因みに、財団がこの動画の存在を知ったのはとある動画批評サイトがサイモン少年の動画を特集し、それが財団の運用していた動画監視システムに引っかかったのがきっかけであった。 ゾンビにしか見えない人物が出演している上に、スレンダーマンみたいなやつがチラチラと映り込んでいるこの動画には、視聴者からいくつかのコメントが寄せられていそうなのであるが、なんて書いてあったのか実に気になるところである。 さて、ここから重大なことを書いていこう。 オブジェクトクラスからも明らかのように、&bold(){現在、このチャンネルは存在していない}。 かつて動画が投稿されていた時には、財団は異常な内容を含んだ動画をネットから隔離する専用のシステムを用いて、この動画がこれ以上世の中に拡散しないように世間から完全に隔離させていた。 配信されていた動画のうち、特徴的なものをピックアップしてみよう。 |番号|放送内容|再生時間| |1|テスト投稿だったのか、某アメリカ合衆国大統領のスピーチの暗唱を行っていた。画面内に異常は認められず。|2:41| |2|恋人に対する愚痴を投稿。サイモン少年宅の窓の外をSCP-2352-2が通りかかる。サイモン少年が気付いたかは不明。|4:12| |8|著作権に対する私見を投稿。SCP-2352-2はすでにサイモン少年宅に侵入しており、彼の自室の半開きになったドア越しに彼の様子を観察。|4:54| |29|近所を散策しつつテレビタレントに対する愚痴を撮影。そして、ついに自分を観察し続ける謎の存在(SCP-2352-2)の存在を察知したかのような様子を見せる。|7:58| 【 63回目の投稿を行った後、サイモン少年は死亡した 】 |64|初めてSCP-2352-2がプロデューサーとなった回。教会の霊安室で棺の中に横たえられているサイモン少年の姿が映し出される。|10:00| |65|初めてサイモン少年が蘇生させられる。突然現れたSCP-2352-2に少年は最初は戸惑っていたものの、すぐに気を取り直して葬儀会場に押しかけてデモを行う人々への皮肉を述べる。|2:59| 【 前述したように、この動画が財団の目に留まってサイモン少年の遺体は収容された 】 |66|財団の一員であるスティーヴンズ研究員が遺体の検死を行っている最中にサイモン少年が蘇生。内部情報が駄々漏れになることを恐れ、財団は動画チャンネルそのものの隔離を決定する。|5:00| |85|安楽死に対する批判を述べていたサイモン少年が唐突に黙り込んでしまい、SCP-2352-2に対するやり場のない怒りをため息で見せた後、両手で顔を覆う。|4:30| |122|一分間ほどSCP-2352-2を睨みつけた後、声帯の劣化に由来すると思われるかすれた声で「いやだ」とつぶやきつつ、首を横に振るサイモン少年の姿が撮影される。|1:30| その後も何回か動画の投稿は続き…唐突に終わりがやって来た。 #openclose(show=【 無力化報告書:SCP-2352-放送-1██ 】){ その日投稿された動画には、財団の遺体安置室内に設置された遺体台の上で痙攣するサイモン少年の遺体と、台の上に座り、まっすぐに画面を見つめる『SCP-2352-2』の姿が映し出されていた。 約8秒ほど経過した後、不意にSCP-2352-2が男とも女ともつかない声色で語り始める。 >「俺を休ませてほしいんだ」と、彼はそう言った。 SCP-2352-2の種族は絶滅の危機に瀕しており、SCP-2352-2自身も生きる歓びを見失っていた。 そんな中、自らの動画を配信するサイモン少年の姿を見かけたSCP-2352-2はーー >そう、私は彼に惹かれたのだ。彼は私に考えるべき何かを与え、現実から私の思考を逸らしてくれた。 こんな生き方もあるのか。SCP-2352-2がそう思い始めた刹那、サイモン少年は不慮の事故によってこの世を去ってしまったのだ。 >無論、私は取り乱した。彼の動画を見ていた他の少数の者たちも同様だったと私は確信している。だから…だから、私は彼を生き返らせようと決めたんだ。 これは自分のエゴだというのはわかっていた。でも、SCP-2352-2は自らの行為を止められなかったのだ。 SCP-2352-2にあの世から引き戻されたことで、最初サイモン少年は混乱していた。 そんな彼を、SCP-2352-2は説得して死者の動画配信をスタートさせたのである。 まだ、動画配信を続けられる。 サイモン少年は、本来ならありえないこの状況を最初は素直に楽しんでいたらしい。 SCP-2352-2も、無味乾燥だった日々にやっと生きがいを見つけることができ、充実した日々を送って来た。 しかし、幸せな日々は長くは続かなかった。 サイモン少年の身体が腐敗し始めたのだ。 異世界の存在であるSCP-2352-2も、時の流れには勝てなかったのだ。 だんだん、サイモン少年は満足に喋ることができなくなって来た。 撮影そのものも苦痛になって来た。 しかし、SCP-2352-2は撮影を止めることが出来なかったのだ。 既に、動画の撮影と配信がライフワークとなっていたからだ。 >恐らく私は、彼に少し負担をかけてしまった。結局のところ、これは私が数ヶ月前に発見したヒトと同じ物では無かった。そして君たちは恐らく、その結果を目にしている… でも、やがてSCP-2352-2は気づいた。 >私が彼をこのような有り様に変えてしまったのだ。だから…私はきっと彼を休ませてやらねばならない… 配信をやめてしまったら、自分の人生はどうなってしまうのかわからない。 でも、これ以上サイモン少年を苦しめるわけにはいかない。 >さようなら、サイモン… 横たわった少年の口が、「ありがとう」という発音の形に動いた後、彼の体は二度と動かなくなった。 そして、それを見届けたSCP-2352-2が画面からフレームアウトして、動画は終了した。 } それから間も無く、YouTube上からサイモン少年のチャンネルは消滅した。 現在、財団はプロデューサーの素性を調査中である。 **余談 この項目での無力化報告書は2016年11月30日に執筆者によって改稿される前のもので、 現在は日付と放送の回数が明記され、プロデューサーが使用した言語が最後の「さようなら、サイモン」の部分を除き、未知の言語となっている。 そのため台詞が大幅にカットされており、プロデューサーの種族やサイモンを蘇らせた理由については不明となっている。 追記・修正はサイモン少年の魂が安らげていることを願える人にお願いします。 ---- #right(){ SCP-2352 - A Sorta-Dead Vlogger and Their Clingy Extradimensional Fan by Nyka http://www.scp-wiki.net/scp-2352 http://ja.scp-wiki.net/scp-2352(翻訳) この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。 } #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,18) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - こういう珍妙なものがあるのもSCPの魅力だよなぁ -- 名無しさん (2017-01-05 14:29:50) - SCP-2352-2を「死体を生き返らせて楽しむ屑野郎」と思ってたらちょっと違ったな -- 名無しさん (2017-01-05 14:40:40) - 財団世界でも死者蘇生は碌なことにならないな・・・ -- 名無しさん (2017-01-05 16:42:42) - サイモン少年は何に対してありがとうと言ったんだろうねえ・・・ -- 名無しさん (2017-01-05 17:16:57) - 好意的に見るなら今まで一緒に遊んでくれてありがとうじゃね? -- 名無しさん (2017-01-06 03:49:54) - 最初は楽しんでたって言ってたし怒りより感謝が優ったが故の有難うだと思いたい -- 名無しさん (2017-01-06 09:41:43) - 新たなプロデュース先を探し回りそう。 -- 名無しさん (2017-01-06 17:44:37) - お前がyoutuberになるんだよ!(チャンネル開設) -- 名無しさん (2017-01-25 19:55:31) - まるで引退後もおもちゃにされてる某大物youtuberみたいだぁ(直喩) -- 名無しさん (2017-03-24 01:19:24) - 本家にて2016年11月30日に最後の放送の内容が修正されています。念のため。 -- 名無しさん (2017-04-09 00:41:52) - というか、SCP-2352-2自体がSCPにナンバリングされるべき対象だろ。収容できてない時点で確実にKeterだし -- 名無しさん (2017-05-25 21:25:25) - ↑×2 本家見てきた。最後のインタビューが正体不明言語になってたね。変更前でもいいと思うんだが…向こうのフォーラムで何か言われたんだろうか。 -- 名無しさん (2017-05-26 00:26:51) - ↑2やれてること考えるといいとこEuclidじゃね?死体蘇生もそう長続きするもんじゃないみたいだし、コイツ自身何か直視したくない現実に参ってるみたいだし -- 名無しさん (2017-07-08 01:23:34) - サイモンの動画が完全に終わった以上、もう何かする気はなさそうだから今のところ「無力化」って事になってるんじゃないかな -- 名無しさん (2017-10-29 23:43:11) - こういう現代の風刺がちょいちょい混ざってるのがSCPの好きなところでもあり、不気味に感じるところでもある。過去からある普遍的な怪異だけではなく、時代に合わせワケワカラン現象が次々と生まれ、今後もその発生に歯止めがかかる兆しがないところが -- 名無しさん (2018-02-02 11:55:48) - 不気味というか、とても切ない -- 名無しさん (2021-10-03 14:35:04) #comment #areaedit(end) }
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