「ぼくら」シリーズ

「「ぼくら」シリーズ」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
「ぼくら」シリーズ」を以下のとおり復元します。
&font(#6495ED){登録日}:2011/08/24(水) 13:51:15
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 7 分で読めます

----
&link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧
&tags()
----

「ぼくら」シリーズとは、1985年に角川文庫から出版された「ぼくらの七日間戦争」を始めとする小説シリーズ。
他にも「新・ぼくら」シリーズ、「横浜開港編」といった登場人物を刷新した別シリーズもあるので、
ここでは最初に刊行された「ぼくら」シリーズについてのみ書く。


著者は『未知海域』で直木賞候補になった宗田理で、中学生編11冊、高校生編18冊、青年編(大学・浪人生~教師初期)4冊、教師編4冊、番外編1冊の全38冊(教師編4冊のみ徳間書店)が出版されている。
また、その後、2009年から刊行が始まった「角川つばさ文庫」版では、過去の作品の再販以外に新しく中学生編が7冊刊行されている(2015年4月現在)。

本来は大人向けに書かれた作品だったが、狙った層ではなかった当時の中高生の間で大ヒットした。

二度映画化されていて、宮沢りえが初主演を務めた作品と言えば思い当たる方もいるのでは?
宮沢りえが戦車の傍らに立っているポスターを見かけた人もいるんじゃないかな?

基本的には、主人公たちが卑怯な大人に悪戯を仕掛けていたら、メンバーの誰かが何かしらの事件に巻き込まれ(自ら首を突っ込むことも多々あるが)、
それを仲間で助け合って解決……のパターンが多い。
その悪戯一つとっても、
「一日一回(正論なので誰も咎められない、捻くれた)いいことをする」(天使ゲーム)とか「卒業式で『仰げば尊し』の替え歌『ハゲれば尊し』を合唱」(最終戦争)などのまだ可愛いものから、
&bold(){「一週間廃工場に立てこもる」}(七日間戦争、これでは他に&font(#ffffff){マジの誘拐事件の誘拐犯に同情して身代金狂言誘拐を実行、市長の密談を実況中継し罪を暴力教師に被せ学校から追い出す}という「善行」?を極秘に行っている)、
「島全体を使ってヤクザを攻撃&拉致」(南の島戦争)といったシャレで済まないものまでレパートリーは幅広い。

え? そんなことばかりして無事で済むのかって?


&font(#ff0000){何回かはメンバーがガチで死にかけた}


それでも誰も反省しない辺り、図太いというか反骨精神の塊というか……。

ちなみに、高校生編を時系列で追ってみると、どう計算しても高校生活が&bold(){5年間}になるのはご愛嬌。


子供たちを主役に据えた痛快小説である反面、最初に関わった事件が強姦殺人だったり、親しい人が何人も死んだりと、
社会風刺も多分に含んだメッセージ性の強い小説でもある。
正直今見ると若干左翼的な感じが鼻につくが、まあ年代的に仕方がないだろう。

七日間戦争のモデルが「学生運動」「全共闘」 って時点でその辺はまあお察しだが。
ていうか作中で全共闘って言われてるし&footnote(提案した相原の両親は「日大全共闘」だったのだが、七日間戦争では「カルチェ・ラタン」・「安田講堂」と「東大全共闘」用語も使われていた。)。

新たな中学生編のエピソードが追加されている角川つばさ文庫版でも、現代の読者が話に入り込めるようにするため、
[[ブラック企業]]問題や、モンスターペアレントに悩まされている教師など、現在の世相を反映している。

アニヲタ的なことを言えば、中高生からの圧倒的な支持や読みやすい文体、子供が主役の爽やかなストーリー等から、
当時発展途上だったライトノベル業界に少なくない影響を与えたことが挙げられるだろう。

放送していたアニメが『ルパン』だったり『999』だったり、特撮ヒーローが『電撃戦隊チェンジマン』だった発売当時、中学校を舞台に展開した本作品は、今の作家にも大きな影響を与えたはずだ。
要するに、Wiki篭り諸兄が大好きな、『[[ハルヒ>涼宮ハルヒの憂鬱]]』『[[フルメタ>フルメタル・パニック!]]』『[[ゼロ魔>ゼロの使い魔]]』『[[とあ魔>とある魔術の禁書目録]]』『[[とらドラ>とらドラ!]]』『[[バカテス>バカとテストと召喚獣]]』etcetc……。
おおよそライトノベルと呼ばれるもの、その方向性を示した作品と言っても過言でない、偉大なパイオニアなのだ。


そしてもう一つ、このシリーズを語る上で欠かせないのが、
&font(#0000ff){謎に包まれた過去を持つ元軍人}や&font(#f09199){母性溢れる悪戯っ娘}、&font(#ffdc00){英語ペラペラ帰国老女}など、
多種多様なニーズに応えた老人方の存在だ。
間違ってもコイツと同じ種族ではないし、[[ロリババア>ロリババア(萌え属性)]]でもない。

「腐った大人に立ち向かう子供たち」の物語である以上、親も含めて大人が味方に成りにくいのだが、
この作中屈指の萌キャラである彼らは、何と&font(#ff0000){子供たちと一緒に悪戯を楽しんでいる}のだ。何てお茶目な老人だ。
しかも、彼らのうちの一人に至っては、&font(#f09199){ヌードシーン}まで用意されているというヒロインっぷり。
今日のオカズは&font(#800080){全身にお経を書き込んだ老女の裸体}に決定だ。

元々は第3巻「ぼくらのデスマッチ」にて、子どもたちが潰れかけの幼稚園の敷地を使い、
家で邪魔者扱いされる徘徊老人が平和に暮らせる&bold(){「老稚園」}を作ったことで、このヒロインズが生まれたのだ。
一応言っておくが、&bold(){当時としては}すごく斬新な発想だったのである。
逆に言うと、彼らも大人に虐げられた存在であることには違いないということ。

なおシリーズ外の作品として「皆殺しツアーにご招待」「殺人コンテスト」「救急ゴロゴロファイブ」「少年鏖団」などの作品があるが、
いずれの作品にも&bold(){「欲をかいた若者がババアに出し抜かれる」}シーンが描かれている。
実は作者が描きたかったのは子供たちではなく、このババア達だったのかもしれない。


つい最近、ポプラ社から新装カバーになって再出版された。扉絵の女の子たちは中々可愛いので、是非一度書店などで眺めていただきたい。



主な登場人物(なお、原作では全ての子供たちを主人公として扱っているが、分かりづらいのでここでは一人のみにする)

・菊地英治
この物語の主人公。中高とサッカー部に所属。
大抵の悪戯の発案者は彼であり、作中では天才とまで言われた。
柿沼とは同じ病院で同じ日に生まれた幼なじみだが、その設定が活かされた描写はあまりない。
橋口純子というカワイコちゃんと両思いという、我々からすれば血涙ものの[[リア充]]だったが、別の少女に目移りしてしまったダメな奴。
とは言っても[[漢]]であるのもたしかで、常に前線で行動して仲間のピンチには誰よりも早く辿り着こうとする。
一浪したあとは、中学社会科の教師になった。

・相原徹
英治の一番の親友で、両親は元[[日大>日本大学]]全共闘。
悪戯の発案が英治なら、それを洗練したのちに実行に移すのが彼。
クラス全体を巻き込む悪戯を実行に移す行動力と、誰一人として離反者を出さないカリスマ、仲間内で一番の戦闘能力など、どう見てもコイツが主人公。
でも扱い的には英治が主人公。
可愛い後輩に&font(#ff0000){お兄さんになってください}と言われたり、女子校の美少女といい雰囲気になったりして、最後にはその後輩と結婚した。相原もげろ
アメリカの大学に進学したのち、ジャーナリストとしてアジア特派員となった。

・中山ひとみ
メインヒロイン。ポプラ社版のイラストは黒髪美少女で、可愛い。
実写映画版の一つで、若き日の宮沢りえ女史が演じたことでも知られる。
料亭玉すだれという大きな店の一人娘。
ぶっちゃけ彼女こそ、純子から英治を寝取った張本人(英治が勝手に惚れただけだが)。
中学生編のラストで、ほぼ羞恥プレイな告白を英治にされたのだが明確に返事を返した描写もなく、高校生編では何故か大学生と付き合っていたりしたビッ(ry。
まあ、なんやかんやで最終的には入籍したが

・橋口純子
この作品の&font(#ff0000){真ヒロイン}。ポプラ(ryではショートのオレンジ髪で描かれていてかなり可愛い。
来々軒という中華料理屋の娘で、7人の兄弟姉妹の一番上。それゆえ面倒見がよくおおらかな性格。
英治のことを英ちゃんと呼ぶ、周囲公認のカップルのような関係だったが、英治の心変わりを敏感に察知してからはその呼び方は封印されてしまった。
日比野と付き合い結婚もしたが、立て主的には英治と結ばれてほしかった。

・堀場久美子
安永の嫁。ポプ(ryは黒髪ロングで、クールビューティな雰囲気だったり、かと思えば弾ける笑顔だったり……要するに可愛い。
堀場建設の社長令嬢だが、汚い手口で金儲けする父母に反発していて、グレてスケバンになっている。特技は股関蹴り。
安永とはかなり早くから甘々な仲で、普段男勝りな彼女も安永の前ではデレる。おい安永そこ代われ
父が贈賄してたり父が自首したり父が殺されかけたりとブラックな家庭だが、嫌いだった父が更正したあとは親子仲は良好。
つまり、父親限定の[[ツンデレ]]。おいオヤジそこ代わ……でも逮捕は……それでも代われ
高卒後はミラノに留学。デザイナーになった

・滝川ルミ
一つ年下の後輩で、彼らが生徒救済と金儲けを兼ねて作った組織、『アンポ・クラブ』に相談したことで知り合った。
ポ(ry、髪を左右で結んで小さくて……やっぱ可愛い。
ちなみに件の相談内容は、父親が大泥棒だから止めさせて、というもの。中学の先輩に相談するべきことでないのだけはたしか。
メンバーでは相原に一番懐き、何とラブレターまで出した。相原もげろ
以下全文(なお、句点がないところにはハートが入る)
&font(#ff0000){相原先輩が好きです 好き 好き 好き 好き 好き 好き}
&font(#ff0000){何度言っても、言い足りないくらい大好きです。}
&font(#ff0000){私にも、こんなお兄さんがいたらなんでも相談できてどんなにいいかしら。}
&font(#ff0000){無理なおねがいですけど、私のお兄さんになってください。}
&font(#ff0000){いやならしかたありません。あきらめます。}
&font(#ff0000){でも、そんなことには決してなりませんよね。}
&font(#ff0000){お返事ください。}
二十年近く前に妹萌えに辿り着いた宗田さんマジ偉大。そして相原もげろ。
後半から[[空気>三沢大地]]と化したが、想いはちゃんと報われた。
通訳になっている。

・安永宏
メンバー一の苦労人。
父は酒飲みのギャンブル好きなマダオで、さらには事故で働けなくなるという役立たず。そんな父の代わりに年齢を偽ってバイトしたり、中卒で就職したり。
だが久美子という嫁がいるので、間違うことない勝ち組。

・柿沼直樹
初っ端から誘拐された、キザでプレイボーイな英治の幼なじみ。
産婦人科医院の息子で、自身も医者になることを諦め半分で受け入れている。
とある先輩の堕胎手術を頼む際、親には知られたくないという先輩の願いを叶えるために、&font(#ff0000){自分が孕ました}と言ってのけた漢(しかも当時中1)。
ちなみに、言った後で母さんに二度もぶたれた。

・日比野朗
愛すべき[[デブ]]。食事好きが高じてイタリアンレストランで働く様になり、そこから作者の別シリーズ『2年A組探偵局』にも出張し主役コンビと交友関係を持つように。
料理修行中のフィレンツェで美少女ルチアに一目惚れしてしまい、それがきっかけでヤバイ目に遭う巻き込まれ系のデブ。
ルチアとは結ばれなかったが、後に純子に告って成功。さらに、フィレンツェの店にルチアがお忍びで来る、本妻と現地妻を抱えるリア充デブ。
彼の作るボンゴレビヤンコは絶品だが、何故かみんなボンゴレしか頼んでくれないので不満を持っている。

・瀬川卓蔵
菊池たちが立てこもった工場に住んでいたホームレスの老人。
元・大日本帝国軍の軍人で、戦争の折に指を4本失いつつも生き残った生命力の持ち虫。
菊池たちに戦い方を指南したり、老人ならばの知恵を授けたりして菊池たちから慕われていた。シリーズ途中で死去する。
その際には本名が「瀬沼」である事、20年ほど前に生き別れた実子がいた事が明らかになった。
矢場からは亡き父親を重ねられていた。同時に自身も矢場を息子のように思っており、遺書を彼に託していた。


・矢場勇
TV局のレポーター。当初は芸能レポーターで、『ヤバイサム』という異名で芸能人を恐れさせていた経歴を持つ。
それは菊池や相原たちも知っていて、『七日間戦争』では菊池たちにしてやられる大人の一人であった。
しかし『ぼくらの大冒険』あたりで行動を共にしたことで、自分達のやりたいことをやれる菊池たちが眩しく見えたらしく、
無くしていた童心を取り戻した。これ以後は単なる芸能レポーターから脱却に成功し、政治的話題にも果敢に挑んでいった
作中、老人以外の大人でほぼ唯一、立場を敵から菊池たちの理解者に転じ、中学、高校、大学と年月と共に成長していく彼らを見守っている。
物語開始時には既婚者であったが、彼が妻を顧みないで仕事に没頭したために離婚に至った。
だが、菊池達と出会ってから数年後に若く美人な後妻をゲットし、円満な結婚生活を手に入れた。
瀬川を亡き父親に重ねていたようで、彼の遺書を受け取っていた。


全員は書けなかったが、興味が出た方は是非読んでほしい。



つらい追記もありました
楽しい修正もありました
あっという間に一年過ぎて
すてきな項目になりました

#include(テンプレ2)
#right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,12)
}
#include(テンプレ3)

#openclose(show=▷ コメント欄){
#areaedit()
- これ中学生の頃、読み漁った記憶が。「七日間戦争」は、未だに忘れられないし、何よりコイツらの起こす騒動を見てるだけで楽しかった。けど、少し思い返すと何気に左翼がかってた……?  -- 名無しさん  (2014-04-24 02:38:24)
- 作者がどうかはわからないが…当時は左翼ぶったことを書くのが当たり前でしたから。というか右左の問題以前に、日本叩きのネタ見つけてくるのがカッコイイっていう時代でした。今なら違う書き方になってるかもね。  -- 名無しさん  (2014-04-24 12:15:39)
- 角川の女の子のイラストも悪くない  -- 名無しさん  (2014-04-30 14:14:12)
- ↑3 そもそも「七日間戦争」のモデルが全共闘って時点で…。  -- 名無しさん  (2014-04-30 14:20:19)
- 中学・高校生時代に読んだから素直に楽しめたんだろうな。今読み返すと思想が…とか色々考えてしまう。それでも自分にとって大切な思い出のシリーズ  -- 名無しさん  (2014-06-17 21:02:51)
- 今読むとほんと左翼的だよな。反抗期の中高生時代との親和性が高い  -- 名無しさん  (2014-11-02 22:08:20)
- 映画版だとその辺の左翼臭さがだいぶ薄まってはいた。まあ今は読み返せんな  -- 名無しさん  (2014-11-02 22:28:39)
- 奇しくもアサヒルやらウジテレビやら嫌韓やらの流れになってきた近年の世相と再びマッチして来てる……のかな    まぁ元々時代を問わずちょっと「ヒネた」年頃の中高生はハマるもんだとは思うが  -- 名無しさん  (2015-01-24 22:00:23)
- 今読むとどうしても左翼思想とネタの古さが気になるな。それでも爽快で面白いことは変わりないんだが  -- 名無しさん  (2015-02-06 12:52:59)
- イタズラの発案者って英治だっけ?だいたい相原が提案して英治がそれに乗っかるって形だったと思うんだが  -- 名無しさん  (2015-04-16 18:27:09)
- 何か似たタイトル小説があったなぁ  -- 名無しさん  (2015-04-16 18:37:45)
- ↑「新・ぼくらの円卓の騎士」とか「ぼくらの○○教師」は後続シリーズだが 関係ない奴だと「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」とかかな?  -- 名無しさん  (2015-04-16 18:57:47)
- 相田理さんは御年米寿。若々しい文体でも還暦前後の時代に執筆なさったのでしょう。  -- 名無しさん  (2015-04-16 19:34:59)
- まだまだ紹介したいメンバーもいるが、人数多すぎるから仕方ないんだよなぁ・・・・・中尾とか宇野とか天野とか沙織とか、みんないいキャラしてたよ  -- 名無しさん  (2015-11-20 23:29:50)
- こうして記事を読むと懐かしい友人に再会した気分になるよ  -- 名無しさん  (2015-11-20 23:51:01)
- 内容読み返したら確かに左翼っぽいんだけど、あの時感じた爽快感とかが胸の中でずっとのこってるっていうか……読みかえそうかな  -- 名無しさん  (2015-12-12 21:43:12)
- ホント初期の初期、7日間戦争にしか出てないちょいキャラが後から出たのはなんとなく嬉しかった  -- 名無しさん  (2016-05-01 23:24:06)
- たしか、中学時代に救った女の子が高校時代に事故で亡くなるんだよな……。デスマッチで教師も死んじゃうし、何気に死生観がドライだったのがい印象深い。  -- 名無しさん  (2016-05-01 23:39:15)
#comment
#areaedit(end)
}

復元してよろしいですか?