SCP-2872

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SCP-2872」を以下のとおり復元します。
&font(#6495ED){登録日}:2016/11/24 (木) 02:37:00
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 7 分で読めます

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#center(){&bold(){無茶しやがって……。}}


SCP-2872とは、怪異創作コミュニティサイト「[[SCP Foundation]]」に登場する[[オブジェクト>オブジェクト(SCP Foundation)]] (SCiP) の一つである。 

項目名は『ある駿馬(A Fast Horse)』。[[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(SCP Foundation)]]は「Keter」に指定されている。

こいつは名前通り馬のSCiPで、生物系のKeterと聞くと真っ先にあの[[クソトカゲ>SCP-682]]が思い浮かぶだろうが、こいつは奴みたくダイレクトに人類や財団へ害意をぶつけるタイプではないのでそこはご安心を。

で、収容プロトコル。

>&font(b,i){現在SCP-2872は未収容状態です。天文部門および衛星が進路を監視し、最終的な軌道を算出しています。}

&bold(){何で馬を天文部門が監視せにゃならんのかが気になるだろうが。}

*概要
SCP-2872は、起源も血統も不明なサラブレッド種の種牡馬で、パッと見は普通の競走馬と区別がつかない。
アメリカ競馬の最高峰ケンタッキーダービーで、2:01((2:01:00より早く走った馬は近年だと2001年のモナーコス。2:01台に絞るとここ10年で4頭しかいない))という優勝馬たちの平均記録と大体同じ記録を残してはいるが、それはあくまで常識の範囲内。

確認されていた唯一の異常性は「目に見えて加齢しない」だけで、少なくとも財団が発見した1960年代のある年から約50年、衰えを見せぬまま活動しているらしい。&font(l){ぶっちゃけそれくらいならSCP界隈じゃ普通の範疇だが。}

そして、SCP-2872がケンタッキーダービーで優勝し、そこから5年が経過した場合、本格的にその異常性を発揮する。

普段は温厚で従順なSCP-2872は急に落ち着きを失い、大きく円を描きながら走り出す((ちなみに、旋回癖を持つサイレンススズカは馬房内でひたすら左回りにぐるぐるしていたりした。…もしかしてサイレンススズカはSCPだった可能性が?))。
この時ばかりは世話係にも餌にも水にも応じることなく、最長2日の間にSCP-2872は凄まじい速度まで加速を続け、ついには&bold(){進路上の柵や壁を体当たりでぶっ壊せる}速度にまで達する。&font(l){だんだん雲行きが怪しくなってきた。}

&bold(){その速度たるや秒速320m。}

進路上に人や車や建物があろうと関係なく、&bold(){ほぼ音速を保ち続けたまま数百kmに及ぶ距離を楕円を描くように爆走し続けるようになるのだ。}
しかもこの状態になるとSCP-2872自身の疲労や損傷による停止も望めない。


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こんなのどうすりゃいいんだよ…………と思うが、実はこの状態のSCP-2872でも制止できるワードが存在するのだ。

その呼びかけは、「&font(i){&ruby(どうどう、坊や!){Whoa, boy!}}」

この言葉を聞くと、SCP-2872はその時点から50mほど走ったところでようやく停止する。&s(){なんでやねん。}

ただし相手はマッハ1で駆け抜けているため、進行ルートを確認しつつタイミングを計算し、かつ&bold(){ドップラー効果を考慮した調整をした上で}呼びかけなければならないと、地味にめんどくさいのだが。


*初期収容に至るまで

SCP-2872は1960年代に財団の目に留まった年のケンタッキーダービーでは2着だった。
どうやらその5年前に優勝してからずっと1着になれなかったらしく、レース終了直後に上記の異常性が発現したらしい。

異常存在のスペシャリストたる財団とはいえ、収容にかなりてこずったようで、この時は&bold(){州間高速道路が3マイルに渡って破壊される等、3000万ドルにも及ぶ被害}出す。

「トップスピードに乗るまで2日間は猶予がある筈じゃ…」と思うかもしれないが、2日というのはあくまでも&bold(){最長}。
この時はたまたま調子が良かったのか何なのか、とにかくレース終了から間もなく暴走モードに移行してしまったのだ。

複数回試行した収容手順は全て失敗。最終的に飼い主らしき50代のアフリカ系アメリカ人男性が&font(i){「どうどう、坊や!」}したことによってようやく事態が収まったという。

&bold(){そう、競走馬である以上、SCP-2872には飼い主が存在していたのだ。}


財団職員は直ちにこの男性と接触、SCP-2872の引き渡しに合意を得られたのみならず、例の呼びかけや「5年ルール」についても教えてもらうことができた。
さらに詳しい話を訊こうとしたところ、飼い主は&bold(){相当な速度で走り去り、}その行方を捕捉できないまま現在に至っている。&s(){何モンだよこのオッサン。}

少なくとも5年に1回、ケンタッキーダービー((3歳馬にしか出走できない特別なレースだから経歴や血統情報のロンダリングが大変そうである…))で1着を取れば異常性は発揮されないので、無事に財団の厩舎で&font(l){お世話}収容される運びとなったSCP-2872を如何にレースで勝たせるかに焦点を合わせた収容手順が設定されている。

常駐スタッフによる適切な管理、医療職員による的確な定期診断、更には優秀な騎手を用意して、ケンタッキーダービー優勝へ向けて日々訓練。&font(l){まさに至れり尽くせり。}

この手順が確立されて以降SCP-2872はレースに勝ち続けており、5年ルールによる異常性の発現を見事に防いできている。

最終手段として&font(i){「どうどう、坊や!」}もあるとはいえ、予期せぬ脱走等に備えてかひとまずEuclidとしてオブジェクト登録がなされ、SCP-2872の収容は完了した。





はずだった。



*Keterに指定されるまで
2000年代初頭、とある博士によって次のような提言がなされた。

>現在の収容プロトコルは、異常性発現の実際的な阻止ではなく、SCP-2872を宥和するためのものでしかないように感じられます ― SCP:ホテルに非ず参照。
>このため、SCP-2872を財団の施設へと再配置し、収容プロトコルは異常性の中和へと書き換えられます。- J█████博士、200█年


「SCP:ホテルに非ず」の詳細は不明だが、とにかくこの提言でSCP-2872の収容手順は大幅に変更されてサイト-12の地下50mにある収容室へ移される。

SCP-2872が走行するのに不十分なこの収容面積は、&bold(){暴走モードに入る前段階に当たる2日以内の助走期間に満足に走れなくさせる}狙いがあった。

レースに備えて最高級の養成環境を整える初期手順に結構コストがかかりそうなのは事実で、損傷に対する耐性と音速持久走はトップスピードまで加速完了した段階から発現する。
少なくともあらゆる障害物を破壊するような状態にはならないと思われるが…




そして&s(){案の定}事件は起きた。


>SCP-2872がケンタッキーダービーに勝利した5年後の201█年、SCP-2872は収容室内を走行・歩行できないことに動揺の兆しを見せ始めました。鎮静剤の投与や、以前のフェイルセーフであった「どうどう、坊や!」には効果がありませんでした。
>苦痛を見せ始めてから5時間後、SCP-2872は収容室から地上のサイト-12に向けて荒々しく突発し、███名の負傷者と██名の死者を出しました。収容違反後、SCP-2872は脱出速度に達し、こうま座方面への軌道に乗りました。


結果、SCP-2872は財団の収容を離れ、&bold(){まさかの宇宙へと進出したのだった。}
収容手順を変更した博士の処分については不明。
現在は太陽系から10光年離れたところで、推進力を失ったまま旋回し続けているという分析がなされている。




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特異性を封じようとしたら&bold(){まさかのイレギュラーが発現したパターン}で、いわゆる「収容できていないからKeter」というタイプのSCiPなのだ。

結果的には藪蛇となったわけだが、最後の事案からSCP-2872は「&bold(){望むように走行できないこと}」も嫌う可能性も浮かび上がるので、万一レースに5年以上負け続けた場合は&font(i){「どうどう、坊や!」}に従っていたかどうかは怪しい。
レースを買収して八百長を図る手もあるが、アメリカ競馬の最高峰を買収するのにかかるコストとどちらが安上がりなのか、そもそも本気ではない試合にSCP-2872が満足するのか等の懸念が残る。

いずれにせよ、今の我々にできることは太陽系の遥か彼方で走り続ける一頭の名馬に思いを馳せることぐらいであろう。


&font(l){それにしても飼い主のオッサンは一体何者だったのだろうか。}


追記・修正はドップラー効果を考慮しながら調整をお願いします。

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#right(){SCP-2872 - A Fast Horse
by  Freudian
http://www.scp-wiki.net/scp-2872
http://ja.scp-wiki.net/scp-2872
この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。
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- 収容手順変更した博士、馬鹿すぎるだろ。何で確立されてる収容手順をわざわざ変更したかね。  -- 名無しさん  (2016-11-24 07:30:25)
- とはいえ改善される可能性もあったわけだしなー…。結果としては財団の信念から外れるからアウトとはいえ安全にはなったわけだし。SCP-1337の博士よりはマシ。  -- 名無しさん  (2016-11-24 08:14:49)
- 失敗例が目立つだけで、収容方法を改善して上手くいくことも多い  -- 名無しさん  (2016-11-24 09:00:42)
- SCP-1293 - Squeedle Deedle Dee! (にこぬこぶん!)なんて最初の収容方法のがほっとくとヤバイ現象が起きかねなかったし  -- 名無しさん  (2016-11-24 09:06:42)
- 余計な真似だからほっとけって、訳には行かないのがscp、何とかしようとして悪化するのがscpほっておいても悪化するのがscp、どうしろと  -- 名無しさん  (2016-11-24 09:08:39)
- というか地味に飼い主のオッサンは何者だったんだろ  -- 名無しさん  (2016-11-24 09:10:48)
- 博士はまぁD降格かDだろうな  -- 名無しさん  (2016-11-24 11:42:38)
- こいつ勝たせるんじゃなくて他の馬に細工したほうが安上がりな気がするんだが  -- 名無しさん  (2016-11-24 12:19:16)
- セクレタリアトと走ってたかもしれないと思うと何とも胸熱、しかし自己修復中の戦艦やら心臓をワープさせるロックシンガーやら悪意の塊の星やらあの世界の宇宙ロクでもねぇな  -- 名無しさん  (2016-11-24 17:56:21)
- 星座物語の逸話っぽいノリだな。・・・つまり飼い主はギリシャ神話系列の神代だったのかもしれない。  -- 名無しさん  (2016-11-24 20:46:06)
- ・・・えっと、要するに走れなくしたら宇宙にフライアウェイした埋まって認識でOK?(困惑  -- 名無しさん  (2016-11-24 21:53:50)
- 飼い主ともども別の世界(全てが超高速で年をとるのが遅いような世界)から来た異世界生物じゃないかなと妄想したことがあるがどうなんだろ。飼い主も馬への対処法を知ってた挙句自分も超高速らしいから馬との関連性は否めないしねぇ…  -- 名無しさん  (2016-11-24 22:15:23)
- むしろ飼い主のほうが本命で飼育した普通の馬が異常特性を付加されるようになるとか  -- 名無しさん  (2016-11-24 23:43:01)
- その考えでいくと、第二第三の馬が出てきてもおかしくないよなあ。  -- 名無しさん  (2016-11-25 10:12:14)
- 宇宙に飛び出したら、真空で体がパーンしちゃうんじゃ……?それにすら耐えられるのかこの馬は?  -- 名無しさん  (2016-11-25 11:19:44)
- もしかして:スピードフォース  -- 名無しさん  (2016-11-25 23:18:54)
- 星になったお馬様…  -- 名無しさん  (2016-11-25 23:39:15)
- 飼い主のおじさんは3人のおじさんの内の一人だったのかもしれない…  -- 名無しさん  (2016-12-10 08:56:09)
- 馬「僕は馬リー・アレン!世界最速の駿馬さ!!」  -- 名無しさん  (2017-01-03 10:09:54)
- 想像したらシュール過ぎてワロタ  -- 名無しさん  (2017-03-11 22:36:40)
- scp世界の馬はなんかシュールな能力を持つ宿命でも背負ってるのかよwww  -- 名無しさん  (2017-05-14 18:32:35)
- 天に昇って星座や星になるオチの神話や民話もこんな感じかな、不謹慎だけどロマンティックだ  -- 名無しさん  (2017-05-15 13:39:35)
- オルフェーヴル+タケシバオーかな?今度スタホで名付けようかな・・・。  -- 名無しさん  (2017-05-16 10:12:02)
- 馬も一応は乗り物、財団で乗り物と言えばあの博士、そして本件でやらかした博士のイニシャルはJ、もしや!……と思ったけど、ジェラルドの綴りはGeraldだった。  -- 名無しさん  (2017-05-16 11:29:00)
- 現在「推進力を失っている」「旋回している」…もしかして、このままの速度で地球に戻ってくる…?  -- 名無しさん  (2017-09-30 08:14:31)
- いや、推進力を失った以上、宇宙では重力以外の外力は働かないから、旋回しているということはどっかの星の周りを公転していると思われ。  -- 名無しさん  (2017-12-30 16:35:47)
- 飼い主のオッサンもSCPでしょ  -- 名無しさん  (2018-02-06 17:16:16)
- J█████博士「これでウマく行くと思ってたのに」  -- 名無しさん  (2018-03-20 10:08:23)
- 発見時の流れ、特性、収容不可になるまでの流れの全てにおいて、映像で思い浮かべると草しか生えない。一番笑ったketerかもしれない  -- 名無しさん  (2018-07-15 22:27:46)
- これ飼い主のおっさんがSCPで異常な馬作ったんでしょw  -- 名無しさん  (2019-02-16 06:10:01)
- いや、SCPに付属する何かだったんじゃないか?いずれにせよもう手に届かないところに行っちゃったからどうしようもないわなwwww  -- 名無しさん  (2019-05-31 10:08:30)
- 博士は別に不正なことをしたわけでもないしこれで処分はないだろ。SCPの取り扱いの問題があるたびに博士を処分していったら財団は無人になってしまう。  -- 名無しさん  (2019-05-31 11:08:30)
- 不正はしてないけど3ケタの負傷者と2ケタの死者とサイトの破壊を招いているわけだし「走れなくなった場合どうなるのか」のケースを想定しなかった迂闊さの責任は取らされるから博士からCクラス研究員に降格して左遷に近い配置換えだろうな、余計なことする余地が無いSCPの担当に  -- 名無しさん  (2019-06-09 02:06:26)
- 「ホテルに非ず」の詳細次第でだいぶ酌量の余地はある しかし財団の収容前からケンタッキーダービー出まくってたこと(そして四年連続勝ててないことも)考えるとこの手順でもそのうち破綻してた説は結構あるわ  -- 名無しさん  (2019-06-20 01:25:08)
- 「それで、貴方は人型SCPオブジェクトを書きますか」という記事の中に「財団はホテルサービスではない」という一節がある。「ホテルに非ず」は多分これ、もしくはこれに共通する思想と推測される。SCP-2872は人型ならぬ馬型だけど、いずれにせよ「財団の目的は確保・収容・保護であって、超人や超生物をお世話することではない」とJ博士は言いたかったんだろうな。  -- 名無しさん  (2019-06-26 18:15:52)
- ご機嫌取りして「ここにいたい」と思わせるのは簡単だけど危うい方法だしなあ。  -- 名無しさん  (2019-08-18 18:52:56)
- これで処分は無いでしょ 財団で収容プロトコル考案出来る奴誰一人居なくなるぞ  -- 名無しさん  (2019-09-25 03:45:54)
- こうま座方面への軌道に乗ったって部分地味に好き  -- 名無しさん  (2020-05-10 07:26:03)
- こうして財団畜産部門は米競馬界進出へのノウハウを得たのだった  -- 名無しさん  (2020-05-10 08:42:46)
- 飼い主のおっさんはSCP-2872-Aとでも認定すべきじゃないか?  -- 名無しさん  (2022-10-27 19:51:03)
- こんなにケンタッキーダービーに執着してたのにもう二度と出られないんだなと思うと哀れみを感じる  -- 名無しさん  (2022-10-27 20:03:41)
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