SCP-014-JP-EX

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SCP-014-JP-EX」を以下のとおり復元します。
&font(#6495ED){登録日}: 2016/12/18 Sun 15:35:59
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 8 分で読めます

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#center(){&font(b,i,red){最初にSCP-014-JP-EXの実施を教唆した人物(SCP-014-JP-EX-α)については、&br()日本において年間100件程度発生しているP-D/U-漂流イベントの存在を把握していた可能性が否定できないことから、&br()財団でも公安部特事課の捜査情報についてその蓄積と整理を実施しています。}}



SCP-014-JP-EXはシェアード・ワールド[[SCP Foundation]]に登場する[[オブジェクト>オブジェクト(SCP Foundation)]](SCiP)。
[[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(SCP Foundation)]]は&font(b){Explained}。
項目名は「君のその顔が見たくて」。

Explained SCPということで、普通のSCP記事とは少々毛色が異なる記事となっている。


*概要
SCP-014-JP-EXは当初、日本国内で発生している『P-D/U-漂着イベント(Para-Dimension/Universe,異次元/異世界漂着イベント)』における「漂着者」、
つまり異世界からこの世界に流れ着いた人物だと思われていた((財団が把握しているケースだけで、日本だけでも年に100名程度の「漂着者」が確認されています))。
発端は、10代と見られるコーカソイド系の女児が「身元不明のコスプレイヤー」として発見されたことである。
彼女の話す言葉が意味不明なので当初は統合失調症などの精神疾患を疑われたが、着用していた『全体に金刺繍が施された近世ロココ調のドレス、及び銀製の儀杖』の造りが非常に精巧であったことから、財団は漂着者の可能性があると判断した。

彼女はエスペラント語の文法をベースとした十数の言語を組み合わせた言語を話しており、
意思疎通は非常に困難であった(本来の言語に置ける意味と全く違う意味を持つ言葉も存在したため)。
だが日がな異常存在と格闘する財団にとって、困難とは言え不可能ではなく、解析して言語を自動翻訳する機械を開発しているに至る。
そして、彼女の話す言葉には虚言の兆候はなく「彼女自身はそれを事実として話している」ことが判明した。
その内容は大体が、「自分はどこかの王国の王女で魔法が使える」というもの。その王国は広いと家臣に教えられてきたようだが、
「明らかにこの世界のほうが広い」ことに衝撃を受けて狼狽していることを示した。

財団はこの女児を含め似たような事例がないか、警視庁公安部特事課((準要注意団体の一つです。アメリカにおけるUIU、FBI異常事件課に近いですが、(この件への対応を見ればわかるように)所属する警察官は総じてオブジェクトとなりえる器物への理解が一定以上あり、また財団ともちゃんと協力関係にあると言ってよいと思われます。))と共同で捜査をしていた。

…さて。

ここまでなら異次元から来た王女様でもいいのだが、Explainedに分類されたということはつまり「異常性を前提とせずとも彼女の状態を説明できた」ということである。
実は彼女の言語や衣服は異常ではあったものの、&bold(){財団が追い求める傾向の異常性は全く無い。}
魔法を実際に試させても使えなかったし、そもそも火をおこす呪文が&italic(){「Mein Leben war sinnlos」}であった。
ドイツ語で&font(#ff0000){「私の人生は無意味だった」}という意味だが、彼女はあくまで火をおこす呪文として認識しており((他にもドイツ語で「私は犬だ」「私はただの人間だ」といった意味の文章を呪文として使用していました))、
ドイツ語でそういう意味を持っていることなんて知らなかった。そして上手く行っていないことに本人が一番動揺していた。

その後動揺していた彼女に改めてインタビューをすると、彼女は自分が見た『夢』とやらについて話しだした。

14歳の誕生日、両親と家臣たちは誕生日を祝い、そして「王国をあげて今日のためにサプライズを用意した」と言う。
彼女が意気揚々と外に出た瞬間、&bold(){城はハリボテのセットの如くパタンと倒れ、}誰かが「&font(b){ドッキリ大成功}」というプラカードを掲げて出てくる。
そして、その場にいた自分以外の全員が、&bold(){下らない悪戯にかかった馬鹿を見るような目で自分を指さしてゲラゲラと笑い出だした}のだと。

…本当に夢なのかな?&bold(){本人が夢だと信じたいんじゃないのか}、と財団は考え、そこで彼女が住んでいた『王国』の特徴を聞き出した。




&bold(){―――尚、この時のインタビューでは彼女のそれまでの強気で王族らしい威厳に満ちた口調は、}

&bold(){明らかに弱弱しく、不安げに怯える小さな女の子の言葉となっており、最後には泣き出してしまった。}









そして調査の結果、&font(b,red){その特徴に当てはまる廃遊園が日本国内に存在していた。}




*真実
読者は&bold(){『[[トゥルーマン・ショー]]』}という映画をご存知だろうか。
今となってはもはや有名になりすぎてネタバレを気にする必要が薄いほど偉大な名フィルムであるが
「自分の生きている世界が『セット』であることに気がついてそこから脱出しようとする主人公」という話である。

簡単に言うなら、彼女も「トゥルーマン」だったのだ。
&font(b){自分の境遇を理解するにはまだあまりにも若すぎただけで。}

しかも外の世界にいても、不思議な言語でしか喋ったことがない。本人にとってはその言葉しか知らないせいで、意思疎通すらできない。
警察が保護して財団に引き渡されたことは彼女にとってある意味幸運だったのだろう。

さて、廃遊園の話をしよう。そこには確かに、城のセットがあった。
そして確認した限り、特撮番組で使用するような火を吹く装置などがあった。
彼女はトゥルーマン同様、やはり虚構のセットの中で暮らしていたわけである。
そのセットには&bold(){一切の異常性もへったくれもなかった。}

その廃遊園の元の持ち主を特定した財団は、その持ち主を拘束し、彼に話を聞くことにした。

>SCP-014-JP-EX-A: 一体何の権限があって私をこんなところに閉じ込めているんだね。君たちは警察か?なら早く弁護士を呼んでくれ。
>
>██尋問官: (SCP-014-JP-EX-1の写真を見せる)この子のことを知っていますね。
>
>SCP-014-JP-EX-A: ふん、いや全く知らないね、何だこの子は、馬鹿なんじゃないかこんな格好して。
>
>██尋問官: &bold(){(SCP-014-JP-EX-Aに[編集済]しながら)}この子のことを知っていますね。
>
>SCP-014-JP-EX-A: おい!お前何やってんだ!痛い!止めろ!法廷で告発するぞ!私には政府とのパイプも
>
>██尋問官: &font(#ff0000){(SCP-014-JP-EX-Aの[編集済]を[編集済]した)}もう一度だけ聞きます、この子のことを知っていますね。
>
>SCP-014-JP-EX-A: &bold(){ひぃ!}話す、話すから止めてくれ!知ってる、知ってるよ!私が育てたんだ!
>
>██尋問官: どうしてあんなことをしたんですか。答えて下さい、答えないとどうなるかお分かりですね。

…財団に政府とのパイプとかちらつかせたところでしょうがないのだがまあ財団は秘密組織だし知らなくても仕方ない。
そして例によって[編集済]については深く考えてはいけない。&s(){[[普通にしゃべってるので「首を絞めた挙句、骨をへし折った」>草加雅人]]ではないだろうが…}

この男はどうやら資産家だったらしく、彼がセットを用意して、仲間内とある遊びに興じていたのだ。
それが身元不明の子供達をどこからか調達してきて彼らに日本語ではない言語を身につけさせ、
彼らを王子様お姫様として育てる。そしてそれが普通だと思っていた彼らに、ある日唐突に現実を教えて絶望させる。
&font(#ff0000){&bold(){その「純粋な子供の絶望する顔」が何よりも面白かったとのことである。}}

…とゲスいこと極まりないがこのインタビューで「&font(b){他にもやってる奴がいる}」ことがわかる。
この男が彼女を「解放」…もとい「放流」したのも、でたらめな言葉で意思疎通を測れない彼女が
町中で「魔法」を使う姿を想像するだけで面白そうだったから、とのこと。
しかも悪びれもせず、「どうせ児童虐待にしかならないだろう、さっさと警察に引き渡せ」と宣う。
なんだこの男。

…さて財団も警察もこの男と事件を立件するか&bold(){処分するか}を考えたが、『当該事象を公にした場合、P-D/U-漂着イベントへの対処に支障が生じる』
つまり「こういう事例があると世間が知ってしまうと、本当に異世界からの漂着者が来た場合に対処しづらくなる」という理由、
さらに「これテレビで流したら関係者が子供を殺して証拠隠滅を図る可能性あるよね?」という
効率面でも倫理面でも非常に面倒になる理由から秘密裏に処分することが決まった。

その後も警察を通して子供達を保護し養育者を確保しているが、保護した子供たちには「現実復帰プロトコル」というプロトコルに基づいて
社会復帰ができるように促している。最初の子供は財団にフィールドエージェントとして雇用され、
二人は里親に引き取られ、残る一人は警察病院で療養している。

//なおあくまで確定しているのがこの4人というだけで、どうも疑いのある事象が年間百件起きてるとか。
//なんなのこの救いようのない話は…。

また、前述のSCP-014-JP-EX-Aは「本当に異世界からの漂着者が存在する」という事実は知らなかったのだが、
本記事冒頭に書かれている通り、この悪趣味な「遊び」を最初に考案しSCP-014-JP-EX-Aを初めとした多くの養育者たちに
実行を薦めた人物が存在しているのだが、この人物は異世界の漂着者の事実を知っていた可能性があるとして財団は調査を継続している。

つまり、一見ただの下種な金持ちの非道徳な娯楽でしかないこの事件は、上述の「P-D/U-漂着イベントが発生した際の調査に支障が出る」のをわざと狙い、
&bold(){本物の異世界漂着者の捜査をかく乱させる目的で資産家達を利用した誰かが居たのでないか、}という可能性があるのである。

無論現時点では確証もなく推論の域を出ないが、推論でも可能性がゼロと言い切れない限りは財団としても調べないわけにはいかないのだろう。

&font(#0000ff,u){&font(#ffffff){というか、むしろこういった異常性に関わる“わかりやすい黒幕”がいてくれたほうが、}}
&font(#0000ff,u){&font(#ffffff){最初から最後まで何の異常もない人間の悪意だけで構成された事件とされるよりまだマシと思えるのは気のせいだろうか…?}}


*余談
番号は[[SCP-014-JP-J]]と一致するが、これは執筆者いわく「&u(){意図的に合わせたもの}」とのこと。
実際「ドイツ語」「14歳の少女」とかもアイスヴァインちゃんに似ているし、
「私は異世界の魔法を使える王女様だ」とインタビューしている時点だけ見れば彼女と同じくある意味微笑ましくも見えるかもしれない。
だがアイスヴァインちゃんと決定的に違うのが、これが本人の厨二病によって自分で楽しく考えた設定などではなく、
本人にとっては&bold(){周囲のあまりに身勝手な大人から本来あるべき未来を奪われたうえで与えられた「真実」}であり、
「虚構」であるとは微塵も思っていなかった、思う事すら許されなかったことに尽きる。
間違ってもアイスヴァインちゃんと同じように掘り返してイジるようなことはあってはならない。&font(l){まあ向こうも掘り返していいもんではないが}

ただ、一度はその「虚構」を知ってしまい絶望していた彼女が、『財団』という、常時死と隣り合わせな環境ではあるものの、
その虚構と知った「幻想」や「神秘」、「人知を超えた力」が現実にある「真実」であることを再度知り、その中で生きていけるようになったのは、
ある意味では救いだったのかもしれない。

SCP-014-JP-EX-1はTaleで時々登場するが、その際に「雛倉」という姓が付くことが多い(報告書内では言及されないTaleオリジナル設定)。
一部Taleではエージェント・立花(やはりTaleオリジナルのアイスヴァインちゃんの苗字)の部下であったりする。
互いに相手について何を思うのだろうか…?

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#right(){CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-014-JP-EX - 君のその顔が見たくて
by hannyahara
ja.scp-wiki.net/scp-014-jp-ex

この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。
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