Silky Sullivan(競走馬)

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Silky Sullivan(競走馬)」を以下のとおり復元します。
&font(#6495ED){登録日}:2011/06/22(水) 00:18:58
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s)
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#center(){"And now comes here}
#center(){Silky Sullivan!! "}
 
 
 
 
 
『&font(#800080){史上最強の追い込み馬}』と呼ばれた競走馬がいる。
 
 
紹介しよう
《&font(#ff0000){赤い弾丸・シルキーサリヴァン}》




その特異なレーススタイルは――

いや、
その超絶に珍妙なレーススタイルは、見た者全ての心を奪ってしまう。



……なに?
ディープインパクト?
ダンシングブレーヴ?
まぁ、言いたいことは判るが、一先ずこの項目を見ていただきたい。
その後で、この馬のレースの様子が現在もYouTubeに残ってるから見に行くといい。
たぶん、お手上げするしかないだろうから。



さて、申し訳ないが、先に幾つかの競馬用語を簡単に説明させていただく。
 
「追い込み馬」……競走馬の中でも特に道中を最後方で走る馬をいう。
その逆転劇は古今東西の競馬ファンを魅了する。ただし、圧倒的な能力を持った馬でもなければ、安定して勝つのは難しい。

「馬身」……競馬において、ゴール時の着差や道中の間隔の開き具合を表現するのに用いられる。
1馬身=約2.4m。ちなみに、「10馬身」より大きい着差を「大差」と呼ぶのは日本だけ。

「ハロン」……頭文字はF。主に競馬で用いられる距離の単位。1F=220y=201.168m。ただし、(面倒だったのか)日本では200mとして用いられる。



ここで、簡単にプロフィールを紹介する。

Silky Sullivan
シルキーサリヴァン

通算成績:27戦12勝(2着1回、3着5回)

主な勝ち鞍:Santa anita Derby
      Golden Gate Futurity

1955年2月28日にアメリカのカリフォルニア州に生まれ、当地で育った米国産の競走馬である。

半世紀近く経った今でも、カリフォルニア州の人々に根強い人気を持つ。
(高知にとっての坂本龍馬みたいな感じ?)

二つ名は、その赤みを帯びた栗毛から《赤い弾丸》、など多数。
早い話、リアル赤兎馬。



1957年、本馬が2歳の時にデビュー戦を迎える。
途中まで馬群から20馬身もの差を離されていたが、そこから猛烈な追い込みを見せ、結果、見事に初戦を勝利で飾った。

さて、
残念ながら、この馬の出走したレースを一つずつ拾うことはできない。
通算成績を見て思ったかもしれないが、シルキーサリヴァンは、決して常勝するような馬ではなかったのだ。
では、何故、シルキーサリヴァンが『&font(#800080){史上最強の追い込み馬}』とされているのか……
その理由を説きたい。

先に書いたデビュー戦。
何ゆえ、一時20馬身もの差がついたのだろうか?
スタートを出遅れた?
騎手のミス?
……どれも違う。


レース後、シルキーサリヴァンに騎乗したジョニー・タニグチ騎手は、こう語った。

&font(#ff0000){「スタートしてゲートを出ても、馬はダラダラしていて全く走ろうとしない。最初は寝ぼけてるのかと疑ったよ。押しても引いてもダメで、3ハロン棒が過ぎた頃には前の馬とは20馬身ぐらいあったから、もうダメだと思ったんだ。そしたら突然、馬の尻にミツバチが刺さったように物凄い勢いで走り出したんだ。馬から落ちそうになったから、ビックリして思わず、『お前、どうしたんだ!?』と叫んだよ。……まさか、先頭の馬に届くなんて。あんな馬、初めてだよ。空を飛んでるようだった」}


…………判っただろうか?
筆者には理解できない。

このデビュー戦……ダートの1100mなのだ。

競走馬にとっての1100mは、人間にしてみれば200mもない短距離走である。
そんなレースで、残り約600mまでチンタラと走り、かと思うと全員抜かして優勝?
……笑えない冗談だ。

前を走るブービーまでが約50mだから、先頭を走る馬までは少なく見積もっても60m……

ん?
ちょっと待て……ということは、このシルキーサリヴァン……
&font(#ff0000){他の馬の110%の速さで走ったのか!?}



と、まぁ、デビュー戦でトンデモナイことをしでかしてしまったのだが……

…………冷静に聞いて欲しい。

&font(#ff0000){このシルキーサリヴァン、これがデフォルトである。}



なんと彼は、走った全てのレースにおいて、序盤を自分勝手にゆっくりと、後半は騎手を振り落とさんが勢いで走るという、そんなアリエナイ競走をしてみせたのだ。
こんな方法で12勝も獲得できたことには、もう唖然とするしかない。
数々の名馬に騎乗してきた名騎手ウィリー・シューメーカーは、シルキーサリヴァンに騎乗した後、次のように語った。
 
「彼に乗るときは、必ず二つのことに注意しないといけない。まず、どんなことがあっても最初の800mは馬の好きなようにさせること。間違っても、馬を追うようなマネはしてはいけない。たとえ、馬が歩いたとしてもね。それが出来たら後は簡単だ。馬から落ちないように必死にしがみついておくだけだから」
 
また、シルキーサリヴァンが全力を出す瞬間のことを、
「重心がググッと地面まで下がるように感じた」と述べている。



圧倒的後方から、砂煙を巻き上げて猛然と突進してくるシルキーサリヴァン。
誰かがその様子を、こう表現した。
まるで、『次のレースから追い込んでくる』と。
まさにシルキーサリヴァンは、別次元の走りをしていたのだ。



さて、ここに来て思うのは、
――普通に走ったらもっと凄いのではないか?
ということ。

解明されることは最早ないが、このレーススタイルを行った理由となりうる、二つの事実があったらしい。

まず、2歳馬の時に発症した風邪が原因で、本馬が呼吸器系に障害を患っていたこと。
シルキーサリヴァンは、自身の息が長く続かないことを知っていたのかもしれない。

第二に、生まれつき脚が曲がってたらしく、長時間全力で走るのが難しかったのでは、というもの。



もしも、この馬が常に全力を出せればと思うと……………いや、考えるのも恐ろしい。



はてさて、競走馬生活を終えたシルキーサリヴァンは種牡馬となったが、その成績は良くなかった。
しかし、最後の馬主(海外では馬主がコロコロ変わることも珍しくない)のシェル氏は、この馬を我が子のように愛し、種牡馬を引退した後も転売しようとせず(ここで食肉にされてしまう名馬も……)、幸せな余生が送れるように尽力した。
やがて、シルキーサリヴァンは22歳でその生涯を終える。



余談であるが、「シルキーサリヴァン」という単語が、「一か八か」「大逆転」という意味で、学会の論文で用いられているそうな。

願わくば、彼にとってその人生(いや、馬生か?)が満足のいくものでありましたように。



追記・修正は、例の映像を見てからお願いします(マジで)。

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- ('仄')パイパイ  -- 名無しさん  (2013-06-04 17:57:23)
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