K1(戦車)

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K1(戦車) - (2022/07/04 (月) 11:41:16) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2012/10/17 Wed 09:26:53
更新日:2024/02/21 Wed 13:08:11
所要時間:約 6 分で読めます




K1とは、大韓民国が開発した第2.5〜第3世代に分類される戦車で、韓国陸軍と海兵隊主力戦車である。
本項目では改良型のK1A1、K1E1も解説する。

K1

性能緒元*1

・乗員 4名
・全長 9.67 m(9.71 m)
・車体長 7.47m
・全幅 3.59m
・全高 2.25m
・重量 51.1t (53.2t)
・懸架方式 油気圧/トーションバー併用
・最高速度 65km/h(整地),40km/h(不整地)
・行動距離 437km
・渡渉水深 2.1m(渡渉装備を付けた場合)
・エンジン MTU MB871Ka-501ディーゼルエンジン
・最高出力 1200馬力

兵装

・KM68A1 51口径105mmライフル砲
・KM256 44口径120mm滑腔砲一門
・12.7mm重機関銃 1挺
・7.62mm機関銃 2挺

装甲

・複合装甲(車体前面及び砲塔前面)
・空間装甲(車体及び砲塔側)

【開発経緯】

韓国陸軍は、創設以来M41やM48パットンなどの米国製戦車を主力戦車として運用してきた。
しかし(名目上の)仮想敵国である北朝鮮陸軍は、115mm滑腔砲を装備するT-62を天馬号の名でライセンス生産するなど戦車部隊を強化、強力な125mm滑腔砲を装備するT-72の配備も時間の問題とされていた。
これら最新のソ連戦車に対し、既存戦車や改良型では太刀打ち不能と判断した政府は、独自開発を決意する。

ところまでは良かった

韓国陸軍には戦車を自力開発した経験もノウハウも皆無
そこでM1エイブラムスを開発した米国のクライスラー・ディフェンス社(現ジェネラル・ダイナミクス社)が設計開発を行う。


【特徴】

どうにかやっと開発された本機。
設計は手堅く保守的であり、悪く言えば古臭い設計であった。
コンセプトは側面装甲と火力を犠牲にし、軽量化と低視認性を図る『機動性の重視』という第二世代の設計思想に準ずるものであったため。
主砲は実用化されていた第三世代主力戦車向けの120mm滑腔砲は搭載せず、多くの第二世代主力戦車の主砲として搭載された英国・ロイヤルオードナンス社製L7105mmライフル砲を米国でライセンス生産した物を採用。

とはいえK1が105mmライフル砲を採用したのは、上記の他に車体の制約や装填手の負担。
平地が少なく長距離砲撃戦が起こりにくい朝鮮半島の地形的事情も含まれる。

120mm滑空砲は見送られたが、正面要部に複合装甲が、側面は中空装甲が採用され、防御面では日本の第二世代戦車74式戦車を上回る。
ただし複合装甲は解析不能の完全ブラックボックス化されたもの。


【K1A1】

2001年配備のK1に改良と言う名の改悪を施した戦車。
元々はアップグレードを図る目的が、性能向上=攻撃力アップと言うかつてのどこかの旧帝國陸海軍のような
何かトチ狂った方程式の元、実行。

◆主な改悪点

主砲を120mm滑腔砲へ換装

世界の主流や、在韓米軍のM1エイブラムスの規格に合わせる為であろう。
…が、諸悪の根元に。

複合装甲の強化

劣化ウランを使っているとかいないとか。

火器管制装置(FCS)や外部視察装置改良。

射撃精度と索敵能力向上。

……etc
確かに改良により走攻守全ての面で第3世代に肉薄する性能にはなった。

カタログスペック上は

改めて説明することでもないが、カタログスペックだけで性能が推し量れる訳がない。むしろ兵器にはそれ以上の能力が評価されることが多い。

第三世代の技術使用とはいえ、この改良により、バランスの良い第2世代戦車最強候補のK1が、第3世代戦車モドキの劣悪戦車に成り下がったのである。


【問題点】

だいたい120mm滑腔砲を搭載したことが全ての元凶である。逆に言えば全ては120mm滑腔砲に起因する。

  • 105mmライフル砲を前提に設計されたK1は他の第3世代戦車に比べ小型であり、無理やり大口径の滑腔砲を載せた結果、機動性が悪化。
  • オマケに砲弾搭載数が47発から32発に減少。
  • 砲塔内部の空間が著しく狭くなり居住性が悪化。
  • 整備がし辛くなった。
  • 装弾困難。

K1からK1A1に乗り換えた乗員は皆不満の声を挙げる。


【後継・・・のはずが】

K1を通じて得られた生産ノウハウと各種外国戦車技術を基にK2を開発。
だが絶賛炎上中で、エンジンの欠陥により2011年実戦配備予定が2013年に延期、
更なるトラブルを重ねた末に配備数が約250両で打ち切りとなり、K2戦車による更新は絶望的となった。
その惨状については該当項目を参照。

元より開発遅延が明らかになった段階でK1の近代化改修を進めていた韓国陸軍だが、K2に見切りをつけた後は
全てのK1シリーズに60年におよぶ実戦配備を見据えた更なる近代化改修を施すことを決定した。

【K1E1】

2014年より配備されたK1戦車に改良を施した戦車。
K1A1のような改悪ではない。未改修のK1をベースとした改良である。

K1戦車にC4Iシステムをはじめとする電子機器類と予備電源を追加装備し、照準システムも更新している。
主砲は旧式の105mm砲で装甲やエンジンも手つかずのままなので、現代の主力戦車と呼ぶには甚だ不完全ではあるものの
一応韓国の実情に即した改良と言える。やればできるんです

【K1A2】

こちらはK1A1にK1E1と同じ改良を施した後期生産型。2013年より配備。
K1E2相当の更なる改良も予定されている。
一応改良なのだろう。元の戦車の欠陥を置いておくなら。

【K1E2】

2024年配備予定のK1E1の更なる改良型。
装甲やパワーパック、空調、乗員保護システムも一新され、主砲以外はK2戦車に準じる3.5世代相当の戦車になるとされている。
戦車兵待望の冷房がやっと装備されるぞ!


【フィクションでの活躍】

Wargame:Red Dragon

自衛隊が登場することで有名な冷戦期を舞台としたRTSで、韓国軍戦車としてK1とK1A1が登場する。K1は中コストでK1A1はやや高コストとなっている。
K1はまさかの中コスト帯最強戦車。性能に対し異常なコスパを誇り、韓国軍=K1が強いとまで言われるレベルの強さを持つ。強すぎてナーフされてなお強戦車の一つに挙げられるほど。
キャンペーン1つ目の釜山包囲戦では装備的に格下の北朝鮮軍相手なのでK1無双になりやすく、特に印象に残りやすい。
一方でK1A1は史実の改悪のせいで他国同コスト帯戦車に一歩劣るといった性能。
日韓連合デッキのBLUE DRAGONSでは74式戦車が微妙な自衛隊を韓国軍のK1で、K1A1が微妙な韓国軍を自衛隊の90式戦車で補完できる関係にあるのは面白いところ。


【余談】

実はこのK1戦車。マレーシアへ輸出打診をしたことがあるが、残念ながら不採用となった。

2010年8月。訓練中に砲身が爆破で破裂する事故が発生。
主砲は理論上1000発の発射に耐えられるはずだが、事故を起こした戦車は360発しか射撃をしていなかった。
事故原因について軍関係者は「砲身をきれいに掃除しなかったため、異物が混入したことによるものと推定する」と説明。

2011年3月に実施された砲撃演習中、火災検知器センサーが作動。火災消火用のハロンガスが自動的に車内に放出。
国防部が調査したところ、2010年12月30日以降、装備する火災検知器を米国製から国産に変更されていた。
左側に旋回射撃すると火災検知器センサーが誤作動することが判明。全車改修。

2011年6月知識経済部(省に相当)傘下の韓国機械研究院は変速機に重大な欠陥があるとの結論を出し、これを防衛事業庁と監査院に通報。
国防部は「変速機に問題があることが明らかになれば、全てをリコールする」という条件で戦車を配備し続けてきたため、現在配備されている約450輌の全てが回収となる事態もあり得るとみられる。

2011年8月、自動消火器不具合で97台がリコール。





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