MoMa(MtG)

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MoMa(MtG) - (2018/12/13 (木) 09:27:16) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2010/06/05 (土) 19:38:20
更新日:2024/04/29 Mon 23:28:58
所要時間:約 7 分で読めます




当時のマジックは3つのステップに分かれていた……

序盤がコイントス。

中盤が手札チェック

終盤が――

先手第一ターンだ


MoMaはMagic the Gatheringのコンボ・コントロールデッキである。

マジックにおける黒歴史とも呼べる最悪のデッキで、キーカードのほとんどが禁止カードに指定された。


Tolarian Academy / トレイリアのアカデミー
伝説の土地
(T):あなたがコントロールするアーティファクト1つにつき、あなたのマナ・プールに(青)を加える。

Windfall / 意外な授かり物 (2)(青)
ソーサリー
各プレイヤーは自分の手札を捨てる。その後、これによりプレイヤーが捨てたカードの枚数のうち最も大きい枚数に等しいだけのカードを引く。

Mind Over Matter / 精神力 (2)(青)(青)(青)(青)
エンチャント
カードを1枚捨てる:アーティファクト1つかクリーチャー1体か土地1つを対象とする。あなたはそれをタップまたはアンタップしてもよい。

Lotus Petal / 水蓮の花びら (0)
アーティファクト
(T),水蓮の花びらを生け贄に捧げる:あなたのマナ・プールに、好きな色のマナ1点を加える。

Time Spiral / 時のらせん (4)(青)(青)
ソーサリー
時のらせんを追放する。各プレイヤーは、自分の墓地と手札を自分のライブラリーに加えて切り直し、その後カードを7枚引く。あなたは土地を最大6つまでアンタップする。


Stroke of genius / 天才のひらめき (X)(2)(青)
インスタント
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードをX枚引く。



水蓮の花びらを始めとする軽量アーティファクトを大量に展開すると、トレイリアのアカデミーからは青マナの3つや4つは平気で出せるようになる。それに前者から生み出したマナを加えて精神力を設置。

すると、何が起こるかお分かりだろうか。

1.精神力の能力で手札を複数枚消費し、トレイリアのアカデミーを複数回起動。
2.大量に出たマナの一部を消費し、意外な授かり物や時のらせんで手札を補充。
3.その手札で精神力を使い、トレイリアのアカデミーを……あれ?無限ループって恐くね?

このチェイン・コンボで産み出されるマナは20点はおろか60点以上。
最後に、先述の天才のひらめきや、Xマナの分だけダメージを放つ《火の玉》を相手に向けてゲーム終了である。
そしてこのデッキ、一度動き出すと相手を仕留めるまで動き続け、その上止めるのが困難。その上、早いターンから始動でき、1ターンキルも決して珍しくない。
また、ライブラリーアウトで勝つという性質上対策が取りにくいのも特徴で、青マナもアーティファクトも使わないデッキが、MoMaを潰すためだけに当時の伝説ルール*1を利用してトレイリアのアカデミーを投入する事すらあった。当時のルールでは何故かマナを出せてしまうためそこからひっくり返されたりもするのだが。
MoMaに勝つためにMoMaを使うか、徹底したアンチMoMaデッキにするか。当時の環境は完全に二極化してしまった。

なお、デッキ名の直接の由来はキーカードの「Mind Over Matter / 精神力」の頭文字だが、同時に「The Museum of Modern Art, New York / ニューヨーク近代美術館」の略称にもかけられている。
曰く、 (一人プレイ時の)美術館の如き美しさを鑑賞するデッキ 誰がうまいこと言えと

事態を重く見たDCIは、トレイリアのアカデミーと意外な授かり物を禁止カードに指定。これらのカードは発売から2ヶ月足らずという異例の早さだった。
が、禁止カード指定が発効するまでに行われた公式大会、プロツアーローマ98とThe Finals98では上位入賞者のほとんどがMoMaという惨劇を招いたのである。
ともあれ、多くの教訓と混乱をもたらしたMoMaの嵐は去ったのだ。めでたしめでたし。
















MoMaは生きていた。


Dream Halls / ドリーム・ホール(3)(青)(青)
エンチャント
呪文のマナ・コストを支払うのではなく、その呪文のコントローラーは、その呪文と共通の色を1色持つカードを1枚捨ててもよい。


Mana Vault / 魔力の櫃(1)
アーティファクト
魔力の櫃はあなたのアンタップ・ステップにアンタップしない。
あなたのアップキープの開始時に、あなたは(4)を支払ってもよい。そうした場合、魔力の櫃をアンタップする。
あなたのドロー・ステップの開始時に、魔力の櫃がタップ状態である場合、それはあなたに1点のダメージを与える。
(T):あなたのマナ・プールに(3)を加える。



失ったパーツを補う形で上記のカードが投入された。ドリーム・ホールから精神力を戦場に出し、マナは魔力の櫃で生む。ドローカードはやはりドリーム・ホールで踏み倒す。そしてMoMaは再び暴れ始めたのだ。

実はドリーム・ホール自体はトレイリアのアカデミーらが禁止される前からMoMaと相性が良い事が発見されていた。ただトレイリアのアカデミーがあるなら無理に投入しなくても良いと判断され、姿を見せなかっただけだったのだ。


結局その後ドリーム・ホールと時のらせん、水蓮の花びらが新たに禁止される。マナ加速要員であった魔力の櫃も、その頃発売された第6版から外れスタンダード落ち。さらに「ライフが0以下になると即座に敗北する」ルールに変更され*2MoMaは一気に弱体化、再び眠りに就いた。














MoMaはまだ生きていた。


Show and Tell / 実物提示教育 (2)(青)
ソーサリー
各プレイヤーは、自分の手札にあるアーティファクト・カードかクリーチャー・カードかエンチャント・カードか土地カードを1枚、戦場に出してもよい。



二度目の禁止改定とローテーション落ちによって失った大きなパーツは、「精神力を素早く着地させる手段」・「精神力で大量のマナを生み出せるマナソース」・「精神力で失った手札を補充出来る強力なドロースペル」の三種類。
しかしこれらは決して代わりがない唯一無二の存在という訳ではなかったため、MoMaは失ったパーツに近いパーツへ換装することで三度環境に帰ってきた。
MoMa使い達の執念を受けて蘇ったMoMa第三形態、実物提示MoMaの誕生であった。

とはいうものの、最初期のMoMaを完全体と称するならば、こちらはどうにか環境に残ろうとした悪あがきに等しく、かつての凄まじいパワーは失われていた。

が、腐っても鯛の格言通り決して看過できるデッキではなく、弱体化しながらも注意すべきだと当時のメタの一角として存在し続けた。しぶとさだけ見てもかなりのものであった。

だがそれも、最終的に精神力が禁止された事でついにMoMaは永遠に環境から姿を消した…。



ちなみに。
これらのカードをデザインした連中は、トレイリアのアカデミーと精神力のコンボに気付いていたらしい。


なのに何故、スルーしてしまったのか?




「相手を倒す前に手札がまず無くなるから大丈夫さ!HAHAHAHAHA!」



お前ら、なんでそこでリストを見直さなかった。



時のらせんとか意外な授かり物をデザインした当人が気付かなかったという、嘘のような本当の話。

(なお、実際に上記の二枚を使わなかったら結構な確率でカードが足りなくなり止まることは確かではある)

余談ながら。

このデッキは動かしている際、一人でずっとプレイして相手はほとんど何もしない事になる(なんせ対MoMaの最大の対策は時間を潰すための大量の漫画本*3とまで言われたぐらいである)ので、あだ名でソリティアと呼ばれ、更にマナをせっせと一人で出し続ける様が自己満足な自慰行為でヌいてる姿に似ている事から、マスターベーション、もしくはオナニーデッキと囁かれたりしていた。うっ…ふぅ。
しかし実際のデュエルになると対戦相手はMoMaのコンボ中に何もしないということはない。
MoMaの手札補充の手段として使われる時のらせんと意外な授かり物の効果は対戦相手にも及ぶため、意外な授かり物のときには手札交換、時のらせんのときにはシャッフルまでしないといけない。
これは言わば対戦相手に無理矢理手コキをさせている(しかもこの時点で対戦相手の負けはほぼ確定している)ようなものであり、このあたりのソリティアコンボに相手を巻き込むという動きもMoMaがTCG史上最大のクソデッキと言われる所以である。




更に余談ながら。

このエキスパンションのカードをデザインした者たちは、後に頭蓋骨絞めを頭に禁止カード最多のブロックとなるミラディンを作り上げた連中と同じである。学習しろよ、お前ら。

今現在は
MoMaのキーカードの一つである時のらせんが2011/1/1にレガシーの禁止解除となり、
ドリームホールモマのキーカードがほとんどが揃った。レガシー環境で組んでみるのも一興だろう。
ただし、当時絶妙にスタン落ちしていた《意思の力》や、この1年後に登場した《誤った指図》などが飛んでくるかもしれない。
逆に言えば、そういったピッチスペルが無い「穴の期間」だったために、ここまで暴れたとも言える。
ただ、デッキの構造上キーカードに頼る【MoMA】よりは、キーカードがバラけてカウンターを打ちづらい【ANT】の方が圧倒的に優勢。
同じように《天才のひらめき》をエンドカードにするタイプでも、MoMA抜きの【ハイタイド】が主流である。
制限カード止まりのヴィンテージでも一応構築可能だが、1枚差しとなるアカデミーをどう引くかが一番の問題か。


さらに基本セット2011にて

寺院の鐘

(T):各プレイヤーはカードを1枚引く。

といういかにもMoMaに使ってくれと言わんがばかりのカードが加わり、
代わりに禁止となった適者生存のような活躍を見せるか期待がかかる。











かつてその秘密は、歴代知られる中でも最高の技術を生み出した。
いまでは蟹が瓦礫をほじくり返して殻を飾るばかりだ。

アカデミーの廃墟



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