M1アストレイ

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M1アストレイ - (2024/04/24 (水) 15:48:18) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2012/02/13(月) 00:45:40
更新日:2024/04/24 Wed 17:28:35
所要時間:約 6 分で読めます






ジンなんか!ジンなんか!


M1(エムワン)アストレイとは、『機動戦士ガンダムSEED』シリーズに登場するモビルスーツ(MS)。


目次





M1アストレイ
Model1 ASTRAY

基礎データ


型式番号:MBF-M1
全高:17.53m
重量:53.5t
装甲材質:発泡金属
動力:内蔵バッテリー

武装:

パイロット:
アストレイ三人娘
ロンド・ギナ・サハク
オーブ軍パイロット 他


機体解説


C.E.71にオーブ連合首長国が制式採用した国防用量産型MS。開発元は半国営企業であるモルゲンレーテ社。
同社が資源衛星ヘリオポリスにおいて連合のGAT-Xシリーズの技術を盗用し開発したプロトアストレイシリーズ(P0シリーズ)をベースに、
モルゲンレーテ本社の秘密工場で建造・量産された。
「M1」は「モデル1」の意。


設計自体もP0シリーズを踏襲しており、基本構造や装備類の多くに共通点がある他、
ツインアイのセンサーやV字型のブレードアンテナ、側面の半円形ダクトパーツなど、外観もP0シリーズと似た意匠になっている。
装甲材はP0シリーズと同じく発泡金属装甲。
P0シリーズの大本ともいえる前期GAT-Xシリーズの持つPS(フェイズシフト装甲)と比べれば防御性能は当然劣るが、
反面PS装甲よりもこちらの方が軽量なため機動性は高く、攻撃を「防御する」ことよりも「回避する」ことに重点が置かれていると推測される。
もっとも、M1アストレイ建造時にはオーブにはPS装甲の開発は出来なかったため、採用したくともできなかっただろうが、
そもそもとして一般機に採用するにはコストがかかりすぎるので、PS装甲が開発できたとしてもやらなかっただろう。

余談だが、現実では発砲金属装甲も作り方次第で通常の金属装甲以上の対弾性能や対衝撃性能などを発揮するため*1
必ずしも既存の通常装甲よりは防御性能が落ちているわけではない。
一方、量産化するにあたってオプションの換装機能のオミットや装甲の追加などの再設計が行われており、
極端なまでに装甲が少なかったP0シリーズよりも運動性能等は落ちている。
その反面全体の構造が簡略化され、防衛用として極端な特殊装備を持つ必要も無かったこともあり、生産性や整備性が向上した。

背部にはエールストライカーを基にしたバックパック(フライトユニット)を装備。
これは短時間でオーブ領内を輸送機無しで移動するためで、本機に高い機動力を与えただけでなく単独飛行も行えるが、時間は短い。
なお、バックパックはボディと一体化した固定タイプであるため、P0シリーズやストライクのように換装することは出来ないと思われる。

武装はビームライフルやビームサーベルといった、オーソドックスな小型ビーム兵器が標準装備されており、
アストレイタイプ特有の機動性の高さも相まって、総合性能は同時期の連合・ザフトの主力量産機(ジンやストライクダガー)と同等以上の物となった。


OSはナチュラルでも使用できるものを搭載しているが、開発はかなり難航した。
ナチュラルのジャンク屋であるロウ・ギュールが、廃棄されたものを回収・使用していたP02(レッドフレーム)のOSを参考にしてみたものの、
彼独自のカスタマイズの癖が強すぎたため、それを参考にしたOSにもロウの癖が強く出てしまい、
拳法家のような変なモーションを取っていた上、最適化出来ていないために動きも鈍く、
ナチュラルのパイロットではただ歩かせるのにも苦労し、実戦には到底使えない有様だった。
その後、アークエンジェルがオーブに寄港した際に、同艦に搭乗していたキラ・ヤマトの協力を得て基本システムを再構築。
運動性能が飛躍的に向上し、M1アストレイ元来のポテンシャルを発揮し得るものとなった。

一方、外伝ではこの段階でも(キラの滞在期間の短さから)まだ完全ではなく、
P03(ブルーフレーム)を愛用する叢雲劾が時間をかけて手直しすると共にパイロットの訓練プログラムも作成し、
これによって本編での実戦投入段階に漕ぎ着けた、ということになった。

なお、ナチュラル用OS自体の性質に関しては、連合の物とほとんど同じ説や独自内容説など確定的な詳細設定は出されていない。


機体の基礎フレームは赤色で塗装されているが、これは上述のP02(レッドフレーム)に由来し、
同機に試作型のナチュラル用OSが積まれていたことから来ている。
以降、オーブではナチュラル用の汎用機体の色は赤になった。


ちなみに、この機体の顔はいわゆるガンダムフェイスだが、劇中で同様の顔を持つ大半のMS群とは違ってOS(の頭文字)が「GUNDAM」ではない*2ため、
外部作品でも「M1アストレイ」と表記されるなど、ガンダムタイプとしては扱われていない*3



武装


  • 75mm対空自動バルカン砲塔システム「イーゲルシュテルン」
頭部に2門内蔵。連合のGシリーズなどの物と同型。

  • 71式ビームライフル
メインウェポン。
P0シリーズ用のライフルを踏襲したデザイン・構造で、後部にセンサーパーツ、バレル下部にフォアグリップを持つ。
軽くて取り回しが良く、破壊力などの性能も連合製と同程度。
非使用時にはバックパック側面に懸架でき、ライフル自体にも上からシールドを懸架するマウントラッチが設けられている。

  • 70式ビームサーベル
バックパック上部に2本装備。
ライフルより先に開発に成功し、アップデートを繰り返した結果、ビーム刃の長さを自在に変えられるようになった。

  • 対ビームシールド
耐ビームコーティングされた盾。P0シリーズやGシリーズなどと同型。
やや取り回しは悪いが開発当時のMSには普及していなかったビーム兵器に対する性能からも将来を見据えていたM1にとっては重要な装備
実戦投入時にはMSのビーム兵器も普及し始めていたため、配備開始時に時代に取り残されずに済んだ。
オーブ戦では地面に突き刺して固定し簡易防壁として使用されている場面もある。

  • 模擬戦用ビームサーベル
M1の模擬戦用に製造された物。ビームサーベルといっても実体の刀身の一部がビーム刃になっているだけの棍棒のようなもので攻撃性能は低い。
TV本編ではムウがMSに乗り換えた際の練習模擬戦でストライクとフリーダムが使用した。

  • 対艦刀
オプションの実体剣。
I.W.S.P.の試製9.1m対艦刀と同型の大型実体剣で、腰アーマーにマウントされる。
これ自体は元々装備予定にあったものではなく、パックのテスト運用からの副産物みたいなものらしい。
ちなみにバリー・ホーがこれを使った格闘戦術を考案している。



劇中の活躍


□C.E.71(『SEED』)

オーブ兵や三人娘らが搭乗。
アークエンジェルがオーブを訪れた際には既に機体自体は完成済みだったが、
上述の通りOS開発が難航していた影響で、実戦投入は出来ていなかった。
アークエンジェルに搭乗していたキラの協力を経たことでOSは改良され、大きく性能を向上させることとなった。

その後、連合のオーブ解放作戦で初めて実戦に投入され、多数のストライクダガーを相手に戦果を挙げた。
しかしオーブ側も物量に押され、上陸してきたカラミティの攻撃に曝されるなどしてかなりの数が撃破された。
その後、残存機はクサナギに搭載されて脱出。
三隻同盟の戦力としてメンデルや第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦などでも出撃し戦い続けた。


□C.E.71(『ASTRAY』)

アストレイがメインということもあり、ロウたち一行がオーブに立ち寄った際に登場。
キラによるOS改造の前後だったためまだナチュラル用OSは未完成だったが実際にロウも試乗した他、
性能試験の名目でギナが搭乗するM1アストレイとロウのレッドフレームが模擬戦を行った。
この模擬戦ではそもそもコーディネイターとナチュラル、訓練を受けた者と我流というパイロットの差もあってM1がレッドフレームを終始圧倒。
ロウが抜いたガーベラストレートの一閃でシールドを切り裂かれ、胸部も浅く斬り付けられたが、
続く一撃を白刃取りして奪い取り、更に逆手持ちで斬り返すという離れ業を見せた。
しかし、ガーベラストレートは、ロウが使用するためにOS・機体含めてレッドフレームにチューンを施していたほど扱いが難しい武装であり、
それを無理な体勢から振るったこともあり、過剰な負荷が掛かった左腕部がその直後に壊れてしまっている。


□C.E.73(『SEED DESTINY』)

海上防衛には向かないことなどで開発・配備が進んだため既に主力座を後継機であるムラサメに譲っているものの、依然現役で運用されている。
中盤の海戦ではシュライク装備が船の直掩として登場し、大暴れするインパルスガンダムを相手にささやかな抵抗を試みていた。
ザフトによるオーブ侵攻の時には、国防本部前で対空迎撃をするシーンなどで若干登場。



派生機


◇M1アストレイ(シュライク装備)

型式番号:MBF-M1+EF-24R

バックパックにスラスターとローター内蔵型の翼からなる装備「EF-24R シュライク」を装着した形態。長時間の単独飛行が可能になった。
しかしこれをもってしても海上防衛などに足りる性能ではなかったことと元々M1は本土防衛向けだったなどの要因もあってムラサメの開発が進むことになった。
C.E.73年時にはこの状態でムラサメの支援機として使われていることが多い。


◇ジャン専用M1アストレイ


煌めく凶星「J」ことジャン・キャリーの専用機。三隻同盟に所属して以降はこれに乗り続けている。
ジャンのパーソナルカラーである白一色に塗り替えられているが、性能は変化なし。
ヴェルヌ35A/MPFM 多目的飛行モジュールを装備したこともある。


◇M1Aアストレイ

型式番号:MBF-M1A

M1から派生して開発された宇宙用の機体。主にアメノミハシラで製造されている。
装甲は白と局地戦用機を示す青で塗られており、ブルーフレームとよく間違われる。

低重力環境での空間戦闘に主眼を置き、通常のM1アストレイの性能を底上げする方針で設計されている。
そのため見た目はM1と酷似しているが、機体各部に姿勢制御用の小型スラスターを増設。バックパックにも推進剤のタンクが追加されている。
更に脚部はAMBAC機能に特化した造りになっており、M1以上に細く華奢な見た目になっている。しかし、そのせいで地上だと歩くので精一杯な強度しかない。
その他、頭部のブレードアンテナがかなり大型化され、通信機能の強化も図られている。

武装面では宇宙での遠距離戦闘を念頭に71-44式改狙撃型ビームライフルを装備。
サイズが大きく若干取り回しに難があるが、高性能センサーの搭載により最適環境下での有効射程は400kmに及ぶ。

局地戦用のバリエーション機ということもあって、M1に比べると生産数は少ないようだが、アメノミハシラに防衛戦力として配備されソキウスなどが搭乗している他、
オーブ脱出時にクサナギにもパーツ状態で数機が積まれ、組み立て後にバリー・ホーらが乗り込み第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦などで活躍した。


◇レイスタ

型式番号:MWF-JG71

M1アストレイのパーツ*4を使って造られた作業用MS。
元モルゲンレーテ職員で、終戦後はジャンク屋組合に転職したエンジニア、ユン・セファンが設計した。
名前の「レイスタ(RAYSTA)」は「アストレイ(ASTRAY)」のアナグラムから来ている。

脚はクレーンに変形する機能を持ち、背部をはじめとした全身にオプション装備を取り付けるハードポイントがある。
顔はダガーっぽくなっているが、趣味でガンダムフェイスに改造している機体も多い。
なお、ジャンク屋組合が防衛目的で使用した際にはビームライフルと対ビームコーティングシールドを装備していたが、
作業用MSということもあり、本機には(基本状態では)武装が装備されていない。

通常の地上用と背面に姿勢制御用のスラスターを装備した宇宙用の二タイプがあり、これらをベースにパーソナル機も造られている。
ジャンク屋組合が販売やレンタルを行っており、基本的に自衛を除く戦闘目的での使用は禁止されているが、
戦力のないレジスタンスなどは戦闘用に転用している。
後継機にシビリアンアストレイがある。


◇ユン専用レイスタ


ユンが自分用にカスタムしたレイスタ。カラーリングはオレンジ色。
一般機より各種性能は上昇。
各部に工具を入れるためのコンテナを取り付け、アンテナやソーラーパネルも追加している。

南米でエドを取材しているジェスの元を訪れ、アウトフレームバックホームに風呂を追加した。
その帰り道、コートニーのザク量産試作型と遭遇し、非武装ということもあって撃墜の危機に陥るが、
そこに居合わせたバリー・ホーがユンと操縦を代わって応戦し、隙を衝いて逃亡に成功したことで難を逃れている。


◇ジェス専用レイスタ


マティアスがジェスの取材用に用意した機体。
ガンカメラを装備し、センサーが改良されている。顔もガンダムフェイスに変更。

取材ということでデブリに隠れてジェネシスαの撮影を行っていたところを、
ロウの依頼でジェネシスαの防衛にあたっていた劾に刺客の類と誤解されて、背後に忍び寄っていた彼のブルーフレームセカンドに頭部を破壊された。
後に誤解は解け、ジェスも解放されたが、ロウは帰るための“足”でもあったレイスタを自分の依頼が元で破壊されたお詫びとして、
廃棄されたMSのフレームに自身が肉付けして完成させた「アストレイ アウトフレーム」をジェスに貸与している*5



立体化


ガンプラ

割と人気の高い機体にも関わらず、本放送時は1/144コレクションシリーズ(肘と膝が曲がらないキット)しか発売されていなかった。
HGアストレイとは構造上の違う部分も多いため、改造も一筋縄ではいかない。
とはいえ、後期に発売されたキットのためプロポーションはそれなりによく、塗装をすれば素立ちでもわりと様になる。

そして本編のHDリマスターに合わせた企画の一環としてHGシリーズで発売。
00AGEシリーズで培われた技術をふんだんに盛り込んだHG SEEDシリーズ再開以降初の完全新規キットで、
恐ろしい変態可動を誇り、その出来はHGCEと遜色のないレベル。
後に発売されるレッドフレーム、ブルーフレーム、ゴールドフレームの基礎となるランナー構成をしており、ある意味では原作再現とも。
追加設定の対艦刀も付属しており腰部に装着可能。



ゲームでの活躍


SDガンダムGジェネレーションシリーズ

SEED本格参戦と同時に登場。
コストが低いがビーム兵器を使え、地上と宇宙の適性も悪くない。欠点といえば防御値の低さがネックか。
PORTABLE以降ではM1Aアストレイやムラサメの登場、シュライク装備がDESTINY枠で登場するとあって素体の価値は薄まっている。
アストレイ三人娘を乗せるなどのロマン志向が無ければムラサメに開発するのが無難。

Generation of C.E.

C.E.71のオーブ侵攻作戦から使用可能。
大体の性能と比較はGジェネと同じで、DESTINYステージをある程度進行していくと使えるようになるムラサメで事足りる。

BATTLE DESTINY

オーブの雑魚枠という蔑称の通り、かなりひ弱な性能。
チューンをしても頭角を現す事が無いので、序盤の仕方なく使う時以外に出番は無い。
ジャン機も登場するが、SPAの超挑発は敵機のロックが自機に集中しやすくなるという自殺行為に等しいものなので封印安定。
シュライク装備はスラスター周りが好調でSPAも特攻になるなど若干マシ。それにしても同年代の機体と比べると見劣りが激しいが。



追記・修正はナチュラル用OSを組んでからお願いします。

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