登録日:2011/09/21(水) 16:56:47
更新日:2023/12/25 Mon 15:54:47
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BROKEN THUNDERとは、メガドライブで主に展開していたSTG「サンダーフォースシリーズ」(以下TF)を題材にし、2007年5月にとらのあな専売として発売された同人STGである。
とらのあなのバックアップを受け、発売前にはフリーペーパーにて、貴島吉志氏筆によるバックストーリーの小説が掲載されていた。
当時の値段は、サントラ同梱版5千円・通常版3千円であった。
製作は有限会社ファクトリー・ノイズ&AG。(以下FNAG)
TFシリーズで楽曲を手がけていた山西利治・九十九百太郎が所属しており、本作でも楽曲を手がけている。
本作のプロデューサーは長崎繁(以下長詐欺)。
アニヲタ的には長詐欺・九十九氏・山西氏ともに
ライアーソフトの作品で馴染み深いだろうか。
ぶるまー2000の主題歌では九十九氏と共に長詐欺も歌っている。
<発売の経歴に至るまで>
発端はTFシリーズの製作元・テクノソフトの経営不振による開発室解散後に遡る。
この頃に九十九氏は長詐欺と知り合い、雑音工房NOISE(FNAGの前身)を立ち上げる。
その後、ペーパープランとして日の目を見ることは無かった「TFVI」のイメージアルバムを発売したり、「TFV」のサウンドトラック完全版や九十九氏が手がけたゲームのCDを同人ラインで販売していた。
また、2001年発売の「
セガガガ」のSTGパート「R-720」にて、「
FIRE LEO-05P SYRINX」なる機体が九十九氏の楽曲と共にイメージムービー付きで登場。
TFの再来を期待させるなど
ファンを錯覚させた。
これにより一時はテクノソフト開発でTFVIが製作されていると噂されていた。
最も、この時点で既にテクノソフトは倒産しているが。
また、本作では雑音工房NOISEも関わっており、
「R-720」ノーマルモードのメイン楽曲は山西氏(TFIVの8面BGMアレンジ「Steel Squad」)で、ボス戦は九十九氏(氏の持ち曲「The Jastice Ray」シリーズのパート3)。
「SYRINX」は元々二次創作小説「THUNDER FORCE FOREVER」に登場する機体であり、作者のGarow氏(イメージムービーも氏の作)も「セガガガ」でゲストとして関わっている。
ちなみに「FIRE LEO」とはTFシリーズの自機の型番。
この機体はしばしばBROKEN THUNDERのイメージアルバムのジャケットなどにも登場していた。
この頃から「TFVI」の企画を行っていたらしく、2007年に「BROKEN THUNDER」としてついに日の目を見ることになった。
TFの名を冠することがなかったのは、テクノソフトのライセンス所持者からの許可が下りなかったため。
外注スタッフには元アボガドパワーズの01step氏や前述のGarow氏、貴島吉志氏が関わっていた。
しかし、01step氏が日記で愚痴るほどの製作工程の愚鈍さと納期のおかしさ。(納期に関してはとらのあなの指定という説がある)
Garow氏が「主要スタッフの顔を知らない」という異常な製作体制。
貴島氏が「仕事として入稿した原稿をエイプリルフールネタに使われた」と怒りを露にするなど、発売前から既に暗雲が立ち込めていた。
<そして発売へ>
確かに伝説と呼ぶのは生温かった。商品未満の出来だったからである。
ディスク内の長詐欺自身が書き起こしたテキストに「未完成」「アップデート前提」と明記されている。
最大の問題として、そもそもこの件をFNAGのHP上で明記しておらず、買うまで解らない状況。
即ち売り逃げする気満々の姿勢ともとれ、そもそものゲームの出来自体もあまりにお粗末過ぎる代物であった。
●例
- アハ体験にしか見えない宇宙。
- 障害物は巨大な芋(隕石だが)。
- 外注スタッフに回された仕様やデザイン・演出プランが製品版で一切適応されてない。
- 変なとこから発射するありえないレーザー(主にボス)。
- 先行者。
- 2007年度版コンボイの謎。
- フルポリゴンなのにアクションする敵が3ボスだけ。
- BGM自体は良質だがループ処理が出来ていない。ボス戦が長引くとフェードアウトしてまた始めから。
- やけくそ過ぎるラスボスの狂った弾幕。
<結末>
いくら同人作品とはいえ、当然こんな未完成品を掴まされた購入者から非難が相次いだ。
mixiコミュでアップデート通知しておいて数時間で記事削除、返金騒動を巡って二転三転と説明と対応を変えるFNAG。
信用など地の底に落ちた。
終いには他社(社名非公表)への全権利を移譲し、更に「実力あるクリエイターにより急ピッチで作業が進行中」=「出来が悪いのは外注スタッフの所為」という、責任転嫁的な公式コメント等で更に非難が殺到し、外注スタッフからも不満の声が出る始末。
因果応報という形で遂にFNAG消滅し、プロデューサーの長詐欺も表舞台から消えた。
この後、九十九氏は株式会社マカロンボックスを設立し、山西氏も株式会社アムーヴを設立している。
ただし両社共に既に倒産した模様。
尚、今日においても権利移譲されて以来、本作に関する動きは一切見られない。
そもそも本当にそんな話があったのかすら怪しい、と疑う人も少なくない。
ちなみに一部中古ショップでは不具合版扱い。
<適当な自機解説>
自称FIRE LEOの5番機。SYRINXとの関係はようわからん。
TFIVの最強武器サンダーソードが通常兵器になっているが、どう見てもレイディアントソード。
まぁ適当にサンダーソード使ってれば進めるんじゃないんですか?
自称RVRシリーズの3番機。幻の機体SWORD BREAKERとよく似ている。
名称は弓術で腕を保護する籠手の意。
TFVの攻撃強化システムであるオーバーウェポンが使えるので瞬間火力が高い。
とりあえずフリーウェイ使ってればいいんじゃね?
最終面のみで使用できる機体。
上記2機の武装全てにオーバーウェポンも使用可能。通常操作設定だと滅茶苦茶扱いにくい。
Vの主人公セネスがAI化してるらしいが完全に死に設定。
<適当なステージ解説>
アハ体験宇宙。この時点で画面がBGMに完敗している。
ボスは先行者。設定上はハイパーデュエルに登場したブラックエンジェルらしいが全く似てない。
雲海らしい。
ボスはナイトレーベンのパチモノ。名前は「アークエンジェル」で、本作のボス戦BGMの曲名と同じ。
何か荒野。
ボスは変なドラゴン。というより小さすぎて始祖鳥みたいに見える。割とグリグリ動くように見えるが実は翼しか動いてない。
唐突に月面。障害物は芋。芋虫戦艦をグルグル回せる。ボスは劣化A3みたいな変な4脚戦車が滑走しながら変なレーザーを撃つ。
足は飾り。
開始前にBRACERのコクピットがBROKEN THUNDERとドッキングするムービーが挿入される。
SYREX使用時でもドッキングするのはBRACER。TFVの5面の演出を意識したらしいが冗長過ぎて全く燃えない。
ムービー後は唐突にボスラッシュ。ただの苦行である。ついでに長引きやすいのでBGMも途切れがち。
そしてどう考えても避けるの無理な攻撃が多すぎる土偶とのバトル。死ぬがよい。
とまぁ、このように惨憺たるクオリティではあるが、メカデザインやBGM、凝ったストーリー、オープニングムービーのカッコよさなどゲーム以外の部分には割と見るべき部分は多く、素材集として評価する声も一定数見受けられる。
逆に言えば、そんな良質な素材をことごとく活かせずムダにしたというわけでもあるが…
そしてこの騒動後、「サンダーフォースシリーズ」はそのまま「シャープPCとメガドライブ、セガサターンの名作STGシリーズ」として静かに忘れ去られる筈だった…。
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