Vフォー・ヴェンデッタ(映画)

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Vフォー・ヴェンデッタ(映画) - (2016/09/06 (火) 08:50:10) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2012/07/05(木) 02:59:41
更新日:2024/01/06 Sat 02:20:49
所要時間:約 6 分で読めます




忘れるな
忘れるな
11月5日を
あの火薬陰謀事件を
どうして忘れる事ができようか?




◆“”フォー・ヴェンデッタ

フォー・ヴェンデッタ(V for Vendetta)』は05年の米英独合作映画。
アメコミ史上に残る大傑作『ウォッチメン』で知られるアラン・ムーアの原作コミックスを、世界的大ヒット作となった『マトリックス』シリーズの原案と制作を手掛けたウォシャウスキー兄弟が映像化した近未来SFサスペンスアクションである。
主演はナタリー・ポートマンと『マトリックス』のエージェント・スミス役で顔を売ったヒューゴ・ウィービング。

英国人であるムーアらしく原作にはマザーグースやシェイクスピア作品から引用した台詞が多いが、それらは映画版でも踏襲されており“”に至っては、さながら舞台役者の様な立ち居振る舞いをする。



【概要】

DCコミックスの大人向けレーベル「VERTIGO」から刊行されたムーアの傑作コミックスの実写化作品であり、基本的に原作に忠実な作りではあるが、映像化に際して簡略化した部分と、逆に追加された部分が存在する。

所謂デストピア物であり、冒頭のマザーグースの一節で知られる17世紀の火薬陰謀事件の主犯「ガイ・フォークス」の仮面を見に付けたテロリスト“”とヒロイン・イヴィーとの運命的な出会いと“”の戦いを見た人々が自由に目覚めるまでを描く(※日本人には共感し難いが、英国人にとってガイ・フォークスとは圧制に立ち向かった英雄として親しまれる民間伝承のスターである)。

重厚かつ複雑な設定でありながらも淡々と語られていく物語を初見で理解し切る事は難しいかもしれないが、全編に渡り隠喩を盛り込み作り込まれた、完成度の高い世界観はハマる人はとことんハマる。
視聴を重ねる内に、より理解が深まる事は間違いないだろう。



【物語】

第三次世界大戦後、勝者となった近未来の英国の物語。
……人々はサトラー議長が率いる議会による、一党独裁政治に抑えつけられ、人間が本来持つ“自由を求める心”さえも奪われていた。

……しかし、ある年の11月4日の夜。
上司からのディナーの誘いを受け、外出禁止令を破り秘密警察(フィンガーマン)に詰問されたイーヴィーは“”を名乗る、失われたガイ・フォークスデイの主役の仮面を被った謎の男に助けられる。

……そして、時計が11月5日を迎えたその時、イヴィーの目の前で“”はガイ・フォークスの伝承をなぞるかの様に裁判所(オールドベイリー)を爆破してみせるのだった。
鳴り響くチャイコフスキーの「序曲1812年」……。
遂に開始された、自らを虐げられし者と呼ぶ“”の復讐(Vendetta)……その陰には、政府が権力を得るまでにひた隠しにして来た、闇があった。



【登場人物】


◆“”(演:ヒューゴ・ウィーヴィング/菅生隆之
)
超人的な身体能力を持つ仮面の男。
以前から密かに政府に攻撃を仕掛けていた様だが、自らを象徴とするべく人々の前に姿を現す。
政府の要人を次々と暗殺していく彼の正体とは……?
吹き替えや字幕だと解り難いが、Vの付く単語を好んで使用する癖がある。
※例:…and has vowed to venquish these venal and virulent vermin vanguarding vice…
茶目っ気の多い復讐鬼。


◆イヴィー・ハモンド(演:ナタリー・ポートマン/浅野まゆみ)
本作のヒロイン。
国営放送に勤める。
活動家であった両親が政府に粛正され自らも矯正カリキュラムを受けた経験からか、やや流され易い性格の持ち主。
”との運命的な出会いにより、後に真の自分と向き合う事になる。
中の人は本作でエロいベビードール姿を披露するわ、勇ましい坊主姿を披露するわと漢女(おとめ)ぶりを発揮。



◆ゴードン・ディードリッヒ(演:スティーヴン・フライ/島香裕)
イヴィーの上司で、国営放送の大物プロデューサー。
冒頭でイヴィーをパワハラ目的でディナーに誘った人物だが、それは本来の自分を隠す為のフェイクであった。
”の許から逃げ出したイヴィーを匿うが、最終的には政府に対して一世一代を賭けたジョークを仕掛けて散った作中屈指の漢。


◆エリック・フィンチ警視(演:スティーヴン・レイ/屋良有作)
警察機構のトップ。
現体制が敷かれてから現職に就いた為に、政府の行った陰謀や隠蔽工作については知らされておらず、“”の行動を追う中で見え隠れする英国の暗部に自らの倫理を激しく揺さぶられる事になる正義の人。


◆プロセロ(演:ロジャー・アラム/長克巳)
TV番組の人気司会者で、傲慢な俗物。
かつては、政府の管理する秘密「施設」を運営していた。
……“”曰わく、司令官。


◆リリアン司教(演:ジョン・スタンディング/村松康雄)
英国教会のトップで、敬虔な神の使徒を装うが、儀式の前に娼婦(それも少女専門)を抱くのが趣味と云うロリペド爺。
その趣味を突かれ、娼婦に化けたイヴィーに接触される事になる。
「施設」の秘密を知る一人。


◆デリア・サリッジ(演:シニード・キューザック/沢田敏子)
現在は監察医。
……だが、かつては「施設」に於いて主任研究者として人体実験の指揮を執っていた過去を持ち、更に「施設」が“5(V)番監房の男”により壊滅した事を知る人物。
彼女の残していた日記により、フィンチは政府の過去に疑問を抱く事になる。
”との邂逅の際に、彼が現場に残していた薔薇(スカーレット・カーソン)を「貴方の花」と呼んだ。


◆ピーター・クリーディー(演:ティム・ピゴット=スミス/佐々木勝彦)
政府の汚れ仕事を引き受ける内務機関のトップで、極めて冷酷な人物。
サトラーの腹心だが、傲慢で体制の為に部下を切り捨てる事も厭わない彼の態度に密かに憤懣を抱いている。
原作では前任者が存在するが、映画版では最初から彼がトップである。


◆アダム・サトラー議長(演:ジョン・ハート/中博史)
英国議会のトップであり、英国を実質的に支配している、傲慢にして冷酷な独裁者。
数々の陰謀の首謀者であり、イメージはかのチョビヒゲ






【余談】

※女優魂の持ち主として知られる主演のナタリー・ポートマンは、本作について「坊主になるけどいいか?」と問われてあっさりと快諾。
坊主頭のままカンヌに出席する等、マジで漢女ぶりを見せつけた。


※ヒューゴ・ウィービングは当初は別の映画の撮影の為に本作の出演を断っていたが、代役のジェームズ・ピュアフォイが僅か1ヶ月で降板(仮面を付けたままの演技がストレスになった)。
結局、ウィービングを主演に迎えている(ピュアフォイの演じた部分も残されている)。


※仮面の男“”はその名の様に仮面姿のままで撮影されており(声もアテレコ)、主演にも関わらずウィービングの顔を見る事が出来ない。
……しかし、ラストシーンにて“”の扮装をした人々が素顔を晒していく場面にウィービングが混ざっている。





忘れるな忘れるな追記修正を……

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