G-SAVIOUR(ガンダムシリーズ)

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G-SAVIOUR(ガンダムシリーズ) - (2016/07/06 (水) 14:01:07) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2010/07/05(月) 13:18:00
更新日:2024/03/23 Sat 01:27:49
所要時間:約 10 分で読めます




2000年に発表された、ガンダム生誕20周年記念プロジェクトの1作。
アメリカの映像会社とサンライズの日米合作映画。

タイトルにも本編にもガンダムの文字は1つも無いが、れっきとしたガンダムシリーズの作品である。
また、シリーズ初の実写作品として(96年のゲーム「GUNDAM THE WAR FOR EARTH」は除く)製作され、このインパクトは当時も現在も不変となっている。
MSの描写はコクピット以外全てCGで表現されており、駆動音に“ウイ~ン”といった実際の機械音を取り入れ、無重力宇宙空間ではフワフワと漂い、重力下では低音と重量感を意識した独特のある種リアルな描写は、“非常にリアリティ溢れる”か“もっさりしてる”の二分の評価に分かれるところ。

コロニーという名称も植民地を意味するため、本作ではセツルメントと呼ばれる。
これらは「ウルトラマンパワード」と同様に、海外と日本のSF描写観を味わえる。
ハリウッド制作という宣伝もされたが、実際の所はそこまででもないTVスペシャル級の予算で製作されたためか、実写パートは少々しょっぱいものとなっている他、「スターシップ・トゥルーパーズ」の戦闘服の流用など、残念な部分もチラホラ……


発表当時、模型雑誌「ホビージャパン」で毎月特集が掲載、ドラマCDのリリース、続編のゲーム発表など精力的なプロモーション行われたが、結果は皆の知る通り惨敗に終わった。
なので現在では黒歴史(スラング的な意味で)に近い扱いを受けているが、きちんと宇宙世紀0223年の物語として記載されている。

なお、Gジェネなどのゲーム出演が一切無いのは、日米合作という版権絡みの問題であるとも言われているが詳細は不明である。
小説版の表紙のキャラは実写ではなくイラストであり、仮に参戦するなら違和感のないイラスト版のような絵になるかもしれない。
例として、CGのIGLOOやコロ落ちのキャラはカード、Gジェネ、ギレンの野望OPではアニメ絵になっている。



■ストーリー
ザンスカール帝国戦争から70年、そして1年戦争から144年を経た宇宙世紀223年。
既に崩壊した地球連邦は、連邦派のコロニーを再編し「セツルメント国家議会軍」を結成し、再び地球圏の統治が始まった。
しかし、地球と他セツルメントでは深刻な食糧不足に悩まされていた。
その頃、元国家議会軍の青年マーク・カランの働く深海農業施設(議会管理下)の研究所にスパイが進入。
捕縛されたが、マークはそこでシンシア・グレーブスと出会う。
彼女らは独立セツルメントのサイド8ガイアの研究者達であり、施設の研究所で食料不足を救う鍵となる「生物発光体(蛍や深海生物特有の熱を持たない光)」の開発のため侵入したと話す。
マークは彼女を留置所から連れ出し、施設の研究所で「生物発光体」の開発実験に大成功した。
しかし、それを強奪して独占しようと企む国家議会軍ガーノー総督の手が迫り、マークはしてない筈の殺人の罪に問われて指名手配されてしまう。
シンシアはマークとガールフレンドのミミ・デビアを連れてサイド4ニューマンハッタンに逃亡。そこでマークはかつて事故死したはずの戦友フィリッペ・サン・シモンと再会する。
彼は事故死に見せかけ離反、反国家議会軍組織「イルミナーティ」の幹部をしていると告白、更に最新型MSのGセイバーのパイロットを務めるよう促す。
なし崩しにGセイバーを受け取ったマークたちはサイド8ガイアへ亡命した。しかしそれも束の間、ミミはガーノーのスパイであり、彼女はガイアのコンピューターに侵入して意図的に議会軍の艦を砲撃する。
これを口実に議会軍が武力侵攻を開始、マークを憎む元上官ジャック・ヘイルが率いるMS部隊が迫る。マークは「生物発光体」、そしてシンシアたちを守る為、Gセイバーで立ち向かう!

本作の出来事は「ガイアの光事件」として記録される。



■登場人物
●マーク・カラン(演:ブレナン・エリオット)
“頼むぜ、Gセイバー!”
本作の主人公。
元セツルメント国家議会軍で凄腕のMSパイロットとして知られていたが、上官のジャックの非人道的な指導に嫌気がさして退役する。
その後は地球の深海農業施設で働いていたが、シンシアたちとの出会いによって事件に巻き込まれ、その人生を大きく狂わされる羽目に。
ミミとシンシアという2人の女性にキスしまくったリア充。


●シンシア・グレーブス(演:エヌカ・オークマ)
“ええ・・・実験は大成功よ!”
シリーズ通して唯一の純黒人ヒロイン。
ガイアでは博士号を持つ若手の研究者で、「生物発光体」の開発実験を行うためにマークが働く施設に侵入した。
つまり、事件を起こした張本人でもある。
徐々にマークと心を通わせるが・・・。
演じたエヌカは「ガンダムW」の英語吹き替えでリリーナ役を務めており、アニメ声優としても活動している。


●ミミ・デビア(演:カタリナ・コンティ)
“自分とこの機械に殺られるなんてアンタらしいわ!!”
マークのガールフレンド。
実は議会軍のスパイであり、マークと付き合っているのもお目付け役としての部分がある。
自分を議会の重要議員にさせるよう提言を求めるなどの汚い面があり、マークからは半ば見限られていた。
しかし心ではマークを愛しており、議会軍に射撃したのは個人的な感情が合わさっている。
また、「生物発光体」の食料不足解決への活用には賛成しており、最終的に議会を裏切り、ガーノーと運命を共にする。。


●フィリッペ・サン・シモン(演:ロシュガー・マシューズ)
“あとは我々イルミナーティに任せろ!”
かつてのマークの同僚で、嫌気が差していた議会軍を事故死に見せかけて離反していた。
その後は反議会軍組織イルミナーティに参加し、幹部を務める。
Gセイバーをはじめとするセイバーシリーズの開発にも携わっている。
マークへGセイバーに乗るよう提言したり、苦戦していたガイア軍のピンチに駆けつけたナイスハゲ。


●フランツ・ディーター
シンシアと共に深海施設へ侵入した、ガイアの研修生。
MSパイロットでもあり議会軍のMSレイに乗りたがっていたが、皮肉にもそのレイにフルボッコにされてしまう・・・。


●ガーノー総督(演:ケネス・ウェルシュ)
“シーザーもナポレオンも恐怖を利用して政治していたのだよ”
国家議会軍の総督で本作きっての悪役。
当初は軍を退役したマークと親しげに話しかけていたが、心では見下している。
「生物発光体」を知るや独占するために、どんな手を使ってでも奪い取るよう命令を下す(元は議会管理下のものなので決して間違っているワケではない)。
アンティーク武器を多数コレクションしており、軍服にもその意匠を取り入れるなど、センスには若干疑問が残る人。
ミミをマークのもとに送り込んでスパイさせていたが、最終的に裏切られ死亡する。
吹き替えは両さん。


●ジャック・ヘイル(演:デイヴィッド・ラヴグレン)
“それが悪役なんだよ♪”
国家議会軍のMSパイロットで、自称“悪役(笑)”。
金は命より重い主義で、それについていけず退役したマークを裏切り者として執拗に目をつける。
ガイアへの侵攻の際、闘いを楽しむように次々とMSを撃破していった。
なお、上記のセリフは吹き替え版のもので、実際のセリフは“さらば友よ♪”である。



■登場兵器
本作登場の兵器は小型化が主流だった宇宙世紀140年代の頃よりも再び大型化しており、リニアシート廃止、実体弾武装など、先祖返りしたようなものとなっている。ただし性能設定を見る限りは非常に高い推力重量比を持つ高性能っぷりなので、映像解釈の問題と思っておくのが吉である。
確かにリニアシートはニュータイプ以外には余り意味ないという意見もあるのだが・・・。
無人MSのMW(モビルウェポン)も登場する。

●Gセイバー 無重力仕様
イルミナーティが開発したガンダムタイプのMS。開発7番目の機体とのことで、GはガンダムのGではなく、アルファベット順で7つめのGを意味する。どうやら開発された機体順にアルファベットが振られる模様。
球体関節と、そして専用ハッチを潜って換装するという点が特徴で、3種類に換装可能。
背部と腰部の大型スラスターが特徴的で、F91の血が流れているとする説もある。
(後述するが、少なくともジェガンの血が流れていることは確実である)
上腕部と大腿部の装甲が無くフレームむき出しという、徹底した軽量化が図られている。
重力下でもきちんと戦闘は出来るようである。
武装はビームライフル、ビームサーベル×1、頭部バルカン砲、ビームシールドというスタンダードなもの。
この機体のみガンプラ化されたが、どのマイナーガンプラよりも再販されていない。
13年の刻を超えてガンプラビルドファイターにまさかの登場でガノタに衝撃を与えるも、百式に瞬殺される。
が、それでもファン達は瞬殺以前に公式である映像媒体に登場出来たことに大歓喜したのであった。

●Gセイバー 重力下仕様
地上戦に特化した換装で、分厚い装甲と素早い機動性が特徴。
本編では終盤の数十秒のみの登場、しかも後姿という不遇なもの。
しかし、高品質なCGによる描写と勇ましいテーマ曲に彩られ、アっという間に敵MSを撃破する姿は印象深い。

●Gセイバー 高起動仕様
本編のテスト用に作られたPVのみの登場(未ソフト化)。
重力下仕様に大出力ホバーを背負わせ、短時間ながら器用な飛行が可能。
…ミノフスキードライブどこ行った。

●Iセイバー(イリュージョン・セイバー)
イルミナーティが開発した9番目の機体。
本編ではフレームアウトしている場面が多く、出番も少ないため全身象が掴みにくいが、設定画を見るとしっかりガンダムタイプと分かる。
完全な宇宙仕様であり、Gセイバー以上の機動性を誇る。
鳥のように細い脚と、スラスターで埋まった背部が特徴的。
ほぼガイコツと思えばよい。
フィリッペ率いる大部隊で議会軍を蹴散らしていった。

●RGM-196 フリーダム
ジェガンの遠い末裔である、地球連邦軍最後の量産型MSにして最後のRGMシリーズ。
連邦崩壊後は各セツルメントに払い下げられ、ガイアは画面を埋め尽くす程に大量保有している。
既に30年以上過ぎた機体で劣化が酷く、現役当時のスペックが引き出せなくなっている。
本来の主武装だったビームライフルは実弾マシンガンに、ビームシールドは実体シールドにという、まるで1年戦争時代に戻ったような気分にさせてくれる。
完全に名前負けしており、さらに素人パイロットが操縦していたこともあり、議会軍のMS部隊によって血祭りにあげられていった。
正規パイロットのディーターも搭乗して出撃し、他の機体よりは何とか粘った。
本機に魔改造を施した「Fセイバー」がGセイバーの開発母体となる等、設定上は地味に活躍している。

●レイ
議会軍の量産型MS及びMW。無人MS開発計画「モビルウェポン計画」によって開発された新型機。
昆虫の様なデザインが特徴で、ツインアイが怪しく光る。
ビームランサーと背部ロケットランチャー、そして肩部マシンガンの嵐によって当初はガイア軍より少ない部隊で一方的に撃破しまくるも、マークのGセイバーによって形勢を覆された。
増援を呼んで再び窮地に落し入れるが、今度は更に倍あるIセイバー部隊によって全滅した。
そして、2機のMW型が…。
ジャックはMS型に搭乗。

●ブグ
議会軍の主力量産型MS。
実はセイバーシリーズと同じセイバーシリーズによって開発された機体である。
ガイア侵攻の際、ジャックが連れて来た2機がガイア内部まで攻めるが、マークのGセイバー重力下仕様により瞬時に撃破された。
本編では武装は実弾を主武装として、稼働時間が通常のMSと比較して3倍にも増えているが、ビーム兵器を選択する事も当然可能である。

●グッピー
冒頭でマークが操縦していた旧式の深海作業用MS。
潜水服のような姿をしている。



■備考
発表当初は「宇宙暦」という、アナザーガンダムに分類される作品ではあったが、のちに宇宙世紀に組み込まれた。
それ故に、1年戦争から100年以上も経っているのに技術が退化しているなどと色々言われてしまうようになったが、
アナザーガンダムのままだったら本当に黒歴史より闇の彼方に葬り去られる羽目になっただろうから、比較対象としてある意味有名ではある。
CGは十数年前のものに関わらず、関節の動きや姿勢制御など、細かい動きまで丁寧に描かれており、今の視点でも充分に高品質である。
特にコロニーミラー上におけるビームサーベル戦と、広大さと巨大感を演出するカメラワーク(?)も注目に値する。
ガンダムのPS2ソフト第1弾として本作の1年後を舞台にしたゲームも発売され、そちらが今現在宇宙世紀最新の物語となっている。

2015年現在ガンダムシリーズを時系列順に並べると、本作の次は『ガンダム Gのレコンギスタ』となる。
しかし、同作にて宇宙世紀末期に深刻な食糧難が発生したと語られたことと、食用賤民の末裔「クンタラ」が登場したことから、
「生物発光体は活かされなかったのか?」「本作は正史に入れなかったのか?」と物議をかもした。





黒歴史に向き合うつもりで追記・修正をお願いします。

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