All You Need Is Kill

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All You Need Is Kill - (2023/06/16 (金) 22:17:33) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2014/01/13 (月) 19:34:38
更新日:2023/07/28 Fri 19:04:17
所要時間:約 5 分で読めます




「…ひとつ聞きたいことがある」

「ジャパンでは食後のグリーン・ティーは無料だと聞いたのだが、本当か?」

「自分の名前はリタ・ヴラタスキ」

「おまえが死ぬまで、そばに居よう」


『All You Need Is Kill』とは、2004年に発売された日本のSFライトノベルである。全1巻完結(ただ著者は現在続編を執筆中)。
ラノベマニアからの評価が高い作品の一つであり、神林長平や筒井康隆といったSF作家からも絶賛されている。

レーベル:集英社スーパーダッシュ文庫/JUMP-J-BOOKS(新装版)
著者:桜坂洋
イラスト:安倍吉俊/小畑建(新装版)

【概要】

スーパーダッシュ文庫から出された時点で、なんとアニメ化やコミカライズなどの過程を一気にぶっ飛ばし、
いきなりハリウッドでの映画化が告知されるという衝撃的なデビューを飾った。

その後映画化の話はしばらくほっとかれたが、10年後の2014年にトム・クルーズ主演のハリウッド映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』が公開(英題:Edge of Tomorrow→Live Die Repeat)。
登場人物やストーリーの展開に様々なアレンジをされているが評判は良い。

映画化に合わせ、週刊ヤングジャンプにて作画:小畑健、構成:竹内良輔 によるコミカライズ版の短期集中連載も行われた(全2巻)。


「絶望的な戦力差での戦い」「男女バディ」、そして「ループ要素」など、いかにも現在ウケそうな要素が詰め込まれた作品だが、
持ち込まれた当時は「売れ線ではない」と看做され、王道的なライトノベルの実績を作ってから持ち込むことになった。

その結果書かれたのが「よくわかる現代魔法」……作風変わりすぎだろ。

なお本作の着想は『高機動幻想ガンパレード・マーチ』から得たものである。

また、決着がつけづらいためループものではあまり取り上げられない「ループ能力者同士の対決」がストーリーの軸となっている。

【あらすじ】

「ギタイ」。そう呼ばれる地球外生命体により、徐々に侵略されつつある地球。
初年兵キリヤ・ケイジは戦っていた。トーキョーのはるか南方、コトイウシ島。そこは地獄の激戦区であった。
そして敵弾が身体を貫いた瞬間、ケイジは出撃前日に戻っていた。
あれは夢だったのか?疑問を抱きながら翌日出撃したケイジの身体を、あっけなく敵弾が貫く。
目を覚ましたのは、出撃前日の朝であった。

出撃。戦死。出撃。戦死。
死すら日常になるループが158回を数えた時、ケイジはひとりの女性と再会する──

【用語】

・ギタイ
数十年前に隕石に乗ってやってきた地球外生命体。樽のような形の胴体に、短い4本の手足と1本の尻尾、無数の棘が生えている。
兵士曰く「ぶくぶくにふくらんだカエルの溺死体が立ち上がった格好」。生物学的にはヒトデに近いらしい。
映画版では全身をスクリューのように使って移動するコードの束みたいな四足獣。

体は人間よりも小さいが中に重い砂のような物体が詰まっており体積密度が高く、非常に頑丈。
その腕が振るわれれば人間の体など容易く千切れ、棘を発射する通称スピア弾は40mm機関砲と同等の威力がある。
フル装備の兵士が20人で囲ってやっと一体を倒せる程度の、絶望的な戦力差がある。
体中から有害物質をまき散らしており、ギタイの通った跡は生物の住めない不毛の地と化す。
一切のコミュニケーションが不可能であり、侵略の目的は、不明。


・統合防疫軍
ギタイの侵略に対抗する為、全世界規模で文字通り統合された軍隊。
ギタイを相手に完全に崖っぷち間際の戦況であったが、ある兵士の登場のおかげで徐々に巻き返し始めている。
主力となる一般兵士が装備するものが、後述の「機動ジャケット」。
なお軍内で使用される言語は「高速英語(バーストイングリッシュ)」*1で統一されている。

・機動ジャケット
いわゆるパワードスーツ。全身を囲うように装着する為、表情も見えなくなる。
これが無いとギタイ相手にまともに相対することも出来ないが、あればどうにかなる程の物でもない。
特徴として左肩に装弾数20発のパイルドライバを装備しており、この武器ならば20mm機銃や至近距離からのショットガンすらろくにダメージも通らないギタイの装甲を貫く事が出来る。
…問題は杭が当たるような至近距離で、ギタイ相手に生きていられるのかという点である。
因みに初戦でのケイジはこれを15、6発は外している。

また、バッテリーが切れやすいという欠点がある。
リタは「戦死した仲間のバッテリーを拾って付け替える」という方法で対処していた。

部品の多くはチャイナで生産されているが、軽くて硬い複合装甲に使われている精密技術はジャパンの賜物とのこと。


【登場人物】

キリヤ・ケイジ

演:トム・クルーズ

主人公。年齢は明らかにされていないが、少なくとも22歳以上。*2
統合防疫軍に所属する、訓練校上がりの初年兵。
初戦で死の直前にギタイ・サーバを攻撃したことを切欠に、死亡しては出撃前日の朝に戻るというタイムループに巻き込まれる。
このループから抜け出す為に覚悟を決め、幾度となく訓練・出撃・戦死を繰り返すうちに、一人前の兵士へと成長していく。

女性から(性的な意味で)誘われるというフラグが立っても、訓練に時間を費やす為に容赦なくへし折る漢。
でもリタは特別。
因みに戦場で死を迎える状況・原因は1ループ毎に全て異なる。
漫画版は…細面のイケメン。
ハリウッド版ではウィリアム・ケイジという名前になっており、階級は少佐。軍の報道官として勤務していたが、ある日突然前線へ送り込まれることになってしまう。

リタ・ヴラタスキ

演:エミリー・ブラント

ヒロイン。軍に入るには22歳以上でなければならないのだが、書類をごまかしていて本当は19歳。
機動ジャケットをガンメタリックのレッドで塗装し、「戦場の牝犬(ビッチ)」のふたつ名で呼ばれる。統合軍US特殊部隊所属の精鋭で、人類が今まで撃破したギタイのうち約半数は彼女の手柄だとされている。

統合軍から戦場の女神とかクイーンとか、盛大なプロバカンダに使われているが、ケイジの小隊はこっそり「クレイジーリタ電波スキー」などと呼んでいる。

とは言え実際に、正規の装備ではない巨大なバトルアクスを振い、数多のギタイを屠り、多数の勲章を授与されていることから、常人とはかけ離れた強者であることは間違いない。
美人なのだが戦場という環境に長く身を置いてきたせいか、ややすさんだ目をしている。錆のような赤髪で背は低く、貧乳。

固い話し方をするが、意外とお人よしな面があり、結構な負けず嫌いでもある。
唯一の趣味はコーヒーを淹れること。


漫画版は…ほぼ別人。
ハリウッド版では金髪で、ジャケットは全身ではなく一部にレッドのラインが入れてある専用機になっている。

ヨナバル・ジン

ケイジの先輩。伍長。軽い性格のおしゃべりで、ミステリー小説の犯人をばらす悪癖がある。彼女がいる。
ハリウッド版には登場しない。

バルトロメ・フェレウ

小隊の最先任軍曹。超体育会系気質の筋肉モリモリマッチョマンで、基礎訓練(PT)大好き。
20年以上前(当時は機動ジャケットすらない)からギタイ相手に戦場で生き残ってきた凄腕でもある。
ハリウッド版には登場しない。

シャスタ・レイル

リタ専属の技術者。眼鏡で三つ編みのちびっこ。リタのバトルアクスは頼まれて彼女が作成した物。
ジャパンのカプセルトイの収集が趣味。
彼女が持つレアトイに、本物とは似ても似つかない『ハリウッド映画でのリタ』*3を再現したフィギュアがある。
世界がこんなになってもそんな物を作っていられるチャイナ恐るべし。USもばんばんムービーを撮ってるけど。

ハリウッド版では彼女の代わりに、リタやケイジに協力してくれる研究者のおっちゃんが登場する。

レイチェル・キサラギ

第二食堂で働く美人栄養士。前線基地の兵士から非常に人気が高い。因みにケイジよりは年上。
ハリウッド版には登場しない。

ケイジの主な死因

  • ヨナバルがスピア弾で死に動揺したところにスピア弾を食らって死亡(一回目)
  • その次の回はまずヨナバルの方に弾がいくと思って油断していたら自分の方に来て死亡
  • 基地を脱走して戦場から逃げたらそこにもギタイが追ってきて不運な民間人とともに死亡
  • パイルドライバは弾数が限られているからとリタの真似をしてバトルアックスに手を出して死亡*4
  • ヨナバルに推理小説のネタバレをされながら死亡
  • 出撃前の訓練中に背骨が折れたためこの周に見切りをつけたリタに撃たれて死亡(映画版)



追記・修正はジャパンのレストランで食後の無料のグリーンティーを飲んでからお願いします。

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