1ショットキル

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1ショットキル - (2019/02/14 (木) 23:20:41) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2009/06/11(木) 18:48:08
更新日:2024/04/14 Sun 14:11:01
所要時間:約 3 分で読めます







One Shot Kill




1ショットキルとは、主にトレーディングカードゲームで起こるトンでもない事象である。

対戦相手に1ターンで致死量のダメージを与え、勝利すること。
名前の由来は、西部劇で決闘相手を弾丸一発で勝負を決めることから。

【概要】

1ターンキルとは似たような言葉ではあるが、
そちらは厳密には先攻・後攻プレイヤーの第一ターン目に勝利することを指すので、1ショットキルとは区別される。

ただし、遊戯王OCGのように、両者の使い分けがややあいまいになっているタイトルもある。

瞬殺系コンボデッキ以外でも可能であり、相手がライフを使いまくるデッキなら稀に成立することもある。
だが、実際にこれを決めて勝つことは自分、相手のデッキや手札の状況、現在の盤面、
その時の運等に左右されやすく、決めることも、決められることもなかなか無い。


環境で1ショットキルが流行すると色々と物議を醸すことになる。
1ショットキル自体は相手に反撃を許す間もないスマートな勝利方法ではあるが、
相手にとっては、駆け引きもクソもなくあっという間にゲームが終わってしまい、味気ないことこの上ないためである。

勝利こそが最高の目的とされる大会の環境ならともかく、
カジュアルプレイの場で1ショットキルばかり狙うのはどうしても顰蹙を買う結果になってしまうだろう。

ちなみに、1ショットキルにかかる時間があまりにも長かったりすると、一方的にプレイし続ける様が「ソリティア」と皮肉られることも多い。

絶対に勝たなければならない場ならともかく友人との友情を大切にするならば、こうしたプレイに対する遠慮も必要だろう。

遊戯王やデュエル・マスターズといったTCGアニメ、漫画においてはワンショットキル、ワンターンキルは非常に忌避される傾向にある。
理由は上記の問題点の通り駆け引きもクソも無いまま一方的に終わってしまうため販促も兼ねたストーリー展開と著しく相性が悪いのである。
ただし使い手が全く登場しないというわけではなくプレイヤーの腕を見せつけるための演出として行われる事もある。
しかし、普通に進行するとものの数分でゲームが終わってしまい尺が余りまくってしまうためやたらカード効果の説明を行わせたり行う必要のない処理を行わせたりする等して尺伸ばしをする事のだが、これによって却ってテンポが悪くなってしまう事が多いので視聴者からの評価は大抵低い。



【Magic:The Gatheringの場合】

すべてのTCGの開祖だけあって、MTGには数多の1ショットキル手段がある。
大まかに分けると
  • 普通に致死量のクリーチャーで殴り倒す。
  • 特殊勝利を狙う
  • コンボで殺す
の3パターン。それぞれ死因は状況によって変わる(例えばコンボ型の【MoMa】だと、死因は《天才のひらめき/Stroke of Genius》によるライブラリーアウトと、《火の玉/Fireball》による直接火力の2種類)。

MtGの場合、理論上自分のターンが回ってくる前に相手を倒す事すら可能。その場合は1ターンを超えているという事で0ターンキルと呼ばれている。
多くの場合はワンショットよりは「即死コンボ」という通称で呼ばれる。

モダン以下の環境では比較的起こりやすいが、カードプールによってはスタンダードでも即死狙いのコンボデッキが姿を見せることもある。
一番使えるカードの多いヴィンテージに至ってはコンボデッキ以外でもアクセント感覚で即死コンボが仕込まれている場合がある。
《修繕/Tinker》から《荒廃鋼の巨像》を持ってきて次のターンに殴るというわかりやすいパターンでも、デッキを2~3枚削って《修繕》1枚と《荒廃鋼の巨像》1~2枚を入れれば十分活躍する。

フォーマットによって即死も含めたコンボに対するWotc側の対策も異なり、レガシーでは安定2ターン、モダンでは安定3ターン以内で決まるようになったら逮捕される傾向にある。ヴィンテージでは基本的に勝率や環境での支配率が優先される。
流石に手間がかかるような即死コンボを止められなかったら「止められなかった方が悪い」という訳である。この辺は使いやすいカウンター呪文が豊富なカードゲームだからこそと言うべきか。

なお、ネタ的な即死としてスーサイドブラックVS赤単における友情コンボがある。
有名な所では初手抹殺者にショックとか、ヘイトレッドで19点払った隙に本体にショックとか。


【遊戯王OCGの場合】

遊戯王OCGでは、何と環境上位デッキの多くが初期ライフの8000からでも1ショットキルが可能とされている。
第6期辺りから環境が大きく変化し、爆発的な展開力を持つデッキが増加したためである。
環境上位ではないデッキですら、実用性のある1ショットキルのためのギミックを搭載している事が珍しくない。

そもそも遊戯王OCGには召喚酔いがなく、カードを使用するためのコストの概念が希薄であることも影響している。
他にも、強力な新規カードの追加や旧カードの再評価といった環境の変化で、デッキの展開速度が上がりすぎた事により、
そのデッキの持つ通常の動きをしているだけで相手ライフを8000以上削れるというのもある。

「1ショットキル狙いのデッキ構築やプレイングがデッキの安定性を落とす」ことにならず、1ショットキル型の構築が主流になることも多い。


そのため、遊戯王OCGのプレイヤーの間では、「相手のワンキルを許してしまう方が悪い」という風潮も強い。
大会で勝ち抜くには対策は必須と言っても過言ではなく、サイドデッキに対策カードを投入する人は非常に多い。
環境によってはメインデッキから対策カードが投入されていることすらある。

とはいえ、【終焉のカウントダウン】等に代表される低速のデッキも多く、必ずしも「遊戯王OCGの環境=ワンキルしかいない」というわけではない。


一応、カジュアルプレイなら無理に対策しなくてもよい。
純粋にゲームを楽しむための場では、すぐに勝敗が付く世紀末な状況は好ましくないためである。

だが、勝つ気がないタイプのネタデッキでもない限り、少しは相手を妨害できるカードも投入した方がいいだろう。
どんなレベルのゲームであっても、相手に好き勝手にゲームをさせないというのは基本中の基本である。
自分のデッキのコンボを決めたり、エースモンスターを活躍させたいといった思いは誰にでもはあるはずなので、
それまでの時間を稼ぐための方法を用意しておくのが望まれる。

なお、1ショットキルができるデッキは殆ど減らないが、先攻1ターンキルに関してはすぐに規制が入る傾向にある。
先攻1ターンキルが横行し続けるようなTCGは一発で終わるから仕方ないね。


ちなみに原作でラーの翼神竜による出来そこないの1ショットキルが「1ターンキル」と呼ばれたため、
遊戯王界隈では1ショットキルも1ターンキルと呼ぶ事が多いが、最近は1ショットキルを使う人も増えてきている。

アニメ遊戯王ARC-Vにて主人公の榊遊矢から「ワンショットキル」という言葉が初めて出てきた。
今後は遊戯王でもこの二つの単語を分けて考えるようになるかもしれない。

ちなみに原作者の高橋和希曰く、遊戯王(という作品は)は「主人公(遊戯)が絶対人を殴らない格闘モノ」。
そういう意味では互いに殴り合ったり、防御したり、一撃必殺狙ったり、「相手ターンは俺のターンだぜ」なデッキがあったりしても、
ある意味では問題ない…かもしれないが、さすがにソリティアすぎるのと先攻1キルが簡単にできるのはダメか。

1ターンキルという言い方自体は日本語(英語なら普通は「Turn One Kill」)なのだが、
英語圏であっても遊戯王プレイヤーは日本にならって「One Turn Kill」という言葉を愛用しており、略語である「OTK」と呼ぶことがある。
ちなみに「ゲームが始まって1ターン目に相手を倒す」という本来のワンターンキルの場合には、
1の序数である「First」を使用し「First Turn Kill」及び「FTK」と表現されている。


【デュエル・マスターズの場合】

デュエマは迂闊にシールドをブレイクすると増えた手札やS・トリガーによって逆転されやすいため、
ビートダウン以外のデッキ(コントロールやコンボデッキなど)はダイレクトアタックの体勢が整うまで無駄な攻撃はしないのが定石となっている。

つまり、ボルバル云々を置いといても1ショットキル自体はそこまで珍しいものではない。

ただし、クリーチャーは召喚酔いし、カードを使用するためにマナというエネルギーが発生する都合上、
とどめを刺せるまでに盤面をコントロールできるまでには結構な時間がかかる。

また、相手もこちらを妨害してくるため、1ターンでとどめを刺せるだけのカードが揃わず、結果として少しずつシールドをブレイクしていくことも多々ある。

例外として、コントロールだが1ショットキルを行わないデッキにはボルメテウスコントロールなどがある。
これは、ブレイクしたシールドを墓地に送れる「ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン」を使用するデッキである。
因みに先攻1ターンキルはゲームシステム上不可能……という訳ではなく理論上は可能である。
まぁ超低確率なのでほぼ不可能と言っても差し支えないが。


また、聖拳編から転生編の時期には「1ショットキルが得意」というより
実質的に1ショットキルをしなければいけない」カード、無双竜機ボルバルザークが存在していた。
おおまかに言えば「自分のターンを2回行った後、自分は敗北する」という効果だが、
当然のごとく「ボルバルを出せば確実に勝てる状況を作ってボルバルを出す」事が最強の戦術となり、暗黒期「ボルバルマスターズ」を産みだした。
さすがに現在では規制されており、禁止カード扱いとなっている。


初めから1ショットキルを勝ち筋としたデッキも少なからず存在する。
デュエマで「1ショットキルデッキ」と言われる物の殆どはコンボデッキであり、
「ガンガン・マンモスワンショット」のような半ネタっぽいものもあれば「シューゲイザーワンショット」のようなガチデッキレベルのものも存在する。
公式が紹介したループコンボをとあるプレイヤーが悪用した結果、一時は各地の大会で暴れまわるほどの怪物デッキと化した「メルゲループワンショット」なんて代物も…。


アニメ「VSR」では禁断のカードを手にしたライバルキャラのバサラが実際に1ショットキルを宣言・実行し、勝利を収めている。
そちらの持つデメリット能力のことを考えると、むしろ積極的にビートダウンしつつ禁断解放を狙った方が良いのだが、
この時は燃える革命 ドギラゴンを初めとした革命能力を使わせずに勝利するという意図があった。
実際バサラが1ショットキルを行ったのはこの一戦のみであり、以降は比較的積極的に攻めつつ禁断解放を狙っている。


【フューチャーカード バディファイトの場合】

「フューチャーカード バディファイト」では、主人公の未門牙王がライバルキャラ相手に1ショットキル(後攻1ターンキル)をやらかした。
何を隠そう4クールアニメの第6話のことである。
元よりバディファイトは「先攻が1度だけアタック可能」「初期ライフ10に対して3や4のダメージが頻繁に飛び交う」「カウンター手段が限定されている」という攻撃的なゲームであり、
極めつけは特定の条件を満たした相手に致死量のダメージ(回避不能)を与えるという文字通りの「必殺技」がシステムとして組み込まれている。(牙王がやったのもそれ)

作中では戒めの意味もあったのか、仲間のデッキ職人に「色んな意味でお勧めはできん」と言わせたり、
牙王がそのワンキルのことをずっと気に病み続けたりと、ワンキルという行為は忌むべきものとして扱っている。


【コードオブジョーカーの場合】

軽量なユニットを多数配置した上で、対戦相手の全ての行動権を消費させる黄色カード「ジャッジメット」を発動。
一気に相手のライフを削りきって勝利する「ジャッジメント1ショットキル」デッキがゲーム黎明期に流行した。
タイプとしては場に出して即行動権を得られる「突撃の合図」や
既に行動を終了したユニットの行動権を回復する「大天使ミカエル」を用いるなど
同じワンショットでも複数のデッキタイプが存在した。

キーとなるカードのCPが重い為、早期ターンで行うことが難しい等の欠点もあるが
稼働最初期は0CPで場に出せるユニットが多数存在し、カードのバリエーションも限られていたこともあり
相手のデッキに黄色が含まれていた場合、まずこれを警戒しなければならないほど恐れられたデッキ。
実質対処可能なカードが「逆転の大竜巻」だけだったこともあり、最低1枚は皆デッキに入れていた。

現在は度重なるバランス調整を経て、再現は不可能ではないが非常に困難なコンボとなっている。


【1ショットキルの一例】

  • アバターシュート
  • 補充+伏魔殿
  • スパイクシュート
  • スーサイドウォール
  • ドラゴンストーム
  • キュイシュート
  • ドレルーラ
  • アザディスタンドレル
  • ノリスショット
  • 対戦相手が赤なのにヘイトレッドで19ライフ投入
  • ジョインジョイントキィ
  • 読書ことみちゃん1kill(現在使用不可)
  • デミウルゴス・ローレルリング白ちゃん1shot(〃)
  • ダーク・ダイブ・ボンバー(現在使用不可 効果をエラッタされて今度帰ってくるかも→帰ってきました)
  • 未来オーバー (〃 当分帰ってこれなかったが、最近融合召喚用途を強化して帰ってきた本来そのためのカードなんだけどな!
  • CNo.39 希望皇ホープレイ(アニメ版)
  • 元々の攻撃力3000のモンスターを攻撃力0にして、オッ素で攻撃で4000ダメージ! これで、ワンショットキルが成立!(←発動していたのさ!)
  • 星龍マーシャル
  • マジックカード! パワーボンド発動!! (どっちかが死ぬ)
  • チープエリミネイト
  • 探求者ポリゴン
  • リノセウス


なおライブラリー破壊は基本的にone shot killにはならない。
ドローをする際に、ライブラリーが無かったことによる敗北であるため、相手のドローステップまで待つ必要がある。
(ライブラリー破壊後すぐにドロースペルで相手にカードを引かせるか、そもそもカードを引かせることによるライブラリー破壊なら即死する)


【余談】

さて……1ショットキルの語源こそ銃ではあるが、
デッキ構築においては『日本刀』に例えた方が、非常にしっくりくる。

というのも、ワンショットキルはパーツが揃えば即死という、いわゆるコンボの部類にカテゴライズされるからである。

コンボパーツを揃える確率を上げる方法はただ一つにして単純明快。

すなわちデッキスペースを消費してサーチ・ドローカードを増やす事に外ならない。

しかし、ワンキルコンボの為にデッキスペースを消費すればする程、
コンボを外した時の立て直す為のカードが少なくなるのもまた事実であり、
ぶっ放しを外した前と後で、自分と対戦相手の絶望感がそっくり入れ代わってしまう。

その為、ワンキルデッキを作る際はそのフォローを念頭に置いた構築が求められるが、
その場合今度は逆にワンキルコンボの成功率と速度が下がってしまうのがほとんどである。

それは正に、鍛えれば鍛える程鋭さ脆さが増していく日本刀そのものだろう。



そのTCGのゲーム性を損なうと危険視される一方で、ワンキルには不思議と使いたくなる魅力がある。

そもそもTCGにおけるゲームの目的とは相手を倒すことである。

ちまちま攻めて反撃を喰らうよりかは、1ターンでサクッと勝負を決める事こそ最も確実で美しい勝利の形とも言えるだろう。

相手にして見れば堪ったものではないが、そこにはある種のロマンが含まれていると言える。


また、その過程に複雑なコンボを利用するものも多い。

それは戦闘力の確保といった意味合いとは別にあるもので、一度使ったら病み付きになることも多い。

熟練したプレイヤーが、まるで手品師のように大量のカードを巧妙に動かしていく様に憧れの念を抱いた人も多いだろう。

忌むべきものでありながら、同時にプレイヤーの心をつかんで離さない。

まさしく呪われた妖刀のような力である。

【余談2】

FPSゲームにおいてもワンショットキルもしくはワンショットワンキルという単語が使われるが、こちらも文字通り1発の攻撃だけで敵を倒す行為を指す。
主に近接攻撃や近距離でのショットガン、スナイパーライフルでのヘッドショットなどが該当する。
撃ち合いという攻防に持ち込む前に仕留める、という点ではTCGと同じ意味で嫌われている・・・かもしれない。

熟練した凸砂(突撃スナイパー)と呼ばれるスナイパーはクイックショット*1で近距離であろうと容赦なくヘッドショットでワンショットキルを決めるらしい。なにそれこわい。



追記、変更はワンキルデッキを節度を持って使える方がよろしくお願いします。

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