ATS(自動列車停止装置)

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ATS(自動列車停止装置) - (2014/02/24 (月) 19:27:58) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/11/15(火) 05:30:35
更新日:2022/04/12 Tue 20:42:39
所要時間:約 5 分で読めます




ATSとは、自動列車停止装置の事である。Automatic Train Stop systemの略。信号無視するとジリリリンッっと止まるシステムである。
決して、当たって止まるシステム(Atatte Tomaru System)の略ではない。





…これだけでは一般人はまずわからないと思うので、非・鉄道好きにもわかりやすく説明する。
まず、鉄道信号機について簡単な説明をしよう。

現在の鉄道信号機は、自動車のように時間制ではなく、「前方に列車がいるかどうか」で信号が変わる。


こういう事だね

                
  ←列車A           ←列車B


                
列車A          ←列車B
1.信号機Aとその次の信号機の間に列車がいたら、信号機Aは赤信号(止まれ)
2.信号機Aの次の信号機-その次の信号機間に列車があるなら、信号機Aは黄信号(速度落とせ)
3.そのいずれにも列車がいないなら、青信号(その区間の最高速でおk)

基本はこうである。実際には、さらに多くの色パターンがあるが(黄黄黄青点滅青青)、だいたいは同じである。



さて、鉄道信号機についてはだいたい理解していただけただろうか?それではATSについて説明しよう。
私鉄形などを含めると種類が非常に多いため、ここでは代表的なATSの、「S形」「Sx形」「P形」および、ATSの前身の「車両警報装置」について説明する。

●車両警報装置
国鉄時代、信号無視による事故が多発していた。そのため、国鉄はATSの前身となる「車両警報装置」(警告音が鳴るだけ)を開発した。
しかし、反射的に警告音を消してしまう運転士が多い上に、居眠りや飲酒などの判断力が低下している状態ではほとんど役に立たないため、依然事故は多かった。そのため国鉄は、改良をしたATS-S形を開発した。



●ATS-S
前述の通り、車両警報装置はあまり意味がなかったため、国鉄は自動ブレーキ機能を付けた「ATS-S」を開発した。
前述の車両警報装置に比べて、居眠りなどの事故を減らしたが、このシステムには重大な欠陥があった。

ATSの警報が鳴って5秒以内に確認ボタンを押してブレーキを掛けると、ブレーキが作動しないのだ。(これをATS確認という)
そして、運転士は反射的にATS確認をしてしまうので、本質的には車両警報装置と大して変わらないのだ。

そのため、JR各社はこれに改良を加えたATS-Sxを導入し、ATS-Sを淘汰した。

●ATS-Sx
ATS-Sからさらなる改良を加えたATS-Sx…。
これを導入してから、事故が相当減少した(ただし、国鉄民営化による体質改善の影響だという可能性あり)
このタイプの挙動は、信号機数百メートル手前で速度照査(速度をチェック)を行い、指示速度を超えているとベルが鳴り、ATS確認をしないと非常停止する。え?ATS-Sと同じじゃないかって?

ATS-Sxの本気はこんな物ではない

ATSを確認したあと運転を継続できるが、信号機数メートル手前で再び速度照査を行う。そして、もし速度超過をしていたら、直ちに非常ブレーキが動作する。

しかし、これにも欠点がある。まず、一部を除いて、閉塞信号機(駅と駅の間の信号機)に対しては即時非常停止機能が無い。つまり、ATS-Sと変わらない
また、即時停止機能がある場所でも、即時停止は信号機のすぐ手前で発動するため、高速で進入したら減速が間に合わない。残念ながら、故意に暴走した場合は防ぎきれないのである。

これらの欠点を完全に無くしたのが次に紹介するATS-P形であるが、P形が開発された現在でも、Sx形は未だに多数残っている。
まあ、SxをPに変えるには金が掛かるし、Sx形でも大体の事故は防げるのでしょうがないのかもしれないが…。

ちなみに、福知山線脱線事故が発生した際、報道各社は「ATS-Pだったら防げた」「Sxだったからダメ」などと大々的に報道したが、実際にはSx形でも地上子さえ付ければ防げた。見事なマスゴミ



●ATS-P
Sx形の欠点を無くすべく開発されたのが、このP形。
これは以前のATSとは全く違う。
第一に、P形は常に速度照査している。

次に、速度超過した場合に非常停止する訳ではなく、制限速度まで減速するだけなのだ(JR東海のATS-PT形を除く)。これで、"うっかり数km/hだけ超過してしまって非常停止、ダイヤが乱れる"という事がなくなった。ただし、必要な場合はちゃんと非常ブレーキが掛かる。
そして、P形の最大の特徴と言えるのが、信号機までに減速出来るギリギリのパターンを計算して、そのパターンから外れた場合のみ減速するのだ。
ようするに、速度超過してから減速ではなく、速度超過しないように減速するのだ
これならば、Sx形のように減速が間に合わない事もない。

このように、多くの機能を有すP形は、どちらかと言うと、ATSよりATC(自動列車制御装置)に近い。
ただし、ATCは地上ではなく車内に信号機がある。※初期のATCは地上信号方式なので、ATS-P形に限りなく近いと言える。

また、JR東日本では地方線区向けにSx形にパターン発生機能を追加したATS-Psを独自で開発し、東北・信越地方を中心に導入されている。こちらはSx形の上位互換であるため、Sx形のみを搭載した車両もPs区間への乗り入れが可能であり、Ps導入車両もSx区間への乗り入れが可能である。

余談だが、電車でGO!のATSは、異常に急なブレーキが掛かるので、TAITOが独自開発した「ATS-T形」だとか言われている。







追記・修正は、ベルが鳴ってから5秒以内にブレーキを掛けて編集ボタンを押す。

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