F-1(航空機)

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F-1(航空機) - (2014/08/30 (土) 22:04:10) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2014 8/30(土)
更新日:2021/08/15 Sun 04:01:22
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F-1(航空機)

三菱重工が製造し航空自衛隊に幅広く配備された高性能な戦闘機(攻撃機)である。実際のカテゴリーでは戦闘爆撃機に相当する。ある意味戦後初の国産の戦闘機として当時は話題を呼んだ。どうせなら日本流に一式と呼んだ方がまだ適応かも知れないが、既に航空自衛隊では発足後からアルファベットが用いられておりもっぱらF-1もこのような名前で配備されることになる。愛称はない。フランス空軍にミラージュF1という戦闘機があるが関連性はない。

【開発まで】
1960年代、世界各地が次々と超音速で飛行し尚且つ敵陣をなぎ払う戦闘機の開発が盛んだった時代である。丁度は東西冷戦のまっただ中でありアメリカとソビエト(当時)の中心にあった日本は有事の際には北海道が主戦場になるとして軍備増強を行った。事実、ソビエトはMiG-21やMiG-23といった戦闘機を展開しており空母に相当するキエフ級航空巡洋艦も配備されようとしていた。日本では洋上において日本の海上自衛隊が有利に戦えるように敵の海上戦力を可能な限り殲滅することを模索。が、F-86DやF-80の次に配備されたF-104は迎撃戦闘機として配備されていたため爆弾搭載量が極めて少なく対艦ミサイルなど搭載する余地もなかった。
結局、国産の戦闘機が必要と判断されたのである。一から戦闘機を作ることは困難なので、配備されているT-2をベースにした戦闘機の開発が進められたのである。開発機はFS-T2改と呼ばれた。

【政治的問題】
案の定、日本には自衛隊のことを快く思わず冷たくあしらう政治家が多く実際に自衛隊の敵は彼らではなかろうか。ましてや、当時はアメリカの武器を入手する提案・・・・とどのつまり飛行機を作らせないという思考が渦巻いていた。
で、アメリカのノースロップ社に頼んでF-5戦闘機を配備しようと考えていたのである。実際、後押ししていたのは社会党であり日本のF-4やF-104から空中給油装置や爆撃用コンピューターを省かれて性能低下を招いたのもこいつらの仕業。
しかも、F-5は兵器搭載量がほぼ皆無な小型の軽戦であり空戦性能ならともかく航続力すらも劣る。自民党等は大規模な抗議を展開し「FS-T2改は航続力と兵器搭載量が優れておりF-5では航続力と搭載量で確実に使えなくなる。
F-5はギリシャやトルコ、南朝鮮などに配備または予定がされているが我が国には好ましくない。理想的な戦闘機はFS-T2改である。と述べたことにより奴らを屈することに成功し」た。

しかし、実際には社会党等は爆撃能力があり他国への脅威になると非難した。運用する側はそんな気などないのに。

が、ここでも関係者等は「我が国を守るために爆撃能力を備えている。が、足が短いため他国へ脅威を与えることはない」と発言し再び奴らを磨り潰した。

【試験から配備まで】
FS-T2改はT-2を元に後席を潰してレーダー警戒装置を内蔵。加えて試験的に塗装を変更し模擬弾も搭載した上でテストが相次いで行われた。
いずれにしても爆弾の投下からミサイルの発射、やがて代表する装備となる空対艦誘導弾などのテストも行われ全ては順調に進んだ。
こうして原型機は75年の6月3日に初飛行し防衛庁(当時)より正式名称としてF-1という名前が与えられ各部隊へ配備されることになった。

【T-2との違い】
T-2を元にしただけあって同一のように思われるが、実際には細部にわたって変更されている。外観の違いは、後席を潰して兵器管理用のコンピューターが内蔵された。
これにより空対艦誘導弾から空対空ミサイルを運用できるようになった。更に、爆弾搭載用のラックが新規装備され胴体にも付けられるようになった。
全高だがレーダー警戒装置を尾翼に取り付けたことにより高くなった。塗装も迷彩になっているがこれは他国の迷彩とは異なり日本の風土にあった色合いをなしている。
後に加わる川崎C-1もこの迷彩になっている。また、レーダーを新規にした上で洋上探索にも使えるようになった。操縦席では計器や高度計、新規で追加したレーダー警戒装置の作動用ボタンが追加されている。

【攻撃力】
主に攻撃力を話す上で外せないのは対艦ミサイルである80式空対艦誘導弾。この誘導弾は事実上F-86やF-104といった機体には装備できずF-1しか運用できない。目的が敵艦の撃沈だからしばしF-1を現代の雷撃機とも言う人もいる。
命中精度?いうまでもなく高いぞ。どれぐらい高いかと言えば・・・・最初の発射試験の際に標的艦を狙って発射された・・・・が、なんと外してしまう。

原因を調べたら、ミサイルが着弾するのを観測するための装置の配線部が高温になっておりセンサーがそっちの方を捉えたからということが判明した。

加えてFCSやコンピューターなど当時としては世界最先端の技術を駆使しており護衛用のサイドワインダーや最大12発積める500kg爆弾など他国の攻撃機には引けを取らぬ性能だった。もちろんバルカン砲も装備しているが・・・・正直F-1にはいらないかな・・・・。なぜかというと後で話す。


【アドーアの悲劇】
さて、この戦闘機を攻撃機としか話せないのはある重大な事実がある。それは、このF-1が搭載しているエンジンっであるロールス・ロイス/チュルボメカ「アドーア」に問題があったのだ。なにせT-2から同じエンジンも受け継いだことが災いしてのことである。なにが悪いかというと・・・・

エンジンのパワー不足である

エンジンの出力は最大でもたったの3.2t。3.2tしかないのだ。ファントムのエンジン1基分にも満たなかったのである。これで推力が2.3tしかないF-5タイガーⅡが採用されたらと思うと・・・・恐ろしいです。

T-2をF-1として使う。これを自動車に例えるなら〝教習車にスポイラーを付け足してレースカーとして使う〟に等しい行為であったのだ。実際に基地ではF-4ファントムやF-104に乗り慣れたパイロットからは総じて批判が寄せられた。

元々原形であるT-2は英仏共同開発で出来たゲテモノ・・・・もといジャギュアを元にしたというところまで遡る。このジャギュアはアドーアエンジンを使い練習機としても攻撃機としても使えるという仕様だった(ただし共同開発であるが故に部品調整の関係から実戦で役立つかは不明)。ここ注目。練習兼攻撃機。即ち高空まで駆け上がって戦闘機とドッグファイトをするという思想が存在していなかったのである。

当然ながらT-2を原形にF-1戦闘機が作ると決まった地点で気づくはずだったが、しかし、彼らからすればまさかドッグファイトを重視した戦闘機が後々現れるとは予想だにしていなかったのだ。加えて、日本の気候と高温多湿もあってかF-1はフル装備だと加速性能および上昇性能が悪いという問題が立ち上がった。まさに零戦みたいになってきたのである。

当然ながら政府や防衛庁はイギリスのロールスロイス・チュルボメカにエンジンの強化を依頼したが・・・・ろくに栄養がとれない料理を食べる国だけあって頭脳に心が回りかねたのか殆ど新技術提供や改良案はされず殆どエンジンについては無視されてしまった
あきれた日本はまだ未熟な技術を用いてアドーアの強化を行った。基礎から作れないが改良は出来た。
こうして微妙な形だが日本の技術でアドーアは強化されたが、この技術はそっくり海外にわたり欧州ではアドーアエンジンはあっさり強化されてしまう。しかも、このエンジンは輸出されず解禁されたのはF-2の選定が始まった頃。
この事態にはさすがに防衛庁の逆鱗に触れたとか。これが後で言う「アドーアの悲劇」である。エンジンの出力不足は兵器搭載量の減少の遠因にもなった。

言うまでもないが、只でさえ貧弱な技術しかもらえなかったことにより自衛隊の間では欧州の軍事に対して嫌悪感と果てない憎悪感が漂い欧州メーカーをどこまでも嫌悪する原因になった。

まあ、今は欧州で共同開発によりユーロファイタータイフーンが飛んでいるが、こんな機体しか作れない国に成り果てたのを見るとアドーアの悲劇はこの現状の兆しだったのかも知れない。実際に何度もあったF-X選定でミラージュやタイフーンも候補にあったが難なくスルーされている。

【こんなF-1だが】
さて、エンジンに関してネガティブな要素があるF-1だが、良い部分もある。ひとつは適切な操縦感覚である。要は操縦桿をこれだけ引けばこれだけ傾くといった感じでパイロットからすれば大変好評だった。まるでF-1が今なにが出来てなにが出来ないのかを話しかけてくるようだったそう。車で言うならハンドリングが良いという感じだ。
ふたつめは後席跡の上半分に設けられた手荷物入れである。予算の都合で後席が使えず前席を操縦席として残したF-1だが一般的には後方の視界が非常に悪く飛行中にキャノピーを開けない限りは後ろが見えないという問題点があった。しかし、上半分は荷物入れに使えたので移動に便利だった。同じ世代のF-4ファントムⅡが荷物を入れるのに専用のポッドを吊さないと運べなかったのを比べると世界的にも非常に便利な機体であった。

【現在】
戦終結と同時に西側では予算削減が行われたのである。F-1もこれに準じてか何機かが退役していった。同じ戦闘機でもF-4がかなりの時期にわたって使われているのだからF-1が完全に退役することはないだろう。なにより、後継機のF-2が貿易摩擦が原因で共同開発に持ち込まれた結果エンジンが1基しかないF-16をベースにされてしまった。洋上戦闘を行う自衛隊の戦闘機にとってエンジンが1基しかないのは致命的だった。この点でアドーアの双発であるF-1が再び軍配を上げたのである。

【登場作品】
戦後初の国産戦闘機だというのになぜか登場作品の数は少ない。ほとんど東宝の特撮映画では皆勤賞であるF-86とは正反対にF-1の出番は少ないのである。

ゴジラ - 84年版。カナード翼が追加されたF-1CCVが登場するがお約束通りゴジラに撃破される。

ガメラ2 レギオン襲来 - レギオンを爆撃するために爆装して出撃する。

他にも少数ながら登場作品はあるが、この2作品ほど目立った活躍はしていない。その原因は本機の性能から怪獣から逃げ切れないというのが本音であろうが、詳細は不明。

F-1に愛嬌を感じた方は追記・修正お願いします。

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