Pauper(MtG)

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Pauper(MtG) - (2015/03/24 (火) 10:16:45) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2015/02/04 (水) 14:02:18
更新日:2024/04/05 Fri 12:39:09
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Pauperとは、Magic:the Gatheringのフォーマットのひとつ。主にMagic Online上で行われる。

その特徴は、コモン、つまり最低のレアリティのカードのみでデッキを組んで戦うというもの。

そんな貧乏デッキの極致といえるデッキ、弱いのばっかなんじゃないの?と思ったあなた。
まずはPauperの赤単バーン(火力でひたすら相手のライフを攻めるデッキ)の主力カードを見てみよう。

  • 稲妻(1マナ3点、モダンなどでおなじみの言わずと知れた汎用火力の最高峰)
  • Chain Lightning(↑の調整版。1マナ3点ソーサリーで、撃たれた側がRRを支払えばコピーしてもう一発撃ちかえせる効果付き)
  • 溶岩の撃ち込み(本体にしか撃てない上ソーサリーだが、やはり1マナ3点)
  • 裂け目の稲妻(3マナ3点。ただし待機で唱えればタイムラグはあるもののこれまた1マナ3点)
  • 火炎破(山を二つ生贄に捧げれば、0マナ4点。これと上記の3点火力2枚で山2枚から計10点もっていける)
などなど。

……あれ?これレガシーのデッキだっけ?

そう、コモンのみとはいってもMagic Onlineでリリースさえされていればどんなに昔のカードでも使用できるのである。確かに神の怒りのような派手なカードや悪斬の天使のような1枚で劣勢を覆せるようなパワークリーチャーはないものの、この長いMtGの歴史上、基本的で堅実、そして強力なカードがコモンには数多く存在するのである。あの対抗呪文暗黒の儀式も、怨恨もすべてコモンなのだ。




以下、色ごとにこの環境での特徴を見ていこう。

もともと白は良く言えば万能、悪く言えば器用貧乏……な色である。
Pauperではその悪いほうが出ており、何かしら尖った強みのある他の色に対しこれといった特徴がない。

だが決して弱い色ではなく、《未達への旅》や《忘却の輪》といった優秀な除去に、《虹色の断片》や《心優しきボディガード》のようなクリーチャー保護手段、そしてかの《戦隊の鷹》をはじめとした白お得意の優良ウィニークリーチャーによって、白ウィニーは安定した動きができる。
特に、強力なトークン生成呪文である《金切るときの声》を軸にした白単トークンがデイリーイベントなどでも結果を残している。

その他、対単色デッキ最終兵器である各種防御円もコモンであり、白を含むデッキのサイドボードにはよく積まれている。

Pauperのメタゲームの話になると必ず青単が挙がってくるほど、この環境の青は強い。

冒頭でも挙げた《対抗呪文》が現役(なおかつ強力な対抗馬となる《Force of Will》や《Mana Drain》がない)という環境ゆえ、必然的にパーミッションの要素を含んだデッキが多くなる。

それ以外の打ち消しも充実しており、エターナルでも使用実績のあるピッチカウンター《目くらまし》、クリーチャー限定かつ3マナながらキャントリップでアドバンテージを取れる《除外》、ややマイナーだがなかなか厄介な時間稼ぎができる《記憶の欠落》などデッキに合わせて様々な打ち消しが使える。

クリーチャーに関しても、あらゆる環境で猛威を振るいまくった青の1マナ最強生物、デルバーこと《秘密を掘り下げる者》を筆頭に、打ち消し能力でアドバンテージを取れる《呪文づまりのスプライト》、マナを使わず戦場に出せる(状況次第ではかえってマナが増える)安心と信頼のウルザブロック産《フェアリーの大群》、これら飛行クリーチャーを種にハンドアドバンテージを稼ぎまくる《深き刻の忍者》、重いが出すだけでハンドアドバンテージを稼げる《熟考漂い》など、コモンながらアドバンテージ面で優れたものを大量に擁している。

さらにモダンで禁止されている《思案》・《定業》といったキャントリップ付きライブラリー操作、果てはあの《渦巻く知識》や現代に蘇った《Ancestral Recall》とまで言われる《宝船の巡航》まで備えており、アド取りや手札の質の安定化にかけては右に出る色はない。特に宝船の巡航の登場により、他の色の力で1:1交換を繰り返しつつ巡航でアドバンテージを稼ぐ青黒や青赤のコントロールデッキがしばしば見られるようになった。

単色としての弱点はクリーチャー除去に乏しいことだが、アドバンテージを失わないバウンスである《排撃》、タフネス1限定ではあるが貴重な青のマイナスタフネス修整効果を持つ《海賊の魔除け》、そしてアーティファクトであるが、それゆえに青でも使える優秀除去の《鋸刃の矢》など、弱点を補う手段も少なくない。


何と言っても除去の色である。特に布告系が充実しており、ライフロス付きの《ゲスの評決》、フラッシュバック付きの《チェイナーの布告》、自軍も巻き添えにするが1マナと軽い《無垢の血》とよりどりみどりである。

それ以外にも相手にも1点撃たせてしまうが2マナと軽いティムである《クォムバッジの魔女》、Pauperでは貴重な、特にタフネス2以上を除去できるものとしてはほとんど唯一の全体除去である《墓所のネズミ》、そしてフィニッシャーにもなる強力ドレインである《堕落》(と《堕落の触手》)……と、黒単コントロール=クリーチャー絶対殺すデッキとでも言わんばかりの充実ぶりである。

クリーチャーも優秀で、テーロスブロック構築でも大活躍した《アスフォデルの灰色商人》を筆頭に、相手のドローを一回止めつつ手札の枚数を減らせる《騒がしいネズミ》、それとは逆にこちらがカードを引ける《ファイレクシアの憤怒鬼》などCipでアドバンテージを稼ぎ出せるクリーチャーを多く擁する。

なお、《カーノファージ》や《吸血鬼の裂断者》のような優秀なスーサイドウィニーや、かの《暗黒の儀式》もコモンであるため、往年のような黒単スーサイドを組むこともできる。現状では爆発力で赤単に、安定感で白単に見劣りし環境に食い込むには今一歩力不足ではあるものの、今後登場するコモンや未発見のシナジーで化けるポテンシャルは十分に秘めており、今後が期待されるアーキタイプである。

冒頭でも引き合いに出したように、火力の質はエターナルにも見劣りしない。《稲妻》や《Chain Lightning》のような1マナ3点火力や、《ケルドの匪賊》のような歩く火力、果ては赤単最強の切り札である《火炎破》まで使え、特化した際の攻撃力は他の追随を許さない。また、《炎の斬りつけ》や《炎の稲妻》、《電謀》のようなコントロール向けの火力もコモンに存在し、多色デッキで力を発揮している。

一方、クリーチャーの質は全体的には高くはないものの、部族シナジーの強力なゴブリンの多くがコモンであり、それを軸にした赤単ゴブリンはロードこそいないものの高い爆発力を持つデッキとして知られている。

ただ、古くからの赤単の宿命としてピンポイント対策に非常に弱い。ライフゲインやプロテクション、防御円などでいとも簡単に凌がれてしまうという弱点も持ち合わせている。

近年は《サテュロスの重装歩兵》や《アクロスの十字軍》、《谷を駆ける者》などゴブリン以外のクリーチャーの質も向上しており、他の環境のような火力とクリーチャーを組み合わせたスライ型赤単の環境への登場も期待されている。


言わずと知れたクリーチャーの色。なんとあの甲鱗様がコモン、つまりPauperリーガルである!ウラモグの破壊者?何のことかな?

真面目な話をするなら、単色デッキとしてはかの《怨恨》をはじめとした優秀なサポート呪文で小型クリーチャーをバックアップするストンピィがメタの一角を占めている。強化先としても緑単ならほとんど無視できるデメリットで1マナ2/2の《イラクサの歩哨》、怨恨と相性抜群で布告対策にも最適な1マナ不死持ちの《若き狼》など優秀なクリーチャーには事欠かない。

また、モダンなどでおなじみZooのエースである《野生のナカティル》や、基本土地が全て揃えば3マナ5/5という他の環境基準で見ても驚異のサイズで出てくる《マトカの暴動者》、そしてそれらを1枚でサポートできる《ナイレアの存在》を擁し、もちろん土地サーチやマナ加速・色基盤補強も充実している緑なので、これらを組み合わせつつ各色のパワーカードを組み込むドメインZooと呼ばれるデッキも成果を上げている。

また、Pauperリーガルな軽量呪禁持ちは緑に多く、また強力なオーラである《アルマジロの外套》や《天上の鎧》がコモンであるため、白や青と組んで呪禁オーラもたびたび組まれる。


その他

親和ウルザトロンなどのやや特殊なデッキのパーツも揃っている(かつては8postも組めたが、雲上の座が禁止指定され消滅)。

前者は一切制限がかかっていない各種アーティファクト土地から0マナ2/2・4/4などがぼんぼこ飛び出してくるし、後者は大量のマナから普通の構築環境では見向きもされなかった《ウラモグの破壊者》が一躍フィニッシャーとして大活躍するなど、他の構築環境ではあまり見られないような光景が見れる。

コモンというレアリティ(あまり複雑な効果は収録されにくい)の特性上、他の広いカードプールのような瞬殺コンボデッキは組まれにくい(かつてはストームデッキが猛威を振るっていたが、キーカードのほとんどを禁止され消滅)。

だが皆無というわけではなく、Familiarと呼ばれる無限マナコンボを軸にしたデッキが結果を残している。



この環境の最大の特徴はなんといっても参入費用が安いことである。

MOのコモンは一部の希少かつ高需要なものを除けば非常に安価で(ほとんど1tix=約100円を切っており、高いものでも2~3tixで済む)、(相対的に)高額なカードをガン積みにしたガチデッキを組んでも、オフラインでイベントデッキ買うのとそう変わらない値段で済んでしまう。

MtGでいろんなデッキで遊んでみたいけど、お金が……って人や、広いカードプールでデッキ考えたいけど、モダンやエターナルは高くつくし……って人には是非ともお勧めしたいフォーマットである。

なお、使用できるカードは正確には「MOでコモンでリリースされている」カードである。
たとえばHymn to Tourachはコモンとして印刷されているがMOではMasters EditionおよびVintage Mastersでのアンコモンでの収録しかされていないため使用できない。というかこんなもん使えたらただでさえ強い黒コンがえらいことになる
逆に尊大なワームや堂々巡りはコモンとして印刷されたことはないが、Vintage Mastersにおいてコモンで収録されたためPauperで使用可能である。おかげでPauperでも往年と同じようなマッドネスが組めるよ!

その他、上でも軽く触れたが以下のカードも禁止カードに指定されている。
  • 雲上の座/Cloudpost
  • 頭蓋囲い/Cranial Plating
  • 巣穴からの総出/Empty the Warrens
  • 大あわての捜索/Frantic Search
  • ぶどう弾/Grapeshot
  • 激励/Invigorate
  • 時間の亀裂/Temporal Fissure

このうち、頭蓋囲いはフォーマット制定時からの禁止カード。まあ親和においてはなんでコモンなんだかわかんない位壊れてるし……
その他は主にストームデッキのキーカードと、8postの軸。いずれもフリースペル(フェアリーの大群、断絶)との相性がヤバすぎた故に規制された。
激励だけは一見なんで規制されてるんだかわからない地味なカードに見えるが、感染クリーチャーに使うと実質ノーデメリットの0マナ+4/+4(感染なので攻撃が通れば実質本体8点火力相当)というヤバさなので禁止された。

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