いつかのホームラン

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いつかのホームラン - (2016/03/16 (水) 23:17:52) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2016/03/16 (水) 20:48:24
更新日:2023/04/28 Fri 15:28:54
所要時間:約 5 分で読めます










「かっとばせ!キヨハラくん」



休載のお知らせ


コロコロアニキ読者の皆様へ
今号にて掲載を予定しておりました
「かっとばせ!キヨハラくん」は
諸般の事情により休載といたします。


予告等をご覧になり楽しみにしてくださっていた
読者の皆様には誠に申し訳ありません。
なお次のページからは
河合じゅんじ先生の描きおろし新作
「いつかのホームラン」を掲載いたします。

これからも、河合じゅんじ先生の作品並びに
「コロコロアニキ」を、どうぞよろしくお願いいたします。

株式会社小学館 コロコロアニキ編集部




いつかのホームランとは、河合じゅんじによる読み切り漫画作品。


解説



2016年2月、日本全国に衝撃のニュースが報道された。

甲子園の英雄、プロ野球でも西武ライオンズ・読売ジャイアンツ・オリックス・バファローズで活躍した男。
『無冠の帝王』とも称された、伝説的存在の清原和博氏の覚せい剤取締法違反による現行犯逮捕である
以前から引退後の薬物疑惑が週刊誌などで報じられて噂になった氏だが、ついに噂は現実となった。

連日、清原容疑者の様々な実態がワイドショーや週刊誌で報じられていく。
甲子園の人気者であり、2000本安打を記録した選手の哀れな末路だった。

そんな騒ぎが起きる中、コロコロアニキの愛読者は不安を抱えることとなる。

コロコロアニキで続編が連載されていた『かっとばせ!キヨハラくん』の処遇についてである。
題名から分かる通り、清原和博氏をモデルにした主人公のギャグ漫画である。
主人公のモデルが犯罪者となった今、とてもではないが連載継続は困難極まりなかった。

案の定、大多数の読者の予想通りに公式からコロコロアニキ5号から漫画の休載決定の声明が出された。
多くの読者はこの発表に対して、仕方ないとはいえ落胆の声を上げた。

休載の発表と同時に、河合じゅんじ先生の別作品が掲載されることが決まった。

その代筆の新作は、河合じゅんじ先生自身が主人公の書き下ろし新作だった。
いつもの実在のプロ野球選手をモデルにしたギャグ漫画という類の作品では無かった。
先生曰く「いろいろ考えて、こういう漫画にしました。気持ちは入っております。」とのメッセージが。

書き下ろし作品だが、ページ数はそう多くなく短い内容である。
作中の台詞も最後のページまで殆どなく、サイレント漫画という感じの雰囲気。
しかし短い内容ながらも、上記の先生のメッセージの気持ちが強く感じられる作品内容でもある。

なお、最初のページには『渾身のアンサーコミック』という文章が記されている。


主人公



この漫画の主人公は、作者の河合じゅんじ先生自身である(以下「先生」という表記に統一)。

物語冒頭から抜け殻のようにやる気の感じられない無表情となっていた。
仕事も行わず、鼻穴に未使用のティッシュを入れて鼻息で噴射するという行為を行っていた。
作中では明言されていないが、2016年2月の清原和博氏が覚醒剤所持の疑いで逮捕されたことでショックを受けていた物だと読み取れる。
その騒動に伴って自身の書いていた漫画が掲載休止となったことで精神的に傷を負ったのだろう。

そんな先生は、溜息を吐きながら少年野球の観戦をしにいくのだった。


お話(全内容記載・ネタバレ注意!!)



河合じゅんじ先生は無気力な状態となり、近所の少年野球を観覧しに外出する。

応援や掛け声で騒がしい中、無表情で投手の投球を見つめる先生。
対する打者の、眼鏡をかけた少年は直球を捉えきれず空振り三振に沈む。
その流れを見て気が緩んだかのように少し穏やかな表情をする先生。

ワンアウトがカウントされて次の打者が打席に入る中、少年は沈んだ表情でベンチに戻る。
すると、その少年は目に大きい悔し涙を浮かべ初めてしまい、先生は予想外の事態に困惑の表情。
そんな少年を出迎えた監督は、大きく泣いている少年を笑顔で頭を撫でて励ます。
そんなシーンを目撃した先生は、思わず目を潤ませてしまったのだった。

近くを電車が走る中、その音を掻き消すような大きい声援が響いていた。

しばらく試合を眺めていた先生だったが、一旦自販機に缶コーヒーを購入しに行く。
その時、先ほど泣いていた少年が掛け声を出しながら三塁の守備に就いていた。
少年は相手の鋭い打球に対し、打球に飛びつきボールをキャッチするファインプレーを見せる。
これには先生も感嘆の声を出し、そんな少年に対してチームメイトや監督も彼を讃えて守備を終える。
この微笑ましい光景を持た先生は、笑顔でうなずくのだった。

場面は変わって、背番号『3』の背中が映る

打席に立っている右打者の少年は、若き時代の清原和博を思わせる風貌だった。
その姿に冷汗を浮かべる先生(と、威圧感に押されたのか相手の投手の少年)。
彼は豪快なスイングで、相手の投手から難なくホームランを放ってしまったのだった。
困惑する相手チームの少年達と、大きく驚いている先生。

そんな先生や相手チームに対して、笑顔でホームインする少年。
そして、ホームインした少年に喜んで駆け寄るチームメイト(先ほどの少年も)。
その光景は異様な輝きを放ち、先生は大きく目を潤ませていた……。

試合は乱打戦となっていて、10-6というカウントで進んでいた。

打者の少年が詰まり気味の凡フライを打つ。
守備に就いていた一人の少年がその凡フライを処理しようとした。

ところが、その少年は姿勢を崩して凡フライを処理できずグラブからボールをこぼす。
すると、後ろにいた小太りの外野手の少年が飛び込みながらボールを代わりにキャッチする。
先生もこのナイスプレイに拍手を送り、チームメイトもそのプレイを讃える。

このことに喜んだ少年は外野からボールを返球する。
しかしボールの軌道は大きくずれ、一塁の守備に就いていた背番号3の少年も捕れない。
捕手の少年がボールを捕ろうとしたが、その少年もボールをトンネルしてしまう。

その光景を笑って見ていた先生だったが、先生の元にボールが転がってきた。
ボールを拾った先生の元に捕手の少年が駆け寄り、先生も笑顔でボールを彼に返した。

すると、ふと先生はその少年を見つめると……

何と、少年の顔は笑顔を浮かべた『クワタ』その人ではないか。
困惑した先生は目を瞬かせ、「クワッ」と大きく目を開く。
すると、少年の顔はクワタとはあまり似ていない少年だった。
彼はボールを拾ってくれた先生に会釈し、試合へと戻っていった。

その少年の姿に何かを感じるように見つめる先生。

先生は顔を上に向かせ、青空を眺めた。


さてと…。


ついに台詞らしい台詞を喋った先生。


元気だして、やろうかね…。


試合は続き、歓声と金属音が響く中、先生は少年野球の試合場から離れていくのだった……。






追記・修正は、いつかのホームランを読んでからお願いします。

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