Mox(MtG)

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Mox(MtG) - (2016/08/26 (金) 12:28:52) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2016/07/14(木) 06:18:32
更新日:2022/10/15 Sat 15:32:04
所要時間:約 7 分で読めます




Mox(モックス)とは、Magic the Gatheringの黎明期に存在した凶悪なマナ・アーティファクト。
単にMoxと言った場合はアルファ版~アンリミテッド版までに印刷された5種類を指す、そのいずれもがパワー9に数えられている。
後日調整版という名目の下位互換が幾つか登場している。


Mox Pearl (0)
アーティファクト

(T):あなたのマナ・プールに(白)を加える。

Mox Sapphire (0)
アーティファクト

(T):あなたのマナ・プールに(青)を加える。

Mox Jet (0)
アーティファクト

(T):あなたのマナ・プールに(黒)を加える。

Mox Ruby (0)
アーティファクト

(T):あなたのマナ・プールに(赤)を加える。

Mox Emerald (0)
アーティファクト

(T):あなたのマナ・プールに(緑)を加える。

能力のほうは非常にシンプル。0マナで出せて、それぞれに該当する色マナを生み出す効果を持つ(ちなみに、カード名はそれぞれの色の宝石に由来している)。

…が、この0マナで出せるというのがとんでもない曲者。MtGの基本的なルールとして、「土地は1ターンに1度しか出すことができない」というものがある。だが、コイツらは0マナのアーティファクトなので、手札にありさえすれば何枚でもずらずらと並べることが出来、そうしたルールを根底から破壊してしまうのである。
極端な言い方をするなら、マジックの根幹を為す「基本土地の上位互換」と呼ぶことさえ出来る(実際にはアーティファクトだから壊れやすかったりするため、そうとも言えないシチュエーションも多々有るが)。

こんなぶっ壊れカードが許されるハズもなく、最初の基本セット(アルファ・ベータそしてアンリミテッド)以降は一度も刷られることはなく、またパワー9としてマジック最初の制限カードに指定されている。

複数形は"Moxen"。なんで複数形があるかというと、マナ加速として強力すぎるため、色の合わないデッキにもアンタップインの無色土地相当になるという理由で、五種類全部突っ込んだほうが強いからである。
また《太陽の指輪/Sol Ring》(アンコモンだからパワー9に入らなかったイカリング)と《Black Lotus》(同じくパワー9の一角にしてマジック最高額カード)の黎明期のぶっ壊れマナ・アーティファクトと併せて"SoLoMoxen"と総称されている。

現在はフォーマットの関係上、公式大会で使用可能なフォーマットはエターナルのみである。そのうちレガシー(Type1.5からの移行前からずっと)では当然の如く禁止カードであるが、ヴィンテージでは制限カードにしかなっていない(ヴィンテージは唯一制限カードが残されたフォーマットであり、禁止カードはごく一部しか存在しないため)。
そのため、ヴィンテージにおけるゲームバランスの調整およびメタゲームは、全てこのMoxの存在を前提としたものになっている。

例えばレガシー以下エクステンデッド・モダンでも禁止カードになった《精神的つまづき/Mental Misskip》が規制されていない理由もそれであるし(1ターン目から2マナが普通に出せるのですり抜けられる)、逆に《虚空の杯/Chalice of the Void》が規制されたのもこれが理由で、1ターン目にX=0で設置してしまえばMoxを一方的に封じ込められる。逆にMox2枚と併せて1ターン目からX=1で設置しても、《Ancestral Recall》を中心としたヴィンテージならではの1マナ呪文を封殺できてしまう。

さらに(主に)Moxへの対策カードとして《ゴリラのシャーマン/Gorilla Shaman》("モックス・モンキー"とも呼ばれる(X)(X)(1)でアーティファクトを破壊=Moxが1マナで壊せるゴリラ)や《無のロッド/Null Rod》(マナ能力を封じ込めてしまう)がメインデッキから積まれるのもよくあることである。

ぶっちゃけヴィンテージが魔境と呼ばれる理由の何パーセントかは、確実にこのMoxの存在があるだろう。

ちなみにマジックでは全体的にエターナル環境ではが最強色であることと青はアーティファクト利用に最も長けた色である(《修繕/Tinker》との相性は言わずもがな)ことから、5種類の中でも《Mox Sapphire》が最強であるとされており、実際トーナメントの使用率でも取引価格でも頭一つ抜けている。
…最安に近い《Mox Emerald》でも実物の宝石より高いんですけどね…。


代表的な亜種


MtGの歴史を彩った代表的なカードであり、その分リメイクも多く作られている(多分に反面教師的な側面を持つが)。
…が、マナ・アーティファクトというのは兎に角バランス調整が難しいジャンルでもあり、調整し切れなかったのか禁止・制限カードになってしまったものも少なくない。


  • 《空色のダイアモンド/Sky Diamond》他ダイヤモンド・サイクル
各色のマナを生み出す点はモックスと同じだが、2マナでなおかつタップイン。
コイツらと比較すると、0マナというのはどう考えても軽すぎるのが分かる。
ちなみに、現代の色マナを生み出すマナ・アーティファクトは大体はこのダイヤモンド・サイクルを基準にデザインされている。


  • 《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》
ストロングホールドに登場したモックスの直系的なリメイク。
0マナのマナ・アーティファクトで好きな色のマナ1点を得られるが、戦場に出す際に土地を1枚捨てなければならない。
登場当初から5色デッキのマナ基盤として活躍していたのだが、次に出たのがよりにもよって「アーティファクト・サイクル」の異名をとる悪名高きウルザ・ブロック。同ブロックの凶悪カード、特に《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy》や《修繕/Tinker》との相性は抜群であり、MoMaメグリムジャーで猛威を振るった。
その影響もあってType1(現ヴィンテージ)で制限、Type1.5(現レガシー)で禁止カードとなっていた時期もあったが、それらの規制は現在外されている。
最序盤からマナ加速することはできるのだが、土地をコストにする必要がある都合上、後で使える土地が減ってしまうため、ギリギリのところでバランスは取れていたようだ(その意味で性質的には《踏査》などの土地加速カードに近いのかもしれない)。
のちに登場した《壌土からの生命/Life from the Loam》との相性が抜群に良く、現在は主にレガシーで活躍している。

  • 《金属モックス/Chrome Mox》
ミラディンで登場した直系リメイクその2。
こちらも0マナで、戦場に出す際に色付きのカードを一枚刻印してやる必要があり、その刻印したカードと同じ色のマナを生み出す。
カード・アドバンテージは失ってしまうが、序盤から加速できるのはやはり強力。土地に限定されない利点もあって総合的に上の《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》より使い勝手が良く、幅広いデッキで活用されてきた。
《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》同様エターナルでも規制されていた(現在はすでに解除されている)他、現モダンでもフォーマット制定当初から禁止カードである。
なお、ミラディン・ブロックを代表するアーティファクト系ビートダウンとして悪名高き親和があるが、親和にはそもそも色付きカードが少なく、また手札消費も激しいことから採用例は少なかった模様。
とりあえずアカデミー下では刻印しようがしまいが出るマナ総量は変わらなくなるので、色マナが必要ないデッキであれば「金属モックス出します、刻印無しで」というプレイングも正解。
出してすぐに《修繕/Tinker》したい時にも同じことが言える。

  • 《教議会の座席/Seat of the Synod》他アーティファクト・土地
リメイクと言えるかどうかは微妙なところだが、「土地になったことで1ターンに1枚しか出せなくなったモックスの下位互換」と考えれば良い。
…が、収録されたミラディンには何故かアーティファクトの枚数だけマナ・コストを軽減する親和というキーワード能力が存在。これを利用した高速ビートダウンは環境をトップメタで駆け抜け、そのままスタンダード(とブロック構築とモダン)の禁止カードになってしまった。詳細は親和(MtG)の項目を参照のこと。
青が一番強いのも元祖と同じ。


  • 《オパールのモックス/Mox Opal》
ミラディンの傷跡の直系リメイクその3。
0マナで好きなマナを生むが、伝説のアーティファクトになったため自分の戦場に一枚しか存在できず、それでいて金属術(戦場にこれを含めてアーティファクト3枚が必要)達成を必要とするようになったため、カードパワーはかなり抑えられている。
それでもスタンダード当時の白単《鍛えられた鋼/Tempered Steel》デッキや、モダンの親和デッキでも採用された。


追記・修正はモックス・シリーズを全てコレクションした人がお願いします。


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