Mox(MtG)

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Mox(MtG) - (2018/09/27 (木) 10:22:24) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2016/07/14(木) 06:18:32
更新日:2022/10/15 Sat 15:32:04
所要時間:約 7 分で読めます




Mox(モックス)とは、Magic the Gatheringにおけるマナ・アーティファクトの一種。
単にMoxと言った場合は黎明期のアルファ版~アンリミテッド版までに印刷された5種類を指す。そのいずれもがパワー9に数えられている凶悪なマナ・アーティファクト。
後日リメイクという名目の調整版・下位互換が登場しており、そのいくつかは初代Moxに敬意を評してか「Mox/モックス」の名を冠している。


Mox Pearl (0)
アーティファクト

(T):あなたのマナ・プールに(白)を加える。

Mox Sapphire (0)
アーティファクト

(T):あなたのマナ・プールに(青)を加える。

Mox Jet (0)
アーティファクト

(T):あなたのマナ・プールに(黒)を加える。

Mox Ruby (0)
アーティファクト

(T):あなたのマナ・プールに(赤)を加える。

Mox Emerald (0)
アーティファクト

(T):あなたのマナ・プールに(緑)を加える。

能力のほうは非常にシンプル。0マナで出せて、それぞれに対応する色マナを生み出すことができる(ちなみに、カード名はそれぞれの色の宝石に由来している)。

…が、この0マナで出せるというのがとんでもない曲者。MtGの基本的なルールとして、「土地は1ターンに1度しか出すことができない」というものがある。だが、コイツらは0マナのアーティファクトなので、手札にありさえすれば何枚でも並べることが可能。基本的なルールを根底から破壊してしまうのである。
極端な言い方をするなら、マジックの根幹を為す「基本土地の上位互換」と呼ぶことさえ出来る(実際にはアーティファクトなので唱える必要がある、壊されたり無力化されやすいなど、必ずしもそうとは言えないことが多々あるが)。

こんなぶっ壊れカードが許されるはずもなく、ごく最初の基本セット(アルファ・ベータのリミテッド・エディション、そしてアンリミテッド・エディション)以降は一度も刷られることはなく、またパワー9としてマジック最初の制限カードに指定されている。

複数形は"Moxen"。なんで複数形があるかというと、マナ加速として強力すぎるため、色の合わないデッキにもアンタップインの無色土地相当になるという理由で、五種類全部突っ込むことが多いからである。
また《太陽の指輪/Sol Ring》(アンコモンだからパワー9に入らなかったと言われた凶悪カード)と《Black Lotus》(同じくパワー9の一角にしてマジック最高額カード)の黎明期のぶっ壊れマナ・アーティファクトと併せて"SoLoMoxen"と総称されている。

現在はフォーマットの関係上、公式大会で使用可能なフォーマットはエターナルのみである。そのうちレガシー(Type1.5からの移行前からずっと)では当然の如く禁止カードであるが、ヴィンテージでは制限カードにしかなっていない(ヴィンテージは唯一制限カードが残されたフォーマットであり、禁止カードはごく一部しか存在しないため)。
そのため、ヴィンテージにおけるゲームバランスの調整およびメタゲームは、全てSoLoMoxenの存在を前提としたものになっている。

例えばレガシー以下エクステンデッド・モダンでも禁止カードになった《精神的つまづき/Mental Misskip》が規制されていない理由もそれであるし(1ターン目から2マナが普通に出せるのですり抜けられる)、逆に《虚空の杯/Chalice of the Void》が規制されたのもこれが理由で、1ターン目にX=0で設置してしまえばMoxを一方的に封じ込められる。実際に虚空の杯が制限指定されたときも「Moxをデッキに入れなければ対応できるけど、Moxを使える場所を提供することがこのフォーマットの意義の1つだから」というのが理由の1つに挙げられている。

さらに(主に)Moxへの対策カードとして《ゴリラのシャーマン/Gorilla Shaman》("モックス・モンキー"とも呼ばれる(X)(X)(1)でアーティファクトを破壊=Moxが1マナで壊せるゴリラ)や《無のロッド/Null Rod》(アーティファクトの起動型能力を全てを封じ込めてしまう=Moxが実質置物化)がメインデッキから積まれるのもよくあることである。

ぶっちゃけヴィンテージが魔境と呼ばれる理由の何パーセントかは、確実にこのMoxの存在があるだろう。

ちなみにマジックでは全体的にエターナル環境ではが最強色であることと、青はアーティファクト利用に最も長けた色である(《修繕/Tinker》との相性は言わずもがな)ことから、5種類の中でも《Mox Sapphire》が最強であるとされており、実際トーナメントの使用率でも取引価格でも頭一つ抜けている。
…最安に近い《Mox Emerald》でも実物の宝石より高いんですけどね…。


代表的な亜種


MtGの歴史を彩った代表的なカードであり、その分リメイクも多く作られている(多分に反面教師的な側面を持つが)。
…が、マナ・アーティファクトというのは兎に角バランス調整が難しいジャンルでもあり、調整し切れなかったのか禁止・制限カードになってしまったものも少なくない。


  • 《空色のダイアモンド/Sky Diamond》他ダイヤモンド・サイクル
各色のマナを生み出す点はモックスと同じだが、2マナでなおかつタップイン。この性能でも結構使われた。
コイツらと比較すると、0マナというのはどう考えても軽すぎるのが分かる。
ちなみに、現代の色マナを生み出すマナ・アーティファクトは大体はこのダイヤモンド・サイクルを基準にデザインされている。


  • 《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》
テンペスト・ブロックのストロングホールドで登場した直系的なリメイクその1。
0マナのマナ・アーティファクトで好きな色のマナ1点を得られるが、戦場に出す際に土地を1枚捨てなければならない。
登場当初から5色デッキのマナ基盤として活躍していたのだが、次に出たのがよりにもよって「アーティファクト・サイクル」の異名をとる悪名高きウルザ・ブロック。同ブロックの凶悪カード、特に《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy》や《修繕/Tinker》との相性は抜群であり、MoMaメグリムジャーで猛威を振るった。
その影響もあってType1(現ヴィンテージ)で制限、Type1.5(現レガシー)で禁止カードとなっていた時期もあったが、それらの規制は現在外されている。
最序盤からマナ加速することはできるのだが、土地をコストにする必要がある都合上、後で使える土地が減ってしまうため、ギリギリのところでバランスは取れていたようだ(その意味で性質的には《踏査》などの土地加速カードに近いのかもしれない)。とはいえウィニーの加速手段、多色デッキのマナ補助、コンボのマナ加速など半分アウトであったようだが。
のちに登場した《壌土からの生命/Life from the Loam》との相性が抜群に良く、現在は主にレガシーで活躍している。

  • 《金属モックス/Chrome Mox》
ミラディンで登場した直系リメイクその2。モックス・ダイアモンドの調整版と見ることもできる。
こちらも0マナで、戦場に出す際に色付きのカードを一枚刻印してやる必要があり、その刻印したカードと同じ色のマナを生み出す。
やはりカード・アドバンテージは失ってしまうが、序盤から加速できるのはやはり強力。土地を捨てることこそ出来ないが全般的に《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》より使い勝手が良く、幅広いデッキで活用されてきた。
土地を切り詰めている速効型のデッキにとってはこちらのほうが良かったようだ。特に単色で速効が多い赤いデッキで使われた。
《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》同様エターナルでも規制されていた(現在はすでに解除されている)他、現モダンでもフォーマット制定当初から禁止カードである。
なお、ミラディン・ブロックを代表するアーティファクト系ビートダウンとして悪名高き親和があるが、親和にはそもそも色付きカードが少なく、また手札消費も激しいことから採用例は少なかった模様。
とりあえずアカデミー下では刻印しようがしまいが出るマナ総量は変わらなくなるので、色マナが必要ないデッキであれば「金属モックス出します、刻印無しで」というプレイングも正解。
出してすぐに《修繕/Tinker》したい時にも同じことが言える。

  • 《教議会の座席/Seat of the Synod》他アーティファクト・土地
リメイクと言えるかどうかは微妙なところだが、「土地になったことで1ターンに1枚しか出せなくなったモックスの下位互換」と考えることもできるカード群。
…が、収録されたミラディンにはアーティファクトの枚数だけマナ・コストを軽減する親和というキーワード能力が存在。これを利用した高速ビートダウンは環境をトップメタで駆け抜け、そのままスタンダード(とブロック構築とモダン)の禁止カードになってしまった。詳細は親和(MtG)の項目を参照のこと。
青が一番強いのも元祖と同じ。


  • 《オパールのモックス/Mox Opal》
ミラディンの傷跡の直系リメイクその3。
0マナで好きなマナを生むが、伝説のアーティファクトになったため自分の戦場に一枚しか存在できず、それでいて金属術(戦場にこれを含めてアーティファクト3枚が必要)達成を必要とするようになったため、カードパワーはかなり抑えられている。
それでもスタンダード当時の白単《鍛えられた鋼/Tempered Steel》デッキや、モダンの親和やアイアンワークスでも採用された。
本家Moxや低マナコストのアーティファクトが溢れかえるヴィンテージではごく自然に採用可能。伝説なので2枚目以降が腐りやすいが、修繕の生贄にしたり、レジェンド・ルールの変更後は《水蓮の花びら/Lotus Petal》みたいに使い捨てることもできる。


  • 《モックス・アンバー/Mox Umber》
ドミナリアで登場した直系リメイクその4。
伝説になって自分の戦場に1枚しか存在できず、出せるマナが伝説のクリーチャー及びプレインズウォーカーに影響されるようになった。
戦場に出す際やマナ能力の起動に制限はないが、事前に有色の伝説のクリーチャーやプレインズウォーカーを出しておく必要があるため、実質的な制限は今までのリメイクの比ではない。
最序盤のマナ加速用としても多色デッキの色事故軽減としても使いづらいため、過去のMoxが持っていた強みがほぼ失われている。
スタンダードでは0マナのパーマネントであることに目を付けられ、青単ストームにおける呪文数稼ぎ兼《逆説的な結果/Paradoxical Outcome》の餌という何とも言えない使われ方をしていた。マナ能力はほとんどアテにされておらず、特に初期型は伝説のクリーチャー及びプレインズウォーカーが0枚だった
とはいえMoxはMox。統率者戦では普通に採用されうるし、今後下環境で目覚める可能性が無いわけではない。


  • 《Jack-in-the-Mox》
銀枠その1。
6面ダイスを振って出た目に応じた色のマナが出る、ギャンブル性の強いMox。
ちなみに1が出ると自爆する(生贄に捧げる&ライフ5点減)。


  • 《Mox Lotus》
銀枠その2。
出すのに15マナも掛かるが、「あなたのマナ・プールに(∞)を加える」という凄まじい効果を持つぶっ壊れマナ・アーティファクト。
さらに100マナを好きな色1マナに変換することができるので、実質的にどんな色のマナでも好きに出すことができる。
ちなみに3つ目の能力として「マナ・バーンでライフを失わない」という効果があるのだが、これはルール変更に伴い無意味となっている。


  • 《Gleemox》
Magic Onlineにて配布されたプロモーションカード。なので紙のカードとしては存在しない。
カード名の由来は《Gleemax》からで、イラストも脳を象った首飾りとなっている。
マナ・プールに好きな色1色のマナ1点を加える、上記の5Moxenの上位互換カード
…だが、カードのテキストにThis card is banned.」と明示されており、フリーフォーム(ルール無用のフォーマット)でしか使用できない。


  • 《Mox Crystal》
非公式フォーマットである5-Color Magicでのみ使用可能なMox。このカード自体大会の商品でしか入手できない超希少カード。
効果は5Moxenの無色版。以前は下位互換カードだったが今ではエルドラージ等の無色マナを参照するカードがあるので相互互換になった。


追記・修正はモックス・シリーズを全てコレクションした人がお願いします。


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