PlayStation3

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PlayStation3 - (2020/04/16 (木) 00:53:44) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2016/08/31(水) 13:35:06
更新日:2024/03/31 Sun 12:19:41
所要時間:約 10 分で読めます




Play Beyond


PlayStation3とはソニー・コンピュータ・エンタテイメント(SCE)が開発したコンシューマ向けゲーム機。
PlayStation2の後継機に当たる。

略称は「プレ3(スリ)」、「プレステ3」、「PS3」等。


【概要】


2006年11月11日に発売。PS2と異なり丸みを持った流線形のボディが特徴。横置き・縦置きどちらも出来る所は同じ。
当時、次世代DVDと称されたHD-DVDと争っていた「Blu-ray DISC」を対応ドライブに採用。
これによりBlu-rayビデオを再生する事が出来る他、HDMI端子も搭載している。
またPSやPS2で使われていたメモリーカードは廃止され、内臓HDDに保存する方式に変更になった。

ただし発売当初はその高性能が仇となり、価格が49800~59800円と高額となってしまい、一部で不安視されていた。
また部品調達に由来する発売当初の供給本数の不足は勢いを削ぐ形となり、さらに頼みのサードパーティーも当初は一足早く発売されたXbox360に注力を注いでいたため、前世代機であるPS2程のセールスを記録する事は出来なかった。
そこに加えて、任天堂のWiiが爆発的かつ予想外の大ブームを起こしたことで、PSから続いたハードシェアトップの座から国内外で引きずり落された。
CPUの「Cell B/E」を原因とする開発難易度の高さもあって、結果的にPS3発売初期は前世代機であるPS2がバリバリの現役として働く始末となる。

その後、モデルチェンジやアップデートを繰り返し、普及数も着実に上げていきサードパーティーも充実。
次世代機であるPlayStation4が後方互換性を撤廃した事や縦マルチソフトが現在も多く発売されている事もあり
結果的に10年に渡って展開していた息の長いハードとなった。
2017年3月に「出荷終了になる」との話がネットに流れ、同年5月に公式に「出荷終了」の文字が公式サイトの製品ページに載った。
前世代機のPS2と、次世代機のPS4に挟まれながら、約10年に渡る激動の歴史に幕を下ろした。

【性能】


CPU 「Cell Broadband Engine」3.2GHz 演算性能:230GFlops
GPU 「RSX」500MHz 演算性能:192GFlops
RAM XDR DRAM 256MB 転送速度:25.6GB/s
VRAM GDDR3 256MB 転送速度:22.4GB/s
内臓ストレージ 2.5インチ SATA HDD ユーザーによる交換可能

前述の通り、Blu-rayに対応しているためBlu-rayビデオが再生可能。
また、BDメディアであることから大容量を活かしたゲームの作成が可能となった。
無線LANとUSB端子とHDDを標準搭載している他、HDMI端子を備えているためHD画質でゲームをプレイする事が出来る。

なお、フルHD(解像度1920×1080)に対応しているのだが処理に負荷がかかるため、ほとんどのソフトがHD(解像度1280×720)以下のサイズで制作されている。*1

コントローラはBluetooth(無線)で通信されるが、USBケーブルを使えば有線で使うことも可能。
ローンチ当初は振動機能を備えていなかったが、後に振動機能を備えたモデル「DUALSHOCK3」が発売されている。


【歴代モデル】


大雑把に分けると三型に分けられる。モデルチェンジするたびに省電力化とスリム化がされていく。

・初期型

当初は60GBと廉価版の20GBモデルが発売。「PlayStation3」のプリントロゴが特徴。
このモデルのみPS1とPS2両方の互換性を持っている他、20GBのみ無線LANを搭載していない。
しかし、PS2互換は一部タイトルには不備があるなどお世辞にも完全互換とは言えなかった。
後にPS2の互換を廃し、消費電力・重量・騒音を軽くした40GBモデルも発売された。

この初期型の発売日には各販売店で長蛇の列が出来、TVのニュースでも取り上げられた程。
その際に列に並んでいたオジサンの「物売るっていうレベルじゃねえぞ!」という叫びはあまりにも有名。

・中期型

120GBと250GBモデルが発売。「PS3」のロゴが特徴。このモデルから互換はPS1のみとなる(恐らくゲームアーカイブスを動かすための仕様によるもの)。
後にHDD容量が増加した160GBと320GBモデルが発売された。
値段も24980~34980円とお求め安くなった。

・後期型

250~500GBモデルが発売。ディスクドライブがトップローディングになっている。
ヨーロッパでのみHDDをフラッシュメモリに変えたモデルが発売されている。
値段は24980円~29980円。最終型となるのは型番CECH-4300C 価格25980円のマイナーチェンジモデル。
最終型は約3年間の販売となった


【PSN】


ゲームのネットワークサービス。
PS3用ゲームの他、PSP・PSVita用ゲームのダウンロードも可能(当然プレイは出来ないため、各機種にインストールする必要がある)。
また、ビデオやミュージック、アプリの配信も行われている他、後述のゲームアーカイブスもここで配信される。


【ゲームアーカイブス】


Wiiのバーチャルコンソールとほぼ同じ過去に発売されたゲームのダウンロード配信サービス。
当初はPS1のみだったが、PCエンジン、ネオジオ、PS2と徐々に配信ゲームが増えていった。

PS2以外はPSP及びPSVitaでも遊ぶ事が出来る上にセーブデータの共用が可能。
このため外出先はPSP、家で遊ぶ時はPS3という遊び方が出来る。

なお、当たり前の事だがPS1及びPS2のゲームで遊ぶ場合、コントローラがほぼ同じなため操作性も据え置きとなっている。
画質の粗さを軽減するバイリニアフィルタリングにも対応している。


【Cell Broadband Engine】


PS3最大の特徴と呼べるCPU。
SONY、東芝、IBMの共同開発による、当時としては珍しいヘテロジニアス(非対称型)マルチコアプロセッサ。

PS3のCellは普通のCPUのように汎用的な演算をさせる「PPE(Power Processing Element)」が1コア、浮動小数点の演算を担当させる「SPE(Synergistic Processing Elements)」が8コア搭載されている。
ただSPEのうち1コアは万が一不良が出たとしても問題なく動作できるように休ませている。(要するに補欠要員。)

ネットワーク経由での分散処理に最適化されており、当初はこのCellをPS3以外(TVとか)にも搭載する予定だった。*2

詳しい解説は省くが、発売当初のPS3の値段を高騰させた原因の1つ。
またCell自体の仕様もゲーム向きではないと言われていたなど、厳しい意見が多かったのも事実。
一応コードをPS3専用に書けばきっちり性能を発揮出来たものの、PCやXBOX360のコードを流用する形だと処理が重くなる傾向にあり、プログラミングが異様に難しかったとされている。
例としてXbox 360で先行して発売された「ベヨネッタ」や「NINJA GAIDEN 2」のケースを挙げると、ベヨネッタは上記の理由により移植に苦労しテクスチャが簡略化・フレームレートが60fpsから30fpsに低下。NINJA GAIDEN 2は逆に60fpsをキープしつつグラフィック向上*3を果たしたが360版のコードをバッサリ切り捨ててPS3向けにゼロから作り直したというエピソードがある。
ハード初期~中期ではSCEのセカンドパーティが製作したソフトは高いパフォーマンスを発揮していたのに対して、サードのマルチソフトはよくPS3版がパフォーマンス面で見劣りするケースが多かったため、メーカー直系のゲームスタジオしかPS3専用のコードを使いこなせなかったとも言われた。(ただし多くのサードハーティは開発コストを抑えつつ360とマルチで発売するためにPS3に極度に最適化させたコードを書けないという台所事情もあるが)
その影響もあってか次世代機のPlayStation 4ではCellアーキテクチャは切り捨てられ、AMDの汎用プロセッサ「Jaguar」のセミカスタマイズ品が採用されている。
このCellに関する構想に費やした金銭の負担はソニー自体にも大ダメージを与えてしまった。
SCEがSIEに転換されたのもこのプロセッサの開発費で大幅債務超過になった影響とされている。

しかし浮動小数点の演算能力が高い事を活かして、控えめなGPUの性能*4をカバーするべく、グラフィック処理の補佐を担当させる使い方がメーカーの間で盛んに行われた。
上記したCellのSPEコアはGPUコアのような振る舞いをさせることができる特徴を持っており、特にポリゴンの頂点位置を計算させる「頂点シェーダ」の性能が高かった。
故にハード後期のソフト程グラフィック処理のほとんどをCellに任せるソフトが増えていったそうな。
例として「ソニックワールドアドベンチャー」ではスキニング*5のパフォーマンスがGPU単体で処理させたときよりも10倍程度向上したいうエピソードがある。
*6
GPU代わりにすること以外にもマルチスレッド処理が得意という点を活かして、グラフィック処理の他に物理演算やサウンド処理等も同時にCellに行わせる使い方も盛んに行われた。
SCEのセカンドパーティはCellのパワーを存分に引き出して「アンチャーテッド」シリーズや「GOD OF WAR Ⅲ」、「グランツーリスモ」などで当時としては圧倒的なグラフィックを実現していた。
特に「グランツーリスモ6」ではCellのパワーをフル活用して本来DirectX11世代以降の技法である「テッセレーション」*7をDirectX9世代のPS3で実現させたというエピソードが残っている。

初期こそ辛辣に言われていたものの、引退した現在、ハード人生を振り返って見れば、PS3がここまでの表現を実現出来たのも、第七世代の据え置きゲーム機でもっとも長く活躍できたのもCellのおかげだったと言っても過言では無いだろう。
上記したように発売当初「ゲーム向きではない」と言われていたアーキテクチャながらも各ソフト開発会社の意地によってちゃんとゲーム機らしい性能を引き出せたのも見過ごせない点である。

余談としてマサチューセッツ大学で16台を連動させて重力波やブラックホールの観測に役立てたり、米軍がPS3を2016台(!)連動させてスパコンにしたりしている。
関係者曰く「性能に比して格安でシステムを構築できる」とのこと。


【システムソフトウェア】


従来のゲーム機と異なり、システムソフトウェア(パソコンで言うOS)のアップデートが可能。
ネットワーク経由が基本だが、ゲームのディスクに入っていたりパソコンでダウンロードしてUSBメモリに入れてもアップデートできる。
内容はほとんどバグの修正だが、トロフィー機能やFacebook対応など新たな機能が多数追加されており、それでいてメモリ消費は発売当初より減っている。
また、純正のシステムソフトウェアである「Game OS」以外のOS(Linuxなど)もインストールできた。この機能により先に述べたように純粋な演算・解析用途にも使われるようになったが、後にセキュリティ上の問題から廃止されてしまい、集団訴訟にまで発展した。
結果はソニーが賠償金を支払うという敗訴に近い和解で終わった。



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