SCP-444-JP

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SCP-444-JP - (2022/02/15 (火) 20:55:43) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2016/09/13 (火) 11:06:00
更新日:2024/04/25 Thu 12:45:51
所要時間:約 22 分で読めます





あかしけ やなげ 緋色の鳥よ
くさはみ ねはみ けをのばせ



SCP-444-JPとは、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」に登場するオブジェクト (SCP) の一つ。
JPのコードが示す通り、日本支部生まれである。


概要


コイツが何かと言うと、読み上げると非常にリアルな幻覚に囚われる文章形式のオブジェクトである。
記事冒頭の「あかしけ やなげ 緋色の鳥よ くさはみ ねはみ けをのばせ」を、声に出して読み上げると、次のような幻覚を体験することになる。

  1. 夕焼けより赤い空が広がる原野に立っている
  2. 4~7分経過すると自身が空を飛べることに気が付く。(根拠は説明できない)
  3. 空を飛ぶ要求が高まり、幻覚の空を飛行する。この間、現実世界の体は鎮静状態になる。
  4. 幻覚の空を飛行開始から2~3分後に巨大な赤い鳥が飛んでくる。
  5. 死への多大な恐怖と苦痛を感じながら赤い鳥捕食される。この間、現実世界の体は周囲を無差別に攻撃する。
  6. 幻覚世界での死亡後、現実の肉体は3分ほど昏睡状態となり、一部を除いて記憶をリセットされ1に戻る。

このループの中で、ほんのかすかに引き継いだ記憶の欠片の積み重なりの果てに脱出方法を思い立つのだが、これには幻覚世界内の時間で数週間を要する。*1

この間、現実世界の体は幻覚から抜け出すために読み上げた文章と同じものを現実世界で書き上げるあいだ以外、コントロール出来ない。

そして書き上げることに成功した場合、ループ内で起きたすべての出来事を記憶した状態で幻覚から抜け出す。
ただし、精神疾患を患うことが多く*2、幻覚から帰還した人間には記憶処理を施される。



特別収容プロトコル


読み上げなければ害はないので、このオブジェクトを扱うのはサイト-8141内にとどめ、幻覚世界への探索も見送られている。

  • この文章が読み上げられないように、見つけ次第すぐに改竄するか、削除してね
  • 担当スタッフは専用の守秘義務が発生するよ
  • 他の部署へ異動することになったら、記憶処理を受けてね

要するに、『読み上げさせるな』『サイト内に情報をとどめろ』である。


補遺


元々は某県のとある町にあった日本生類創研の研究所から発見されたものである。
ただ、この施設は徹底的に破壊されていた。
残存データを回収して調べたところ、どうも日生研が作ったというよりは、元々はもっと長い文章の断片を発見し、それを使って新しい商品を作ろうとして文章形式に作り直したものであるらしい、とわかった。
つくづくロクなことしない連中である。







ー失敗したー






===警告:プロトコル"焚書"発動下に無い状況で本ページにアクセスすることは禁じられています===






















セキュリティが解除されました…

444-out break状況の発動を確認…

プロトコル"焚書"の発動を確認…

緊急開示用データベースにアクセス…

完了

SCP-444-JP情報を表示します

Thank you See you














あかしけ やなげ 緋色の鳥よ
くさはみねはみ けをのばせ


SCP-444-JP
登録日:2016/09/13 (火) 11:06:00
更新日:2024/04/25 Thu 12:45:51
所要時間:約 22 分で読めます


オブジェクトクラス:████ けてるけてるけてるけてるけてるけてる


赤時化 夜薙げ
緋色の鳥よ草食み根食み
気を伸ばせ


赤し毛 柳毛
緋色の鳥よ草食み根食み
毛を伸ばせ

阿傾け 矢投げ
緋色の鳥よ
九叉食み音食み卦を伸ばせ


あいつらの企みがうまくいっている内はよかった。だがあいつらは失敗した。しっぱいしたんだ

補い3:暴動が起きた。おれたちは実験をやりすぎた。奴は肥え、拡大し、SCP-444-JPをただ知っていただけだった連中も支配した。
  人を食う。人の心を食う。言葉や文字、声は奴にとって狩り
     エサを乗せる食器だったんだ。何も知らずにおれ
   <●>やりすぎた。奴は成長し、拡大し、おれたちの血に混
    んだ。おれたち全員の血にだ。全員むさぼられた。
     57回も記憶処理装置を頭にぶち込んで何とか生きてる。
    奴は忘れることをゆるさない。もう皆死んだ。サイト8141は封
   鎖した。奴をこれ以上成長させないために、おれも死■
    知るな。それだけで奴にねらわれる。
    にエサをやるな、奴をあの原野に閉じ込め続けろ
   

エサをやるな

知るな

閉じ込めろ











上記は大体本当のことだが、ある1点説明していない部分がある。
それはこいつが、「人の心を食らうことで成長し、より強い力を身につけてしまう」という点。
この祝詞はただの幻覚ループギミックではない。
幻覚にとらわれた人間は意識、認識、阿頼耶識を飛ぶ緋色の鳥に心を食われ続け、それによって緋色の鳥がどんどん強くなる仕掛けである。

このSCPとその効果は、SCP-444-JPを発見した機動隊員が読み上げて幻覚に捕らわれた事で発覚し、
その機動隊員は幻覚を抜け出したあとに記憶処理を受けさせていた。

しかし、それからしばらくたってから業務中に突如「緋色の鳥よ 未だ発たぬ」と
8度にわたりつぶやきながら発砲し、4名死傷・2名重症という事件を起こした。
その後、問題の機動隊員を調べると消したはずの記憶が完全に復元され、そのせいで強迫性障害と退行を
起こしていることが発覚した。

この時点で、記憶処理すら効かないほどにSCP-444-JPの力が強まっていることが分かる。

そして事件は起こった。
今まで読み上げることでしか幻覚に支配されなかったSCP-444-JPの性質は、
「ただ知っているだけ」の人間すら支配できるものへと成長してしまったのである。

喰われ続ける心の苦痛と悲鳴に引きずられ、肉体は隣人を殺し始める。幻覚世界の精神は目の前に自身を食い殺しに来た緋色の鳥を目の当たりにし、現実の肉体は武器を持っている。となれば、あとはお察しである。
その間にも緋色の鳥は、実験の被験者となった者たちの心を喰って喰って喰いまくり、とうとう現実世界へと飛び出してしまったのである。
もはや幻覚世界に引きずり込む必要もなく、ただ祝詞を、己の存在の記憶を手掛かりに心を嗅ぎ付け、ついばみ食らう。そうして心をついばまれた者達の体は、心の欠落に引きずられるまま暴れ始める。

その結果待っているのは暴動、緋色の鳥に心を貪られた者達がお互いに傷付け殺し合う地獄絵図である。
補い3の部分はこの暴動の中、辛うじて正気を取り戻した一人の職員が必死で書き込んだものである。

もはや知ることすら許されない、存在を知っただけで心を喰われる。そんな存在に、緋色の鳥はなってしまったのである。
最初からこうだったのではない。
実験をやり過ぎたから、幻覚世界にエサを投げ込み過ぎたから、強くなった緋色の鳥は幻覚の赤き荒野という檻をブチ破って現実の世界に殴りこんできたのである。自身の記憶を手掛かりに、心を食らうバケモノとして。
その媒体となるのは、緋色の鳥について記した文字、緋色の鳥について語る言葉、そして緋色の鳥に心を喰われた者達の血、心を喰われた者達に殺された者の血。

要するに、

  • 被験者
  • 元被験者
  • それらの手によって殺害された者

彼らの血液が付着した紙媒体、およびこのオブジェクトの報告書そのものが緋色の鳥を呼ぶトリガーになってしまったのである。(不幸中の幸いか「SCP-444-JP」というナンバーは例外の模様)。
つまり、この暴動が起きた時点で、緋色の鳥を呼ぶトリガーは「緋色の鳥についてアイテムナンバー以外のどんな形でも認識する」と「心を喰われた者達の血を目で見る」になっていたのだ。
補い3を記した職員は恐らく、報告書にしたたり落ちた血液を必死で見ないように、狂気と戦いながらあれを書いたのだろう。

暴動のさなか、正気を取り戻した職員はサイト-8141を封印・封鎖。

全てが終わった後、生き残った職員のたった一人は、トリガーとなった上記のもの全てをSCP-444-JP-1と便宜上分類。それら全てをセクター8137の地下130mにある特別収容カプセル内に格納し、あらゆる人間にこのことについての情報を伏せたのち、万が一に備えてプロトコル実行システムとセキュリティ、そして最悪の場合に備えたメッセージを残して命を絶った。
これにより、この事実を知っているのは
『SCP-444-JP情報ページ』と『緊急対処プロトコル"焚書"』の2つのシステムのみとなった。

確保、収容、保護、ではない。
隔離、閉鎖、遮断。Shut, Close, Partition, である。

そして誰も知る必要はない・誰も知っていてはならない、という理由によりこのSCPにはオブジェクトクラス自体が存在しない。
このことを知る人間がいるのならそれは、SCP-444-JPが完全に活性化するかあるいは実体化するかしている状態なので既に手遅れなのである*3
オブジェクトクラスは収容難易度を示し、そのための予算配分のために与えられるもの。コイツはそもそも、その前提となる「オブジェクトの存在を認識する」の時点でアウトとなる、いわば究極の認識災害なので、もはやクラスがどうのという次元ではないのである。

そのため、オブジェクトの本体と言える緋色の鳥についてもナンバーは存在しない(あえていうなればSCP-444-JP-2か)。


それを示す、最後の作業を行った職員のメッセージがこれ。

SCP-444-JP被験者、元被験者、それらの手によって殺害された者、これら人物の血液が付着した紙媒体は全て、上記の報告書を含めSCP-444-JP-1へと分類されています。
全てのSCP-444-JP-1はサイト-8141を放棄せざるを得ない事例の発生後、セクター8137の地下130mにある特別収容カプセル内に格納されました。これらの移送、収容に関わったあらゆる人員に対してSCP-444-JPの情報は伏せられ、本ページへのアクセスはクリアランスレベル5の職員であっても制限されることとなりました。
情報の機密性の優先、そして分類自体の無意味さからオブジェクトクラスは割り当てられていません。これがSafeであろうがEuclidであろうがKeterであろうが、私達が為すべきことは何一つ変わりません。

サイト-8141のナンバーは他の施設へと引き継がれ、上記の事象は財団職員に対する大規模な記憶処理も含めて徹底的に隠蔽されました。更にSCP-444-JPに関するあらゆる情報は完全に破壊されています。私が、それを実行するただ一人の職員でした。
これを書いている時、SCP-444-JPを知るのはこの世界でただ一人であり、間も無くただの零人となるでしょう。
そうして、SCP-444-JPに関するものは、本ページと緊急対処プロトコル"焚書"の、心を持たない二つのシステムだけとなるのです。
それで間に合った、と私は思いたい。
しかしこの記録が閲覧されているということは、既に全てが手遅れなのでしょう。

私達はSCP-444-JPが最終的に引き起こす事象を把握することが出来ませんでした。
だからあなた達がどのように追い詰められているのか、それに対して有効な方法を示せないかもしれません。
ただ、一つ絶対的に確かなことがあります。

それは奴が『認識の鳥』であるということです。

奴は既に完全に活性化したか実体化したのでしょう。
私達は、あなた達は、手遅れなのでしょう。
上記の事象で既に奴は十分に拡大してしまっていた、ということなのでしょう。

しかし、手遅れならば手遅れなりに打つ手はあるはずです。
少なくとも、あなたは奴がまだ小さかった頃の原本の写しを手に入れたのですから。

もう二度と、失敗を繰り返さないでください。SCP-444-JPに関しては、誰もが失敗してきました。


[削除済]

が、このメッセージはよくよく見るとおかしな点が一つある。
それは、メッセージの最後にあるこの職員の氏名がなぜか削除されていることである。
SCPの記事ではよくあることなのでスルーしがちだが、思い出していただきたい。


このオブジェクトはいまや、存在を知ること自体が異常性のトリガーである。
つまりこのメッセージを編集する=メッセージを読むこと自体がトリガーである。
そして、この職員は恐らく作業終了後即座に命を絶ったと思われる=自身で削除する時間も余裕も意味もない。



ならば、誰が最後の一人の署名を削除したのだろうか?




……お分かりだろうか? 
つまり、誰かが最後の一人の署名を削除した=緋色の鳥を封印した後に誰かがこの報告書とメッセージを読んでしまったということである。
職員が自殺した時点で、この情報を保持するのはオブジェクト情報のページとプロトコルのシステムのみ。それが勝手に、ピンポイントで署名だけを消すことはありえない。

この誰かの正体も意図も不明であるが、意味するところは一つ。









緋色の鳥は、あの原野にはもう閉じ込められていないのである。

財団は、またしても失敗したのである。

そして貴方もこの鳥についての文書を閲覧できてしまっている。















追記編集よ 今こそ発ちぬ

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