SCP-073

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SCP-073 - (2019/06/17 (月) 15:10:09) の編集履歴(バックアップ)


登録日: 2016/11/20 Sun 16:18:51
更新日:2024/02/23 Fri 00:31:23
所要時間:約 3 分で読めます






SCP-073はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト(SCiP)。
項目名は『”Cain”』で日本語訳も『”カイン”』。
オブジェクトクラスはEuclid。


概要

SCP-073は見た目がアラビアか中東あたりの日焼けした30代の男性に見える、つまりアラブ系のおっさん。
身長は185cmで体重75kg。黒髪で青い瞳。まあ普通のおっさん。

なのだが、どうも両腕、両足、脊柱、両肩甲骨が未知の金属に入れ替わってしまっている。
本人は入れ替わってしまっていることには気付いているがいつどうして入れ替わったか具体的な日付は覚えていないようだ。
額にはシュメール語でなんか呪文みたいなのが書いてあるが職員には読めず、
しかも本人に問うても苦しみ出すので問えない。

そんな彼だが、自身の名前は『カイン』であると話し、基本的に礼儀正しく親身で協力的ないい人。
話し方は機械的ではあるが、本人は別に冷たくしているつもりはなさそう。
基本友好的なので財団施設内を自由に動きまわることもできる。
映像記憶が得意で、遥か昔のことも含め知っており、更に滅んだ言語も含めて多くの言語を操れる。
1分半辞書を眺めるだけで800ページすべての内容を記録していたほど。流石自負するだけある。
額のシュメール語のは読めないというより読みたくないのかもしれない。
この特性と本人の性格から、なんと全てのSCiPの報告書を最高司令部にバックアップ目的で読まされている。
無論反対意見もあったようだが。そらそうだ、「いくら何でもSCiP*1自身にSCiPの機密情報全部教えるとか馬鹿なの?」ってなるわな。
ただ本人はちゃんと機密は守ると宣言している。

さてこれだけだとただの記憶力の高いおっさんでしかないが、この人にはふたつほどSCPらしい異常特性がある。
ひとつはすべての損害・ダメージを跳ね返す特性。このせいで、この人がニューヨークを歩いていた時にギャングに襲われると、
逆に襲ったギャングがみんな死んでしまった。ニューヨーク市警に拘束されたSCP-073はその後財団に保護されており、
後述のもうひとつの特性と合わせ何が起きるかわからないので現在は外出は禁じられている。
血液サンプルを採取しようとしただけで周りの人にまで注射針の感覚が伝わるなどの事例も起きているため、
現在は調査が進んでいない。なお本人も傷はつかないものの、「痛いことは痛い」らしく、なるべくやめてくれとお願いしている。

もうひとつの特性は、彼から20mの範囲内に近づいただけで植物性のものをどんな状態であれ腐食させること。
そのため、歩けばそこにはぺんぺん草も生えない(物理)し、サラダもパンも腐るのでご飯は基本肉ばっかり。
植物性のSCPには当然近づけない。腐るし。
ちなみに報告書では「土で成長するすべての生命に損害を与える」と書いてあるので、もしかしたらミミズとか微生物もアウトなのかもしれない。


他のSCPとの関わり

さて、SCP-073はかなり古参のオブジェクトであるため、割と他のSCPとも関わりはある。

SCP-458 - The Never-Ending Pizza Box (はてしないピザボックス)

SCP-073の好きな味を調査するために行った実験。

ただし一度目は特性が特性だけに腐って失敗。そのため二度目は
取り出したものをすぐにSCP-073に食わせるという強引な手法で食わせた。
SCP-073いわく、「こういったものを食べるのは初めてだ」とのこと。
出てきたのは「ミディアムサイズ、フェタチーズとジャックチーズ、ソース無し、薄い生地」のピザなのだが、
もともとアメリカにすんでたのにピザが食えないって可哀想でしょ…。

ちなみにこの実験を他に試された奴がいるのだが…

SCP-014-JP-J - 『奈落の悪鬼、黒き翼の堕天使アイスヴァイン』

O5評議会のひとりのミスによって、厨二病患者の14歳の女の子にこいつともうひとりの報告書がアクセスされてしまった事件が発生。
その報告書を呼んだ彼女は『F██eのパクリじゃないんですかこれ?』と平然と言ってのけた。
まあカインだからね…

なおこの時もうひとりもセットにされたのだが…

SCP-2932 - Titania's Prison (ティターニアの檻)

人間の前に繁栄を極めた支配種が、別の種族のおじいさんに命じて作らせた檻で、
おじいさんはまだ生きており、現在は財団含めた人間に協力的である。

この檻には現在も拘束されているKeter級のオブジェクトがいくつかあると思われるが、
捕まってるものをわざわざ取り出す理由もないのでおじいさんと協力して出さないように頑張っている。
まあ植物性なのでSCP-073は近づけないと思われるが、そもそも近づけたとしても、SCP-073自体はむしろ拘束される可能性がある。

というのも囚人の一人のデータがこんなんなのだ。

囚人名: Adam El Asem
拘禁設備: 活動中
投獄日: 4301廻7月3夜
刑期: 無限廻

SCP-2932-Aの注記: こ奴は太陽の子じゃが、太陽の子らは彼を夜闇の子らと同じほどに忌み嫌っておった。Adam El Asemは一目見るだけで物を創り出し、彼が触れれば山は動き、川は枯れ果てた。彼の心には偉大で恐るべき何かが棲んどった。子らは時をおかずに彼を石に縛り付け、ティターニアに与えたのじゃ。彼のように東より来る危険な太陽の子は他にもおったが、そ奴らはここにはおらん。ここには、その歩みが荒廃を齎す者のために1つ、別の者のためにもう1つの予備の独房が準備されとる。儂はこれらが埋まるとは思っとらぬよ。

Adam El Asemのこの注記の中に、「ここには、その歩みが荒廃を齎す者のために1つ、別の者のためにもう1つの予備の独房が準備されとる。」と書いてある。
そして囚人名が「アダム」。よって用意されているのはこのSCP-073こと「カイン」を収容する独房なのだろう。

アダムの息子にして、とあるものを殺したことで追放されたカイン。
そのことで耕作をしても収穫できないようにされてしまったが、追放先で殺されることを恐れたカインのために、
彼を傷つけたものには7倍の復讐があるとされ、頭に殺されないための刻印をされたとされる。

まあ聖書の内容がどこまで本当なのかはカイン自身に聞いてみないとわからないことだが、
この報告書もまた読んだであろうSCP-073がこれにコメントをしている様子はないのであまり話したくないのだろう。







…もうだいたいこいつと絡むもうひとりが誰か察していると思うが。

ピザボックスを開けばお肉だらけのピザを出した奴がいる。
豚の塩漬け肉ちゃんにはふたりまとめてFateのパクリ扱いされ、
そしてティターニアの檻にはカインだけでなくもう一人のための檻がある。


SCP-076に関する情報を"バックアップ"するためSCP-073に持って行くと、情報に親しみを示し、
すでにSCP-076については全て知っているので追加することに抵抗感を感じていました。SCP-076には誰も会わないほうがいいと言いました。


SCP-076、アベル。
カインという名前である以上は、当たり前だが彼と何かしらの関連が疑われるのだ。
実際アベルは戦術や冶金などの殺しに関係する知識を有しているが、他に「牧畜」についても詳しい。
聖書でアベルは産まれたばかりの羊の子をヤハウェに献上した。
一方カインは取れたばかりの収穫物を献上した。

カインのものには目もくれなかったヤハウェだったが、アベルのそれには大層喜んだ。
それに嫉妬したカインはアベルをぶち殺し、そのせいで遠くの地に追われた。

その後は聖書通りとは行かなかったのではないか。

カインは前の支配種に忌み嫌われる(詳しくは書かないが、前の支配種は動物と植物を使った高度な文明を築いており、
SCP-073の特性によって文明がぶち壊しにされる危険性がある)。
アベルは天に向かってカインの罪を咎めるのではなく、自分が何度も復活してはカインの子孫を殺して回る。
(SCP-076-2は死んだ後一定時間経つと復活する)

そしてカインは、あてつけのように、弟の残した技術の成果物しか食えない。

カインが人に優しいのは、自分の咎を自覚しているからなのか、そこにいる人たちが自分の子孫だからなのか。






研究者は冷ややかに笑い、二番目の煙草に火をつけた。
「スケジュールに圧し潰される前に、俺らはもうちょっと共有できたんじゃないかね、チーフ」

「アメリカのすべてのホテルに『取り扱い手順』のコピーを1冊、では不十分だったかな?」

「いくらかは翻訳する中で失われただろうな」



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