SCP-1010-JP

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SCP-1010-JP - (2017/08/14 (月) 20:37:10) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2016/11/23 (水曜日) 21:32:43
更新日:2024/04/12 Fri 20:29:43
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それはいつも、我々を見ている。



SCP-1010-JPとは、怪異創作コミュニティサイト「The SCP Foundation」に登場するオブジェクトの一つである。

項目名は『未確認飛行物体が見てる』。某小説とは関係ない。
オブジェクトクラスは堂々の「Keter」。またJPのコードが示す通り日本支部の管轄にある。



◆概要
まずは、このオブジェクトはどんなもんですか? という説明からいこう。

SCP-1010-JPは、日本上空に出現する直径12mほどの光輝く球体である。未知の原理で空中に静止しており、材質は不明。
表面は赤色に発光しており、その発光スペクトルの波長は630nmから650nmを中心強度としている。
後述の性質のため、更なる組成の調査・解明は現時点では出来ていない。

SCP-1010-JPは不定期に、特定の条件下にある日本国内の限定された地域からのみ、光学的な観測が可能となる。
ちなみに現在までに観測が成功したケースでは、全て以下の条件が当てはまっている。

  • 本州、四国、九州北部、ならびにその周辺諸島の陸地にあること
  • その地域における日の出から日没までの時間帯にあること
  • 天候が雲量7Okta1以上の曇りであること

特に時間帯は、日の出から1時間以内、もしくは日没前の2時間以内に発生する例が多い。

要するに「宙に浮かぶ光る球体」であり、そんなもん内密に収容しようと思ったところで無理である。
というわけで、日本支部のコイツに対する対応は影響を抑制すること、その拡散を阻止することにある。

で、コイツは具体的にはどういう場所に出るのか?
本家記事にはいろいろ専門的に書いてあるが、ざっくり噛み砕くと影響範囲の中心から見た時、太陽の方向、観測者から1000mほど離れた場所に現れる。
影響範囲の外からはコイツを観測することはいかなる手段を以てしても不可能である。

おかげで、「これって実体のない現象型のオブジェクトじゃないの?」という意見まで出たが、光学的観測によりこのオブジェクトには明らかに実体が存在することが確定している。


◆影響
ところで、前述したとおりこいつのクラスはKeter。財団が指定するクラスの中では(どのクラスもヤバいものはヤバいが)トップクラスに危険なものである。
ではコイツ、どんな影響を与えるのか?

実は、物理的にも精神的にも何の被害も発生しない。
人間が死ぬわけでも、精神が壊れるわけでも、異常な空間が発生するわけでもない。
本当に、危険と呼ぶべき現象はなんにも起きないのである。

このオブジェクトの出現イベントは長くても30分程度で終わるが、その間、発生地域内で不特定多数の人間がいつの間にか姿を消すという現象が起きる。
やっぱ危険じゃねえか、と思うのならばさにあらず。
出現イベントが終わってオブジェクトが消失すると同時に、消えた人間も別の場所に出てくるのだ(消える時も現れる時も人目の少ないところであることが多いが、衆人環視の中だったこともある)。

で、消えて現れた人間はその間の記憶を持たず、強弱の差はあれど「SCP-1010-JPが我々を監視している」という認識を持つようになる(この認識を持つようになった人間はSCP-1010-JP-Aとなる)。
SCP-1010-JP-Aはさらに、自らの主観が定めるところの「悪事」にカテゴライズされる行為に対して強い忌避感を覚えるようになり、社会的なルール、文化的に規範とされる行動・言動を順守することを強く意識するようになる。

要するにミーム汚染の一種なのだが、これは簡易的な記憶処理により除去が可能となっている。


このように、Keterクラスでありながら実害がほぼ発生しない、むしろミーム汚染という部分に目を瞑れば社会的に有益な現象が発生しているのである。


◆歴史
このオブジェクトに関する歴史は意外と古く、財団が調査したところ最古の事例はなんと800年以上前、12世紀に確認されている。
どうやら、日本国内ではSCP-1010-JPは太陽と同一視され信仰の対象となっていたようであり、現在の日本国の文化・習俗・宗教観に大きく関与しているらしい。

出現イベントの気象的・地理的条件から、未知の存在がこのオブジェクトを、わざと太陽と誤認するように意図してイベントを起こしているのではないか、という仮説も存在する。

そして、過去に発生したSCP-1010-JP-Aを発端とする、異常性のない二次的影響は現代日本の文化・習俗にも残存している。しかしながら、日本国が財団の管轄となった1945年以降、新たに発生するSCP-1010-JP-Aによる二次的影響は減少傾向にあり、残存の影響は文化の一つとして扱っても問題ない、という結論が出た(もしどうにかするなら日本全土に記憶処理をしなければならないし、そんな余裕も意味もない)。

このオブジェクトがKeterクラスになっているのは、オブジェクト実体の収容が出来ていない+実質収容不可能であること、出現イベントがどこで起きるか正確に予測できないこと、SCP-1010-JP-Aの正確な把握が困難であること、という事情が理由である。

今後、オブジェクトの性質に変化が生じず、財団が同様の対処を続ける限り、このオブジェクトは比較的無害な存在であり続けると考えられている。


◆補遺
過去に確認されたイベントのうち3例において、発生したSCP-1010-JP-Aが、このオブジェクトに対して「テント」「テントー」という呼称を用いていたことが確認されている。
この呼称は財団が管轄するよりも以前から使われていたようだが、サンプルが少なく特定はできていない。
















◆元ネタ
さて、このオブジェクトには元ネタが存在する。
といってももはやバレバレであろうが一応述べておくことにする。

SCP-1010-JPの元ネタは、ずばり暈のかかった太陽である。誤認も何もまんまである。
それ以上は特筆すべき事項もないし、セキュリティクリアランスの求められる秘匿情報もない。
本当に読んだままのオブジェクトである。

そして、補遺。
「テント」「テントー」という呼称に思うところはないだろうか。


思い出してもらいたい。
大人の諸兄は小さい頃、若者の諸兄はちょっと昔、子供の君たちはこの間、じいちゃんばあちゃんに言われたことはないだろうか?


お天道様が見とるけえ、悪いことはしちゃいけんよ


と。
何でもない、ただのちょっとした戒めの言葉。誰かがどこかで見ているのだから、悪いことはしてはいけないのだと。
例え人が見ていなくても、お日様が見ているのだから、と。

そう言われたことは、ないだろうか?




SCP-1010-JP - 未確認飛行物体(おてんとうさま)が見てる




追記・修正はSCP-1010-JPが見てることを考えながらお願いします。



SCP-1010-JP - 未確認飛行物体が見てる
by holy_nova
ja.scp-wiki.net/scp-1010-jp
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