SCP-396

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SCP-396 - (2022/11/17 (木) 23:22:17) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2016/12/27 Tue 01:15:58
更新日:2024/03/28 Thu 21:22:10
所要時間:約 7 分で読めます





_人人人人人人人_
> 突然の椅子 <
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SCP-396はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト(SCiP)である。
項目名は『And Suddenly, Chair』であり*1、日本語名は『> 突然の椅子 <』。


…すっごくふざけた名前だけど、このなりでオブジェクトクラスはKeterである。

Keterなのである。

概要

SCP-396はプラスチックと鉄で構成されている椅子である。
普通のちょっと座りづらい椅子であるのだが、この椅子は時々、世界中のどこかの椅子と場所が入れ替わってしまうという困った特性を持つ。
頻度は1〜11ヶ月で統計的にもランダムな間隔。ひたすら面倒くさい。
さらに悪いことに「世界中のどこかの椅子」は財団にある椅子も含むので、他のオブジェクトの収容チャンバーにある椅子と入れ替わったり、椅子型のオブジェクトそのものと入れ替わって二次的な収容違反を誘発したりもする。

あまりにすぐ収容違反するもんだから、財団はこの椅子のクッション部に散布できるタイプの記憶処理剤をしまってあり、
この椅子が頻繁に現れる場所には財団職員が待機させられている。
またこのオブジェクトには追跡しやすくするためにジオロケーターまでつけている。

当初は財団はこの椅子の入れ替わる範囲を見誤っており、局所的なものであろうと考えられていた。
そのためSafe分類がされており、まだ財団での経験も浅い次席研究員たちが担当していた。
彼らは恐らく、互いに研究室で「最近担当した他のオブジェクト」や「財団内でのインシデント」について喋っていたのだろう。

…どうやらこの椅子、「人の声を聞くことができる」らしく、
彼らが言及したオブジェクトのある場所の椅子と自身を入れ替える特性が発揮され始めた。
これによって入れ替わる場所が際限なく広がっていき、次第にオブジェクトクラスが引き上げられたという。

現時点で、このオブジェクトの近くで言及された場所として判明しているのは991ヶ所*2
繰り返し言及されたり、詳細まで言及された場合はより可能性が増える。
当たり前だが基本的に私語をわざわざ財団職員も記録なんてしなかったので、
現在完全なリストを作成することは不可能だと考えられている。

よって椅子の近くで職員たちはその収容室の外について語ることは現在禁じられている。

現れた場所

  • とあるクルーズ船
休暇をとっていた次席研究員が乗っていた船。
多分「次の休みはクルーズに乗るんだ!」みたいなことを話していたんだろう。
この時点ではまだ「その次席研究員の刷り込みで飛んだ」と考えられ、
とりあえずSafeからEuclidに引き上げられた。

  • サイト-77の2階研究室
転属した研究員が前の職場について話したと判明。
異常性がはじめてわかった最初のもの。

  • 死刑囚監房
あるDクラスに、自分がかつていた監獄について述べるように指示し、
経過を待つ。

…すると、3ヶ月後にその監獄の電気椅子と入れ替わるという事象が発生、
しかもよりにもよって死刑執行直前というえらいタイミングであったため
財団がすぐさま急行した。ここでKeter格上げが検討され始める。

  • エリア-93の洗面所
とある研究員が同僚との職場環境についての議論の際に、エリア-93の洗面所の改装について述べた。
SCP-396の特性上影響を受けないと思われていた防音室内での会話でアウト。

  • ワシントンDC、合衆国最高裁判所
なんと最高裁判事の座席と入れ替わる。
その時点で着席していなかったため、判事が「今日の椅子おかしくね?」と警察にいうまでは発覚せず。

  • フロリダのジェットコースター
なんとジェットコースターの座席と入れ替わる。しかも走行中に。
オペレーターが「あれあの椅子おかしくね?」と気づいたことでコースターは閉鎖、
2時間後に到着したエージェントによって回収された。
エージェントがやり手だったらしく、ちゃんとお土産写真の差し止めまで行っており、表彰されている。

  • バチカン市国
あろうことか教皇が座っていた椅子が教皇ごと入れ替わる。
だが財団も機転がきいたのか、少しの記憶処理剤を投与した後、
教皇聖下にあらせられてはこの事件が宗教的体験であったと思っていただくことに成功。
バチカン市国の政府関係者とは取引を交わしている。

  • 保管サイト-08
財団が保管している椅子型オブジェクトには他にもSCP-1609(椅子の残骸)というのもある。
…まあ残骸だから椅子だった、というのが正しいけど。
何故残骸になっているかというと、元々この1609、近くに疲れた人がいればその傍にワープして自分に座らせて休ませてあげるという、
特に危険もないしかなり優しい性格だったのだが、ある日異常存在絶対殺すマンこと世界オカルト連合の構成員によって有無を言わさず破壊されてしまった。
しかし、残骸となった後も実は死んでおらず生き延びていたのだが、この一件でブチギレて以降温厚な性格は一変し、滅茶苦茶攻撃的になってしまったのだった。

で、この残骸の定期的な実験中に担当していたDクラスに突如敵意を示し始めた。
だがSCP-1609が職員たちを傷つける前に…


_人人人人人人人_
> 突然の椅子 <
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…なんとSCP-396がその場に出現。変わってSCP-1609はSCP-396の収容室にワープした。
SCP-396の収容室はSCP-1609よりも厳重であったため両者ともに収容違反とならず事なきを得た。
どうやらこのDクラスはかつて請負業者として世界オカルト連合の施設建築に携わっていたらしい。

このようなイベントも起きる椅子である。
ちなみにこの事案、何気に「かつて椅子だった物体とも入れ替わる」ことが判明している。今このとき椅子でなくとも、椅子を構成していた部品であれば入れ替わりのターゲットになる、ということらしい。

余談

元々このオブジェクトはコンドラキ博士の中の人、Dr Kondraki氏が書いたもので、
その時は「25分以上座ることで別の場所の椅子と入れ替わる」オブジェクトであった。
座り心地もいいらしく、普通に使用されているオブジェクトだったりする。
当時たのしいざいだん(lolFoundation)がまだ息づいている時代だったので、結構ゆるい報告書だったわけである。

補遺も「SCP-173担当のDクラス一名が椅子に座っていて、それがSCP-396と入れ替わっているのに気づき、
ふと振り向いた時、別のDクラスがそれに気づいて椅子にさわり、残り一人が欠伸をして目を閉じた」、つまり全員が173から目を離してしまうという事例が起きた際、
173は最初椅子に座っていたDクラスを襲おうとしたが、椅子に座っていたDクラスと触っていたDクラスはその際に椅子と一緒に転移。
運悪く残った一人が首をグキッとやられた、という顛末のものが語られている。

…瞬きの一瞬だけでも即座に相手に接近できる173の超高速移動よりも更に早い反応速度で回避してるぞこの椅子。

396「見てからワープ余裕でした」
173「なん…だと…」

だがRoget氏の改稿によって、一気に性質が引き上げられ、Keterにまで昇格した。
もちろん「収容が著しく困難」だからKeterなのであり、クソトカゲアベルみたいな危険があるわけでは…
だが実際考えてみると、こいつ自身は危険じゃなくても、財団には他にも危険な椅子型オブジェクトはたくさん存在する。
1609の存在を知っていた理由も不明だし、他のSCiPの収容違反を起こすリスクもあるので結局安心はできないだろう。






殺伐とした財団世界に
_人人人人人人人_
> 突然の椅子 <
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追記・修正に
_人人人人人人人_
> 突然の椅子 <
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CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-396 - And Suddenly, Chair
by Dr Kondraki(原著), Roget(改稿)
http://www.scp-wiki.net/scp-396
http://ja.scp-wiki.net/scp-396

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