DL6号事件

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DL6号事件 - (2020/05/16 (土) 20:05:14) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/12/28(水) 23:55:52
更新日:2024/03/01 Fri 02:26:16
所要時間:約 10 分で読めます




「「サユリさん、サユリさん! 何か忘れてること、ないかな?」」


D L 6 号 事 件 を 忘 れ る な ……



逆転裁判』シリーズにて、『1』の15年前(2001年)の12月28日に発生した架空の事件。

密室のエレベーター内で銃殺事件が発生し、当時は有名な弁護士であった御剣信が射殺された。
15年もの間捜査が続けられたが、2つあるはずの弾丸がどうしても1つしか見つからないという結果に終わり、迷宮入りとなっていた。

そして『1』の第4話「逆転、そしてサヨナラ」で時効を迎えようとしていた。


事件が与えた影響は大きく、成歩堂龍一御剣怜侍狩魔冥・綾里家やゴドー検事の運命をも巻き込み、
彼らの人生を大きく狂わせる事となった。

その経緯と影響は実に複雑であり、直接的であれ間接的であれ、逆転裁判前期に登場する主要人物の大半がこの事件に関わってしまっている点は興味深い。



以下ネタバレ注意!






























犯人は狩魔豪

地震により停電が発生し、とある裁判所の法廷内のエレベーターが停止、
IS-7号事件の法廷(→逆転検事2「受け継がれし逆転」)を終えた3人の人物が閉じ込められた。
その3人とは弁護士の御剣信と、その息子御剣怜侍、そして法廷係官の灰根高太郎である。

電力は一向に回復せず、次第に3人は精神的に追い詰められていく。
酸欠状態のエレベーターで理性を失った灰根は、信と争いを始め
最後は「オレの空気を吸うな!息の根を止めてやる!」と殺そうとし、襲いかかった。

それを止めようとした怜侍は、足元に転がっていた物体を灰根に向かって投げつけた。
しかしそれは事件の証拠品であろう拳銃だった。
拳銃は投げつけられた衝撃で暴発し、偶然エレベーターの外に居た狩魔の肩を打ち抜き悲鳴を上げさせる。
そこで3人とも意識をなくし、同時にエレベーターが動き出し扉が開く。

直前の法廷で不法証拠を暴かれたことから信に私怨を抱いていた豪は、迷うことなく落ちていた拳銃で信を射殺した。
証拠が出てこなかったのも当然、事件の犯人だとバレるのを恐れた狩魔が弾丸を摘出せず、弾丸は15年間狩魔の肩に埋め込まれていたからである。


この一件で怜侍は「父の命を奪った犯罪者の味方にはなれない」と弁護士となる夢を挫折し、代わりに狩魔に師事し、正反対の検事を目指すことになる。
その影響で御剣は学校を転校し、成歩堂と矢張は連絡が取れなくなる。
やがて御剣の黒い噂を知った成歩堂は、御剣に真相を聞く為に弁護士を志す。

また御剣自身はこの事件がきっかけで地震がトラウマになってしまい、事件が解決に至った後も克服出来ていない。



一方、捜査を続けても証拠が全く見つからないことから、警察は最終手段として綾里家に霊媒を依頼した。
その霊媒師が千尋真宵の母親である綾里舞子

しかし呼び出した信の霊は、殺害時に意識を失っていたので「犯人は灰根」と断言した。
全てを知る当の狩魔本人は御剣信の告発に対し「被害者自身をもカンペキにあざむいてやったのだ!」と後に語っているが、
彼もまさか狩魔が自分に私怨を抱いていた上にエレベーターに乗り込んできて射殺しにきたなどとは知る由もなかった…

ちなみに当時生倉が所属していた弁護士事務所の所長・星影宇宙ノ介もそのことを知らないため「御剣信が息子をかばって灰根を告発したのではないか?」と推測していたが、
事実から見た場合、信の視点で考えると仮に息子の行動で銃が暴発していた時に意識があった場合は
暴発の瞬間に撃たれた人間(狩魔)が叫んでいるぐらいなのに、その弾が自分に当たったなどと間違えることはまずないと思われ、
暴発前に意識を失っているなら、直前に自分を殺そうとしていた灰根と息子のどちらが犯人かと聞かれて息子だと思う可能性は限りなく低いだろうし、
どちらであっても彼が息子が犯人だと勘違いして捻じ曲げたとは考えにくい。(実写映画を除く)

実際には灰根は犯人ではなかったのだが、この状況ではまず有罪になってしまうため、灰根は担当弁護士の生倉雪夫に心神喪失状態を装うように指示される。
結果として証拠不十分と言うこともあり、灰根は無罪にはなったが、
逮捕直後に自殺した婚約者の次に、仕事と社会的立場まで失った。(→「逆転、そしてサヨナラ」)。

証拠不十分なら演技する必要ないじゃん…と思わないこともないが、実際に殺意を持って信を襲ってしまっているため
暴行、下手すれば傷害や殺人未遂であり、どのみち社会的な大ダメージは避けられずこれを回避する方法は他になかったのかもしれない上に
フリ以前に事件時の灰根は実際に錯乱していたため、あながち嘘でもない。
だが生倉が灰根と意思疎通を図っていなかった事もあり当時の状況を詳しく理解出来なかった灰根は闇の底へ…



結果的に霊媒を行ったのに無罪に終わり、更に星影弁護士が情報屋の小中大に霊媒捜査があったことを漏らしてしてしまい、
「綾里家の霊力はデタラメ」と言いふらされ(→「逆転姉妹」)、綾里家の名声は地に落ちていった。
なお、星影もその後情報漏洩したことを弱みにされ、小中から揺さぶられ続けることとなった。

この件で綾里家を見限ったキミ子の夫は、娘のちなみあやめを連れて綾里家から出ていき、
責任を感じた舞子も里を出ていった(→「思い出の逆転」「始まりの逆転」「華麗なる逆転」)。

その後、家元である舞子がいなくなったことで、舞子の姉であり常々家元の座を狙っていたキミ子*1が最後の執念で子どもを作り産んだ。
その子こそが強い霊力を備えた春美であり、ちなみとあやめらとは異父姉妹になる。


また千尋も事件の真相を暴く為、真宵を置いて倉院の里を出、弁護士を志すこととなった。
個人事務所を設立する前は、母の失脚の一因にもなった星影の営む法律事務所に所属していた。

その時に先輩弁護士であり後に恋人となる神乃木荘龍(ゴドー)と出会い、
二人はキミ子の娘である美柳ちなみが引き起こした事件に大きく関わる事になる。
しかし神乃木はその後、彼らを鬱陶しく思っていたちなみに毒を盛られて昏睡状態に陥ってしまった。



そして『1』の第4話「逆転、そしてサヨナラ」で、DL6号事件の弁護士だった生倉弁護士が殺されるという事件が起き、彼と湖のボートで会っていた御剣怜侍が逮捕され、
狩魔豪が検事、成歩堂が弁護士として法廷で争う。
この事件の犯人は事件現場となった貸しボート屋の主人として身を潜めていたDL6号事件の容疑者であった灰根で、
狩魔がDL6号事件の時効前に、生倉弁護士と灰根が犯人だと思っていた御剣に復讐しろと唆した。

この件に関しては成歩堂は無実を証明し、真犯人を見つけたことで解決したが、
灰根がDL6号事件の犯人ではなかった事を知った御剣が、
父の霊媒での証言は自分をかばっていた、自分が投げ出した銃が暴発して父親を殺してしまった銃の暴発の際の悲鳴の主は自分の父親(実際は狩魔)と誤解してしまい、
それが狩魔の狙いで復讐だった事に気付かないまま裁判中に罪を告白。急遽DL6号事件の裁判が行われる事になった。
が、現実には自白しても当時9歳の御剣はそもそも刑法の処罰の対象外。

狩魔は御剣をDL6号事件の犯人に仕立て上げる事で、御剣親子への復讐を遂げようとしていた。
しかし、最後まで御剣が犯人ではないと信じていた成歩堂によって、自分の肩に弾丸が埋め込まれていてその弾丸がDL6号事件の見つからない弾丸であったこと、
つまり殺害現場に狩魔がいたという決定的な証拠を掴まれてしまう。

狩魔は潔く自分が御剣弁護士を殺害した事を認めて時効ギリギリで逮捕される。そして『3』まで間に死刑判決を受け刑が執行された。



こうして事件は成歩堂によって解決されたが、『2』では「殺人犯の娘」にされてしまった狩魔の娘である検事・冥が現れ、
『3』では綾里一族とゴドー検事が事件の影響で人生を大きく狂わされていた事が判明する。

この事件が残した影響は前期シリーズ最終話「華麗なる逆転」までもつれ込み、更に『逆転検事2』でもこの事件のきっかけとなった「IS-7号事件」が話に出てくる。

1で登場し、3の最終話まで関わってくるというまさに逆転裁判「成歩堂編」の中核を為す、最重要事件である。
ただし『検事2』から7年以上が経過している『4』以降の時代ではさすがに触れられていない。






名前の元ネタは泡坂妻夫の作品「DL2号機事件」から。 


実写映画版では大まかな部分は同じだが、狩魔の不正な証拠が発覚したことや事件現場がエレベーター内部では無くなり地震がカットされたり、
サユリが灰根の妻になったりと一部変更されている。

そして御剣信が裁判に敗れた後、狩魔の出した証拠が正当か調べるために証拠保管室に忍び込んだ際に、保管室の管理をしていた灰根に見咎められ乱闘になり、
そこへ駆けつけた御剣少年が転がってきた銃を投げつけ…ということに変わっている。
なお灰根の華麗な足払いは笑うところではない。





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