Bf109

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Bf109 - (2015/01/17 (土) 17:53:19) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2009/06/10 (水) 19:29:49
更新日:2022/11/09 Wed 23:01:57
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 Bf109とは、1935年にドイツ空軍に採用され、以降第二次世界大戦終結まで運用された戦闘機である。1934年バイエルン航空機製造(後のメッサーシュミット社)で開発が開始され、翌1935年生産を開始した。さまざまな改良が加えられながら終戦まで運用され、総生産機数は3万機を超える。やがて、同じメッサーシュミット社はメッサーシュミットMe262シュヴァルベ|Me262を開発して投入しているがBf109のほうが戦歴が長い。
 世界で始めて一撃離脱戦法を念頭に置いた戦闘機として開発されたとされ、重量のある機体に薄く小さい主翼を装備し、またプロペラ回転軸から機銃を発射するモーターカノン、主脚のエンジンマウントなど、特徴的な設計になっている。



◆主な特徴


【航続距離】
燃料満載時の全力運転でおよそ1時間半、航続距離にして700km前後の飛行が可能であり、一般に言われているBf109の航続距離の根拠は此処から来ている。航続距離の短さが主な欠点として上げられることが多いが、この数値はあくまで「全力運転」での滞空時間から算出されたものであり、他国の戦闘機とは基準が異なるため単純に比較できない事に留意すべきである。
(例えば零戦32型の場合、全力運転時の滞空時間はBf109と同程度しかなく、より航続距離の長い21型、52型でも2時間半程度)

【エンジン】
Bf109が標準的に装備したDB601エンジンは、高出力時の燃費に優れており、機体の運用思想にマッチしたエンジンであった。
技術力に定評があるドイツらしく、燃料直接噴射ポンプ、モーターカノンも可能な倒立V型気筒、流体クラッチ装備のスーパーチャージャー、トドメとばかりに超高精度のベアリングを多用するなど、当時としては大変高度な技術が使用されており、他国のそれと比べて性能面で優位性を持っていた。
その中でもとりわけ効果的だったのは燃料直接噴射ポンプである。従来のキャブレター式エンジンと異なり、如何なる姿勢、G環境でも安定した燃料供給が可能な燃料直接噴射ポンプは、激しい機動を要求される戦闘機にとっては絶大なアドバンテージだった。

【主脚の構造】
BF109の主脚は胴体に装備されており、離陸後に外側に引き込まれるという独特な構造になっている。これにより車輪の間隔が狭くなってしまい離着陸時の事故の原因になった反面、主脚とその引き込み装置が胴体についていることから主翼の構造を簡素化でき、破損時には容易に交換可能になるなどのメリットもあった。

【武装】
当初は機種上面に小口径機銃、そしてプロペラ回転軸に大口径機関砲(いわゆるモーターカノン)を装備する予定だったが、振動などの問題を克服できなかった事から当初は機首上面の機銃しか使えなかった。後に(半ば無理やり)翼内武装を装備したものの、薄い主翼に機銃を搭載するには無理があったため、モーターカノンの実用化と同時に廃止されている。
結果として、最終型であるBf109Kまで抜本的な対策は採られず、最後まで武装に悩まされた機体であった。

【実戦】
1936年に発生したスペイン内乱で初陣を飾って以降各所で優れた性能を示したが、一撃離脱に特化した本気の特性上、爆撃機などの護衛任務は苦手であり、爆撃機護衛が主任務となった「バトル・オブ・ブリテン」では大きな損害を出し敗北の一因となってしまった。

◇戦後の発展型
  • イスパノHA-1112-K1L/M1L
 スペインはWW2中は戦時中立を宣言したため、ドイツからBf109F14機とBf109G-2ライセンス生産権を得たが、エンジンまでは手が回らず、イスパノ社は仕方なくフランス製HS12Z17を搭載したHA-1112-K1Lを69機生産したが、部隊配備は戦後になってしまった。
 1956年にはエンジンをRRマリーン500-45にしたM1Lに発展したが、最早機種周りは全くの別物であった。58年までに170機が生産され、1967年までスペイン空軍で使用された。
 K1Lは「撃墜王アフリカの星」のマルセイユのBf109F-4役、M1Lは「空軍大戦略」のBf109Eと仮想ハリケーン役でそれぞれ映画に出ている。
  • アビアS-99/199
 ドイツ撤退後のチェコスロバキアのアビア社で、22機製造されたBf109G-12/14は国防用戦闘機アビアS99として主に停戦監視の役割で新生チェコスロバキア空軍で使われた。
1947年にはエンジンをHe111-H用のjumo211FにしたS-199になり1950年代半ばまで使用された。機首周りはまるでTa152の様だが、イスパノよりもドイツ機らしい。
 単座戦闘機型551機と複座型のCS-199が58機生産されたが、そのうちの25機がイスラエルに輸出され。初のイスラエル空軍戦闘機になった。自分たちユダヤ人を迫害した国の機体を使用するとは、皮肉なものである。



 各型には該当するアルファベットの頭文字に対応した、非公式な愛称として、ドイツ人によく見られる人名などが付けられている。

Bf109Aアウグスト:初期生産型。

Bf109Bベルタ:ユモ210Eエンジンを搭載した改良型。スペイン動乱初期の主力機となった。

Bf109Cツェーザー:主にスペイン動乱からポーランド侵攻にかけて少数が使用された。機首上面と翼内に各2門のMG17機関銃を装備した。20mmMGFF機関砲を搭載することが予定されたC-3は生産されなかった。なお、「ツェーザー」は人名のほか、ローマ帝国皇帝カエサルを特に指す固有名詞的な使い方もされる。

Bf109Dドーラ:ユモ210を搭載した機体で、主にスペイン動乱からポーランド侵攻にかけてある程度の機数が使用されたが、すぐにBf109Eが登場したため戦場に長くは留まらなかった。某漫画のドーラと聞くとこれを思い出す人はなかなかの空軍好きである。

Bf109Eエーミル:ダイムラー・ベンツ製エンジンDB601Aを搭載した機体で、初期の主力機となった。後期型では出力向上させたDB601Nも使用された。

Bf109Fフリードリヒ/フリッツ
 DB601N及び改良されたDB601Eエンジンが搭載された機体。空気抵抗を減少させる設計に刷新された。大きな性能向上を果たし、大戦中期の主力機となった。

Bf109Gグスタフ
 DB605エンジンを搭載した機体。BF109シリーズにおける決定版であり、多数の派生型が生産され後半の主力機となった。

Bf109Kクーアフュルスト
 量産された最後の機体。それまでのモデルと比べて別物といってもいいほどの大改修が行われており、翼内機銃の装備も標準で可能となっている。なお、「クーアフュルスト」とは「選帝侯」のこと。戦争末期に完成し2機のみ配備されたK-14型では2段2速過給器付きDB605Lを搭載し、高度14000mで740km/hとされている。

Bf109Tトレーガーフルークツォイク
 E-3型にカタパルトフックとアレスティング・フックを追加、主脚強化、主翼延長と翼端を折りたたみ式に改造した艦上戦闘機型。航空母艦「グラーフ・ツェッペリン」に搭載する予定だった。フィゼラー社担当でまず先行量産型T-0型を10機製作、E-4/N型ベースのT-1型60機の量産が進められた。しかし肝心の空母が未完成に終わったため、完成した機体から艦載用装備を撤去、ノルウェーや北西ドイツの陸上基地で部隊運用された。

Bf109Zツヴィリング
 2機のBf109Fを合体させて双発機とした機体。実用化されなかった。 どう考えても変態兵器。しかしF-82 ツインムスタングの例もあるので一概には言えない。

Bf109Wヴァッサーフルークツオイク
 水上機型。二式水戦?違います

Me109TL
 ガスタービンジェットエンジンを搭載した、109ベースのジェット戦闘機


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