UpperDeck遊戯王OCG偽造事件

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UpperDeck遊戯王OCG偽造事件 - (2015/08/12 (水) 19:17:47) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/10/09(日) 14:01:46
更新日:2024/01/01 Mon 19:30:21
所要時間:約 6 分で読めます





今現在、世界50ヵ国以上で親しまれている遊戯王オフィシャルカードゲームであるが、10年以上もの歴史には輝かしいエピソードだけでなく、後ろ暗いエピソードも当然ある。

その中でも、恐らく最もプレイヤー、そして遊戯王ファンを激怒させた事件がこのUpperDeck社による『カード偽造事件』であろう。

『UpperDeck(アッパーデック。以下アッパー)社』とは、数年前(5D's初期)まで北米での遊戯王TCG(海外ではOCGではなくTCGと呼ぶ)の販売をコナミから委託されていたゲーム会社である。
最初の頃は真っ当な業務を淡々とこなしていたが、あまりにも売れ行きがよかったため、だんだん調子に乗り始めていく。
そして、とうとう以下のような暴挙に乗り出した。


  • 日本と海外で裁定を変える
ゲームの根幹となるルールそのものを日本と海外で変えてしまう。
最もこれは日本のコナミの知識不足も慢性的な問題として常々指摘されているので、一概にアッパーが悪いとは言い切れないが。

  • 極端な封入率操作
日本では文字レアでの収録だったため、遊戯王のゲーム性そのものを変えてしまったとまで言われるダーク・アームド・ドラゴン数箱に1枚しか存在しない「シークレットレア仕様」に変更。
これは日本版で言うホログラフィックレア以上の封入率である。

  • さらにそのシークレットレアの中からも出づらい部類にする
このため、前述のダムドは日本では猛威を振るっていた割には文字レアであり、非常に入手しやすかったので安価だったにも関わらず、米版は1枚2万円前後で取引されるほどであった。

  • 販売方法のゲリラ的変更
日本以外の言語のカードには、同一のパックの同じカードでも

初回生産版を意味する「1st Edition」(通称1st)
それ以降の生産を意味する「Unlimited」(通称アンリミ)

この二種類が存在する。

当然の事だが、1stは一度しか生産されないがアンリミはその後もしばらく恒久的に生産されるため、1stの方が希少価値が高い。
そのため、例えば同じモリンフェンでも1stとアンリミとで価値に差が出るわけだ。
物にもよるが、大体アンリミは1stの2/3位の価値になる場合が多い。

そしてアッパーは、GX時代(『Light of Destruction』まで)まではまず1stのパックを問屋に卸し、その後アンリミの生産に取りかかる……という方法をとっていた。




5D's初のパックとなる『The Duelist Genesis』から、小売に何の通達もなしにいきなりTin缶と呼ばれるセット缶限定に変更。
プレイヤーはもちろん、小売業者も巻き込む阿鼻叫喚の大騒動となった。

  • 海外オリジナルでぶっ壊れカードを出す
「光の援軍」「闇の誘惑」といった、一時的に環境を激変させたカードのオリジナル製造。
オリジナル製造自体は問題ないのだが、あまりにも環境に干渉しすぎる強力カードの乱発が目立ったため、しばらくそのカードを使えない日本のプレイヤーからの不満の声が多々挙がっていた。

  • UpperDeckの大会ではコナミのカードは使用不可
つまり、アメリカの大会で日本版のカードは使用できない。
「いいよな、日本はライトロードが簡単に組めて」と嘆くアメリカ人も多いとか。
(ちなみにこちらは後に、少し遅すぎる気もするがリミテッドでは日本でもTCGなどの海外カードは使えなくなった)


もちろん、こういった悪い部分ばかりでなく、日本と違って大規模な公認大会を度々開催したり、その大会の景品を豪華にしたり(プレイマットや汎用ノーマル・レアのウルパラなど)してプレイヤーのモチベーションを高めたりと、少なからずプレイヤーから賞賛される部分もあったのは確かである。
だがそれ以上に上記の販売方法には批判が寄せられており、日米加の3ヵ国のプレイヤーの不満は徐々に高まっていった。

そんなある日、アメリカに日本のコナミの社員が出張した際、ロサンゼルスのカードショップで遊戯王カードのよくできた偽物を発見。
当然コナミはその販売会社を相手に訴訟を起こすが、その際に販売会社が衝撃的な事実を述べた。


「いや、これアッパーから供給されたものなんですけど」




\プッチーン/

ついに激怒したコナミはアッパーとの契約を打ち切ろうとするが、アッパー側は「その打ち切りは契約違反である」とし、コナミ相手に訴訟を起こす。

コナミ側には「アッパーが偽造をしている」という物証が乏しかったため、裁判所もアッパーを支持し、アッパー勝訴。
裁判後、コナミはアッパーから権利を引き上げようとしたが、アッパーは無視して独自路線での遊戯王を販売しようとした。




某所でコナミ社員が偽造カードが大量に入れられたダンボールを発見。
調べを進めていく内に確実にアッパーから納入されたものだと判明、再び訴訟沙汰となる。
今度は裁判所も物証があったため、そしてアッパーの何人かの重役が偽造を認める証言をしたためコナミ側を全面的に支持。
これによりアッパー敗訴と思われたが判決が出る直前で和解、アッパーは遊戯王から完全に撤退する事となった。


余談だがこの際にアッパーの弁護士が

「現時点でアッパーのライフポイントはほとんど残っていない」

と語り、デュエリストではないのかと一部で話題になった。

ついでに、イード社のニュースサイト「アニメ!アニメ!!」でこの騒動が記事になった際のタイトルが

【コナミ米国「遊戯王」TCG裁判で和解に満 足と発表】

であり、サティスファクションタウンの住人ではないのかと一部で話題になった。


当前の事だが、遊戯王においても偽造カードの使用は認められていない。
だが、このアッパー社製の偽物に関しては「騙されても仕方がない」という事で特例で使用が認められている。

簡単な見分け方としては、

  • 六期の比較的前半までのカード
  • アルティメットレア
  • 1st
  • カード右下のホログラムが銀色(本来1stは金色)

以上の条件を全て満たしていればほぼ偽物である(大会で使用してもなんら問題はないので特に問題はないのだが)。


これらの経緯を簡単にまとめると、こうなる。

  • コナミが偽造カード発見!「イラッとくるぜ……」販売会社を訴える
  • 販売会社「だーってこれアッパーのだしー」
  • コナミがアッパーとの契約を打ち切ろうとするがアッパーが逆ギレ訴訟、そしてアッパー勝訴
「オレの勝ちだァッ」

「なに勘違いしてやがる。まだオレのバトルフェイズは終了してないぜ!」
  • しかしコナミがアッパーが偽造をしている物証を発見
  • アッパーの重役何人かが「私がやりました」と証言
  • アッパー敗訴寸前でコナミと和解、遊戯王から撤退


ちなみにアッパー撤退以降、北米の遊戯王事情は劇的に……変わらなかった。

相変わらず大会では英語版以外使用できないし(こちらは前述した通り、日本でもほぼ統一された)、封入率操作こそなくなったものの日本で活躍したカードのレアリティ格上げによる入手困難さは相変わらず。
日本と海外での裁定の違いも当初放置、それどころかエクシーズ召喚については根本的な部分で食い違いが発生した。

鳴りを潜めたと思われていた海外新規のぶっ壊れカードも最近復活……と、封入率操作以外は何も変わっていないのではないか?とさえ思われる。

ちなみに5D's中盤から1stもしっかりパックとして店で納入されるようになった。


追記・修正はアッパーのライフポイントにダメージを与えてからお願いします。
カードの偽造についてはダメ、ゼッタイ!

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