TOP4(テニス)

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TOP4(テニス) - (2018/07/16 (月) 17:35:04) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2012/01/29(日) 01:48:32
更新日:2024/02/10 Sat 16:41:55
所要時間:約 8 分で読めます




TOP4とは、テニスの男子シングルスで上位に君臨するロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダル、ノバク・ジョコビッチ、アンディ・マレー の4名のことである。
彼らの戦いは非常にレベルが高く「神々の戦い」「異次元のテニス」と称される。

日本でもBIG4(ビッグ4)、四強、四天王など様々な呼び方があるが、海外ではTOP4という名称がもっとも一般的だと思う。
ではまずこの4名について簡単に紹介。



◇ロジャー・フェデラー(スイス)
1981年8月8日生まれ。
右打ち/片手打ちバックハンド
巧みなラケット使いによる自由自在なストロークとネットプレー、そして球種やコースの読みにくいサーブが特徴。

史上最高のテニスプレイヤー。2000~2009年は彼の時代。
4大大会最多優勝記録、世界ランキング1位最長通算在位記録、世界ランキング1位最長連続在位記録、年間最終戦最多優勝記録など数々の記録を持つ。
なんだただの神か。
テニスはやるのはもちろん見るのも大好きで「大会中はいろいろな試合を追いかけるのが大変だったよ」というコメントが出てくるほど。
キャリアの長さと華麗なプレー、そして溢れ出るテニス愛からファンはおじさんと呼んで親しんでいる。

30代も半ばになった近年はさすがに年齢による衰えが…少しずつ見えてきていますがそれでもまだ強い。
長いキャリアを持ちながら故障知らずの選手でもあったのだが、2016年は膝の故障を抱えたために欠場が増え、ランキングを大きく落とすことに。
(ちなみにこの膝の怪我、理由は自宅の風呂掃除中に娘に声をかけられ振り向いた際に痛めたというもの。長年の蓄積疲労もあるのだろうが風呂掃除怖い。)
しかし2017年の全豪にて決勝まで進み、同じく手首の故障から復活して決勝まで進んだ長年の好敵手ナダルをフルセットの末に制し、35歳で復活優勝。
その後はハードコートの大会にいくつか出た後、芝のウィンブルドンに全力を注ぐため全仏オープンを含めたクレーコートの大会を全て欠場することを表明。
そして迎えたウィンブルドン。他の上位シードが次々と敗れていく波乱のなかでフェデラーは全ての試合をストレートで制し、5年ぶり8度目となる悲願の優勝を達成。*1
2018年には1位復帰も成し遂げた。


◇ラファエル・ナダル(スペイン)
1986年6月3日生まれ。
左打ち*2/両手打ちバックハンド
強烈なスピンショットと広いコートカバーリングが特徴。

上に書いたフェデラーの世界ランキング1位の連続保持記録を止めた人物。
通算対戦成績でもフェデラーに23勝14敗(2017年5月現在)と勝ち越しているただの神その2。
フェデラーの次点や一部で上回るほどの実績を持ち、直接対決でも勝ち越していることからナダルを「史上最強のテニスプレイヤー」と呼ぶ者もいる。
4大大会制覇に加えてオリンピックで金メダルを獲得している数少ないゴールデンスラム達成者の一人。
4大大会を制覇するだけでも相当に困難なものであり達成者は歴代で10人もいないが、ゴールデンスラム達成者はわずかに2人。*3
フェデラーやジョコビッチも4大大会制覇は達成しているが五輪のシングルス金メダルは持っていない。*4

特にクレー(土)のコートでは無敵の強さを誇る「クレーコート・キング」。あまりの強さに一部では「土魔神」と呼ばれている。
4大大会で唯一クレーコートである全仏オープンには2005年に初出場しなんとそのまま19歳で初優勝。全仏出場を始めてから優勝を逃したのはわずかに3回のみ。
(なお優勝できなかった残り3大会もナダルは優勝者と直接戦っていない。つまり現在、ナダルに勝って全仏に優勝した人物はいないのである。)
かつての全仏オープンはクレーコートという特性から度々番狂わせが発生したため「全仏には魔物が棲む」と言われていたようだが、
ナダルの登場以降は「ナダルが不調の年でないと他の人が優勝できない」という別の意味で魔境と化している。誰が言ったか「全仏はナダルの家」*5
無敵の強さを見せたフェデラーやジョコビッチが4大大会制覇に数年を要したのもナダルのいる全仏がなかなか獲れなかったからである。

2016年10月には故郷のマヨルカ島に自身のテニスアカデミーを設立。開校式典には長年のライバルであり親友でもあるフェデラーをゲストとして招いた。
故障で成績が落ちていた2人はこのとき「俺たちもう終わった扱いされてるけどまだまだ頑張ろうな」と笑いながら話したという*6が、
翌年にまだまだ頑張るどころか4大大会の優勝を2人で分け合う(しかも互いに得意の芝とクレーは全試合ストレート)ほどの大復活劇を見せるとは誰が想像しただろうか。
ちなみにドラゴンボールの大ファンである。



◇ノバク・ジョコビッチ(セルビア)
1987年5月22日生まれ。
右打ち/両手打ちバックハンド
精密機械に例えられる正確なストロークと股関節の柔軟性からくる守備範囲の広さが特徴。

2011年を70勝6敗という凄まじい成績で終えた神その3(ちなみに6敗のうちの1敗はあの錦織圭)。
2011年は彼の年であり、4大大会のうち3つで優勝。初の世界ランキング1位など大きく躍進。
2016年の全仏優勝でついに4大大会制覇を成し遂げた。年をまたいではいるが2015年のウィンブルドンから続けての4大大会連続優勝でもある。
4大大会優勝回数歴代4位タイ(12回)、世界ランキング1位通算在位記録歴代5位。(2017年6月現在)

ちなみに相当にユーモアのある神様で、上の二神や、ポゥ!ことシャラポワ、殺人サーブのロディックなどのハイレベルなモノマネをする。
(実際にプレーするわけではなく、あくまで一発芸だが)
2014年の全仏では雨のために傘をさしにきたボールボーイをベンチの隣に座らせ、自身のラケットとボーイの傘を交換し相合傘に。
トップ選手のラケットに触れてボールボーイは大喜び。さらにボーイに飲み物を差し出して2人で乾杯する姿を見せ、周囲の観客からは大歓声が起きた。
ACミランのファン。

2017年は全豪オープンでまさかの2回戦敗退など成績の低迷が続き、また故障のドクターストップが出て大会出場を急遽取りやめるなど不調のシーズンを送った。
そして肘の故障でウィンブルドンを途中棄権して以降は2017年度の全ての大会を欠場した。
2018年1月にツアー復帰。シーズン序盤は痛みの再発もあって全盛期には程遠い状態だったが、4月のクレーシーズンから往年の強さの片鱗も見せ始めている。

◇アンディ・マレー(イギリス)
1987年5月15日生まれ。
右打ち/両手打ちバックハンド
コートを縦横無尽に走り回るカウンターパンチャー。ツアー屈指のロブ(山なりの球)の使い手。

4大大会の優勝回数こそ少ないものの決勝進出回数は11回に上り、また生涯獲得賞金ランキングでは上記の3人に次ぐ歴代4位。
またオリンピックの男子シングルスでは史上唯一の2連覇を達成している。

2012年全米にて、ジョコビッチとの4時間54分の激闘を制し悲願の4大大会初優勝。
翌年2013年のウィンブルドンでは、実に77年振りとなる地元優勝を果たした。
この頃はまだ「4人にするための人数合わせ」「TOP3とそのおまけ」「人間希望の星*7」等、非常に微妙な評価だったが、
2015年頃から人間の殻を破ることに成功。
2016年にはリオデジャネイロオリンピックで金メダルを獲得し、テニスでは男子初、かつシングルス初のオリンピック連覇を達成。
そして11月6日にはついにジョコビッチを超えてついに世界ランク1位を獲得。
本当の意味で神々の仲間入りを果たした。

2017年は序盤から成績が振るわず、また全仏オープン以降はかつて手術もした古傷の腰や臀部の痛みが再発して思うような成績を残せず
8月14日付けのランキングで1位の座をナダルに明け渡した。
そして全米オープンを開始直前で棄権して以降、一部のエキシビジョンマッチを除いて2017年は試合に出場しないことを表明。
2017年末から2018年1月にかけては大会エントリーと欠場表明の繰り返しが続き、全豪オープンの開催中に手術を決断。
2018年芝シーズンからのツアー復帰とウィンブルドン出場を目標にしている。

一歳年上の兄ジェイミー・マレーもテニス選手でありこちらはダブルスのスペシャリスト。
4大大会の男子ダブルスやミックスダブルスでの優勝実績があり、男子のダブルスランキングで1位にいたこともある実力者。
一部の大会やテニスの国別対抗大会であるデビスカップではジェイミーとアンディの兄弟ダブルスを見せることも。




さて、この4名の凄さは分かってもらえたと思う。では、過去10数年の4大大会優勝者を見てみよう


全豪オープン(1月。ハードコート)
2004 フェデラー
2005 サフィン
2006 フェデラー
2007 フェデラー
2008 ジョコビッチ
2009 ナダル
2010 フェデラー
2011 ジョコビッチ
2012 ジョコビッチ
2013 ジョコビッチ
2014 ワウリンカ
2015 ジョコビッチ
2016 ジョコビッチ
2017 フェデラー
2018 フェデラー

全仏オープン(5月下旬~6月上旬。クレーコート)
2005 ナダル
2006 ナダル
2007 ナダル
2008 ナダル
2009 フェデラー
2010 ナダル
2011 ナダル
2012 ナダル
2013 ナダル
2014 ナダル
2015 ワウリンカ
2016 ジョコビッチ
2017 ナダル
2018 ナダル

ウィンブルドン(6月~7月。コートは芝)
2003 フェデラー
2004 フェデラー
2005 フェデラー
2006 フェデラー
2007 フェデラー
2008 ナダル
2009 フェデラー
2010 ナダル
2011 ジョコビッチ
2012 フェデラー
2013 マレー
2014 ジョコビッチ
2015 ジョコビッチ
2016 マレー
2017 フェデラー
2018 ジョコビッチ

全米オープン(8月下旬~9月上旬。ハードコート)
2004 フェデラー
2005 フェデラー
2006 フェデラー
2007 フェデラー
2008 フェデラー
2009 デルポトロ
2010 ナダル
2011 ジョコビッチ
2012 マレー
2013 ナダル
2014 チリッチ
2015 ジョコビッチ
2016 ワウリンカ
2017 ナダル



お分かり頂けただろうか。ちなみに準優勝やベスト4まで見るとマレーも数多く名前が出る。
これほどまでに、この4名とそれ以外には絶望的な実力差があるのである。

近年はフェデラーやナダルが調整のために大会を欠場することが度々あり、TOP4がそのままランキング1位~4位を占めることは少なくなってきている。
というかこの2人は2000年代から今に至るまで10年以上も優勝争いに加わり続けており、その意味ではもはや別格とも言える。
そして2017年にはTOP4全員が30歳を過ぎ、ジョコビッチとマレーも故障による成績低迷や休養を余儀なくされた。
王者たちの怪我や衰えにより徐々に時代が変わる可能性も見せつつはあるが、この4名がテニスのトッププレイヤーであるという点について異を唱える者はいないだろう。


追記、修正お願いします。

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