ABC殺人事件

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ABC殺人事件 - (2016/03/03 (木) 18:38:43) のソース

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&font(#6495ED){所要時間}:約 8 分で読めます

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#center(){&font(#ff0000){&bold(){Mr.エルキュール・ポワロ。君はうぬぼれているようだね。}}}
#center(){&font(#ff0000){&bold(){愚鈍なイギリス警察が手におえない事件でも自分なら解決できると。}}}
#center(){&font(#ff0000){&bold(){ではお利口なポワロ氏よ、君がどれほど利口か見せてもらおうか。}}}



ABC殺人事件とはアガサ・クリスティの小説。
エルキュール・ポアロシリーズの長編作品の一つでクリスティの代表作の一つ。
[[バーロー>江戸川コナン]]や[[せやかて工藤>服部平次]]曰く「クリスティの名前を知らなくてもこの作品を知っている人は多い」ってくらい有名。

以降の項目内容にはネタバレ要素を含みます。



*あらすじ

ポワロのもとにABCとだけ署名をした奇妙な犯人から、殺人を予告する挑戦状がとどいた。
指定の日、アッシャー夫人(A)がアンドーヴァー(A)で殺害された。
さらに第2の手紙が届き、つづいてベティー・バーナード(B)がベクスヒル(B)で……。
死体のそばにはABC鉄道案内がいつもおいてある。
被害者に相互の関係は何一つなく、手口もバラバラ。犯人の正体と動機はわからない。

果たしてポワロはこの難事件を解決できるのか?




*登場人物

&bold(){エルキュール・ポアロ}
私立探偵。主人公。
犯人からの匿名の挑戦状を受け取ったことで、否応なく事件に巻き込まれる。

&bold(){アーサー・ヘイスティングズ}
ポアロの協力者。いわゆるワトソン役。



&bold(){アリス・アッシャー(Alice Ascher)}
アンドーヴァー(Andover)で小さな商店を切盛りしていた老女。
一人目の犠牲者で自身の経営していた店内で撲殺される。
金や商品には一切手は付けられていなかった。

&bold(){ベティ・バーナード(Betty Barnard)}
ベクスヒルのカフェで働いていたウェイトレス。
二人目の犠牲者でベクスヒル(Bexhill)の海岸線で絞殺される。
美人で働きものだったが、異性関係がだらしなく、婚約者がありながら他の男ともたびたび遊び歩いていた。
事件当日も何者かに海岸に誘い出され、その結果殺されてしまったらしいことが分かっている。

&bold(){カーマイケル・クラーク(Carmichael Clarke)}
チャーストンにある屋敷に住んでいる大富豪。かつては医師をしていた。
骨董品集めが趣味。
三人目の犠牲者で日課の散歩の最中にチャーストン(Churston)郊外で撲殺された。
彼の時には配達ミスで挑戦状の到着が遅れた。

&bold(){ジョージ・アールスフィールド(George Earlsfield)}
理髪師。
四人目の犠牲者でドンカスター(Doncaster)の映画館にて映画の上映中に刺殺される。
そばにいた学校教師のダウンズ(Downs)と間違われて殺害されたと思われた。


&bold(){フランツ・アッシャー}
最初の犠牲者のアリスの夫。
大酒飲みで、乱暴者。アリスとは別れて暮らしていた。
たびたび妻のアリスに金をせびっていたため、妻との折り合いは最悪。
そのためたびたび「いつか女房を殺してやる」と口走っていた。
夫婦の間に子供はいなかった。

&bold(){メアリ・ドローワー}
アリスの姪でアリスの面倒を見ていた。
アンドーヴァー近郊の屋敷でメイドとして働いている。

&bold(){ドナルド・フレーザー}
二番目の犠牲者のベティの婚約者。
生真面目でおとなしい性格だが、ベティの男遊びに頭を痛めていた。
ここ最近はベティとのけんかや言い争いが絶えず、両者の関係は破たん寸前だった。

&bold(){ミーガン・バーナード}
ベティの姉。
妹ほど器量はよくないが、しっかりとした性格。
ドナルドとベティの関係について両者からたびたび相談を受けていたが、次第にドナルドと仲良くなり始めていた。

&bold(){フランクリン・クラーク}
三番目の犠牲者のカーマイケルの弟。
医師として働いていた時代からカーマイケルの右腕となって働いていた。
カーマイケルの依頼により海外で骨董品の収集活動を行っていたが、最近帰国した。

&bold(){シャーロット・クラーク}
カーマイケルの妻。
末期ガンを患っており、余命いくばくもなく、常にモルヒネ麻酔の注射が必要な状態。
夫のカーマイケルと秘書のグレイの関係を長年疑い続けており、事件後グレイを屋敷から追い出した。
夫婦の間に子供はいなかった。

&bold(){ソーラ・グレイ}
カーマイケルの秘書。屋敷に住み込みで働いていた。
カーマイケルに非常に信頼されており、妻の病を悩むカーマイケルの心の支えになっていた。
そのためシャーロットにカーマイケルとの関係を疑われていたが、カーマイケルには今の所そこまでの気はなかったようである。



&bold(){アレグザンダー・ボナパート・カスト}
勤めている会社からの指示に従って各地でストッキングを売っていたセールスマン。
さえない中年の男。
事件のあった四つの街全てで彼の姿が目撃されている。
しかし、会社側はカストがうけたというセールスの依頼について、そんな指示は出していないと否定している。
第一次大戦に従軍した際に頭に重傷を負っており、以来後遺症によるてんかんの発作や幻覚、記憶障害などの症状に悩まされており、通院している。
そのためしばしば記憶をなくすことがあったほか、最近では原因不明の頭痛にも悩まされている。

一連の事件のニュースを見て、後遺症によって無意識だった自分が一連の事件を引き起こしたのではないかと考え、警察に自首してくる。
さらに、カストの自宅からはABC時刻表や挑戦状を打ったタイプライターなどの証拠品が出てくる。
これらの事から警察はカストが犯人とみるが、ポアロはその事実に納得できないものを感じており・・・・・・




&bold(){以下、事件の核心に迫るネタバレ注意!}






























私は考えました。
もしカストが一連の事件を起こしたのだとしたら、その動機はなんだったのか?
普通、無差別大量殺人鬼というものは殺す人間の数にこだわるもの。
それなのに、何故こんなつかまりやすいルールを作ったのか?

疑問はまだあります。
果たして、さえない中年で女性と話すのが苦手なカストにベティを海岸に連れ出すことなどできるでしょうか?


そして、最後の謎が挑戦状です。何故、わざわざ挑戦状を出し続けたのか?
それは一連の事件に注目を集めるためです。
では何故一連の連続殺人に注目を集める必要があったのか?

針に一番気が付かないのはどんな時でしょう?それは針山にさしてある時です。
ある一つの殺人に気が付かないのはどんな時でしょう?それは一連の殺人の一つだった場合です。
私はこう考えました。
犯人には本命の殺人が一つあり、連続殺人にその殺人を混ぜてしまうことで、目的の殺人から目をそらそうとしたのではないかと。

では、これを前提に一連の事件を見直してみましょう。


アンドーヴァーの事件。
一番怪しいのは被害者の夫のフランツですが、飲んだくれの彼がそんな巧妙な殺人を犯すとは思えません。

ベクスヒルの事件。
ドナルドが考えられる。彼には頭もあれば能力もある。
しかし、恋人を殺すとなれば同期は嫉妬です。嫉妬が動機でここまでの計画殺人を行うでしょうか?
さらに、ドナルドにはチャーストンの事件にアリバイがあるのです。

チャーストンの事件。
殺されたカーマイケルは大富豪です。
彼が死ねば、その財産は末期癌に犯された夫人のシャーロットに行き、彼女が亡くなれば、財産は弟のフランクリンに行きます。
大胆で冒険好きの性格、ごくわずかではありますが時々見られる外国人への偏見、ABCの犯人像と一致します。
魅力のある容姿に開放的な性格。彼にとってはカフェで女の子をひっかけるくらい簡単です。

#center(){&font(#ff0000){&bold(){あの手紙を書き、数々の殺人を行った犯人は、フランクリン・クラークだったのです!}}}



&font(#ff0000){&bold(){フランクリン・クラーク}}
事件の真犯人。
動機はずばり、&font(#ff0000){&bold(){金。}}

彼は自分の兄カーマイケルが事業に成功し、大富豪となったことに嫉妬しており、何とかして彼の財産を奪えないかと昔から考え続けていた。
また、カーマイケルは今の所その気はなかったが、夫人が亡くなった後はグレイと再婚するかもわからない。
もしそうなって、兄とグレイとの間に子供ができてしまったら、自分に兄の財産の相続権は回ってこなくなってしまう。
一方で、もし今ここで兄が死ねば、後は夫人の死を待つだけで、夫妻の唯一の血縁者である自分が財産を全て手に入れることができる・・・。
このことに気が付いた瞬間から、フランクリンは自分の兄を殺害する方法を模索し続けていたのである。

当然、ただ兄を殺すだけでは、真っ先に疑いの目が向くのは自分である。
そこで、考えたのが兄への殺人を、明確な動機のない連続殺人事件の中に紛れこませる一連の計画であった。

一人で店にいるアリスを殺すのも、ベティを殺すのも彼にとっては簡単であった。
三番目の事件の時に、挑戦状が遅れて届いたのも、兄を確実に殺すために仕組んだこと。
警察ではなくポアロに挑戦状を送ったのも、それを狙ってのことで、警察所へのミス配達はあり得ないが、個人宅あてならばミス配達が起こせるからであった。

そして、陰でカストに偽の仕事依頼を送り、見事操って見せたのである。

しかし、一度一人に嫌疑を絞り、捜査に乗り出せば、警察は非常に優秀であった。
数々の目撃証言、物証、もはや彼に言い逃れるすべはなかった。
彼は即座に銃を取り出し、自殺を図ったが、弾は発射されなかった。
ポアロは事前に銃から弾を抜き取っておいたのだ。

#center(){&font(#ff0000){&bold(){「だめですよ、Mr.クラーク。あなたにはそんな楽な死に方はさせられない。」}}}




&bold(){アリス・アッシャー}
&bold(){ベティ・バーナード}
&bold(){ジョージ・アールスフィールド}
ただ数合わせのためだけに殺された哀れな犠牲者たち。
もうお分かりだと思うが、&bold(){彼らは殺されなければならないようなことは一切していない。}

&bold(){カーマイケル・クラーク}
この事件の真の狙いだった人物。
しかし、&bold(){彼も殺されなければならないようなことは一切していない。}


&bold(){ドナルド・フレーザー}
&bold(){ミーガン・バーナード}
二人は自分たちもそれと気が付かぬうちに相思相愛の関係となっていた。
死んだベティには申し訳ないが、二人には幸せになってもらいたいものである。

&bold(){ソーラ・グレイ}
打算的な性格で、クラーク夫人の怪しんでいた通り、カーマイケル・クラークの後妻の座を狙っていた。
さらに、カーマイケルの死後は財産を相続する予定であったフランクリンの妻の座を狙い始めていた。
しかし、フランクリンの逮捕によってそのもくろみもむなしく崩れた。

&bold(){アレグザンダー・ボナパート・カスト}
今回の事件で危うく殺人犯の濡れ衣を着せられそうになったが、無事無実が証明された。
今回の事件に関して新聞から100ポンドでインタビューをさせてくれというインタビューの依頼も来ているという。
そんな彼にポアロはこうアドバイスする。「500ポンドで受けましょうと言いなさい。」と。
さらに、ここ最近続いていた頭痛は、メガネが合っていないだけなのではないか、というアドバイスもポアロは彼に送った。





追記・修正お願いします。


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