Dの食卓

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Dの食卓 - (2021/04/02 (金) 13:31:05) のソース

&font(#6495ED){登録日}:2016/11/26 Sat 07:38:16
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&sizex(7){&bold(){&color(RED){Dの食卓}}}
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*■Dの食卓
『Dの食卓』は1995年4月に発売された3DO用アドベンチャー&font(l){ムービー}ゲーム。
通称は“D食”等。
&font(l){ヴァンパイアハンターDみたいなタイトル?ネタバレしちゃいけません。}
全世界で100万本を売り上げたとされている。
マルチメディアグランプリ'95通商産業大臣賞受賞
後に、[[セガ・サターン]]、[[プレイステーション]]にも移植された。

開発、企画は株式会社ワープ。
脚本とゲームデザイン、音楽は社長である飯野賢治が手掛けた。
発売元は三栄書房(3DO)、アクレイムジャパン(SS、PS)。

それまでのドット絵中心の表現方法から3D表現を用いたゲームが主流になった第5世代ハードによるシェア争いを指した“次世代ゲーム機戦争”の黎明期に登場したタイトルであり、本作のタイトルそのものがこの時代のゲーム業界の象徴の一つとなっている。

ゲームのシステム自体は割とオーソドックスな作りであり、海外メーカーのペンギンソフトが80年代に制作した『トランシルバニア』からの影響を指摘される等、パソコン少年&font(l){(死語)}であった飯野賢治の“らしさ”が垣間見える。((そもそもの開発段階の仮タイトルが『トランシルバニア』だったとか。))

ゲームとしてはそれほどに自由度が高い訳でも無ければ、遊び易いゲームという訳でも無い為に、思い出補正を除けば“良ゲー”とは言い難いとの意見が多いが、技術的にも手探り状態の中で若きクリエイター達が作り上げた“作品”を当時の象徴と見なすことへの異論は無いだろう、と思われる。

*【登場の背景】
それまではグラフィック等の下請けが主な仕事であった飯野賢治とワープが、自社ブランドを前面に押し出して制作した初めての作品である。
本作が登場する前年の94年までは、[[スーパーファミコン]]その他の第4世代ハードの最後期であると同時に、その限界を更新するようなタイトルが発売されていた全盛期であった。((SFC時代のスクウェアの集大成とも呼べるクロノ・トリガーの発売が僅か前月。ゲーセンではカプコンやSNKを筆頭としたドットアニメの格闘ゲームが人気の中でSEGAのバーチャレーシングやバーチャファイターが異彩を放ち驚かれていた時代なんだとか。))
そんな中で概要が明かされた第5世代ハードは、当時はまだ馴染みが薄かった3DCGを表現に使える文字通りの“次世代機”であった。
3DOはそんな時代に国内機に先駆けて発売された海外発の耳慣れない名前と姿をしたハードであり、大半は奇妙なCGキャラクターがアニメーションするだけの宣伝映像の中で“明確にゲーム”していたのが本作であり、日本人のゲームということもあってか否が応にも注目が高まったのである。

……実際には、この当時のこうしたCGゲームは、肝心のボリュームという意味に於いてはグラフィックや音の表現に気を取られ過ぎて内容が薄っぺらい物が多く、斯く云う本作もその通りなのだが、この新しい表現というか、実写的なアプローチを取れるという表現方法は創り手を大いに刺激するものであったらしい。

こうした表現とゲーム性を両立したゲームも『[[バイオハザード]]』等のヒットもあり多数登場。
こうした事情から、単なるアドベンチャーゲームでしかない『D食』の評価はすぐに相対化されていった反面、この作品のヒットにより時代の寵児となったクリエイターの飯野賢治と共に、『D食』を当時を代表する記念碑的な作品として支持する声も尽きない。

*【物語】
……1997年。
LAのダウンタウンの病院で、突如として名医と名高い院長のリクター・ハリスが周囲の職員や患者に襲いかかり立て籠る事件が発生。
警官隊が取り囲むも膠着する事態の中で、リクターの娘のローラ・ハリスは大学のあるサンフランシスコから急ぎ&font(l){&ruby(コルベット){高級車}}で駆け付ける。
&font(l){なぜか警官達に特に注意される事もなく}説得の為に院内に入ったローラであったが、彼女の眼前で近代的施設である筈の病院の内部は非現実的な古城へと変貌。
果たして、ローラは怪しげな気配が充満する古城の謎を解き明かし父親の許へと辿り着く事が出来るのだろうか……?

*【システム】
ローラを操り、調べて解いてく。
パズルはちょっとイヤらしい捻ったものが多い。
鎧とか出たらかわしていこう。
制限時間は最終盤を除いては&bold(){リアルタイム}で二時間となっており、途中での&bold(){自主的なセーブも不能}である。
ゲームとしては不親切だが、これは主人公の視点を体感させる事を目的にしているからだというのは言うまでも無い。
最初から所有しているコンパクトを使用することでヒントを見る事も出来るが、一度見る度に鏡が割れてゆき、最終的には見れなくなる。
これも、失敗させつつも何度でも挑戦させる為の仕様であることは言うまでも無い。

【登場人物】

■ローラ・ハリス
本作の主人公。
狂気に捉われた父親を説得する為に、具現化した異世界に入り込む。
美人の筈だが、技術とかの都合で当時から微妙な評価らしい。
ゲームの真の目的は&bold(){彼女の過去の記憶}を呼び覚ますことにある=&bold(){玉虫イベント}。
ローラの名は、後のワープ作品にも引き継がれていく事となる。

■リクター・ハリス
ローラの父親。
事件の元凶にして、狂気に捉われたハゲ。
しかし、真の発端は……?
名前の元ネタはこの当時に話題を集めてた『[[羊たちの沈黙]]』の&font(l){殺人}医師と原作者から。

*【余談】
・最初の3DOでの販売時。
開発チーム内でゲーム中に登場する「玉虫イベント」で明かされる過去の記憶の表現が、当時としては猟奇的でモラルに欠ける内容であると危惧されたためか、自社の判断として発売禁止になるのを避けるために関係者に該当するイベントを削除したバージョンを“完成版”と称して配布し、実際の製品版では同イベントが入ったバージョンに差し替えて出荷したとの事。
詐欺的な行為ではあるが、すぐに周囲が、より過激で踏み込んだ内容のゲームを発売するようになった辺り、杞憂であったのか、先駆者がやったからこその流れであったのか……。

・移植版の最後発となるPS版の発売時。
当時のSCEの販売担当者がワープの主張していた出荷本数を呑まず、希望より少ない出荷本数で販売。
※wikiや飯野氏のブログによると&bold(){最高15万、せめて8万}と主張していたワープ側に対し&bold(){4万本しか認めず、しかも実際の出荷は飯野氏が調べた所2万8千本しかなかった}との事。
……その結果、クリスマス~年末商戦にて供給が追い付かないと云う事態が発生してしまったらしい。
この当時、SCEはサードを引き込む為にSCEと小売りが交渉し出荷本数を決める「直販体制」を敷いてた。
この方式ではサードが生産本数を決められない代わりに、過剰生産が極めて起こりにくく、さらに過剰であった場合にもサードが在庫を抱える必要がが無くなるというメリットがあった。
勿論、SCEが数値を少なく読み間違えるとサードは損をしてしまうが、CD-ROMは生産のスピードが速い為に追加生産によって補充が容易である事からデメリットを相殺できていたのだ。
大手からは反発を喰らった反面、弱小や新規参入はコレによって恩恵を受けたメーカーは多かったのだが、今回は生産スピードが追いつかない程に数字を読み違えてしまったのである。
それに恨みを抱いた飯野氏は、PSで発売する予定だった『エネミー・ゼロ』において凄まじい行為をし、SCE関係者と当時のゲームファンを真っ青にさせる。
&bold(){&color(red){P}&color(blue){S}}→&bold(){SEGA&color(red){S}ATURN}

……これより数か月後、SCEは販売体制を見直し、サードの自社流通が認められる事となった。

・エンディングは会社運営をバンド活動に準えていた飯野賢治の言葉を地でいった演出である。


追記修正は父親を止めてからお願いします。

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- 懐かしいタイトルだ…小学生の頃、両親がプレイしてるのを横でずっと見てたよ  -- 名無しさん  (2016-11-26 14:52:45)
- 有野がやったのってこれだっけ?  -- 名無しさん  (2016-11-26 15:44:24)
- ↑これだね バッドエンドもグッドエンドも出してた  -- 名無しさん  (2016-11-26 19:35:08)
- 3DOのゲームで後世に残るほど有名になったゲームって未だにこれくらいしか思いつかない。  -- 名無しさん  (2016-11-26 23:46:55)
- 怖いホラーを良作とするなら、小学生だった当時の自分にとっては間違いなく良作だった。  -- 名無しさん  (2019-02-19 00:26:27)
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