室蘭本線

登録日:2014/12/21 (日曜日) 19:50:50
更新日:2024/04/08 Mon 21:13:38
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室蘭本線(むろらんほんせん)とは、長万部から苫小牧を経て岩見沢まで結ぶ本線と、東室蘭~室蘭を結ぶ支線からなるJR北海道の路線である。

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概要

長万部駅と岩見沢駅の両端で函館本線と接続していて、函館本線長万部~小樽間の通称「山線」に対して「海線」と呼ばれている。

札幌~函館方面を結ぶ際、単純な距離で見れば小樽方面を経由していく函館本線ルートに比べて当路線を経由するルートは遠回りになるのだが、沿線人口は大きく、勾配や曲線が緩いため遠回りでも速度で相殺でき、冬季の降雪量が少ないといった利点がある。
そうした事情から、当路線の沼ノ端~長万部間は札幌~函館方面を結ぶ全ての定期列車が経由する特急街道となっている。
ただし、こちらも樽前山・有珠山の存在という無視できない問題点を抱えており、2000年の噴火の際には長期運休を余儀なくされた事もある。

その一方で普通列車は長万部と岩見沢に近づくほど減り、一番少ない長万部~豊浦間では特急列車に完全に埋もれ、僅か4.5往復のみとなり最長で約9時間の間隔が生じている。

沼ノ端~岩見沢間はそれより若干マシな7.5往復だが、長万部~豊浦間と違い特急列車が走らず事実上のローカル線となっている。こちらも時間帯によっては3~4時間ほど運行がない。
ただ、貨物輸送においては本州・道南から道東・道北への最短ルートかつ、列車本数の多い札幌圏を避けられるルートとして今も活用されている。
また、2000年代初頭までは新千歳空港利用客の便を図るため、新千歳空港駅の1駅隣の南千歳から石勝線を介して追分~岩見沢間を抜け、富良野などへ向かうリゾート特急が通る事もあった。
当時は新千歳空港がここまで活況を呈する時代が来るとは思わなかった事だろう。
……と言っていたら、2021年1月に新千歳空港~追分~岩見沢~旭川というルートの特急列車を運行する構想が地元紙の北海道新聞により報じられた。
もっとも正月早々の報道という事もあって、読者に初夢を見せるが如く、実現性の低い構想を誇張した飛ばし記事だろうと冷ややかな目で見られているが…?

余談だが千葉県のいすみ鉄道を廃線の危機から救った元社長・鳥塚亮*2は、この沼ノ端~岩見沢を北海道で観光列車に最も相応しい区間と評している。
世界遺産・知床を擁する釧網本線や日本最北端/最東端へと通じる宗谷本線/根室本線(花咲線)と比べると観光とは程遠い印象だが、先述のリゾート列車の件でも触れた新千歳空港への近さや、札幌圏に近く集客が容易、距離が短く鉄道マニアではない一般人が途中で飽きない、など経営者目線での評価のようだ。
現在、沼ノ端~岩見沢間はかつてのいすみ鉄道と同じく廃線の危機に瀕しているが、こちらも生き延びる事ができるか今後の動向に注目したい。

因みに白老~沼ノ端間の28.736kmの区間は日本最長の鉄道直線区間であったりする。
また沿線人口が多い事もあって、北海道の鉄道路線の中で千歳線と並び1駅しか秘境駅が存在しない。
もっとも、その秘境駅が全国200駅の秘境駅の中でトップの駅なのだが…。
(因みに千歳線の秘境駅は北海道最下位だったが、2017年3月に廃止となった。)

支線部である室蘭~東室蘭間は、直通する特急「すずらん」が同区間のみ普通列車扱いとなっていた。
しかし、2024年3月のダイヤ改正により特急「北斗」と共に全車指定席となった関係で、同区間も特急として走ることとなった。
代わりに同区間のみの乗車の際、乗車券のみで空席を利用できる特例が設けられた。

使用車両

現在の使用車両

特急

キハ261系1000番台…特急「北斗」で運用。

789系1000番台…特急「すずらん」のメイン車両。

785系…特急「すずらん」用。JR北海道初の新型特急車両で札幌~旭川間の「スーパーホワイトアロー」として走っていた。
こちらも数が少なくなってきている。
*3

普通列車

721系、731系、733系、735系…千歳線直通列車として苫小牧~沼ノ端間のみ使用。

737系…2023年春からキハ143形を置き換えた新型電車。2両編成でワンマン運転対応。
千歳線千歳駅までの直通列車も多くある他、1日1往復のみ入出庫を兼ねた札幌発着列車がある。

H100形…長万部・室蘭~苫小牧間で使用。長万部~東室蘭間の普通列車は当形式のみ。

キハ150形…糸井~岩見沢間で使用。かつては全区間で運用されていたが、H100形の導入により運用範囲が狭くなった。

キハ40形…糸井~岩見沢間で使用。キハ150形同様、かつては全区間で使用されていたが、H100形(ry

貨物列車

DF200形ディーゼル機関車
全線で使用。

過去の主な使用車両

711系…電化区間の普通列車で使用。
781系…特急「すずらん」で使用。
キハ183系…特急「北斗」で使用。
*4

キハ281系…特急「北斗」で使用。2020年3月13日まで運行されていた「スーパー北斗」として、札幌~函館間の速達化に永らく貢献してきた形式。2022年9月30日に定期列車の運用終了、10月22日の臨時列車にて完全引退した。
*5

キハ143形…室蘭~沼ノ端間で運用。東室蘭~苫小牧間の普通列車のメインだった。
1日1往復だけ千歳線から札幌まで直通していたが、737系の導入により2023年5月に全て置き換えられた。

14系客車…急行「はまなす」で使用。
24系客車…寝台特急「北斗星」「トワイライトエクスプレス」、急行「はまなす」で使用。
E26系客車…寝台特急「カシオペア」で使用。
DD51形ディーゼル機関車…上記の客車牽引や貨物で使用。

駅一覧

長万部
函館本線乗り換え。長万部町の中心駅で北海道新幹線の駅が設置される予定。
特急は全列車が函館本線に直通、普通列車は函館方面・倶知安方面・室蘭本線全ての運行系統が分断されている。
駅弁「かにめし」が有名だったり。
かつては函館本線国縫駅から瀬棚線も乗り入れていたが、民営化前の1987年3月に廃線に…。

静狩
1日の利用者は数名だが、昔ながらの駅舎・2面3線の構内が残る。

小幌
牛山氏の全国秘境駅ランキング1位。全国の秘境駅のトップに君臨する駅である。
三方が山、残る南方面は海だけと鉄道と船舶以外での到達が困難なキング・オブ・秘境駅
当駅に止まるのは勿論普通列車のみな上、一部の普通列車は通過してしまう。
駅周りには何もなさそうだが、数百メートル歩くと岩屋観音に行ける(道は悪いが)。
そこまで行かなくとも、木の枝葉に遮られつつも海を見下ろせる場所がある。
2015年に一度廃駅にされかけたが地元豊浦町の反対で回避され、現在は同町の維持管理となっている。
繁忙期には当駅目当ての客が増えるため、地元の警備会社の人が派遣されることも。

こんな駅だが、かつて1人の男性が住み着いていた。
男性は「仙人」「小幌太郎」などと呼ばれ、20年以上にわたって駅に住んでいたが2007年に死去した。

礼文
礼文島が近くにあるわけではない。「れ」で始まるJR唯一の駅*6

大岸
駅の裏手すぐは漁港。
かつてはここから山側に迂回し豊浦駅に至った。

豊浦
豊浦町の代表駅だが特急は通過。ここから先、普通列車は9.5往復程度になる。

洞爺
世界サミットも行われた洞爺湖の最寄駅。もっとも湖に行くにはバスが必要であるが…。
因みにこの駅から有珠駅まで最初の単線区間となる。
また、寝台特急「トワイライトエクスプレス」が北海道で最初に旅客扱いを行う駅でもあった。

北入江(信)
線内唯一の信号場。貨物の脱線事故が起きたことも。

有珠
名前の示す通り有珠山の最寄駅。

長和
この駅から2度目の単線区間となる。

伊達紋別
明治維新により領地を2万石から僅か58石に減封された伊達邦成がやむなく家臣を引き連れて北海道に移住し、苦心惨憺の末に開拓した北海道伊達市の中心駅であるが、
市の中心部からは若干離れた場所にある。
かつては胆振線と接続していた。
ここから先、普通列車がまた増える。

北舟岡
内浦湾のすぐ隣にあり、景色が良い。

稀府
この駅からまた長期間複線区間になる(3度目)。

黄金
駅名とは異なり全く金は出ない。因みに愛知県にも同名の駅がある。

崎守
室蘭本線唯一の高架駅。

陣屋町(貨)
貨物駅だが定期貨物列車の発着はない。

本輪西
本輪-西ではなく本-輪西。貨物取扱駅だが定期列車の発着はない。

東室蘭
支線乗り換え。ここから沼ノ端まで電化区間となる。普通列車は大半が当駅で系統が分断され、本数も1~2時間に1本程度に増える。貨物駅は1kmほど東にある。
室蘭市の(物流上の)中心駅であり、近年市街地の中心も東室蘭に移動しつつある。
因みに初代室蘭駅&初代輪西駅だったりする。

鷲別
室蘭市と登別市の境界駅。「すずらん」が停車。かつてはJR貨物鷲別機関区があり、北海道貨物のもうひとつの拠点であった。

幌別
登別市の中心駅は実はここ。でも特急は「すずらん」しか停車しない。

富浦
集落の中に駅があり、駅前らしい駅前がない。

登別
登別温泉の最寄駅の為、全列車停車駅となっている。

虎杖浜
登別と比べるとあまり目立たないが、ここも周辺は温泉街。

竹浦
駅前のトイレが中々古く、ある意味味がある。

北吉原
日本製紙白老工場への通勤目的で作られ、駅名も日本製紙の前身会社の本社があった静岡県吉原市(現 富士市)から取られている。
橋上駅舎だが地上駅にする予定。

萩野
当駅止まりの列車が設定されているが、当駅始発はない。
かつては周辺の製紙工場関連の貨物列車の発着があった。
実は開業当初は知床という駅名だった。

白老
白老町の中心で、特急「すずらん」全列車と「北斗」の大半が停車。
2020年3月14日ダイヤ改正にて、副駅名称として「ウポポイ 民族共生象徴空間前」が付けられた。
ここから沼ノ端駅まで日本最長の直線区間に入る。
駅前には蒸気機関車D51-333が展示されている。

社台
周辺には競走馬の牧場が多い。

錦岡
苫小牧市街地の一番外側。
糸井始発/終着の列車が当駅まで回送されて折り返す。

糸井
当駅始発/止まりの列車が数往復設定されている。

青葉
周辺に高校が2校あり、通学利用が多い。糸井折り返し列車が設定されているのもこれが理由だとか。

苫小牧
千歳線日高本線乗り換え。 北海道を代表する工業都市・港湾都市、苫小牧市の代表駅で道南有数のターミナル駅。普通列車の大半はここで運行が別れる。
本州各都市へ向かうフェリーターミナルは当駅から数キロ東にある。隣の沼ノ端までは1区間であるがKitacaエリアとなる。

苫小牧貨物
貨物駅。日高本線との実際の分岐点。
発着する大半は札幌や本州方面の貨物列車だが、中には帯広方面との列車もある。

沼ノ端
千歳線とはここで分岐する。「すずらん」停車駅。
東室蘭駅から続いた電化区間と白老駅から続いた日本最長の直線区間の最終駅であり、以東は非電化となる。

遠浅
「とおあさ」ではなく「とあさ」。

早来
安平町役場は当駅が最寄。

安平
安平町の代表駅…と見せかけて実際は両隣の駅の方が栄えている。

追分
石勝線乗り換え。
石炭貨物列車が廃止された為、貨物発着場所だった駅西側が悲惨な事になっている。

三川
稀府駅から長きに渡って続いた複線区間はここで終了する(3度目の単線区間)。

古山
駅の目の前は国道と畑、駅裏手は農協で、もしかしたらこの区間で1番の秘境駅?

由仁
由仁町の中心駅。
ここから隣駅の栗山駅まで最後の複線区間となる(4度目)。

栗山
3駅連続で続く栗~駅シリーズの最初の駅。栗山町の代表駅。
ここ以北は単線区間となる。(4度目の単線区間)

栗丘
栗シリーズ2つ目。単線駅だが使われなくなった旧い線路が未だ残っている。
所在地は岩見沢市栗沢町栗丘と少しややこしい。

栗沢
栗シリーズラスト。栗沢地区の中心はこちら。
栗がゲシュタルト崩壊

志文
かつては万字線が分岐しており、それを偲ばせる広い空き地が少し寂しい。

岩見沢
長万部で分かれた函館本線との合流駅。終点駅であり、特急含む全列車が停車する。
空知総合振興局(旧空知支庁)の所在地・中心である岩見沢市の代表駅。
幌内線と乗り換えができたが、どちらも今は廃線…。

支線

東室蘭
本線乗り換え。

輪西
2代目輪西駅。
因みに初代輪西駅は現在の東室蘭駅。

御崎
室蘭線発祥の地記念碑がある。

母恋
駅名にあやかって母の日には記念乗車券が売られることも。

室蘭
終点駅。室蘭市の中心駅…のはずが近年東室蘭へと市の中心が移り始めており、やや寂れつつある。


かつては函館から室蘭本線経由で札幌まで全線電化する計画があったが、石炭輸送の減少により現在の電化区間しか実現できなかったという悲しいエピソードがある。


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最終更新:2024年04月08日 21:13
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*1 出典:JS3VXWの鉄道管理局 URL: http://js3vxw-02.cocolog-nifty.com/photos/jrh_785n_/jrh_785_ne1_1.jpg 日時:2016/01/03

*2 現在は新潟県のえちごトキめき鉄道で社長を務めている。

*3 出典:JS3VXWの鉄道管理局 URL: http://js3vxw-02.cocolog-nifty.com/photos/jrh_785n_/jrh_785_ne1_1.jpg 日時:2016/01/03

*4 出典:日本の旅・鉄道見聞録 URL: http://www.uraken.net/rail/alltrain/kiha/kiha183q.jpg 日時:2016/01/03

*5 出典:JS3VXWの鉄道管理局 URL: http://js3vxw-02.cocolog-nifty.com/photos/jrh_281_/jrh_dc281_s_hokuto12_8.jpg 日時:2016/01/03

*6 2016年12月4日までは留萌本線「礼受(れうけ)駅」があった。