天使の施し(遊戯王OCG)

登録日:2022/09/27 Tue 20:01:35
更新日:2024/02/17 Sat 21:35:17
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天使(てんし)(ほどこ)しは『遊戯王OCG』のカード。

【テキスト】

天使の施し
通常魔法
3枚ドローした後、手札から2枚捨てる。

【概要】

BOOSTER4で初収録された魔法カード。《強欲な壺》に並ぶOCGを代表するドローソースである*1
《強欲な壺》より1枚多くドローできるが、その後手札から2枚のカードを捨てなければならないため、最終的な手札の枚数は増えない。
中には、テキストの「捨てる」という部分をデメリットと思う初心者もおり、「2枚ドローするだけの(手札が1枚増える)《強欲な壺》の方が使いやすい」と敬遠されがちだった。

だが、実際には《強欲な壺》以上に可能なコンボが多い。
例えば収録当時の環境でも「《青眼の白龍》や《デーモンの召喚》といった上級モンスターを墓地に捨て、《死者蘇生》などで生け贄を使わずにフィールドに出す」なんてのが出来たが、こんなのは序の口。
処刑人-マキュラ》や《ダンディライオン》など墓地に送られた時に効果を発動するカードと組み合わせる、【暗黒界】などのカードの効果で捨てられた方が都合がよいテーマデッキに採用する…等々。

「墓地に捨てて活用する」事が定石となったOCGにとって正直汎用性が高すぎて一々コンボを挙げていたらキリがない。
初心者は、この「捨てる」部分の強さに気づいて初めて「OCGのゲーム性を理解した」と度々言われている。
「テキストが短いカードは強い」を体現する一枚である。


ラッシュデュエルにも登場しているが、OCGでは長く禁止指定の実績もあってか「 レジェンドカード 」の1枚に指定されている。
レジェンドカードはモンスター・魔法・罠を1種類ずつかつ1枚しか、1つのデッキに入れられない制約が伴っているため、同じ魔法カードのレジェンドカードである《死者蘇生》《強欲な壺》などから選ぶ形となる。
ルール上の違いから効果テキストの「捨てる」表現がラッシュでは「墓地に送る」という表現に変わっている。


【禁止制限の変遷】

初めて規制を食らったのは、初収録から約半年後の2000年4月。
《強欲な壺》は制限に指定されているが、この時点ではカードを捨てる点はそこまで強くないと判断されたのか準制限止まりだった。
驚かれる方もいるだろうが、これは第2期展開や新エキスパートルール施行される直前の話である。
その後、《キラー・スネーク》や《処刑人-マキュラ》を筆頭に墓地送りと相性が良いモンスターが次々と登場したので、
2003年1月の改定で制限カードに格上げ。
そして、カオス登場後は彼らの墓地コストを簡単に用意しやすい点を問題視され、
2004年9月の改定を以って当時の環境で大暴れしていた混沌帝龍と一緒に禁止行きになった。何気に《強欲な壺》より早い。

ここから《天使の施し》の反復横跳びの始まりである。
まず、半年後の2005年4月に制限カードに復帰。
だが、また半年後の9月に再び禁止になってしまった。直前に登場した暗黒界とのコンボを危惧したと考えられる。
翌年の2006年3月で遂に《強欲な壺》が禁止カードに指定され、入れ替わる形でまたまた制限に緩和される。
しかし結局、2007年4月で三度禁止になり現在に至る。

まとめると
無制限→準制限→制限→禁止→制限→禁止→制限→禁止(今ここ)
カオス・ソーサラー》には劣るが、結構制限改定に振り回されている。

現在のOCGでは墓地利用するデッキが非常に多く、もはやこの効果は少なく見積もっても「3枚引くだけ」と同じくらいの価値は当然のようにあると考えて差し支えない。
墓地利用を考慮しなくとも《強欲で謙虚な壺》の上位互換に近いカード*2なのでエラッタ無しでの復帰は困難だろう。


【派生カード】

ここでは「○○の施し」カードについて記載する。
  • 銀河の施し
通常魔法
自分フィールド上に「ギャラクシー」と名のついたエクシーズモンスターが存在する場合に、手札を1枚捨てて発動できる。
デッキからカードを2枚ドローする。
このカードを発動したターン、相手が受ける全てのダメージは半分になる。
「銀河の施し」は1ターンに1枚しか発動できない。

ギャラクシー版施し。《天使の施し》とは逆に手札を捨ててからドローする。
しかし、ギャラクシーエクシーズがフィールドに存在している時は大抵潤滑にデッキが動いている。
むしろ、相手へのダメージ半減のデメリットは高い攻撃力が持ち味のギャラクシーにとってかなりの痛手となるので、発動タイミングには注意したい。

なお、銀河の施しの発動時に捨てた手札は効果ではなくコストである。

  • 森羅の施し
通常魔法
デッキからカードを3枚ドローする。
その後、「森羅」と名のついたカード1枚を含む手札のカード2枚を相手に見せ、好きな順番でデッキの上に戻す。
手札に「森羅」と名のついたカードが無い場合、手札を全て相手に見せ、好きな順番でデッキの上に戻す。
「森羅の施し」は1ターンに1枚しか発動できない。

森羅専用の施し。こちらは捨てるのではなくデッキに戻す。
デッキトップを墓地に送る森羅との相性は言うまでもなく抜群で、採用はほぼ必須。

  • 凡人の施し
通常罠
デッキからカードを2枚ドローし、その後手札の通常モンスター1体をゲームから除外する。
手札に通常モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。

OCG化している施しシリーズでは唯一の罠カード。それ故遅さが気になるが、《凡骨の意地》よりは早く発動できる。
なお、《凡骨の意地》とのコンボは手札の通常モンスターを除外する処理が挟む都合上、タイミングを逃すので不可能。

  • 堕天使の施し
通常罠
このターンお互いのプレイヤーは
魔法効果によって墓地に捨てたカードを手札に戻すことができる。

アニメオリジナルの施し。《天使の施し》で捨てた分のカードを回収するためのカードと思われる。
何気に様々な凶悪コンボが実現可能で、手札抹殺となら手札が2倍に増える、デッキから墓地に捨てる《苦渋の選択》となら一気に5枚サーチ(エクゾディアなら勝利確定)等々。
遊戯がオシリスの強化を目的にこのカードを利用した手札増強コンボを決めた他、レベッカが使用した事もある。
因みにイラストに描かれているのは《堕天使マリー》

通常魔法
自分のスピードカウンターが2つ以上存在する場合に発動する事ができる。
自分のデッキからカードを2枚ドローし、その後手札を1枚墓地へ送る。

ライディングデュエル専用の施し。作中では主に遊星が使用し、何度も彼の窮地を救った。

  • 天の落とし物
通常魔法
互いのプレイヤーはそれぞれ自分のデッキからカードを3枚ドローし、その後手札を2枚捨てる。
漫画版GXで登場した、お互いに効果が及ぶ《天使の施し》。
相手の手札を1枚増やしてしまうリスクがあるが、それでも十分強力な1枚。
効果は施しだが、イラストは《天よりの宝札》を彷彿とさせる。
ハンドアドで言えばむしろ《暗黒界の取引》が近いだろうか。

【原作・アニメでの活躍】

原作では、OCGから逆輸入されて登場。
遊戯VSレアハンター」でエクゾディアを揃えるためにレアハンターが使用した。
DMGXでは多くのデュエリストが使用。
《強欲な壺》同様、手札補充カードとして大活躍していたが、OCGで禁止になってからは使用されていない。
その内、遊戯と十代は先述の《堕天使の施し》とのコンボを披露している。

遊戯王Rでは天馬月行が使用。
珍しく手札補充よりも墓地肥しを目的に使用されており、2ターン連続で発動した。
これにより大量の装備魔法を墓地に送り、更に装備魔法をモンスターとして場に展開する魔法カード《武装転生》とのコンボで勝負を決めた。
2ターン連続で手札交換カードを使用するというプレイングはあちらでは一般的ではないのか、対戦相手や周囲は深刻な手札事故(を起こすような変なデッキを使っている)と誤解し、あまつさえ対戦相手から事故を装ってわざと負けるつもりなのだと煽られてすらいる*3
OCGプレイヤーの感覚からすれば「《天使の施し》を連続で発動できているのは事故どころか神引きだろ」と突っ込みたくなる所で、
実際連載当時の時点から現在に至るまでその手のツッコミを多数受けていた。
しかしながら、原作及びRのルールでは「1ターンに1枚しか魔法は発動できず*4セット枚数も上限有り」「場に出せるのはモンスター、魔法・罠合わせて5枚」であるため、
OCGと違い発動ターンには魔法が使えなくなるハイリスクなカードである点には留意が必要。
ノーコスト・ノーリスクで打ち得のOCGとはワケが違うのだ。

原作ではバトルシティ編で《死者蘇生》が制限カードになっている事とバーン・モンスター破壊カードが禁止カードになっている事以外、
禁止制限の状況ははっきりしていないが上記の様にこのカードは月光のデッキには最低2枚投入されている*5

アニメVRAINSでは、島直樹が見ていたネット掲示板の禁止カードをもじったHNのひとつに「天使のもろこし」という名前が確認できる。


【OCGワールドでの活躍】

イラストに描かれている天使は、《天使の施し》ではいかにも天使らしい穏やかな表情だが、
OCGの禁止カードをネタにしたカード群ではかなりはっちゃけている

  • 《衰弱の霧》
紫色の霧の中で天使が胸を押さえて苦しそうにしている。
このカードの効果は相手の手札上限を5枚にするというもの。
手札に関連する効果を持っているが、《天使の施し》を阻害するものではない。

  • 《天使の涙》
《天使の施し》とほぼ同一の構図であり、こちらは手元のカードが消えて行く様を天使が涙を流しながら見送っている。
自分の手札1枚を相手に与える代わりに2000LP回復する効果を持っており、ある意味(対戦相手への)施しではあるのだが、
やはり本来の自分が施すものである手札がマスターの手元から消えて行くのは悲しいのだろうか。

  • 《相乗り》
《いたずら好きな双子悪魔》1号が運転するバスに《クリッター》、《同族感染ウィルス》(に感染した犬)と共に相乗りしている。
先に乗っていたのか、乗り込んで来た不安そうな顔の《クリッター》ににこやかに話しかけているが……。

  • 《捕違い》
不満げな顔で頬を膨らましながら警察に逮捕されている
バスからは《強欲な壺》が出て来ており、双子悪魔1号も一緒に(こちらは神妙な面持ちで)捕まっている。
密輸でもやっていたのだろうか?
因みにこのカードの効果はお互いにドロー以外の方法でデッキからカードを手札に加える事を禁止するというもの。
《天使の施し》はドローカードなので、「誤解と巻き添えで《クリッター》まで逮捕された」というイラストとは逆にこのカードの影響を受ける事は無い。
或いは、それにも関わらず天使が逮捕されている事こそが「捕違い」なのだろうか。


【余談】

現実では、付録のカード目当てで雑誌や本、ゲームを3つ買った後、カードだけ抜いて本体2つを捨てたり売ったりする行為を「天使の施し」と呼ぶことがある。


≪アニヲタの施し≫
項目を3つ追記した後、2つ修正する。

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最終更新:2024年02月17日 21:35

*1 実際には手札の枚数は増えないので狭義のドローソースには該当せず、手札交換カードといった方が正しい。

*2 強謙は「3枚めくった中から1枚選んで加える」ため情報アドを与える上に特殊召喚禁止の制約があり、《天使の施し》は引いたカードを手札に残しつつすでに握っているカードを捨てられ、墓地肥やしにも繋がるなど応用性が高い

*3 これに関しては対戦相手自身が言及しているが、天馬月行は元々ラスボスの天馬夜行側の決闘者かつ夜行の兄であり、決して突拍子の無い言いがかりではない

*4 正確には前のターンにセットしたものは別枠で使用可能。

*5 『R』連載開始時点でのOCGでは制限カードだった。