オルフェーヴル

登録日:2011/12/28 (水) 00:03:19
更新日:2024/04/01 Mon 10:51:28
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黄金色の芸術

ヒーロー列伝No.72より



オルフェーヴル(Orfevre)とは、日本の元競走馬、種牡馬である。
ディープインパクトに続く、国内史上7頭目のクラシック三冠馬
その美しい栗毛を靡かせる天才的な走りっぷりとステイゴールド産駒お約束の数々のやらかし気性の激しさから、「金色の暴君」「激情の三冠馬」と謳われた。

目次

プロフィール

誕生:2008年5月14日
父:ステイゴールド
母:オリエンタルアート
母父:メジロマックイーン
調教師:池江泰寿 (栗東)
主戦騎手:池添謙一
馬主:サンデーレーシング
生産者:社台コーポレーション白老ファーム
産地:白老町
セリ取引価格:-
獲得賞金:15億7621万3000円(13億4,408万円(中央)+215万9880ユーロ)
通算戦績:21戦12勝[12-6-1-2]

主な勝ち鞍
  • 2011年
スプリングS(GⅡ)
皐月賞(GⅠ)
東京優駿(GⅠ)
神戸新聞杯(GⅡ)
菊花賞(GⅠ)
有馬記念(GⅠ)
  • 2012年
宝塚記念(GⅠ)
フォワ賞(仏国GⅡ)
  • 2013年
大阪杯(GⅡ)
フォワ賞(仏国GⅡ)
有馬記念(GⅠ)


生誕

母オリエンタルアートは既にドリームジャーニーという名馬を輩出していたことから、大きな期待をかけられあのディープインパクトの種を付けられたが3度に渡り不受胎、期待を掛けられていただけに空胎はマズイ、しかし種付けは種牡馬にも負担があり4度目は見送られ、ドリームジャーニーと同じく『元カレ』ステイゴールドの種を付けられるとなんと1発で受胎。
…なんというか、生まれる前からエピソード豊富な馬である*1

黄金配合として有名ないわゆる「ステマ配合」であり、更に血統を遡るとサンデーサイレンスやノーザンテースト、ディクタスやパーソロンなど、日本競馬を支え続けた偉大な種牡馬が名を連ねる。
血統的にはこの馬こそが日本近代競馬の結晶と言えるだろう。日本の血が一滴も入ってないあいつとは大違いである
なので父の「(ゴールド)」と母の「芸術(アート)」双方を表す様に、フランス語で「金細工師」を意味する「Orfevre(オルフェーヴル)」と名付けられた。

兄と同じく馬主クラブ「サンデーレーシング」に購入され池江泰寿厩舎で調教を積むことになったオルフェーヴル。兄がとんでもない気性難だったため厩舎側はいったいどんなヤツが来るんだと身構えていたそうだが、実際は大人しく本当に兄弟なのかみんな首をひねったんだとか。


戦歴


2歳


デビュー戦でいきなりやらかす


そんなこんなで8月に父や兄と同じデビュー地である新潟競馬場でデビュー。
被害者主戦騎手は2008年安田以降主戦騎手であった兄と同じ池添謙一。フランス遠征以外は相棒として彼に乗ったまさに相棒である。と言うか池江氏に売り込むと言うよりも「先生どこ使うんですか?」「僕新潟行きますんで」とあたかも自分が乗ると言う風な感じで池江氏に接していたとか。
おっとりした気性だったので競走馬には向かないと言われながらもなんとか出走にこぎつけたが、競馬場にたどり着くと豹変。
装蹄所では立ち上がり、直線では大斜行。あげくゴール後には池添騎手を振り落としてしまった。
レースは勝利したものの、なんとも幸先不安なスタートであった。

なかなか勝てない時期


2戦目は、兄ドリームジャーニーと同じ芙蓉ステークスへ出走するが、後にヴィクトリアマイルを制するホエールキャプチャを捉えきれず2着に敗れる。

3戦目の京王杯2歳ステークス(GⅡ)は、距離が短すぎたのか10着と大敗を喫する。生涯2度の惨敗のうちの1つ。
そのため、賞金が足りず目標の朝日杯FS(GⅠ)に出走出来ず1年を終える。後に怪物と呼ばれ競馬界を震撼せしめるオルフェーヴル。まだこの頃にはその片鱗は感じられない。

3歳春


徐々に開花していく才気


3歳になったオルフェーヴルはシンザン記念(GⅢ)に出走するが、当時のトップクラスのレッドデイヴィスに敗北する。
後に桜花賞を制するマルセリーナが3着に入るなどかなりハイレベルだった。

続くきさらぎ賞(GⅢ)は、リキサンマックスの大逃げを捉えきれず、
自身は3着に敗れるがメンバー最速のラスト3ハロン(1ハロン=200m)33.2を出すなどこの時から高い能力の片鱗を見せ始める。
このレースの4着は、後にクラシックでライバルとなるウインバリアシオンとの初対決だった。

次に皐月賞への優先出走権を得るべくスプリングS(GⅡ)に出走する。
押し切りを決めようとしたベルシャザールを捉えて見事新馬戦以来の勝ち星を挙げる。当然初の重賞制覇でもあった。
こうしてなんとかクラシックへと駒を進めたオルフェーヴルだったが、この時点ではまだ有力馬の1頭という評価であり、クラシックは混戦模様と見られていた。

クラシック初戦、皐月賞


この年の皐月賞(GⅠ)は、先の東日本大震災の影響で中山競馬場が半壊して復旧工事中だった為、東京競馬場での開催となった*2*3
兄が東京では未勝利だったためか、それと京王杯の大敗が影響して4番人気に甘んじる。
しかし、蓋を開けてみれば何の苦もなく直線で弾けて1番人気のサダムパテック以下を全く寄せ付けずに圧勝。G1初勝利と共にクラシックホースの仲間入りを果たす。
その圧勝ぶりと東京コースを克服した事から、二冠への期待が高まった。

二冠を目指して日本ダービーへ

そして、東京優駿(GⅠ)が開催されたが、この日は生憎の大雨。今度は兄が雨で勝ちがないためか
1番人気ながらも単勝オッズ3.0倍と皐月賞馬にもかかわらずあまり信用されてない数値となったが。
しかし、いざレースが始まると雨なんてお構い無しと言わんばかりの末脚の爆発を見せ付け、皐月賞以上の圧勝を見せ付けた。
どれほど圧勝だったかと言うと肉薄したウインバリアシオンを除き3着馬のベルシャザールとの差はなんと9馬身差にも及んだ。
完全に2強ムードを植え付けて秋に備えて放牧された。

3歳秋


第七代目三冠馬へ、菊花賞


秋は、神戸新聞杯(GⅡ)から始動。春とは違いやや前方でレース運びをしたにもかかわらず、
メンバー最速のラスト3ハロン32.8を叩き出しライバル達よりも遥かに強いことを存分にアピールした。

そして、菊花賞(GⅠ)では三冠馬誕生への期待が高まり単勝オッズ1.4倍と圧倒的な人気を誇った。
そして、レースも威風堂々としたもので第4コーナーから早くも先頭に立ち他の馬は一切太刀打ち出来なかった。

「抜けた抜けたオルフェーヴル!
金色の馬体が弾んでいる!
オルフェーヴル先頭、これを追うものはなし!」


対抗馬とされていたウインバリアシオンも追い込み着差を縮めるのがやっとだった。
オルフェーヴルは他馬を完全に突き放し最後は流す余裕も見せながらゴールする。

「これが第七代目の三冠馬だ!」

そして、三冠馬誕生の喜びを噛み締め池添騎手がウイニングランをしようとしたら…。

事件が起きた!

なんと、オルフェーヴルが池添騎手を振り落としたのである!
しかも、ただ落としたのではなく内ラチに池添騎手の脇腹を叩き付けるという、エグい事をやらかしたのである。

「こんな三冠馬は見たことありません」

デビュー戦と変わらない、三冠馬とは思えないような、なかなか微笑ましい光景を見せてくれた。そのせいかディープインパクトが優等生の三冠馬ならば、彼は一番破天荒な三冠馬と言われる事に。

古馬との決戦、有馬記念


激戦の疲れを考慮し、ジャパンカップを回避し年末の有馬記念(GⅠ)に出場。
皐月賞を東京で行った彼にとって、ある意味この有馬記念こそが、真の皐月賞だったのかもしれない。
(中山の皐月賞を勝ってない馬が三冠馬を名乗るなと、厳しい意見も出ていた。)
三冠達成時に中山童貞だった三冠馬もうすでにいるんですがそれは

このレースは当時、「最強世代」とも言われていた一つ上の世代の馬であるエイシンフラッシュやヴィクトワールピサ、ルーラーシップ、ヒルノダムール、ローズキングダム、トゥザグローリーなどの強豪馬がひしめき、そして2つ上のスターホース・ブエナビスタの引退レースでもあった。*4「引退するスター」「新たなスター」「間に挟まれた最強世代」が一同に介する豪華な顔ぶれとなったが、圧倒的なパフォーマンスで三冠馬になったオルフェーヴルの期待値は高く、2.2倍の一番人気に推された。

レースは、後方3番手を進んでいたが超が付くほどのスローペースで彼に暗雲が立ち込めたが、
ディープインパクトやブエナビスタが届かなかった3角捲りを行い直線で、抜群の手応えと共に金色の馬体を弾ませて先頭でゴール。決してこの馬に向いた展開でなかったにもかかわらず後方から上がり勝負で切れ味自慢のエイシンフラッシュを捉えきるという、まさに着差以上の強さを見せつけるレースであった。
シンボリルドルフナリタブライアンに続く史上3頭目の3歳四冠を達成した。
そんな彼を祝福するかのように、中山競馬場に雪が降ってきた。
本当に、出来過ぎたタイミングでの降雪だった。
彼は、特別な何かを持っていると思わせるそんなレースだった。

4歳春


色んな意味でこの馬を象徴する迷レース


2012年初戦となる阪神大笑点阪神大賞典では単勝オッズ1,1倍(全体の70%以上)の圧倒的支持を受ける。

レースでは好スタートをきり、スローペースの中三冠馬に相応しい横綱相撲を見せる…かに思われたが
中盤で先頭を奪った和田騎手鞍上のナムラクレセントの仕掛けに反応し、
ペースを徐々に上げ出すと何と先頭に接近、二頭で後続を引き離す形になる。
これまで後方から追い込みや差しの馬であったはずがまるで逃げ馬のようなレース運び。既に異常事態である。

そして遂にはナムラクレセントをも抜き去り先頭に立ってしまう。


「ご覧ください上の画面
なんとオルフェーヴルが3コーナーを目前にして
先頭に立っています!
今までに全く無かったケースです。
オルフェーヴルこれはどうなんでしょうか!」

そして最終コーナーの勝負所で…急激に外に寄れ大減速
あわや故障かと思われ、場内には悲鳴もにた叫びに包まれる。


「まさか、まさかのアクシデント発生か!?
オルフェーヴル、足でも痛めたのか!
後退したぁ!…なんとこんな姿だけは見たくなかった!」


だが、このレースはまだ終わらない。
後方まで下がったオルフェーヴルが、再びスパートを開始する。

「ああっもう一回巻き返してくる!
これは凄いレース!とんでもないレースになった!
もう一回オルフェーヴルが蘇ってきたぁ!」

ぐいぐいと別格の脚色で馬群を捉え、そして先頭集団へと迫っていくオルフェーヴル。

「あんな競馬をしてまで勝ち切るのか!?
そこまで強いのか!?」

直線でも次々と他馬を抜き去っていく。
しかし最後の一頭、先頭を走るギュスターヴクライの粘りを捉えきれず結果は半馬身差の2着。


大物感たっぷりな走りを見せたものの場内は騒然。ギュスターヴクライの鞍上の福永祐一騎手も、ゴール後自分の隣を走っているオルフェーヴルを思わず二度見。
流石の細江さんも「これはダメです」と言う無茶苦茶なレースぶりだった。

あれだけロスをしながら
全頭の中で上がり最速を叩き出し、もう少し距離があれば勝っていたのではという驚異的な走りを見せたこのレースはオルフェーヴルの「怪物的強さ」「不安定な暴れん坊」という世間のイメージを決定づけたレースと言えるだろう。

しかし流石にこんなレースをされてはたまらず、JRAは調教再審査を実施、三冠馬に対する調教再審査もまた前代未聞である。

生涯二度目の大敗


そんな無茶苦茶なレースをしたにもかかわらず、次走の天皇賞(春)でも負けてなお強しと一番人気に推されるも、
今度はいくら促されても全く動かず、そのまま11着と2歳以来の大敗を喫してしまう。
調教再審査による影響か、メンコが合わなかったか、疲れが溜まっていたのか、原因は多数考えられたが、何れにせよ三冠馬らしくないレースをしたのは確かだった。
三冠馬オルフェーヴルの名を一度地に落としたレースであり、池添騎手も一時はもう辞めたいと考えるほど本気で打ちひしがれた。

復活の宝塚記念


次走の宝塚記念では投票で一位を獲得し出走するも、七分仕上げと弱気な発言をする池江調教師。
配当も一番人気ながら3.2倍と三冠馬らしくない倍率だった。

レースの展開は、ネコパンチがハイペースで逃げる中追走し、直線で抜け出したマウントシャスタらを置き去りにし
香港で圧勝したルーラーシップの追込みを2馬身差で振切り、見事に三冠馬復活を成し遂げた。


三冠馬が復活する!三冠馬が復活する!

やった11番!オルフェーヴル、復活ー!

(石巻ゆうすけアナ)


この勝利により、史上10頭目のグランプリ連覇と史上初の兄弟グランプリ連覇を同時に達成した。
最早、色々な意味で凄い馬である。

池添騎手を筆頭に陣営は喜び以上にホッとひと安心したことだろう。

4歳秋


いざ、世界の頂へ


凱旋門賞への出走が正式に決定し、プランが発表されたが、
ここまで全ての手綱をとった池添から凱旋門賞2度の優勝経験があり日本でも騎乗経験のあるC.スミヨンに騎乗依頼すると発表。
残念がる声が相次いだ。
(しかし、池添は蛯名のようにフランス経験もなく妥当な判断との声も。)

フランスへ舞台を移し、フォワ賞(GⅡ)に寮馬アヴェンティーノと共に出走。
予定通りアヴェンティーノがペースメーカーを務め、スローペースの最後方でレースを進める。
最後の直線で最内に行き、フランスの重い芝で瞬発力勝負に持込み、末脚を活かし先頭に。
その後、外から強襲を仕掛けた仏独GⅠ通算3勝している地元の雄ミアンドルを1馬身差で振切り先頭でゴール。
見事、海外初勝利を収めた。これは、エルコンドルパサー以来13年振りの日本馬の勝ち星である。

歓喜の数秒間からの…


そして、迎えた本番。
大外と言う不利な条件の中だったが有力馬の相次ぐ回避で一番人気に推される。
レースは、後方でなんとか折り合い、直線では大外に持ち出すと、他馬をあっという間に交わす瞬発力を見せつけ先頭に立った。
ついに悲願の日本調教馬凱旋門賞制覇!!
……

かと思われたが、なんと内側にササり、失速。スミヨン騎手が立て直しを図るも、その隙にO.ペリエ駆る伏兵ソレミアにゴール直前差し切られ非常に惜しい2着に敗れる。
まさかの馬が舐めプして負けると言う事態に陣営はおろか、勝ったペリエにすら「勝てるとは思ってなかったけど、なんかオルフェーヴルが走るのを止めていた」と困惑されるほどの謎敗北であった。
なお、この2頭の後ろは約7馬身空いていた。

三冠対決


帰国後はジャパンカップに出走。最大のライバルはこの年に牝馬三冠を達成した鬼婦人貴婦人ジェンティルドンナ。ジャパンカップでは28年ぶりに三冠馬同士の対決が実現した。帰国後は疲労がたまり調整が上手く進まなかったとの事で、池江調教師も「あと1週欲しい」と漏らすほどであった。しかもあろうことかまたまた大外枠に入れられるというクジ運の悪さも発揮してしまい、不安要素は満載だったがファンは同馬を単勝2.0倍の1番人気に支持した。
レースは後方待機から3コーナーで進出し、4コーナーで早くも3番手に。そのまま直線で突き放しにかかろうとしたが、またまた内にササり、内にいたジェンティルドンナを閉じ込める格好になったが、直後ジェンティルドンナに「どきなさい!」とばかりに激突される。一瞬失速するもすぐに体勢を立て直し、馬体を接した激しい叩き合いになるものの、ハナ差で惜敗を喫した。
その後は有馬記念を回避。年度代表馬はジェンティルドンナに持っていかれてしまったものの、宝塚記念勝利・凱旋門賞2着の実績が評価され、最優秀4歳以上牡馬に選出される。

5歳


二度目の挑戦へ


2013年初戦はドバイ遠征も検討されたが、陣営は大阪杯を選択。単勝1.2倍の圧倒的人気に応えて勝利。
次走は宝塚記念を目標に調整が進められた。この間に主戦の池添騎手はフランス遠征を行い、海外の経験不足を補うと共に馬主へのアピールを行った。しかし、その後の発表にて前年と同じくスミヨン騎手の騎乗が決定した。

宝塚記念へ向けて調整中のオルフェーヴルだったが、軽度の肺出血を発症し、同レースを回避。フランス遠征への影響が懸念されたが、治療がスムーズに進んだ事から予定通り遠征は行われた。

凱旋門賞への前哨戦は、前年と同じくフォワ賞(GⅡ)。レースはインの2.3番手に付け折り合いを付けると、直線であっさり抜け出し3馬身差の完勝。スミヨン騎手が後ろを振り向く余裕を見せつけるほどだった。

世界の高い壁


この年の凱旋門賞はオルフェーヴルに加え、同年の日本ダービーを制したキズナも参戦を表明していた。そのキズナは前哨戦のニエル賞(GⅡ)を勝ち、日本馬としては過去最高の布陣となり、凱旋門賞制覇への期待感が高まっていた。

迎えた凱旋門賞本番。現地でも日本馬2頭が上位人気に支持されていた。他の有力馬は、ヴェルメイル賞で古馬を破った3歳牝馬トレヴ、英ダービー馬ルーラーオブザワールド、同距離・同舞台のパリ大賞を制したフリントシャーなど、3歳勢が注目を集めていた。
中でもトレヴは近年の凱旋門賞で牝馬が制している事・斤量面で有利な事から日本勢最大のライバルとされていた。

レースが始まり、オルフェーヴルは中段やや後方の外目、キズナは後方2番手からの競馬となった。
レースは動いたのはフォルスストレート(偽りの直線)。後方にいたトレヴが早めに仕掛け、武豊騎手のキズナもマークするように一緒に上がって行く。一方、オルフェーヴルは外から上がる2頭に被される形となり、馬群に包まれてしまう。

迎えた直線。トレヴが先頭に立ち、外からキズナ・馬群を割り真ん中からオルフェーヴルが追いすがる。しかし、トレヴとの差は縮まるどころか広がる一方。勝ったのはトレヴ、5馬身差の完勝である。オルフェーヴルは2年連続の2着に終わった。
去年は栄光をその手に収めながらも自ら手放してしまった形であったが、この年は完敗。オルフェーヴルの生涯の中でも三冠馬になって以降、アクシデントや自滅以外で完敗した唯一のレースと言ってよくトレヴに世界の高い壁を見せつけられる形となった。
(なお、トレヴは翌年の凱旋門賞も制している)
帰国したオルフェーヴルの次走は有馬記念に決定。加えてこれがラストランになると発表された。

圧巻のラストラン


有馬記念当日、鞍上には主戦の池添騎手が帰って来た。
1番人気はオルフェーヴルで単勝1.6倍。2番人気は1つ年下の二冠馬にしてオルフェと同じステマ配合で競馬界を沸かしていたゴールドシップ。初顔合わせとなったこの2頭の二強対決と目されたこのレース、12万人近くの大観衆が見守る中、オルフェーヴルは圧巻の走りを見せ付けた。

最後の急坂もなんてことはない!
これだ! これだ!
目に焼き付けよう! これが!

オルフェーヴルだあああああああ!!!!!

強すぎる! これがラストランなんて信じられない!

(アオシマバクシンオー青嶋達也アナ)

道中は後方待機で脚を溜めると、3コーナーで進出開始。そのままコーナーだけで全馬ごぼう抜きにして直線入り口で早くも先頭に躍り出ると、そのまま後続を突き放し8馬身差の圧勝で有終の美を飾った。
2着にライバルのウインバリアシオン、3着は同じステマ配合のゴルシという結果だった。
ウインバリアシオンに関してはまるでライバルの花道を見送るようだった。
ジャパンカップや凱旋門賞などの大レースで牝馬に負けた事から女に弱いイメージも付いていたが、牝馬が出走していないとはいえこの着差は正に三冠馬に相応しい圧倒的な物だった。

そして凱旋門賞2着とこの有馬記念が評価され、2年連続で最優秀4歳以上牡馬に選出された。


競馬界では強い勝ち方をした馬や圧倒的実績を誇る馬に「怪物」と称される場合がある。オルフェーヴルもその1頭であることは間違いない。
オルフェーヴルの場合は、クラシック三冠を達成した実績もそうだが、ゴール後に池添騎手を振り落としたり、阪神大賞典での逸走など、激しい気性もまさに「怪物」と呼べるものだった。


引退後

顕彰馬選定対象になった2015年、記者196人中188票(得票率95.9%)という圧倒的な支持を集めて堂々と顕彰馬入りとなった。
この得票率は2022年現在でも破られていないレコードである。

種牡馬としては、ステゴ後継の筆頭として意気揚々と社台SSにて種牡馬入り。
引退直後より翌年の種付けシーズンの方が明らかに馬格が大きく筋肉ムキムキになっていると言う謎の事態が発生し、「こいつ今本格化したんじゃね?」だの「全盛期前に引退させてしまった」だのと言われたりしながらも大いに期待されていたオルフェーヴル。
初年度産駒からは早速2歳女王&その後エリザベス女王杯を連覇したラッキーライラック、および皐月賞を制したエポカドーロを輩出したが、その一方でまさかの勝ち上がり率8.3%という珍記録を達成。
とにかく当たり外れが激しく当たりでも気性が難しい仔を出す事が多い事、同期のロードカナロアが初年度からアーモンドアイとかいうとんでもない怪物を生み出したせいでやや比較されて期待外れめいた評価を受ける事が多いものの、当初は「三振かホームラン」という評価となってしまう。

……が、産駒が増えてくると産駒が芝3600の重賞勝った翌週にダート1200の重賞勝ってたといった風に産駒の走る条件の傾向が全く掴めない事態が加速、
そんな中で2021年に入ると3頭目のGⅠホースを輩出するが、それがなんとブリーダーズカップディスタフ(ダート1800m)を制したマルシュロレーヌ。
ダートレースの本場アメリカで開催されたダート最強牝馬を決めるレースで1984年の開催以来初めて北米以外の競走馬が制してしまった*5
さらに2022年に入ると地方ダートマイルのかしわ記念を交流GⅠ制定後初めて牝馬で制した*6ショウナンナデシコ、東京大賞典を重賞未勝利から掴み取り、そのままドバイワールドカップまでをも制したウシュバテソーロといったダートGⅠホースに加えて、武蔵野ステークスを牝馬として初制覇したギルデッドミラー、地方の愛知競馬でもタニノタビトが3歳限定重賞「東海三冠競走」で三冠を達成する*7といった形でダートの結果が顕著となり、芝・ダート両刀の種牡馬という評価に落ち着きつつある*8
なんだったら芝である程度の成績を残したが頭打ちになった産駒がダート転向して快勝が割とデフォルトで起きる上、普通はほぼあり得ない「中央で勝てず地方に左遷された後、地方で勝って中央に戻ってくる」ケースも頻発している。
その結果、産駒デビューから7年連続で産駒がGⅠ制覇を果たすと大きい所の実績、と言う意味だとむしろ安定して成績を残し続けている。

それが功を奏してか、獲得賞金で見た種牡馬リーディングは2021年で8位と中々の順位を保持している(ゴールドシップは18位)。
そもそも歴代三冠馬として見たら直前のディープがおかしいだけで、当たり外れは大きいが現状まででもGⅠ馬5頭計11勝はディープインパクトに次ぐ2番目の数を輩出してるんだけどね
そしてムラと言っても近年は異様に新馬戦が苦手な晩成傾向程度に収束しており、全体的な勝ち上がり率だとむしろ平均程度には落ち着いていたりする。*9

こういった産駒にムラがあることは種付け料にも影響しており、2023年時点ではロードカナロアが1200万円なのに対し350万円と三冠馬にしてはかなり安価となっている*10
これでもステイゴールド産駒種牡馬では最も高額で、次点がゴールドシップの200万円*11、それ以外では50万円台と有力な産駒を残せていない種牡馬が多い。
ちなみに全兄ドリームジャーニーは重賞馬は出しているものの、小柄ゆえに種付けが致命的に下手なことや受胎率の低さが災いし、更にはシーズン中に骨折して以降種付頭数も激減してしまい、産駒数は少ない。
フェノーメノに至ってはオルフェーヴルよりも後に種牡馬入りしたものの結果が振るわず*12、2021年には種牡馬を引退してしまった*13ことを考えると健闘している方である。
なおエポカドーロが引退後買い手がつかず無償譲渡となったが2021年から種牡馬入り。これでとりあえず一頭後継種牡馬の輩出には成功し、2023年末には2020年ステイヤーズS馬オセアグレイトのYogiboヴェルサイユリゾートファームでのプライベート種牡馬化も決定。
砂の怪物ウシュバテソーロという期待の後継も現れたこともあり、現状ではステゴ系の血を残す希望の星と言えるだろう。
さらに父ステイゴールドでは現状壊滅的な結果に終わっている母父としても2023年終了時点まだ2年、そして頭数も極少数にしかすぎない状況でありながら既にG1馬と重賞勝ち馬を輩出している等好スタートを切っている。

一方で先述したように産駒の気性も(親父に比べれば幾分かマシとはいえ)一筋縄ではいかない産駒も目立ち、GⅠのパドックで宙返りをキメるロックディスタウン、GⅡのゲートで白いアレ顔負けの立ち上がりを見せて大出遅れをかましたギルデッドミラー、天皇賞(春)でスタート直後に鞍上をいきなり落馬させ、カラ馬になったにもかかわらずレース展開に思いっきり影響を及ぼした上で2位入線(当然失格)、ゴール後盛大に外ラチに激突してひっくり返ったシルヴァーソニック*14といった実に「濃い」面子が重賞ホースにも目立つ。

そして珍しい所では重賞馬ではないし気性も大人しいが物理的な意味で特異なメロディーレーンと言った馬もいたりも。

……ここまでで述べてきた産駒傾向から能力を推定すると、オルフェーヴル自身の評価が「芝も走れるダートの晩成馬だけど能力だけでクラシック3冠を取った」とか意味不明な事になるのだが、ここまで人間の思い通りにならない点もある意味オルフェらしいと言えばらしいかも知れない。

と同時に、悪戯好きなせいで色々と他の馬を怒らせるケースもあったが*15最近では丸くなったのか大人しい性格になり、元から寂しがり屋な性格に輪をかけて見学者にくっ付いて歩く姿も見られるようになった。ただし、池添騎手が来訪した際には2年連続で前足蹴りをお見舞いした模様。

主要産駒一覧


GⅠ馬を紹介

ラッキーライラック

初年度産駒で初GⅠ馬
デビューから一気の3連勝で2歳女王に戴冠し、3歳初戦のチューリップ賞も制すると牝馬クラシック戦線の筆頭格となるが、同期に女王アーモンドアイがいた事もあり、
桜花賞では完璧な抜け出しを決めるが爆発的な末脚を見せたアーモンドアイに差し切られ、オークスは3着、秋華賞は前哨戦を軽度の故障で回避するなど順調さを欠いた事もあり9着に惨敗。
その後も道中不利はともかく不利なく進めた時も早め抜け出し→脚が止まって差されて惜敗を繰り返した事から4歳エリザベス女王杯ではこれまでの石橋脩からクリストフ・スミヨンに乗り替わり。
そこを直線強襲でGⅠ2勝目を挙げると5歳春で牡牝混合の大阪杯を制覇(この時は鞍上ミルコ・デムーロ)、秋にはエリザベス女王杯連覇を達成する(この時は鞍上クリストフ・ルメール)等計4勝を挙げた。

エポカドーロ

同じく初年度産駒。母は重賞2勝のダイワパッションで、馬名は父(金細工師)やゴールドラッシュに因んだ名を持つ母父フォーティナイナー・母父ミスタープロスペクターからイタリア語の「黄金の時代」となった。
デビュー戦3着後一度放牧に出、3歳1月の未勝利戦、500万下を連勝するとスプリングステークスで2着となって皐月賞の優先出走権を獲得する。
そして本番の皐月賞では大逃げを仕掛けた3頭を見る形で後方集団先頭の4番手を追走すると、直線で逃げ馬を捕えて後方を2馬身封じて勝利。
父オルフェーヴル、騎手である戸崎圭太、馬主のヒダカ・ブリーダーズ・ユニオンに初クラシックの栄冠を与える事に。
ダービーでは3番人気に支持され、ややスロー気味の逃げから後続を抑えて抜け出すが、ワグネリアンにきっちりと捕らえられて2着惜敗。
その後は秋初戦の神戸新聞杯で落馬寸前まで躓くアクシデントの影響で4着、菊花賞では距離の壁に撃沈して8着、4歳初戦の中山記念5着、大阪杯では逃げて10着に撃沈。
その後鼻出血が確認されて休養中に腸捻転を発症して開腹手術。1年以上の間復帰を模索するも立て直しは厳しいと判断され、そのまま引退となった。
その後は上述通り無償譲渡となりながらも何とか種牡馬入り。父の後継としての一歩を踏み出した。

マルシュロレーヌ

日本馬史上初となる海外ダートGⅠを制した馬*16
勝ち自体は非常に遅く、3歳1月デビュー後未勝利脱出まで5戦を要し、ここで負けたら未勝利戦がなくなると言うギリギリで未勝利を突破。
その後2勝を加え、4歳夏に3勝クラスでハナ差2着の後騎乗していた武豊の進言でダート転向
……うん、それまでの11戦は全て芝使ってたんだ。
すると初戦を好タイムで快勝し、強気で挑んだレディスプレリュードも連勝して重賞初制覇。しかし圧倒的1番人気で臨んだ本番のJBCレディスクラシックでは直線伸びを欠いて3着。
その後は牝馬限定重賞では相手をボコボコにするが混合戦では逆にボコボコにされると言うどっかの誰かみたいな成績となり、今度こそJpn1制覇を達成する為にJBCレディスクラシックへ向かうかと言う矢先。
矢作調教師「次走はBCディスタフへ行きます」
詳細は記事に譲るがそこを制し、日本馬2頭目となるBC制覇*17、そして海外ダートGⅠ初制覇を成し遂げた。
しかしクラブ馬と言う事で6歳春までで引退と言うクラブ規定によりサウジカップ6着を最後に引退、繁殖牝馬となった。繁殖初年度はBCスプリント等米GⅠを3勝しているドレフォンを付けられ、BC勝馬同士の仔というアメリカに殴り込む気満々のロマン配合が実現。

ショウナンナデシコ

新馬戦こそ勝利するもその後は砂を被るのを嫌がる気質から中々出世が出来なかったものの、4歳秋になり我慢が出来るようになって覚醒
元々持っていたラチに頼るとどこまでも伸びる性質も相まってOP昇格するとOP→OP→Jpn3を1→2→2着として本格化の兆しを見せる。
そして最後のJpn3TCK女王盃で敗れたテオレーマが次走のフェブラリーステークスを最後に引退した事も相まって牝馬ダート戦線の筆頭格へと成り上がると、
エンプレス杯で重賞初制覇、続くマリーンカップでは2着サルサディオーネを8馬身突き放す圧勝を披露。
同距離で前年度のかしわ記念で1.6秒差で敗北しているサルサディオーネを1.7秒突き放した事もあってか次走は牡牝混合であるかしわ記念でGⅠ初挑戦。
相手関係が軽め*18だった事もあり2番人気に支持されると、最内枠と言う事もあり逃げを選択。
横でプレッシャーをかけるテイエムサウスダンを相手に深い地方のダートでほぼ12秒フラットを刻み続ける*19一切息の入らないレースを展開すると、
そのままバテた後続を尻目にスローめだったマリーンカップより早い上がりを使いながら上がり最速を記録。
ソリストサンダーの追撃を1と1/2馬身差で封じて初GⅠ制覇を挙げた。
かしわ記念の牝馬制覇は32年ぶり、地方交流重賞となってからは
TCK女王杯と比較しても別の馬と評された。
これまでの戦績から明確に砂が深いダートであればある程走る傾向にある*20事から明確に不利となる*21帝王賞を回避して夏はスパーキングレディーカップに弱いものいじめしに向かい、きっちり勝利している。
しかしその後は休養中に台頭したテリオスベル*22にペースを乱される事、3歳世代の新鋭の台頭もあって牝馬限定戦でも連続3着、
ラスト2戦は混合レースにも挑戦するものの東京大賞典は6着、フェブラリーステークスは強気にハイペース逃げを展開して潰れて15着とし、それをラストランとして現役引退、繁殖牝馬となった。

ウシュバテソーロ

ダートでのドバイワールドカップ制覇を日本競馬史上初めて達成した馬*23
詳しくは個別項目参照。

創作作品での登場

クラシック挑戦と同じ年に解散した母父の故郷「メジロ牧場」とメジロ軍団が果たせなかったダービーの夢、ダービー後に引退した兄の想い、
そして仲が良かった祖父2頭が生前誓った約束を仔に託した母(父と相思相愛)の願いと色々と背負って三冠達成した(ちょっと軽い今時な)デキる若馬として登場。
…だがリアルタイム連載という都合上、後に明らかになる気性難・癖馬っぷりから阪神大賞典での失態で「おっぺけ系」・凱旋門賞やジャパンカップで牝馬に敗れたことから「女に頭があがらない『あぷれぶー』系」と変な属性を立て続けに背負ってしまい、本馬もこんなんやだと脱却に挑んだものの完全払拭には至らなかった。
もちろん単なるネタキャラで終わる訳はなく、菊花賞前には同期同厩舎で「銀」の名を持つ普通の馬*24「アルジェンタム」の初勝利を知りエールを送り、
時は流れ最後の有馬後の正月、同期同厩舎同父のオーシャンブルーに対し、転厩したアルジェンタムから2013年末に急逝する直前届いた、彼の最後の手紙を見せ「あいつのためにも勝ちたかった」と告白、現役を続けるオーシャンブルーを激励した。
引退後も種牡馬としてたまに登場しているが(一人称も時々現役時代の「ボク」から「私」に)、全弟アッシュゴールドが親族の観戦に来た名牝馬達に頼まれ彼女達を案内する様子に過去の自分を重ね動揺(2015春収録『レディファースト』)し、
その数か月後全弟リヤンドファミユが「オルフェーヴルメモリアル」でブービーに沈んだ際は不機嫌な顔を見せ(2016春収録『顔向けできない』)、
エポカドーロがダービー挑戦時プレッシャーで硬直し誘導馬シュガーヒルと共に遅れて入場した際は、息子が2着に終わった後自身の「おっぺけ系」属性を仔も継いでいた事にニヤニヤしていた(2018秋収録『黄金の主役』)。
一方本作では「暴君」の狂暴性はあまり見受けられないが、続編『馬なり1ハロン!NEO』第73R「作戦会議」での歴代三冠馬&コントレイル(菊花賞挑戦直前)リモート会議時出遅れた上画面なのにナリタブライアンへつい足が飛び、
通販限定小冊子『馬なりミニハロン劇場』収録の「VIP Party 2020」でも他の歴代クラシック三冠・牝馬三冠・GⅠ7勝馬との共演時一頭だけやんちゃな面を見せていた。

余談

池添騎手との関係

現役中は散々な扱いをしていた池添だが、実は乗っている時以外はむしろ懐いていたらしい。
そのため近年では「背中の荷物を振り落とすと池添に会えるor池添が構ってくれると思ってた説」というジョークも生まれている。
「あいつらならありえる」と思わせるところがオルフェーヴルというかステゴ一族の馬徳(?)である。
その関係性はファンの間からは「トミカで遊ぶ3才児」と言われることも。
これを踏まえて菊花賞の事件を見ると、「レース外では臆病な性格故にゴール後の盛大な歓声に怯えて暴れる→ふと気づけば大好きな池添が横で宥めていたので落ち着く」という風にも見える。

有馬記念のちょっといい話

引退レースとなる有馬記念に向け調整していた中、池添騎手の元に少年から「オルフェーヴルに会いたい」というファンレターが届いた。
これだけなら普通のファンレターだが、この若干5才の少年は難病に侵されており、年末まで生きられるかもわからなかった。
自身も幼い子供の父だった池添騎手は他人事と思えなかったようで少年に会うことを決め、しかもフランスから帰国してノーザンファームしがらきに放牧されていたオルフェーヴルに会わせる為、牧場に許可を得るなど段取りをして少年を迎える準備を整えた。
当日は勝負服を着用してオルフェーヴルに跨り、更に撫でさせてあげるなど精一杯のサービスでもてなした。
普段撫でようとすれば噛みつくオルフェーヴルだったが、この時だけは少年が満足するまでずっと大人しかったという。
その後有馬記念に向けて調整し絶好調だった最中、有馬記念の2週間前池添騎手に少年が亡くなったという連絡が入った。
池添騎手は猶更負けるわけにはいかないと奮起し有馬記念に挑む。しかも最終追い切り時に開門一番の馬場の良い状態で走らせたかった状態を各陣営望んでいた中で、皆がオルフェーヴルの為に譲ってくれたので、なおさら負ける訳にはいかないと池添は思ったそう。
そして有馬記念本番、腹違いの弟ゴールドシップと折り合い、いい位置で競馬が出来ると確信。そして4コーナーを過ぎて後続馬が抑えに入り、ターフビジョンで位置を確認すると後ろとの差が開いている事を確認するも、気を抜かずムチを入れて8馬身差の圧勝。まるで天に召された少年にも分かるかのように勝利を報告した。オルフェーヴルも天へ昇った少年の事を思ったのだろうか。

岡安アナ

オルフェーヴルの三冠達成レースである菊花賞を実況した関西テレビの岡安譲アナウンサーは、元々競馬実況がやりたくてカンテレに入社したと語っており、三冠馬の誕生を実況するのが夢であったため、オルフェーヴルは夢を叶えてくれた馬として愛着を持っている。ちなみにある意味伝説のレースになった阪神大笑典の実況もこの人である。何か不思議な縁を感じずにはいられない。
その後、オルフェーヴル産駒のラッキーライラックが長い低迷期を超えてエリザベス女王杯を制した際にも「2歳女王が蘇る!2歳女王が蘇る!やった!ラッキーライラック!復活ぅぅ!」泣きそうな声で実況したり、最小馬体重の中央勝利記録を持つメロディーレーンのファンを公言し、メロディーレーン専用実況という溺愛企画を実施したり、「今日も可愛いメロディーレーン」という名実況をするなど、オルフェーヴルの子供世代にも愛着を強く持っている。


追記・修正は、逸走をやらかしたり鞍上を振り落とさないようにお願いします。

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最終更新:2024年04月01日 10:51

*1 なおステゴが急死した2015年に後を追うように逝き、ステゴの母ゴールデンサッシュの墓に入れられた際にオリエンタルアートの骨壺にステゴの鬣が納められたエピソードがある。つまりドリジャとオルフェはある意味その愛の忘れ形見と言う事にもなる。

*2 ちなみに東京競馬場での皐月賞は改修工事(1956、1964、1988)と職員のストライキ(1963、1974、1976)により計7回行われている。

*3 なおこの震災で東京競馬場でも影響が出る場合は京都競馬場で行う予定だった。

*4 その為有馬の人気投票ではブエナビスタに1着を譲る形になった。

*5 唯一アメリカ以外では同じ北米のカナダが1991年に制しているためアメリカ以外で数えても30年ぶり2度目となった

*6 南関東重賞制定当時には牝馬で勝利した馬は存在する。

*7 実は全兄のドリームジャーニーも東海三冠馬ドリームズラインを輩出していたりする為、全兄弟の産駒がそれぞれ三冠を達成する事となった。

*8 本人はダート競争には出走したことはないものの、母オリエンタルアートの勝ち鞍はすべてダートであったこと、調教再検査の為にダートコースで走った際に池江調教師が「それにしてもダートの走りは凄く良かったので、『いずれは……』という気持ちも出てきました。」「僕が勝手に決められるわけじゃないですけれど(笑)、一度は(ダートを)走らせてみたいですね。」等のコメントを残していることを考えると、ダート適性の背景自体はあった。

*9 下記GⅠ馬達を見れば分かる通り新馬戦に勝利したのが5頭中2頭、残り3頭は3歳に入ってからの初勝利、内2頭に至っては未勝利戦なくなるギリギリまで勝ち上がれなかったと言う有様

*10 ロードカナロアやキタサンブラックなどの高額種牡馬で受胎せず再度種付けする場合の需要と言う意味も込められているとされる。

*11 種付けの上手さと受胎率が高く初のGⅠ馬ユーバーレーベンや重賞馬ブラックホール・ウインキートス・ウインマイティーなどを輩出しているが、残念ながらゴールドシップのような頑強さをもった産駒はあまりおらず、怪我や故障で引退を余儀なくされている産駒が目立っている。なお安価なのは馬主との契約によるもので、元々社台入りになる可能性があったが繋養先のビッグレッドファームの岡田繁幸による吉田兄弟への根回しの条件とした為でもある。

*12 フェノーメノの産駒は現状地方の短距離重賞クラスに留まっている上、それ以前の問題として気性が激しいせいでデビューすらままならない例が多数。

*13 その後のフェノーメノは故郷の追分ファームで功労馬として余生を送っている。なお、2022年にはリードホース(大雑把に言えば人間で言う所の保育士に相当する役回りの馬)としてデビューし、日々奮闘の日々を送っている。

*14 幸いこの時は人馬共に大きな怪我は無かったが、その後、5月25日に脚に異常(骨膜)が見つかったことで出走予定だった目黒記念(GⅡ)を回避し休養となった。休養後はアルゼンチン共和国杯(GⅡ)に出走予定だったものの今度は除外となってしまう不運に見舞われるが、12月の長距離重賞・ステイヤーズステークス(GⅡ)に改めて照準を合わせる。そして、鞍上に短期免許で来日したダミアン・レーン騎手を迎えて今度こそ出走して勝利し、晴れて重賞ホースとなった。

*15 かつて社台にいたジャスタウェイに虐められていたが後に仲良くなったり、イスラボニータと威嚇合戦の末仲良くなったり色々あった。

*16 ドバイWCを制したヴィクトワールピサは当時馬場がオールウェザーだった為「ダート」ではない。

*17 同日開催だがレース順の関係でBCフィリー&メアターフを勝利したラヴズオンリーユーが日本馬1頭目となっている。ちなみに両馬は幼馴染であり同厩の大親友。

*18 GⅠ馬は前年度覇者ぐらいしかおらず、そのカジノフォンテンは調子を落とし気味、1番人気は前走フェブラリーステークス2着馬だったものの地方ダートマイルは初となるテイエムサウスダン

*19 スタートから6ハロンが12.3-12.0-12.3-12.0-11.9-12.1

*20 エンプレス杯は川崎2100m、マリーンカップは船橋1600m、そして同一馬相手にそれぞれ1馬身半と8馬身の差があり、砂のは船橋の方が深い、そもそも負けたTCK女王杯は大井1800m

*21 一番の相手となるテーオーケインズは逆に深いダートが苦手で浅いダートが得意、さらに大井は地方で一番ダートの砂厚が浅い

*22 逃げないとダメなのに致命的なまでにスタート後のダッシュが効かない事から道中で無理矢理捲り上げる捲り逃げを得意とする

*23 ドバイワールドカップ制覇自体は2011年のヴィクトワールピサに次ぐ2例目だが当時のドバイはオールウェザーと言う別の馬場だった。

*24 といっても劇中でも言われている通り父アグネスタキオン・母母ヒシアマゾンという良血だったりする。