ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0930 ばうんてぃはんたー 希少種狩り
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街に蔓延るゆっくり達の群れ。
その多くは、飼いゆであることを放棄して、野生に導かれるまま外界へと飛び出したゆっくり達。
箱入り娘のゆっくり達は、家から離れ過ぎて帰還することが出来なくなった。
野良生活をしている先住者に襲われて絶命するゆっくりも珍しくは無い。
しかし、その中で特殊な事例が存在する。
特異的な能力を秘めた希少種と呼ばれる者。
それらは野良を導き、社会に仇成す事態を引き起こす可能性が高い。
希少種の下種は性質が悪いのだ。
大事件を起こして世間を騒がすと責任者の首が飛ぶ。
事態を重く見た飼い主は依頼をする。
捕獲目的などではない。
始末を求めてサイトを開く。
そのサイトの名は、バウンティハンター。
「……ヒマね~」
「そうだね」
大きな音を立ててコーラを啜るお姉さん。
それに相槌を打つのは短髪の青年だ。
ポテトを摘みながら穏やかに返答している。
「ヒマ! ヒマなのよーっ!」
バタバタと足を振りながら駄々を捏ね始めるお姉さん。
その足が青年の脛を何度も蹴り上げる。
「そのうち、何か良いことあるよ」
嫌な顔一つせずに宥める青年。
良く言えば、人間が出来ている。
悪く例えるなら……枯れている。
俺はそんな親友達を横目で見ながらサイトを検索する。
実際、暇なのだ。
最近は大きな仕事も入らず小物ばかりの状況が続いていた。
手持ちが芳しくない為、ファーストフードで腹を満たす毎日。
「ポテト飽きたなー」
「まあまあ、これもどうぞ」
ブツブツと文句を言うお姉さんにアップルパイを差し出す青年。
渋い面を笑顔に変えて受け取るお姉さん。
「太るぞ」
俺が告げたありがたいお言葉。
それに対して、殺人ビームが飛び出しそうな視線を向けてくる親友。
……軽率だったかな。
もしかして、命の危機に直面しているのか?
「…やめでぐだざいっ! あがぢゃんがえじでぇえええぇええっ゛!?」
聞こえて来た悲鳴。
窓の外から発せられたようだ。
その声は店内に響き渡った。
皆一様に、『いったい何事?』と、窓の外に視線を移す。
「かわいいあがぢゃんなんでずううぅうっ゛! でいぶのあがぢゃんなんでずぅううっ゛!?」
「でいぶだってよ! 馬鹿じゃね?」
「そうだな、醜くて見ていられないぜっ!」
歩道に泣き伏せるでいぶ。
それを囲むように子供は陣を組んでいる。
子供の片手には、一体の子ゆが握られていた。
既に口からは餡子を垂れ流して虫の息のようだ。
「可愛い赤ちゃんを見てゆっくりしたなら、あまあまちょうだいねっ?
……ふざけた事抜かしてんじゃねぇっ!」
「全然ゆっくりできねぇよっ!」
「ゆっくり出来なかったから責任取ってね!?」
「ゆぐぶっ゛!? いだいよぉおっ゛! でいぶをげらないでぇええぇえっ゛!?」
でいぶを袋叩きにする子供達。
執拗に蹴り続ける。
「あまあまだっけ? 今やるよっ!」
息を荒くした一人の子供が掴んていた子れいむを握り締める。
子れいむは、全身に圧迫を受けて激痛が渦のように襲い掛かってきた。
悲鳴をあげながら身を捩って脱出を試みる。
「ゆぎゅうっ゛!? ちゅぶぅれるぅうううううぅううっ゛!
まぁにゃああぁっ゛! だぁずげでぇええぇえええぇええっ゛!?」
しかし、全く抜け出せない子れいむ。
丸い体は握り締められて、ひょうたんのような形に姿を変えていた。
肌は真っ赤に染まり、耐えようとしていても口から流れる餡子は止まらない。
「やめでねっ゛! いだがってるよっ゛!? あがぢゃんにひどいごどじないでぇねええっ゛!」
このでいぶも良くあるゆん生を辿っていた。
強引にすっきりをされて子を宿し、潰す事をせずに育てることを決めたでいぶ。
赤ゆから子ゆに育てるのは難しいことではない。
多産した赤ゆを将来的に有望視された赤ちゃんに与えれば延命処置など容易い。
自分に似てない赤ゆを殺し食料にしていたでいぶ。
従わない赤ゆを潰して餡子玉に変えてきた。
しかし、今まで巣に溜めた食料と赤ゆを全部食い尽くしてしまった。
困ったでいぶは街に足を運ぶ。
可愛く育った子れいむを見せれば食料調達など容易い。
そう思っていたからだ。
手始めに見つけた人間の子供達で予行練習をするつもりだったのだろう。
こいつらなら容易いと。
でいぶは、絶対に声を掛けてはいけない連中に関わってしまった。
「ぶぎゅうぅうううぅうううううっ゛!?」
「うわぁあぁあああああっ゛! あがぢゃぁあああぁああんっ゛!?」
「わははははっ! ぶぎゅうっ゛!? だってよっ!」
「赤ちゃーん! とか、笑えるよなっ!」
「ほら、あまあまだぞっ! いっぱい食べなっ!」
でいぶの目の前に赤れいむの残骸が投げつけられた。
原型を留めない餡子の固まりは、歩道で醜く広がって平たくなっていく。
まん丸でぷっくりとした子れいむの面影は何処にも無い。
「ゆぐぅうっ゛!? どぼじで……どぼじでっ゛!
でぇいぶのあがぢゃんだげが、ごぉんなめにあうのぉおおぉおおっっ゛!?」
でいぶは子れいむに力なく舌を伸ばす。
死んだと認めたくないのだろう。
子れいむに赤い舌先が触れる寸前、空から小さな影が差す。
「どーんっ!」
「ゆっ、ぎゃぁああぁあああぁああああっ゛!?」
渾身のスタンプがでいぶの舌を潰す。
足裏を左右に振動させて踏みにじる。
でいぶの舌は途中から千切れた。
「お前、最高っ!」
「これからは人間に命令するなよ?」
「次は潰すからな!」
ハイタッチを交しつつ、その場から立ち去る少年達。
残されたでいぶは、餡子の塊と自分の舌を見ながらすすり泣いていた。
計画とはまるで違った悲惨な未来。
やり直す気力さえも湧いてこない絶望感。
でいぶは、虚ろな目をしながら道路に向かって歩き出す。
瞬間、餡子の花火が道路上に散らばった。
しかし、この中で一番不幸だったのは、でいぶを轢いた運転手だと言わざるをえない。
餡子がこびり付いた車体下を洗わなければならないのだから。
店内の客は一部始終を見ていた。
果たして、その感想は?
「「「 なーんだ。ゆっくりかー! 」」」
終了。
口々に呟いて食事に戻る。
子供達がでいぶを生かしたのは甘いとの感想談義に花が咲く。
少し、店内の活気が増した。
「…あの程度よね~」
「そうだね」
「まあ、でいぶだしな」
俺達の感想も終了。
でいぶは見飽きていた。
お腹いっぱいなのだ。
それは、あるイベントに参加した時の事。
企業が宣伝のために逃がしたゆっくり達。
故意に放たれたゆっくり達は、全員でいぶ。
街に投下されたでいぶの数は百体。
その中に大当たりが仕込んである新しい試み。
イベント名は、" でいぶ無双 "
「失敗よね」
「失敗だよね」
「失敗だ」
逃がされたでいぶ達は予想通りに増えた。
めっちゃ増えた。
潰しても潰しても当たりが出てこない。
今では街に拡散して手がつけられない状況だ。
雑魚を抹殺しても鼻くそ程度の報奨金しか得られない。
当然、ハンター登録者も参加しない異例の事態になっていた。
「頑張ったんだけどね」
「頑張ったね」
「頑張った」
装備をフルに使って壊滅を試みた一部のハンター達。
何故、数グループはでいぶを全滅をさせる為に一致団結をしたのか?
それは、このままでいぶを放置すると、高額の賞金首を殺されるかもしれないから。
影で殺されていたら手も足も出ない。
それと、街の平和がほんの少し。
俺達は頑張った。
でも、……完全に駆除は出来なかったのだ。
大きな石を持ち上げると出てくる団子虫。
ぶっちゃけ、その確立を上回ってエンカウントする増加でいぶ。
何かに例えると、作業員が現場のトタンを横にずらす。
そこからでいぶが面を出して、嫌らしい瞳を作業員に向けながら、
『 ゆっ? ここはでいぶのゆっくりぷれいすだよっ? 』
とか、ほざいたでいぶを開口一番に踏み潰しても、その周辺には三十匹いるのだ。
それが、今の現状。
こいつらの二つ名は、" ゴキブリでいぶ "
企業は対応に追われているらしい。
「ゴキブリは嫌だな~」
「ゴキブリは嫌だね」
「……おっ?」
携帯サイトに新規情報が入ってきた。
高額、早急、抹殺希望、生存不可。
固体情報は特殊バッチ所持。
特殊項目は、……希少種。
「仕事だ。今回はチームで挑もう」
親友達は神妙な顔をしながら内容を尋ねてきた。
その気持ちは痛いほど解る。
俺は険しい顔をしていたに違いない。
何故なら携帯サイトに浮かび上がった平仮名文字。
" 特殊危険任務 " の、注意書きが赤く輝いていたのだ。
裏路地を必死に逃げるゆっくり。
蛙と蛇の髪飾りを付けている。
「はっはっはっ! ふりきれないっ!」
揺れる髪は緑色。
意思の強さを黒い眼差しの奥に秘めた希少種。
ゆっくりさなえは、追っ手を撒く為に必死で走る。
「ゆっほーっ! でいぶのおっよめさんになってねーっ!」
「にがさないよっ! ゆっくりあきらめてねっ!」
「かわいいあかちゃんつくってあげるよっ!」
さなえの後から追撃してくるのは、ゴキブリでいぶの集団だ。
今まで見た事のない極上品に大興奮。
能力を超越した華麗な動きでさなえに迫る。
「はっはっは、……はぁぅうううっ!?」
「ゆっへっへ! ここは、とぉおさないよぉおおおっ!?」
さなえは、曲がり角に待ち構えていたでいぶに押し倒された。
でいぶの涎がさなえの顔に滴り落ちる。
周辺には多くの仲間が群がっていた。
舌をベロベロと空に漂わせながら、さなえに迫るゴキブリ集団。
「ひっ……っ!?」
さなえは恐怖を受けて小さな悲鳴を漏らした。
それを聞いたゴキブリ共は、更に興奮しながら近づいていく。
ぺにぺにを大きくさせながら蠢く集団。
さなえは絶望を感じて助けを求める。
しかし、口が縦に開かない。
悲鳴を上げても助かる可能性は薄いだろう。
さなえはこの状況の中、冷静に分析を始める。
「でいぶのあかちゃんはかわいいんだよっ!」
「いっぱいすっきりしてあげるねっ!」
「すっきりをしてゆっくりできたら、たべものさんをかりにいってねっ!?」
子供を作った後で狩りに行けというゴキブリ達。
さなえの頭の奥に怒りが宿る。
『手篭めにされてたまるものかっ!』
さなえの相貌に鋭い光が満ちていく。
「でいぶのぺにぺにすてきでしょっ!?
これから、いっぱいゆっくりさせて…あげる……から?」
一匹のゴキブリが口をつぐむ。
下を見たらぺにぺには無くなっていた。
切り口から餡子が迸る。
隣のゴキブリは体を両断された。
バターのように切り裂かれた半身は、汚い路上に醜く転がる。
「ゆっ、わぁあああぁあぁっ゛!?
でいぶのぺにぺにがぁああああぁあああああっ゛!」
その場を跳ねながら泣き喚く。
着地する度に命が削られていく事を理解していないようだ。
切り口から吹き出る餡子と痛みは増すばかり。
周囲に助けを求めるが、仲間は既に撤退した後だった。
「だぁずげでぇええええぇええぇぇっ゛!?」
ゴキブリは、問答無用でお食べなさい状態に昇華完了。
鈍い音をさせながら左右に倒れた。
さなえは息荒く体を激しく上下させている。
その口元には鉄で作られたようなリングが咥えられていた。
鈍く光るその小さなリングは、
役目を終えたと感じとったかの様に、空気中にさらりと溶けて消失した。
ファーストフードを後にして歩く三人組。
それぞれの視線は携帯画面に釘付けだ。
「危険任務って始めてよね?」
「そうだね。今まで見たことないよ」
俺は頷きだけで友人達に答える。
確かに、この危険任務と言う物は都市伝説だと思っていた。
カテゴリー的には存在する。
依頼は無いだろうと誰もが考えていた。
危険任務とは、ハンター達に怪我以上を負わせる可能性を指し示す警告に近い。
当然、成人以外は依頼を受けることは出来ない。
管理の段階で弾かれる。
「キメラ……で、いいのかしら?」
「う~ん。どうなのかな」
固体情報には合成研究の文字。
特殊事項に多数の能力を付加した危険体との項目が追加されていた。
警察も動き出す可能性はある。
しかし、事件性が無ければ動かないのも事実。
被害届は出されていないのだから動きようが無い。
「とりあえず、見つけ出さないとね!」
「そうだね。見つけ出して……フヒヒ」
軽やかに鞭を取り出すお姉さん。
閃光を見ながら悦に入りだす青年。
本当に道端でするのは辞めていただきたい。
「手分けして探すか?」
俺の意見に頷く友人達。
持ち場のテリトリーを探索して情報を分け合う。
それだけで見つかる可能性は上がる。
「よし、それでは……」
「フハハハハッ! 庶民諸君!」
俺はテキパキと役目を告げる。
友人達と真面目な顔をしながら意見を交わす。
「俺はここに行く」
「私はここね」
「僕は装備を取ってきたいな」
「フハハハハッ! 庶民しょくーんっ!?」
さすが我が親友。
装備を怠っては勝利は無い。…か。
中々良い事を言う。
「俺も弾丸を補充してくる」
「私はこのまま向かうわ」
「じゃあ、また後でね」
「きけええぇええぇえぇぇええぇえぇぇっ゛!?」
俺は煩い馬鹿に視線を向ける。
その冷たい眼差しで満足した安い男は笑顔を浮かべた。
「フハハハハッ! 我の挨拶を無視するなど……万死に値するっ!」
こいつは貴族かぶれの馬鹿一号。
説明終わり。
「我が名刀の切れ味をみよっ!」
バカの側に居た従者が、片手に掴んでいた大きめでいぶを空中高くに放り投げた。
でいぶは、『お空を飛んでるみたい!?』 などと、余裕をかましながら落下してくる。
それを確認したバカは鋭い眼差しをでいぶに向けた。
片手は鞘を包み込むように添えられている。
腰に下げた刀の合口が抜かれたと同時に走る剣閃。
居合で虚空に煌く刀の軌跡。
それは、縦方向に鋭く走り、空を飛んでいたでいぶを両断する。
「ゆびゃあぁああああっ゛!? いだぁああぁああいっ゛!」
地面に落ちたでいぶが悶えている。
頭が醜く陥没していたが、徐々に盛り上がり大事には至らないようだ。
痛そうに体を転がすでいぶ。
とても元気いっぱいだ。
「どっ、どうだっ!? 我が、" ムラムラマサ " の切れ味はっ!」
手に掴んでいる刀を天高く突き上げる、最大級のバカ。
装備はスポーツチャンバラ用を改良した物を使っている。
その刀身は真っ黒で、とても柔らかい素材で作られていた。
「「「 よしっ、行動開始! 」」」
「ゆっくり話を聞いてねぇええぇえええぇっ゛!?」
俺達は瞬時に散開して行動に移る。
当然、バカは置いていく。
でいぶはちゃんと始末していきなさい。
「くそっ! くそぉおおぉぅ゛!? こんな役ばっかしっ!」
「ゆびゅっ゛! やべでねっ゛! でいぶつぶれじゃうよっ゛!?」
地面に転がっているでいぶを執拗にスタンピング。
ムラムラマサより強力だ。
今後は体術をメインに活動して頂きたいところだな。
俺達は、その自称ライバルを置き去りにして狩りを開始する。
さなえは、ふらふらと街を歩く。
あれからでいぶを、何体切刻んだのか覚えていない。
お腹が空いて、散らばった遺体を食べようとした。
でも、あの顔をしたゆっくりの残骸だと思うと、口に入れる気は起きなかった。
ゴミ箱の周囲に転がっていた食べ物。
それは、食べ物とは言えない生ゴミの腐敗臭を漂わせていた。
「おいしく……ありません」
さなえは口にする。
じゃりじゃりと砂を噛むような感覚。
伝わる味は、強烈に感じるすっぱい刺激のみ。
噛めば噛むほどマズく変化する食べ物に耐え切れなくなったさなえ。
残りの生ゴミは丸呑みで飲み込む。
無理矢理、体の奥に流し込んだ。
「うっ…、うぇえええぇえええっ、うぇええぇえええええんっ」
頬を伝う涙。
それはとても甘く、生ゴミに甘味を染みこませる。
しかし、腐敗臭に打ち勝つことは無かった。
流した涙の水分を補充しなくてはならない。
さなえは側に溜まった泥水を口に運ぶ。
「ごくごく、うっ…ぇええええぇえっ」
苦い味が口いっぱいに広がる。
涙が目尻に溜まり溢れ出す。
我慢しても止まらない。
深い悲しみは、さなえを惨めな気持ちにさせるだけ。
緑色の髪を泥色に汚しながら、最低な食事を取る希少種。
「ゆっ! どろくさいゆっくりだよっ!」
「でも、……めずらしいゆっくりだねっ!」
「でいぶのおよめさんにしてあげるねっ!」
そこに現れるゴキブリ軍団。
さなえに食事後の休憩をする暇さえ与えてくれない。
「……!」
さなえは声のした方に視線を向けた。
臨戦態勢で迎えなければやられてしまう。
キツめの胆をゴキブリ達に飛ばす。
ゴキブリ達は余裕綽々だった。
何故なら、先程みっともなく泣き伏せるさなえの姿を見たからだろう。
片側に大きく口端を吊り上げながら威嚇行動をしてきた。
さなえは警戒しながらゴキブリとの間合いを計る。
鉄輪で仕留めるのは距離が重要なのだ。
今の段階で口から射出する技能は無い。
泣いて真っ赤になった瞳をしたさなえは、慎重な足運びで事を進める。
さなえの周囲を嫌らしい瞳をしながら歩いていたゴキブリ達。
すると、何故かゴキブリ達に変化が起こった。
一匹はふらふらとしながら遠くを見つめ出す。
他の固体も似たような症状だ。
その後、さなえの周囲に集まり始める。
さなえは身を硬くして警戒したが、ゴキブリ達は無防備に背を向けた。
それは、まるでさなえを警護するかのような佇まい。
突然の事態に呆気に取られたさなえは首を傾げる。
その相貌の黒目の部分。
今は、真紅に光り輝いていた。
日が沈み始めた。
周囲は薄暗くなり探索は困難。
俺達は集合してこれからの事を話し合う予定だ。
近くのコンビニへと足を運ぶ。
「やあ」
「どうだったのかしら?」
俺は無言で首を振る。
戦友達は溜息をつきながら落胆の表情を浮かべた。
「ゴキブリはいっぱい居るのよね…」
「そうだね。ゴキブリは何匹潰したか解らないよ」
やや疲れた顔でパンを齧る青年。
携帯の画像に映し出された金額は微々たるものだった。
ユーコードを取り込んだ涙ぐましい努力は称えたいと思う。
「俺は…これからは無視だな」
ボソリと呟いた俺の言葉に反応した戦友達。
その表情は背定を示していた。
青年は携帯を折りたたむ。
ユーコードと呼ばれる情報端末。
携帯で取り込むと瞬時に識別されて固体情報を得られる。
その使い方は多種多様に渡る。
賞金首を狩った報告や、病院などあらゆる場所に利用されていた。
ユーコードは、どのような固体にも登録させる義務がある。
高級品などランクは関係ない。
大雑把に言えば、市場に下ろす個体はユーコードを付ける。
コードは粗悪なプリントから、凝った装飾までピンキリだ。
その扱いにはランクの壁があるのかもしれない。
下級量産型は黒印一つなのだから。
しかし、個人宅で生まれたゆっくりに対しては自己申告。
ユーコード自体は遺伝しない。
完全に後処理で付ける媒体なのだ。
そこで、基本は、" 飼う " ゆっくりだけにユーコードを与える。
コードが記されていない虐待用が逃げ出しても痛くも痒くもないからだ。
当然、無印のゆっくりが逃げ出した事による弊害は出てくる。
「一銭にもならないのよね…」
「いや、一銭以上にはなるよ」
ユーコードが記されていない野良ゆっくり。
これらを潰しても携帯で取り込む情報が無い。
残骸を集めて決められた施設に運ばなければお金は貰えないのだ。
これは、とても面倒くさい。
無印の赤ゆが野良で繁殖すればするほど、ターゲットを仕留めにくくなる。
なので、機関が対策を練っている最中にでいぶ増殖騒ぎ。
ほとんど、お手上げの状態だ。
「さて、これからどうする?」
俺は視線を上に向けながら呟く。
ターゲットが見つからなければ話にならない。
それも、かなり高額なこの一件は早期解決してもおかしくはない。
目の色変えた大勢のハンターが探索していると容易に想像できる。
無駄な時間を使ってばかりはいられない。
「でも、…ね」
「そうだよね」
暗い顔で携帯に視線を落とす戦友達。
画面に飛び交う情報は膨大で、どれを信じて良いのか見当もつかない。
俺も諦め気分でパンを齧り始める。
「……?」
建物の影にはでいぶの姿。
俺をジッと見つめていた。
いや、様子が変だ。
視線は俺を見つめているのかどうかも解らない。
ふらふらとした足取りで踵をかえし、何処かへと歩いていく。
俺は確信した。
「あれを追うぞ」
「ただの、ゴキブリでしょう?」
「あれが気になるのかい?」
戦友達はでいぶの背中を見ながら質問を投げかけてくる。
言葉の通り、ただのでいぶだと思っているのだろう。
しかし、他とは決定的に違う部分を指摘する。
「俺のパンを見て、寄越せと騒がなかった!」
「「 なるほどっ! 」」
俺達はでいぶの尾行を開始した。
暗くて狭い所で目が覚めた。
頬には涙が伝っている。
さなえは怖い夢を見ていた。
生まれたばかりの小さな体。
そこに、いっぱいの管を差し込まれて何かを注入された。
泣いても騒いでも辞めてくれない。
体を引き裂くような激痛にも耐えた。
姉妹が居たのかは記憶に無い。
ずっと一人だった。
いや、白い服を来た人間はいっぱい居たのを覚えている。
分厚い透明なガラスと呼ばれる外部の部屋にたくさん座っていた。
なにやら、難しい羅列がこんぴゅーたー?に映り高速で流れていく。
側には得体の知れない塊。
それが自分の中に入れられると知った時、暴れた記憶が今でも鮮明に残っている。
ガラスに体を何度も打ちつけた。
もう、このまま死んでもいいやと思いながら。
そう思っていたら急に眠くなる。
朦朧とした意識で周囲を確認すると、繋がった管から白い物体を体内に送り込んでいた。
目を覚ました時には、成功だと喜ぶ人間の姿。
それに共感は何一つ湧かず、頬から一筋の涙が溢れた。
「ここは、さむいのね……」
さなえは体をぶるりと震えさせる。
恐怖なのか気温で震えたのは解らない。
悲しそうな瞳をしながら視線を下に向ける。
あれから、人間は来ない。
追っ手を向けられるのは理解していた。
さなえは施設から脱走した希少種なのだから。
「……」
「……ゆ」
「ゆ…」
さなえ周辺に立つゴキブリ。
いや、でいぶ達。
目は虚ろでふらふらとよろめいている。
さなえの赤い瞳に魅了されて操り人形と化したでいぶ達。
「あっ……」
さなえの腹の虫が可愛い音を鳴らす。
羞恥で頬が赤く染まり、罰悪そうに周囲を見渡した。
「ゆっ」
「えっ…あ、ありがとう」
一体のでいぶは、大きく口を開けて内容物を地面に広げた。
生ゴミでは無いまともな食べ物。
さなえは恐る恐る口に運ぶ。
「あなたたちは……たべないの?」
見上げながら問い掛ける。
しかし、反応は全く無い。
でいぶ達の急激な変化。
押し黙りながら立ち尽くす。
「うわっ! ゴキブリかよっ!」
人間の怒声が周辺に響いた。
さなえはビックリして体が跳ねあがる。
そのまま、体を折りたたんで小刻みに震えながら声を押し殺す。
「構うなよ。行こうぜ」
「ったく、何処に居るんだよっ!」
捨て台詞を吐いた男の声が遠ざかっていく。
さなえは、ほっと一息ついて胸を撫で下ろす。
落ち着いたさなえが視線を上に向けると、立ち尽くすでいぶ達の姿。
その頼もしい姿を見たさなえは感謝の涙を流した。
「…あ、かえってきた」
さなえが眠る前。
お腹が空いたと一言零した時に、群れの一体がふらふらと敷地を飛び出していった。
戻って来てと叫んだが全く止まらず、帰りを待っていたら眠ってしまったらしい。
「おかえ…り…?」
さなえの顔は驚愕に彩られる。
言葉を途中で止めて体を奥へと押し込む。
「ここか?」
「ゴキブリばっかりなんですけど?」
「う~ん。ビリビリタイム?」
ふらふらと歩を進めるでいぶ。
その後には、三人の人間。
敷地に迫って来た。
間違いなく自分を探しているのだと確信したさなえ。
目を瞑り覚悟を決めた顔になる。
さなえは静かに鉄の輪を形成し始めた。
敷地に広がるのはでいぶ軍団。
ただし、目が虚ろ。
ちょっと怖い。
俺の隣に居る友人は引き気味で様子を見ていた。
「これは、何処から手をつければいいのかな?」
「もー、本当にいるのかしら?」
戦友達は敷地内に足を踏み入れた。
でいぶ達は反応を示さない。
完全に素通り状態。
「うーん。ビリリたいなー」
「ちょっと! そこから退けなさいっ!」
物陰を探す戦友達。
バチバチと閃光を宙に撒き散らしながら移動する青年。
ライト代わりだろうか?
そこは携帯のライトを使って欲しい所だ。
俺は腕を組んで入り口で立っていた。
これは逃走経路を潰す重要な役目だ。
周辺に神経を研ぎ澄ませて探索を怠らない。
「…ん?」
俺は携帯のライトを二回点灯させた。
これは、探索停止の合図。
周辺に閃光を撒き散らす友人のお手柄。
ある物影で不可解な反射を確認した。
その奇妙な光を注意深く見ていると、嫌な感覚が浮かんで膨れ上がる。
あれは、良くない物だ。
「……」
俺は手を上げて軽く振る。
友人達は壁から離れて動向を見極める体制に入った。
互いに頷きあいながらでいぶ軍団を掻き分けて奥に向かう。
懐から銃を取り出す。
これは愛用のガスガンだ。
冬場は懐で暖めないとガスの威力が弱まってしまう。
かなり旧式で、今は使い手が少ない希少装備。
でも、それなりの利点は存在する。
利点は持ち運びと使いまわしが容易なこと。
もう一つは、……弾丸を自在に変えられることだ。
リボルバーを手で回し、最適な弾丸に切り替えた後、激鉄を引いて狙いを定める。
「食らえっ!」
飛び出した赤い弾丸が目標に向けて空を切る。
物陰に潜むさなえ。
口元には形成完了した鉄の輪が咥えられていた。
この切れ味は鋭い。
でいぶ達で実証済み。
さなえは、『人間を切り裂いたらどうなってしまうのか?』と、考えている。
さなえは震えが止まらない。
硬い鉄の輪を噛み締めながら必死に耐える。
先程から断続的に光り輝く閃光は、さなえの恐怖心を悪戯に煽っていく。
瞳に涙を溜めながら、" その時 " を、ただひたすらに待つ。
ふと、閃光が止んだ。
静寂が辺りに満ちる。
さなえは首を傾げながら顔を少し上げた。
瞳に映るのは暗闇のみ。
安堵の溜息をするその瞬間。
凄いスピードで飛来した赤い塊。
小さな粒はさなえの側で弾け飛び、濃厚な雫がさなえの体に付着した。
「うっ、…きゃぁあああああぁああああああっ゛!?」
焼けるような痛みを伴なう赤い染み。
鉄の輪は意識を乱すと同時に霧散して消えた。
たまらず悲鳴をあげたさなえは外に飛び出す。
そこには、先程見た人間達がさなえを待ち構えていた。
「これが、危険?」
「特定危険対象者…?」
戦友達はさなえを見て驚いていた。
実際、希少種は高価な物なので気軽に買えるものでは無い。
だが……、決して買えないものでは無い。
別段、認識した部分から逸脱しない普通の外観に驚いているようだ。
「食らえっ!」
「…!」
俺の放った弾丸がさなえを横を掠める。
当たれば必殺。
しかし、暗闇で狙いが定まらない。
「いやぁあああっ゛!?」
体に赤い染みを無数に付けたさなえが吼える。
すると、周囲のでいぶ軍団はのそりと動き出した。
虚ろな目を狂気に変えて、俺達を襲い始めるっ!
「くっ!?」
俺は狙いを変更せざるを得ない。
目標はでいぶ。
このままでは劣勢に立たされるからだ。
「ゆごぉおおおおぉっ゛!」
B級ホラー顔負けで迫るでいぶ軍団。
片目を瞑りながら引き金を絞る瞬間。
「おごぉおおぉおおおおおぉおっ゛!?」
襲いかかって来た数体のでいぶが遠くに飛んでいった。
落下点に蠢いているでいぶを巻き込んで派手に転がっていく。
俺の目の前に、鞭の撓りと閃光が迸った。
「接近戦は私達に任せなさいっ!」
「ヒャッハァーッ!」
頼もしい戦友達だ。
遠距離戦は俺に任せる頭の切り替えの速さ。
長いこと友人をやっている阿吽の呼吸。
しかし、人通り少なく住宅から離れた敷地の奥。
街灯も乏しく、灯りに期待は持てないだろう。
たまに飛び散る閃光は、視界を明るくするどころか邪魔にしかならない。
「ヒャッハッハーッ!?」
「心配するな! 問題ない」
俺は青年の言葉に答えて狙いを定める。
片手に携帯を、片手に拳銃を。
これで全ては解決だ。
ライトに照らされたさなえの怯える顔を捉えた。
「終わりだっ!」
特殊配合した弾丸がさなえに迫る。
俺は完璧に仕留めたと確信した。
でいぶ達は盾になろうと移動しているが間に合わないだろう。
任務は完了だ。
「――――――――――!」
「なっ!?」
さなえの声無き悲鳴。
それに呼応したのかのように、大きな柱が姿を現す。
御柱は俺の弾丸を難なく受け止めて塵と化した。
普通は起こりえない事態。
これは、危険だと改めて悟る。
「―――!」
「ありえないっ!?」
「何なの!? あの子はっ!」
「ヒャッハーッ!?」
さなえの周囲が歪む。
空間に亀裂が生まれていく。
他種が持つ稀有な能力。
しかし、所詮そこはゆっくりだ。
移動できる距離は数十歩先。
鉄の輪を向けられる事に比べたら脅威は感じなかっただろう。
だが、時刻と場所が不味かった。
周辺は暗闇に包まれて、一寸先を視認するのも困難な状況化。
それに加えて暴れでいぶ軍団も居た。
見失えば致命的。
連続移動されてしまっては追えなくなってしまう。
俺は顔を青くして戦友達に振り返る。
しかし、どちらも首を振るばかり。
諦めムードが漂う敷地内。
もう、絶望的だと空を見上げようとしたその時。
眩い光りが敷地を照らす。
「フハハハハッ! 苦戦してるようじゃないかっ!?」
そう、バカが来た。
高価なスーツを身に纏い、偉そうにふんぞり返る大馬鹿野郎。
もとい、俺達の好敵手が姿を現した。
その側に光り輝くのは巨大なライト。
敷地を隅々まで照らし、その全貌を明らかにさせた。
「助太刀いたすっ! とぉおおおおおっ!」
バカは最大の見せ場で声を張り上げて、でいぶ軍団に挑む。
「はぁあああっ! ……うわぁあああぁあああっ゛!?」
ペコンと小さく音を立てたムラムラマサ。
でいぶ軍団に与えた打撃はノーダメージ。
バカはでいぶの波に飲み込まれて消えた。
「…鞘で殴ればいいのに」
その一部顛末を聞いていた俺はボッソリと呟く。
あのバカの装備は刀。
刀身は法律上柔らかい素材で作られておる。
しかし、居合に拘るスタイルをとっている為か、鞘は頑丈鉄作りなのだ。
本体より強力な装備補助。
笑い話にしかならない。
「…さて」
俺は視線を外さずに見ていたさなえに言葉を紡ぐ。
「今から打つ。いいな?」
「…はい」
さなえは頭を垂れる。
涙を流しながら俺を見つめていた。
「…でいぶさんは、たすけてあげてください」
「約束は出来ない」
俺の言葉に頷くさなえ。
でいぶを魅了して計らずとも利用した事が心苦しかったのだろう。
最後は自分だけ逃亡をしようとした。
致し方ないとは言え、事実は変わらない。
「…さようなら。もっと、ゆっくりしたかったわ。……なんてね」
さなえの最後の遺言。
俺はそれを耳に入れた後、銃の引き金を握り締めた。
正気に戻ったでいぶ軍団。
敷地で騒ぐアホ共を薙ぎ倒す。
新弾丸、鞭に電気ショック。
駆除しまくった。
しかし、企業の当たりは見つからなかった。
と言うか、ユーコードすらも無い。
手痛いタダ働きをした気分だ。
「よっと」
飲まれたバカをでいぶの残骸から引きずり出す。
目をグルグルさせながら気を失っていた。
何処までもベタな奴だと感心する。
「とりあえず終わりね」
「ふー、ヒャッハーしたよ」
満足げに汗を拭い取る戦友達。
余裕の表れは携帯に浮かんだ金額が大きい。
報酬をきっちり三等分。
バカの取り分も一応相談した。
しかし、道路に居た執事っぽい人から、
『これからも、若の事を宜しくお願いします』
の言葉を掛けられた後、報奨金の取り分は丁重にお断りをしていた。
「あ、それとこいつの件は……」
「理解しております。それでは又のご機会に」
執事はバカを肩に担いで闇に消えた。
最強のライバルはこの人なのかもしれない。
「さて、帰るか」
「帰りましょう」
「帰りますか」
「どこに帰るのですか?」
俺の手元に乗っかったでいぶ。
今は、少しシェイプアップしてれいむに近い。
無駄を省いた青年の結晶だ。
良い仕事をする。
「俺の家に帰るか」
「はいっ!」
嬉しそうに笑顔を見せるれいむ。
いや、さなえか。
見た目はれいむ中身はさなえ。
ふとした事で潰されそうな危なげな存在が誕生した。
作ったのは青年。
これは最高の実験体。
だから、ヒャッハー語で生け捕りにしてくれと希望を受けた。
さなえに打ち込んだのは麻酔弾。
眠るさなえに対して青年は道具を巧みに操り、全ての情報を転写したらしい。
簡単な作業と豪語していたが、俺にはさっぱり解らない。
さなえの残骸は連絡を受けた企業が早急に回収していた。
そうとう機密部分に触れるらしい。
焦りと緊張感が痛い程に伝わってきた。
さて、こうして無くなったさなえの本体。
実はこっそり餡部分を少し拝借していた。
でいぶの山に隠していたのでボディーチェックでは気づかれなかった。
それを解析した青年の一言。
『 さなえの新ボディを作成するのは自作パソコンよりも楽 』
変な機能を入れないように青年を監視しながら、
多大なる期待を胸に秘めながら待つことにしよう。
「さて…、帰る前に飲んでいきましょうか?」
「僕は付き合うよ」
「俺は、どうするかな」
「わたしはいってみたいです!」
俺はさなえを尊重する形で居酒屋に行くことに決めた。
しかし、携帯に一通のメールが届く。
「…俺はパス。仕事が入った」
大口の新規依頼が飛び込んできた。
真夜中だが、これを見逃す気は全くない。
「へぇ、私は付き合うわよ?」
「僕も行こうかな」
「わたしもついていきます!」
賛同する親友達。
懐は既に暖かいはずなのに付き合いが良すぎるな。
まあ、もうひとつ荒稼ぎでもするか。
「行くぞ!」
踵を返して闇に消える三人と一体。
誰もが笑顔を浮かべながら新しい獲物へと向かう。
そこに賞金首の獲物がある限り、どんな危険な地域でも足を運ぶ。
俺達は最高の実験体を入手した。
唯一無二のバウンティハンター。
・希少種を狩るお話
前回同様にアレ設定全開です
普段使わない能力とかいっぱい詰め込んでみました
しかし、改めて見なおすとでいぶ祭り開催中
どうしてこうなった
・なんでも書くいつも通りの作者
そしてさなえ好き
正直、でいぶの体にさなえを入れるのはどうかと思う
・一部他作者様の設定をお借りしています
過去作
ふたば系ゆっくりいじめ 802 我らっ!すっきりーっ!を熱く語る
ふたば系ゆっくりいじめ 779 そうだ、駆除しよう
ふたば系ゆっくりいじめ 764 たまたま
ふたば系ゆっくりいじめ 752 おらべならい
ふたば系ゆっくりいじめ 742 お呼び出し
ふたば系ゆっくりいじめ 718 完全予約制
ふたば系ゆっくりいじめ 710 基本種 ふんどしれいむの復讐
ふたば系ゆっくりいじめ 683 あんらっき~を乗り越えて
ふたば系ゆっくりいじめ 665 基本種 れいむの受難
ふたば系ゆっくりいじめ 638 ばうんてぃはんたー
ふたば系ゆっくりいじめ 612 かってにはえてくる
ふたば系ゆっくりいじめ 593 迷作劇場
ふたば系ゆっくりいじめ 572 ぎゃんぶらー
ふたば系ゆっくりいじめ 507 火の用心
ふたば系ゆっくりいじめ 500 駄目だよ?
ふたば系ゆっくりいじめ 458 ドゲスー
ふたば系ゆっくりいじめ 449 希少種の価値 2
ふたば系ゆっくりいじめ 448 希少種の価値 1,5
ふたば系ゆっくりいじめ 443 希少種の価値
ふたば系ゆっくりいじめ 398 ゆっくり達を必殺技で葬る物語
ふたば系ゆっくりいじめ 382 穴だらけの計画とその代償
・他、6点
その多くは、飼いゆであることを放棄して、野生に導かれるまま外界へと飛び出したゆっくり達。
箱入り娘のゆっくり達は、家から離れ過ぎて帰還することが出来なくなった。
野良生活をしている先住者に襲われて絶命するゆっくりも珍しくは無い。
しかし、その中で特殊な事例が存在する。
特異的な能力を秘めた希少種と呼ばれる者。
それらは野良を導き、社会に仇成す事態を引き起こす可能性が高い。
希少種の下種は性質が悪いのだ。
大事件を起こして世間を騒がすと責任者の首が飛ぶ。
事態を重く見た飼い主は依頼をする。
捕獲目的などではない。
始末を求めてサイトを開く。
そのサイトの名は、バウンティハンター。
「……ヒマね~」
「そうだね」
大きな音を立ててコーラを啜るお姉さん。
それに相槌を打つのは短髪の青年だ。
ポテトを摘みながら穏やかに返答している。
「ヒマ! ヒマなのよーっ!」
バタバタと足を振りながら駄々を捏ね始めるお姉さん。
その足が青年の脛を何度も蹴り上げる。
「そのうち、何か良いことあるよ」
嫌な顔一つせずに宥める青年。
良く言えば、人間が出来ている。
悪く例えるなら……枯れている。
俺はそんな親友達を横目で見ながらサイトを検索する。
実際、暇なのだ。
最近は大きな仕事も入らず小物ばかりの状況が続いていた。
手持ちが芳しくない為、ファーストフードで腹を満たす毎日。
「ポテト飽きたなー」
「まあまあ、これもどうぞ」
ブツブツと文句を言うお姉さんにアップルパイを差し出す青年。
渋い面を笑顔に変えて受け取るお姉さん。
「太るぞ」
俺が告げたありがたいお言葉。
それに対して、殺人ビームが飛び出しそうな視線を向けてくる親友。
……軽率だったかな。
もしかして、命の危機に直面しているのか?
「…やめでぐだざいっ! あがぢゃんがえじでぇえええぇええっ゛!?」
聞こえて来た悲鳴。
窓の外から発せられたようだ。
その声は店内に響き渡った。
皆一様に、『いったい何事?』と、窓の外に視線を移す。
「かわいいあがぢゃんなんでずううぅうっ゛! でいぶのあがぢゃんなんでずぅううっ゛!?」
「でいぶだってよ! 馬鹿じゃね?」
「そうだな、醜くて見ていられないぜっ!」
歩道に泣き伏せるでいぶ。
それを囲むように子供は陣を組んでいる。
子供の片手には、一体の子ゆが握られていた。
既に口からは餡子を垂れ流して虫の息のようだ。
「可愛い赤ちゃんを見てゆっくりしたなら、あまあまちょうだいねっ?
……ふざけた事抜かしてんじゃねぇっ!」
「全然ゆっくりできねぇよっ!」
「ゆっくり出来なかったから責任取ってね!?」
「ゆぐぶっ゛!? いだいよぉおっ゛! でいぶをげらないでぇええぇえっ゛!?」
でいぶを袋叩きにする子供達。
執拗に蹴り続ける。
「あまあまだっけ? 今やるよっ!」
息を荒くした一人の子供が掴んていた子れいむを握り締める。
子れいむは、全身に圧迫を受けて激痛が渦のように襲い掛かってきた。
悲鳴をあげながら身を捩って脱出を試みる。
「ゆぎゅうっ゛!? ちゅぶぅれるぅうううううぅううっ゛!
まぁにゃああぁっ゛! だぁずげでぇええぇえええぇええっ゛!?」
しかし、全く抜け出せない子れいむ。
丸い体は握り締められて、ひょうたんのような形に姿を変えていた。
肌は真っ赤に染まり、耐えようとしていても口から流れる餡子は止まらない。
「やめでねっ゛! いだがってるよっ゛!? あがぢゃんにひどいごどじないでぇねええっ゛!」
このでいぶも良くあるゆん生を辿っていた。
強引にすっきりをされて子を宿し、潰す事をせずに育てることを決めたでいぶ。
赤ゆから子ゆに育てるのは難しいことではない。
多産した赤ゆを将来的に有望視された赤ちゃんに与えれば延命処置など容易い。
自分に似てない赤ゆを殺し食料にしていたでいぶ。
従わない赤ゆを潰して餡子玉に変えてきた。
しかし、今まで巣に溜めた食料と赤ゆを全部食い尽くしてしまった。
困ったでいぶは街に足を運ぶ。
可愛く育った子れいむを見せれば食料調達など容易い。
そう思っていたからだ。
手始めに見つけた人間の子供達で予行練習をするつもりだったのだろう。
こいつらなら容易いと。
でいぶは、絶対に声を掛けてはいけない連中に関わってしまった。
「ぶぎゅうぅうううぅうううううっ゛!?」
「うわぁあぁあああああっ゛! あがぢゃぁあああぁああんっ゛!?」
「わははははっ! ぶぎゅうっ゛!? だってよっ!」
「赤ちゃーん! とか、笑えるよなっ!」
「ほら、あまあまだぞっ! いっぱい食べなっ!」
でいぶの目の前に赤れいむの残骸が投げつけられた。
原型を留めない餡子の固まりは、歩道で醜く広がって平たくなっていく。
まん丸でぷっくりとした子れいむの面影は何処にも無い。
「ゆぐぅうっ゛!? どぼじで……どぼじでっ゛!
でぇいぶのあがぢゃんだげが、ごぉんなめにあうのぉおおぉおおっっ゛!?」
でいぶは子れいむに力なく舌を伸ばす。
死んだと認めたくないのだろう。
子れいむに赤い舌先が触れる寸前、空から小さな影が差す。
「どーんっ!」
「ゆっ、ぎゃぁああぁあああぁああああっ゛!?」
渾身のスタンプがでいぶの舌を潰す。
足裏を左右に振動させて踏みにじる。
でいぶの舌は途中から千切れた。
「お前、最高っ!」
「これからは人間に命令するなよ?」
「次は潰すからな!」
ハイタッチを交しつつ、その場から立ち去る少年達。
残されたでいぶは、餡子の塊と自分の舌を見ながらすすり泣いていた。
計画とはまるで違った悲惨な未来。
やり直す気力さえも湧いてこない絶望感。
でいぶは、虚ろな目をしながら道路に向かって歩き出す。
瞬間、餡子の花火が道路上に散らばった。
しかし、この中で一番不幸だったのは、でいぶを轢いた運転手だと言わざるをえない。
餡子がこびり付いた車体下を洗わなければならないのだから。
店内の客は一部始終を見ていた。
果たして、その感想は?
「「「 なーんだ。ゆっくりかー! 」」」
終了。
口々に呟いて食事に戻る。
子供達がでいぶを生かしたのは甘いとの感想談義に花が咲く。
少し、店内の活気が増した。
「…あの程度よね~」
「そうだね」
「まあ、でいぶだしな」
俺達の感想も終了。
でいぶは見飽きていた。
お腹いっぱいなのだ。
それは、あるイベントに参加した時の事。
企業が宣伝のために逃がしたゆっくり達。
故意に放たれたゆっくり達は、全員でいぶ。
街に投下されたでいぶの数は百体。
その中に大当たりが仕込んである新しい試み。
イベント名は、" でいぶ無双 "
「失敗よね」
「失敗だよね」
「失敗だ」
逃がされたでいぶ達は予想通りに増えた。
めっちゃ増えた。
潰しても潰しても当たりが出てこない。
今では街に拡散して手がつけられない状況だ。
雑魚を抹殺しても鼻くそ程度の報奨金しか得られない。
当然、ハンター登録者も参加しない異例の事態になっていた。
「頑張ったんだけどね」
「頑張ったね」
「頑張った」
装備をフルに使って壊滅を試みた一部のハンター達。
何故、数グループはでいぶを全滅をさせる為に一致団結をしたのか?
それは、このままでいぶを放置すると、高額の賞金首を殺されるかもしれないから。
影で殺されていたら手も足も出ない。
それと、街の平和がほんの少し。
俺達は頑張った。
でも、……完全に駆除は出来なかったのだ。
大きな石を持ち上げると出てくる団子虫。
ぶっちゃけ、その確立を上回ってエンカウントする増加でいぶ。
何かに例えると、作業員が現場のトタンを横にずらす。
そこからでいぶが面を出して、嫌らしい瞳を作業員に向けながら、
『 ゆっ? ここはでいぶのゆっくりぷれいすだよっ? 』
とか、ほざいたでいぶを開口一番に踏み潰しても、その周辺には三十匹いるのだ。
それが、今の現状。
こいつらの二つ名は、" ゴキブリでいぶ "
企業は対応に追われているらしい。
「ゴキブリは嫌だな~」
「ゴキブリは嫌だね」
「……おっ?」
携帯サイトに新規情報が入ってきた。
高額、早急、抹殺希望、生存不可。
固体情報は特殊バッチ所持。
特殊項目は、……希少種。
「仕事だ。今回はチームで挑もう」
親友達は神妙な顔をしながら内容を尋ねてきた。
その気持ちは痛いほど解る。
俺は険しい顔をしていたに違いない。
何故なら携帯サイトに浮かび上がった平仮名文字。
" 特殊危険任務 " の、注意書きが赤く輝いていたのだ。
裏路地を必死に逃げるゆっくり。
蛙と蛇の髪飾りを付けている。
「はっはっはっ! ふりきれないっ!」
揺れる髪は緑色。
意思の強さを黒い眼差しの奥に秘めた希少種。
ゆっくりさなえは、追っ手を撒く為に必死で走る。
「ゆっほーっ! でいぶのおっよめさんになってねーっ!」
「にがさないよっ! ゆっくりあきらめてねっ!」
「かわいいあかちゃんつくってあげるよっ!」
さなえの後から追撃してくるのは、ゴキブリでいぶの集団だ。
今まで見た事のない極上品に大興奮。
能力を超越した華麗な動きでさなえに迫る。
「はっはっは、……はぁぅうううっ!?」
「ゆっへっへ! ここは、とぉおさないよぉおおおっ!?」
さなえは、曲がり角に待ち構えていたでいぶに押し倒された。
でいぶの涎がさなえの顔に滴り落ちる。
周辺には多くの仲間が群がっていた。
舌をベロベロと空に漂わせながら、さなえに迫るゴキブリ集団。
「ひっ……っ!?」
さなえは恐怖を受けて小さな悲鳴を漏らした。
それを聞いたゴキブリ共は、更に興奮しながら近づいていく。
ぺにぺにを大きくさせながら蠢く集団。
さなえは絶望を感じて助けを求める。
しかし、口が縦に開かない。
悲鳴を上げても助かる可能性は薄いだろう。
さなえはこの状況の中、冷静に分析を始める。
「でいぶのあかちゃんはかわいいんだよっ!」
「いっぱいすっきりしてあげるねっ!」
「すっきりをしてゆっくりできたら、たべものさんをかりにいってねっ!?」
子供を作った後で狩りに行けというゴキブリ達。
さなえの頭の奥に怒りが宿る。
『手篭めにされてたまるものかっ!』
さなえの相貌に鋭い光が満ちていく。
「でいぶのぺにぺにすてきでしょっ!?
これから、いっぱいゆっくりさせて…あげる……から?」
一匹のゴキブリが口をつぐむ。
下を見たらぺにぺには無くなっていた。
切り口から餡子が迸る。
隣のゴキブリは体を両断された。
バターのように切り裂かれた半身は、汚い路上に醜く転がる。
「ゆっ、わぁあああぁあぁっ゛!?
でいぶのぺにぺにがぁああああぁあああああっ゛!」
その場を跳ねながら泣き喚く。
着地する度に命が削られていく事を理解していないようだ。
切り口から吹き出る餡子と痛みは増すばかり。
周囲に助けを求めるが、仲間は既に撤退した後だった。
「だぁずげでぇええええぇええぇぇっ゛!?」
ゴキブリは、問答無用でお食べなさい状態に昇華完了。
鈍い音をさせながら左右に倒れた。
さなえは息荒く体を激しく上下させている。
その口元には鉄で作られたようなリングが咥えられていた。
鈍く光るその小さなリングは、
役目を終えたと感じとったかの様に、空気中にさらりと溶けて消失した。
ファーストフードを後にして歩く三人組。
それぞれの視線は携帯画面に釘付けだ。
「危険任務って始めてよね?」
「そうだね。今まで見たことないよ」
俺は頷きだけで友人達に答える。
確かに、この危険任務と言う物は都市伝説だと思っていた。
カテゴリー的には存在する。
依頼は無いだろうと誰もが考えていた。
危険任務とは、ハンター達に怪我以上を負わせる可能性を指し示す警告に近い。
当然、成人以外は依頼を受けることは出来ない。
管理の段階で弾かれる。
「キメラ……で、いいのかしら?」
「う~ん。どうなのかな」
固体情報には合成研究の文字。
特殊事項に多数の能力を付加した危険体との項目が追加されていた。
警察も動き出す可能性はある。
しかし、事件性が無ければ動かないのも事実。
被害届は出されていないのだから動きようが無い。
「とりあえず、見つけ出さないとね!」
「そうだね。見つけ出して……フヒヒ」
軽やかに鞭を取り出すお姉さん。
閃光を見ながら悦に入りだす青年。
本当に道端でするのは辞めていただきたい。
「手分けして探すか?」
俺の意見に頷く友人達。
持ち場のテリトリーを探索して情報を分け合う。
それだけで見つかる可能性は上がる。
「よし、それでは……」
「フハハハハッ! 庶民諸君!」
俺はテキパキと役目を告げる。
友人達と真面目な顔をしながら意見を交わす。
「俺はここに行く」
「私はここね」
「僕は装備を取ってきたいな」
「フハハハハッ! 庶民しょくーんっ!?」
さすが我が親友。
装備を怠っては勝利は無い。…か。
中々良い事を言う。
「俺も弾丸を補充してくる」
「私はこのまま向かうわ」
「じゃあ、また後でね」
「きけええぇええぇえぇぇええぇえぇぇっ゛!?」
俺は煩い馬鹿に視線を向ける。
その冷たい眼差しで満足した安い男は笑顔を浮かべた。
「フハハハハッ! 我の挨拶を無視するなど……万死に値するっ!」
こいつは貴族かぶれの馬鹿一号。
説明終わり。
「我が名刀の切れ味をみよっ!」
バカの側に居た従者が、片手に掴んでいた大きめでいぶを空中高くに放り投げた。
でいぶは、『お空を飛んでるみたい!?』 などと、余裕をかましながら落下してくる。
それを確認したバカは鋭い眼差しをでいぶに向けた。
片手は鞘を包み込むように添えられている。
腰に下げた刀の合口が抜かれたと同時に走る剣閃。
居合で虚空に煌く刀の軌跡。
それは、縦方向に鋭く走り、空を飛んでいたでいぶを両断する。
「ゆびゃあぁああああっ゛!? いだぁああぁああいっ゛!」
地面に落ちたでいぶが悶えている。
頭が醜く陥没していたが、徐々に盛り上がり大事には至らないようだ。
痛そうに体を転がすでいぶ。
とても元気いっぱいだ。
「どっ、どうだっ!? 我が、" ムラムラマサ " の切れ味はっ!」
手に掴んでいる刀を天高く突き上げる、最大級のバカ。
装備はスポーツチャンバラ用を改良した物を使っている。
その刀身は真っ黒で、とても柔らかい素材で作られていた。
「「「 よしっ、行動開始! 」」」
「ゆっくり話を聞いてねぇええぇえええぇっ゛!?」
俺達は瞬時に散開して行動に移る。
当然、バカは置いていく。
でいぶはちゃんと始末していきなさい。
「くそっ! くそぉおおぉぅ゛!? こんな役ばっかしっ!」
「ゆびゅっ゛! やべでねっ゛! でいぶつぶれじゃうよっ゛!?」
地面に転がっているでいぶを執拗にスタンピング。
ムラムラマサより強力だ。
今後は体術をメインに活動して頂きたいところだな。
俺達は、その自称ライバルを置き去りにして狩りを開始する。
さなえは、ふらふらと街を歩く。
あれからでいぶを、何体切刻んだのか覚えていない。
お腹が空いて、散らばった遺体を食べようとした。
でも、あの顔をしたゆっくりの残骸だと思うと、口に入れる気は起きなかった。
ゴミ箱の周囲に転がっていた食べ物。
それは、食べ物とは言えない生ゴミの腐敗臭を漂わせていた。
「おいしく……ありません」
さなえは口にする。
じゃりじゃりと砂を噛むような感覚。
伝わる味は、強烈に感じるすっぱい刺激のみ。
噛めば噛むほどマズく変化する食べ物に耐え切れなくなったさなえ。
残りの生ゴミは丸呑みで飲み込む。
無理矢理、体の奥に流し込んだ。
「うっ…、うぇえええぇえええっ、うぇええぇえええええんっ」
頬を伝う涙。
それはとても甘く、生ゴミに甘味を染みこませる。
しかし、腐敗臭に打ち勝つことは無かった。
流した涙の水分を補充しなくてはならない。
さなえは側に溜まった泥水を口に運ぶ。
「ごくごく、うっ…ぇええええぇえっ」
苦い味が口いっぱいに広がる。
涙が目尻に溜まり溢れ出す。
我慢しても止まらない。
深い悲しみは、さなえを惨めな気持ちにさせるだけ。
緑色の髪を泥色に汚しながら、最低な食事を取る希少種。
「ゆっ! どろくさいゆっくりだよっ!」
「でも、……めずらしいゆっくりだねっ!」
「でいぶのおよめさんにしてあげるねっ!」
そこに現れるゴキブリ軍団。
さなえに食事後の休憩をする暇さえ与えてくれない。
「……!」
さなえは声のした方に視線を向けた。
臨戦態勢で迎えなければやられてしまう。
キツめの胆をゴキブリ達に飛ばす。
ゴキブリ達は余裕綽々だった。
何故なら、先程みっともなく泣き伏せるさなえの姿を見たからだろう。
片側に大きく口端を吊り上げながら威嚇行動をしてきた。
さなえは警戒しながらゴキブリとの間合いを計る。
鉄輪で仕留めるのは距離が重要なのだ。
今の段階で口から射出する技能は無い。
泣いて真っ赤になった瞳をしたさなえは、慎重な足運びで事を進める。
さなえの周囲を嫌らしい瞳をしながら歩いていたゴキブリ達。
すると、何故かゴキブリ達に変化が起こった。
一匹はふらふらとしながら遠くを見つめ出す。
他の固体も似たような症状だ。
その後、さなえの周囲に集まり始める。
さなえは身を硬くして警戒したが、ゴキブリ達は無防備に背を向けた。
それは、まるでさなえを警護するかのような佇まい。
突然の事態に呆気に取られたさなえは首を傾げる。
その相貌の黒目の部分。
今は、真紅に光り輝いていた。
日が沈み始めた。
周囲は薄暗くなり探索は困難。
俺達は集合してこれからの事を話し合う予定だ。
近くのコンビニへと足を運ぶ。
「やあ」
「どうだったのかしら?」
俺は無言で首を振る。
戦友達は溜息をつきながら落胆の表情を浮かべた。
「ゴキブリはいっぱい居るのよね…」
「そうだね。ゴキブリは何匹潰したか解らないよ」
やや疲れた顔でパンを齧る青年。
携帯の画像に映し出された金額は微々たるものだった。
ユーコードを取り込んだ涙ぐましい努力は称えたいと思う。
「俺は…これからは無視だな」
ボソリと呟いた俺の言葉に反応した戦友達。
その表情は背定を示していた。
青年は携帯を折りたたむ。
ユーコードと呼ばれる情報端末。
携帯で取り込むと瞬時に識別されて固体情報を得られる。
その使い方は多種多様に渡る。
賞金首を狩った報告や、病院などあらゆる場所に利用されていた。
ユーコードは、どのような固体にも登録させる義務がある。
高級品などランクは関係ない。
大雑把に言えば、市場に下ろす個体はユーコードを付ける。
コードは粗悪なプリントから、凝った装飾までピンキリだ。
その扱いにはランクの壁があるのかもしれない。
下級量産型は黒印一つなのだから。
しかし、個人宅で生まれたゆっくりに対しては自己申告。
ユーコード自体は遺伝しない。
完全に後処理で付ける媒体なのだ。
そこで、基本は、" 飼う " ゆっくりだけにユーコードを与える。
コードが記されていない虐待用が逃げ出しても痛くも痒くもないからだ。
当然、無印のゆっくりが逃げ出した事による弊害は出てくる。
「一銭にもならないのよね…」
「いや、一銭以上にはなるよ」
ユーコードが記されていない野良ゆっくり。
これらを潰しても携帯で取り込む情報が無い。
残骸を集めて決められた施設に運ばなければお金は貰えないのだ。
これは、とても面倒くさい。
無印の赤ゆが野良で繁殖すればするほど、ターゲットを仕留めにくくなる。
なので、機関が対策を練っている最中にでいぶ増殖騒ぎ。
ほとんど、お手上げの状態だ。
「さて、これからどうする?」
俺は視線を上に向けながら呟く。
ターゲットが見つからなければ話にならない。
それも、かなり高額なこの一件は早期解決してもおかしくはない。
目の色変えた大勢のハンターが探索していると容易に想像できる。
無駄な時間を使ってばかりはいられない。
「でも、…ね」
「そうだよね」
暗い顔で携帯に視線を落とす戦友達。
画面に飛び交う情報は膨大で、どれを信じて良いのか見当もつかない。
俺も諦め気分でパンを齧り始める。
「……?」
建物の影にはでいぶの姿。
俺をジッと見つめていた。
いや、様子が変だ。
視線は俺を見つめているのかどうかも解らない。
ふらふらとした足取りで踵をかえし、何処かへと歩いていく。
俺は確信した。
「あれを追うぞ」
「ただの、ゴキブリでしょう?」
「あれが気になるのかい?」
戦友達はでいぶの背中を見ながら質問を投げかけてくる。
言葉の通り、ただのでいぶだと思っているのだろう。
しかし、他とは決定的に違う部分を指摘する。
「俺のパンを見て、寄越せと騒がなかった!」
「「 なるほどっ! 」」
俺達はでいぶの尾行を開始した。
暗くて狭い所で目が覚めた。
頬には涙が伝っている。
さなえは怖い夢を見ていた。
生まれたばかりの小さな体。
そこに、いっぱいの管を差し込まれて何かを注入された。
泣いても騒いでも辞めてくれない。
体を引き裂くような激痛にも耐えた。
姉妹が居たのかは記憶に無い。
ずっと一人だった。
いや、白い服を来た人間はいっぱい居たのを覚えている。
分厚い透明なガラスと呼ばれる外部の部屋にたくさん座っていた。
なにやら、難しい羅列がこんぴゅーたー?に映り高速で流れていく。
側には得体の知れない塊。
それが自分の中に入れられると知った時、暴れた記憶が今でも鮮明に残っている。
ガラスに体を何度も打ちつけた。
もう、このまま死んでもいいやと思いながら。
そう思っていたら急に眠くなる。
朦朧とした意識で周囲を確認すると、繋がった管から白い物体を体内に送り込んでいた。
目を覚ました時には、成功だと喜ぶ人間の姿。
それに共感は何一つ湧かず、頬から一筋の涙が溢れた。
「ここは、さむいのね……」
さなえは体をぶるりと震えさせる。
恐怖なのか気温で震えたのは解らない。
悲しそうな瞳をしながら視線を下に向ける。
あれから、人間は来ない。
追っ手を向けられるのは理解していた。
さなえは施設から脱走した希少種なのだから。
「……」
「……ゆ」
「ゆ…」
さなえ周辺に立つゴキブリ。
いや、でいぶ達。
目は虚ろでふらふらとよろめいている。
さなえの赤い瞳に魅了されて操り人形と化したでいぶ達。
「あっ……」
さなえの腹の虫が可愛い音を鳴らす。
羞恥で頬が赤く染まり、罰悪そうに周囲を見渡した。
「ゆっ」
「えっ…あ、ありがとう」
一体のでいぶは、大きく口を開けて内容物を地面に広げた。
生ゴミでは無いまともな食べ物。
さなえは恐る恐る口に運ぶ。
「あなたたちは……たべないの?」
見上げながら問い掛ける。
しかし、反応は全く無い。
でいぶ達の急激な変化。
押し黙りながら立ち尽くす。
「うわっ! ゴキブリかよっ!」
人間の怒声が周辺に響いた。
さなえはビックリして体が跳ねあがる。
そのまま、体を折りたたんで小刻みに震えながら声を押し殺す。
「構うなよ。行こうぜ」
「ったく、何処に居るんだよっ!」
捨て台詞を吐いた男の声が遠ざかっていく。
さなえは、ほっと一息ついて胸を撫で下ろす。
落ち着いたさなえが視線を上に向けると、立ち尽くすでいぶ達の姿。
その頼もしい姿を見たさなえは感謝の涙を流した。
「…あ、かえってきた」
さなえが眠る前。
お腹が空いたと一言零した時に、群れの一体がふらふらと敷地を飛び出していった。
戻って来てと叫んだが全く止まらず、帰りを待っていたら眠ってしまったらしい。
「おかえ…り…?」
さなえの顔は驚愕に彩られる。
言葉を途中で止めて体を奥へと押し込む。
「ここか?」
「ゴキブリばっかりなんですけど?」
「う~ん。ビリビリタイム?」
ふらふらと歩を進めるでいぶ。
その後には、三人の人間。
敷地に迫って来た。
間違いなく自分を探しているのだと確信したさなえ。
目を瞑り覚悟を決めた顔になる。
さなえは静かに鉄の輪を形成し始めた。
敷地に広がるのはでいぶ軍団。
ただし、目が虚ろ。
ちょっと怖い。
俺の隣に居る友人は引き気味で様子を見ていた。
「これは、何処から手をつければいいのかな?」
「もー、本当にいるのかしら?」
戦友達は敷地内に足を踏み入れた。
でいぶ達は反応を示さない。
完全に素通り状態。
「うーん。ビリリたいなー」
「ちょっと! そこから退けなさいっ!」
物陰を探す戦友達。
バチバチと閃光を宙に撒き散らしながら移動する青年。
ライト代わりだろうか?
そこは携帯のライトを使って欲しい所だ。
俺は腕を組んで入り口で立っていた。
これは逃走経路を潰す重要な役目だ。
周辺に神経を研ぎ澄ませて探索を怠らない。
「…ん?」
俺は携帯のライトを二回点灯させた。
これは、探索停止の合図。
周辺に閃光を撒き散らす友人のお手柄。
ある物影で不可解な反射を確認した。
その奇妙な光を注意深く見ていると、嫌な感覚が浮かんで膨れ上がる。
あれは、良くない物だ。
「……」
俺は手を上げて軽く振る。
友人達は壁から離れて動向を見極める体制に入った。
互いに頷きあいながらでいぶ軍団を掻き分けて奥に向かう。
懐から銃を取り出す。
これは愛用のガスガンだ。
冬場は懐で暖めないとガスの威力が弱まってしまう。
かなり旧式で、今は使い手が少ない希少装備。
でも、それなりの利点は存在する。
利点は持ち運びと使いまわしが容易なこと。
もう一つは、……弾丸を自在に変えられることだ。
リボルバーを手で回し、最適な弾丸に切り替えた後、激鉄を引いて狙いを定める。
「食らえっ!」
飛び出した赤い弾丸が目標に向けて空を切る。
物陰に潜むさなえ。
口元には形成完了した鉄の輪が咥えられていた。
この切れ味は鋭い。
でいぶ達で実証済み。
さなえは、『人間を切り裂いたらどうなってしまうのか?』と、考えている。
さなえは震えが止まらない。
硬い鉄の輪を噛み締めながら必死に耐える。
先程から断続的に光り輝く閃光は、さなえの恐怖心を悪戯に煽っていく。
瞳に涙を溜めながら、" その時 " を、ただひたすらに待つ。
ふと、閃光が止んだ。
静寂が辺りに満ちる。
さなえは首を傾げながら顔を少し上げた。
瞳に映るのは暗闇のみ。
安堵の溜息をするその瞬間。
凄いスピードで飛来した赤い塊。
小さな粒はさなえの側で弾け飛び、濃厚な雫がさなえの体に付着した。
「うっ、…きゃぁあああああぁああああああっ゛!?」
焼けるような痛みを伴なう赤い染み。
鉄の輪は意識を乱すと同時に霧散して消えた。
たまらず悲鳴をあげたさなえは外に飛び出す。
そこには、先程見た人間達がさなえを待ち構えていた。
「これが、危険?」
「特定危険対象者…?」
戦友達はさなえを見て驚いていた。
実際、希少種は高価な物なので気軽に買えるものでは無い。
だが……、決して買えないものでは無い。
別段、認識した部分から逸脱しない普通の外観に驚いているようだ。
「食らえっ!」
「…!」
俺の放った弾丸がさなえを横を掠める。
当たれば必殺。
しかし、暗闇で狙いが定まらない。
「いやぁあああっ゛!?」
体に赤い染みを無数に付けたさなえが吼える。
すると、周囲のでいぶ軍団はのそりと動き出した。
虚ろな目を狂気に変えて、俺達を襲い始めるっ!
「くっ!?」
俺は狙いを変更せざるを得ない。
目標はでいぶ。
このままでは劣勢に立たされるからだ。
「ゆごぉおおおおぉっ゛!」
B級ホラー顔負けで迫るでいぶ軍団。
片目を瞑りながら引き金を絞る瞬間。
「おごぉおおぉおおおおおぉおっ゛!?」
襲いかかって来た数体のでいぶが遠くに飛んでいった。
落下点に蠢いているでいぶを巻き込んで派手に転がっていく。
俺の目の前に、鞭の撓りと閃光が迸った。
「接近戦は私達に任せなさいっ!」
「ヒャッハァーッ!」
頼もしい戦友達だ。
遠距離戦は俺に任せる頭の切り替えの速さ。
長いこと友人をやっている阿吽の呼吸。
しかし、人通り少なく住宅から離れた敷地の奥。
街灯も乏しく、灯りに期待は持てないだろう。
たまに飛び散る閃光は、視界を明るくするどころか邪魔にしかならない。
「ヒャッハッハーッ!?」
「心配するな! 問題ない」
俺は青年の言葉に答えて狙いを定める。
片手に携帯を、片手に拳銃を。
これで全ては解決だ。
ライトに照らされたさなえの怯える顔を捉えた。
「終わりだっ!」
特殊配合した弾丸がさなえに迫る。
俺は完璧に仕留めたと確信した。
でいぶ達は盾になろうと移動しているが間に合わないだろう。
任務は完了だ。
「――――――――――!」
「なっ!?」
さなえの声無き悲鳴。
それに呼応したのかのように、大きな柱が姿を現す。
御柱は俺の弾丸を難なく受け止めて塵と化した。
普通は起こりえない事態。
これは、危険だと改めて悟る。
「―――!」
「ありえないっ!?」
「何なの!? あの子はっ!」
「ヒャッハーッ!?」
さなえの周囲が歪む。
空間に亀裂が生まれていく。
他種が持つ稀有な能力。
しかし、所詮そこはゆっくりだ。
移動できる距離は数十歩先。
鉄の輪を向けられる事に比べたら脅威は感じなかっただろう。
だが、時刻と場所が不味かった。
周辺は暗闇に包まれて、一寸先を視認するのも困難な状況化。
それに加えて暴れでいぶ軍団も居た。
見失えば致命的。
連続移動されてしまっては追えなくなってしまう。
俺は顔を青くして戦友達に振り返る。
しかし、どちらも首を振るばかり。
諦めムードが漂う敷地内。
もう、絶望的だと空を見上げようとしたその時。
眩い光りが敷地を照らす。
「フハハハハッ! 苦戦してるようじゃないかっ!?」
そう、バカが来た。
高価なスーツを身に纏い、偉そうにふんぞり返る大馬鹿野郎。
もとい、俺達の好敵手が姿を現した。
その側に光り輝くのは巨大なライト。
敷地を隅々まで照らし、その全貌を明らかにさせた。
「助太刀いたすっ! とぉおおおおおっ!」
バカは最大の見せ場で声を張り上げて、でいぶ軍団に挑む。
「はぁあああっ! ……うわぁあああぁあああっ゛!?」
ペコンと小さく音を立てたムラムラマサ。
でいぶ軍団に与えた打撃はノーダメージ。
バカはでいぶの波に飲み込まれて消えた。
「…鞘で殴ればいいのに」
その一部顛末を聞いていた俺はボッソリと呟く。
あのバカの装備は刀。
刀身は法律上柔らかい素材で作られておる。
しかし、居合に拘るスタイルをとっている為か、鞘は頑丈鉄作りなのだ。
本体より強力な装備補助。
笑い話にしかならない。
「…さて」
俺は視線を外さずに見ていたさなえに言葉を紡ぐ。
「今から打つ。いいな?」
「…はい」
さなえは頭を垂れる。
涙を流しながら俺を見つめていた。
「…でいぶさんは、たすけてあげてください」
「約束は出来ない」
俺の言葉に頷くさなえ。
でいぶを魅了して計らずとも利用した事が心苦しかったのだろう。
最後は自分だけ逃亡をしようとした。
致し方ないとは言え、事実は変わらない。
「…さようなら。もっと、ゆっくりしたかったわ。……なんてね」
さなえの最後の遺言。
俺はそれを耳に入れた後、銃の引き金を握り締めた。
正気に戻ったでいぶ軍団。
敷地で騒ぐアホ共を薙ぎ倒す。
新弾丸、鞭に電気ショック。
駆除しまくった。
しかし、企業の当たりは見つからなかった。
と言うか、ユーコードすらも無い。
手痛いタダ働きをした気分だ。
「よっと」
飲まれたバカをでいぶの残骸から引きずり出す。
目をグルグルさせながら気を失っていた。
何処までもベタな奴だと感心する。
「とりあえず終わりね」
「ふー、ヒャッハーしたよ」
満足げに汗を拭い取る戦友達。
余裕の表れは携帯に浮かんだ金額が大きい。
報酬をきっちり三等分。
バカの取り分も一応相談した。
しかし、道路に居た執事っぽい人から、
『これからも、若の事を宜しくお願いします』
の言葉を掛けられた後、報奨金の取り分は丁重にお断りをしていた。
「あ、それとこいつの件は……」
「理解しております。それでは又のご機会に」
執事はバカを肩に担いで闇に消えた。
最強のライバルはこの人なのかもしれない。
「さて、帰るか」
「帰りましょう」
「帰りますか」
「どこに帰るのですか?」
俺の手元に乗っかったでいぶ。
今は、少しシェイプアップしてれいむに近い。
無駄を省いた青年の結晶だ。
良い仕事をする。
「俺の家に帰るか」
「はいっ!」
嬉しそうに笑顔を見せるれいむ。
いや、さなえか。
見た目はれいむ中身はさなえ。
ふとした事で潰されそうな危なげな存在が誕生した。
作ったのは青年。
これは最高の実験体。
だから、ヒャッハー語で生け捕りにしてくれと希望を受けた。
さなえに打ち込んだのは麻酔弾。
眠るさなえに対して青年は道具を巧みに操り、全ての情報を転写したらしい。
簡単な作業と豪語していたが、俺にはさっぱり解らない。
さなえの残骸は連絡を受けた企業が早急に回収していた。
そうとう機密部分に触れるらしい。
焦りと緊張感が痛い程に伝わってきた。
さて、こうして無くなったさなえの本体。
実はこっそり餡部分を少し拝借していた。
でいぶの山に隠していたのでボディーチェックでは気づかれなかった。
それを解析した青年の一言。
『 さなえの新ボディを作成するのは自作パソコンよりも楽 』
変な機能を入れないように青年を監視しながら、
多大なる期待を胸に秘めながら待つことにしよう。
「さて…、帰る前に飲んでいきましょうか?」
「僕は付き合うよ」
「俺は、どうするかな」
「わたしはいってみたいです!」
俺はさなえを尊重する形で居酒屋に行くことに決めた。
しかし、携帯に一通のメールが届く。
「…俺はパス。仕事が入った」
大口の新規依頼が飛び込んできた。
真夜中だが、これを見逃す気は全くない。
「へぇ、私は付き合うわよ?」
「僕も行こうかな」
「わたしもついていきます!」
賛同する親友達。
懐は既に暖かいはずなのに付き合いが良すぎるな。
まあ、もうひとつ荒稼ぎでもするか。
「行くぞ!」
踵を返して闇に消える三人と一体。
誰もが笑顔を浮かべながら新しい獲物へと向かう。
そこに賞金首の獲物がある限り、どんな危険な地域でも足を運ぶ。
俺達は最高の実験体を入手した。
唯一無二のバウンティハンター。
・希少種を狩るお話
前回同様にアレ設定全開です
普段使わない能力とかいっぱい詰め込んでみました
しかし、改めて見なおすとでいぶ祭り開催中
どうしてこうなった
・なんでも書くいつも通りの作者
そしてさなえ好き
正直、でいぶの体にさなえを入れるのはどうかと思う
・一部他作者様の設定をお借りしています
過去作
ふたば系ゆっくりいじめ 802 我らっ!すっきりーっ!を熱く語る
ふたば系ゆっくりいじめ 779 そうだ、駆除しよう
ふたば系ゆっくりいじめ 764 たまたま
ふたば系ゆっくりいじめ 752 おらべならい
ふたば系ゆっくりいじめ 742 お呼び出し
ふたば系ゆっくりいじめ 718 完全予約制
ふたば系ゆっくりいじめ 710 基本種 ふんどしれいむの復讐
ふたば系ゆっくりいじめ 683 あんらっき~を乗り越えて
ふたば系ゆっくりいじめ 665 基本種 れいむの受難
ふたば系ゆっくりいじめ 638 ばうんてぃはんたー
ふたば系ゆっくりいじめ 612 かってにはえてくる
ふたば系ゆっくりいじめ 593 迷作劇場
ふたば系ゆっくりいじめ 572 ぎゃんぶらー
ふたば系ゆっくりいじめ 507 火の用心
ふたば系ゆっくりいじめ 500 駄目だよ?
ふたば系ゆっくりいじめ 458 ドゲスー
ふたば系ゆっくりいじめ 449 希少種の価値 2
ふたば系ゆっくりいじめ 448 希少種の価値 1,5
ふたば系ゆっくりいじめ 443 希少種の価値
ふたば系ゆっくりいじめ 398 ゆっくり達を必殺技で葬る物語
ふたば系ゆっくりいじめ 382 穴だらけの計画とその代償
・他、6点