ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0920 祟り神・前篇
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ankoss
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※『ふたば系ゆっくりいじめ 768 絶対にゆるさなえ』の続きとなります。
※ゆっくりというか、さなえのスペックがインフレしてます。
※虐待要素は薄めです。
※前作の挿絵を描いていただき、M1さんありがとうございました。
※原作キャラが名前なしですが、登場しています。
ザ、ザ、ザ、ザ、ザ……
「ゆっゆっ!!ごっぢ、ごないでぇ!!ゆっぐりでぎないよぉおお!!」
「ゆぅ~!!おぢびじゃんが、おぢびじゃんがぁあああ!!」
深い森の中を、ゆっくりの出せる限界の速さで、飛び跳ねる二匹のゆっくり―――まりさとありすが、ぼろぼろと砂糖水の涙を流しながら口々に嘆いていた。
さっきまでありすの後ろから追いかけるように飛び跳ねていたおちびちゃん達は、もうすでに姿はなかった。
代わりに聞こえるのは、かわいいおちびちゃん達を食べたであろうあのゆっくりできない…
ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ……
「どぼじで、どぼじで…ゆぎぃ!!」
ああ、あのゆっくりできない音が聞こえてくる、迫ってくる…
あまりに理不尽な状況に、繰り返しつぶやくありすだったが、突然、前を飛び跳ねていたまりさが立ち止まったために、勢いよくぶつかってしまった。
「なにじでるの、ばりざ!!ゆっくりし…ゆ?」
立ち止まったまりさを急かすように、前に回り込んだありすは思わず強張った。
ありすが美ゆっくりねと、褒めちぎったまりさの顔が、何かに食い千切られたかのようになくなっていた。
「ま、まりさ、ばりざあああああ!!ゆっぐりじないで、おぎでよおおお!!」
物言わぬ饅頭となったまりさの亡骸を必死に揺さぶるありすは、気づかなかった。
先ほどまで聞こえてきたゆっくりできない音がやんだことを…。
すでに、自分の背後では、まりさやおちびちゃん達を喰い殺したあの…
「ぜったいに…ゆるさなえ…」
髪の毛の代わりに、蛇を思わせる触手を頭に生やしたお化けさなえが、ありすを飲み込もうとしていたことを…。
「ゆっゆっ…だ、だずげ、いぢゃい、やめぇでえええええ!!!ごんなんの、どがいばじゃ、ゆびぃい!!」
ありすは、喰われるまで、気づくことはなった。
『祟り神』
「ごちそうさま…でも、ぜったいにゆるさなえ~♪」
捕まえた獲物―――すでに残骸となったありすを食べ得たお化けさなえは、恨み事を呟きながら、触手で顔を拭きながら、満足そうな顔をしていた。
自分を苦しめた群れのゆっくりを一匹も残さず殲滅したお化けさなえは、巣穴から抜け出し、新たな獲物を求め、森の中を徘徊していた。
その際、お化けさなえは、自分のあんよが、蛇腹に変化し、前よりも格段に速く動けることになったことに気付いた。
これにより、比較的ゆっくりの中で動きの速いまりさ種や運動能力に長けたちぇん種にも追いつけるようになった。
「みつけました…ぜったいにゆるさなえ」
そして、もう一つ、変化したのは、れいむやまりさなどの普通種への異常ともいえる殺意だった。
食べるのでもなく、ただ殺すために…おばけさなえは、先ほどのまりさとありすに会ったように、有無も言わさず、普通種に襲いかかった。
老いも若きも善も悪も問わずに…ただ只管に殺意の赴くままに…。
本来、希少種であるさなえは、比較的おだやかで優しい性格が一般的で、一部、ゆるさなえのように、れいむ種に対し、問答無用の攻撃を仕掛ける亜種もいる。
しかし…
「わがらないよぉおおお!!やめでぇよおおお!!」
「むぎゅるううう!!」
逃げようとするちぇんとぱちゅりーを触手の口でつかみ、そのまま丸のみにした。
「いぢゃいよぉお!!おがあぢゃああああん!!」
「いじゃい、いだいいいいいい!!!!いだ、ゆびいいいいいい!!」
口の中に子れいむをいれて、守ろうとした母れいむを触手で締め上げ、親子仲よく絞殺した。
「どがいばじゃない、ごんなのおおおおお!!」
「やめでぇ!!ばりざのおべべがぁああ!!」
あんよを食いちぎり動けなくしたありすの目の前で、恋ゆっくりのまりさをズタズタに解体した。
「おまえら、ころすまで、ゆるさなえええええ!!」
このお化けさなえの普通種に対する攻撃は執拗で異常だった。
まるで、通常種そのものを敵と認識しているとしか思えないほど…
「ぜったいに、ゆるさなえ」
だが、お化けさなえにとって、それは特別に気にすることでなかった。
群れでの奴隷生活で、痛めつけられた思い出から、普通種に対する恨みもあった。
しかし、いったい、何のために殺すのか?と問われれば、恐らく、こう答えたであろう。
ただゆるさない。
ただころす。
そうなるようにそうだったということだけだと…。
「そう。実に分かりやすい答えね」
お化けさなえが、いつものように、普通種のいる群れを全滅させていると、いつの間にか、傘を差した一人のおねえさんが立っていた。
人間には興味はないので、お化けさなえは無視しようとしたが、おねえさんが不意に、「どうして、この子たちを殺したの?」と話しかけてきた。
お化けさなえが返事を返すと、おねえさんは、しきりに頷きながら、なるほどと勝手に納得した。
「月の賢者が言っていたわね。もし、ドスまりさがゆっくりを守護するゆっくりなら、必ず、ゆっくりを殺すことに特化したゆっくりもいるはずだって」
「?」
どういうことか、さっぱり分からないお化けさなえだったが、くすくすと笑いながら、おねえさんは話を続けた。
「バランスの問題なのよ。世界は、バランスを保つために、滅ぼす方向の力と、その対極の増やす方向の力を用意しているの。それをある世界では<抑止力>とよぶのだけど…では、ゆっくりに置き換えた場合は?」
おねえさんは、ゆっくり達の残骸から、比較的綺麗なまりさの帽子を取り出して、頭にかぶった。
「ゆっくりにとっての増やす力…これはドスまりさに当るわね。ゆっくりの為に群れを作り、敵からゆっくり達を守り、ゆっくりの数を増やす…まさにゆっくり達の守護者ね。じゃあ、問題よ。ドスまりさの対極にあたるのは何?」
おねえさんの突然の質問に、思わず戸惑ったお化けさなえだったが、少し悩んだ後、答えを出した。
「れみりゃとふらん、ゆゆこ、れてぃ、あと、にんげんさんだよ」
「うーん確かに、前の4つは、あくまで生きるためのものだから、殺すだけのものかと言われれば不正解ね。人間の場合は、畑を荒らすゆっくりを駆除したり、善良なゆっくりを虐めるけど、逆に、ゆっくりを飼ったり、保護したりする人間もいるから、同じく不正解」
じゃあ、正解はなんだというのだ―――そうお化けさなえが、おねえさんに尋ねると、おねえさんは、お化けさなえに指をさした。
「あなたよ。生きる為に喰らうわけでもなく、憎いから殺すわけでもない。ただただ、ゆっくりがいるから、ゆっくり…特に数の多い普通種を殺す。理由なき虐殺するあなたは、まさにゆっくりに対する自然の<抑止力>ということよ。もっとも、あなたは、既にゆっくりという種属から外れかけているようだけど」
「…ゆっくりりかいしたよ」
どうでもいい―――それがおねえさんの話を聞いたお化けさなえの感想だった。
ゆっくり殺すためだけのゆっくりだろうとどうでも良かった。
ただ、自分は殺すだけだ…そうなるようになっただけだ。
話は終わったと、その場から、立ち去ろうとするお化けさなえだったが、不意におねえさんが別れのあいさつを投げかけた。
「ええ、さようなら。ゆっくり専門の殺害者ミシャグジさなえ」
「?」
「あなたの名前…といっても、私が勝手につけたんだけど…あと、この近くの山の麓に、ドスまりさのいる群れがあるから、注意しなさい」
「…」
今度は、お化けさなえ―――ミシャグジさなえは、振り返らなかった。
「ゆるさなえぇ!!」
「ゆっ!!止めて!!ドスを締め付けないでぇ!!」
「「「どずうううううう!!!!!」」」
その後、おねえさんと別れたミシャグジさなえは、おねえさんの言葉を無視して、ドスのいるという山の麓にある群れを襲っていた。
ドスがいようが関係はない…ただ、いつものように、ただ日々をゆっくりしているゆっくりを殺すのだが、今回は違っていた。
泣きわめく群れのゆっくり達を無視して、群れの長らしきドスまりさだけを襲いかかっていた。
幸い、ドス自体は通常のドスより小さく、何かと争ったのか片目を抉られており、最大の武器であるドススパークを撃つ為のキノコもないらしく、容易に縛り上げることができた。
「ゆぅううう!!なんで、なんで、こんな事をするの!?ドス達は何も悪いこと…」
「…ぜったいにゆるさなえ」
ミシャグジさなえは、もがく片目のドスを締め付けながら、尚も憎悪のこもった眼でドスを睨みつけた。
ただ、許せなかった。
あのおねえさんは言っていた―――ドスまりさは、ゆっくり達を守るゆっくりだと。
ならば、なぜ…
「どうして、わたしをまもってくれなかった!!たすけてくれなかった!!…ぜったいに、ぜったいにゆるさなぇええええええ!!」
今のような姿になったのも自分の意志だ。
今までゆっくりを殺したのも自分の意志だ。
けれど。
そんなどうしようもない奴も救ってくれるから、お前が、ドスがいるんじゃないのか――――!!
「…ごめんなざい」
半ば八つ当たりのような罵倒と体を締め付けられながら―――しかし、片目のドスは言った。
ミシャグジさなえは、今までさんざん聞いてきた命乞いだと思った。
しかし―――違った。
「あやまったって、ぜったいにゆる…」
「助けて、あげられなくて、ゆっくりさせてあげなくて―――ごめんなさい」
え?と、思わず、ミシャグジさなえは、呆気にとられた。
何で、わたしに対して謝るんだ?命乞いじゃないのか?
今までなかった事に、ミシャグジさなえは混乱した。
そして、片目のドスの口から出た言葉が、ミシャグジさなえに決定的な一撃となった。
「でも、群れのみんなのことは許してください…群れの皆は何も悪くないんです!!」
涙を流しながら謝る片目のドスの、言葉に呆然とするミシャグジさなえは、振り返った。
そこにいたのは、ゆっくりできないという理由で殺されることもある飾りのないものや目や髪がないもの、めーりんやゆうかといった他のゆっくり達に迫害を受けることの多い希少種―――群れのゆっくり達のどれもが、普通の群れでは生きていけないゆっくり達だった。
かつての自分と同じ境遇になったかもしれない―――。
「――――――!!!」
それを見たミシャグジさなえは、片目のドスを締め付けていた触手を緩めると、急いでその場から逃げだした。
何かに脅えるように逃げながら、ミシャグジさなえは初めて考えてしまった―――何のために殺すのか。
何のために生きるのか。
罪悪感が芽生えたわけでも、改心したけでもない―――ただ、考えたしまった。
ミシャグジさなえが門から逃げ出した後、群れの仲間たちを落ち着かせたドスまりさは群れの副リーダーであるびゃくれんに留守を任せて、あるところに向かおうとしていた。
「ゆっ!!これから、<牧場主>さんの家に行って、今日のことを伝えてくるよ。皆は、ここの留守番をよろしくね!!」
「「「「「ゆっくりりかいしたよ!!」」」」」
門をくぐると急いで、片目のドスは、世話になっている<牧場主>の住む家へと向かっていった。
そして、片目のドスは気付かなかった。
「ゆっくりできないむれのどすが、でていったんだよーわかるよーみんなをつれてくるんだよー」
物陰に隠れていた一匹のちぇんが、急いでその場から立ち去って行くのを…。
「…」
そのちぇんの姿をあのミシャグジさなえが見ていたことを…。
※ゆっくりというか、さなえのスペックがインフレしてます。
※虐待要素は薄めです。
※前作の挿絵を描いていただき、M1さんありがとうございました。
※原作キャラが名前なしですが、登場しています。
ザ、ザ、ザ、ザ、ザ……
「ゆっゆっ!!ごっぢ、ごないでぇ!!ゆっぐりでぎないよぉおお!!」
「ゆぅ~!!おぢびじゃんが、おぢびじゃんがぁあああ!!」
深い森の中を、ゆっくりの出せる限界の速さで、飛び跳ねる二匹のゆっくり―――まりさとありすが、ぼろぼろと砂糖水の涙を流しながら口々に嘆いていた。
さっきまでありすの後ろから追いかけるように飛び跳ねていたおちびちゃん達は、もうすでに姿はなかった。
代わりに聞こえるのは、かわいいおちびちゃん達を食べたであろうあのゆっくりできない…
ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ……
「どぼじで、どぼじで…ゆぎぃ!!」
ああ、あのゆっくりできない音が聞こえてくる、迫ってくる…
あまりに理不尽な状況に、繰り返しつぶやくありすだったが、突然、前を飛び跳ねていたまりさが立ち止まったために、勢いよくぶつかってしまった。
「なにじでるの、ばりざ!!ゆっくりし…ゆ?」
立ち止まったまりさを急かすように、前に回り込んだありすは思わず強張った。
ありすが美ゆっくりねと、褒めちぎったまりさの顔が、何かに食い千切られたかのようになくなっていた。
「ま、まりさ、ばりざあああああ!!ゆっぐりじないで、おぎでよおおお!!」
物言わぬ饅頭となったまりさの亡骸を必死に揺さぶるありすは、気づかなかった。
先ほどまで聞こえてきたゆっくりできない音がやんだことを…。
すでに、自分の背後では、まりさやおちびちゃん達を喰い殺したあの…
「ぜったいに…ゆるさなえ…」
髪の毛の代わりに、蛇を思わせる触手を頭に生やしたお化けさなえが、ありすを飲み込もうとしていたことを…。
「ゆっゆっ…だ、だずげ、いぢゃい、やめぇでえええええ!!!ごんなんの、どがいばじゃ、ゆびぃい!!」
ありすは、喰われるまで、気づくことはなった。
『祟り神』
「ごちそうさま…でも、ぜったいにゆるさなえ~♪」
捕まえた獲物―――すでに残骸となったありすを食べ得たお化けさなえは、恨み事を呟きながら、触手で顔を拭きながら、満足そうな顔をしていた。
自分を苦しめた群れのゆっくりを一匹も残さず殲滅したお化けさなえは、巣穴から抜け出し、新たな獲物を求め、森の中を徘徊していた。
その際、お化けさなえは、自分のあんよが、蛇腹に変化し、前よりも格段に速く動けることになったことに気付いた。
これにより、比較的ゆっくりの中で動きの速いまりさ種や運動能力に長けたちぇん種にも追いつけるようになった。
「みつけました…ぜったいにゆるさなえ」
そして、もう一つ、変化したのは、れいむやまりさなどの普通種への異常ともいえる殺意だった。
食べるのでもなく、ただ殺すために…おばけさなえは、先ほどのまりさとありすに会ったように、有無も言わさず、普通種に襲いかかった。
老いも若きも善も悪も問わずに…ただ只管に殺意の赴くままに…。
本来、希少種であるさなえは、比較的おだやかで優しい性格が一般的で、一部、ゆるさなえのように、れいむ種に対し、問答無用の攻撃を仕掛ける亜種もいる。
しかし…
「わがらないよぉおおお!!やめでぇよおおお!!」
「むぎゅるううう!!」
逃げようとするちぇんとぱちゅりーを触手の口でつかみ、そのまま丸のみにした。
「いぢゃいよぉお!!おがあぢゃああああん!!」
「いじゃい、いだいいいいいい!!!!いだ、ゆびいいいいいい!!」
口の中に子れいむをいれて、守ろうとした母れいむを触手で締め上げ、親子仲よく絞殺した。
「どがいばじゃない、ごんなのおおおおお!!」
「やめでぇ!!ばりざのおべべがぁああ!!」
あんよを食いちぎり動けなくしたありすの目の前で、恋ゆっくりのまりさをズタズタに解体した。
「おまえら、ころすまで、ゆるさなえええええ!!」
このお化けさなえの普通種に対する攻撃は執拗で異常だった。
まるで、通常種そのものを敵と認識しているとしか思えないほど…
「ぜったいに、ゆるさなえ」
だが、お化けさなえにとって、それは特別に気にすることでなかった。
群れでの奴隷生活で、痛めつけられた思い出から、普通種に対する恨みもあった。
しかし、いったい、何のために殺すのか?と問われれば、恐らく、こう答えたであろう。
ただゆるさない。
ただころす。
そうなるようにそうだったということだけだと…。
「そう。実に分かりやすい答えね」
お化けさなえが、いつものように、普通種のいる群れを全滅させていると、いつの間にか、傘を差した一人のおねえさんが立っていた。
人間には興味はないので、お化けさなえは無視しようとしたが、おねえさんが不意に、「どうして、この子たちを殺したの?」と話しかけてきた。
お化けさなえが返事を返すと、おねえさんは、しきりに頷きながら、なるほどと勝手に納得した。
「月の賢者が言っていたわね。もし、ドスまりさがゆっくりを守護するゆっくりなら、必ず、ゆっくりを殺すことに特化したゆっくりもいるはずだって」
「?」
どういうことか、さっぱり分からないお化けさなえだったが、くすくすと笑いながら、おねえさんは話を続けた。
「バランスの問題なのよ。世界は、バランスを保つために、滅ぼす方向の力と、その対極の増やす方向の力を用意しているの。それをある世界では<抑止力>とよぶのだけど…では、ゆっくりに置き換えた場合は?」
おねえさんは、ゆっくり達の残骸から、比較的綺麗なまりさの帽子を取り出して、頭にかぶった。
「ゆっくりにとっての増やす力…これはドスまりさに当るわね。ゆっくりの為に群れを作り、敵からゆっくり達を守り、ゆっくりの数を増やす…まさにゆっくり達の守護者ね。じゃあ、問題よ。ドスまりさの対極にあたるのは何?」
おねえさんの突然の質問に、思わず戸惑ったお化けさなえだったが、少し悩んだ後、答えを出した。
「れみりゃとふらん、ゆゆこ、れてぃ、あと、にんげんさんだよ」
「うーん確かに、前の4つは、あくまで生きるためのものだから、殺すだけのものかと言われれば不正解ね。人間の場合は、畑を荒らすゆっくりを駆除したり、善良なゆっくりを虐めるけど、逆に、ゆっくりを飼ったり、保護したりする人間もいるから、同じく不正解」
じゃあ、正解はなんだというのだ―――そうお化けさなえが、おねえさんに尋ねると、おねえさんは、お化けさなえに指をさした。
「あなたよ。生きる為に喰らうわけでもなく、憎いから殺すわけでもない。ただただ、ゆっくりがいるから、ゆっくり…特に数の多い普通種を殺す。理由なき虐殺するあなたは、まさにゆっくりに対する自然の<抑止力>ということよ。もっとも、あなたは、既にゆっくりという種属から外れかけているようだけど」
「…ゆっくりりかいしたよ」
どうでもいい―――それがおねえさんの話を聞いたお化けさなえの感想だった。
ゆっくり殺すためだけのゆっくりだろうとどうでも良かった。
ただ、自分は殺すだけだ…そうなるようになっただけだ。
話は終わったと、その場から、立ち去ろうとするお化けさなえだったが、不意におねえさんが別れのあいさつを投げかけた。
「ええ、さようなら。ゆっくり専門の殺害者ミシャグジさなえ」
「?」
「あなたの名前…といっても、私が勝手につけたんだけど…あと、この近くの山の麓に、ドスまりさのいる群れがあるから、注意しなさい」
「…」
今度は、お化けさなえ―――ミシャグジさなえは、振り返らなかった。
「ゆるさなえぇ!!」
「ゆっ!!止めて!!ドスを締め付けないでぇ!!」
「「「どずうううううう!!!!!」」」
その後、おねえさんと別れたミシャグジさなえは、おねえさんの言葉を無視して、ドスのいるという山の麓にある群れを襲っていた。
ドスがいようが関係はない…ただ、いつものように、ただ日々をゆっくりしているゆっくりを殺すのだが、今回は違っていた。
泣きわめく群れのゆっくり達を無視して、群れの長らしきドスまりさだけを襲いかかっていた。
幸い、ドス自体は通常のドスより小さく、何かと争ったのか片目を抉られており、最大の武器であるドススパークを撃つ為のキノコもないらしく、容易に縛り上げることができた。
「ゆぅううう!!なんで、なんで、こんな事をするの!?ドス達は何も悪いこと…」
「…ぜったいにゆるさなえ」
ミシャグジさなえは、もがく片目のドスを締め付けながら、尚も憎悪のこもった眼でドスを睨みつけた。
ただ、許せなかった。
あのおねえさんは言っていた―――ドスまりさは、ゆっくり達を守るゆっくりだと。
ならば、なぜ…
「どうして、わたしをまもってくれなかった!!たすけてくれなかった!!…ぜったいに、ぜったいにゆるさなぇええええええ!!」
今のような姿になったのも自分の意志だ。
今までゆっくりを殺したのも自分の意志だ。
けれど。
そんなどうしようもない奴も救ってくれるから、お前が、ドスがいるんじゃないのか――――!!
「…ごめんなざい」
半ば八つ当たりのような罵倒と体を締め付けられながら―――しかし、片目のドスは言った。
ミシャグジさなえは、今までさんざん聞いてきた命乞いだと思った。
しかし―――違った。
「あやまったって、ぜったいにゆる…」
「助けて、あげられなくて、ゆっくりさせてあげなくて―――ごめんなさい」
え?と、思わず、ミシャグジさなえは、呆気にとられた。
何で、わたしに対して謝るんだ?命乞いじゃないのか?
今までなかった事に、ミシャグジさなえは混乱した。
そして、片目のドスの口から出た言葉が、ミシャグジさなえに決定的な一撃となった。
「でも、群れのみんなのことは許してください…群れの皆は何も悪くないんです!!」
涙を流しながら謝る片目のドスの、言葉に呆然とするミシャグジさなえは、振り返った。
そこにいたのは、ゆっくりできないという理由で殺されることもある飾りのないものや目や髪がないもの、めーりんやゆうかといった他のゆっくり達に迫害を受けることの多い希少種―――群れのゆっくり達のどれもが、普通の群れでは生きていけないゆっくり達だった。
かつての自分と同じ境遇になったかもしれない―――。
「――――――!!!」
それを見たミシャグジさなえは、片目のドスを締め付けていた触手を緩めると、急いでその場から逃げだした。
何かに脅えるように逃げながら、ミシャグジさなえは初めて考えてしまった―――何のために殺すのか。
何のために生きるのか。
罪悪感が芽生えたわけでも、改心したけでもない―――ただ、考えたしまった。
ミシャグジさなえが門から逃げ出した後、群れの仲間たちを落ち着かせたドスまりさは群れの副リーダーであるびゃくれんに留守を任せて、あるところに向かおうとしていた。
「ゆっ!!これから、<牧場主>さんの家に行って、今日のことを伝えてくるよ。皆は、ここの留守番をよろしくね!!」
「「「「「ゆっくりりかいしたよ!!」」」」」
門をくぐると急いで、片目のドスは、世話になっている<牧場主>の住む家へと向かっていった。
そして、片目のドスは気付かなかった。
「ゆっくりできないむれのどすが、でていったんだよーわかるよーみんなをつれてくるんだよー」
物陰に隠れていた一匹のちぇんが、急いでその場から立ち去って行くのを…。
「…」
そのちぇんの姿をあのミシャグジさなえが見ていたことを…。