ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0890 ゆっくりたたき
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ankoss
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‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
ピピィーッ!
けたたましい警告音が、古めかしい筐体から鳴り響く。
片田舎にあるゲームセンターの片隅に、それはあった。
立方体に近い筐体の上面には、いくつかの穴が開いている。
筐体の奥に置かれた透明ケースには、れいむとまりさ。
モグラ叩きならぬ『ゆっくりたたき』である。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「おそらをとんでるみちゃい!」
スポポーン!
筐体の穴から、子ゆっくりが飛び出してきた。
黒髪に赤リボン、子れいむが二匹だ。
「おりゃっ!」
ハンマーを手にした男が、掛け声と共に腕を振り下ろす。
グシャッ! グシャッ!
「ゆびっ!?」
「ぴぎゅっ!?」
木製のハンマーからは、ピコピコと可愛らしい音などはしない。
子ゆっくりだったものは餡子の塊となり、再び穴の中へ戻ってゆく。
「お、おちびちゃん……」
「きをゆっくりしてね、れいむ……」
筐体の奥、透明ケース内のれいむとまりさが慰めあう。
足周りはベルトのようなもので固定されている。
寄り添うことぐらいは可能だが、移動したり向きを変えたりするのは難しい。
やがて、そのベルト部分が、細かく振動を開始した。
「……ゆゆっ!」
「んほっ、んほおおおぉ!」
れいむとまりさが、互いの頬をすり合わせ始めた。
ベルト振動に欲情しているのだ。
「すっきりー!」
弾けんばかりの笑顔で、れいむとまりさは絶頂を宣言する。
やがて、れいむの頭から緑の茎が伸びてくる。
茎には小さな実のようなものが複数ぶら下がっていた。
れいむとまりさの身体には、パイプが繋がれている。
パイプの中には、粘性の高い液体が常時注ぎ込まれていた。
液体の効果か、自然では考えられないスピードで実が育ってゆく。
あっという間に子ゆっくり並に成長し、どんどんこうべを下げていった。
「ゆゆーん。おちびちゃん、とってもゆっくりしてるよぉ」
「ゆふふ! ゆっくりうまれてね!」
れいむとまりさは、頬を紅潮させ幸せそうに子を見つめる。
声をかけるまでもなく、すぐに子ゆっくりは産まれ落ち始めた。
「ゆっくちうまれりゅよ!」
「おちびちゃん、ゆっく……」
しかし落下地点には溝があり、親子の初挨拶はかなわなかった。
子ゆっくりは次々と溝の中……筐体の中へ落ちてゆく。
れいむの頭に生えていた茎も、合わせて溝の中に落ちてゆく。
「おちびじゃん~!?」
「ゆっぐぢじでよ~!?」
一部始終を見ていた男が、手元でハンマーをトントン叩く。
「しかしこいつら、毎度毎度よく同じ反応するよなぁ」
その背後、腕を組んだ別の男が言葉を続ける。
「忘れてるのか、前向きなのか……どっちなのかな」
「どっちでもいいよ、そんなの」
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
筐体の内部、薄暗い空間の中。
「むきゅ……また、みんなつぶされちゃったわ」
「とかいはじゃないわ……」
ぱちゅりーとありすが、深刻な顔を見合わせていた。
サイズは、潰された子ゆっくりよりわずかに大きいぐらいだ。
現在、子ゆっくり生産機となっているのは、れいむとまりさ。
生産機となるゆっくりは、ドーピングの為か寿命が短い。
定期的に交換される生産機の中には、他のゆっくり種も混ぜられる。
このぱちゅりー達は、前世代の生産機から産まれ落ちた生き残りだ。
ウイィィン……。
ぱちゅりーとありすが、機械音に天井を見上げる。
何台かのリフトが、餡子の塊を乗せて下りてきていた。
「おちびちゃん……ゆんごくでゆっくりしてね」
「ぺーろぺーろ……なみだのあじー」
追悼と生命維持を兼ねた、同属食いである。
ぱちゅりー達は涙を流しながらも、子ゆっくりだったものを口にした。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「ゆっくちうまれちゃよ!」
「ゆゆっ?」
「ゆっくちころがるよ!」
「こーろ、こーろ!」
補充の子ゆっくり達が、筐体の内側奥から転がってくる。
ぱちゅりー達はそれを見て、顔を見合わせうなずいた。
「おちこんでばかりなんて、とかいはじゃないわ!」
「むきゅ、おちびちゃんにせつめいしましょう」
生き残る可能性を少しでも高める為、ぱちゅりー達は気を取り直す。
リフトは筐体内部の床全面に隙間なく敷き詰められている。
ランダムでどれかが上昇する為、あらかじめ避けるのは不可能だ。
ぱちゅりー達は、運良くリフトを避けているうちに気が付いたのだ。
要は、致命的な高さになる前に飛び降りてしまえば良い、それだけで助かると。
新参の子ゆっくり達に説明をすべく、各個移動を始めたその瞬間。
ピピィーッ!
「むきゅっ! きたわ!」
筐体の内外に、警告音が鳴り響いた。
子ゆっくり達は転がった勢いで、あちこちに散らばったままだ。
「ゆゆ? いまのはにゃに?」
「ぴーっていっちゃよ! ぴーって!」
好奇心溢れる子ゆっくり達が、警告音に興奮する。
嬉しそうに辺りをキョロキョロと見回すものも居た。
「おちびちゃんたち! あんよにきをつけて!」
「おりるのよ、のぼっちゃだめ!」
「ゆゆゆっ!?」
「れ、れいみゅ……」
「ま、まりしゃ……」
「おそらをとんでるみちゃい!」
あっけなく、れいむ二匹にまりさ二匹が、リフトに押し上げられる。
ぱちゅりーやありすの警告など、もう耳に入っていない。
「み、みんにゃがおそらをとんでるよ!?」
リフトを避けることができたのは、子まりさ一匹のみだった。
慌てて、ぱちゅりー達が駆け寄ってくる。
「ゆゆっ? おねえちゃんたち、だりぇ?」
子まりさが、キョトンとした顔でぱちゅりー達を見つめる。
「おびちゃん、よくきくのよ!」
「あれにのったら、つぶされるのよ!」
「あっというまにおそらにとばされて……」
「お、おそらに……?」
子まりさの下半身がムズムズと蠢めいた。
身体の奥の方から、何とも言えない気持ちが込み上がってきたのだ。
「……どうしたの、おちびちゃん?」
様子のおかしい子まりさに、ありすが問いかける。
その横では、だれも乗っていない空のリフトが上昇を始めていた。
「まりしゃ、おそらをとんでみちゃい!」
子まりさの、ゆん世一代の大ジャンプ。
「おちびちゃーん!?」
ありすの絶叫が響き渡った時には、もう遅かった。
子まりさは、既にリフト上のゆっくりとなっていたのだ。
内なる誘惑に勝つことができなかったのだ。
「どぼじで、のっちゃうのー!?」
ぱちゅりーが顔をぐしゃぐしゃにして、頭上の子まりさを責め始める。
しかし他の子ゆっくり同様、興奮した子まりさの耳に言葉は届かない。
「ゆわぁ~! しゅごい、しゅごいよぉ!」
リフトの高さに比例するように、子まりさの心も高ぶってゆく。
見上げれば、天井の穴から小さく光が差し込んでいた。
それはまるで、空を飛ぶことができた子まりさを祝福しているかのようだった。
「まりしゃ、おそらをとんでるみちゃい!」
スポーン! グシャッ!
ウイィィン……。
リフトが下がってきた時には、子まりさは餡子の塊と化していた。
周囲にも次々と、餡子付きのリフトが下りてくる。
今回も、補充された子ゆっくり達は全滅してしまったのだ。
「おちびちゃん……」
落胆するぱちゅりー達をよそに、筐体の外では大盛り上がりだ。
二人組みの男達が、笑顔で戦果をたたえ合う。
「おお、今のは凄かったな!」
「れいむ二匹に、まりさ三匹か!」
一度に何匹飛び出してくるかは、まさにゆっくり次第。
上昇してくるリフトの速度は、決して速くはない。
しかし、これだけ複数になると叩き損ねることが多いのだ。
「……ゆゆっ!」
「んほっ、んほおおおぉ!」
筐体の奥、透明ケースから嬌声が響き渡る。
子ゆっくりの素早い消費に、生産機も大忙しだ。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「ゆっくちうまれちゃよ!」
「ゆゆっ?」
「ゆっくちころがるよ!」
「こーろ、こーろ!」
重量センサーで、子ゆっくりの補充頻度は自動制御されている。
今回も全て潰されてしまったので、早速次の補充がされたのだ。
「むきゅ……こうなったら、きょうっこうっしゅだんよ」
「ゆゆ? なにをするつもりなの、ぱちゅりー?」
ありすの返事には答えず、子ゆっくりの元へ急ぐぱちゅりー。
やがて立ち止まり、大きく息を吸い込み始めた。
「ゆゆっ? おねえちゃん、だりぇ?」
「あしゅんでくれりゅの?」
「そこまでよ! ぷくーっ!」
全身全霊の『ぷくー』だった。
元来病弱なぱちゅりーがそんなことをすれば、身体はまともではすまない。
「ぱ、ぱちゅりー!? とかいはじゃないわ!」
しかし、効果は抜群だった。
産まれて初めて見る『ぷくー』に、子ゆっくり達は大混乱を起こしている。
滝のように涙を流すもの、おそろしーしーを撒き散らしながら逃げるもの、と様々だ。
「ゆわあぁぁ~っ!?」
「きょわいよおぉーっ!」
「やめちぇね、やめちぇね!?」
ピピィーッ!
警告音と共に、筐体のあちらこちらでリフトが上昇し始める。
ぱちゅりーは、子ゆっくり達をリフトから遠ざけるよう追い始めた。
「こっち、こにゃいでえぇー!」
「たしゅけちぇね、たしゅけちぇね!」
「ゆっ!? ぱちゅりー、あぶない!」
「ぷく……むきゅうっ!?」
ありすが気付いた時には、もう遅かった。
ぱちゅりーの足元で、リフトが上昇を始めていたのだ。
「ぱちゅりー、おりるのよ!」
「むきゅ……げほっ、げほっ!」
しかし、ぱちゅりーはそこから動く事が出来なかった。
無理な『ぷくー』で体力を使い果たしていたのだ。
「お、おそらを……げほっ!」
スポーン!
ついにリフトが天井に到達する。
筐体の穴から顔を出したぱちゅりーを見て、男達は驚きを隠せなかった。
「えっ?」
「ぱちゅりー!?」
当然、男達はれいむかまりさが出てくると思い込んでいたのだ。
一瞬の動揺で、ハンマーを振る手がズレてしまう。
グニッ!
「……っと!」
「むきゅぶっ!」
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「ぱちゅりーっ! ぱちゅりーっ!」
筐体の中では、ありすが天井を見上げ、ぱちゅりーの名を呼び続けていた。
やがて、クリームの欠片がぱらぱらと降り注いできた。
「これは……ぱちゅりーの……」
ありすは、放心状態でその場に佇んでしまった。
「ゆゆっ? なにこりぇ?」
「ぺーろぺーろ……ち、ちあわしぇー!」
「あまあまだにぇ!」
「うみぇっ、これめっちゃうみぇ!」
傍らでは、子ゆっくり達がクリームの欠片を舐めるのに大忙しだ。
ウイィィン……。
機械音と共に、ぱちゅりーを乗せたリフトが下りてくる。
ありすは、流れる涙も構わず一目散に駆け出した。
「ぱちゅりーっ!」
「むきゅ、なにかしら?」
ズザァー!
派手な音と共に、ありすがヘッドスライディングを決める。
「いきてたのね」
「むきゅ」
確かにハンマーで叩かれたはした。
しかし、芯が外れたおかげで少々の吐クリームで済んだのだ。
ピピィーッ!
ありすが安堵の溜息をつく間もなく、筐体内に聞き慣れた警告音が響き渡る。
「ゆゆっ!? もう!?」
「むきゅっ!? どうして!?」
ぱちゅりー達がこの場に参加してから、今に至るまでの間。
子ゆっくりに欠員が無かったのは始めてのことだった。
重量センサーによって判断された結果、補充無しで再開されることになったのだ。
ぱちゅりー達の経験による体感時計よりも早く警告音が鳴ってしまったのは、その為だ。
あちこちでリフトが動き出すと、子ゆっくりがざわめき始めた。
「あまあまさんは、あのうえにあるんだよにぇ?」
「れいみゅが、いちばんのりすりゅよ!」
「まりしゃものるよ!」
「ゆわーい、まけにゃいよ!」
子ゆっくりは口々にわめき散らしながら、一箇所に集まり始める。
「おちびちゃんたち、なにいってるの!?」
「いなかものも、はなはだしいわ!?」
唖然とするぱちゅりー達を尻目に、子ゆっくり達が自らリフトに乗り始めた。
わざわざ一つのリフトに乗るものだから、ぎゅうぎゅう詰めになっている。
「れいみゅのあまあまさんだよ!」
「まりしゃのあまあまさんを、ひとりじめしないでにぇ!」
「あまあまさんは、かってにはえてくりゅんだよ! ゆっくちりかいしちぇね!」
「そんなこちょより、あまあまちょうだいにぇ!」
小さな球体がみっちり集まった姿は、まるでブドウの房のようだ。
子ゆっくり達を乗せたまま、リフトはどんどん上昇をし続ける。
「ゆゆっ!? おそらをとんでるみちゃい!」
「とっても、ゆっくちしてるにぇ!」
「れいみゅ、うれしーしーしゅるよ!」
「じゃあまりしゃは、うんうんするにぇ!」
「かわいくて、ごめんにぇ!」
天井からのかすかな光に照らされて、子ゆっくり達のうんしーがキラキラと輝き降り注ぐ。
ぱちゅりー達は、口をポカンと開けたまま、その様子を見続けていた。
やがてリフトが天井に辿り着き、子ゆっくりは外の世界へ……。
「あれ?」
「何か引っかかってるぞ」
……出ることが出来なかった。
一箇所に集まり過ぎた為、子ゆっくりが筐体の穴に詰まってしまったのだ。
「くるちぃよ! あっちいっちぇね!」
「れいみゅこそ、じゃましないでにぇ!」
「まりしゃの、すてきなおぼうちがぁ~!?」
「おさないでにぇ! おさないでにぇ!」
「ちゅ、ちゅぶれりゅう……」
「ゆぶぎゅっ」
「もっちょ、ゆっきゅぶ!」
「しちゃかっちゃぶゆ!」
阿鼻叫喚の穴詰まりの中、子ゆっくりは次々に潰れて餡子を吐き出していった。
待ち構えていた男達は小さな溜息をつくと、ハンマーを静かに置いた。
「……店長呼ぶか」
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「おや、こんなゆっくりが残っていたとは」
メンテナンスの為に、店長が筐体のフタを開ける。
そこには、ぱちゅりーとありすが隅の方でガタガタと震え、人間達を見上げていた。
「むきゅっ……ここまでかしら……」
「おもえば、みじかいゆんせいだったわ……」
ぱちゅりー達は、自分達も子ゆっくり同様に潰されると思い込んでいた。
実際には、子ゆっくりは勝手に詰まって勝手に潰れたのだが。
「そういや、こいつら産むの遅くなってきてますよね?」
店長を呼んだ男達の一人が、筐体奥を指差す。
透明ケースに入ったれいむとまりさが、ウトウトと舟を漕いでいた。
「確かにそうですね。そろそろ交換しなければ、と考えてはいたのですが……」
「じゃあ、こいつらに子ゆっくり産ませたらどうです?」
今度は、ぱちゅりー達が指差される。
「むきゅ~っ!?」
「とかいはじゃないわ~っ!?」
本人達にとってはまさかの展開に、驚愕するぱちゅりー達。
すると、店長が優しく微笑みながら語りかけてきた。
「でもお前達、仲良そうじゃないか?」
「むきゅっ!?」
「そ、それはそうだけど……かんちがいしないでよね!」
「これからはずっと一緒にゆっくりできるぞ?」
「ゆ、ゆっくり……」
「子供も産み放題、パイプ注入だが餌も食べ放題だ」
一瞬の沈黙。
ぱちゅりー達は見る見る間に頬を染め、笑顔になってゆく。
「……むきゅっ。わるく……ないわね」
「それはそれで、とかいは、かも……」
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ピピィーッ!
けたたましい警告音が、古めかしい筐体から鳴り響く。
片田舎にあるゲームセンターの片隅に、それはあった。
立方体に近い筐体の上面には、いくつかの穴が開いている。
筐体の奥に置かれた透明ケースには、ぱちゅりーとありす。
モグラ叩きならぬ『ゆっくりたたき』である。
‐‐‐‐‐‐‐‐過去作‐‐‐‐‐‐‐‐
ふたば系ゆっくりいじめ 769 ゆっくり採集~つかまってごめんね!~
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ふたば系ゆっくりいじめ 761 ゆっくりした週末
ふたば系ゆっくりいじめ 755 まりさもみもみ
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ピピィーッ!
けたたましい警告音が、古めかしい筐体から鳴り響く。
片田舎にあるゲームセンターの片隅に、それはあった。
立方体に近い筐体の上面には、いくつかの穴が開いている。
筐体の奥に置かれた透明ケースには、れいむとまりさ。
モグラ叩きならぬ『ゆっくりたたき』である。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「おそらをとんでるみちゃい!」
スポポーン!
筐体の穴から、子ゆっくりが飛び出してきた。
黒髪に赤リボン、子れいむが二匹だ。
「おりゃっ!」
ハンマーを手にした男が、掛け声と共に腕を振り下ろす。
グシャッ! グシャッ!
「ゆびっ!?」
「ぴぎゅっ!?」
木製のハンマーからは、ピコピコと可愛らしい音などはしない。
子ゆっくりだったものは餡子の塊となり、再び穴の中へ戻ってゆく。
「お、おちびちゃん……」
「きをゆっくりしてね、れいむ……」
筐体の奥、透明ケース内のれいむとまりさが慰めあう。
足周りはベルトのようなもので固定されている。
寄り添うことぐらいは可能だが、移動したり向きを変えたりするのは難しい。
やがて、そのベルト部分が、細かく振動を開始した。
「……ゆゆっ!」
「んほっ、んほおおおぉ!」
れいむとまりさが、互いの頬をすり合わせ始めた。
ベルト振動に欲情しているのだ。
「すっきりー!」
弾けんばかりの笑顔で、れいむとまりさは絶頂を宣言する。
やがて、れいむの頭から緑の茎が伸びてくる。
茎には小さな実のようなものが複数ぶら下がっていた。
れいむとまりさの身体には、パイプが繋がれている。
パイプの中には、粘性の高い液体が常時注ぎ込まれていた。
液体の効果か、自然では考えられないスピードで実が育ってゆく。
あっという間に子ゆっくり並に成長し、どんどんこうべを下げていった。
「ゆゆーん。おちびちゃん、とってもゆっくりしてるよぉ」
「ゆふふ! ゆっくりうまれてね!」
れいむとまりさは、頬を紅潮させ幸せそうに子を見つめる。
声をかけるまでもなく、すぐに子ゆっくりは産まれ落ち始めた。
「ゆっくちうまれりゅよ!」
「おちびちゃん、ゆっく……」
しかし落下地点には溝があり、親子の初挨拶はかなわなかった。
子ゆっくりは次々と溝の中……筐体の中へ落ちてゆく。
れいむの頭に生えていた茎も、合わせて溝の中に落ちてゆく。
「おちびじゃん~!?」
「ゆっぐぢじでよ~!?」
一部始終を見ていた男が、手元でハンマーをトントン叩く。
「しかしこいつら、毎度毎度よく同じ反応するよなぁ」
その背後、腕を組んだ別の男が言葉を続ける。
「忘れてるのか、前向きなのか……どっちなのかな」
「どっちでもいいよ、そんなの」
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
筐体の内部、薄暗い空間の中。
「むきゅ……また、みんなつぶされちゃったわ」
「とかいはじゃないわ……」
ぱちゅりーとありすが、深刻な顔を見合わせていた。
サイズは、潰された子ゆっくりよりわずかに大きいぐらいだ。
現在、子ゆっくり生産機となっているのは、れいむとまりさ。
生産機となるゆっくりは、ドーピングの為か寿命が短い。
定期的に交換される生産機の中には、他のゆっくり種も混ぜられる。
このぱちゅりー達は、前世代の生産機から産まれ落ちた生き残りだ。
ウイィィン……。
ぱちゅりーとありすが、機械音に天井を見上げる。
何台かのリフトが、餡子の塊を乗せて下りてきていた。
「おちびちゃん……ゆんごくでゆっくりしてね」
「ぺーろぺーろ……なみだのあじー」
追悼と生命維持を兼ねた、同属食いである。
ぱちゅりー達は涙を流しながらも、子ゆっくりだったものを口にした。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「ゆっくちうまれちゃよ!」
「ゆゆっ?」
「ゆっくちころがるよ!」
「こーろ、こーろ!」
補充の子ゆっくり達が、筐体の内側奥から転がってくる。
ぱちゅりー達はそれを見て、顔を見合わせうなずいた。
「おちこんでばかりなんて、とかいはじゃないわ!」
「むきゅ、おちびちゃんにせつめいしましょう」
生き残る可能性を少しでも高める為、ぱちゅりー達は気を取り直す。
リフトは筐体内部の床全面に隙間なく敷き詰められている。
ランダムでどれかが上昇する為、あらかじめ避けるのは不可能だ。
ぱちゅりー達は、運良くリフトを避けているうちに気が付いたのだ。
要は、致命的な高さになる前に飛び降りてしまえば良い、それだけで助かると。
新参の子ゆっくり達に説明をすべく、各個移動を始めたその瞬間。
ピピィーッ!
「むきゅっ! きたわ!」
筐体の内外に、警告音が鳴り響いた。
子ゆっくり達は転がった勢いで、あちこちに散らばったままだ。
「ゆゆ? いまのはにゃに?」
「ぴーっていっちゃよ! ぴーって!」
好奇心溢れる子ゆっくり達が、警告音に興奮する。
嬉しそうに辺りをキョロキョロと見回すものも居た。
「おちびちゃんたち! あんよにきをつけて!」
「おりるのよ、のぼっちゃだめ!」
「ゆゆゆっ!?」
「れ、れいみゅ……」
「ま、まりしゃ……」
「おそらをとんでるみちゃい!」
あっけなく、れいむ二匹にまりさ二匹が、リフトに押し上げられる。
ぱちゅりーやありすの警告など、もう耳に入っていない。
「み、みんにゃがおそらをとんでるよ!?」
リフトを避けることができたのは、子まりさ一匹のみだった。
慌てて、ぱちゅりー達が駆け寄ってくる。
「ゆゆっ? おねえちゃんたち、だりぇ?」
子まりさが、キョトンとした顔でぱちゅりー達を見つめる。
「おびちゃん、よくきくのよ!」
「あれにのったら、つぶされるのよ!」
「あっというまにおそらにとばされて……」
「お、おそらに……?」
子まりさの下半身がムズムズと蠢めいた。
身体の奥の方から、何とも言えない気持ちが込み上がってきたのだ。
「……どうしたの、おちびちゃん?」
様子のおかしい子まりさに、ありすが問いかける。
その横では、だれも乗っていない空のリフトが上昇を始めていた。
「まりしゃ、おそらをとんでみちゃい!」
子まりさの、ゆん世一代の大ジャンプ。
「おちびちゃーん!?」
ありすの絶叫が響き渡った時には、もう遅かった。
子まりさは、既にリフト上のゆっくりとなっていたのだ。
内なる誘惑に勝つことができなかったのだ。
「どぼじで、のっちゃうのー!?」
ぱちゅりーが顔をぐしゃぐしゃにして、頭上の子まりさを責め始める。
しかし他の子ゆっくり同様、興奮した子まりさの耳に言葉は届かない。
「ゆわぁ~! しゅごい、しゅごいよぉ!」
リフトの高さに比例するように、子まりさの心も高ぶってゆく。
見上げれば、天井の穴から小さく光が差し込んでいた。
それはまるで、空を飛ぶことができた子まりさを祝福しているかのようだった。
「まりしゃ、おそらをとんでるみちゃい!」
スポーン! グシャッ!
ウイィィン……。
リフトが下がってきた時には、子まりさは餡子の塊と化していた。
周囲にも次々と、餡子付きのリフトが下りてくる。
今回も、補充された子ゆっくり達は全滅してしまったのだ。
「おちびちゃん……」
落胆するぱちゅりー達をよそに、筐体の外では大盛り上がりだ。
二人組みの男達が、笑顔で戦果をたたえ合う。
「おお、今のは凄かったな!」
「れいむ二匹に、まりさ三匹か!」
一度に何匹飛び出してくるかは、まさにゆっくり次第。
上昇してくるリフトの速度は、決して速くはない。
しかし、これだけ複数になると叩き損ねることが多いのだ。
「……ゆゆっ!」
「んほっ、んほおおおぉ!」
筐体の奥、透明ケースから嬌声が響き渡る。
子ゆっくりの素早い消費に、生産機も大忙しだ。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「ゆっくちうまれちゃよ!」
「ゆゆっ?」
「ゆっくちころがるよ!」
「こーろ、こーろ!」
重量センサーで、子ゆっくりの補充頻度は自動制御されている。
今回も全て潰されてしまったので、早速次の補充がされたのだ。
「むきゅ……こうなったら、きょうっこうっしゅだんよ」
「ゆゆ? なにをするつもりなの、ぱちゅりー?」
ありすの返事には答えず、子ゆっくりの元へ急ぐぱちゅりー。
やがて立ち止まり、大きく息を吸い込み始めた。
「ゆゆっ? おねえちゃん、だりぇ?」
「あしゅんでくれりゅの?」
「そこまでよ! ぷくーっ!」
全身全霊の『ぷくー』だった。
元来病弱なぱちゅりーがそんなことをすれば、身体はまともではすまない。
「ぱ、ぱちゅりー!? とかいはじゃないわ!」
しかし、効果は抜群だった。
産まれて初めて見る『ぷくー』に、子ゆっくり達は大混乱を起こしている。
滝のように涙を流すもの、おそろしーしーを撒き散らしながら逃げるもの、と様々だ。
「ゆわあぁぁ~っ!?」
「きょわいよおぉーっ!」
「やめちぇね、やめちぇね!?」
ピピィーッ!
警告音と共に、筐体のあちらこちらでリフトが上昇し始める。
ぱちゅりーは、子ゆっくり達をリフトから遠ざけるよう追い始めた。
「こっち、こにゃいでえぇー!」
「たしゅけちぇね、たしゅけちぇね!」
「ゆっ!? ぱちゅりー、あぶない!」
「ぷく……むきゅうっ!?」
ありすが気付いた時には、もう遅かった。
ぱちゅりーの足元で、リフトが上昇を始めていたのだ。
「ぱちゅりー、おりるのよ!」
「むきゅ……げほっ、げほっ!」
しかし、ぱちゅりーはそこから動く事が出来なかった。
無理な『ぷくー』で体力を使い果たしていたのだ。
「お、おそらを……げほっ!」
スポーン!
ついにリフトが天井に到達する。
筐体の穴から顔を出したぱちゅりーを見て、男達は驚きを隠せなかった。
「えっ?」
「ぱちゅりー!?」
当然、男達はれいむかまりさが出てくると思い込んでいたのだ。
一瞬の動揺で、ハンマーを振る手がズレてしまう。
グニッ!
「……っと!」
「むきゅぶっ!」
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「ぱちゅりーっ! ぱちゅりーっ!」
筐体の中では、ありすが天井を見上げ、ぱちゅりーの名を呼び続けていた。
やがて、クリームの欠片がぱらぱらと降り注いできた。
「これは……ぱちゅりーの……」
ありすは、放心状態でその場に佇んでしまった。
「ゆゆっ? なにこりぇ?」
「ぺーろぺーろ……ち、ちあわしぇー!」
「あまあまだにぇ!」
「うみぇっ、これめっちゃうみぇ!」
傍らでは、子ゆっくり達がクリームの欠片を舐めるのに大忙しだ。
ウイィィン……。
機械音と共に、ぱちゅりーを乗せたリフトが下りてくる。
ありすは、流れる涙も構わず一目散に駆け出した。
「ぱちゅりーっ!」
「むきゅ、なにかしら?」
ズザァー!
派手な音と共に、ありすがヘッドスライディングを決める。
「いきてたのね」
「むきゅ」
確かにハンマーで叩かれたはした。
しかし、芯が外れたおかげで少々の吐クリームで済んだのだ。
ピピィーッ!
ありすが安堵の溜息をつく間もなく、筐体内に聞き慣れた警告音が響き渡る。
「ゆゆっ!? もう!?」
「むきゅっ!? どうして!?」
ぱちゅりー達がこの場に参加してから、今に至るまでの間。
子ゆっくりに欠員が無かったのは始めてのことだった。
重量センサーによって判断された結果、補充無しで再開されることになったのだ。
ぱちゅりー達の経験による体感時計よりも早く警告音が鳴ってしまったのは、その為だ。
あちこちでリフトが動き出すと、子ゆっくりがざわめき始めた。
「あまあまさんは、あのうえにあるんだよにぇ?」
「れいみゅが、いちばんのりすりゅよ!」
「まりしゃものるよ!」
「ゆわーい、まけにゃいよ!」
子ゆっくりは口々にわめき散らしながら、一箇所に集まり始める。
「おちびちゃんたち、なにいってるの!?」
「いなかものも、はなはだしいわ!?」
唖然とするぱちゅりー達を尻目に、子ゆっくり達が自らリフトに乗り始めた。
わざわざ一つのリフトに乗るものだから、ぎゅうぎゅう詰めになっている。
「れいみゅのあまあまさんだよ!」
「まりしゃのあまあまさんを、ひとりじめしないでにぇ!」
「あまあまさんは、かってにはえてくりゅんだよ! ゆっくちりかいしちぇね!」
「そんなこちょより、あまあまちょうだいにぇ!」
小さな球体がみっちり集まった姿は、まるでブドウの房のようだ。
子ゆっくり達を乗せたまま、リフトはどんどん上昇をし続ける。
「ゆゆっ!? おそらをとんでるみちゃい!」
「とっても、ゆっくちしてるにぇ!」
「れいみゅ、うれしーしーしゅるよ!」
「じゃあまりしゃは、うんうんするにぇ!」
「かわいくて、ごめんにぇ!」
天井からのかすかな光に照らされて、子ゆっくり達のうんしーがキラキラと輝き降り注ぐ。
ぱちゅりー達は、口をポカンと開けたまま、その様子を見続けていた。
やがてリフトが天井に辿り着き、子ゆっくりは外の世界へ……。
「あれ?」
「何か引っかかってるぞ」
……出ることが出来なかった。
一箇所に集まり過ぎた為、子ゆっくりが筐体の穴に詰まってしまったのだ。
「くるちぃよ! あっちいっちぇね!」
「れいみゅこそ、じゃましないでにぇ!」
「まりしゃの、すてきなおぼうちがぁ~!?」
「おさないでにぇ! おさないでにぇ!」
「ちゅ、ちゅぶれりゅう……」
「ゆぶぎゅっ」
「もっちょ、ゆっきゅぶ!」
「しちゃかっちゃぶゆ!」
阿鼻叫喚の穴詰まりの中、子ゆっくりは次々に潰れて餡子を吐き出していった。
待ち構えていた男達は小さな溜息をつくと、ハンマーを静かに置いた。
「……店長呼ぶか」
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「おや、こんなゆっくりが残っていたとは」
メンテナンスの為に、店長が筐体のフタを開ける。
そこには、ぱちゅりーとありすが隅の方でガタガタと震え、人間達を見上げていた。
「むきゅっ……ここまでかしら……」
「おもえば、みじかいゆんせいだったわ……」
ぱちゅりー達は、自分達も子ゆっくり同様に潰されると思い込んでいた。
実際には、子ゆっくりは勝手に詰まって勝手に潰れたのだが。
「そういや、こいつら産むの遅くなってきてますよね?」
店長を呼んだ男達の一人が、筐体奥を指差す。
透明ケースに入ったれいむとまりさが、ウトウトと舟を漕いでいた。
「確かにそうですね。そろそろ交換しなければ、と考えてはいたのですが……」
「じゃあ、こいつらに子ゆっくり産ませたらどうです?」
今度は、ぱちゅりー達が指差される。
「むきゅ~っ!?」
「とかいはじゃないわ~っ!?」
本人達にとってはまさかの展開に、驚愕するぱちゅりー達。
すると、店長が優しく微笑みながら語りかけてきた。
「でもお前達、仲良そうじゃないか?」
「むきゅっ!?」
「そ、それはそうだけど……かんちがいしないでよね!」
「これからはずっと一緒にゆっくりできるぞ?」
「ゆ、ゆっくり……」
「子供も産み放題、パイプ注入だが餌も食べ放題だ」
一瞬の沈黙。
ぱちゅりー達は見る見る間に頬を染め、笑顔になってゆく。
「……むきゅっ。わるく……ないわね」
「それはそれで、とかいは、かも……」
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ピピィーッ!
けたたましい警告音が、古めかしい筐体から鳴り響く。
片田舎にあるゲームセンターの片隅に、それはあった。
立方体に近い筐体の上面には、いくつかの穴が開いている。
筐体の奥に置かれた透明ケースには、ぱちゅりーとありす。
モグラ叩きならぬ『ゆっくりたたき』である。
‐‐‐‐‐‐‐‐過去作‐‐‐‐‐‐‐‐
ふたば系ゆっくりいじめ 769 ゆっくり採集~つかまってごめんね!~
ふたば系ゆっくりいじめ 766 まりさがまりさだよ!
ふたば系ゆっくりいじめ 761 ゆっくりした週末
ふたば系ゆっくりいじめ 755 まりさもみもみ
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