ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0865 門番ゆっくり めーりんの場合
最終更新:
ankoss
-
view
門番ゆっくりに登場した、帽子に傷があるめーりんを題材としたお話です。
門番ゆっくりを見てからでないと、分かりづらい部分もあるかと思います。
言い訳:ゆっくりがゆっくりらしからぬ会話をしているように見えますが、人間向けの意訳と考えて下さい。
門番ゆっくり めーりんの場合
木に囲まれた広場で子ゆっくりが眠っている。
柔らかな草が生えた広場で昼寝をするのが、その子ゆっくり―ゆっくりめーりんの習慣になっていた。
子めーりんには夢があった。
門番ゆっくりになる。
門番ゆっくりになれば、いつでもこの広場でゆっくりできるから。
子めーりんの周りでは、広くて、暖かくて、気持ちのいい広場で、跳ね回ったり、花の手入れをしたり、子めーりんのように昼寝をしたりと、群れのゆっくりがゆっくりと過ごしている。
広場には群れのゆっくりが、少しづつ交代で来ることになっていた。
森の中の巣の周りでも、同じようなことはできるが、広場は巣の周りよりもゆっくりできると人気が高かったのだ。
この群れは希少種で構成されており、人間と取引しているなど、普通の群れとは異なる点が多かったが、生活は他の野生のゆっくりと余り変わらない。
赤ゆっくり、子ゆっくりは親と共に巣に篭り、成ゆっくりは餌集めや取引の為の茸集めに忙しい。
気持ちのいい、ゆっくりできる広場には、皆たまにしか出られない。
群れを守る為に前に立つ、門番ゆっくりを除いて。
門番ゆっくりになりたいゆっくりは多かった。
あくせくと餌を集める必要も無い。
周りにも尊敬の眼差しで見られ、番にも事欠かない。
だが、門番ゆっくりになるには、過酷な訓練を受けなければならなかった。
門番ゆっくりにはめーりん種だけしかなれない、というわけではなく、門番ゆっくりになっためーりん種以外のゆっくりもいる。
だが、頑丈さゆえか、何かを守ることを好む気性ゆえか、訓練を潜り抜けたゆっくりはめーりん種が多かった。
時を経て、子ゆっくりから成ゆっくりに成長した若めーりんは、門番ゆっくりに志願した。
辛く苦しい訓練の中、こんなことをしなくても、と他のゆっくりが教官ゆっくりのゆっくりゆうかに聞いたことがある。
ゆうかは、それはずいぶん昔に、他のゆっくりが長に聞いたことだ。いいだろう、そのときのことを話してやる、と若めーりん達の前で話し始めた。
「おさ、なんでもっとゆっくりしないの?」
集めている茸は人間には価値があるものだ。別に餌集めなどしなくても、人間に頼めば餌を持ってきてくれる筈、いやあまあまだって食べられる筈だ。
もっといえば、人間に飼われてもいい。餌も、家も、他のゆっくりに虐められることも心配しないでいい。
とてもゆっくりできる筈なのに、今は遊びに来る人間に餌を貰うことも出来ない、と群れのゆっくり達は長に疑問をぶつける。
「ここは、ゆっくりできる」
確かに手に入れることは出来るだろう。だが、与えられるゆっくりは容易に奪われるゆっくりでもある。何も出来ず人の都合に左右されるゆっくり、私はそれをゆっくりとは呼ばない。
家は見つからず、餌は集まらず、ゆっくりには虐められ、人の都合で左右される、ここだからこそ出来ることがある、と長は返す。
「にんげんさんはゆっくりできるよ」
そんな人間はいなかった。管理人も遊びに来る人もとてもゆっくりしているではないか、と群れのゆっくり達は反発する。
「おとーさんやおかーさんをおぼえてる?」
何も出来ない赤ゆっくりが親に全幅の信頼を寄せるように、飼ゆっくりは飼い主に完全に依存しなければ生きていけない。
通常種から生まれた希少種に親は何をしたか。潰すようなことこそしなかったが、他の姉妹達とは露骨に差別したのではないか?自分達とは違うという理由で。
人間もそうだ。今はゆっくりさせてくれるかもしれない。だがそれが何時までも続くかは分からない。事情が変われば何も出来ずにゆっくり出来なくなってしまう、と長は説得した。
希少種は同種同士で番や群れを作る。希少種は繁殖力が弱く、数が少ない。容姿の違い、行動の違い、数の少なさから通常種に迫害の対象にされる。
無論、すべての希少種がそうだというわけではない。ゆっくりらんなどはゆっくりちぇんと番を作ることが多く、迫害の対象にもならない。虐められない希少種の個体や、希少種を受け入れる通常種の群れも存在する。
だが、多くの希少種が虐められているのもまた事実。それは特にめーりん種で顕著だ。
通常種から生まれた希少種が生まれることがある。人間で言う隔世遺伝ゆえとも、ゆっくり特有の不条理ゆえとも言われている。
長に談判しにきたゆっくり達にはそうやって生まれたゆっくりが含まれていた。
「ゆっくりりかいしたよ」
赤ゆっくりの時に味わった無力感、絶望感を思い出したゆっくり達、そしてそれを聞いたゆっくり達は長の行いを理解した。
ゆうかは話し終えた後、我々は弱い、出来ることには限界がある。だからといって何もしないでいいというわけでもない。出来ることをやれ、限界まで出来るようになれ、それが我々をゆっくりさせてくれる、と締めた。
何匹ものゆっくりが脱落していく中、若めーりんは訓練をやり遂げた。
念願の門番ゆっくりになったのだ。
子供の頃に思い浮かべたように、若めーりんは広場でゆっくりしようとした。
だが、古株の門番ゆっくりである老めーりんが、新人の門番ゆっくりにはやることがあると、なかなかゆっくりさせてくれなかった。
老めーりんを不満に思いながら日々をすごす中、若めーりんは初めての実戦を迎えた。
初めての実戦は若めーりんにとり、幸運と不幸が相半ばなものであった。
不幸は、偶然、複数の群れが時間差で襲ってきた為に、門番ゆっくりに大きな被害が出たこと。
幸運は、そんな混乱した状況で生き残ることができたこと。
状況は混乱している。
組んでいた隊列はいつの間にか崩れ、多方から襲いかかるゆっくりに若めーりんは消耗していた。
「「ゆっくりしねっ!」」
枝をくわえたゆっくりようむ、ゆっくりまりさが若めーりんめがけて突っ込んでくる。
若めーりんは消耗して動けない。
「…じゃお」
ここまでか、と若めーりんは弱音を漏らした。
その時、若めーりんをゆっくりさせてくれなかったあの老めーりんが、若めーりんの前に飛び出した。
戦いの終わった後、死屍累々と横たわるゆっくりの片付けが始まる中、倒れた老めーりんを前に若めーりんが立ちつくしている。
若めーりんを助けてくれた老めーりんは、もう助からないであろう深い傷を負っていた。
若めーりんは何も言えないでいる。
何故自分を助けたのか?自分のことを嫌っていたのではないか?様々な思いが餡子の中を駆け巡り、喋ることが出来ないのだ。
老めーりんがぽつりと喋る。
「じゃお?」
嬢ちゃん、帽子はどうした?
若めーりんの帽子は、乱戦の中で失われていた。
「じゃおー…」
無くした、と若めーりん。
「じゃおーん」
破れてて悪いが私のをやるよ、と老めーりんがかぶっていた帽子を差し出す。
帽子を受け取った若めーりんが何か言い出そうとする。しかし、
「じゃお、じゃお」
早いところゆっくりさせてくれ、と老めーりんは言い残し目を閉じた。
樹の根元に掘られた穴に、永遠にゆっくりした老めーりんが納められる。
傷付いた帽子をかぶり、老めーりんが埋められた樹の前で、若めーりんは泣いていた。
それから幾度もの戦いを潜りを抜けた若めーりんは、皆に信頼される真の門番ゆっくりにへと成長していった。
門番めーりんは考える。
門番ゆっくりになったのは自分がゆっくりする為だった。
だけどそうじゃない、門番ゆっくりは群れがゆっくりする為にこそあるのだ。
今なら分かる。
暖かな日差しのある日の昼過ぎ、広場でゆっくりるーみあやゆっくりさなえが人と戯れている。
池の周りではゆっくりちるのが跳ね回り、ゆっくりすわこが水浴びをしている。花壇ではゆっくりゆうかが花や果樹の手入れをしていた。
門番めーりんはそれらを横目にゆっくりと昼寝をしていた。
警報が鳴るのを聞いた途端に跳ね起きる。別の群れのゆっくりがここを奪いに来たのだ。
人や他のゆっくりが避難したのを確かめた後、他の門番ゆっくりと共に隊列を組み、取引所と呼ばれる建物の前に陣取る。
奪いに来たゆっくりが見える。
ドスもいる、久し振りに大規模な襲撃だ。
ゆっくり達が罵声を浴びせてくる。
「ぐずのめーりんがいるよ」「ここはれいむたちのゆっくりぷれいすにするよ」「ぐずのめーりんはどっかいってね」「ぐじゅーぐじゅー」
ぐずのめーりん、その通りだ。自分がぐずじゃなければあの老めーりんは死ななかった、と門番めーりんは自嘲する。
同時に一匹たりともここを通さないと覚悟を固めた。
門番ゆっくりは罵倒を聞いても声を上げない、歯を噛み締め前を睨む。
何故か?
一部のゆっくりを除き、ゆっくりはめーりん種の言葉を理解できない。聞けば馬鹿にする、しかし喋らなければ激昂して突っかかってくる。
作戦にはこの上なく好都合だった。注意を容易にひきつけられ、相手のゆっくりは他に目が行かなくなる。包囲しかけているふらんに気がつかない。
誘引後、包囲殲滅。この作戦で門番ゆっくり達はここを守ってきた。
「「「ぐずのめーりんはゆっくりしねっ!」」」
突っ込んできたゆっくりを身を固めて弾き返す。
続いてやってきたゆっくりも隊列を維持して耐える。
耐え続けているとドスが前に出てきた。ドススパークを放とうとしている。
門番ゆっくり達は積み重なり、ドスの前に立ちはだかる。それは必死を意味する行為だ。
門を守るは巣を守る為、人を守るは門を守る為、門番ゆっくりが傷つくは群れのゆっくりを守らんが為、門番ゆっくり達はドススパークの前にその身を晒す。
ドススパークが門番ゆっくりの壁に突き刺さる。
門番ゆっくりが傷つき倒れ、ドスの周りのゆっくり達がはしゃぐ。
門番めーりんも即死こそしなかったものの、大きな傷を負った。
もう自分は動けない。自分は群れを、皆のゆっくりを守れたのか?自分の役目を果たせたのか?あの老めーりんに顔を向けることが出来るのか?門番めーりんは動かぬ体でひたすらに自問する。
「ふ、ふ、ふ、ふらんだーーーっ!!!」
ゆっくりの悲鳴が聞こえる。手筈通り、ふらん達が襲ってきたゆっくりを包囲したようだ。
もう大丈夫だ、自分は役目を果たせた。自分の働きの結果に安堵しためーりんは、ゆっくりとした笑みを浮かべた。
そして、めーりんは笑みを浮かべたまま、静かに目を閉じた。
(みんな、ゆっくりしていってね…)
書いたもの
ふたば系ゆっくりいじめ 732 門番ゆっくり
ふたば系ゆっくりいじめ 741 ゆっくりマンション
門番ゆっくりを見てからでないと、分かりづらい部分もあるかと思います。
言い訳:ゆっくりがゆっくりらしからぬ会話をしているように見えますが、人間向けの意訳と考えて下さい。
門番ゆっくり めーりんの場合
木に囲まれた広場で子ゆっくりが眠っている。
柔らかな草が生えた広場で昼寝をするのが、その子ゆっくり―ゆっくりめーりんの習慣になっていた。
子めーりんには夢があった。
門番ゆっくりになる。
門番ゆっくりになれば、いつでもこの広場でゆっくりできるから。
子めーりんの周りでは、広くて、暖かくて、気持ちのいい広場で、跳ね回ったり、花の手入れをしたり、子めーりんのように昼寝をしたりと、群れのゆっくりがゆっくりと過ごしている。
広場には群れのゆっくりが、少しづつ交代で来ることになっていた。
森の中の巣の周りでも、同じようなことはできるが、広場は巣の周りよりもゆっくりできると人気が高かったのだ。
この群れは希少種で構成されており、人間と取引しているなど、普通の群れとは異なる点が多かったが、生活は他の野生のゆっくりと余り変わらない。
赤ゆっくり、子ゆっくりは親と共に巣に篭り、成ゆっくりは餌集めや取引の為の茸集めに忙しい。
気持ちのいい、ゆっくりできる広場には、皆たまにしか出られない。
群れを守る為に前に立つ、門番ゆっくりを除いて。
門番ゆっくりになりたいゆっくりは多かった。
あくせくと餌を集める必要も無い。
周りにも尊敬の眼差しで見られ、番にも事欠かない。
だが、門番ゆっくりになるには、過酷な訓練を受けなければならなかった。
門番ゆっくりにはめーりん種だけしかなれない、というわけではなく、門番ゆっくりになっためーりん種以外のゆっくりもいる。
だが、頑丈さゆえか、何かを守ることを好む気性ゆえか、訓練を潜り抜けたゆっくりはめーりん種が多かった。
時を経て、子ゆっくりから成ゆっくりに成長した若めーりんは、門番ゆっくりに志願した。
辛く苦しい訓練の中、こんなことをしなくても、と他のゆっくりが教官ゆっくりのゆっくりゆうかに聞いたことがある。
ゆうかは、それはずいぶん昔に、他のゆっくりが長に聞いたことだ。いいだろう、そのときのことを話してやる、と若めーりん達の前で話し始めた。
「おさ、なんでもっとゆっくりしないの?」
集めている茸は人間には価値があるものだ。別に餌集めなどしなくても、人間に頼めば餌を持ってきてくれる筈、いやあまあまだって食べられる筈だ。
もっといえば、人間に飼われてもいい。餌も、家も、他のゆっくりに虐められることも心配しないでいい。
とてもゆっくりできる筈なのに、今は遊びに来る人間に餌を貰うことも出来ない、と群れのゆっくり達は長に疑問をぶつける。
「ここは、ゆっくりできる」
確かに手に入れることは出来るだろう。だが、与えられるゆっくりは容易に奪われるゆっくりでもある。何も出来ず人の都合に左右されるゆっくり、私はそれをゆっくりとは呼ばない。
家は見つからず、餌は集まらず、ゆっくりには虐められ、人の都合で左右される、ここだからこそ出来ることがある、と長は返す。
「にんげんさんはゆっくりできるよ」
そんな人間はいなかった。管理人も遊びに来る人もとてもゆっくりしているではないか、と群れのゆっくり達は反発する。
「おとーさんやおかーさんをおぼえてる?」
何も出来ない赤ゆっくりが親に全幅の信頼を寄せるように、飼ゆっくりは飼い主に完全に依存しなければ生きていけない。
通常種から生まれた希少種に親は何をしたか。潰すようなことこそしなかったが、他の姉妹達とは露骨に差別したのではないか?自分達とは違うという理由で。
人間もそうだ。今はゆっくりさせてくれるかもしれない。だがそれが何時までも続くかは分からない。事情が変われば何も出来ずにゆっくり出来なくなってしまう、と長は説得した。
希少種は同種同士で番や群れを作る。希少種は繁殖力が弱く、数が少ない。容姿の違い、行動の違い、数の少なさから通常種に迫害の対象にされる。
無論、すべての希少種がそうだというわけではない。ゆっくりらんなどはゆっくりちぇんと番を作ることが多く、迫害の対象にもならない。虐められない希少種の個体や、希少種を受け入れる通常種の群れも存在する。
だが、多くの希少種が虐められているのもまた事実。それは特にめーりん種で顕著だ。
通常種から生まれた希少種が生まれることがある。人間で言う隔世遺伝ゆえとも、ゆっくり特有の不条理ゆえとも言われている。
長に談判しにきたゆっくり達にはそうやって生まれたゆっくりが含まれていた。
「ゆっくりりかいしたよ」
赤ゆっくりの時に味わった無力感、絶望感を思い出したゆっくり達、そしてそれを聞いたゆっくり達は長の行いを理解した。
ゆうかは話し終えた後、我々は弱い、出来ることには限界がある。だからといって何もしないでいいというわけでもない。出来ることをやれ、限界まで出来るようになれ、それが我々をゆっくりさせてくれる、と締めた。
何匹ものゆっくりが脱落していく中、若めーりんは訓練をやり遂げた。
念願の門番ゆっくりになったのだ。
子供の頃に思い浮かべたように、若めーりんは広場でゆっくりしようとした。
だが、古株の門番ゆっくりである老めーりんが、新人の門番ゆっくりにはやることがあると、なかなかゆっくりさせてくれなかった。
老めーりんを不満に思いながら日々をすごす中、若めーりんは初めての実戦を迎えた。
初めての実戦は若めーりんにとり、幸運と不幸が相半ばなものであった。
不幸は、偶然、複数の群れが時間差で襲ってきた為に、門番ゆっくりに大きな被害が出たこと。
幸運は、そんな混乱した状況で生き残ることができたこと。
状況は混乱している。
組んでいた隊列はいつの間にか崩れ、多方から襲いかかるゆっくりに若めーりんは消耗していた。
「「ゆっくりしねっ!」」
枝をくわえたゆっくりようむ、ゆっくりまりさが若めーりんめがけて突っ込んでくる。
若めーりんは消耗して動けない。
「…じゃお」
ここまでか、と若めーりんは弱音を漏らした。
その時、若めーりんをゆっくりさせてくれなかったあの老めーりんが、若めーりんの前に飛び出した。
戦いの終わった後、死屍累々と横たわるゆっくりの片付けが始まる中、倒れた老めーりんを前に若めーりんが立ちつくしている。
若めーりんを助けてくれた老めーりんは、もう助からないであろう深い傷を負っていた。
若めーりんは何も言えないでいる。
何故自分を助けたのか?自分のことを嫌っていたのではないか?様々な思いが餡子の中を駆け巡り、喋ることが出来ないのだ。
老めーりんがぽつりと喋る。
「じゃお?」
嬢ちゃん、帽子はどうした?
若めーりんの帽子は、乱戦の中で失われていた。
「じゃおー…」
無くした、と若めーりん。
「じゃおーん」
破れてて悪いが私のをやるよ、と老めーりんがかぶっていた帽子を差し出す。
帽子を受け取った若めーりんが何か言い出そうとする。しかし、
「じゃお、じゃお」
早いところゆっくりさせてくれ、と老めーりんは言い残し目を閉じた。
樹の根元に掘られた穴に、永遠にゆっくりした老めーりんが納められる。
傷付いた帽子をかぶり、老めーりんが埋められた樹の前で、若めーりんは泣いていた。
それから幾度もの戦いを潜りを抜けた若めーりんは、皆に信頼される真の門番ゆっくりにへと成長していった。
門番めーりんは考える。
門番ゆっくりになったのは自分がゆっくりする為だった。
だけどそうじゃない、門番ゆっくりは群れがゆっくりする為にこそあるのだ。
今なら分かる。
暖かな日差しのある日の昼過ぎ、広場でゆっくりるーみあやゆっくりさなえが人と戯れている。
池の周りではゆっくりちるのが跳ね回り、ゆっくりすわこが水浴びをしている。花壇ではゆっくりゆうかが花や果樹の手入れをしていた。
門番めーりんはそれらを横目にゆっくりと昼寝をしていた。
警報が鳴るのを聞いた途端に跳ね起きる。別の群れのゆっくりがここを奪いに来たのだ。
人や他のゆっくりが避難したのを確かめた後、他の門番ゆっくりと共に隊列を組み、取引所と呼ばれる建物の前に陣取る。
奪いに来たゆっくりが見える。
ドスもいる、久し振りに大規模な襲撃だ。
ゆっくり達が罵声を浴びせてくる。
「ぐずのめーりんがいるよ」「ここはれいむたちのゆっくりぷれいすにするよ」「ぐずのめーりんはどっかいってね」「ぐじゅーぐじゅー」
ぐずのめーりん、その通りだ。自分がぐずじゃなければあの老めーりんは死ななかった、と門番めーりんは自嘲する。
同時に一匹たりともここを通さないと覚悟を固めた。
門番ゆっくりは罵倒を聞いても声を上げない、歯を噛み締め前を睨む。
何故か?
一部のゆっくりを除き、ゆっくりはめーりん種の言葉を理解できない。聞けば馬鹿にする、しかし喋らなければ激昂して突っかかってくる。
作戦にはこの上なく好都合だった。注意を容易にひきつけられ、相手のゆっくりは他に目が行かなくなる。包囲しかけているふらんに気がつかない。
誘引後、包囲殲滅。この作戦で門番ゆっくり達はここを守ってきた。
「「「ぐずのめーりんはゆっくりしねっ!」」」
突っ込んできたゆっくりを身を固めて弾き返す。
続いてやってきたゆっくりも隊列を維持して耐える。
耐え続けているとドスが前に出てきた。ドススパークを放とうとしている。
門番ゆっくり達は積み重なり、ドスの前に立ちはだかる。それは必死を意味する行為だ。
門を守るは巣を守る為、人を守るは門を守る為、門番ゆっくりが傷つくは群れのゆっくりを守らんが為、門番ゆっくり達はドススパークの前にその身を晒す。
ドススパークが門番ゆっくりの壁に突き刺さる。
門番ゆっくりが傷つき倒れ、ドスの周りのゆっくり達がはしゃぐ。
門番めーりんも即死こそしなかったものの、大きな傷を負った。
もう自分は動けない。自分は群れを、皆のゆっくりを守れたのか?自分の役目を果たせたのか?あの老めーりんに顔を向けることが出来るのか?門番めーりんは動かぬ体でひたすらに自問する。
「ふ、ふ、ふ、ふらんだーーーっ!!!」
ゆっくりの悲鳴が聞こえる。手筈通り、ふらん達が襲ってきたゆっくりを包囲したようだ。
もう大丈夫だ、自分は役目を果たせた。自分の働きの結果に安堵しためーりんは、ゆっくりとした笑みを浮かべた。
そして、めーりんは笑みを浮かべたまま、静かに目を閉じた。
(みんな、ゆっくりしていってね…)
書いたもの
ふたば系ゆっくりいじめ 732 門番ゆっくり
ふたば系ゆっくりいじめ 741 ゆっくりマンション