ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0736 ループ・プレイス
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ankoss
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「ループ・プレイス」
・「ふたば系ゆっくりいじめ 604 ロンリー・ラック」からの続編という形を取っています。
・人間視点ですが主軸はゆっくりです
・駄文注意
・いくつかの独自設定を使っています
・うんしー注意
・自滅モノです
冬のゆっくりと言うのは越冬をする。これは当然の常識だ。
いくつかに分類するなら越冬型、冬眠型等があるが巣ごもりすることには変わらない。
だが街のゆっくりは違う。山野のゆっくりと違い食料なら冬でも何とか手に入るからだ。
なので遠出とはいかなくとも巣の周辺を出歩いたりすることはある。
さて、街のゆっくりがいる所…と言えば路地裏、空地、そして公園の大体三つだ。
特に空地、公園にはゆっくりが集まるいわゆる「コロニー」(饅頭にコロニーという言葉は似つかわしくないかもしれないが)のような状態になっている。
なので時折加工所の職員がやってきて定期的に「掃除」をするのだ。
あの時、私と羽付きが見たのは公園に吸い寄せられうように集まったあるゆっくりの悲劇である。
冬の公園を私と羽付きは歩いていた。冬は相変わらずどんよりとした雲が立ち込め冷たい風が嫌がおいにも荒涼とした雰囲気を演出していた。
大きな公園であるがためにゆっくりが大量にここに居ついている。
近々大規模な加工所による掃除が行われると告知されているので、その前にここのゆっくり達の様子を観察して置きたかったからだ。
早速の如く私と羽付きの周りにはピンポン玉サイズの子ゆっくりからバスケットボールサイズのゆっくりまで大小様々なゆっくりが寄ってきていた。
「きゃわいいれいみゅにあみゃあみゃしゃんをおいちぇいっちぇね!」
「まりしゃはちゅよいんだじぇ!あみゃあみゃをおいちぇいきゃにゃいちょいちゃいめにあうんだじぇ!」
「むきゅ!ここはぱちぇのしきちよ!かってにはいってきたのならあまあまさんをおいていきなさい!」
「ゆゆーん!れいむはしんぐるまざーなんだよ!はやくあまあまさんをおいていってね!」
「はやくするんだぜ!まりささまはぐずがきらいなんだぜ!」
「みすぼらしいじじいはさっさとあまあまをおいていくんだねーわかるよー!」
「いなかものはさっさとあまあまをおいていきなさい!」
耳をふさぎたくなるほどの音だ。口々に勝手な事を言いながら小麦粉の皮をグネグネと押し合い形を変えながら私の足へ寄ってくる。
赤ゆっくりや子ゆっくりは膨れながら威嚇を繰り返し、私の靴やズボンのすそを口で噛んでいた。
私は羽付きを見て「なんとかならないか?」といった。
羽付きは私に帽子をとってくれと言った。秘密兵器があるらしい。
私は羽付きのとんがり帽子をとる。そこに現れたのはれみりゃの帽子であった。
「うー!こんなところにあまあまがいっぱいいるんだどー!」
羽付きがれみりゃのまねをしながら上下にピョンピョンと跳ねた。
次の瞬間、私の鼓膜が破れると思うほどの大音響が響きわたった。
「「「「「「でびりゃだああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」」」」」
蜘蛛の子を散らすように四方八方に飛び跳ねて退散するゆっくり達。10秒ほどたてば辺りには踏まれたのか押しつぶされたのか、それともその両方か分からないが餡子やクリーム、チョコレートを口から吐き出しながら悶絶するいくつかのゆっくりの姿以外無くなっていた。
「むぎゅぅぅ…えれえれ…」
「ゆ”!ゆ”!ゆ”!」
「わがらないよおおおおおおお!!おそらがじだにあるよおおおおおおおおお!?」
「ごんなのどがいばじゃないわあああああああああ!!あでぃずのおがざりざんんんんんんんんんんんんん!!」
体当たりを受けすぎて餡子を大量に吐きだしたのか、手前に帽子を投げだしたまま寒天の白目をむいて痙攣しているまりさ種、ありす種は飾りを途中で落としてスタンピートに巻き込まれたのか、無残にボロボロになった飾りの欠片を舌で拾い集めながら喚き散らし、ちぇん種に至っては跳ね飛ばされ転がったのか逆さに向いて叫んでいた。底部の方がグネグネと不規則に動き、砂糖水の涙を流しながらすごい勢いで喚いている(ゆっくりはその特性上逆さまになると自力で元に戻れない)
私は羽付きの方を向くとこう言った。
「…凄い効果だね」
「こうえんひっすの"あいてむ"だぜ。おにいさんももってるといいんだぜ」
「いや…遠慮しとくよ」
ニヤリと羽付きが笑って答えた。
ひと段落ついた所で羽付きはそのトレードマークの帽子を被り、私も公園の中心部へと進んでいく。
人気のない一角、魚が泳ぐ池の前にある木の麓に、ポツンとダンボール箱が置いてあった。
どうやらゆっくりの「おうち」の様だ。横に倒しておかれて、ボロボロではあるがゴミ袋の様な袋がかぶさっている。
袋が飛ぶのを防いでいるのか、いくつかの小石がダンボールの上に置かれていた。
私が近づくと中からガサガサと2匹のゆっくりが飛び出してきた。
「ここはまりさとありすのおうちなんだぜ!ゆっくりできないじじいとへんなまりさはさっさとかえるんだぜ!」
大きく膨れて威嚇しているその口ぶりの「ゆっくりまりさ」は私と羽付きを睨みつけている。
奥の方には下顎が不自然に膨れているありすとその横で小麦粉の皮をぴったりとくっつけている、2匹のソフトボールほどの子ありすと子まりさがいた。
比較的よくある組み合わせだ。ありすの様子を察するに胎生型にんっしんっ(ゆっくりの場合はこう表記する)をしている様で、これがまた珍しい。
子ありすと子まりさ、そしてありすが巣の奥で私と羽付きに声を投げかける。
「いなかものなにんげんさんとまりさはゆっくりかえりさない!」
「しょうじゃよ!ゆっきゅりかえりなちゃい!」
「まりしゃはちゅよいんだじぇ!しゃっしゃとどっきゃいきゃにゃいちょゆっきゅりできなきゅしてやりゅんだじぇ!」
…あくまで推定だがあまりよいゆっくりではないようだ。れいぱーありすになっていないのが判断の迷う所である。
私は羽付きの方を見る羽付きは私を横目で一瞥するとこう言いだした。
「ゆ!ゆゆうううう!?ま、まさかこんなつよそうでとかいはなありすやまりさがいるとはおもわなかったんだぜ!?ゆっくりまりさのけらいといっしょににげるんだぜ!」
そう言うと羽付きは急いで別の所へ跳ねだす。私もそれについていった。
少し離れたベンチに羽付きは跳ねていった。私も息を切らせながら何とかたどり着く。
「そういえばにんげんさん、げすゆっくりをみるのははじめてかぜ?」
「最初のありす以来だね」
「だったらちょうどいいんだぜ、ああいうゆっくりがどうなるかがわかるんだぜ」
私はメモ帳を取り出しあのまりさ一家の様子を眺めていた。
「ゆゆーん♪だーりんはつよいのね!とってもとかいはよ!」
「ゆ!そうだぜ!まりさはつよいんだぜ!」
「だーりんすーりすーり!」
「ありすすーりすーり!」
そんな事を言いあいながら小麦粉の皮を上下に伸び縮みさせて擦り合わせる二匹のゆっくり。
後ろの方で子ゆっくり二匹ピョンピョンと跳ねまわっている。
「ゲス」であろうか?街ゆっくりはそれが判断の難しい所である。
「でいぶ」や「れいぱーありす」の様に明らかに問題のあるゆっくりではなく、かといって「だぜ」という言葉遣いだったり人間に対して積極的と言わずとも近づいてくれば傲岸不遜な事を言うゆっくりがいる。
それらは中間のゆっくりと位置付けられているので判断が非常に難しいのだ。(羽付きはゲスと断定しているし、私もそうだとは思うがありす種が何ともないのが妙に引っかかる)
改めて様子を見てみよう。
「ゆゆ!おなかすいたんだぜ!」
「ゆ!じゃあごはんさんにしましょう!」
どうやら外で食べるようだ。
ありす種がいるつがいはよくこう言った一見無駄に見える行動をとる。葉っぱの上に何かを乗せたり、役にも立たない石っころを「とかいはなたからもの」なんて言っておいて言ったりと。
「とかいは」の概念からなる行動だと言われているが正直な話、全く無駄な行為だ。
ダンボール箱の奥から食糧が詰まったビニール袋をありすが引っ張り出す。
ガサガサと振ると中からパン切れや魚の骨、野菜くず等が出てきた。
また、ありすが平たい石の上にそれらを並べた。そうしてそれを中心にまりさ一家が円を組むように並ぶ。
そして一斉にむさぼる様に口をつけ始めた。グネグネと押し合いを繰り返しながら食べていくその光景は「とかいは」(少なくとも私の持つイメージとは)とはかけ離れたものだった。
「うめっ!めっちゃうめっ!」
「む~ちゃむ~ちゃ!ちあわちぇえええええ!!」
「む~ちゃむ~ちゃ…ちょっちぇもちょかいはにぇ!」
「がぶがふ!ごふ!がつ!ぐちゃ!ずるずるっ!とってもとかいはなごはんさんね!」
パンきれを砂糖水の涎を垂らしながらむさぼり、魚の骨をバリバリとかみ砕き、野菜くずをグチャグチャと咀嚼し生麺をずるずるとすする。
あまり言いたくないが見ていて気分のいいものではない。少なくとも私が今まで見てきたゆっくりの中では一番食べた量が多いのではないかと思う。
「ゆっくりとしたごはんなんだぜ!」
「おながのおぢびぢゃんもよろごんでるわ!ゆげぇっぷ!」
「ゆゆ~ん・・・おなきゃいっぴゃいだじぇ!」
「のーびのーび!しょくごのうんどうをしゅりゅわ!」
一様に勝手気ままな行動をしている。どうやらゲス寄りのゆっくりの様だ。
その後はダンボール箱の中にぴったりと納まり、ありすに子ゆっくりがすーりすーりを繰り返している。
「ゆゆ~ん!おきゃあしゃんしゅーりしゅーり!」
「まりしゃもしゅーりしゅーり!」
「すーりすーり!とってもとかいはね!」
羽付きがその光景を眺めてただ一言呟いた。「気に入らない」と。
その後言った一言を私は今でもよく覚えている。
「なにが"とかいは"だ。」と
私は何も言う事が出来なかった。何か並々ならぬありす種に対する想いがあるようだ。
羽付きはただ私の方へ視線をやってこう聞いた。
「…そろそろかこうじょがくるんだぜ。おもてへいくと"そうじ"がみられるんだぜ」
私は時計を見た。確かにあと数分ほどで切りのいい時間帯だが何故羽付きがその時間を知っているのか?それが不思議でならない。
私がその事を尋ねるとただ一言「きまったじかんにやるだからそとからみればわかるんだぜ」といった。
急いで羽付きとその場を後にする。
すぐに戻っては来れたが一斉に掃除が始まっている様だ。棒の先に鋭いフックをつけた物を持ってそこら中に人がゆっくりを追い回している。
あれでダンボール箱をひっかけたり、ゆっくりをひっかけて袋に詰めるようだ。
一様に逃げ惑うゆっくりや袋に番いや子ゆっくりを入れられ体当たりや威嚇を繰り返すゆっくりで辺りはあふれかえっていた。
「ゆんやああああああああ!!いだいいいいいいいいいい!!」
「までぃざのおぼうじざんがえずんだぜええええええええええ!?」
「ぢぇええええええええええええええん!?」
「どぐんだぜえええええええ!!までぃざいがいのぐずなゆっぐりはゆっぐりじねえええええええええ!!」
「までぃざあああああああああ!ごのうらぎりぼのおおおおおおおおおお!!」
「いだいいいいいいいいいい!!ばぢぇのがわざんびっばらないでええええええええ!!」
「ごんなのどがいばじゃないわああああああああああああ!?」
どこもかしこも袋詰めにされたゆっくりと辺りを跳ねまわるゆっくりばかり。
あまりにも多くのゆっくり達がつかまり袋に詰められる。そんな中で私はふと先ほどのまりさ一家が気になって。戻ってみることにした。
羽付きも渋々付いていく。私の周りから少しでも離れればそれは捕獲対象になってしまうからだ。
…私と羽付きがついた頃には頃にはすでにまりさ一家はダンボール箱から蹴りだされて木の根元をバックにひと固まりになっていた。
「ゆゆ!ありす!おちびちゃんたち!ゆっくりうしろにいるんだぜ!まりさがいまからこのじじいをせいっさいっしてやるんだぜ!」
「ゆんやあああああああ!!きょわいわああああああ!!」
「おとうしゃんはちゅよいんぢゃよ!ゆっきゅりどっかいっちぇね!ぷきゅー!」
「ゆゆ!だいじょうぶよ!だーりんはつよいからきっとあんないなかものたおしてくれるわ!」
後ろで子ゆっくり二匹が小麦粉の皮をありすにくっ付けて様々な行動を取っていた。ありすの方もキリッとした表情でまりさを見ている。
私も羽付きもあのゆっくり達はもう捕まったと思った。あまりにも不利すぎるからだ。
職員がフック付きの棒をびゅっとふるう。本来なら側面や後部の小麦粉の皮に引っ掛けるのが普通だが、あまりなれていないのか。とんでもない方向に刺さる。
「ゆがあああああああああああ!!までぃざのおべべがあああああああああああああ!!」
棒をふるったのとまりさが体当たりを仕掛けようとしたのが同じタイミングだったからだろうか?まるで導かれるようにまりさの寒天の右目にプッスリと刺さった。
かなり狼狽しているのか。職員がグイグイと引っ張る。当然寒天の右目がブチンと音を立てて離れてしまった。
「いだいいいいいいいいいい!!」
「「おどうじゃあああああああああん!?」」
「だーりんんんんんんんんんんんんんんんん!?」
後ろで余裕をこいていた子ゆっくりとありすが驚く。人間にも勝てる強いゆっくりと思っていたのだろうか?だが現実は無常だ。
目の前で砂糖水の涙と涎を吐き散らしながら帽子を投げだしゴロゴロと転がるそれが私と羽付きと、そしてあのありす達が見た「強いまりさ」の真実だった。
職員が動きまわるまりさを四苦八苦してとらえようと何度も棒をふるった。
だがわざとかと思うほどきれいに刺さらず。小麦粉の皮がまるでふらんに引っ掛かれるかの如くズタズタになるばかりで餡子を飛び散らせながらのたうち回るばかりであった。
「いだい!いだいいいいいいいい!!ゆぎいいいいいいい!!やべでぐださいいいいいいいいい!!あ”あ”あ”あ”!?あでぃずううううううう!だづげでええええええええ!!あでぃずうううううううう!?」
ボロボロの体で必死にありすの名前を呼ぶ。だが…
「こんないなかものなまりさとはゆっくりできないわ!さっさとにげましょう!」
「きょんなぐじゅにゃんきゃほっちょくわ!ゆ!ゆ!」
「じゃこのまりちゃはしゃっしゃちょしにゅんだじぇ!」
そう吐き捨てながらくるっと後ろを向くと一斉に跳ねて逃げ始めていた。ここで私は間違いなくゲスゆっくりであると断定したのである。
「ぞんなああああああああああああ!!ゆがあああああああ!!だずげでえええええええええ!!」
まりさが地面に突っ伏したまま凄まじい声で泣き叫ぶ。先ほどの威勢はどうしたのかという勢いだ。
職員が逃げるありすに棒をふるった。かなり焦っている様だ。慣れない手つきから見て新入りではないかと推測する。
フックはありすの上部前方にスコンと刺さり、グイッとありすの体が持ち上がる。
「ゆっがあああああああああ!?あでぃずのあだばがあああああああ!?」
グネグネと底部を動かしまるでメトロノームの様に勢いをつけて前後に揺れている。そのおかげだろうか。ミチミチと音がして小麦粉の皮と飾りがフックの先についてありすはボトンと地面に落ちた。
「ごんなのどがいばじゃないわあああああああああああああああああああああ!!」
「ゆびぇえええええええええええん!!きょわいんだじぇえええええええええ!!」
「ちょかいはにゃありちゅをたしゅけちぇねええええええええええええ!!」
口々に勝手な事を言いながら寒天の目を血走らせ涎をまき散らし逃げるありす達。
職員は諦めたのか「ゆ”!ゆ”!」と餡子が出すぎて息も絶え絶えのまりさを袋に詰めると、キョロキョロと辺りをうかがってそのまま引き上げていってしまった。
私と羽付きはあのありす達の言った方向へと向かった。
まだそんなに遠くへは言って無いだろう。
人気のない公衆便所の壁面の端にありす達がいた。
だが、私と羽付きはその目を疑った。
先ほどまでともに逃げていた子ゆっくり二匹をなんとあのありすが攻撃していたのである。
子まりさの方はすでに帽子と砂糖細工の髪の毛以外は判断できない程に潰れていた。恐らくありすが踏みつぶしたのだろう。
そして残った子ありすはありすの舌で持ち上げられ、硬い地面に底部をドカドカと打ちつけられている。
「ゆびゅあ!ゆぎゅっ!ゆげぇっ!やべぢぇええええええ!!ありぢゅのぢょがいばなぎゃおぎゃあああああああ!?」
「ありすをおいてにげるようないなかものはゆっくりしになさい!」
…既に子ありすは小麦粉の皮が数倍にも腫れてどこがどうか判別できなくなっていた。中のクリームが不規則に移動しているからだろう。
口からカスタードクリームを吐きだしてもがき苦しんでいる。だが、あと二度ほども叩きつけられて
「ゆ”!…ゆ”!…ゅ”!」とピクピクと震えるだけになってやがて動かなくなってしまった。
ありすはそれを見て満足そうに
「ゆゆーん♪いなかものがきえてすっきりしたわ!」と満足げにニタニタと笑っているのだ。
私は怒りを通り越して呆れ果てた。目の前でニタニタと笑っている泥やゴミを砂糖細工の髪や小麦粉の皮につけているありすを見ていると、そんな事しか浮かばない。
私は振り向いて歩き出す。羽付きもそれに呼応して跳ねて着いてきた。
たった一匹残った胎生型のありす…羽付きの予想を聞かなくともどうなるかは大体想像がつくからだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれから一週間後。私は再び公園の様子を羽付きとともに見に来ていた。
まだ数は少ないなれども、再び全く別の所からやってきたゆっくり達が住み着いている様だ。
羽付きが言うにはあの掃除から零れ出たとしてもここから出ていくゆっくりが殆どで、後は全部新しいゆっくりがやってくるから「掃除」に永遠に気づかないらしい。
その話を聞きながらあのありすの事を思い出していた。あのありすは今何をしているのだろうか?
羽付きにその事を尋ねると「もういないかもしれない、いるとすれば他のゆっくりの"家来"になっているだろう」と答えた
家来?それは一体どういう意味なのか?
歩いていくと池の周り、まりさ一家がいたダンボール箱がそのまま残っていた。
「ほらほら!はやくまりささまとれいむのうんうんをたべないとそこのちびがつぶれちゃうんだぜ?」
「ゆゆ!すっきりー!」
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”おぢびぢゃんんんんんんんんんんん!?」
そこにはふた回りも大きいれいむとまりさがいた。一様にあにゃるを突き出してうんうんを一か所にかましている。
うんうんがよく見ると動いている。いや…中に何かがいるようだ。
良く見てみるとそこには三匹のミカン程の小ささの子ありすが三匹、苦しそうにウネウネとうんうんの中で動いていた。
「ゆ”・・・ゆ”…!」
「ぐざいわあああああああ!!」
「ぢょがいばじゃないいいいいいいい!!」
だが、それより目についたのはあのありすの風貌だった。
頭の飾りが無くなったのは当然だが、何より砂糖細工の髪の毛が全て無くなっていた。
毟られたのだろうか?後部の上方に木の枝が三本刺さっているのを見るとどうやらあのれいむとありすにやられたのではないかと思えてくる。
ボロボロになったありすは必死にれいむとまりさの餡子…うんうんをグチャグチャとかき分けるように顔を突っ込んで食べながら必死に寒天の両目から涙を流していた。
「おぢびぢゃんまっででね!いばだずげるがらね!がふ!ぐふっ!ゆおげぇぇぇえええ!!ゆげぇぇえええっ!」
何度もえずきながらうんうんをぐちゃぐちゃと食べながら時にクリームと餡子が混じった物を吐き出して必死に子ありすを探す。
全て片付けるまで約二分近くかかっただろうか。ボロボロのありすの横に怯えるように小麦粉の皮をくっつけて震える子ありすの姿。
「あでぃずのおぢびぢゃんがああああああ!?ゆっぐりよぐなるのよ!?ぺーろぺーろ!」
だがもう一匹の子ありすの方はかなり致命的の様だ。口からカスタードクリームをぼとぼとと吐き出し、しわしわになって地面に潰れかけている。
ありすが必死にぺーろぺーろしようにも全く意味はない。やがて「ゅ”!」と小さく跳ねると完全に動かなくなってしまっていた。
「あ”あ”あ”あ”あ”!?あでぃずのおぢびぢゃゆがあああ!?」
「うるさいよ!ぎゃーぎゃーさわがないでね!」
悲しむ間もなくれいむに弾き飛ばされるありす。まりさが帽子から木の枝を取り出してありすの右側面に突き立てる。
「ゆぎゃあああああ!!いだいいいいいいい!?」
「これでよんかいめなんだぜ!つぎごはんさんをさがしにいってもごはんさんをとれないのならおなじことをもういっかするんだぜ!」
「れいむあまあまさんがたべたいよ!さっさととってきてね!」
「そうだぜ!さっさとごはんさんをとってくるんだぜ!あとばつとしてきょうのごはんさんはそこのまんじゅうなんだぜ!」
まりさとれいむがことごとく注文をつけるとよろよろと立ち上がり、子ありす二匹を口に入れ力なくズリズリと這いだした。
それを見たまりさが一匹の子ありすの髪の毛を口でくわえて乱暴に引っ張る。
「おまえはこっちにくるんだぜ!かってににげだされたらこまるんだぜ!」
「ゆんやあああああ!!いぢゃいわいいいいい!!ありぢゅのぢょがいばなぎゃみをひっびゃらにゃいぢぇえええええ!!」
「おぢびぢゃんんんんんんん!?」
「なにかもんくあるの!?かざりのないゆっくりはだまっててね!」
どうやら子ありす一匹を盾に取っている様だ。容赦なく自分の子ゆっくりを潰したありすならそのまま逃げだしそうだがそうはいかないらしい。その辺の事は私や羽付きでもその心情を察する事は出来なかった。
「ゆうう…ゆっくりまってるのよ…!ありすがいっぱいごはんさんをとってくるから…!」
「ゆええええええええん!おねえしゃんだけぢゅるいわあああああ!!ゆんやああああああああ!!」
子ありすの悲鳴に振り返りもせずとぼとぼと跳ねていくありすと子ありす。
それを見ながられいむとまりさは小麦粉の皮を合わせてすーりすーりを繰り返している。
「ゆゆ!れいむすーりすーり!」
「ゆゆ~ん♪まりさすーりすーり!」
そのすぐ横には残ったうんうんをしかめながらちょぼちょぼと口に運ぶ子ありすの姿があった。
「ゆうう…くぢゃいわぁぁ…でもゆっきゅりちゃべりゅわ…む~ちゃむ~ちゃ…」
…その対照的な姿を見ても何の感情すらも思い浮かばない。なんとなくこうなるだろうと言う事はあのありす達の達振る舞いを見ていたら予想がつくからだ。
羽付きはそれを見ると「もう帰ろう」と言うとそのまま振り返りもせずに飛び跳ねだした。
私も踵を返して池の周りを後にする。
羽付きと別れた帰り道の途中、あのありすを見た。
ありすはただひたすらに寒天の両目から涙を流して道路の端に生えた雑草をブチブチと引き抜いていた。
子ありすの方も同様だ。一様に心配そうな表情を浮かべてありすの後部を見ていると言うこと以外は。
「ゆ”!ゆ”!もういやだわぁぁ…!ゆっぐりじだいよぉぉ…!どぼじであでぃずがごんなめにあわないどいげないのぉぉ…」
そう言いながらブチブチとただひたすらに雑草を引き抜きありすを尻目に私はそこを後にした。
羽付きが言うにはあの公園に居ついたゆっくりは大体ああいった末路をたどるという。あのありす達が特別なのではなく。少し足を延ばせばどこでも見られる光景だそうだ。
家路につく途中にあのありす達の事を思い返していた。シビアな冬の街をあんな気楽な心持ちで生きていたのだ。もしかすればまりさ種の方がとてつもなく優秀だったのかもしれない。
だが、整理して考えてみるとあのまりさ一家も同じように「掃除」によってあぶれたゆっくりを「家来」にして越冬用の食料を集めたと思うのが妥当だろう。
――――あの公園には今日も外から吸い寄せられるようにゆっくりが集まっていく。まるで「ドスまりさの群れ」がいると聞きつけたかのように…
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いくつかに分類するなら越冬型、冬眠型等があるが巣ごもりすることには変わらない。
だが街のゆっくりは違う。山野のゆっくりと違い食料なら冬でも何とか手に入るからだ。
なので遠出とはいかなくとも巣の周辺を出歩いたりすることはある。
さて、街のゆっくりがいる所…と言えば路地裏、空地、そして公園の大体三つだ。
特に空地、公園にはゆっくりが集まるいわゆる「コロニー」(饅頭にコロニーという言葉は似つかわしくないかもしれないが)のような状態になっている。
なので時折加工所の職員がやってきて定期的に「掃除」をするのだ。
あの時、私と羽付きが見たのは公園に吸い寄せられうように集まったあるゆっくりの悲劇である。
冬の公園を私と羽付きは歩いていた。冬は相変わらずどんよりとした雲が立ち込め冷たい風が嫌がおいにも荒涼とした雰囲気を演出していた。
大きな公園であるがためにゆっくりが大量にここに居ついている。
近々大規模な加工所による掃除が行われると告知されているので、その前にここのゆっくり達の様子を観察して置きたかったからだ。
早速の如く私と羽付きの周りにはピンポン玉サイズの子ゆっくりからバスケットボールサイズのゆっくりまで大小様々なゆっくりが寄ってきていた。
「きゃわいいれいみゅにあみゃあみゃしゃんをおいちぇいっちぇね!」
「まりしゃはちゅよいんだじぇ!あみゃあみゃをおいちぇいきゃにゃいちょいちゃいめにあうんだじぇ!」
「むきゅ!ここはぱちぇのしきちよ!かってにはいってきたのならあまあまさんをおいていきなさい!」
「ゆゆーん!れいむはしんぐるまざーなんだよ!はやくあまあまさんをおいていってね!」
「はやくするんだぜ!まりささまはぐずがきらいなんだぜ!」
「みすぼらしいじじいはさっさとあまあまをおいていくんだねーわかるよー!」
「いなかものはさっさとあまあまをおいていきなさい!」
耳をふさぎたくなるほどの音だ。口々に勝手な事を言いながら小麦粉の皮をグネグネと押し合い形を変えながら私の足へ寄ってくる。
赤ゆっくりや子ゆっくりは膨れながら威嚇を繰り返し、私の靴やズボンのすそを口で噛んでいた。
私は羽付きを見て「なんとかならないか?」といった。
羽付きは私に帽子をとってくれと言った。秘密兵器があるらしい。
私は羽付きのとんがり帽子をとる。そこに現れたのはれみりゃの帽子であった。
「うー!こんなところにあまあまがいっぱいいるんだどー!」
羽付きがれみりゃのまねをしながら上下にピョンピョンと跳ねた。
次の瞬間、私の鼓膜が破れると思うほどの大音響が響きわたった。
「「「「「「でびりゃだああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」」」」」
蜘蛛の子を散らすように四方八方に飛び跳ねて退散するゆっくり達。10秒ほどたてば辺りには踏まれたのか押しつぶされたのか、それともその両方か分からないが餡子やクリーム、チョコレートを口から吐き出しながら悶絶するいくつかのゆっくりの姿以外無くなっていた。
「むぎゅぅぅ…えれえれ…」
「ゆ”!ゆ”!ゆ”!」
「わがらないよおおおおおおお!!おそらがじだにあるよおおおおおおおおお!?」
「ごんなのどがいばじゃないわあああああああああ!!あでぃずのおがざりざんんんんんんんんんんんんん!!」
体当たりを受けすぎて餡子を大量に吐きだしたのか、手前に帽子を投げだしたまま寒天の白目をむいて痙攣しているまりさ種、ありす種は飾りを途中で落としてスタンピートに巻き込まれたのか、無残にボロボロになった飾りの欠片を舌で拾い集めながら喚き散らし、ちぇん種に至っては跳ね飛ばされ転がったのか逆さに向いて叫んでいた。底部の方がグネグネと不規則に動き、砂糖水の涙を流しながらすごい勢いで喚いている(ゆっくりはその特性上逆さまになると自力で元に戻れない)
私は羽付きの方を向くとこう言った。
「…凄い効果だね」
「こうえんひっすの"あいてむ"だぜ。おにいさんももってるといいんだぜ」
「いや…遠慮しとくよ」
ニヤリと羽付きが笑って答えた。
ひと段落ついた所で羽付きはそのトレードマークの帽子を被り、私も公園の中心部へと進んでいく。
人気のない一角、魚が泳ぐ池の前にある木の麓に、ポツンとダンボール箱が置いてあった。
どうやらゆっくりの「おうち」の様だ。横に倒しておかれて、ボロボロではあるがゴミ袋の様な袋がかぶさっている。
袋が飛ぶのを防いでいるのか、いくつかの小石がダンボールの上に置かれていた。
私が近づくと中からガサガサと2匹のゆっくりが飛び出してきた。
「ここはまりさとありすのおうちなんだぜ!ゆっくりできないじじいとへんなまりさはさっさとかえるんだぜ!」
大きく膨れて威嚇しているその口ぶりの「ゆっくりまりさ」は私と羽付きを睨みつけている。
奥の方には下顎が不自然に膨れているありすとその横で小麦粉の皮をぴったりとくっつけている、2匹のソフトボールほどの子ありすと子まりさがいた。
比較的よくある組み合わせだ。ありすの様子を察するに胎生型にんっしんっ(ゆっくりの場合はこう表記する)をしている様で、これがまた珍しい。
子ありすと子まりさ、そしてありすが巣の奥で私と羽付きに声を投げかける。
「いなかものなにんげんさんとまりさはゆっくりかえりさない!」
「しょうじゃよ!ゆっきゅりかえりなちゃい!」
「まりしゃはちゅよいんだじぇ!しゃっしゃとどっきゃいきゃにゃいちょゆっきゅりできなきゅしてやりゅんだじぇ!」
…あくまで推定だがあまりよいゆっくりではないようだ。れいぱーありすになっていないのが判断の迷う所である。
私は羽付きの方を見る羽付きは私を横目で一瞥するとこう言いだした。
「ゆ!ゆゆうううう!?ま、まさかこんなつよそうでとかいはなありすやまりさがいるとはおもわなかったんだぜ!?ゆっくりまりさのけらいといっしょににげるんだぜ!」
そう言うと羽付きは急いで別の所へ跳ねだす。私もそれについていった。
少し離れたベンチに羽付きは跳ねていった。私も息を切らせながら何とかたどり着く。
「そういえばにんげんさん、げすゆっくりをみるのははじめてかぜ?」
「最初のありす以来だね」
「だったらちょうどいいんだぜ、ああいうゆっくりがどうなるかがわかるんだぜ」
私はメモ帳を取り出しあのまりさ一家の様子を眺めていた。
「ゆゆーん♪だーりんはつよいのね!とってもとかいはよ!」
「ゆ!そうだぜ!まりさはつよいんだぜ!」
「だーりんすーりすーり!」
「ありすすーりすーり!」
そんな事を言いあいながら小麦粉の皮を上下に伸び縮みさせて擦り合わせる二匹のゆっくり。
後ろの方で子ゆっくり二匹ピョンピョンと跳ねまわっている。
「ゲス」であろうか?街ゆっくりはそれが判断の難しい所である。
「でいぶ」や「れいぱーありす」の様に明らかに問題のあるゆっくりではなく、かといって「だぜ」という言葉遣いだったり人間に対して積極的と言わずとも近づいてくれば傲岸不遜な事を言うゆっくりがいる。
それらは中間のゆっくりと位置付けられているので判断が非常に難しいのだ。(羽付きはゲスと断定しているし、私もそうだとは思うがありす種が何ともないのが妙に引っかかる)
改めて様子を見てみよう。
「ゆゆ!おなかすいたんだぜ!」
「ゆ!じゃあごはんさんにしましょう!」
どうやら外で食べるようだ。
ありす種がいるつがいはよくこう言った一見無駄に見える行動をとる。葉っぱの上に何かを乗せたり、役にも立たない石っころを「とかいはなたからもの」なんて言っておいて言ったりと。
「とかいは」の概念からなる行動だと言われているが正直な話、全く無駄な行為だ。
ダンボール箱の奥から食糧が詰まったビニール袋をありすが引っ張り出す。
ガサガサと振ると中からパン切れや魚の骨、野菜くず等が出てきた。
また、ありすが平たい石の上にそれらを並べた。そうしてそれを中心にまりさ一家が円を組むように並ぶ。
そして一斉にむさぼる様に口をつけ始めた。グネグネと押し合いを繰り返しながら食べていくその光景は「とかいは」(少なくとも私の持つイメージとは)とはかけ離れたものだった。
「うめっ!めっちゃうめっ!」
「む~ちゃむ~ちゃ!ちあわちぇえええええ!!」
「む~ちゃむ~ちゃ…ちょっちぇもちょかいはにぇ!」
「がぶがふ!ごふ!がつ!ぐちゃ!ずるずるっ!とってもとかいはなごはんさんね!」
パンきれを砂糖水の涎を垂らしながらむさぼり、魚の骨をバリバリとかみ砕き、野菜くずをグチャグチャと咀嚼し生麺をずるずるとすする。
あまり言いたくないが見ていて気分のいいものではない。少なくとも私が今まで見てきたゆっくりの中では一番食べた量が多いのではないかと思う。
「ゆっくりとしたごはんなんだぜ!」
「おながのおぢびぢゃんもよろごんでるわ!ゆげぇっぷ!」
「ゆゆ~ん・・・おなきゃいっぴゃいだじぇ!」
「のーびのーび!しょくごのうんどうをしゅりゅわ!」
一様に勝手気ままな行動をしている。どうやらゲス寄りのゆっくりの様だ。
その後はダンボール箱の中にぴったりと納まり、ありすに子ゆっくりがすーりすーりを繰り返している。
「ゆゆ~ん!おきゃあしゃんしゅーりしゅーり!」
「まりしゃもしゅーりしゅーり!」
「すーりすーり!とってもとかいはね!」
羽付きがその光景を眺めてただ一言呟いた。「気に入らない」と。
その後言った一言を私は今でもよく覚えている。
「なにが"とかいは"だ。」と
私は何も言う事が出来なかった。何か並々ならぬありす種に対する想いがあるようだ。
羽付きはただ私の方へ視線をやってこう聞いた。
「…そろそろかこうじょがくるんだぜ。おもてへいくと"そうじ"がみられるんだぜ」
私は時計を見た。確かにあと数分ほどで切りのいい時間帯だが何故羽付きがその時間を知っているのか?それが不思議でならない。
私がその事を尋ねるとただ一言「きまったじかんにやるだからそとからみればわかるんだぜ」といった。
急いで羽付きとその場を後にする。
すぐに戻っては来れたが一斉に掃除が始まっている様だ。棒の先に鋭いフックをつけた物を持ってそこら中に人がゆっくりを追い回している。
あれでダンボール箱をひっかけたり、ゆっくりをひっかけて袋に詰めるようだ。
一様に逃げ惑うゆっくりや袋に番いや子ゆっくりを入れられ体当たりや威嚇を繰り返すゆっくりで辺りはあふれかえっていた。
「ゆんやああああああああ!!いだいいいいいいいいいい!!」
「までぃざのおぼうじざんがえずんだぜええええええええええ!?」
「ぢぇええええええええええええええん!?」
「どぐんだぜえええええええ!!までぃざいがいのぐずなゆっぐりはゆっぐりじねえええええええええ!!」
「までぃざあああああああああ!ごのうらぎりぼのおおおおおおおおおお!!」
「いだいいいいいいいいいい!!ばぢぇのがわざんびっばらないでええええええええ!!」
「ごんなのどがいばじゃないわああああああああああああ!?」
どこもかしこも袋詰めにされたゆっくりと辺りを跳ねまわるゆっくりばかり。
あまりにも多くのゆっくり達がつかまり袋に詰められる。そんな中で私はふと先ほどのまりさ一家が気になって。戻ってみることにした。
羽付きも渋々付いていく。私の周りから少しでも離れればそれは捕獲対象になってしまうからだ。
…私と羽付きがついた頃には頃にはすでにまりさ一家はダンボール箱から蹴りだされて木の根元をバックにひと固まりになっていた。
「ゆゆ!ありす!おちびちゃんたち!ゆっくりうしろにいるんだぜ!まりさがいまからこのじじいをせいっさいっしてやるんだぜ!」
「ゆんやあああああああ!!きょわいわああああああ!!」
「おとうしゃんはちゅよいんぢゃよ!ゆっきゅりどっかいっちぇね!ぷきゅー!」
「ゆゆ!だいじょうぶよ!だーりんはつよいからきっとあんないなかものたおしてくれるわ!」
後ろで子ゆっくり二匹が小麦粉の皮をありすにくっ付けて様々な行動を取っていた。ありすの方もキリッとした表情でまりさを見ている。
私も羽付きもあのゆっくり達はもう捕まったと思った。あまりにも不利すぎるからだ。
職員がフック付きの棒をびゅっとふるう。本来なら側面や後部の小麦粉の皮に引っ掛けるのが普通だが、あまりなれていないのか。とんでもない方向に刺さる。
「ゆがあああああああああああ!!までぃざのおべべがあああああああああああああ!!」
棒をふるったのとまりさが体当たりを仕掛けようとしたのが同じタイミングだったからだろうか?まるで導かれるようにまりさの寒天の右目にプッスリと刺さった。
かなり狼狽しているのか。職員がグイグイと引っ張る。当然寒天の右目がブチンと音を立てて離れてしまった。
「いだいいいいいいいいいい!!」
「「おどうじゃあああああああああん!?」」
「だーりんんんんんんんんんんんんんんんん!?」
後ろで余裕をこいていた子ゆっくりとありすが驚く。人間にも勝てる強いゆっくりと思っていたのだろうか?だが現実は無常だ。
目の前で砂糖水の涙と涎を吐き散らしながら帽子を投げだしゴロゴロと転がるそれが私と羽付きと、そしてあのありす達が見た「強いまりさ」の真実だった。
職員が動きまわるまりさを四苦八苦してとらえようと何度も棒をふるった。
だがわざとかと思うほどきれいに刺さらず。小麦粉の皮がまるでふらんに引っ掛かれるかの如くズタズタになるばかりで餡子を飛び散らせながらのたうち回るばかりであった。
「いだい!いだいいいいいいいい!!ゆぎいいいいいいい!!やべでぐださいいいいいいいいい!!あ”あ”あ”あ”!?あでぃずううううううう!だづげでええええええええ!!あでぃずうううううううう!?」
ボロボロの体で必死にありすの名前を呼ぶ。だが…
「こんないなかものなまりさとはゆっくりできないわ!さっさとにげましょう!」
「きょんなぐじゅにゃんきゃほっちょくわ!ゆ!ゆ!」
「じゃこのまりちゃはしゃっしゃちょしにゅんだじぇ!」
そう吐き捨てながらくるっと後ろを向くと一斉に跳ねて逃げ始めていた。ここで私は間違いなくゲスゆっくりであると断定したのである。
「ぞんなああああああああああああ!!ゆがあああああああ!!だずげでえええええええええ!!」
まりさが地面に突っ伏したまま凄まじい声で泣き叫ぶ。先ほどの威勢はどうしたのかという勢いだ。
職員が逃げるありすに棒をふるった。かなり焦っている様だ。慣れない手つきから見て新入りではないかと推測する。
フックはありすの上部前方にスコンと刺さり、グイッとありすの体が持ち上がる。
「ゆっがあああああああああ!?あでぃずのあだばがあああああああ!?」
グネグネと底部を動かしまるでメトロノームの様に勢いをつけて前後に揺れている。そのおかげだろうか。ミチミチと音がして小麦粉の皮と飾りがフックの先についてありすはボトンと地面に落ちた。
「ごんなのどがいばじゃないわあああああああああああああああああああああ!!」
「ゆびぇえええええええええええん!!きょわいんだじぇえええええええええ!!」
「ちょかいはにゃありちゅをたしゅけちぇねええええええええええええ!!」
口々に勝手な事を言いながら寒天の目を血走らせ涎をまき散らし逃げるありす達。
職員は諦めたのか「ゆ”!ゆ”!」と餡子が出すぎて息も絶え絶えのまりさを袋に詰めると、キョロキョロと辺りをうかがってそのまま引き上げていってしまった。
私と羽付きはあのありす達の言った方向へと向かった。
まだそんなに遠くへは言って無いだろう。
人気のない公衆便所の壁面の端にありす達がいた。
だが、私と羽付きはその目を疑った。
先ほどまでともに逃げていた子ゆっくり二匹をなんとあのありすが攻撃していたのである。
子まりさの方はすでに帽子と砂糖細工の髪の毛以外は判断できない程に潰れていた。恐らくありすが踏みつぶしたのだろう。
そして残った子ありすはありすの舌で持ち上げられ、硬い地面に底部をドカドカと打ちつけられている。
「ゆびゅあ!ゆぎゅっ!ゆげぇっ!やべぢぇええええええ!!ありぢゅのぢょがいばなぎゃおぎゃあああああああ!?」
「ありすをおいてにげるようないなかものはゆっくりしになさい!」
…既に子ありすは小麦粉の皮が数倍にも腫れてどこがどうか判別できなくなっていた。中のクリームが不規則に移動しているからだろう。
口からカスタードクリームを吐きだしてもがき苦しんでいる。だが、あと二度ほども叩きつけられて
「ゆ”!…ゆ”!…ゅ”!」とピクピクと震えるだけになってやがて動かなくなってしまった。
ありすはそれを見て満足そうに
「ゆゆーん♪いなかものがきえてすっきりしたわ!」と満足げにニタニタと笑っているのだ。
私は怒りを通り越して呆れ果てた。目の前でニタニタと笑っている泥やゴミを砂糖細工の髪や小麦粉の皮につけているありすを見ていると、そんな事しか浮かばない。
私は振り向いて歩き出す。羽付きもそれに呼応して跳ねて着いてきた。
たった一匹残った胎生型のありす…羽付きの予想を聞かなくともどうなるかは大体想像がつくからだ。
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あれから一週間後。私は再び公園の様子を羽付きとともに見に来ていた。
まだ数は少ないなれども、再び全く別の所からやってきたゆっくり達が住み着いている様だ。
羽付きが言うにはあの掃除から零れ出たとしてもここから出ていくゆっくりが殆どで、後は全部新しいゆっくりがやってくるから「掃除」に永遠に気づかないらしい。
その話を聞きながらあのありすの事を思い出していた。あのありすは今何をしているのだろうか?
羽付きにその事を尋ねると「もういないかもしれない、いるとすれば他のゆっくりの"家来"になっているだろう」と答えた
家来?それは一体どういう意味なのか?
歩いていくと池の周り、まりさ一家がいたダンボール箱がそのまま残っていた。
「ほらほら!はやくまりささまとれいむのうんうんをたべないとそこのちびがつぶれちゃうんだぜ?」
「ゆゆ!すっきりー!」
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”おぢびぢゃんんんんんんんんんんん!?」
そこにはふた回りも大きいれいむとまりさがいた。一様にあにゃるを突き出してうんうんを一か所にかましている。
うんうんがよく見ると動いている。いや…中に何かがいるようだ。
良く見てみるとそこには三匹のミカン程の小ささの子ありすが三匹、苦しそうにウネウネとうんうんの中で動いていた。
「ゆ”・・・ゆ”…!」
「ぐざいわあああああああ!!」
「ぢょがいばじゃないいいいいいいい!!」
だが、それより目についたのはあのありすの風貌だった。
頭の飾りが無くなったのは当然だが、何より砂糖細工の髪の毛が全て無くなっていた。
毟られたのだろうか?後部の上方に木の枝が三本刺さっているのを見るとどうやらあのれいむとありすにやられたのではないかと思えてくる。
ボロボロになったありすは必死にれいむとまりさの餡子…うんうんをグチャグチャとかき分けるように顔を突っ込んで食べながら必死に寒天の両目から涙を流していた。
「おぢびぢゃんまっででね!いばだずげるがらね!がふ!ぐふっ!ゆおげぇぇぇえええ!!ゆげぇぇえええっ!」
何度もえずきながらうんうんをぐちゃぐちゃと食べながら時にクリームと餡子が混じった物を吐き出して必死に子ありすを探す。
全て片付けるまで約二分近くかかっただろうか。ボロボロのありすの横に怯えるように小麦粉の皮をくっつけて震える子ありすの姿。
「あでぃずのおぢびぢゃんがああああああ!?ゆっぐりよぐなるのよ!?ぺーろぺーろ!」
だがもう一匹の子ありすの方はかなり致命的の様だ。口からカスタードクリームをぼとぼとと吐き出し、しわしわになって地面に潰れかけている。
ありすが必死にぺーろぺーろしようにも全く意味はない。やがて「ゅ”!」と小さく跳ねると完全に動かなくなってしまっていた。
「あ”あ”あ”あ”あ”!?あでぃずのおぢびぢゃゆがあああ!?」
「うるさいよ!ぎゃーぎゃーさわがないでね!」
悲しむ間もなくれいむに弾き飛ばされるありす。まりさが帽子から木の枝を取り出してありすの右側面に突き立てる。
「ゆぎゃあああああ!!いだいいいいいいい!?」
「これでよんかいめなんだぜ!つぎごはんさんをさがしにいってもごはんさんをとれないのならおなじことをもういっかするんだぜ!」
「れいむあまあまさんがたべたいよ!さっさととってきてね!」
「そうだぜ!さっさとごはんさんをとってくるんだぜ!あとばつとしてきょうのごはんさんはそこのまんじゅうなんだぜ!」
まりさとれいむがことごとく注文をつけるとよろよろと立ち上がり、子ありす二匹を口に入れ力なくズリズリと這いだした。
それを見たまりさが一匹の子ありすの髪の毛を口でくわえて乱暴に引っ張る。
「おまえはこっちにくるんだぜ!かってににげだされたらこまるんだぜ!」
「ゆんやあああああ!!いぢゃいわいいいいい!!ありぢゅのぢょがいばなぎゃみをひっびゃらにゃいぢぇえええええ!!」
「おぢびぢゃんんんんんんん!?」
「なにかもんくあるの!?かざりのないゆっくりはだまっててね!」
どうやら子ありす一匹を盾に取っている様だ。容赦なく自分の子ゆっくりを潰したありすならそのまま逃げだしそうだがそうはいかないらしい。その辺の事は私や羽付きでもその心情を察する事は出来なかった。
「ゆうう…ゆっくりまってるのよ…!ありすがいっぱいごはんさんをとってくるから…!」
「ゆええええええええん!おねえしゃんだけぢゅるいわあああああ!!ゆんやああああああああ!!」
子ありすの悲鳴に振り返りもせずとぼとぼと跳ねていくありすと子ありす。
それを見ながられいむとまりさは小麦粉の皮を合わせてすーりすーりを繰り返している。
「ゆゆ!れいむすーりすーり!」
「ゆゆ~ん♪まりさすーりすーり!」
そのすぐ横には残ったうんうんをしかめながらちょぼちょぼと口に運ぶ子ありすの姿があった。
「ゆうう…くぢゃいわぁぁ…でもゆっきゅりちゃべりゅわ…む~ちゃむ~ちゃ…」
…その対照的な姿を見ても何の感情すらも思い浮かばない。なんとなくこうなるだろうと言う事はあのありす達の達振る舞いを見ていたら予想がつくからだ。
羽付きはそれを見ると「もう帰ろう」と言うとそのまま振り返りもせずに飛び跳ねだした。
私も踵を返して池の周りを後にする。
羽付きと別れた帰り道の途中、あのありすを見た。
ありすはただひたすらに寒天の両目から涙を流して道路の端に生えた雑草をブチブチと引き抜いていた。
子ありすの方も同様だ。一様に心配そうな表情を浮かべてありすの後部を見ていると言うこと以外は。
「ゆ”!ゆ”!もういやだわぁぁ…!ゆっぐりじだいよぉぉ…!どぼじであでぃずがごんなめにあわないどいげないのぉぉ…」
そう言いながらブチブチとただひたすらに雑草を引き抜きありすを尻目に私はそこを後にした。
羽付きが言うにはあの公園に居ついたゆっくりは大体ああいった末路をたどるという。あのありす達が特別なのではなく。少し足を延ばせばどこでも見られる光景だそうだ。
家路につく途中にあのありす達の事を思い返していた。シビアな冬の街をあんな気楽な心持ちで生きていたのだ。もしかすればまりさ種の方がとてつもなく優秀だったのかもしれない。
だが、整理して考えてみるとあのまりさ一家も同じように「掃除」によってあぶれたゆっくりを「家来」にして越冬用の食料を集めたと思うのが妥当だろう。
――――あの公園には今日も外から吸い寄せられるようにゆっくりが集まっていく。まるで「ドスまりさの群れ」がいると聞きつけたかのように…
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