ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0698 ゆっくりに関係する怖い話5話
最終更新:
ankoss
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タイトル:きめえ丸の呪い
作者名:蛇足あき
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
俺が語るのは、田舎であった話。不可思議な呪いの話だ
俺の親父の生まれ故郷であるその村では、あるゆっくりを乱獲していたんだ
きめえ丸をさ
目的は分からない。何せ随分と昔……ゆっくりが現れた時の話らしいから
その容姿から、卑猥な目的の為だとか、当時はゆっくりを愛護していたから邪魔者を消す為とか、単純に
うざいからとか、もしかしたら他のゆっくりも獲っていたけど、きめえ丸が多かっただけとか……
色々言われているが、真相は解らず終いだ
少なくとも、親父が生まれる前には、きめえ丸はその村の周辺には、一匹残らず居なくなったって聞いて
いる
それでもって、他のゆっくりはまだ残ってたらしい
その辺から、やっぱりきめえ丸だけを執拗に獲っていたのは、確かなようだ
ある日の事、1人の坊さんが村へと立ち寄った
その坊さんは一直線に、村長さんの所へ行って
『このままでは、この村は地獄に落ちる』
なんて言ったらしい
坊さんが言うには、この村の連中が乱獲した生物の怨念が、村を覆っているそうだ
今は影響が無いかもしれないが、放って置くと確実に影響が出るに違いない
その怨念から身を守る方法を教えて上げるから、今すぐ村の住人全てを集めてくれ
まあ、田舎とはいえ、携帯電話が通じるような時代
そんな事を言われても、普通だったら信じなかっただろう
とはいえ、生物を必要以上に乱獲したのは確か
それにそんな不吉な事、本当か嘘かはともかく、出来るだけ早く片付けたい
無償で手伝ってくれると言う坊さんの説得もあって、村の連中は集まり、坊さんの言う事を聞いた
なんて言うんだっけ……えっと……戦没者とかに建てられる……
そうそう。慰霊碑って奴だ
坊さんが指定した、ちょっとだけ立派な岩を、男達が指定の場所に運び
きめえ丸の霊を鎮める為、数匹のゆっくりを生贄として、慰霊碑を建てたんだ
その後は坊さんと村中の人間で、訳の分からないお経を唱えた
それをすると、坊さんは立ち去って言った
特に、もう何かを供える必要も無く、何か特殊な行事が必要と言う訳ではない
ただ、この慰霊碑を壊してはいけない
それだけを伝えてさ
村としても、特に壊す必要性がある場所じゃなかったし、なんだかんだで、対策をしたって言い訳が欲し
かったらしいから、その慰霊碑は壊されない程度に、大事にされてたんだ
その後に生まれた親父も、特に壊そうなんて考えずに生きてきたって訳さ
ま、予想がつくだろうけど
そんなのを壊す奴なんてのは、やっぱり現れるんだよね
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
親父の故郷は、なんだかんだで自然が多くてさ
当然、それを求める余所者も来るって訳だ
余生をそこで過ごすとか
別荘があるとか
村としても、別に余所者を拒んでいたわけじゃない
特に迷惑をかけるような人が居なかったのが原因かもしれないし
野生のゆっくりによる被害を抑えようと、皆で一致団結するから、結束が強まっていったのかもしれない
まあ、世の中そんな人間だけじゃないんだが
ある時、1人の男がその村へと引っ越してきたんだ
飼いゆっくり一家と一緒にな
と言っても、この飼いゆっくりはただのゆっくりじゃなかった
『ゆふん!まりささまはぷらちなばっじなんだぜ!』
あるゆっくりんぴーす公認の、プラチナバッジを着けたゆっくりなんだ。それも一家全員が。生まれたば
かりであろう赤ゆっくりにも
プラチナバッジの規定には、とても届いて居ないのに
かといって偽物って訳でもない。きちんとした証拠書類もあった
ま、予想が付くだろうけどさ
『このおやさいはまりささまのものだぜ!』
『これはれいむのものだよ!かわいいからとうぜんだよ!』
『れいむはぷらちなばっじだよ!わかったらいうことをきいてね!』
『きいちぇね!』
『きくんだじぇ!』
ゲスだったのさ
野菜を奪うのも、店の商品を奪うのも当たり前
時には、勝手に家に上がりこんでは滅茶苦茶にしたり、おうち宣言までしたりもした
当然、飼い主は
『プラチナバッジはそんな事しない』
って、典型的な迷惑をかける飼い主でね
余りにもしつこく食い下がった村人には暴力を振るうわ、村長には金を渡して揉み消そうとするわ、嫌が
らせもしたり、ゆっくりんぴーすがどうのとか、移住権がどうたらとか……酷い人間だったみたいだ
挙句に
『ゆべええ!!!』
『来るんじゃねえ!この野良ゆっくり!!』
『おにいさん!はやくそのきたないゆっくりをころしてね!』
『れいむにたてつこうなんてばかなの?しぬの?』
野生のゆっくりには、何の慈悲もなく潰していたんだ
きっとだけど、バッジだって試験で入手したとかじゃない
金を積んで入手したんだろうね
それでもって、村の掟というか、しきたりを守ろうともしない
当然、あの慰霊碑についてもね
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
その男が引っ越してきて、一ヶ月が経過した時だった
『まりささまはつよいんだぜ!』
『まりさすごーい!』
『おちょうしゃんしゅごーい!』
『まりしゃもしゅるー!』
飼いゆっくり達が、慰霊碑を壊してしまったんだ。強さを誇示する為にね
村人達は恐れた
たかがゆっくりとはいえ、信用ならない坊さんとはいえ、何か起こるのは嫌だからと建てた慰霊碑を、余
所者が壊してしまった
何とかしなければいけない
直に建て直すか、飼いゆっくり達を供えるか、謝らせるかしないと村人達考えた
村人達は総出で、飼い主の所へと詰め寄って、何とかするように言ったんだ
飼い主は
『何それ?非科学的すぎるんですけどw』
なんて言って取り合わず
飼いゆっくりも
『ばかなこといってるよ!』
『みんなだまされたんだよ!』
『ばーきゃ♪ばーきゃ♪』
『あんきょにょうだにぇ!』
なんて言って、謝る気なんて毛頭なかったみたいだ
村人達は諦めて、せめて自分達には何も無いようにと、慰霊碑を建てなおして、お坊さんと唱えたお経を
唱え、野生のゆっくりを供えた
飼いゆっくりや飼い主からすれば、滑稽に見えたんだろうね
『こんなもの、すぐにこわせるんだぜ!』
それから何度も何度も、飼いゆっくり達は慰霊碑を壊したんだ
その度に村人達は、飼い主達を無視して慰霊碑を建てなおし、野生のゆっくりを供えた
飼いゆっくりが飽きるまで、何度も何度も、ね
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
飼いゆっくりが、慰霊碑を壊さなくなって数日が経過した時だった
その日、いつものように飼いゆっくりが畑を荒らしていたんだ
畑の持ち主は、追い払おうと近づき、怒鳴りたてる
『おい!お前ら……?』
しかし様子がおかしい
いつもの飼いゆっくりと、何かが違ったと感じ取ったそうだ
それは馬鹿にされて、はっきりと解った
飼いゆっくりの顔がおかしかったんだ
きめえ丸のような、普通のゆっくりはまずしない顔
そして
『おお、おそいおそい』
『おお、おばきゃおばきゃ』
そんな言動
スピードも、容姿も、特徴も、全て飼いゆっくりの物なのに、まるできめえ丸のような言動をする
持ち主が唖然としている間に、飼いゆっくりは逃げていったんだ
それが最初に目撃された、飼いゆっくりの変化
『おお、よこせよこせ』
『おお、おばかおばか』
持ち主が見た飼いゆっくり以外にも、全ての飼いゆっくりはそんな言動になったし
『あのゆっくり、ゆっくりしてないね』
『むきゅ。みちゃだめよ』
『おお、ひどいひどい』
『おお、とりけせとりけせ』
野生のゆっくりも、馬鹿にするようになっていった
『おお、きもいきもい』
『おお、どうしてどうして』
『おお、もどっちぇもどっちぇ』
飼いゆっくり同士でも、お互いの異常性は感じ取っていたらしい
まあ、自分が異常と認識していたとは、到底思えないけどね
ここまで来ると、村人達は直に解った
きめえ丸の怨念だと
こんな形で出るとは思えなかったけどね
さすがの飼い主も、ここまで来ると飼いゆっくりが異常だと認めるしかなかった
でも、往生際が悪いと言うか
『ここの空気やら食べ物が悪いんだ!なんとかしろ!!』
って、決して呪いとも自分が悪いとも認めなかった
当然、対策なんて取らなかったようだよ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ある日
『おお、よこせよこせ』
いつもの通り、飼いゆっくりが店の品物を奪いにくる
『誰がお前等に……?』
店のおばちゃんが追い払おうとすると、ある違いに気付いた
飼いゆっくりの飾りが、毟り取られていたんだ
それも、一匹だけじゃない
『おお、じじいじじい』
『おお、よこせよこせ』
『こいつ等……バッジが?』
『野生にでも襲われたか?』
飼いゆっくり達を追い払った村人は、飼い主を訪ねた
飼い主の家は、家財道具も何も無く、まるで誰も住んで居ないように見えた
村人達は感づいた
バッジを毟り取って、飼いゆっくりを捨てたんだって
村人達は、無責任な飼い主だと罵る一方で、もう飼いゆっくり達に後ろ盾が無い事を知った
『よくも今まで好き勝手にやってくれたな!!』
『この!この!!』
『おお、いたいたい』
『おお、やめてやめて』
村人は飼いゆっくりを痛めつけた
『おお、にげろにげろ』
『おお、くずはしねくずはしね』
と言っても殺すほどじゃない
会う度会う度、死ぬ程痛めつけたが、決して殺しはしなかった
当然、飼いゆっくり達も学習して、村人に近づかなくなっていった
とはいえ、元は飼いゆっくりだ
『おお、おなかすいたおなかすいた』
『おお、がまんがまん』
『おお、はやくいけはやくいけ』
『おお、むごいむごい』
飼い主がいなくなり、餌の採り方も、巣の作り方も知らないのに、野生として生きていける筈もない
当然
『ゆっくりできないゆっくりがいるよ!』
『きもちわるいよおお!!』
『ゆっくりできないゆっくりは、ゆっくりしないでしんでね!』
野生のゆっくり達は、情け容赦なく痛めつけていく
『おお、やめてやめて』
『おお、いたいいたい』
きめえ丸のような言動はするものの、中身は普通のゆっくりのまま
『おお……ゆっくりしたい…ゆっくりしたい……』
一匹残らず、野生のゆっくりに痛めつけられて、飼いゆっくり達は殺された
だけど……
『どぼぢでおちびちゃんがおがじいのおお!?!!』
『おお、ひぢょいひぢょい』
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
変化は止まらなかった
ゆっくりの中身は、基本的には餡子だ
ゆっくりは餡子が好みで、あまあまというご馳走として認識している
ゆっくりできないゆっくりを殺した後、何処からか出てくる物としても認識している
当然、あの飼いゆっくりを殺したゆっくりは、飼いゆっくりの中身を食べたんだ
そうしたら……
『む~しゃ、む~しゃ、しあわせー!!』
『あまあまがいっぱいだね!』
『おお、おいしいおいしい』
『おお、たくさんたくさん』
飼いゆっくりのように、きめえ丸のような言動をするゆっくりに変化していった
『ゆっくりできないゆっくりはしんでね!』
『おお、やめてやめて』
ゆっくりがゆっくりを痛めつけるのは、延々と終わらなかった
変化したゆっくりを殺し、その死骸を食べ、また変化して殺されて……
『おお……くうふく……くうふく……』
最後の一匹になるまで、そんな事が続いたのさ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
村人達はなんとも無かった
慰霊碑を建てなおしたのが良かったのか……それとも別の何かが有るのか……
人間に利かないんじゃないかって?
それはないよ
今から○○年前の、T都で起こったあの事件……
1人の虐待お兄さんがペットショップに侵入して、全てのゆっくりを殺したってアレ
あれ?知らない?それで新聞部としていいの?
あの虐待お兄さんね……その田舎に居た飼い主と同じ名前なんだ
マスコミも連日騒いで居たでしょ?きめえ丸のような虐待をしていたって
調べて見れば解ると思うけど……田舎から逃げた後、勤めた会社を全てリストラされてるんだよね
それも決まって、きめえ丸に似たような言動が、同僚の邪魔をしたって言ってたじゃないか
そもそもペットショップで起きた事件も、殺した方法が余りにも特異だったじゃないか
何にも触れず、何もせず……ただ全てのゆっくりをショック死させたって
推測だけど……あの飼い主さん、全てのゆっくりからゆっくり出来ないって嫌われるようになったんじゃ
ないかな?だってきめえ丸に似てきたわけだし
一応はゆっくりを飼ってたんだよ?さぞかし、つらかったんじゃないかな
だからどうしてもゆっくりが欲しくて、ペットショップに入ったんだけど……
ま、これは俺の想像だから、実際は違うかもね
それでも、あの事を何も関係がないとは、とても思えない
だからやっぱり……きめえ丸の怨念は人にも利いて
もし慰霊碑を建てなかったら……俺が生まれてたかどうかも、定かじゃなかったんだな
そう思うんだ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「以上……親父から聞いた話でした」
「どうも。ありがとうございました」
田舎の話とはいえ、そんな話とは思わなかった
せいぜい、それこそ先のきめえ丸の乱獲時の話かと
しかし、その飼い主さん、いくら自業自得に近い事をしたとは言え……
「きめえ丸も馬鹿には出来ないんだな」
「他のゆっくりもよ……なんでアレ、命を多量に奪うのには変わりないもの」
「そうですね」
確かに
そう思うと、虐待お兄さんとか、先のゆっくりんぴーすは大丈夫だろうか?
まあ、いちいちそんな事気にしているような人種ではないんだろうけど
「残ったのは僕と貴方ですけど……どちらを聞きますか?」
「もう残り2話か。意外と早いんだな」
「ああ。もう少しかかるかと思ってた」
「それで、聞き手君はどっちを選ぶんだ?」
「そうですね……では貴方に」
「先が僕か。じゃあ、トリに相応しい話を期待しながら、語るとしましょう」
「期待に沿えるかは知らないけど、君の話も期待しておくよ」
「そうね。どんな怖い話をご存知なのかしら?」
テープと頁を変える
どちらも充分に余裕がある
例え残りの2話が長くなっても、大丈夫だろう
「どうぞ」
「では……」
6番目の怖い話が語られる
今度はどんな話なのだろうか……
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「僕が語るのは、群中のゆっくりに食われ続けたゆっくりの話です」
第6話 『餡子を出す機械』へと続く……
作者名:蛇足あき
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俺が語るのは、田舎であった話。不可思議な呪いの話だ
俺の親父の生まれ故郷であるその村では、あるゆっくりを乱獲していたんだ
きめえ丸をさ
目的は分からない。何せ随分と昔……ゆっくりが現れた時の話らしいから
その容姿から、卑猥な目的の為だとか、当時はゆっくりを愛護していたから邪魔者を消す為とか、単純に
うざいからとか、もしかしたら他のゆっくりも獲っていたけど、きめえ丸が多かっただけとか……
色々言われているが、真相は解らず終いだ
少なくとも、親父が生まれる前には、きめえ丸はその村の周辺には、一匹残らず居なくなったって聞いて
いる
それでもって、他のゆっくりはまだ残ってたらしい
その辺から、やっぱりきめえ丸だけを執拗に獲っていたのは、確かなようだ
ある日の事、1人の坊さんが村へと立ち寄った
その坊さんは一直線に、村長さんの所へ行って
『このままでは、この村は地獄に落ちる』
なんて言ったらしい
坊さんが言うには、この村の連中が乱獲した生物の怨念が、村を覆っているそうだ
今は影響が無いかもしれないが、放って置くと確実に影響が出るに違いない
その怨念から身を守る方法を教えて上げるから、今すぐ村の住人全てを集めてくれ
まあ、田舎とはいえ、携帯電話が通じるような時代
そんな事を言われても、普通だったら信じなかっただろう
とはいえ、生物を必要以上に乱獲したのは確か
それにそんな不吉な事、本当か嘘かはともかく、出来るだけ早く片付けたい
無償で手伝ってくれると言う坊さんの説得もあって、村の連中は集まり、坊さんの言う事を聞いた
なんて言うんだっけ……えっと……戦没者とかに建てられる……
そうそう。慰霊碑って奴だ
坊さんが指定した、ちょっとだけ立派な岩を、男達が指定の場所に運び
きめえ丸の霊を鎮める為、数匹のゆっくりを生贄として、慰霊碑を建てたんだ
その後は坊さんと村中の人間で、訳の分からないお経を唱えた
それをすると、坊さんは立ち去って言った
特に、もう何かを供える必要も無く、何か特殊な行事が必要と言う訳ではない
ただ、この慰霊碑を壊してはいけない
それだけを伝えてさ
村としても、特に壊す必要性がある場所じゃなかったし、なんだかんだで、対策をしたって言い訳が欲し
かったらしいから、その慰霊碑は壊されない程度に、大事にされてたんだ
その後に生まれた親父も、特に壊そうなんて考えずに生きてきたって訳さ
ま、予想がつくだろうけど
そんなのを壊す奴なんてのは、やっぱり現れるんだよね
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
親父の故郷は、なんだかんだで自然が多くてさ
当然、それを求める余所者も来るって訳だ
余生をそこで過ごすとか
別荘があるとか
村としても、別に余所者を拒んでいたわけじゃない
特に迷惑をかけるような人が居なかったのが原因かもしれないし
野生のゆっくりによる被害を抑えようと、皆で一致団結するから、結束が強まっていったのかもしれない
まあ、世の中そんな人間だけじゃないんだが
ある時、1人の男がその村へと引っ越してきたんだ
飼いゆっくり一家と一緒にな
と言っても、この飼いゆっくりはただのゆっくりじゃなかった
『ゆふん!まりささまはぷらちなばっじなんだぜ!』
あるゆっくりんぴーす公認の、プラチナバッジを着けたゆっくりなんだ。それも一家全員が。生まれたば
かりであろう赤ゆっくりにも
プラチナバッジの規定には、とても届いて居ないのに
かといって偽物って訳でもない。きちんとした証拠書類もあった
ま、予想が付くだろうけどさ
『このおやさいはまりささまのものだぜ!』
『これはれいむのものだよ!かわいいからとうぜんだよ!』
『れいむはぷらちなばっじだよ!わかったらいうことをきいてね!』
『きいちぇね!』
『きくんだじぇ!』
ゲスだったのさ
野菜を奪うのも、店の商品を奪うのも当たり前
時には、勝手に家に上がりこんでは滅茶苦茶にしたり、おうち宣言までしたりもした
当然、飼い主は
『プラチナバッジはそんな事しない』
って、典型的な迷惑をかける飼い主でね
余りにもしつこく食い下がった村人には暴力を振るうわ、村長には金を渡して揉み消そうとするわ、嫌が
らせもしたり、ゆっくりんぴーすがどうのとか、移住権がどうたらとか……酷い人間だったみたいだ
挙句に
『ゆべええ!!!』
『来るんじゃねえ!この野良ゆっくり!!』
『おにいさん!はやくそのきたないゆっくりをころしてね!』
『れいむにたてつこうなんてばかなの?しぬの?』
野生のゆっくりには、何の慈悲もなく潰していたんだ
きっとだけど、バッジだって試験で入手したとかじゃない
金を積んで入手したんだろうね
それでもって、村の掟というか、しきたりを守ろうともしない
当然、あの慰霊碑についてもね
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
その男が引っ越してきて、一ヶ月が経過した時だった
『まりささまはつよいんだぜ!』
『まりさすごーい!』
『おちょうしゃんしゅごーい!』
『まりしゃもしゅるー!』
飼いゆっくり達が、慰霊碑を壊してしまったんだ。強さを誇示する為にね
村人達は恐れた
たかがゆっくりとはいえ、信用ならない坊さんとはいえ、何か起こるのは嫌だからと建てた慰霊碑を、余
所者が壊してしまった
何とかしなければいけない
直に建て直すか、飼いゆっくり達を供えるか、謝らせるかしないと村人達考えた
村人達は総出で、飼い主の所へと詰め寄って、何とかするように言ったんだ
飼い主は
『何それ?非科学的すぎるんですけどw』
なんて言って取り合わず
飼いゆっくりも
『ばかなこといってるよ!』
『みんなだまされたんだよ!』
『ばーきゃ♪ばーきゃ♪』
『あんきょにょうだにぇ!』
なんて言って、謝る気なんて毛頭なかったみたいだ
村人達は諦めて、せめて自分達には何も無いようにと、慰霊碑を建てなおして、お坊さんと唱えたお経を
唱え、野生のゆっくりを供えた
飼いゆっくりや飼い主からすれば、滑稽に見えたんだろうね
『こんなもの、すぐにこわせるんだぜ!』
それから何度も何度も、飼いゆっくり達は慰霊碑を壊したんだ
その度に村人達は、飼い主達を無視して慰霊碑を建てなおし、野生のゆっくりを供えた
飼いゆっくりが飽きるまで、何度も何度も、ね
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
飼いゆっくりが、慰霊碑を壊さなくなって数日が経過した時だった
その日、いつものように飼いゆっくりが畑を荒らしていたんだ
畑の持ち主は、追い払おうと近づき、怒鳴りたてる
『おい!お前ら……?』
しかし様子がおかしい
いつもの飼いゆっくりと、何かが違ったと感じ取ったそうだ
それは馬鹿にされて、はっきりと解った
飼いゆっくりの顔がおかしかったんだ
きめえ丸のような、普通のゆっくりはまずしない顔
そして
『おお、おそいおそい』
『おお、おばきゃおばきゃ』
そんな言動
スピードも、容姿も、特徴も、全て飼いゆっくりの物なのに、まるできめえ丸のような言動をする
持ち主が唖然としている間に、飼いゆっくりは逃げていったんだ
それが最初に目撃された、飼いゆっくりの変化
『おお、よこせよこせ』
『おお、おばかおばか』
持ち主が見た飼いゆっくり以外にも、全ての飼いゆっくりはそんな言動になったし
『あのゆっくり、ゆっくりしてないね』
『むきゅ。みちゃだめよ』
『おお、ひどいひどい』
『おお、とりけせとりけせ』
野生のゆっくりも、馬鹿にするようになっていった
『おお、きもいきもい』
『おお、どうしてどうして』
『おお、もどっちぇもどっちぇ』
飼いゆっくり同士でも、お互いの異常性は感じ取っていたらしい
まあ、自分が異常と認識していたとは、到底思えないけどね
ここまで来ると、村人達は直に解った
きめえ丸の怨念だと
こんな形で出るとは思えなかったけどね
さすがの飼い主も、ここまで来ると飼いゆっくりが異常だと認めるしかなかった
でも、往生際が悪いと言うか
『ここの空気やら食べ物が悪いんだ!なんとかしろ!!』
って、決して呪いとも自分が悪いとも認めなかった
当然、対策なんて取らなかったようだよ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ある日
『おお、よこせよこせ』
いつもの通り、飼いゆっくりが店の品物を奪いにくる
『誰がお前等に……?』
店のおばちゃんが追い払おうとすると、ある違いに気付いた
飼いゆっくりの飾りが、毟り取られていたんだ
それも、一匹だけじゃない
『おお、じじいじじい』
『おお、よこせよこせ』
『こいつ等……バッジが?』
『野生にでも襲われたか?』
飼いゆっくり達を追い払った村人は、飼い主を訪ねた
飼い主の家は、家財道具も何も無く、まるで誰も住んで居ないように見えた
村人達は感づいた
バッジを毟り取って、飼いゆっくりを捨てたんだって
村人達は、無責任な飼い主だと罵る一方で、もう飼いゆっくり達に後ろ盾が無い事を知った
『よくも今まで好き勝手にやってくれたな!!』
『この!この!!』
『おお、いたいたい』
『おお、やめてやめて』
村人は飼いゆっくりを痛めつけた
『おお、にげろにげろ』
『おお、くずはしねくずはしね』
と言っても殺すほどじゃない
会う度会う度、死ぬ程痛めつけたが、決して殺しはしなかった
当然、飼いゆっくり達も学習して、村人に近づかなくなっていった
とはいえ、元は飼いゆっくりだ
『おお、おなかすいたおなかすいた』
『おお、がまんがまん』
『おお、はやくいけはやくいけ』
『おお、むごいむごい』
飼い主がいなくなり、餌の採り方も、巣の作り方も知らないのに、野生として生きていける筈もない
当然
『ゆっくりできないゆっくりがいるよ!』
『きもちわるいよおお!!』
『ゆっくりできないゆっくりは、ゆっくりしないでしんでね!』
野生のゆっくり達は、情け容赦なく痛めつけていく
『おお、やめてやめて』
『おお、いたいいたい』
きめえ丸のような言動はするものの、中身は普通のゆっくりのまま
『おお……ゆっくりしたい…ゆっくりしたい……』
一匹残らず、野生のゆっくりに痛めつけられて、飼いゆっくり達は殺された
だけど……
『どぼぢでおちびちゃんがおがじいのおお!?!!』
『おお、ひぢょいひぢょい』
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変化は止まらなかった
ゆっくりの中身は、基本的には餡子だ
ゆっくりは餡子が好みで、あまあまというご馳走として認識している
ゆっくりできないゆっくりを殺した後、何処からか出てくる物としても認識している
当然、あの飼いゆっくりを殺したゆっくりは、飼いゆっくりの中身を食べたんだ
そうしたら……
『む~しゃ、む~しゃ、しあわせー!!』
『あまあまがいっぱいだね!』
『おお、おいしいおいしい』
『おお、たくさんたくさん』
飼いゆっくりのように、きめえ丸のような言動をするゆっくりに変化していった
『ゆっくりできないゆっくりはしんでね!』
『おお、やめてやめて』
ゆっくりがゆっくりを痛めつけるのは、延々と終わらなかった
変化したゆっくりを殺し、その死骸を食べ、また変化して殺されて……
『おお……くうふく……くうふく……』
最後の一匹になるまで、そんな事が続いたのさ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
村人達はなんとも無かった
慰霊碑を建てなおしたのが良かったのか……それとも別の何かが有るのか……
人間に利かないんじゃないかって?
それはないよ
今から○○年前の、T都で起こったあの事件……
1人の虐待お兄さんがペットショップに侵入して、全てのゆっくりを殺したってアレ
あれ?知らない?それで新聞部としていいの?
あの虐待お兄さんね……その田舎に居た飼い主と同じ名前なんだ
マスコミも連日騒いで居たでしょ?きめえ丸のような虐待をしていたって
調べて見れば解ると思うけど……田舎から逃げた後、勤めた会社を全てリストラされてるんだよね
それも決まって、きめえ丸に似たような言動が、同僚の邪魔をしたって言ってたじゃないか
そもそもペットショップで起きた事件も、殺した方法が余りにも特異だったじゃないか
何にも触れず、何もせず……ただ全てのゆっくりをショック死させたって
推測だけど……あの飼い主さん、全てのゆっくりからゆっくり出来ないって嫌われるようになったんじゃ
ないかな?だってきめえ丸に似てきたわけだし
一応はゆっくりを飼ってたんだよ?さぞかし、つらかったんじゃないかな
だからどうしてもゆっくりが欲しくて、ペットショップに入ったんだけど……
ま、これは俺の想像だから、実際は違うかもね
それでも、あの事を何も関係がないとは、とても思えない
だからやっぱり……きめえ丸の怨念は人にも利いて
もし慰霊碑を建てなかったら……俺が生まれてたかどうかも、定かじゃなかったんだな
そう思うんだ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「以上……親父から聞いた話でした」
「どうも。ありがとうございました」
田舎の話とはいえ、そんな話とは思わなかった
せいぜい、それこそ先のきめえ丸の乱獲時の話かと
しかし、その飼い主さん、いくら自業自得に近い事をしたとは言え……
「きめえ丸も馬鹿には出来ないんだな」
「他のゆっくりもよ……なんでアレ、命を多量に奪うのには変わりないもの」
「そうですね」
確かに
そう思うと、虐待お兄さんとか、先のゆっくりんぴーすは大丈夫だろうか?
まあ、いちいちそんな事気にしているような人種ではないんだろうけど
「残ったのは僕と貴方ですけど……どちらを聞きますか?」
「もう残り2話か。意外と早いんだな」
「ああ。もう少しかかるかと思ってた」
「それで、聞き手君はどっちを選ぶんだ?」
「そうですね……では貴方に」
「先が僕か。じゃあ、トリに相応しい話を期待しながら、語るとしましょう」
「期待に沿えるかは知らないけど、君の話も期待しておくよ」
「そうね。どんな怖い話をご存知なのかしら?」
テープと頁を変える
どちらも充分に余裕がある
例え残りの2話が長くなっても、大丈夫だろう
「どうぞ」
「では……」
6番目の怖い話が語られる
今度はどんな話なのだろうか……
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「僕が語るのは、群中のゆっくりに食われ続けたゆっくりの話です」
第6話 『餡子を出す機械』へと続く……