ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0521 久城学園の不思議
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※久城学園の飼育→久城学園の夜→と続いています
この二つを読まないと、訳がわからないかもしれません
ギャグです、ぬるいじめです
HENTAI注意
今回の登場人物
まりさ 今回の主人公。
久城先生 学校の理事長。胡散臭い笑みが素敵なお兄さん。
鬼居先生 芽出先生(同僚のお姉さん。今回は登場無し)LOVEの人。
めーりん 金バッチ。中身は激辛ピザまん。
あらすじ
人間の卑怯な罠に落ちて、お帽子に鎖を取り付けられてしまったまりさ。
しかし、人間の手先となっためーりんを聡明なるまりさの作戦によって倒し、
ついに、自らの手で自由を手にしたまりさ・・・。
卑劣な手段で自分を捕また人間に、まりさの復習が始まるのだった・・・。
・・・以上まりさの餡内(脳内)より引用。
以下本編
キーンコーンカーンコーン
・・・という鐘の音が鳴り響いていた校舎も今はしいんと静か。
それは、今が真っ暗な夜だから。
中等部の生徒達は既に家に帰り、昼間の喧噪が嘘であるかのよう。
その、真っ暗な校舎の隅をぽよん、ぽよんと跳ねる一つの影・・・。
ゆっくりまりさだ。
先ほど帽子を交換したまりさの事は心配要らないだろう。
あのおうちに居る限りは人間は手出しができない。
人間に使われている以上、れみりゃだって手出しは出来ないのだから。
たしかに、毎日人間がご飯を持ってくるのは魅力的だ。
町にいる間、まりさはちっともゆっくり出来てはいなかったのだ。
しかし・・・とまりさは思う。
もともとまりさは、人間が独り占めしている野菜を取り返しにきたのだ。
たしかに人間が持ってきた『きゅーしょく』とかいうのは美味しかった。
しかしだ、ケチな人間がわざわざまりさに持ってきたくらいだ。
あんなに大事にしているお野菜はもっと美味しいに違いないのだ
残念ながら、畑の周りには、人間が卑怯にも罠を仕掛けている。
それに、あのお帽子を交換したまりさも助けに行かねばなるまい・・・。
まりさ程ではなかったが、まりさはたしかにあのまりさ(山まりさ)の中にも見いだしていたのだ。
決して、人間に下ることのない強い意志を。
まりさは、元々飼いゆっくりだった。
とは言っても、飼い主が気まぐれに、捕まえてきた二匹に作らせた子供ではあるが。
子供が出来た途端、両親は捨てられた。
そんなことをする飼い主に、まともな躾が出来るはずはない。
しかも、野良の二匹から生まれた子供なのだ。
案の定自分の強さを勘違いし、増長したまりさは、春になって放り出された。
・・・選別に、残ったゆっくりフードを持たされて。
運良くまりさは学校からの脱出に成功した。
それは、山まりさが連れてきた子ゆっくりの一部が校舎に侵入し、人間とれみりゃがそっちを追っていたためではあったが・・・。
まりさは、ひとまず自分の『おうち』へ向かい、その後近くの公園に集まっているゆっくり達を総動員。
人間のあの大きなお家へ攻め込む、という絵を描いていた。
ぽよん、ぽよんとまりさは進む。
おうちに残してきたれいむとおちびちゃんが心配だった。
聡明なれいむのことだ、何も心配はいらないだろう。
それに、まりさに万が一のことがあったときのため、お家にはれいむとおちびちゃんが暫く暮らせる食料を置いてきた。
だが、もし人間に見つかれば、卑怯な人間に何をされているかわからない・・・。
英雄であるまりさなら兎も角、普通のゆっくりが人間に適うはずはない。
学校の近く、路地裏に段ボールが積んである場所がまりさの『まいほーむ』だった。
まりささがおうちに近づくと、れいむの背中が見えた。
だが、様子がおかしい。
・・・まるで、れいむの様子はおちびちゃんが永遠にゆっくりしてしまった時のように暗い・・・。
何かあったに違いない・・・自然とまりさのあんよは速度を増した。
「れいむっ!?どうしたんだぜっ!!!」
慌てて家に飛び込むまりさ。
家の中に変わったことは・・・
居ない!ありさのおちびちゃんが居ない!
それに、まりさが貯蔵しておいた食料が、食い散らかされていた。
「れいむ!いったいなにがあったんだぜっ!!!」
振り返ったれいむの目に映ったのは、一人のまりさ。
そのお帽子は・・・お帽子は・・・あの、まりさであった。
山から下りてきたばかりで、ご飯の取り方が分からずに飢え死にしかけていたあの。
れいむは、狩り(ごみ漁り)が上手だったし、夫であるまりさの残してくれた食料もある・・・。
だから、れいむはそのまりさを助けてやった。
水と、食料を与えてやることによって。
だが、あのまりさはご飯をひっくり返した。
「こんなまずいもの、たべられるわけないでしょぉぉぉぉ!?ばかなの!?しぬの!?」だ。
れいむが必死に集めた食料を・・・。
仕方なく、れいむはまりさが残した食料を与えてやった。
乾式のゆっくりフードだ。
万一、ご飯が取れなくなった時のため残しておくつもりだったが・・・。
次の日、れいむは食料を見つけることが出来なかった。
人間が、ご飯を捨てている箱にふたを付けたのだ。
どうせ捨てるなら、れいむたちにくれてもいいのに・・・。
だが、そんなことを言っても仕方がない。
れいむは、山から来たというまりさに子供を預け、少し遠くまでご飯を探しに行くことにした。
果たして、ご飯を見つけることは残念ながら出来なかった。
仕方がない・・・今日はまりさが残してくれた食べ物を食べよう。
早くまりさは帰ってきてくれないかな。
・・・家に帰ってきたれいむが見たものは、食い散らかされたごはんと、
だれも居ない家だった。
まさか、人間が来たのか!?
慌てて何があったのか、この場に住む長老ぱちゅりーに訪ねる。
れいむに返って来たのは意外な答え。
「むきゅん・・・れいむがかくまっていたまりさが、
みんなのおちびちゃんをつれてにんげんのいえにいっちゃったの」
「ゆぅぅぅぅ!?」
「れいむ、ざんねんだけど、あなたをこれいじょうここにおいておくわけにはいかないわ。
あなたがここにいるとおちびちゃんをとられたほかのみんなが、とてもゆっくりできないもの・・・」
「ゆあ゛ぁぁぁぁぁぁ!れいぶはなに゛もじでないのにい゛ぃぃぃぃ!?」
「・・・おなじことよ。あなたがたすけたまりさがあんなことをしてしまったんだもの。
あなたがあのまりさをたすけなければ、おちびちゃんたちはぶじだったの!!!」
「でも゛・・・でも゛・・・でいぶのまりざががえっでくるがもじれないのに゛ぃっ!」
「・・・れいむのまりさも、にんげんさんのおうちにやさいをとりにいったんでしょう?
ざんねんだけど、もうあきらめなさい・・・きょうはもうくらいから、あしたのあさまではいてもいいわ
だけど、あしたおひさまがのぼったら、すぐにでていくのよ。
ゆっくりしないでね!!」
ゆっくりしないでね・・・ゆっくりにとって、これほどの拒絶があるだろうか?
兎も角れいむは、これ以上此処には居られないのだと悟り、涙を流した・・・。
そこへ、まりさが帰ってきたというわけだ。
あのお帽子を見間違えるはずはない。
助けてあげたのに、ご飯を食い散らしていった。
助けてあげたのに、おちびちゃんを奪った。
あの、憎い、憎い、まりさだと。
「ゆあ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!ゆっぐりじないでじねえぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
憎しみを込めて飛びかかるれいむ。
まりさは、訳が分からなかった。
人間の居場所からやっと帰ってきたのに・・・おちびちゃんは居ない。
れいむは、ゆっくりしていない顔でまりさに攻撃を仕掛けてくる。
「れいむっ、やっ、やめるんだぜ!まりさはまりさなんだぜ!わからないのかだぜ!」
「わがらいでがああああぁぁぁぁぁぁ!!わがるがら、ゆっぐりじないで、じねぇぇぇぇぇ!!!」
「ゆうぅぅぅぅぅぅ!?」
容赦のないれいむの攻撃。
最初は長いこと家を空けて拗ねているのかと思ったが、どうも違うらしい。
一体、何が起こったのか。
しかし、このまま攻撃を受け続ければまりさだってゆっくりできなくなる。
仕方がない、ちょっとれいむには落ち着いてもらうためだ。
軽くのし掛かって、押さえ込もう。
「ゆん!」
「ゆが!?」
まりさは、間違ってしまった。
それは、今まで通りの力で体当たりしてしまったこと。
・・・一週間以上鎖で繋がれ運動はしない。
なのに、子供達が給食の残りを持ってくるためまりさの栄養状態は豊富・・・。
詰まるところ、その、デブっていた。
重さが増えれば、当然のしかかりの破壊力も増す。
さっきまで泣いて、体の水分が少なくなっていたれいむ。
・・・食べ物が見つからず一日以上何も食べていない。
更にはさきほどのぱちゅりーの言葉。
死にそうなほど弱っていた(と思い込んでいる)れいむは、その重圧に耐えきれなかった。
体に圧力をかけられたれいむは、餡子をはき出して、永遠にゆっくりしたのだった。
「ゆがあぁぁぁぁん!なんでぇ!?なんで、えいえんにゆっくりしちゃうんだぜぇぇぇぇぇ!!!」
当然、まりさは訳が分からない。
軽く押さえ込んだだけで餡子をはき出してしまったのだから。
まりさは自分がデブっているという自覚など無い。
なんで、なんで、なんで、なんで。
訳が分からずに、騒ぐまりさの声は当然響き渡る。
その声を聞きつけて、他のゆっくり達が家から這い出てきた。
見れば、おちびちゃんを奪っていったまりさ(の帽子をかぶったまりさ)。
なぜここにいる。
おちびちゃんはどうした。
やっぱり、にげかえってきた。
おちびちゃんがいない。
きっと、にんげんにころされたんだ。
どうして、おまえがここにいる。
どうして、おまえはしんでないんだ。
「ゆ・・・ゆぁあ?」
まりさに向けられる、明らかな殺意。
まりさは、(ゆっくりにしては)聡明だった。
危機を感知する感覚が鋭かった、と言ってもいい。
此処にいてはいけない・・・まりさは、再び逃げ出した。
後ろでは、まりさを睨み付ける視線。
あの場のゆっくり全てがまりさを追いかけてきている気がした。
まりさは再び学校に戻ってきていた。
道行くゆっくりの全てから、殺意を投げかけられる。
まりさには、訳が分からなかった・・・。
何かが狂ってしまったに違いない。
そうだ、もう一度帽子を取り替えよう。
もう一度、人間のところでゆっくりしてあげよう。
そう思った。
校庭のれみりゃは、もう居なくなっていた。
先ほどまで、ほのかに付いていた高等部の明かりも消え、まりさを照らすのは月明かり。
遠くで光る街頭だけ。
まりさは、先ほどまで自分が居た犬小屋の前に帰ってきた。
だが、小屋の鎖には、自分の帽子が繋がれていない。
まさか!まりさの帽子をちぎって逃げ出したのか!?
あわてて、小屋の入り口に向かう。
だが、黒くてどろどろに溶けた何かが、ぽつんと入り口に置いてあった。
何だろう?と近づくと、つーんとした臭いが漂ってくる・・・。
「ゆあああああ!くさい、くさいんだぜぇぇぇぇぇぇ!」
だめだ、とても臭くてくわえる事なんて出来ない・・・。
こんな臭い物、くわえることなど出来ない!
元々飼いゆで、それなりには美ゆっくりの部類に入っていたまりさはすぐにつがいをみつけた。
小汚いれいむではあったが、おうちを持っているのが魅力だった。
残念ながら、れいむは狩りが下手であった。
れいむが持ってくる食べ物は、みんなこんな酷いにおいのするものだったのだ。
まりさに、そんなものが食べられるはずがない。
まりさはれいむが取ってきた食べ物に口を付けることはなく、持たされたフードを食べ続けた。
・・・れいむには決して分けることはなく。
だから、お野菜が有る場所があると聞いて、すぐに人間から取り返すことを選んだのだが・・・。
こんな臭い物が置いて有る以上、家の中には入れそうになかった。
呼びかけてみても返事はないし、外にお帽子もない。
おそらく、中には居ないんだろう・・・。
まりさはそう判断した。
ならば、こんな所に用はない。
そうだ、この大きなお家をまりさのものにしてやろう。
その方が、人間なんかに使われるよりもずっと家も喜ぶだろう。
まりさは、そう考え、校舎の周りを一周した。
すると、どうだろう。
侵入するのに丁度良い穴が開いているではないか。
この穴、風の流れを起こすために低い位置と高い位置に2カ所設置された通風口である。
本来であれば、このような通風口にはゆっくりが入ってこないようにするため、柵を取り付ける。
しかし、何故か此処に柵は付いて居ず、大きく口を開けた暗闇が広がっているだけであった。
・・・まりさは思った。
この家は、まりさに使われたがっているんだっ!
間違いない、と。
まりさはそこから校舎に入っていった。
「きょうから、ここはまりささまのおうちなんだぜ!」
ポチャン。
まりさの『おうち宣言』に答えたのは、水の音だけ。
暗い校舎の中、まりさに答える物は誰もいない。
これで、この大きなおうちはまりさの物になったのだ。
いくら人間でも、人の家に土足で入り込み、家主を追い出すような無礼なことはしないだろう。
まりさのゆん生は、順風満帆である。
「ん?なにかいいにおいがしてるのぜ」
良くは分からないが、良いにおいがしている。
まりさは、周囲を見回した。
するとどうだろう?
並んだ白い容器に良いにおいのする玉が二、三個転がって入って居るではないか。
これは、まりさへの贈り物に違いない。
さしもの人間も、まりさの偉大さに気づき、早速贈り物を用意したわけだ。
「ゆふう、はじめからこういうたいどならまりささまもかんだいにならざるおえないのぜ。
しかたがないのぜ、このいえのにんげんはまりささまのどれいとしてつかってやるのぜ。」
器用にも、そう喋りながら玉を口に入れるまりさ。
口に入れた瞬間、何とも言えない臭いと、嫌なしょっぱさが口中に広がり・・・
「ゆげぇぇぇぇぇ!なんなんだぜっ!」
まりさはそれをはき出した。
「ぐうううう!まりささまにどくをよういするなんて、にんげんめ、やっぱりいたいめにあわせないとだめなのぜ!」
はき出して正解であった。
トイレの芳香剤などを食べれば、生命力の強いゆっくりと言えど、死に至るであろう。
だが、自信のそんな幸運に気づかないまりさは、にんげんをやっつけると意気込み、先へ進もうとした。
幸い、トイレのドアは引き戸で、少し隙間も空いていた。
まりさは、こんな薄暗いところに興味は無いと、トイレの入り口に向け跳ね始めた。
「あかないよぉぉぉ」
が、急に聞こえてきた声に足を止める。
「な、なんなんだぜ?だれかいるのかだぜ?れいむ?ありす?」
「あかないよぉぉ、あかないよぉぉぉ」
「ゆっ!ひきょうなんだぜ、すがたをみせるんだぜっ!」
まりさが、何を言おうと声の主は開かない、開かないと繰り返すばかり。
二・三回、問いを返したが声の主は同じ事しか言わず、だんだんと腹が立ってきた。
まりさはそんな愚図には用は無いのだ。
こんな薄寒い毒の置いてある変な場所ではなく、暖かく食べ物のあるどこかに行かなくては。
「ゆ、そんなことまりささまのしったことじゃないのぜ。
あかないなら、そこでゆっくりしてればいいんだぜ。まりさは、おししいごはんを狩りにいくのぜ!」
「あかないの・・・ドアが・・・あかないのぉぉぉぉぉ!!」
まりさが、大声で声の主に叫んだ瞬間、バタン!とドアが開く。
中から、すごい形相の少女が涙を流しながら前方に手を伸ばす。
ゆううううう!
少女のあまりにゆっくりしていない様に腰(?)を抜かし、しーしーを漏らすまりさ。
いくら相手が愚図の人間だったとはいえいきなり出てくればまりさだって怖いのだ。
少女は目線の先に誰もいないことを確認すると、だんだん下に目線を下ろし。
「なーんだ、ゆっくりか。出てきて損した~」
トイレに帰っていった。
「な・・・!なんだったんだぜ?にんげんのぶんざいでまりささまをおどかすなんていちまんこうねんはやいのぜ!」
しまった、光年は時間じゃない・・・距離だ。
などと自分で突っ込む知能がまりさに有るはずもなく、不満を垂らしながら外に出た。
あんよがしーしーで濡れて、べちょべちょと気持ちが悪かった。
―その1・トイレの花子さん―
しばらく進むと、まりさの目に光が入ってきた。
宿直室である。
こんどはまともな食事にありつけるだろう。
まりさは、意気揚々と光に向かい、さっきのことを思い出した。
もしかしたら、また人間が居てまりさを脅かすために隠れているかもしれない・・・。
現に、中から人間の声がした。
さっきのようにしーしーを漏らしてはまりさの沽券に関わる。
まりさは、少々様子を見ようと、ドアの隙間から中を覗いた。
宿直室内部
「ああ、お前が無事で良かったよ」
「じゃおっ」
「ああ・・・一目見たときから、お前が・・・」
「じゃおおお(///)」
「しかし、俺には芽出先生という心に決めた人が・・・でも」
「じゃお?」
「そうだね・・・痛くしないから、さあ、おいで」
「じゃっじゃおー?」
鬼居先生の只ならぬ雰囲気に、慌てて逃げ出すががっちりと捕まれてしまう。
心なしか、鬼居先生の顔が赤い。
もしかしたら、病気なのかも・・・
「・・・大丈夫、優しくするよ」
そう言いながら、めーりんのまむまむをそっと開き
「クロスッ・イン!」
自らのそそり立つモノをめーりんの中へ。
そして
「いでえええええええええええええええ!!!」
あまりの刺激に絶叫をあげる。
・・・めーりんの中は辛いピザまん。
しかも、先ほどまで命の危機にさらされていたためか、激辛であった。
「いだだだだだ、でも、この痛みが、また・・・」
「じゃぉ!?」
人間でも痛いのに、ゆっくりのぺにぺになど突っ込めば死んでしまう。
めーりんが馬鹿にされるのはこんな理由であったのかもしれない。
少なくとも、ありすからは嫌われるのでは無いだろうか?
「ゆわぁぁぁぁ!な、なんなんだぜあれは!」
まりさは硬直していた。
さっきの何倍も恐ろしいモノを見た気がする。
まりさはあわてて宿直室を後にした。
―その2・宿直室に響く叫び声―
「ゆ・・・おなかがへったのぜ・・・」
思えば、夕方から何も食べて居ない。
このような状態で人間に見つかれば、負ける可能性もある。
速やかに食事を探さなければ・・・。
そう考えながらぽよんぽよんと廊下を進むまりさの前に、小さな何かがあった。
たべものかもしれないのぜ!と思い、ゆっくりと近づく。
・・・お饅頭?
いや、違う、あれは・・・
「まりさ、まりさなのぜ!?」
それは、まりさの子供だった。
が、良くみるとお帽子のかぶりかたがおかしい。
まりさは、お帽子はきっちりかぶる様に教えたのに・・・
帽子は、子まりさの頭で不安げにゆらゆら揺れている。
あれでは、風が吹けば帽子が飛ばされてしまうだろう。
もう一度きっちりお帽子のかぶり方を教えなければ。
手のかかるおちびちゃんだ・・・
そうして、子まりさに近づき
「ゆああああああああああ!」
悲鳴を上げた。
子まりさは、右上の部分が、無い。
右目から頭にかけてがごっそりえぐられていた。
「ゆ・・・ゆう?」
「まりさ、だいじょうぶなのかだぜ!しっかりするんだぜ!」
子まりさが、声を上げる。
息はあることが分かってほっとしたが、このままではいつ永遠にゆっくりしてしまうか分からない・・・
ぺーろぺーろしてあげるために、子まりさの正面に回った。
親であるまりさの姿を確認し、子まりさも声をあげる。
「ゆ・・・にんげんに・・・かてるんじゃ、なかったんだじぇ?」
「ゆ?」
その通りだ、人間なんかまりささまにかかれば・・・
でも、どうしておちびちゃんは今そんなことを言うのだろうか?
「どう・・・して・・・まりしゃたちをおいて・・・にげたのじぇ?」
「ゆぅぅ!?まりさは、にげてなんかいないのぜ!?
こうして、にんげんのおうちをまりさのものに・・・」
「みんな・・・しんじゃった・・・のじぇ・・・
まりさが・・・にんげんに・・・かてるなんて・・・いったから・・・」
「ゆううううう!おちびちゃん、なにがあったのぜ!」
「しねぇ・・・うそつきは・・・しねぇ・・・」
「ゆわあああああ!どぼじでぞんなごどいうのぜぇぇぇぇ!!!」
「しね・・・しね・・・しねぇ・・・」
「ゆわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ!」
激情に任せ、まりさは子まりさを踏みつける。
それでもなお、しねぇ、しねぇ、と声がする。
まりさは、子まりさにのしかかったまま、踏む、踏む、踏む・・・。
「はあ、はあ、ま、まりさはわるくないのぜ!
いうことをきかないおちびちゃんをおしおきしただけのなぜ!
これは、あいがいきすぎたゆえのじこなのぜ!
わるいのはおやにむかってしねなんていうおちびちゃんなのぜ!!!」
誰に言うでもなく、叫ぶまりさ。
そう、まりさは騒ぎすぎた。
夜の学校の管理者に存在を気づかせてしまう程度には。
「しねっ!しねっ!」
「ゆがあああ!まだしねなんていうのかだぜぇぇぇぇぇ!?」
そういって、ぐしゃぐやに皮と餡が混じった饅頭を踏みつける、が、
まりさは気づいてしまった。
廊下の端で月明かりを反射する羽に。
その声が、遠くから自分を狙う声だと言うことに。
「しねっ!し・・・」
夜の学校に放たれた、ふらんである。
学校に侵入してくるゆっくり対策の一つだ。
ゆっくりは1匹見つければ10匹居るといわれている。
学校に侵入されて隙間で子供でも生まれたら、駆除が大変なのだ。
そこで、夜間はふらんを学校に放っておく訳である。
「ゆああああああああああああ、どぼじでふらんまでいるのおぉぉぉぉ!?」
またしてもしーしーを漏らし、絶叫する。
これがふらんではなく、れみりゃだったならまりさは一目散に逃げていただろう。
だが、ふらんは・・・
「あそぼー♪あそぼー♪」
侵入者がまりさだと気づくと、ふらんはにこっと笑いながら、ぱたぱたと近づいてきた。
ふらんは、まりさ種に対して何故だかこのように態度が変化する。
鳴き声も普段は『しね!』としかいわないのだが、『あそぼー』に変わり。
見た感じ、普段の殺意の波動剥き出しのふらんと違いにこにこと飛ぶふらんは可愛い。
が、この場合の『遊ぶ』とは鬼ごっこだ。
それも、捕まれば死。
まりさ種は本能的にふらんを恐れる。
その結果がこれである。
「あーそーぼー」
ゆわわ、としーしを漏らすまりさの周りをぱたぱた飛ぶふらん。
まりさが動き出すのを待っているのだ。
ふらんとしては、遊んでいるつもりなのである。あくまで。
「ゆわーーーーー!!」
しーしを周囲にまき散らしながらも、跳ねる、跳ねる。
その後をぱたぱた追っていくふらん。
この鬼ごっこは、まりさが疲れて足を止めるまで続く。
足を止めれば、中身を吸われ死ぬ。
走っている間は攻撃されないので、苦しみが、残りのゆん生の間永遠に続くのだ・・・。
「あそぼー♪」
そんなことお構いなしに、地獄の鬼ごっこを続けるふらんであった。
―その3・廊下に聞こえる死の呪いの声―
―その4・廊下に誘う遊びの誘い―
どれほど走っただろうか・・・?
もう、まりさは走れそうになかった。
例え、足を止めれば死ぬと分かっていても死んだ方がましだとさえ思えてくる・・・。
死にたくはない、死にたくはないが、休みたい。
ふらふらになりながら、ふらんが自分を見失うことを願って教室の戸をくぐった。
「あそぼー、あそ・・・?」
急に、ふらんが教室の外で足を止めた。
「ゆ・・・?おって、こないのぜ?」
何故だか、ふらんは部屋の中まで入ってこようとしなかった。
このまま此処にいれば、安全だ。
まりさは、ほっとして教室の椅子、机と飛び乗ると、ほうっと息を吐いた。
ふらんは、相変わらず外でふらふら飛んでいるようだが、中に入ってこない。
流石に、ふらんを挑発する気にはならなかった。
此処には入って来れないと分かっても、である。
だが、外にふらんが居る以上ここから出ることはできないだろう。
あれだけ走ったら、お腹が空いた・・・。
まりさは、周囲を見回した。
月明かりに照らされ、部屋の中は見通しが良い。
部屋の中には、棚が並んでいた。
「ななな、なんなんだぜこれはあああああ!?」
今日何度目になるかという絶叫。
棚に並んでいたのは、ゆっくり。
もちろん、ただのゆっくりならばこんな絶叫はあげない。
顔の真ん中から二つに分けられ餡子がよく見えるれいむ。
目玉をえぐり出されたまりさ。
ぺにぺにを切り取られ、苦悶の表情のまま固まっているありす。
ビンの中でぷかぷかと液体につけられたぱちゅりー・・・。
色々な種類のゆっくりがそこには並べられていた。
そのどれもが、苦悶の表情を浮かべている。
こわい、こわい、こわい、こわい、
此処には居たくない!
そうだ、こんな所から逃げ出さなければ!
そう思い入り口を振り向けば、ふらん。
まりさは逃げ出せなかった。
此処に居るのもごめんだが、またふらんに追いかけられるのも嫌だ・・・。
どうすればいい、どうすれば!
ふと、部屋にもう一つ扉が有るのに気づいた。
あわてて飛び込む。
少なくとも、この状況よりはましなはずだ。
「うっめ、これめっちゃうっめ!」
ぴちゃぴちゃと、何かをなめる音。
まりさが飛び込んだ部屋の先で、人間が何かを貪っていた。
「ゆっ!なにをたべてるんだぜ!まりささまがそれはもらってやるのぜ!」
ここは、まりさの家である。
この家にあるものはまりさのモノ。
人間が勝手にそれを食べるのは許されない。
だから、まりさがその食べ物を寄越せと主張するのは当然の事だ・・・。
まりさの中では、こうなっている。
人間は、その声に振り向く。
手には、饅頭。
りぼんの付いた饅頭だった。
「ゆああああああ!?」
「おやあ?ゆっくりですか、いけませんねぇ、こんな所に入って来ては。」
顔を餡子まみれにしてまりさに胡散臭く微笑みかける人間。
人間で言えば、顔を血で濡らして人間の足を掴んだ熊が目の前に出てきたようなものだろうか。
「ゆあ・・・あ・・・」
ついにはまりさの精神は限界を迎え、まりさは白目を向いて失神したのであった。
「おやおや・・・困りましたねえ?まあ、私が甘党だとばらされても格好が悪いですし・・・
処分しておきますかねぇ・・・」
―その5・理科室漂う餡子の香り―
(いだいのぜぇぇぇぇぇ!?)
まりさは、あまりの痛みに目を覚ました。
みれば、横には先ほど棚に並んでいた半分になったれいむ。
(ゆあああああ!なんなんだぜっ!あっちにいくんだぜぇぇぇぇぇ!?)
だが、声が出ない。
聞こえるのは、うー、うーといううめき声だけ。
まりさの体は、セルロイドでコーティングされていた。
声どころか、体を動かすことも出来ない。
ただ、体の痛みだけが伝わってきた。
前方のガラス戸に映る自分の姿。
それは、さっきの子まりさと同じ。
1/4、右上だけが、餡子を剥き出しにされた、顔。
そこから、餡子と中枢餡が見える。
(ゆあ!ゆあぁぁぁぁぁぁ!!なんでっ、なんでまりささまがこんなめにあってるんだぜぇぇぇぇ!?)
(たすけろぉぉぉ!だれか、まりささまをたすけろぉぉぉぉぉぉ!?)
だが、聞こえるのは、同じようなうめき声のみ・・・。
誰も、まりさを助けない。
誰も、まりさに答えない。
(だずげろっ・・・だずげろぉぉぉぉぉぉ・・・)
ゆっくり標本は、ゆっくりが生きた状態でコーティングしてしまうのが普通だ。
普通の生き物と違い、餡子が無くならなければ死なないゆっくりは、この状態でも一年は生きる。
その間、餡子が腐ることもない。
まりさの地獄は、始まったばかりであった・・・。
(だずげろ・・・だずげろぉぉぉぉぉぉ・・・)
「ふむ・・・この位元気なら、二年近く保つかもしれませんね・・・ねぇ?」
―その6・準備室に響くうめき声―
おまけ
「あら、鬼居先生は?」
「なんか、病院行くから今日は休みだってさ」
「珍しい事もあるものねえ?」
「そーだねー。」
あとがき
暫く間が開いてしまったのでリハビリです。
余り虐待出来ていないのですが・・・
すいませんです
かいたもの
ふたば系ゆっくりいじめ 349 久城学園のボランティア
ふたば系ゆっくりいじめ 351 久城学園の飼育
ふたば系ゆっくりいじめ 354 久城学園の運動会~うえ~
ふたば系ゆっくりいじめ 355 久城学園の運動会~した~
ふたば系ゆっくりいじめ 358 久城学園の番人
ふたば系ゆっくりいじめ 363 久城学園の日常
ふたば系ゆっくりいじめ 365 久城学園の夜
これ
この二つを読まないと、訳がわからないかもしれません
ギャグです、ぬるいじめです
HENTAI注意
今回の登場人物
まりさ 今回の主人公。
久城先生 学校の理事長。胡散臭い笑みが素敵なお兄さん。
鬼居先生 芽出先生(同僚のお姉さん。今回は登場無し)LOVEの人。
めーりん 金バッチ。中身は激辛ピザまん。
あらすじ
人間の卑怯な罠に落ちて、お帽子に鎖を取り付けられてしまったまりさ。
しかし、人間の手先となっためーりんを聡明なるまりさの作戦によって倒し、
ついに、自らの手で自由を手にしたまりさ・・・。
卑劣な手段で自分を捕また人間に、まりさの復習が始まるのだった・・・。
・・・以上まりさの餡内(脳内)より引用。
以下本編
キーンコーンカーンコーン
・・・という鐘の音が鳴り響いていた校舎も今はしいんと静か。
それは、今が真っ暗な夜だから。
中等部の生徒達は既に家に帰り、昼間の喧噪が嘘であるかのよう。
その、真っ暗な校舎の隅をぽよん、ぽよんと跳ねる一つの影・・・。
ゆっくりまりさだ。
先ほど帽子を交換したまりさの事は心配要らないだろう。
あのおうちに居る限りは人間は手出しができない。
人間に使われている以上、れみりゃだって手出しは出来ないのだから。
たしかに、毎日人間がご飯を持ってくるのは魅力的だ。
町にいる間、まりさはちっともゆっくり出来てはいなかったのだ。
しかし・・・とまりさは思う。
もともとまりさは、人間が独り占めしている野菜を取り返しにきたのだ。
たしかに人間が持ってきた『きゅーしょく』とかいうのは美味しかった。
しかしだ、ケチな人間がわざわざまりさに持ってきたくらいだ。
あんなに大事にしているお野菜はもっと美味しいに違いないのだ
残念ながら、畑の周りには、人間が卑怯にも罠を仕掛けている。
それに、あのお帽子を交換したまりさも助けに行かねばなるまい・・・。
まりさ程ではなかったが、まりさはたしかにあのまりさ(山まりさ)の中にも見いだしていたのだ。
決して、人間に下ることのない強い意志を。
まりさは、元々飼いゆっくりだった。
とは言っても、飼い主が気まぐれに、捕まえてきた二匹に作らせた子供ではあるが。
子供が出来た途端、両親は捨てられた。
そんなことをする飼い主に、まともな躾が出来るはずはない。
しかも、野良の二匹から生まれた子供なのだ。
案の定自分の強さを勘違いし、増長したまりさは、春になって放り出された。
・・・選別に、残ったゆっくりフードを持たされて。
運良くまりさは学校からの脱出に成功した。
それは、山まりさが連れてきた子ゆっくりの一部が校舎に侵入し、人間とれみりゃがそっちを追っていたためではあったが・・・。
まりさは、ひとまず自分の『おうち』へ向かい、その後近くの公園に集まっているゆっくり達を総動員。
人間のあの大きなお家へ攻め込む、という絵を描いていた。
ぽよん、ぽよんとまりさは進む。
おうちに残してきたれいむとおちびちゃんが心配だった。
聡明なれいむのことだ、何も心配はいらないだろう。
それに、まりさに万が一のことがあったときのため、お家にはれいむとおちびちゃんが暫く暮らせる食料を置いてきた。
だが、もし人間に見つかれば、卑怯な人間に何をされているかわからない・・・。
英雄であるまりさなら兎も角、普通のゆっくりが人間に適うはずはない。
学校の近く、路地裏に段ボールが積んである場所がまりさの『まいほーむ』だった。
まりささがおうちに近づくと、れいむの背中が見えた。
だが、様子がおかしい。
・・・まるで、れいむの様子はおちびちゃんが永遠にゆっくりしてしまった時のように暗い・・・。
何かあったに違いない・・・自然とまりさのあんよは速度を増した。
「れいむっ!?どうしたんだぜっ!!!」
慌てて家に飛び込むまりさ。
家の中に変わったことは・・・
居ない!ありさのおちびちゃんが居ない!
それに、まりさが貯蔵しておいた食料が、食い散らかされていた。
「れいむ!いったいなにがあったんだぜっ!!!」
振り返ったれいむの目に映ったのは、一人のまりさ。
そのお帽子は・・・お帽子は・・・あの、まりさであった。
山から下りてきたばかりで、ご飯の取り方が分からずに飢え死にしかけていたあの。
れいむは、狩り(ごみ漁り)が上手だったし、夫であるまりさの残してくれた食料もある・・・。
だから、れいむはそのまりさを助けてやった。
水と、食料を与えてやることによって。
だが、あのまりさはご飯をひっくり返した。
「こんなまずいもの、たべられるわけないでしょぉぉぉぉ!?ばかなの!?しぬの!?」だ。
れいむが必死に集めた食料を・・・。
仕方なく、れいむはまりさが残した食料を与えてやった。
乾式のゆっくりフードだ。
万一、ご飯が取れなくなった時のため残しておくつもりだったが・・・。
次の日、れいむは食料を見つけることが出来なかった。
人間が、ご飯を捨てている箱にふたを付けたのだ。
どうせ捨てるなら、れいむたちにくれてもいいのに・・・。
だが、そんなことを言っても仕方がない。
れいむは、山から来たというまりさに子供を預け、少し遠くまでご飯を探しに行くことにした。
果たして、ご飯を見つけることは残念ながら出来なかった。
仕方がない・・・今日はまりさが残してくれた食べ物を食べよう。
早くまりさは帰ってきてくれないかな。
・・・家に帰ってきたれいむが見たものは、食い散らかされたごはんと、
だれも居ない家だった。
まさか、人間が来たのか!?
慌てて何があったのか、この場に住む長老ぱちゅりーに訪ねる。
れいむに返って来たのは意外な答え。
「むきゅん・・・れいむがかくまっていたまりさが、
みんなのおちびちゃんをつれてにんげんのいえにいっちゃったの」
「ゆぅぅぅぅ!?」
「れいむ、ざんねんだけど、あなたをこれいじょうここにおいておくわけにはいかないわ。
あなたがここにいるとおちびちゃんをとられたほかのみんなが、とてもゆっくりできないもの・・・」
「ゆあ゛ぁぁぁぁぁぁ!れいぶはなに゛もじでないのにい゛ぃぃぃぃ!?」
「・・・おなじことよ。あなたがたすけたまりさがあんなことをしてしまったんだもの。
あなたがあのまりさをたすけなければ、おちびちゃんたちはぶじだったの!!!」
「でも゛・・・でも゛・・・でいぶのまりざががえっでくるがもじれないのに゛ぃっ!」
「・・・れいむのまりさも、にんげんさんのおうちにやさいをとりにいったんでしょう?
ざんねんだけど、もうあきらめなさい・・・きょうはもうくらいから、あしたのあさまではいてもいいわ
だけど、あしたおひさまがのぼったら、すぐにでていくのよ。
ゆっくりしないでね!!」
ゆっくりしないでね・・・ゆっくりにとって、これほどの拒絶があるだろうか?
兎も角れいむは、これ以上此処には居られないのだと悟り、涙を流した・・・。
そこへ、まりさが帰ってきたというわけだ。
あのお帽子を見間違えるはずはない。
助けてあげたのに、ご飯を食い散らしていった。
助けてあげたのに、おちびちゃんを奪った。
あの、憎い、憎い、まりさだと。
「ゆあ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!ゆっぐりじないでじねえぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
憎しみを込めて飛びかかるれいむ。
まりさは、訳が分からなかった。
人間の居場所からやっと帰ってきたのに・・・おちびちゃんは居ない。
れいむは、ゆっくりしていない顔でまりさに攻撃を仕掛けてくる。
「れいむっ、やっ、やめるんだぜ!まりさはまりさなんだぜ!わからないのかだぜ!」
「わがらいでがああああぁぁぁぁぁぁ!!わがるがら、ゆっぐりじないで、じねぇぇぇぇぇ!!!」
「ゆうぅぅぅぅぅぅ!?」
容赦のないれいむの攻撃。
最初は長いこと家を空けて拗ねているのかと思ったが、どうも違うらしい。
一体、何が起こったのか。
しかし、このまま攻撃を受け続ければまりさだってゆっくりできなくなる。
仕方がない、ちょっとれいむには落ち着いてもらうためだ。
軽くのし掛かって、押さえ込もう。
「ゆん!」
「ゆが!?」
まりさは、間違ってしまった。
それは、今まで通りの力で体当たりしてしまったこと。
・・・一週間以上鎖で繋がれ運動はしない。
なのに、子供達が給食の残りを持ってくるためまりさの栄養状態は豊富・・・。
詰まるところ、その、デブっていた。
重さが増えれば、当然のしかかりの破壊力も増す。
さっきまで泣いて、体の水分が少なくなっていたれいむ。
・・・食べ物が見つからず一日以上何も食べていない。
更にはさきほどのぱちゅりーの言葉。
死にそうなほど弱っていた(と思い込んでいる)れいむは、その重圧に耐えきれなかった。
体に圧力をかけられたれいむは、餡子をはき出して、永遠にゆっくりしたのだった。
「ゆがあぁぁぁぁん!なんでぇ!?なんで、えいえんにゆっくりしちゃうんだぜぇぇぇぇぇ!!!」
当然、まりさは訳が分からない。
軽く押さえ込んだだけで餡子をはき出してしまったのだから。
まりさは自分がデブっているという自覚など無い。
なんで、なんで、なんで、なんで。
訳が分からずに、騒ぐまりさの声は当然響き渡る。
その声を聞きつけて、他のゆっくり達が家から這い出てきた。
見れば、おちびちゃんを奪っていったまりさ(の帽子をかぶったまりさ)。
なぜここにいる。
おちびちゃんはどうした。
やっぱり、にげかえってきた。
おちびちゃんがいない。
きっと、にんげんにころされたんだ。
どうして、おまえがここにいる。
どうして、おまえはしんでないんだ。
「ゆ・・・ゆぁあ?」
まりさに向けられる、明らかな殺意。
まりさは、(ゆっくりにしては)聡明だった。
危機を感知する感覚が鋭かった、と言ってもいい。
此処にいてはいけない・・・まりさは、再び逃げ出した。
後ろでは、まりさを睨み付ける視線。
あの場のゆっくり全てがまりさを追いかけてきている気がした。
まりさは再び学校に戻ってきていた。
道行くゆっくりの全てから、殺意を投げかけられる。
まりさには、訳が分からなかった・・・。
何かが狂ってしまったに違いない。
そうだ、もう一度帽子を取り替えよう。
もう一度、人間のところでゆっくりしてあげよう。
そう思った。
校庭のれみりゃは、もう居なくなっていた。
先ほどまで、ほのかに付いていた高等部の明かりも消え、まりさを照らすのは月明かり。
遠くで光る街頭だけ。
まりさは、先ほどまで自分が居た犬小屋の前に帰ってきた。
だが、小屋の鎖には、自分の帽子が繋がれていない。
まさか!まりさの帽子をちぎって逃げ出したのか!?
あわてて、小屋の入り口に向かう。
だが、黒くてどろどろに溶けた何かが、ぽつんと入り口に置いてあった。
何だろう?と近づくと、つーんとした臭いが漂ってくる・・・。
「ゆあああああ!くさい、くさいんだぜぇぇぇぇぇぇ!」
だめだ、とても臭くてくわえる事なんて出来ない・・・。
こんな臭い物、くわえることなど出来ない!
元々飼いゆで、それなりには美ゆっくりの部類に入っていたまりさはすぐにつがいをみつけた。
小汚いれいむではあったが、おうちを持っているのが魅力だった。
残念ながら、れいむは狩りが下手であった。
れいむが持ってくる食べ物は、みんなこんな酷いにおいのするものだったのだ。
まりさに、そんなものが食べられるはずがない。
まりさはれいむが取ってきた食べ物に口を付けることはなく、持たされたフードを食べ続けた。
・・・れいむには決して分けることはなく。
だから、お野菜が有る場所があると聞いて、すぐに人間から取り返すことを選んだのだが・・・。
こんな臭い物が置いて有る以上、家の中には入れそうになかった。
呼びかけてみても返事はないし、外にお帽子もない。
おそらく、中には居ないんだろう・・・。
まりさはそう判断した。
ならば、こんな所に用はない。
そうだ、この大きなお家をまりさのものにしてやろう。
その方が、人間なんかに使われるよりもずっと家も喜ぶだろう。
まりさは、そう考え、校舎の周りを一周した。
すると、どうだろう。
侵入するのに丁度良い穴が開いているではないか。
この穴、風の流れを起こすために低い位置と高い位置に2カ所設置された通風口である。
本来であれば、このような通風口にはゆっくりが入ってこないようにするため、柵を取り付ける。
しかし、何故か此処に柵は付いて居ず、大きく口を開けた暗闇が広がっているだけであった。
・・・まりさは思った。
この家は、まりさに使われたがっているんだっ!
間違いない、と。
まりさはそこから校舎に入っていった。
「きょうから、ここはまりささまのおうちなんだぜ!」
ポチャン。
まりさの『おうち宣言』に答えたのは、水の音だけ。
暗い校舎の中、まりさに答える物は誰もいない。
これで、この大きなおうちはまりさの物になったのだ。
いくら人間でも、人の家に土足で入り込み、家主を追い出すような無礼なことはしないだろう。
まりさのゆん生は、順風満帆である。
「ん?なにかいいにおいがしてるのぜ」
良くは分からないが、良いにおいがしている。
まりさは、周囲を見回した。
するとどうだろう?
並んだ白い容器に良いにおいのする玉が二、三個転がって入って居るではないか。
これは、まりさへの贈り物に違いない。
さしもの人間も、まりさの偉大さに気づき、早速贈り物を用意したわけだ。
「ゆふう、はじめからこういうたいどならまりささまもかんだいにならざるおえないのぜ。
しかたがないのぜ、このいえのにんげんはまりささまのどれいとしてつかってやるのぜ。」
器用にも、そう喋りながら玉を口に入れるまりさ。
口に入れた瞬間、何とも言えない臭いと、嫌なしょっぱさが口中に広がり・・・
「ゆげぇぇぇぇぇ!なんなんだぜっ!」
まりさはそれをはき出した。
「ぐうううう!まりささまにどくをよういするなんて、にんげんめ、やっぱりいたいめにあわせないとだめなのぜ!」
はき出して正解であった。
トイレの芳香剤などを食べれば、生命力の強いゆっくりと言えど、死に至るであろう。
だが、自信のそんな幸運に気づかないまりさは、にんげんをやっつけると意気込み、先へ進もうとした。
幸い、トイレのドアは引き戸で、少し隙間も空いていた。
まりさは、こんな薄暗いところに興味は無いと、トイレの入り口に向け跳ね始めた。
「あかないよぉぉぉ」
が、急に聞こえてきた声に足を止める。
「な、なんなんだぜ?だれかいるのかだぜ?れいむ?ありす?」
「あかないよぉぉ、あかないよぉぉぉ」
「ゆっ!ひきょうなんだぜ、すがたをみせるんだぜっ!」
まりさが、何を言おうと声の主は開かない、開かないと繰り返すばかり。
二・三回、問いを返したが声の主は同じ事しか言わず、だんだんと腹が立ってきた。
まりさはそんな愚図には用は無いのだ。
こんな薄寒い毒の置いてある変な場所ではなく、暖かく食べ物のあるどこかに行かなくては。
「ゆ、そんなことまりささまのしったことじゃないのぜ。
あかないなら、そこでゆっくりしてればいいんだぜ。まりさは、おししいごはんを狩りにいくのぜ!」
「あかないの・・・ドアが・・・あかないのぉぉぉぉぉ!!」
まりさが、大声で声の主に叫んだ瞬間、バタン!とドアが開く。
中から、すごい形相の少女が涙を流しながら前方に手を伸ばす。
ゆううううう!
少女のあまりにゆっくりしていない様に腰(?)を抜かし、しーしーを漏らすまりさ。
いくら相手が愚図の人間だったとはいえいきなり出てくればまりさだって怖いのだ。
少女は目線の先に誰もいないことを確認すると、だんだん下に目線を下ろし。
「なーんだ、ゆっくりか。出てきて損した~」
トイレに帰っていった。
「な・・・!なんだったんだぜ?にんげんのぶんざいでまりささまをおどかすなんていちまんこうねんはやいのぜ!」
しまった、光年は時間じゃない・・・距離だ。
などと自分で突っ込む知能がまりさに有るはずもなく、不満を垂らしながら外に出た。
あんよがしーしーで濡れて、べちょべちょと気持ちが悪かった。
―その1・トイレの花子さん―
しばらく進むと、まりさの目に光が入ってきた。
宿直室である。
こんどはまともな食事にありつけるだろう。
まりさは、意気揚々と光に向かい、さっきのことを思い出した。
もしかしたら、また人間が居てまりさを脅かすために隠れているかもしれない・・・。
現に、中から人間の声がした。
さっきのようにしーしーを漏らしてはまりさの沽券に関わる。
まりさは、少々様子を見ようと、ドアの隙間から中を覗いた。
宿直室内部
「ああ、お前が無事で良かったよ」
「じゃおっ」
「ああ・・・一目見たときから、お前が・・・」
「じゃおおお(///)」
「しかし、俺には芽出先生という心に決めた人が・・・でも」
「じゃお?」
「そうだね・・・痛くしないから、さあ、おいで」
「じゃっじゃおー?」
鬼居先生の只ならぬ雰囲気に、慌てて逃げ出すががっちりと捕まれてしまう。
心なしか、鬼居先生の顔が赤い。
もしかしたら、病気なのかも・・・
「・・・大丈夫、優しくするよ」
そう言いながら、めーりんのまむまむをそっと開き
「クロスッ・イン!」
自らのそそり立つモノをめーりんの中へ。
そして
「いでえええええええええええええええ!!!」
あまりの刺激に絶叫をあげる。
・・・めーりんの中は辛いピザまん。
しかも、先ほどまで命の危機にさらされていたためか、激辛であった。
「いだだだだだ、でも、この痛みが、また・・・」
「じゃぉ!?」
人間でも痛いのに、ゆっくりのぺにぺになど突っ込めば死んでしまう。
めーりんが馬鹿にされるのはこんな理由であったのかもしれない。
少なくとも、ありすからは嫌われるのでは無いだろうか?
「ゆわぁぁぁぁ!な、なんなんだぜあれは!」
まりさは硬直していた。
さっきの何倍も恐ろしいモノを見た気がする。
まりさはあわてて宿直室を後にした。
―その2・宿直室に響く叫び声―
「ゆ・・・おなかがへったのぜ・・・」
思えば、夕方から何も食べて居ない。
このような状態で人間に見つかれば、負ける可能性もある。
速やかに食事を探さなければ・・・。
そう考えながらぽよんぽよんと廊下を進むまりさの前に、小さな何かがあった。
たべものかもしれないのぜ!と思い、ゆっくりと近づく。
・・・お饅頭?
いや、違う、あれは・・・
「まりさ、まりさなのぜ!?」
それは、まりさの子供だった。
が、良くみるとお帽子のかぶりかたがおかしい。
まりさは、お帽子はきっちりかぶる様に教えたのに・・・
帽子は、子まりさの頭で不安げにゆらゆら揺れている。
あれでは、風が吹けば帽子が飛ばされてしまうだろう。
もう一度きっちりお帽子のかぶり方を教えなければ。
手のかかるおちびちゃんだ・・・
そうして、子まりさに近づき
「ゆああああああああああ!」
悲鳴を上げた。
子まりさは、右上の部分が、無い。
右目から頭にかけてがごっそりえぐられていた。
「ゆ・・・ゆう?」
「まりさ、だいじょうぶなのかだぜ!しっかりするんだぜ!」
子まりさが、声を上げる。
息はあることが分かってほっとしたが、このままではいつ永遠にゆっくりしてしまうか分からない・・・
ぺーろぺーろしてあげるために、子まりさの正面に回った。
親であるまりさの姿を確認し、子まりさも声をあげる。
「ゆ・・・にんげんに・・・かてるんじゃ、なかったんだじぇ?」
「ゆ?」
その通りだ、人間なんかまりささまにかかれば・・・
でも、どうしておちびちゃんは今そんなことを言うのだろうか?
「どう・・・して・・・まりしゃたちをおいて・・・にげたのじぇ?」
「ゆぅぅ!?まりさは、にげてなんかいないのぜ!?
こうして、にんげんのおうちをまりさのものに・・・」
「みんな・・・しんじゃった・・・のじぇ・・・
まりさが・・・にんげんに・・・かてるなんて・・・いったから・・・」
「ゆううううう!おちびちゃん、なにがあったのぜ!」
「しねぇ・・・うそつきは・・・しねぇ・・・」
「ゆわあああああ!どぼじでぞんなごどいうのぜぇぇぇぇ!!!」
「しね・・・しね・・・しねぇ・・・」
「ゆわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ!」
激情に任せ、まりさは子まりさを踏みつける。
それでもなお、しねぇ、しねぇ、と声がする。
まりさは、子まりさにのしかかったまま、踏む、踏む、踏む・・・。
「はあ、はあ、ま、まりさはわるくないのぜ!
いうことをきかないおちびちゃんをおしおきしただけのなぜ!
これは、あいがいきすぎたゆえのじこなのぜ!
わるいのはおやにむかってしねなんていうおちびちゃんなのぜ!!!」
誰に言うでもなく、叫ぶまりさ。
そう、まりさは騒ぎすぎた。
夜の学校の管理者に存在を気づかせてしまう程度には。
「しねっ!しねっ!」
「ゆがあああ!まだしねなんていうのかだぜぇぇぇぇぇ!?」
そういって、ぐしゃぐやに皮と餡が混じった饅頭を踏みつける、が、
まりさは気づいてしまった。
廊下の端で月明かりを反射する羽に。
その声が、遠くから自分を狙う声だと言うことに。
「しねっ!し・・・」
夜の学校に放たれた、ふらんである。
学校に侵入してくるゆっくり対策の一つだ。
ゆっくりは1匹見つければ10匹居るといわれている。
学校に侵入されて隙間で子供でも生まれたら、駆除が大変なのだ。
そこで、夜間はふらんを学校に放っておく訳である。
「ゆああああああああああああ、どぼじでふらんまでいるのおぉぉぉぉ!?」
またしてもしーしーを漏らし、絶叫する。
これがふらんではなく、れみりゃだったならまりさは一目散に逃げていただろう。
だが、ふらんは・・・
「あそぼー♪あそぼー♪」
侵入者がまりさだと気づくと、ふらんはにこっと笑いながら、ぱたぱたと近づいてきた。
ふらんは、まりさ種に対して何故だかこのように態度が変化する。
鳴き声も普段は『しね!』としかいわないのだが、『あそぼー』に変わり。
見た感じ、普段の殺意の波動剥き出しのふらんと違いにこにこと飛ぶふらんは可愛い。
が、この場合の『遊ぶ』とは鬼ごっこだ。
それも、捕まれば死。
まりさ種は本能的にふらんを恐れる。
その結果がこれである。
「あーそーぼー」
ゆわわ、としーしを漏らすまりさの周りをぱたぱた飛ぶふらん。
まりさが動き出すのを待っているのだ。
ふらんとしては、遊んでいるつもりなのである。あくまで。
「ゆわーーーーー!!」
しーしを周囲にまき散らしながらも、跳ねる、跳ねる。
その後をぱたぱた追っていくふらん。
この鬼ごっこは、まりさが疲れて足を止めるまで続く。
足を止めれば、中身を吸われ死ぬ。
走っている間は攻撃されないので、苦しみが、残りのゆん生の間永遠に続くのだ・・・。
「あそぼー♪」
そんなことお構いなしに、地獄の鬼ごっこを続けるふらんであった。
―その3・廊下に聞こえる死の呪いの声―
―その4・廊下に誘う遊びの誘い―
どれほど走っただろうか・・・?
もう、まりさは走れそうになかった。
例え、足を止めれば死ぬと分かっていても死んだ方がましだとさえ思えてくる・・・。
死にたくはない、死にたくはないが、休みたい。
ふらふらになりながら、ふらんが自分を見失うことを願って教室の戸をくぐった。
「あそぼー、あそ・・・?」
急に、ふらんが教室の外で足を止めた。
「ゆ・・・?おって、こないのぜ?」
何故だか、ふらんは部屋の中まで入ってこようとしなかった。
このまま此処にいれば、安全だ。
まりさは、ほっとして教室の椅子、机と飛び乗ると、ほうっと息を吐いた。
ふらんは、相変わらず外でふらふら飛んでいるようだが、中に入ってこない。
流石に、ふらんを挑発する気にはならなかった。
此処には入って来れないと分かっても、である。
だが、外にふらんが居る以上ここから出ることはできないだろう。
あれだけ走ったら、お腹が空いた・・・。
まりさは、周囲を見回した。
月明かりに照らされ、部屋の中は見通しが良い。
部屋の中には、棚が並んでいた。
「ななな、なんなんだぜこれはあああああ!?」
今日何度目になるかという絶叫。
棚に並んでいたのは、ゆっくり。
もちろん、ただのゆっくりならばこんな絶叫はあげない。
顔の真ん中から二つに分けられ餡子がよく見えるれいむ。
目玉をえぐり出されたまりさ。
ぺにぺにを切り取られ、苦悶の表情のまま固まっているありす。
ビンの中でぷかぷかと液体につけられたぱちゅりー・・・。
色々な種類のゆっくりがそこには並べられていた。
そのどれもが、苦悶の表情を浮かべている。
こわい、こわい、こわい、こわい、
此処には居たくない!
そうだ、こんな所から逃げ出さなければ!
そう思い入り口を振り向けば、ふらん。
まりさは逃げ出せなかった。
此処に居るのもごめんだが、またふらんに追いかけられるのも嫌だ・・・。
どうすればいい、どうすれば!
ふと、部屋にもう一つ扉が有るのに気づいた。
あわてて飛び込む。
少なくとも、この状況よりはましなはずだ。
「うっめ、これめっちゃうっめ!」
ぴちゃぴちゃと、何かをなめる音。
まりさが飛び込んだ部屋の先で、人間が何かを貪っていた。
「ゆっ!なにをたべてるんだぜ!まりささまがそれはもらってやるのぜ!」
ここは、まりさの家である。
この家にあるものはまりさのモノ。
人間が勝手にそれを食べるのは許されない。
だから、まりさがその食べ物を寄越せと主張するのは当然の事だ・・・。
まりさの中では、こうなっている。
人間は、その声に振り向く。
手には、饅頭。
りぼんの付いた饅頭だった。
「ゆああああああ!?」
「おやあ?ゆっくりですか、いけませんねぇ、こんな所に入って来ては。」
顔を餡子まみれにしてまりさに胡散臭く微笑みかける人間。
人間で言えば、顔を血で濡らして人間の足を掴んだ熊が目の前に出てきたようなものだろうか。
「ゆあ・・・あ・・・」
ついにはまりさの精神は限界を迎え、まりさは白目を向いて失神したのであった。
「おやおや・・・困りましたねえ?まあ、私が甘党だとばらされても格好が悪いですし・・・
処分しておきますかねぇ・・・」
―その5・理科室漂う餡子の香り―
(いだいのぜぇぇぇぇぇ!?)
まりさは、あまりの痛みに目を覚ました。
みれば、横には先ほど棚に並んでいた半分になったれいむ。
(ゆあああああ!なんなんだぜっ!あっちにいくんだぜぇぇぇぇぇ!?)
だが、声が出ない。
聞こえるのは、うー、うーといううめき声だけ。
まりさの体は、セルロイドでコーティングされていた。
声どころか、体を動かすことも出来ない。
ただ、体の痛みだけが伝わってきた。
前方のガラス戸に映る自分の姿。
それは、さっきの子まりさと同じ。
1/4、右上だけが、餡子を剥き出しにされた、顔。
そこから、餡子と中枢餡が見える。
(ゆあ!ゆあぁぁぁぁぁぁ!!なんでっ、なんでまりささまがこんなめにあってるんだぜぇぇぇぇ!?)
(たすけろぉぉぉ!だれか、まりささまをたすけろぉぉぉぉぉぉ!?)
だが、聞こえるのは、同じようなうめき声のみ・・・。
誰も、まりさを助けない。
誰も、まりさに答えない。
(だずげろっ・・・だずげろぉぉぉぉぉぉ・・・)
ゆっくり標本は、ゆっくりが生きた状態でコーティングしてしまうのが普通だ。
普通の生き物と違い、餡子が無くならなければ死なないゆっくりは、この状態でも一年は生きる。
その間、餡子が腐ることもない。
まりさの地獄は、始まったばかりであった・・・。
(だずげろ・・・だずげろぉぉぉぉぉぉ・・・)
「ふむ・・・この位元気なら、二年近く保つかもしれませんね・・・ねぇ?」
―その6・準備室に響くうめき声―
おまけ
「あら、鬼居先生は?」
「なんか、病院行くから今日は休みだってさ」
「珍しい事もあるものねえ?」
「そーだねー。」
あとがき
暫く間が開いてしまったのでリハビリです。
余り虐待出来ていないのですが・・・
すいませんです
かいたもの
ふたば系ゆっくりいじめ 349 久城学園のボランティア
ふたば系ゆっくりいじめ 351 久城学園の飼育
ふたば系ゆっくりいじめ 354 久城学園の運動会~うえ~
ふたば系ゆっくりいじめ 355 久城学園の運動会~した~
ふたば系ゆっくりいじめ 358 久城学園の番人
ふたば系ゆっくりいじめ 363 久城学園の日常
ふたば系ゆっくりいじめ 365 久城学園の夜
これ