ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1933 鉢植えはれいみゅに任せて!
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うすみどり色の茎。
その先にはいっぴきの実れいむが実っている。
「ゆぅ、ゆぅ、むーにゃむにゃ」
茎から離れ、うまれ落ちる時を待ちながら、来るべきゆっくりしたゆんせいに思いを馳せて実れいむは穏やかな呼吸をする。
そして。誕生の時はすぐに訪れた。
ぷちりと音がして、れいむは茎からぽとりと離れた。
「ゆぅ、ゆゆゆっ、ゆっくちうまれりゅよっ!」
自分の誕生を祝ってくれるであろう両親に向かって、初めての言葉を放ちながら、れいむはぱちりとおめめを開いた。
しかし母親の「れいむのあかちゃんゆっくりしていってねっ!」という言葉も、父親の「まりさのあかちゃんとってもゆっくりしてるのぜっ!」という言葉も返ってくることはなかった。
「おかーしゃ?おとーしゃ?どきょにいりゅの? きゃわいいれいみゅがうまれたよっ?」
れいむは両親の姿を探して。右を見て、右を見て、もう一度右をみる。
「ど、どきょにもいにゃいよっ!…ゆ、ゆ、ゆびええええええん」
生まれる前のまどろみの中で思い浮かべていた状況とはあまりにかけ離れた現実にれいむは泣き出してしまう。
そんなれいむに声をかける者があった。
「あら、生まれていたのね」
「ゆ、ゆぐすっ。…にんげんしゃん?」
それは人間の女性であった。生まれたばかりのれいむであるが、多少の知識はあんこを通じて流れ込んでいる。
どうすればゆっくりできるかは知っているし、人間さんの情報もおぼろげながら頭の中にあった。
涙ぐむれいむを見て、人間さんは申し訳なさそうな表情を浮かべて言った。
「ごめんなさいね。すぐに気づいてあげられなくて。寂しかったでしょう?」
「ゆぅ、にんげんしゃんはだありぇ? ゆっくちできりゅひと?」
両親の姿はなく、代わりに現れた人間さんにれいむは不安げに尋ねる。
人間さんは微笑みを浮かべて答えた。
「私はあなたの飼いぬしさんよ」
「か、かいぬししゃん?」
「そうよ。あなたのお父さんとお母さんに頼まれてあなたと一緒にゆっくりすることになったの」
「ゆぅ、そうだりょっ!おとーしゃは? おかーしゃはっ?どこにいりゅのっ!?」
「さぁ。私にはわからないわ」
れいむの問いに人間さんは視線をそらして答えた。
「じゃ、じゃあごはんしゃんは?しゅーりしゅーりはっ? れいみゅはどうすりぇばいいのっ?おとーしゃとおかーしゃがいにゃいと、れいみゅゆっくちできにゃいよっ!…ゆぅ、ゆっくちできりゅよっ」
再び泣き出しそうになるれいむの頬を人間さんは優しくなでる。
「大丈夫。安心してね。まだ小さいあなたの面倒は私がしっかり見てあげるから」
「ゆゆっ、ほんちょっ?」
「ええ。本当よ。そうね、まずはご飯にしましょうか。…はい。赤ゆっくりの最初のご飯は、この茎がいいんでしょう?」
そう言うと人間さんは、手を伸ばし一本の茎をれいむの前に置く。
「ゆっ! あみゃあみゃなにおいがすりゅよっ! むーちゃむー、きゃたくてたべりぇにゃいよおぉぉぉぉぉ!」
「あら。そういえば、茎はそのままじゃ固くて食べれないから母親が噛んでやわらかくしてあげるんだったわね」
人間さんは少し思案すると一台の機械を取り出した。
「ゆぅ? そりぇなぁに?」
「これはね、ミキサーっていうの。少し待ってね」
人間さんは機械の中に茎を入れ、ふたを閉めるとスイッチを入れた。
「ゆゆゆぅ。にゃんだかゆっくちできにゃいおとだよぉ」
刃が回転し、茎を刻んでゆく音にれいむは身を固くする。
「そう? でももう終わりよ。…はい。これなら食べられるでしょう?」
人間さんはミキサーで半液体状にした茎を小さな皿に入れてれいむの前に置く。
「ぺーりょぺーりょ。ち、ちあわちえぇぇぇぇ!」
初めて食べるごはんさんの味はとっても甘くて、こんなに特別なごはんさんがもらえる自分はきっと特別な存在なのだとれいむは思った。
「よかったわね。…ふふ。やっぱり赤ゆは可愛いわあ」
ちあわちぇぇぇを連呼しながらペースト状の茎を食べるれいむを見て人間さんはニコニコと笑う。
れいむと人間さんの生活はこうして始まった。
・
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「ただいま。れいむいい子にしてた?」
「おねーしゃんおきゃえりなしゃいっ! れいみゅ、いいきょにしてたりょっ!」
「ふふ。そんないい子のれいむにおみやげがあるわよ。…はいっ。チョコレートよ」
「ゆゆっ!ちょこれーとしゃんはとってみょあみゃあみゃでゆっくちできりゅよっ!」
人間さん改めおねえさんは、れいむをとても手厚く扱った。
大きな木編みの籠に木屑を敷き詰めたおうちを用意し、それをれいむのゆっくりプレイスにしてくれた。
中にはきれいな水が入った水のみ場や、やわらかい綿が詰まったクッションなどが置かれていて、それはそれは素敵なゆっくりプレイスだった。
そこでれいむはゆっくりの限りを尽くした。
「こーりょこーりょするりゅよっ!こーりょこーりょ、こーりょこーりょっ!」
「のどがきゃわいたから、おみじゅをのみゅよっ! ごーきゅごーきゅっ!」
「ゆぅ、ちゅかれたかりゃすーやすーやすりゅよっ! ゆゆぅ、とってもふきゃふきゃなべっとしゃんだよぅ」
人間さんはゆっくりプレイスをれいむに与えただけではなかった。
昼間の間は『お仕事』に行っているのでれいむと遊ぶことはなかったが、帰ってきたらおいしいごはんさんやあまあまをくれるし、すーりすーりも欠かさずしてくれた。
そんなゆっくりした生活を続けているうちに、れいむは両親がいないことなどどうでもよくなった。
「ちちち、ちあわちぇぇぇぇぇ!」
「喜んでくれてなによりだわ。…それともうひとつ。今日はれいむにプレゼントがあるの」
チョコレートをがっつくれいむをいとおしげに眺めていたおねえさんは、れいむが食べ終わるのを見計らって一つの包みをとりだした。
「ゆぅ? ぷれじぇんとしゃん?」
「そうよ。…これでよしっと」
おねえさんは包みから出したものを、れいむのゆっくりプレイスである籠の一角に置いた。
「ゆゆゆっ? こりぇにゃあに?」
れいむにはおねえさんが置いたものが一体何なのかよくわからなかった。
疑問符を浮かべるれいむを、おねえさんはやさしく持ち上げてプレゼントの上へと置く。そしてその背中を軽く押した。
「おしょりゃを…ゆゆぅ? …ゆぅうううう!? ゆっくちしゅべりゅよおおおおおお!?」
それは滑り台だった。おねえさんは手先が器用だったので、れいむのために赤ゆっくりサイズの滑り台を自作してくれたのだった。
なんの説明もなしに滑ったれいむは最初のうちこそびっくりしていたようだったが、やわらかい木屑の上にぽすんと着地してしばらくすると瞳を輝かせる。
「にゃ、にゃんだかとっちぇもたのちいよっ! おねーしゃんっ!もういっきゃいやりたいよっ!」
「後ろの階段から登って滑るのよ。自分でできるかしら?」
「ゆぅ! ゆっくちのぼりゅよ! ぴょーんぴょーん…ゆゆ! ゆっゆぅー!」
れいむは滑り台で色々な滑り方をして遊んだ。
「こーりょこーりょしゅべりゅよっ!」
「うしりょかりゃしゅべりゅよっ!」
「ふつーにしゅべりゅよっ!」
そのたびにおねえさんは、かわいいだの、ゆっくりしてるわねだの言ってれいむを褒めてくれた。
後ろ向きに滑ったり、回りながら滑ったりとしていると、いつもと違う視点でものが見える。
滑っているうちにれいむはあるひとつの物体の存在に気づいた。
「ゆ? おねーしゃんっ。ありぇはにゃあに?」
それはれいむのゆっくりプレイスである木の籠と同じ机に置かれていた。30センチほどの高さの茶色い円柱状の物体である。
「これ? …これはね。鉢植えよ」
「はちうえしゃん?」
「そうよ。お花さんを育てるための、まあゆっくりプレイスみたいなものね」
「ゆゆ? でみょ、おはなしゃんははえてにゃいよっ?」
れいむの言うとおり、その鉢植えには何も生えていなかった。ただただ茶色い苗床があるばかりである。
「まだ生えてないけど、毎日おみずをあげてれば…そうね。れいむの赤ちゃん言葉が抜けるころには生えてくると思うわ」
どいうわけか。れいむにはその鉢植えさんが気になって仕方がなかった。だかられいむはこんな発言をした。
「ゆっ! れいみゅがはちうえしゃんにおみじゅをあげりゅよっ!」
その言葉を聞いておねえさんは目を丸くする。まさかそんなことをれいむが言い出すとは思ってもみなかったのだ。
しかしすぐにおねえさんは笑みを浮かべて、れいむの頬をすりすりと撫でる。
「偉いわねれいむ。アレのお世話を自分から言い出すなんて」
「ゆぅ、おねーしゃんのしゅーりしゅーりはゆっくちできゅりゅよぅ」
幸せそうに目を細めるれいむをみておねえさんは言った。
「じゃあ、鉢植えはれいむに任せてもいいわね?」
「ゆっ! はちうえしゃんはれいみゅにまきゃしぇてねっ!」
・
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そうしてれいむはおねえさんがお仕事に出ている間。鉢植えの世話をすることになった。
世話といってもできることは限られている。というよりも一つしかない。
水やりである。
おねえさんは器用な手先を駆使して、れいむのおうちから鉢植えのふちまで続く階段を作り、箱ブランコのような形をした水やり装置を設置した。
おねえさんがあらかじめ水の入った容器を装着しておけば、あとはれいむがそれを引っ張るだけで箱ブランコのゴンドラの部分が傾き、水をあげられる仕組みの装置である。
おねえさんの手間はむしろ増えていたが、それはそれ。手伝いをしたがる子供をむげにはできないのと同じである。
「ゆっ! はちうえしゃんのおしぇわのじかんだりょ! ぴょーんぴょーんっ!」
れいむは赤ゆっくりにとっては相当の高さを登り。
「ゆっ! ひっぱっちぇおみじゅをあげりゅよっ! ぐーいぐーいっ!」
相当に重いであろう水やり装置を引っ張った。
その辛いお世話を、れいむは途中で放り出すことなく毎日続けた。
おねえさんにゆっくりして欲しい(実際には負担を増やしているだけなのだが)というのも世話を続ける理由の一つであったが、それよりもれいむ自身が、鉢植えのそばにいると何故だかゆっくりできたのだ。
「ゆぅ、はちうえしゃん、ゆっくちおはにゃしゃんをはやしちぇねっ!」
鉢植えから芽が出ることを想像しながられいむはお世話が終わった後も長い時間そのそばで過ごした。
そんな風に世話を頑張るれいむを見て、おねえさんは色々なご褒美をくれた。
様々な種類のあまあまや、おねえさん自作の赤ゆっくり用遊具などである。
昼間は鉢植えの世話をして過ごし、おねえさんが帰ってきたらあまあまを食べて、一緒に遊ぶ。
「ゆっくちできりゅよっ」と「ちあわちぇぇぇぇ」に彩られたれいむの時間は瞬くまに過ぎていった。
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「ゆっ! もうこのすべりだいさんはつかえないよっ! このぶらんこさんもだよっ!」
時は流れ、れいむの体は片手に十分な余裕を残す赤ゆっくりサイズから、両手に余る子ゆっくりサイズにまで成長していた。
その喋り方にも既に赤ゆ言葉の片鱗はない。
「おねーさんっ! おうちがせまくなってきたよっ! おひっこししないとれいむゆっくりできないよっ!」
その日はおねえさんの「お仕事」がお休みの日で、おねえさんがお昼近くまで寝ていることをれいむは知っていた。だからおねえさんを起こすためにれいむは声を張り上げる。
「おねーさんっ!おきてねっ!れいむがゆっくりできてないよっ!おねーさんっ…おいばばぁっ!ゆっくりしてないでとっととおきろっ!」
れいむの呼びかけが罵声に変わるころになって、おねえさんは起きだしてきた。
「ゆっ! おねえさんっゆっくりしすぎだよっ! はやくあたらしいゆっくりぷれいすをよういしてねっ! あまあまもねっ!」
れいむの言葉におねえさんはいつものように笑って答えた。
「そうね。あなたももう大きくなってきたし、新しい場所に移りましょうか」
おねえさんはれいむを両手で包むようにして持ち上げる。
「ゆっ。そういえばおねえさんっ、はちうえさんはぜんぜんめがでないよっ! おねえさんはのろまのうえにうそつきだねっ」
れいむは今でも鉢植えの世話は続けていたが、その態度は非常に恩着せがましくなっていた。
だがそんなれいむをおねえさんは叱るでもなく、ただただ笑っていた。
「さぁ。ここがあなたの、最後のゆっくりプレイスよ」
「ゆっ? さいご? …ゆべえぇっ!?」
おねえさんは両手で持っていたれいむを『最後のゆっくりプレイス』へと乱暴に落とす。
「い、いたいよ! れいむのすてきなあんよがきずついたらどうするつもりっ!? それにとってもせまいよっ! もっとひろいゆっくりぷれいすじゃないとれいむゆっくりできないよっ! はちうえさんのおせわもしてあげないよっ!? それでもいいの!?」
怒涛のごとく罵声をくちにするれいむに、おねえさんは優しく尋ねた。
「ねえれいむ。あなた、自分が今どこにいるのかわかる?」
「ゆっ?」
聞かれてれいむは自分の周りを見る。
今れいむがいるのは、入れられているのは透明の容器。あんよが落とされた痛みとは別の痛みでちくちくする。
とてもとても小さなころ、れいむはこれを見たことがあった。そのときは外側から、今は内側から。
「み、みきさー、さん?」
「正解。えらいわれいむ。よくわかったわね」
言いながらおねえさんは、ミキサーの蓋を閉める。
「ゆ?お、おねえさん?なにをするの? おね、おぼがぁあああああああああああああああああああ!?」
躊躇なく。おねえさんはれいむが入ったミキサーのスイッチを入れた。
れいむの足元の刃がうなりをあげて回転し、その身を切り刻む。
「…!」
あんなにやさしかった奴隷のおねえさんがどうしてこんなことをするのかれいむには分からなかった。
とにかく逃げなければとれいむは思う。
しかしれいむは動けない。あんよが切り裂かれたから。
れいむは叫べない。喉がすり潰されたから。
れいむは何も見えない。おめめが引き千切られたから。
そして。中枢餡も粉砕されて。れいむはなにも考えられなくなった。
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「ちょっと育てすぎたわね。ミキサーにだいぶ負担をかけちゃった」
反省反省とつぶやきながらおねえさんはミキサー本体から容器を取り外す。
その中にはドロドロの茶色い餡子ペーストになったれいむが詰まっている。
それをおねえさんは、れいむが一生懸命世話してきた鉢植えのそばへと持っていった。
「さてと。取り出したるはゆっくりの素」
おねえさんは小さな容器に入れられたゆっくりの素、精子餡を鉢植えの苗床、茶色い餡子へと注入する。
するとすぐにニョキニョキとうすみどり色の茎が生え、そこにぽこりぽこりと小さな実ゆっくりが実ってゆく。
まだお飾りもない状態である。
「そこにこの元はゆっくりをかけて、と」
かつてれいむであった餡子ペーストをおねえさんは苗床へとかけてゆく。それはみるみる染みこんでゆき、苗床に吸収されてゆく。
豊富な栄養を与えられて、実ゆっくりはみるみる大きくなり、お飾りが判別できるほどに成長する。
「ゆぅ、ゆぅ」
安らかな表情で呼吸をするのは5匹の実ゆっくり。内訳は実れいむが3匹に実まりさが2匹。
「うーん。今度はまりさにしよっと」
そう呟いておねえさんは実まりさを1匹残してのこりの実ゆっくりをぶちぶちと引き千切ってゆく。
「ゆ、ゆべぇ」
「やゆ、がぁあ」
おねえさんは小さな断末魔をあげる4匹を容器に入れて、れいむと同じようにミキサーにかける。
「これをかけてあげれば、少ししたら生まれてくるわね」
おねえさんの言葉通り、残ったまりさは姉妹の死骸を糧にしてぷくぷくと膨らんでゆく。
「われながら素敵な発明をしたものだわ」
れいむが育てていた鉢植え。それはお飾りも、おめめも、くちも潰されて、頭を切り開かれた赤ゆっくりを生むためだけのゆっくりであった。
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おねえさんはれいむを飼う前。別のれいむを1匹飼っていた。
一人暮らしのさびしい生活をおくるおねえさんを見て、ゆっくり好きの知人が、赤ゆっくりを1匹譲ってくれたのだ。
「おねーしゃんっ!ゆっくちしていっちぇねっ!」
「おねーしゃんだーいしゅきっ!」
「おねーしゃんのたみぇにおうたをうたうりょ! ゆっくちのひー♪」
最初のうち。小さくてかわいらしいれいむはおねえさんの孤独を癒してくれた。
おねえさんはそんなれいむをおもいっきり甘やかした。
たくさんのお菓子を与え、専用のクッションをつくり、うんうんやしーしーの片付けも笑ってしてやった。
しかしそんな風に育てられたゆっくりが、まともに育つはずもなかった。
体が大きくなるにつれ、れいむの態度も大きくなっていった。
「おねーさん!このあまあまはできそこないだよっ!」
「こんなおもちゃでれいむがよろこぶとでもおもったの? ばかなの?しぬの?」
ごはんやおねえさんが作った玩具に文句を言うところから始まり、おねえさんが不在のあいだ、勝手にごはんをあさる、ところかまわずうんうんをする、観葉植物の鉢植えを引き倒す。
おねえさんが帰ってくれば、自分こそこの家の主人だとばかりに色々な命令をする。
「れいむはちょこれーとさんがたべたいよっ! すぐによういしてねっ!」
「てれびさんがうるさいよっ!れいむのはいぱーすーやすーやたいむのじゃまをしないでねっ!」
それでもおねえさんは軽くたしなめる以外のことをしなかった。
そういった意味で、おねえさんは飼いぬしとして不適格であった。
だがついに。決定的な出来事がおこった。
「おねーさんっ。ないしょのおはなしがあるよ」
ある日帰ってくるとれいむが机の上に乗りおねえさんを呼んでいた。
「…なあに、れいむ?」
「もっとちかづいてくれないとはなせないよっ!こっちにきてねっ!」
言われるがままに、れいむの口元までおねえさんは顔を寄せた。
「ふんっ! ゆっくりしねぇえええええ!!」
その横っつらをれいむのもみ上げがしたたかに打った。
痛みはそれほどでもないが、突然のことにおねえさんはしりもちをついてしまった。
それを見てれいむはふんぞり返る。
「かんっぜんっしょうりっだよっ! ゆっくりしたれいむにきせいするゆっくりできないばばあをついにたおしたよっ!」
「…れいむ、どういうつもり?」
「まだいきていたのっ? みのがしてあげるからとっととれいむのおうちからでていってねっ!」
「れいむのおうち?」
「そうだよっ! れいむはかんがえたよっ!おまえがそとであそんでいるあいだこのおうちをまもっているのはれいむだよっ! もうおまえのおせわはうんざりだよっ! れいむはすてきなだんなさんをみつけてここでゆっくりするよっ! だからばばぁはとっととしんでね!」
「そう。あなたはそんな風に考えていたのね」
おねえさんはそれでキレるような人間ではなかった。ただ静かに笑って、れいむを見限った。
「れいむ。赤ちゃんの頃はとっても可愛かったのにね…」
「なにをいっているの? いまでもれいむのかわいさはとどまることをしらないよっ! ことかわいさにおいてれいむはいまでもせいちょうきにあるんだよっ!」
それには答えず、おねえさんは立ち上がり、れいむの髪の毛をつかむ。
「い、いだいよおおおおおお!? なにをするのっ!? なにさまのつもりっ?」
「ずっと赤ちゃんならいいのよ。大きいゆっくりなんて、いらないわ」
ひとつの思い付きをしたおねえさんは、自分の部屋からいくつかの工作道具を持ってくると、まずれいむのあんよに薄い切れ込みを何本も入れた。
「で、でいぶのあんよがああああ!? つるっつるっですてきなでいぶのあんよがああああああ!?」
次におねえさんは半田ごてを取り出した。淡々と的確にれいむのあなるへとそれを突き刺す。
「あ、あ、あ、あぢゅいいいいいい!? れいむのあにゃるぐあああああああ!?」
次はれいむのまむまむを突き刺す。
「でいぶのずできなばーじんまむまむぎゃあああああああああああああああああ!!」
ジュージューと音を立て、香ばしいにおいを漂わせながら、れいむの穴という穴が焼きふさがれてゆく。
そこでおねえさんはれいむを離した。ぼとりと地面におちたれいむは動くこともできず、しばらく震えていたが、キッと顔をあげでおねえさんを睨み付ける。威嚇のためか両のもみあげをぶんぶんと振り回している。
「なにをするのっ! これじゃあれいむ、うんうんができないよっ! あかちゃんもつくれないよっ!」
「いいのよ。あなたには必要ないんだから」
「ひ、ひつようだよっ! はやくびょーいんさんに、いぃいいいい? れいぶの、れいぶのもみあげさんきらないでええええええ!」
れいむの言葉にかまうことなく、おねえさんははさみでジョキリジョキリとれいむのもみ上げを切り取る。
「れ、れいむのもみあげさんが、ぴこぴこでふわふわのれいむのもみあげさんがあああああ!?」
「だってこれも必要ないもの」
「な、な、な、なにをいっているのおおおお!? れいむのぷりちーさのしょーちょーでしょおおおおお!?」
「いいじゃない。まだリボンが残ってるでしょう?…まぁそれも切るんだけどねっ!」
ジョキンと。れいむのおリボンもはさみで断つ。
「れ、れいむのふりっふりっおりぼんさんが…。あかくてきゃわいいすてきなおりぼんさんが…」
「頭に生えてる、これもいらないわね。何かしらこれ? わかめか何か?」
呆然とするれいむに容赦することなく。おねえさんは今度はれいむの髪の毛をザクザクと刈り、残った毛を引き抜く。
「もうやべてええええええええ! れいむのきゅーとなくせっけさんだよおおおお!? わかめさんじゃないよおおおおお!?」
涙ながらに訴えるれいむの言葉におねえさんは一切耳を貸さなかった。
再び半田ごてを手に取り、れいむの右目に突っ込む。
「おべ、おべ、おべべがああああ!? でいぶのおべべええええええええええええ!?」
「その涙をながすおめめもいらないわ」
一旦スイッチを切り、半田ごてを冷ました後グリグリとひねってから右目を引き抜く。
「あ、あぶりょりょりょりょおおおおおおおおっ!!」
同じ要領で左目も。
「あ、が、あ、なにぼ、なにぼびえないよおおおおおおおおおおお!?」
はげ頭になり、両のおめめを空洞にしたれいむ。しかしおねえさんはそこで止まらなかった。
「ぐがあああああ!ゆるざないよおおおおお!よぐもでいぶの、ぶいぶのおおおおおおお!ごのぐぞばばああああああああ!」
「うるさいわよ?れいむ。小さいころはあんなに可愛らしい声でおねーしゃんって呼んでくれたのに」
おねえさんは罵声を上げるれいむの喉の奥へとためらうことなく手を入れ、その舌を掴む。
「あ、あが、あが、あががががっ!」
「こんな醜い声をあげる舌なんていらないわよね?」
ぶちりと音を立ててれいむの舌は引き抜かれた。
「こっ、こひゅ、こひゅうううううううううう!?」
声にならぬ声で叫ぶれいむ。
もはや抵抗するすべてのすべを失ったれいむにおねえさんは淡々と処置を施していった。
歯を抜き取り。
お飾りと髪の毛と目と舌をミキサーで粉砕し。
粉砕したドロドロの液体をれいむのくちに注ぎ込み。
そのくちを半田ごてで焼いて塞いだ。
空洞になったおめめも無理やり閉じて焼き塞いだ。
わずかに残る隙間に小麦粉を溶いたものを塗ると、れいむは髪もお飾りもおめめもくちもない、ただの巨大な饅頭と化した。かすかにびくりびくりとうごめくところにそれがゆっくりであったという面影が残っているのみである。
「さっ最後の仕上げよ」
答えがないのを承知でおねえさんはれいむに呼びかけた。手に持っているのは1本のテグス。
「…!…!」
外界の情報を知る手段が無くとも、いやな予感だけはするのか、れいむは動かぬあんよを動かそうとびくびくとぜん動する。
「ちょっと、動くと綺麗に切れないでしょっと!」
言葉とは裏腹におねえさんは的確にテグスを操り、れいむの頭頂を頭蓋骨切開の要領で切り開いてゆく。
そうして出来上がったものをおねえさんはかつてれいむが駄目にしてしまった鉢植えへと入れた。
れいむの方が鉢植えよりも大きいために、多少の餡子が開かれた頭頂からこぼれるが、生存にはなんら問題はない量だった。
「はいっ。完成!」
こういう具合にして。飼いゆっくりであったれいむは、鉢ゆっくりとして生まれ変わった。
砂糖水をかけてやれば生きてゆくのに問題はないし、うるさくすることも、動き回ってものを倒すことも無い。
ゆっくりショップで購入した精子餡をかければ、いつでも可愛い赤ゆっくりを手に入れることができる。その赤ゆっくりが成長したら、グチャグチャに潰して鉢植えにかけてやれば次の赤ゆっくりの最適な栄養となってくれる。
醜くて身勝手な成体のゆっくりを飼うことなく、常に赤ゆっくりだけを供給してくれる素敵な素敵な鉢植えだった。
・
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・
おねえさんが暮らすマンションの一室。
その机の上にはひとつの鉢植えが置かれている。
生えているのはうすみどり色の茎。
その先には1匹の実まりさが実っている。
「ゆぅ、ゆぅ、むーにゃむにゃ」
来るべきゆっくりしたゆんせいに思いを馳せて実まりさは穏やかな呼吸をする。
そして。誕生の時はすぐに訪れる。
ぷちりと音がして、まりさは茎からぽとりと離れた。
「ゆぅ、ゆゆゆっ、ゆっくちうまれりゅのじぇ!」
自分の誕生を祝ってくれるであろう両親に向かって、初めての言葉を放ちながら、まりさはぱちりとおめめを開いた。
しかし返ってきたのは人間さんの声だった。
「あら、生まれたのね」
「ゆぅ? にんげんしゃん? おとーしゃとおかーしゃはどこなんだじぇ?」
「さぁ? でも大丈夫。安心してね」
「ゆっ?」
「『小さいあなた』の面倒は私がしっかり見てあげるから」
完
あとがき
ユナハ病用に考えていた愛でゆプラン。使いにくくなったので単体投下しました。まぁよくある話ですが。
ところどころ変にひらがなになっている所があったり、三点リーダをひとつしか使っていなかったりしますが、ゆ虐SSをSofTalkに読ませると一寸面白い、と作者が思い込んだ為、SofTalkに微対応した結果こうなりました。実験作ということでお目こぼしいただけると幸いです。
過去作品
anko1484 ゆっくり愛護法改正案可決
anko1517 ゆっくり愛護法改正案可決 完結編
anko1786 ゆるめの冷たい方程式① ~ちいさなまとまり~
anko1787 ゆるめの冷たい方程式② ~いきのこるために~
anko1816 ねないゆだれだ
anko1932 ねないゆだれだ
その先にはいっぴきの実れいむが実っている。
「ゆぅ、ゆぅ、むーにゃむにゃ」
茎から離れ、うまれ落ちる時を待ちながら、来るべきゆっくりしたゆんせいに思いを馳せて実れいむは穏やかな呼吸をする。
そして。誕生の時はすぐに訪れた。
ぷちりと音がして、れいむは茎からぽとりと離れた。
「ゆぅ、ゆゆゆっ、ゆっくちうまれりゅよっ!」
自分の誕生を祝ってくれるであろう両親に向かって、初めての言葉を放ちながら、れいむはぱちりとおめめを開いた。
しかし母親の「れいむのあかちゃんゆっくりしていってねっ!」という言葉も、父親の「まりさのあかちゃんとってもゆっくりしてるのぜっ!」という言葉も返ってくることはなかった。
「おかーしゃ?おとーしゃ?どきょにいりゅの? きゃわいいれいみゅがうまれたよっ?」
れいむは両親の姿を探して。右を見て、右を見て、もう一度右をみる。
「ど、どきょにもいにゃいよっ!…ゆ、ゆ、ゆびええええええん」
生まれる前のまどろみの中で思い浮かべていた状況とはあまりにかけ離れた現実にれいむは泣き出してしまう。
そんなれいむに声をかける者があった。
「あら、生まれていたのね」
「ゆ、ゆぐすっ。…にんげんしゃん?」
それは人間の女性であった。生まれたばかりのれいむであるが、多少の知識はあんこを通じて流れ込んでいる。
どうすればゆっくりできるかは知っているし、人間さんの情報もおぼろげながら頭の中にあった。
涙ぐむれいむを見て、人間さんは申し訳なさそうな表情を浮かべて言った。
「ごめんなさいね。すぐに気づいてあげられなくて。寂しかったでしょう?」
「ゆぅ、にんげんしゃんはだありぇ? ゆっくちできりゅひと?」
両親の姿はなく、代わりに現れた人間さんにれいむは不安げに尋ねる。
人間さんは微笑みを浮かべて答えた。
「私はあなたの飼いぬしさんよ」
「か、かいぬししゃん?」
「そうよ。あなたのお父さんとお母さんに頼まれてあなたと一緒にゆっくりすることになったの」
「ゆぅ、そうだりょっ!おとーしゃは? おかーしゃはっ?どこにいりゅのっ!?」
「さぁ。私にはわからないわ」
れいむの問いに人間さんは視線をそらして答えた。
「じゃ、じゃあごはんしゃんは?しゅーりしゅーりはっ? れいみゅはどうすりぇばいいのっ?おとーしゃとおかーしゃがいにゃいと、れいみゅゆっくちできにゃいよっ!…ゆぅ、ゆっくちできりゅよっ」
再び泣き出しそうになるれいむの頬を人間さんは優しくなでる。
「大丈夫。安心してね。まだ小さいあなたの面倒は私がしっかり見てあげるから」
「ゆゆっ、ほんちょっ?」
「ええ。本当よ。そうね、まずはご飯にしましょうか。…はい。赤ゆっくりの最初のご飯は、この茎がいいんでしょう?」
そう言うと人間さんは、手を伸ばし一本の茎をれいむの前に置く。
「ゆっ! あみゃあみゃなにおいがすりゅよっ! むーちゃむー、きゃたくてたべりぇにゃいよおぉぉぉぉぉ!」
「あら。そういえば、茎はそのままじゃ固くて食べれないから母親が噛んでやわらかくしてあげるんだったわね」
人間さんは少し思案すると一台の機械を取り出した。
「ゆぅ? そりぇなぁに?」
「これはね、ミキサーっていうの。少し待ってね」
人間さんは機械の中に茎を入れ、ふたを閉めるとスイッチを入れた。
「ゆゆゆぅ。にゃんだかゆっくちできにゃいおとだよぉ」
刃が回転し、茎を刻んでゆく音にれいむは身を固くする。
「そう? でももう終わりよ。…はい。これなら食べられるでしょう?」
人間さんはミキサーで半液体状にした茎を小さな皿に入れてれいむの前に置く。
「ぺーりょぺーりょ。ち、ちあわちえぇぇぇぇ!」
初めて食べるごはんさんの味はとっても甘くて、こんなに特別なごはんさんがもらえる自分はきっと特別な存在なのだとれいむは思った。
「よかったわね。…ふふ。やっぱり赤ゆは可愛いわあ」
ちあわちぇぇぇを連呼しながらペースト状の茎を食べるれいむを見て人間さんはニコニコと笑う。
れいむと人間さんの生活はこうして始まった。
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「ただいま。れいむいい子にしてた?」
「おねーしゃんおきゃえりなしゃいっ! れいみゅ、いいきょにしてたりょっ!」
「ふふ。そんないい子のれいむにおみやげがあるわよ。…はいっ。チョコレートよ」
「ゆゆっ!ちょこれーとしゃんはとってみょあみゃあみゃでゆっくちできりゅよっ!」
人間さん改めおねえさんは、れいむをとても手厚く扱った。
大きな木編みの籠に木屑を敷き詰めたおうちを用意し、それをれいむのゆっくりプレイスにしてくれた。
中にはきれいな水が入った水のみ場や、やわらかい綿が詰まったクッションなどが置かれていて、それはそれは素敵なゆっくりプレイスだった。
そこでれいむはゆっくりの限りを尽くした。
「こーりょこーりょするりゅよっ!こーりょこーりょ、こーりょこーりょっ!」
「のどがきゃわいたから、おみじゅをのみゅよっ! ごーきゅごーきゅっ!」
「ゆぅ、ちゅかれたかりゃすーやすーやすりゅよっ! ゆゆぅ、とってもふきゃふきゃなべっとしゃんだよぅ」
人間さんはゆっくりプレイスをれいむに与えただけではなかった。
昼間の間は『お仕事』に行っているのでれいむと遊ぶことはなかったが、帰ってきたらおいしいごはんさんやあまあまをくれるし、すーりすーりも欠かさずしてくれた。
そんなゆっくりした生活を続けているうちに、れいむは両親がいないことなどどうでもよくなった。
「ちちち、ちあわちぇぇぇぇぇ!」
「喜んでくれてなによりだわ。…それともうひとつ。今日はれいむにプレゼントがあるの」
チョコレートをがっつくれいむをいとおしげに眺めていたおねえさんは、れいむが食べ終わるのを見計らって一つの包みをとりだした。
「ゆぅ? ぷれじぇんとしゃん?」
「そうよ。…これでよしっと」
おねえさんは包みから出したものを、れいむのゆっくりプレイスである籠の一角に置いた。
「ゆゆゆっ? こりぇにゃあに?」
れいむにはおねえさんが置いたものが一体何なのかよくわからなかった。
疑問符を浮かべるれいむを、おねえさんはやさしく持ち上げてプレゼントの上へと置く。そしてその背中を軽く押した。
「おしょりゃを…ゆゆぅ? …ゆぅうううう!? ゆっくちしゅべりゅよおおおおおお!?」
それは滑り台だった。おねえさんは手先が器用だったので、れいむのために赤ゆっくりサイズの滑り台を自作してくれたのだった。
なんの説明もなしに滑ったれいむは最初のうちこそびっくりしていたようだったが、やわらかい木屑の上にぽすんと着地してしばらくすると瞳を輝かせる。
「にゃ、にゃんだかとっちぇもたのちいよっ! おねーしゃんっ!もういっきゃいやりたいよっ!」
「後ろの階段から登って滑るのよ。自分でできるかしら?」
「ゆぅ! ゆっくちのぼりゅよ! ぴょーんぴょーん…ゆゆ! ゆっゆぅー!」
れいむは滑り台で色々な滑り方をして遊んだ。
「こーりょこーりょしゅべりゅよっ!」
「うしりょかりゃしゅべりゅよっ!」
「ふつーにしゅべりゅよっ!」
そのたびにおねえさんは、かわいいだの、ゆっくりしてるわねだの言ってれいむを褒めてくれた。
後ろ向きに滑ったり、回りながら滑ったりとしていると、いつもと違う視点でものが見える。
滑っているうちにれいむはあるひとつの物体の存在に気づいた。
「ゆ? おねーしゃんっ。ありぇはにゃあに?」
それはれいむのゆっくりプレイスである木の籠と同じ机に置かれていた。30センチほどの高さの茶色い円柱状の物体である。
「これ? …これはね。鉢植えよ」
「はちうえしゃん?」
「そうよ。お花さんを育てるための、まあゆっくりプレイスみたいなものね」
「ゆゆ? でみょ、おはなしゃんははえてにゃいよっ?」
れいむの言うとおり、その鉢植えには何も生えていなかった。ただただ茶色い苗床があるばかりである。
「まだ生えてないけど、毎日おみずをあげてれば…そうね。れいむの赤ちゃん言葉が抜けるころには生えてくると思うわ」
どいうわけか。れいむにはその鉢植えさんが気になって仕方がなかった。だかられいむはこんな発言をした。
「ゆっ! れいみゅがはちうえしゃんにおみじゅをあげりゅよっ!」
その言葉を聞いておねえさんは目を丸くする。まさかそんなことをれいむが言い出すとは思ってもみなかったのだ。
しかしすぐにおねえさんは笑みを浮かべて、れいむの頬をすりすりと撫でる。
「偉いわねれいむ。アレのお世話を自分から言い出すなんて」
「ゆぅ、おねーしゃんのしゅーりしゅーりはゆっくちできゅりゅよぅ」
幸せそうに目を細めるれいむをみておねえさんは言った。
「じゃあ、鉢植えはれいむに任せてもいいわね?」
「ゆっ! はちうえしゃんはれいみゅにまきゃしぇてねっ!」
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そうしてれいむはおねえさんがお仕事に出ている間。鉢植えの世話をすることになった。
世話といってもできることは限られている。というよりも一つしかない。
水やりである。
おねえさんは器用な手先を駆使して、れいむのおうちから鉢植えのふちまで続く階段を作り、箱ブランコのような形をした水やり装置を設置した。
おねえさんがあらかじめ水の入った容器を装着しておけば、あとはれいむがそれを引っ張るだけで箱ブランコのゴンドラの部分が傾き、水をあげられる仕組みの装置である。
おねえさんの手間はむしろ増えていたが、それはそれ。手伝いをしたがる子供をむげにはできないのと同じである。
「ゆっ! はちうえしゃんのおしぇわのじかんだりょ! ぴょーんぴょーんっ!」
れいむは赤ゆっくりにとっては相当の高さを登り。
「ゆっ! ひっぱっちぇおみじゅをあげりゅよっ! ぐーいぐーいっ!」
相当に重いであろう水やり装置を引っ張った。
その辛いお世話を、れいむは途中で放り出すことなく毎日続けた。
おねえさんにゆっくりして欲しい(実際には負担を増やしているだけなのだが)というのも世話を続ける理由の一つであったが、それよりもれいむ自身が、鉢植えのそばにいると何故だかゆっくりできたのだ。
「ゆぅ、はちうえしゃん、ゆっくちおはにゃしゃんをはやしちぇねっ!」
鉢植えから芽が出ることを想像しながられいむはお世話が終わった後も長い時間そのそばで過ごした。
そんな風に世話を頑張るれいむを見て、おねえさんは色々なご褒美をくれた。
様々な種類のあまあまや、おねえさん自作の赤ゆっくり用遊具などである。
昼間は鉢植えの世話をして過ごし、おねえさんが帰ってきたらあまあまを食べて、一緒に遊ぶ。
「ゆっくちできりゅよっ」と「ちあわちぇぇぇぇ」に彩られたれいむの時間は瞬くまに過ぎていった。
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「ゆっ! もうこのすべりだいさんはつかえないよっ! このぶらんこさんもだよっ!」
時は流れ、れいむの体は片手に十分な余裕を残す赤ゆっくりサイズから、両手に余る子ゆっくりサイズにまで成長していた。
その喋り方にも既に赤ゆ言葉の片鱗はない。
「おねーさんっ! おうちがせまくなってきたよっ! おひっこししないとれいむゆっくりできないよっ!」
その日はおねえさんの「お仕事」がお休みの日で、おねえさんがお昼近くまで寝ていることをれいむは知っていた。だからおねえさんを起こすためにれいむは声を張り上げる。
「おねーさんっ!おきてねっ!れいむがゆっくりできてないよっ!おねーさんっ…おいばばぁっ!ゆっくりしてないでとっととおきろっ!」
れいむの呼びかけが罵声に変わるころになって、おねえさんは起きだしてきた。
「ゆっ! おねえさんっゆっくりしすぎだよっ! はやくあたらしいゆっくりぷれいすをよういしてねっ! あまあまもねっ!」
れいむの言葉におねえさんはいつものように笑って答えた。
「そうね。あなたももう大きくなってきたし、新しい場所に移りましょうか」
おねえさんはれいむを両手で包むようにして持ち上げる。
「ゆっ。そういえばおねえさんっ、はちうえさんはぜんぜんめがでないよっ! おねえさんはのろまのうえにうそつきだねっ」
れいむは今でも鉢植えの世話は続けていたが、その態度は非常に恩着せがましくなっていた。
だがそんなれいむをおねえさんは叱るでもなく、ただただ笑っていた。
「さぁ。ここがあなたの、最後のゆっくりプレイスよ」
「ゆっ? さいご? …ゆべえぇっ!?」
おねえさんは両手で持っていたれいむを『最後のゆっくりプレイス』へと乱暴に落とす。
「い、いたいよ! れいむのすてきなあんよがきずついたらどうするつもりっ!? それにとってもせまいよっ! もっとひろいゆっくりぷれいすじゃないとれいむゆっくりできないよっ! はちうえさんのおせわもしてあげないよっ!? それでもいいの!?」
怒涛のごとく罵声をくちにするれいむに、おねえさんは優しく尋ねた。
「ねえれいむ。あなた、自分が今どこにいるのかわかる?」
「ゆっ?」
聞かれてれいむは自分の周りを見る。
今れいむがいるのは、入れられているのは透明の容器。あんよが落とされた痛みとは別の痛みでちくちくする。
とてもとても小さなころ、れいむはこれを見たことがあった。そのときは外側から、今は内側から。
「み、みきさー、さん?」
「正解。えらいわれいむ。よくわかったわね」
言いながらおねえさんは、ミキサーの蓋を閉める。
「ゆ?お、おねえさん?なにをするの? おね、おぼがぁあああああああああああああああああああ!?」
躊躇なく。おねえさんはれいむが入ったミキサーのスイッチを入れた。
れいむの足元の刃がうなりをあげて回転し、その身を切り刻む。
「…!」
あんなにやさしかった奴隷のおねえさんがどうしてこんなことをするのかれいむには分からなかった。
とにかく逃げなければとれいむは思う。
しかしれいむは動けない。あんよが切り裂かれたから。
れいむは叫べない。喉がすり潰されたから。
れいむは何も見えない。おめめが引き千切られたから。
そして。中枢餡も粉砕されて。れいむはなにも考えられなくなった。
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「ちょっと育てすぎたわね。ミキサーにだいぶ負担をかけちゃった」
反省反省とつぶやきながらおねえさんはミキサー本体から容器を取り外す。
その中にはドロドロの茶色い餡子ペーストになったれいむが詰まっている。
それをおねえさんは、れいむが一生懸命世話してきた鉢植えのそばへと持っていった。
「さてと。取り出したるはゆっくりの素」
おねえさんは小さな容器に入れられたゆっくりの素、精子餡を鉢植えの苗床、茶色い餡子へと注入する。
するとすぐにニョキニョキとうすみどり色の茎が生え、そこにぽこりぽこりと小さな実ゆっくりが実ってゆく。
まだお飾りもない状態である。
「そこにこの元はゆっくりをかけて、と」
かつてれいむであった餡子ペーストをおねえさんは苗床へとかけてゆく。それはみるみる染みこんでゆき、苗床に吸収されてゆく。
豊富な栄養を与えられて、実ゆっくりはみるみる大きくなり、お飾りが判別できるほどに成長する。
「ゆぅ、ゆぅ」
安らかな表情で呼吸をするのは5匹の実ゆっくり。内訳は実れいむが3匹に実まりさが2匹。
「うーん。今度はまりさにしよっと」
そう呟いておねえさんは実まりさを1匹残してのこりの実ゆっくりをぶちぶちと引き千切ってゆく。
「ゆ、ゆべぇ」
「やゆ、がぁあ」
おねえさんは小さな断末魔をあげる4匹を容器に入れて、れいむと同じようにミキサーにかける。
「これをかけてあげれば、少ししたら生まれてくるわね」
おねえさんの言葉通り、残ったまりさは姉妹の死骸を糧にしてぷくぷくと膨らんでゆく。
「われながら素敵な発明をしたものだわ」
れいむが育てていた鉢植え。それはお飾りも、おめめも、くちも潰されて、頭を切り開かれた赤ゆっくりを生むためだけのゆっくりであった。
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おねえさんはれいむを飼う前。別のれいむを1匹飼っていた。
一人暮らしのさびしい生活をおくるおねえさんを見て、ゆっくり好きの知人が、赤ゆっくりを1匹譲ってくれたのだ。
「おねーしゃんっ!ゆっくちしていっちぇねっ!」
「おねーしゃんだーいしゅきっ!」
「おねーしゃんのたみぇにおうたをうたうりょ! ゆっくちのひー♪」
最初のうち。小さくてかわいらしいれいむはおねえさんの孤独を癒してくれた。
おねえさんはそんなれいむをおもいっきり甘やかした。
たくさんのお菓子を与え、専用のクッションをつくり、うんうんやしーしーの片付けも笑ってしてやった。
しかしそんな風に育てられたゆっくりが、まともに育つはずもなかった。
体が大きくなるにつれ、れいむの態度も大きくなっていった。
「おねーさん!このあまあまはできそこないだよっ!」
「こんなおもちゃでれいむがよろこぶとでもおもったの? ばかなの?しぬの?」
ごはんやおねえさんが作った玩具に文句を言うところから始まり、おねえさんが不在のあいだ、勝手にごはんをあさる、ところかまわずうんうんをする、観葉植物の鉢植えを引き倒す。
おねえさんが帰ってくれば、自分こそこの家の主人だとばかりに色々な命令をする。
「れいむはちょこれーとさんがたべたいよっ! すぐによういしてねっ!」
「てれびさんがうるさいよっ!れいむのはいぱーすーやすーやたいむのじゃまをしないでねっ!」
それでもおねえさんは軽くたしなめる以外のことをしなかった。
そういった意味で、おねえさんは飼いぬしとして不適格であった。
だがついに。決定的な出来事がおこった。
「おねーさんっ。ないしょのおはなしがあるよ」
ある日帰ってくるとれいむが机の上に乗りおねえさんを呼んでいた。
「…なあに、れいむ?」
「もっとちかづいてくれないとはなせないよっ!こっちにきてねっ!」
言われるがままに、れいむの口元までおねえさんは顔を寄せた。
「ふんっ! ゆっくりしねぇえええええ!!」
その横っつらをれいむのもみ上げがしたたかに打った。
痛みはそれほどでもないが、突然のことにおねえさんはしりもちをついてしまった。
それを見てれいむはふんぞり返る。
「かんっぜんっしょうりっだよっ! ゆっくりしたれいむにきせいするゆっくりできないばばあをついにたおしたよっ!」
「…れいむ、どういうつもり?」
「まだいきていたのっ? みのがしてあげるからとっととれいむのおうちからでていってねっ!」
「れいむのおうち?」
「そうだよっ! れいむはかんがえたよっ!おまえがそとであそんでいるあいだこのおうちをまもっているのはれいむだよっ! もうおまえのおせわはうんざりだよっ! れいむはすてきなだんなさんをみつけてここでゆっくりするよっ! だからばばぁはとっととしんでね!」
「そう。あなたはそんな風に考えていたのね」
おねえさんはそれでキレるような人間ではなかった。ただ静かに笑って、れいむを見限った。
「れいむ。赤ちゃんの頃はとっても可愛かったのにね…」
「なにをいっているの? いまでもれいむのかわいさはとどまることをしらないよっ! ことかわいさにおいてれいむはいまでもせいちょうきにあるんだよっ!」
それには答えず、おねえさんは立ち上がり、れいむの髪の毛をつかむ。
「い、いだいよおおおおおお!? なにをするのっ!? なにさまのつもりっ?」
「ずっと赤ちゃんならいいのよ。大きいゆっくりなんて、いらないわ」
ひとつの思い付きをしたおねえさんは、自分の部屋からいくつかの工作道具を持ってくると、まずれいむのあんよに薄い切れ込みを何本も入れた。
「で、でいぶのあんよがああああ!? つるっつるっですてきなでいぶのあんよがああああああ!?」
次におねえさんは半田ごてを取り出した。淡々と的確にれいむのあなるへとそれを突き刺す。
「あ、あ、あ、あぢゅいいいいいい!? れいむのあにゃるぐあああああああ!?」
次はれいむのまむまむを突き刺す。
「でいぶのずできなばーじんまむまむぎゃあああああああああああああああああ!!」
ジュージューと音を立て、香ばしいにおいを漂わせながら、れいむの穴という穴が焼きふさがれてゆく。
そこでおねえさんはれいむを離した。ぼとりと地面におちたれいむは動くこともできず、しばらく震えていたが、キッと顔をあげでおねえさんを睨み付ける。威嚇のためか両のもみあげをぶんぶんと振り回している。
「なにをするのっ! これじゃあれいむ、うんうんができないよっ! あかちゃんもつくれないよっ!」
「いいのよ。あなたには必要ないんだから」
「ひ、ひつようだよっ! はやくびょーいんさんに、いぃいいいい? れいぶの、れいぶのもみあげさんきらないでええええええ!」
れいむの言葉にかまうことなく、おねえさんははさみでジョキリジョキリとれいむのもみ上げを切り取る。
「れ、れいむのもみあげさんが、ぴこぴこでふわふわのれいむのもみあげさんがあああああ!?」
「だってこれも必要ないもの」
「な、な、な、なにをいっているのおおおお!? れいむのぷりちーさのしょーちょーでしょおおおおお!?」
「いいじゃない。まだリボンが残ってるでしょう?…まぁそれも切るんだけどねっ!」
ジョキンと。れいむのおリボンもはさみで断つ。
「れ、れいむのふりっふりっおりぼんさんが…。あかくてきゃわいいすてきなおりぼんさんが…」
「頭に生えてる、これもいらないわね。何かしらこれ? わかめか何か?」
呆然とするれいむに容赦することなく。おねえさんは今度はれいむの髪の毛をザクザクと刈り、残った毛を引き抜く。
「もうやべてええええええええ! れいむのきゅーとなくせっけさんだよおおおお!? わかめさんじゃないよおおおおお!?」
涙ながらに訴えるれいむの言葉におねえさんは一切耳を貸さなかった。
再び半田ごてを手に取り、れいむの右目に突っ込む。
「おべ、おべ、おべべがああああ!? でいぶのおべべええええええええええええ!?」
「その涙をながすおめめもいらないわ」
一旦スイッチを切り、半田ごてを冷ました後グリグリとひねってから右目を引き抜く。
「あ、あぶりょりょりょりょおおおおおおおおっ!!」
同じ要領で左目も。
「あ、が、あ、なにぼ、なにぼびえないよおおおおおおおおおおお!?」
はげ頭になり、両のおめめを空洞にしたれいむ。しかしおねえさんはそこで止まらなかった。
「ぐがあああああ!ゆるざないよおおおおお!よぐもでいぶの、ぶいぶのおおおおおおお!ごのぐぞばばああああああああ!」
「うるさいわよ?れいむ。小さいころはあんなに可愛らしい声でおねーしゃんって呼んでくれたのに」
おねえさんは罵声を上げるれいむの喉の奥へとためらうことなく手を入れ、その舌を掴む。
「あ、あが、あが、あががががっ!」
「こんな醜い声をあげる舌なんていらないわよね?」
ぶちりと音を立ててれいむの舌は引き抜かれた。
「こっ、こひゅ、こひゅうううううううううう!?」
声にならぬ声で叫ぶれいむ。
もはや抵抗するすべてのすべを失ったれいむにおねえさんは淡々と処置を施していった。
歯を抜き取り。
お飾りと髪の毛と目と舌をミキサーで粉砕し。
粉砕したドロドロの液体をれいむのくちに注ぎ込み。
そのくちを半田ごてで焼いて塞いだ。
空洞になったおめめも無理やり閉じて焼き塞いだ。
わずかに残る隙間に小麦粉を溶いたものを塗ると、れいむは髪もお飾りもおめめもくちもない、ただの巨大な饅頭と化した。かすかにびくりびくりとうごめくところにそれがゆっくりであったという面影が残っているのみである。
「さっ最後の仕上げよ」
答えがないのを承知でおねえさんはれいむに呼びかけた。手に持っているのは1本のテグス。
「…!…!」
外界の情報を知る手段が無くとも、いやな予感だけはするのか、れいむは動かぬあんよを動かそうとびくびくとぜん動する。
「ちょっと、動くと綺麗に切れないでしょっと!」
言葉とは裏腹におねえさんは的確にテグスを操り、れいむの頭頂を頭蓋骨切開の要領で切り開いてゆく。
そうして出来上がったものをおねえさんはかつてれいむが駄目にしてしまった鉢植えへと入れた。
れいむの方が鉢植えよりも大きいために、多少の餡子が開かれた頭頂からこぼれるが、生存にはなんら問題はない量だった。
「はいっ。完成!」
こういう具合にして。飼いゆっくりであったれいむは、鉢ゆっくりとして生まれ変わった。
砂糖水をかけてやれば生きてゆくのに問題はないし、うるさくすることも、動き回ってものを倒すことも無い。
ゆっくりショップで購入した精子餡をかければ、いつでも可愛い赤ゆっくりを手に入れることができる。その赤ゆっくりが成長したら、グチャグチャに潰して鉢植えにかけてやれば次の赤ゆっくりの最適な栄養となってくれる。
醜くて身勝手な成体のゆっくりを飼うことなく、常に赤ゆっくりだけを供給してくれる素敵な素敵な鉢植えだった。
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おねえさんが暮らすマンションの一室。
その机の上にはひとつの鉢植えが置かれている。
生えているのはうすみどり色の茎。
その先には1匹の実まりさが実っている。
「ゆぅ、ゆぅ、むーにゃむにゃ」
来るべきゆっくりしたゆんせいに思いを馳せて実まりさは穏やかな呼吸をする。
そして。誕生の時はすぐに訪れる。
ぷちりと音がして、まりさは茎からぽとりと離れた。
「ゆぅ、ゆゆゆっ、ゆっくちうまれりゅのじぇ!」
自分の誕生を祝ってくれるであろう両親に向かって、初めての言葉を放ちながら、まりさはぱちりとおめめを開いた。
しかし返ってきたのは人間さんの声だった。
「あら、生まれたのね」
「ゆぅ? にんげんしゃん? おとーしゃとおかーしゃはどこなんだじぇ?」
「さぁ? でも大丈夫。安心してね」
「ゆっ?」
「『小さいあなた』の面倒は私がしっかり見てあげるから」
完
あとがき
ユナハ病用に考えていた愛でゆプラン。使いにくくなったので単体投下しました。まぁよくある話ですが。
ところどころ変にひらがなになっている所があったり、三点リーダをひとつしか使っていなかったりしますが、ゆ虐SSをSofTalkに読ませると一寸面白い、と作者が思い込んだ為、SofTalkに微対応した結果こうなりました。実験作ということでお目こぼしいただけると幸いです。
過去作品
anko1484 ゆっくり愛護法改正案可決
anko1517 ゆっくり愛護法改正案可決 完結編
anko1786 ゆるめの冷たい方程式① ~ちいさなまとまり~
anko1787 ゆるめの冷たい方程式② ~いきのこるために~
anko1816 ねないゆだれだ
anko1932 ねないゆだれだ