ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2183 ゆっくりの家
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ankoss
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*この世界は愛で特化されています。
*虐待はありません。あくまで愛で専門ですので。
*夏という事で小ネタです。
*一応、これで一里塚まで達しました。
「ゆっくりの家」
夏である。
海である。
海水浴である。
涼を取るためか、泳ぎたかったのか、海で遊びたいのか、ナンパ目的か。
まぁ、色々と理由はあるのだろうが、人は夏になると海へとやってくる。
どうして?きっと夏だから。
なんで?たぶん、そこに海があるから。
で、そうなると困るのが飼いゆっくりたちの処遇である。
ぶっちゃけると、ゆっくりに海は死亡フラグである。
生ける饅頭は当然ながら水に浸かれば死ぬ。
例え水に耐性のある種であったとしても、人間の大人ですら波にさらわれて死ぬ事があるのに、
ゆっくり程度では普通の波でものまれれば帰還は危ういだろう。
更に焼けた砂浜は天然のホットプレートのようなものだ。
安易にその上を歩けば、ゆっくりの底面など、あっという間に行動不能になるまで焼け爛れるのは間違いない。
熱に強い種ならどうかって?
そもそも、そういう種は普通に水に弱い。それを水に近づける時点で、いじめだろう。
とはいえ、家で留守番というのも可哀想だ、という意見もある。
まぁ、人間に迷惑かけるより、安全な家で待ってる方を選択するのが、普通のゆっくりではあるが、
それを不憫に思ってしまうのは人間の側なのだ。
子ゆっくりや赤ゆっくりだと、まだ未熟なので「飼い主と離れる」事を嫌がる場合も多いが、大抵は
親ゆっくりがそれを叱って教育する。
……ゆっくり好きの一部には、自分がゆっくりと離れる事を極端に嫌がる「ゆバカ」なる人もいるが。
で、そんな「海には行きたいけど、ゆっくりを置いていくのは嫌、もしくは無理」な人の為に作られる
ようになったのが、「ゆっくりの家」である。
要するにゆっくり専用の海の家であり、ゆっくりが安全に、かつ楽しく過ごせるように工夫された施設だ。
「ゆ~♪ゆ~♪ゆっくり~♪」
「「ゆっくち~♪」」
とある海水浴場の隅にある典型的な「ゆっくりの家」で、成体れいむと子れいむ、子まりさの親子が
のんびりと歌を歌っていた。
高床になったお座敷が4面と、それを区切るように在る十字の通路、奥で調理を行うキッチンスペースは
いわゆる人間用の海の家と同じだが、決定的に違う点がいくつかあった。
一つはお座敷を囲う木の柵だ。
飼い主から預かったゆっくり達が勝手に外に出ないように、という目的で作られたものであり、赤ゆっくりでも
通り抜けられないようにその隙間は細かくなっている。店によっては網を張っているらしい。
そして、お座敷の中央にはちゃぶ台の代わりに奇麗に磨かれた木の板が敷いてある。
ゆっくり用の食事はここに置かれるらしい。
と、施設の最後の特徴である、お座敷の角に置かれた箱の扉がガチャリと開いた。
「ゆゆーん!とってもゆっくりできたのぜ!」
箱から出てきたのは、成体のゆっくりまりさだった。
「ゆっ!まりさ、とってもゆっくりしてるね!」
「おちょーしゃん、ゆっくち?ゆっくち?」
「ちゅぎは れいみゅのばんだにぇ!」
さて、この親まりさが出てきた箱は、ちょうど成体ゆっくり1匹が入る程度のサイズで、側面の4面が
全てガラスで出来ていた。なんとなく、どこかで見たような装置に似ている。居酒屋とか。
「じゃあ、次はおちびちゃんたちだね!ゆっくり中に入っていいよ!」
「「ゆわーい!!」」
親まりさが出てきたガラス扉を再び開ける。すると、箱の中からひんやりとした冷気が流れ出てきた。
子ゆっくりたちは、その冷気に触れて「すずしいにぇ!」などとはしゃぎつつ、親のように箱の中へと入る。
そう、これはゆっくり専用の「冷房室」なのだ。別名「ゆっくり冷蔵庫」
基本的にゆっくりにとっての適温は人間と同じだ。
だから、水辺で、屋根の日陰によって夏の日差しから守られたゆっくりの家は、普通は充分に涼しいのだが、
稀に気温が高すぎる日があったり、クーラー慣れして暑さに弱いゆっくり、種族的に夏の気温が苦手なゆっくりもいる。
そんなゆっくり用に、この冷房室を完備しているゆっくりの家は多い。
この一家も、子ゆ2匹が暑さに慣れてないようだったので、これを利用する事にしたようだ。
親まりさは、ゆっくりに適温かどうか確かめていたという訳だ。
なにせ、たまに設定温度を ちるの種用と間違えたまま利用して凍るゆっくりが出るので、チェックは
しないといけないのだ。
「でも、おちびちゃん。あんまり長く入っていると身体を壊すから、ゆっくりできたらまりさを呼んでね」
「またお外でおかあさんとお歌を歌おうね」
「「ゆっくり理解しちゃよ!!」」
親まりさが扉を閉じると、子供たちはキャッキャと中で遊び始めた。
よく冷えた床の上をこーろころする子供たちをゆっくりとした目で見守りつつ、親まりさはれいむに声をかけた。
「みんなで一緒に海さんに来れてよかったね、れいむ」
「そうだね。これもお兄さんとお姉さんのおかげだね!」
このゆっくり親子は、それぞれ隣同士の2軒の家で別々に飼われている。
親れいむと子まりさはお兄さんの家に、親まりさと子れいむはお姉さんの家に、それぞれ住んでいる状態である。
元々は隣同士のまりさとれいむが恋に落ちて番になり、子供の養育も両家で均等に負担している訳だ。
この2軒は歳の近いお兄さんとお姉さんが仲が良い事もあり、関係は良好。
ゆっくり親子も好きな時に互いの家を行き来している。
しかし、それでも一家が揃って旅行なんて機会はなかなか無いので、この旅行はとても楽しみであったのだ。
「……ところで、れいむ。プラン『らぶらぶちゅっちゅ』はどんな感じなのぜ?」
「……アレを見れば早いと思うよ」
ちょっと表情を引き締めて番に質問をしたまりさに、れいむは呆れ果てたようなタメ息をついて、砂浜のとある場所へ
視線を向けた。
+ + + + + +
砂浜に敷いたレジャーシートの上で、パーカーを羽織って膝を抱える女性がいた。
パラソルの日陰よりも更に暗い雰囲気を纏った空間の中で、女性は顔を伏せたまま微動だにしない。
「え、えーと……お姉さん、そろそろ海へ入りませんか?」
「嫌です!」
「し、しつれいしましたー」
恐る恐る声をかけた連れの男性に、頑なな否定を返す女性。
ここまでハッキリ言われると、男性も後が続かず、トボトボと引き返していく。
まぁ、説明するまでも無いだろうが、この2人があのゆっくり親子の飼い主である。
この二人、別に喧嘩してるとか、仲が悪いとか、そういう訳ではない。
むしろ、メチャクチャ意識しあっているくらいなのだが……
(ううううう!や、やっぱり恥ずかしいよ!こ、こんな露出の多い水着なんて選ぶんじゃなかったよぉ!)
水着売り場で店員におススメされるままにビキニを買ってしまった事を激しく後悔するお姉さん。
まぁ、「これなら意中の男性もイチコロですよ!」と言われて舞い上がったのも問題だろうけど。
一応、お姉さんの名誉のためにフォローしておくと、彼女のプロポーションは悪くない。
顔も……眼鏡は趣味の分かれる所だが、掛けていてもいなくても美人の方だろう。
しかし、いかんせん彼女は自分に自信がなかった。そして、鈍かった。
お兄さんの好意には全く気づかず、自分の片思いだと頑なに信じて現在に至る。
で、一方のお兄さんは……
「れいむぅぅ!やっぱダメだよ。お姉さん、何だか怒ってるよ!」
「だからー、何で、いちいち、れいむに聞きに来るの?別にお姉さんは怒ってないと思うよ。照れてるんだよ」
「いやいや、怒ってるって、あれは!間違いないって!」
ゆっくりの家まで来て飼いゆっくりに泣き付いていた。
これまた鈍いお兄さんは、お姉さんの好意をことごとく別の意味に解釈し、空回りしていた。
今日も今日とて、明らかに勘違いしてテンパっている。
これには親まりさも唖然とするしかない。
(ま、まさか、お兄さんがここまでヘタレだとは思わなかったのぜ)
それと同時に、自分の飼い主のヘタレっぷりにも呆れ返る。
(おねえさーん、それじゃビキニの意味ないのぜー)
ナンパ目的の男たちすら引くどんよりオーラは、離れた場所にいる親まりさにもハッキリ見えた。
あれじゃあダメだ。全然ダメだ。
とはいえ、ゆっくりごときが恋の手助けなんて限度がある。
自分達の役目は、このヘタレカップルを焚き付けて海まで連れて来た時点で完了していると弁えている。
だから、まりさは諦めた。きっと、れいむも早々に諦めているのだろう。
(まぁ、海にデートに来れただけでも進展したと思っておくのぜ。……まりさたちは余計だったと思うけど)
とはいえ、家族旅行は嬉しいので、そこに文句を言うのは筋違いだと思い直す。
ふと、目を冷房室に向けると、中でこちらを呼んでいる子供たちが見えた。
どうやらお兄さんの姿を見て、遊んでほしがっているようだ。
親まりさは子供たちの方へ向かいつつ、番のれいむと視線を合わせて、そっと苦笑した。
「ちくしょー。どうやったら俺はお前らみたいにラブラブになれるんだよー!」
「だから、れいむがいつも言ってるでしょ!勇気を出してね!」
「むりー!絶対に無理だって!何とかしてくれよー!」
「ゆっくりに頼らないでね!人間さんの事は人間さんが解決するものだよ!?」
ゆっくりの家に、ヘタレ人間と苦労性の飼いゆっくりの叫びが響き渡った。
(おわり)
*虐待はありません。あくまで愛で専門ですので。
*夏という事で小ネタです。
*一応、これで一里塚まで達しました。
「ゆっくりの家」
夏である。
海である。
海水浴である。
涼を取るためか、泳ぎたかったのか、海で遊びたいのか、ナンパ目的か。
まぁ、色々と理由はあるのだろうが、人は夏になると海へとやってくる。
どうして?きっと夏だから。
なんで?たぶん、そこに海があるから。
で、そうなると困るのが飼いゆっくりたちの処遇である。
ぶっちゃけると、ゆっくりに海は死亡フラグである。
生ける饅頭は当然ながら水に浸かれば死ぬ。
例え水に耐性のある種であったとしても、人間の大人ですら波にさらわれて死ぬ事があるのに、
ゆっくり程度では普通の波でものまれれば帰還は危ういだろう。
更に焼けた砂浜は天然のホットプレートのようなものだ。
安易にその上を歩けば、ゆっくりの底面など、あっという間に行動不能になるまで焼け爛れるのは間違いない。
熱に強い種ならどうかって?
そもそも、そういう種は普通に水に弱い。それを水に近づける時点で、いじめだろう。
とはいえ、家で留守番というのも可哀想だ、という意見もある。
まぁ、人間に迷惑かけるより、安全な家で待ってる方を選択するのが、普通のゆっくりではあるが、
それを不憫に思ってしまうのは人間の側なのだ。
子ゆっくりや赤ゆっくりだと、まだ未熟なので「飼い主と離れる」事を嫌がる場合も多いが、大抵は
親ゆっくりがそれを叱って教育する。
……ゆっくり好きの一部には、自分がゆっくりと離れる事を極端に嫌がる「ゆバカ」なる人もいるが。
で、そんな「海には行きたいけど、ゆっくりを置いていくのは嫌、もしくは無理」な人の為に作られる
ようになったのが、「ゆっくりの家」である。
要するにゆっくり専用の海の家であり、ゆっくりが安全に、かつ楽しく過ごせるように工夫された施設だ。
「ゆ~♪ゆ~♪ゆっくり~♪」
「「ゆっくち~♪」」
とある海水浴場の隅にある典型的な「ゆっくりの家」で、成体れいむと子れいむ、子まりさの親子が
のんびりと歌を歌っていた。
高床になったお座敷が4面と、それを区切るように在る十字の通路、奥で調理を行うキッチンスペースは
いわゆる人間用の海の家と同じだが、決定的に違う点がいくつかあった。
一つはお座敷を囲う木の柵だ。
飼い主から預かったゆっくり達が勝手に外に出ないように、という目的で作られたものであり、赤ゆっくりでも
通り抜けられないようにその隙間は細かくなっている。店によっては網を張っているらしい。
そして、お座敷の中央にはちゃぶ台の代わりに奇麗に磨かれた木の板が敷いてある。
ゆっくり用の食事はここに置かれるらしい。
と、施設の最後の特徴である、お座敷の角に置かれた箱の扉がガチャリと開いた。
「ゆゆーん!とってもゆっくりできたのぜ!」
箱から出てきたのは、成体のゆっくりまりさだった。
「ゆっ!まりさ、とってもゆっくりしてるね!」
「おちょーしゃん、ゆっくち?ゆっくち?」
「ちゅぎは れいみゅのばんだにぇ!」
さて、この親まりさが出てきた箱は、ちょうど成体ゆっくり1匹が入る程度のサイズで、側面の4面が
全てガラスで出来ていた。なんとなく、どこかで見たような装置に似ている。居酒屋とか。
「じゃあ、次はおちびちゃんたちだね!ゆっくり中に入っていいよ!」
「「ゆわーい!!」」
親まりさが出てきたガラス扉を再び開ける。すると、箱の中からひんやりとした冷気が流れ出てきた。
子ゆっくりたちは、その冷気に触れて「すずしいにぇ!」などとはしゃぎつつ、親のように箱の中へと入る。
そう、これはゆっくり専用の「冷房室」なのだ。別名「ゆっくり冷蔵庫」
基本的にゆっくりにとっての適温は人間と同じだ。
だから、水辺で、屋根の日陰によって夏の日差しから守られたゆっくりの家は、普通は充分に涼しいのだが、
稀に気温が高すぎる日があったり、クーラー慣れして暑さに弱いゆっくり、種族的に夏の気温が苦手なゆっくりもいる。
そんなゆっくり用に、この冷房室を完備しているゆっくりの家は多い。
この一家も、子ゆ2匹が暑さに慣れてないようだったので、これを利用する事にしたようだ。
親まりさは、ゆっくりに適温かどうか確かめていたという訳だ。
なにせ、たまに設定温度を ちるの種用と間違えたまま利用して凍るゆっくりが出るので、チェックは
しないといけないのだ。
「でも、おちびちゃん。あんまり長く入っていると身体を壊すから、ゆっくりできたらまりさを呼んでね」
「またお外でおかあさんとお歌を歌おうね」
「「ゆっくり理解しちゃよ!!」」
親まりさが扉を閉じると、子供たちはキャッキャと中で遊び始めた。
よく冷えた床の上をこーろころする子供たちをゆっくりとした目で見守りつつ、親まりさはれいむに声をかけた。
「みんなで一緒に海さんに来れてよかったね、れいむ」
「そうだね。これもお兄さんとお姉さんのおかげだね!」
このゆっくり親子は、それぞれ隣同士の2軒の家で別々に飼われている。
親れいむと子まりさはお兄さんの家に、親まりさと子れいむはお姉さんの家に、それぞれ住んでいる状態である。
元々は隣同士のまりさとれいむが恋に落ちて番になり、子供の養育も両家で均等に負担している訳だ。
この2軒は歳の近いお兄さんとお姉さんが仲が良い事もあり、関係は良好。
ゆっくり親子も好きな時に互いの家を行き来している。
しかし、それでも一家が揃って旅行なんて機会はなかなか無いので、この旅行はとても楽しみであったのだ。
「……ところで、れいむ。プラン『らぶらぶちゅっちゅ』はどんな感じなのぜ?」
「……アレを見れば早いと思うよ」
ちょっと表情を引き締めて番に質問をしたまりさに、れいむは呆れ果てたようなタメ息をついて、砂浜のとある場所へ
視線を向けた。
+ + + + + +
砂浜に敷いたレジャーシートの上で、パーカーを羽織って膝を抱える女性がいた。
パラソルの日陰よりも更に暗い雰囲気を纏った空間の中で、女性は顔を伏せたまま微動だにしない。
「え、えーと……お姉さん、そろそろ海へ入りませんか?」
「嫌です!」
「し、しつれいしましたー」
恐る恐る声をかけた連れの男性に、頑なな否定を返す女性。
ここまでハッキリ言われると、男性も後が続かず、トボトボと引き返していく。
まぁ、説明するまでも無いだろうが、この2人があのゆっくり親子の飼い主である。
この二人、別に喧嘩してるとか、仲が悪いとか、そういう訳ではない。
むしろ、メチャクチャ意識しあっているくらいなのだが……
(ううううう!や、やっぱり恥ずかしいよ!こ、こんな露出の多い水着なんて選ぶんじゃなかったよぉ!)
水着売り場で店員におススメされるままにビキニを買ってしまった事を激しく後悔するお姉さん。
まぁ、「これなら意中の男性もイチコロですよ!」と言われて舞い上がったのも問題だろうけど。
一応、お姉さんの名誉のためにフォローしておくと、彼女のプロポーションは悪くない。
顔も……眼鏡は趣味の分かれる所だが、掛けていてもいなくても美人の方だろう。
しかし、いかんせん彼女は自分に自信がなかった。そして、鈍かった。
お兄さんの好意には全く気づかず、自分の片思いだと頑なに信じて現在に至る。
で、一方のお兄さんは……
「れいむぅぅ!やっぱダメだよ。お姉さん、何だか怒ってるよ!」
「だからー、何で、いちいち、れいむに聞きに来るの?別にお姉さんは怒ってないと思うよ。照れてるんだよ」
「いやいや、怒ってるって、あれは!間違いないって!」
ゆっくりの家まで来て飼いゆっくりに泣き付いていた。
これまた鈍いお兄さんは、お姉さんの好意をことごとく別の意味に解釈し、空回りしていた。
今日も今日とて、明らかに勘違いしてテンパっている。
これには親まりさも唖然とするしかない。
(ま、まさか、お兄さんがここまでヘタレだとは思わなかったのぜ)
それと同時に、自分の飼い主のヘタレっぷりにも呆れ返る。
(おねえさーん、それじゃビキニの意味ないのぜー)
ナンパ目的の男たちすら引くどんよりオーラは、離れた場所にいる親まりさにもハッキリ見えた。
あれじゃあダメだ。全然ダメだ。
とはいえ、ゆっくりごときが恋の手助けなんて限度がある。
自分達の役目は、このヘタレカップルを焚き付けて海まで連れて来た時点で完了していると弁えている。
だから、まりさは諦めた。きっと、れいむも早々に諦めているのだろう。
(まぁ、海にデートに来れただけでも進展したと思っておくのぜ。……まりさたちは余計だったと思うけど)
とはいえ、家族旅行は嬉しいので、そこに文句を言うのは筋違いだと思い直す。
ふと、目を冷房室に向けると、中でこちらを呼んでいる子供たちが見えた。
どうやらお兄さんの姿を見て、遊んでほしがっているようだ。
親まりさは子供たちの方へ向かいつつ、番のれいむと視線を合わせて、そっと苦笑した。
「ちくしょー。どうやったら俺はお前らみたいにラブラブになれるんだよー!」
「だから、れいむがいつも言ってるでしょ!勇気を出してね!」
「むりー!絶対に無理だって!何とかしてくれよー!」
「ゆっくりに頼らないでね!人間さんの事は人間さんが解決するものだよ!?」
ゆっくりの家に、ヘタレ人間と苦労性の飼いゆっくりの叫びが響き渡った。
(おわり)