ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2292 にんげんさんにふくしゅうするよ!
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にんげんさんにふくしゅうするよ! 13KB
愛で いじめ 不運 誤解 日常模様 野良ゆ 現代 お時間のある方は
まりさはまりさだよ。
まりさはいまにんげんさんにふくしゅうしようとおもってるんだ。
まりさのあいするれいむとおちびちゃんはとつぜんにんげんさんにつれていかれちゃった。
にんげんさんはゆっくりできないいきもの。
くやしいけどきっともうれいむたちはゆっくりできなくされちゃったとおもうんだ。
まりさたちはゆっくりしてただけなのに。
「まりさあああぁあぁぁ!!!たすけてえええぇえぇええ!!!」
「おとうさんたすけてええぇええぇえぇええぇえ!!!!」
「いひひひひひ!!!!!お前達は俺の家でゆっくりかわいがってやるからなあ!!!」
「ゆ…あ…ま、まってねっ…れいむとおちびちゃんをつれていかないでねっ…」
まりさはこわくてうごけなかったよ。
なさけないゆっくりだよ。
でもこのままじゃしぬにしねないよ。
せめてにんげんさんにひとあわふかせてからみんなのところにいくよ!
『にんげんさんにふくしゅうするよ!』
ここはとある人間の住む街。
そこには人間に復讐を誓ったゆっくりがいました。
「れいむとおちびちゃんのかたきだよ。」
このまりさは人間に家族を奪われ恨みを持っています。
そのためまりさはこの数日、人間がどんな事を嫌うのかをよく観察し、さまざまな仕返しを考えました。
人間は基本的に不潔なものを嫌います。
そこでまりさは、ゴミ袋をちらかして人間の街を汚してやろうと考えました。
「たしかこのあたりに…ゆっ!あったよ!」
まりさがむかったのは朝のゴミ捨て場。
ここには多くの人間が袋の中にゴミをいれて置いていきます。
この袋を破ってゴミを散らかしてやればいいとまりさは思いました。
「ゆっ!?」
しかしゴミ捨て場にはすでに先着がいました。カラスです。
カラスは自分の食べ物を探すために袋を破ってゴミを散らかしていました。
「からすさんちょっとまってね!!!ふくろさんはまりさがやぶらなきゃいけないんだよ!!!
かってにやぶかないでね!!まりさがふくしゅうできないでしょおおおお!!!!」
「カア!カア!カア!」
「ちょっときいてるのからすさん!!!やめてっていってるでしょう!!!
いいかげんにしないとまりさだっておこるよ!!!ぷくううううううぅうぅぅうう!!!」
「カアアアァアアア!!!!」
「いじゃいいぃいいぃいいいいいぃい!!!!!」
カラスは自分の食べ物を取られるを思ったのか、まりさに鋭いくちばしで攻撃をしてきました。
「ゆうぅう…いだいぃい……で、でぼ…ここでばりさがひくわけにはいかないよおおお!!!!」
まりさとカラスの激しい戦いが始まりました。
両者とも一歩もひきません。
まりさは家族の復讐のために、カラスは自分が生きるために、それぞれの思いがあるのです。
戦いは10分にも及びました。
そんな激しい戦いも時間と共についには決着がつきます。
「くらえええぇええぇええぇ!!!!!」
「ガァアアァアッッ!!!カアッ!カアッ!!!」
まりさ渾身の体当たりがカラスの身体に命中。
カラスはどこかへと逃げ去って行きました。
「ゆはあっ…ゆはあっ…ついにっ…かったよ…からすさんに…かったよ…れいむ…おちびちゃん…みてたかな…まりさ…がんばったよ…」
「みてたよ。」
「ゆうっ!!?に、にんげんさん!!!」
まりさは運悪く人間に見つかってしまいました。
「カラスを追っ払ってくれたんだね。いつも荒らされてたから助かったよ。ありがとう。今度からもっと丈夫なカラス除けのネットとか付けてみるね。」
どうやらこの人間はまりさを今すぐに殺そうとはしていない様子です。
「ゆ、ゆっくりにんげんさんからにげるよ!!」
そうとわかったらまりさは一目散にこの場から逃げ出しました。
「逃げなくてもいいのに…」
「ゆひいっ…ゆひいぃ…ここまでくればあんぜんだね。
あのにんげんさんなぜかまりさにおれいをいってたね。ゆぎぃっ…ふくしゅうしっぱいだね……つぎはせいこうさせるよ!」
まりさは諦めず、次の復讐に取りかかりました。
人間は基本的に自分の物を取られるのを嫌います。
そこでまりさは、落ちている人間の物を勝手に自分の物にしてやろうと考えました。
「どこかにおちてないかな…ゆっ!あったよ!」
まりさがむかったのは店が多く並ぶ昼の商店街。
たくさんの人間がここを通って行きます。
ここなら誰かが何かを落としていてもおかしくないとまりさは思いました。
次こそ成功させてみせる…そう決意して。
こうして決意を新たにしたまりさが辺りを見回すと、何か大きな封筒のようなものを見つけました。
「ゆう?なにこれ?でもきっとにんげんさんのおとしものだよ!!!
これはまりさのものだよ!!!だれがなんといおうとまりさのものだよ!!!!」
まりさは自分の物宣言をし、この封筒を自分の持ち物としました。
意気揚々と収穫物を自分の巣に持ち帰ろうと商店街の広場を通っていると…
「あああああっ!!!!その封筒は!!!!!!!ついに見つけたあああああぁあ!!!!」
「ゆ"っ!!?そんなおおきなこえをだしてなんなの?こっ、これはまりさがさっきみつけたんだよ!!!」
「ありがとおおお!!!ずっとさがしてたんだよおお!!この中には面接の履歴書とか大事なものがはいってたんだよ!!!
いやあ!ありがとうゆっくり!!!いやまじで!ゆっくり最高!ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!!!だからこれはまりさがさっき…」
「ひろっておいてくれたんだね!!ありがとう!!こんなものしかないけどこれはお礼だよ!!
じゃあ面接行ってくる!!いい返事期待しててな!!!」
そういってこの声の主はほとんど食べかけの菓子パン(あと一口もない)を置いて人ごみの中を颯爽と走って行きました。
「だから…それは…まりさの……ゆう……まりさの……」
まりさは人間の勢いに押されてしまい、ほとんど何も言えずにその場にとり残されました。
「むーしゃむーしゃ…しあわせえええ…だけどすくないよお…」
その後、落し物を探してみたがなかなか見つからず、結局まりさは自分の巣に戻りました。
「あのにんげんさんもまりさにおれいをいってたね。またふくしゅうしっぱいだよ……ゆうう…」
まりさは落ち込みました。
一度とならず二度も失敗したのです。普通なら落ち込んでします。
しかしまりさは家族のためにと奮起しました。
「まりさはそんなにおちこんでいられないよ!つぎこそ…つぎこそはふくしゅうするよ!!」
次の成功を祈って…まりさは再び復讐に取りかかりました。
人間は基本的にうるさい音を嫌います。
そこでまりさは、人間が住む場所で大声をだし嫌な思いをさせてやろうと考えました。
「たくさんおうちがあるのはたしか…ゆっ!あったよ!」
まりさが向かったのは真夜中の静かな住宅街。
ここにはたくさんの人間が住んでいます。
ここで大声を出せば人間に嫌な思いをさせる事ができるとまりさは思いました。
夜中に行ったのも人間が寝ているため今度こそ成功するだろうと思っての事です。
「ゆっ!ここがいいね!んっ!んっ!!ゆうううううう…
ゆっくりしていってね!!!
ゆっくりしていってね!!!
ゆっくりしていってねええええええええぇえぇえええぇぇええええええ!!!!!!!!!!」
まりさは自分の限界まで出せる声を口から吐き出しました。
『ゆっくりしていってね!!!』の声が真夜中の静かな住宅街に響きます。
「なんだなんだ?」 「うるさいぞ!!!」 「ゆっくりだって?」 「おぎゃああああ!!!」 「勘弁してくれ…」
「こんな真夜中に誰だ!」 「やっと赤ちゃんが寝ついたのよ!」 「静かにしてくれよ…」
人間達がまりさの大声に起きてきたみたいです。
「ゆふふふ!うまくいってるみたいだね!!!」
まりさが勝利を確信しかけているそんな中…
「泥棒!!!うちに泥棒がいるぞ!!!!!誰か!!!誰か来てくれ!!!!!!!」
「ゆう?」
人間の家からまりさに負けじと大きな声がします。
「まりさにたいこうするきだね!!まりさまけないよ!!
ゆっくりしていってね!!!!ゆっくりしていってね!!!!ゆっくりしていってね!!!!」
「泥棒だ!!!!!!泥棒がいるぞ!!!!!!」
普段は静かなだけにこの騒がしい状況を不思議に思った人間達が外に出てきました。
「くそっ!!なんて日だ!!こんなところさっさとおさらばだ。」
「ゆびっ!!!いだいよおお…おぼうし…」
とある家から走って出てくる人間に通りにいたまりさは蹴られてしまいました。
「そいつは泥棒だ!誰か捕まえてくれ!!」
「何!泥棒だって!!」 「おい!そっちに逃げたぞ!!」 「逃げ道をふさげ!!!」 「陸上部の足なめんな!」
「逃がすな!そいつが最近この辺りを荒らしている奴だ!」 「警察には連絡しておいたぞ!」
住民たちの協力のおかげで、この辺りを荒らしていた泥棒は見事に捕まりました。
「いやあ。よく泥棒を見つけましたね。大手柄です。
私達警察も見回りを強化していたんですけれどこいつはなかなか尻尾をださなかったものですから。
でも気を付けてください。こういうやつは刃物などの武器を持っている事がありとても危険なんです。
次からは身の安全を一番に考えてくださいね。しかしみなさんのご協力に感謝します!」
そう言うと警察は泥棒をパトカーに乗せ去って行きました。
「俺達の勝利だぜえ!!!」 「よっしゃああ!!!」 「これで夜も安心ね!」
「あのとき俺の冷静な判断がなければ…」 「先輩寝てたじゃないですか。」
人間達はみな嬉しそうです。
そこに1人の人間がまりさに近づいてきました。
「お前が『ゆっくりしていってね!』と叫んでいたゆっくりか?」
「そ、そうだよ!まりさだよ!に、にんげんさん!ま、まりさのおおごえのせいでゆっくりねむれなかったでしょう?
まりさを…ゆっくりをあなどったことをこうかいしてね!!!」
「ああ!今までゆっくりをあなどっていたが、お前のおかげでこのあたりを荒らしていた泥棒を捕まえる事ができた。
ありがとうゆっくり!お前のおかげだ!」
「ゆえぇえぇえぇええ!!!!?こまってないの?ゆっくりできなかったんじゃないの?うるさかったでしょう?」
「何を言っているんだ?お前のおかげでみんなゆっくりできてるんだぞ。」
「ゆうううう!!?」
まりさはショックでした。自分の復讐のせいで人間達はゆっくりしていることに。
そしてまりさは気付いてしまいました。
どんなに頑張っても非力な自分の出来る事には限界があることに。
自分では人間に復讐する事が出来ない事に。
「ゆううっ…ぐすっ…まりさは…だめなゆっくりだよおぉおぉお…
にんげんさんにふくしゅうもできないなんてぇぇえぇえ…
れいむ…おちびちゃん…ごめんねえ…まりさもすぐにそっちにいくよ…」
最後にまりさが向かったのは自分の巣の近くにある道路。
車に飛び込んで死んでしまおうと考えました。
まりさは今までの自分のゆん生を思い出していました。
狩りの名人であるお父さん、歌の上手なお母さんの元に生まれたまりさは親の愛情を一身に受けて育ちました。
成長し親元を離れ美ゆっくりであるれいむをつがいにむかえると、そのうちかわいいおちびちゃんができ、家族3人のとてもゆっくりした生活。
そしてその幸せを人間が奪っていきました。
「まりさはにんげんさんにふくしゅうすることもできなかったよ…
ごめんね…おとうさん、おかあさん。
ごめんね…れいむ、おちびちゃん。
まりさはもうゆっくりするよ。」
「…ん…なんだ?うわ!!ゆっくりだ!!!」
(キキキキキキー!!!!!!!)
(ドンッ!)
(ガチャッ)
「あ~あ、ゆっくりをひいちまったよ…ったくついてねえなあ…」
(たす…けて…)
「なんだ?…何か声が…誰か助けを求めて…あれ…どうした…」
運転手が聞こえてくる小さな声に辺りを見回すと苦しそうに胸をおさえてしゃがみこんでいる子供を見つけました。
「おい!どうしたんだ!!胸が苦しいのか!!大丈夫か!?」
「う…うう……くる…しい……いきが……できない…よ……」
「まさかあのゆっくり、この事を知らせるために飛び込んできたのか?
いや、今は急いでこの子を病院につれていかないと!!
おい!しっかりしろ!!!」
………
……
…
「う………あれ…ここは?」
「気付いたみたいだね。ここは病院だよ。ご家族の方にも連絡しておいたからもうすぐ来ると思うよ。」
「あ…そっか…ぼく、発作をおさえるくすりを忘れちゃって…あの……助けてくれてありがとうございます!」
「いいよいいよ。助かってよかったな。
それより言いづらいんだが…君を見つける前、俺の車にゆっくりが飛び出してきてな…結果的にそのおかげで君を見つける事が出来たんだが…
あのゆっくりは君の飼いゆっくりだったんだろう?申し訳ない事をした…本当にすまない。」
「え?たしかにぼくのうちはさいきんゆっくりをかいはじめたけど、あのときはつれてきてないはずだけどなあ?」
「そうなのか?じゃあ、あのゆっくりはどうして…」
「ゆっくりが…ぼくを助けてくれたんだね……」
「…そうかもしれないな。そういえば君はあそこで何をしてたんだ?あんなところ、遊ぶものなんて何もないだろ?君1人だったみたいだし。」
「ぼくのかっているゆっくりの家族をさがしてたんだ。」
「家族?」
「そう。ぼく、からだが弱いからおうちでいっしょに遊ぶ友達が欲しいってお兄ちゃんにおねがいしたらゆっくりをつれてきたの。」
「うん。」
「ぼく、ゆっくりのお世話いっしょうけんめいしたんだけどなんだかさみしそうなの。どうしてそんなにさみしそうなのってきいたら…」
「ここにいきなりつれてこられるときにれいむとおちびちゃんだけで、まりさはおいてかれたんだよ。
ここはにんげんさんがごはんさんをくれるし、いっぱいやさしくしてくれるけど…でも…まりさがいないのはいやだよお…」
「おとうさああああん……」
「じゃあぼくがいっしょにさがしてあげる!」
「ゆ!?ほんとう!?ありがとおおおにんげんさん!」
「ありがとうにんげんさん!」
「それで昨日おかあさん達に内緒でゆっくりといっしょにうちに来る前に住んでいた巣に朝、昼、夜と3回も行って探してみたんだけど誰もいなかったんだ。
あそこは車が通っててゆっくりにはあぶないから今日はぼくだけでさがしてたの。」
「それであんなところにいた訳か…駄目だろ!お母さん達に内緒にしたら!もし俺が見つけなかったらどうなってたと思うんだ!!」
「ごめんなさい…次はぜったいだまっていかないよ…本当にごめんなさい。」
「…わかったならいいんだけど…………ほら、お母さん達が来たみたいだぞ。」
「○○!?大丈夫!!?」
「にんげんさんだいじょうぶ!!?」
………
……
…
ここはとある人間の住む街。
そこには人間だけでなくさまざまな考えをもつゆっくり達も住んでいます。
「ゆゆ~ん!れいむはまちいちばんのびゆっくり…かおはやめてえええぇえぇえぇえぇえぇええええ!!!!!」
自分がいちばんかわいいと思っているゆっくり。
「しにたくなかったらおかねをだすんだぜ……いじゃいいいぃいいいい!!!」
人間からお金をまきとろうとしているゆっくり。
「にんげんさん!ぱちゅのはなしをきいてね!(むきゅむきゅwww)」 「むししないでよおおおぉおお!!!!」
人間を利用しようと考えているゆっくり。
「んほおおおぉおおぉおおおお!!!!!」
発情し相手を求めているゆっくり。
もしみなさんに関わってくるゆっくりがいたら何か自分なりの考えがあるのかもしれませんね。
「ゆう…きょうもみつからなかったよ…もうまりさは…」
「ほら!れいむがあきらめたらだめだよ!ぼくもがんばるから明日こそみつけよう!!」
「ゆ!わかったよ!!ありがとうにんげんさん!」
「じゃあ今日はもうおそいからおうちに帰ろうか?」
「そうだね!おちびちゃんとにんげんさんたちがまってるよ!」
…
「きょうもしっぱいしちゃったよお…」
そしてここにも傷だらけのゆっくりがひとり。
「でもれいむとおちびちゃんのかたきだよ。」
どうやらこのゆっくりは人間に復讐を考えているようです。
「まりさ、めげないよ!」
このゆっくりのふくしゅうはまだ続きそうです。
<今までの拙文>
anko1262 ゆっくりってなんだ?
前作『ゆっくりってなんだ?』にすてきな挿絵を描いてくださった、ねゆあきさん。
たくさんの感想をくれたみなさんありがとうございます。
前回これを最初で最後のSSにしますと書いたのは病気でゆっくりしてしまうかもしれなかったからでした。
立ち向かえたのはみなさんの感想に支えられた部分もあります。本当にありがとうございました。
(うぬぼれですが、もし『ゆっくりってなんだ?』に興味を持たれた方がいましたら、今作とは違いきつい内容ですのでお気を付けください。)
最近、今度は全治1年の大けがをしましたが、わたし、めげない。
愛で いじめ 不運 誤解 日常模様 野良ゆ 現代 お時間のある方は
まりさはまりさだよ。
まりさはいまにんげんさんにふくしゅうしようとおもってるんだ。
まりさのあいするれいむとおちびちゃんはとつぜんにんげんさんにつれていかれちゃった。
にんげんさんはゆっくりできないいきもの。
くやしいけどきっともうれいむたちはゆっくりできなくされちゃったとおもうんだ。
まりさたちはゆっくりしてただけなのに。
「まりさあああぁあぁぁ!!!たすけてえええぇえぇええ!!!」
「おとうさんたすけてええぇええぇえぇええぇえ!!!!」
「いひひひひひ!!!!!お前達は俺の家でゆっくりかわいがってやるからなあ!!!」
「ゆ…あ…ま、まってねっ…れいむとおちびちゃんをつれていかないでねっ…」
まりさはこわくてうごけなかったよ。
なさけないゆっくりだよ。
でもこのままじゃしぬにしねないよ。
せめてにんげんさんにひとあわふかせてからみんなのところにいくよ!
『にんげんさんにふくしゅうするよ!』
ここはとある人間の住む街。
そこには人間に復讐を誓ったゆっくりがいました。
「れいむとおちびちゃんのかたきだよ。」
このまりさは人間に家族を奪われ恨みを持っています。
そのためまりさはこの数日、人間がどんな事を嫌うのかをよく観察し、さまざまな仕返しを考えました。
人間は基本的に不潔なものを嫌います。
そこでまりさは、ゴミ袋をちらかして人間の街を汚してやろうと考えました。
「たしかこのあたりに…ゆっ!あったよ!」
まりさがむかったのは朝のゴミ捨て場。
ここには多くの人間が袋の中にゴミをいれて置いていきます。
この袋を破ってゴミを散らかしてやればいいとまりさは思いました。
「ゆっ!?」
しかしゴミ捨て場にはすでに先着がいました。カラスです。
カラスは自分の食べ物を探すために袋を破ってゴミを散らかしていました。
「からすさんちょっとまってね!!!ふくろさんはまりさがやぶらなきゃいけないんだよ!!!
かってにやぶかないでね!!まりさがふくしゅうできないでしょおおおお!!!!」
「カア!カア!カア!」
「ちょっときいてるのからすさん!!!やめてっていってるでしょう!!!
いいかげんにしないとまりさだっておこるよ!!!ぷくううううううぅうぅぅうう!!!」
「カアアアァアアア!!!!」
「いじゃいいぃいいぃいいいいいぃい!!!!!」
カラスは自分の食べ物を取られるを思ったのか、まりさに鋭いくちばしで攻撃をしてきました。
「ゆうぅう…いだいぃい……で、でぼ…ここでばりさがひくわけにはいかないよおおお!!!!」
まりさとカラスの激しい戦いが始まりました。
両者とも一歩もひきません。
まりさは家族の復讐のために、カラスは自分が生きるために、それぞれの思いがあるのです。
戦いは10分にも及びました。
そんな激しい戦いも時間と共についには決着がつきます。
「くらえええぇええぇええぇ!!!!!」
「ガァアアァアッッ!!!カアッ!カアッ!!!」
まりさ渾身の体当たりがカラスの身体に命中。
カラスはどこかへと逃げ去って行きました。
「ゆはあっ…ゆはあっ…ついにっ…かったよ…からすさんに…かったよ…れいむ…おちびちゃん…みてたかな…まりさ…がんばったよ…」
「みてたよ。」
「ゆうっ!!?に、にんげんさん!!!」
まりさは運悪く人間に見つかってしまいました。
「カラスを追っ払ってくれたんだね。いつも荒らされてたから助かったよ。ありがとう。今度からもっと丈夫なカラス除けのネットとか付けてみるね。」
どうやらこの人間はまりさを今すぐに殺そうとはしていない様子です。
「ゆ、ゆっくりにんげんさんからにげるよ!!」
そうとわかったらまりさは一目散にこの場から逃げ出しました。
「逃げなくてもいいのに…」
「ゆひいっ…ゆひいぃ…ここまでくればあんぜんだね。
あのにんげんさんなぜかまりさにおれいをいってたね。ゆぎぃっ…ふくしゅうしっぱいだね……つぎはせいこうさせるよ!」
まりさは諦めず、次の復讐に取りかかりました。
人間は基本的に自分の物を取られるのを嫌います。
そこでまりさは、落ちている人間の物を勝手に自分の物にしてやろうと考えました。
「どこかにおちてないかな…ゆっ!あったよ!」
まりさがむかったのは店が多く並ぶ昼の商店街。
たくさんの人間がここを通って行きます。
ここなら誰かが何かを落としていてもおかしくないとまりさは思いました。
次こそ成功させてみせる…そう決意して。
こうして決意を新たにしたまりさが辺りを見回すと、何か大きな封筒のようなものを見つけました。
「ゆう?なにこれ?でもきっとにんげんさんのおとしものだよ!!!
これはまりさのものだよ!!!だれがなんといおうとまりさのものだよ!!!!」
まりさは自分の物宣言をし、この封筒を自分の持ち物としました。
意気揚々と収穫物を自分の巣に持ち帰ろうと商店街の広場を通っていると…
「あああああっ!!!!その封筒は!!!!!!!ついに見つけたあああああぁあ!!!!」
「ゆ"っ!!?そんなおおきなこえをだしてなんなの?こっ、これはまりさがさっきみつけたんだよ!!!」
「ありがとおおお!!!ずっとさがしてたんだよおお!!この中には面接の履歴書とか大事なものがはいってたんだよ!!!
いやあ!ありがとうゆっくり!!!いやまじで!ゆっくり最高!ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!!!だからこれはまりさがさっき…」
「ひろっておいてくれたんだね!!ありがとう!!こんなものしかないけどこれはお礼だよ!!
じゃあ面接行ってくる!!いい返事期待しててな!!!」
そういってこの声の主はほとんど食べかけの菓子パン(あと一口もない)を置いて人ごみの中を颯爽と走って行きました。
「だから…それは…まりさの……ゆう……まりさの……」
まりさは人間の勢いに押されてしまい、ほとんど何も言えずにその場にとり残されました。
「むーしゃむーしゃ…しあわせえええ…だけどすくないよお…」
その後、落し物を探してみたがなかなか見つからず、結局まりさは自分の巣に戻りました。
「あのにんげんさんもまりさにおれいをいってたね。またふくしゅうしっぱいだよ……ゆうう…」
まりさは落ち込みました。
一度とならず二度も失敗したのです。普通なら落ち込んでします。
しかしまりさは家族のためにと奮起しました。
「まりさはそんなにおちこんでいられないよ!つぎこそ…つぎこそはふくしゅうするよ!!」
次の成功を祈って…まりさは再び復讐に取りかかりました。
人間は基本的にうるさい音を嫌います。
そこでまりさは、人間が住む場所で大声をだし嫌な思いをさせてやろうと考えました。
「たくさんおうちがあるのはたしか…ゆっ!あったよ!」
まりさが向かったのは真夜中の静かな住宅街。
ここにはたくさんの人間が住んでいます。
ここで大声を出せば人間に嫌な思いをさせる事ができるとまりさは思いました。
夜中に行ったのも人間が寝ているため今度こそ成功するだろうと思っての事です。
「ゆっ!ここがいいね!んっ!んっ!!ゆうううううう…
ゆっくりしていってね!!!
ゆっくりしていってね!!!
ゆっくりしていってねええええええええぇえぇえええぇぇええええええ!!!!!!!!!!」
まりさは自分の限界まで出せる声を口から吐き出しました。
『ゆっくりしていってね!!!』の声が真夜中の静かな住宅街に響きます。
「なんだなんだ?」 「うるさいぞ!!!」 「ゆっくりだって?」 「おぎゃああああ!!!」 「勘弁してくれ…」
「こんな真夜中に誰だ!」 「やっと赤ちゃんが寝ついたのよ!」 「静かにしてくれよ…」
人間達がまりさの大声に起きてきたみたいです。
「ゆふふふ!うまくいってるみたいだね!!!」
まりさが勝利を確信しかけているそんな中…
「泥棒!!!うちに泥棒がいるぞ!!!!!誰か!!!誰か来てくれ!!!!!!!」
「ゆう?」
人間の家からまりさに負けじと大きな声がします。
「まりさにたいこうするきだね!!まりさまけないよ!!
ゆっくりしていってね!!!!ゆっくりしていってね!!!!ゆっくりしていってね!!!!」
「泥棒だ!!!!!!泥棒がいるぞ!!!!!!」
普段は静かなだけにこの騒がしい状況を不思議に思った人間達が外に出てきました。
「くそっ!!なんて日だ!!こんなところさっさとおさらばだ。」
「ゆびっ!!!いだいよおお…おぼうし…」
とある家から走って出てくる人間に通りにいたまりさは蹴られてしまいました。
「そいつは泥棒だ!誰か捕まえてくれ!!」
「何!泥棒だって!!」 「おい!そっちに逃げたぞ!!」 「逃げ道をふさげ!!!」 「陸上部の足なめんな!」
「逃がすな!そいつが最近この辺りを荒らしている奴だ!」 「警察には連絡しておいたぞ!」
住民たちの協力のおかげで、この辺りを荒らしていた泥棒は見事に捕まりました。
「いやあ。よく泥棒を見つけましたね。大手柄です。
私達警察も見回りを強化していたんですけれどこいつはなかなか尻尾をださなかったものですから。
でも気を付けてください。こういうやつは刃物などの武器を持っている事がありとても危険なんです。
次からは身の安全を一番に考えてくださいね。しかしみなさんのご協力に感謝します!」
そう言うと警察は泥棒をパトカーに乗せ去って行きました。
「俺達の勝利だぜえ!!!」 「よっしゃああ!!!」 「これで夜も安心ね!」
「あのとき俺の冷静な判断がなければ…」 「先輩寝てたじゃないですか。」
人間達はみな嬉しそうです。
そこに1人の人間がまりさに近づいてきました。
「お前が『ゆっくりしていってね!』と叫んでいたゆっくりか?」
「そ、そうだよ!まりさだよ!に、にんげんさん!ま、まりさのおおごえのせいでゆっくりねむれなかったでしょう?
まりさを…ゆっくりをあなどったことをこうかいしてね!!!」
「ああ!今までゆっくりをあなどっていたが、お前のおかげでこのあたりを荒らしていた泥棒を捕まえる事ができた。
ありがとうゆっくり!お前のおかげだ!」
「ゆえぇえぇえぇええ!!!!?こまってないの?ゆっくりできなかったんじゃないの?うるさかったでしょう?」
「何を言っているんだ?お前のおかげでみんなゆっくりできてるんだぞ。」
「ゆうううう!!?」
まりさはショックでした。自分の復讐のせいで人間達はゆっくりしていることに。
そしてまりさは気付いてしまいました。
どんなに頑張っても非力な自分の出来る事には限界があることに。
自分では人間に復讐する事が出来ない事に。
「ゆううっ…ぐすっ…まりさは…だめなゆっくりだよおぉおぉお…
にんげんさんにふくしゅうもできないなんてぇぇえぇえ…
れいむ…おちびちゃん…ごめんねえ…まりさもすぐにそっちにいくよ…」
最後にまりさが向かったのは自分の巣の近くにある道路。
車に飛び込んで死んでしまおうと考えました。
まりさは今までの自分のゆん生を思い出していました。
狩りの名人であるお父さん、歌の上手なお母さんの元に生まれたまりさは親の愛情を一身に受けて育ちました。
成長し親元を離れ美ゆっくりであるれいむをつがいにむかえると、そのうちかわいいおちびちゃんができ、家族3人のとてもゆっくりした生活。
そしてその幸せを人間が奪っていきました。
「まりさはにんげんさんにふくしゅうすることもできなかったよ…
ごめんね…おとうさん、おかあさん。
ごめんね…れいむ、おちびちゃん。
まりさはもうゆっくりするよ。」
「…ん…なんだ?うわ!!ゆっくりだ!!!」
(キキキキキキー!!!!!!!)
(ドンッ!)
(ガチャッ)
「あ~あ、ゆっくりをひいちまったよ…ったくついてねえなあ…」
(たす…けて…)
「なんだ?…何か声が…誰か助けを求めて…あれ…どうした…」
運転手が聞こえてくる小さな声に辺りを見回すと苦しそうに胸をおさえてしゃがみこんでいる子供を見つけました。
「おい!どうしたんだ!!胸が苦しいのか!!大丈夫か!?」
「う…うう……くる…しい……いきが……できない…よ……」
「まさかあのゆっくり、この事を知らせるために飛び込んできたのか?
いや、今は急いでこの子を病院につれていかないと!!
おい!しっかりしろ!!!」
………
……
…
「う………あれ…ここは?」
「気付いたみたいだね。ここは病院だよ。ご家族の方にも連絡しておいたからもうすぐ来ると思うよ。」
「あ…そっか…ぼく、発作をおさえるくすりを忘れちゃって…あの……助けてくれてありがとうございます!」
「いいよいいよ。助かってよかったな。
それより言いづらいんだが…君を見つける前、俺の車にゆっくりが飛び出してきてな…結果的にそのおかげで君を見つける事が出来たんだが…
あのゆっくりは君の飼いゆっくりだったんだろう?申し訳ない事をした…本当にすまない。」
「え?たしかにぼくのうちはさいきんゆっくりをかいはじめたけど、あのときはつれてきてないはずだけどなあ?」
「そうなのか?じゃあ、あのゆっくりはどうして…」
「ゆっくりが…ぼくを助けてくれたんだね……」
「…そうかもしれないな。そういえば君はあそこで何をしてたんだ?あんなところ、遊ぶものなんて何もないだろ?君1人だったみたいだし。」
「ぼくのかっているゆっくりの家族をさがしてたんだ。」
「家族?」
「そう。ぼく、からだが弱いからおうちでいっしょに遊ぶ友達が欲しいってお兄ちゃんにおねがいしたらゆっくりをつれてきたの。」
「うん。」
「ぼく、ゆっくりのお世話いっしょうけんめいしたんだけどなんだかさみしそうなの。どうしてそんなにさみしそうなのってきいたら…」
「ここにいきなりつれてこられるときにれいむとおちびちゃんだけで、まりさはおいてかれたんだよ。
ここはにんげんさんがごはんさんをくれるし、いっぱいやさしくしてくれるけど…でも…まりさがいないのはいやだよお…」
「おとうさああああん……」
「じゃあぼくがいっしょにさがしてあげる!」
「ゆ!?ほんとう!?ありがとおおおにんげんさん!」
「ありがとうにんげんさん!」
「それで昨日おかあさん達に内緒でゆっくりといっしょにうちに来る前に住んでいた巣に朝、昼、夜と3回も行って探してみたんだけど誰もいなかったんだ。
あそこは車が通っててゆっくりにはあぶないから今日はぼくだけでさがしてたの。」
「それであんなところにいた訳か…駄目だろ!お母さん達に内緒にしたら!もし俺が見つけなかったらどうなってたと思うんだ!!」
「ごめんなさい…次はぜったいだまっていかないよ…本当にごめんなさい。」
「…わかったならいいんだけど…………ほら、お母さん達が来たみたいだぞ。」
「○○!?大丈夫!!?」
「にんげんさんだいじょうぶ!!?」
………
……
…
ここはとある人間の住む街。
そこには人間だけでなくさまざまな考えをもつゆっくり達も住んでいます。
「ゆゆ~ん!れいむはまちいちばんのびゆっくり…かおはやめてえええぇえぇえぇえぇえぇええええ!!!!!」
自分がいちばんかわいいと思っているゆっくり。
「しにたくなかったらおかねをだすんだぜ……いじゃいいいぃいいいい!!!」
人間からお金をまきとろうとしているゆっくり。
「にんげんさん!ぱちゅのはなしをきいてね!(むきゅむきゅwww)」 「むししないでよおおおぉおお!!!!」
人間を利用しようと考えているゆっくり。
「んほおおおぉおおぉおおおお!!!!!」
発情し相手を求めているゆっくり。
もしみなさんに関わってくるゆっくりがいたら何か自分なりの考えがあるのかもしれませんね。
「ゆう…きょうもみつからなかったよ…もうまりさは…」
「ほら!れいむがあきらめたらだめだよ!ぼくもがんばるから明日こそみつけよう!!」
「ゆ!わかったよ!!ありがとうにんげんさん!」
「じゃあ今日はもうおそいからおうちに帰ろうか?」
「そうだね!おちびちゃんとにんげんさんたちがまってるよ!」
…
「きょうもしっぱいしちゃったよお…」
そしてここにも傷だらけのゆっくりがひとり。
「でもれいむとおちびちゃんのかたきだよ。」
どうやらこのゆっくりは人間に復讐を考えているようです。
「まりさ、めげないよ!」
このゆっくりのふくしゅうはまだ続きそうです。
<今までの拙文>
anko1262 ゆっくりってなんだ?
前作『ゆっくりってなんだ?』にすてきな挿絵を描いてくださった、ねゆあきさん。
たくさんの感想をくれたみなさんありがとうございます。
前回これを最初で最後のSSにしますと書いたのは病気でゆっくりしてしまうかもしれなかったからでした。
立ち向かえたのはみなさんの感想に支えられた部分もあります。本当にありがとうございました。
(うぬぼれですが、もし『ゆっくりってなんだ?』に興味を持たれた方がいましたら、今作とは違いきつい内容ですのでお気を付けください。)
最近、今度は全治1年の大けがをしましたが、わたし、めげない。