ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1428 野良ゆっくりNo.4(完)
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「なんか気持ち悪いなコレ......一体どうなってんだ?」
その光景は昨夜見た末っ子のれいむとは思えない謎の物体が、水槽型虫かごの底に溜まっていた。
緑の網の蓋にしっかりと嵌っていた頭部はいつの間にか抜けて、白くデロデロとした何かの上にちょこんと乗ってだらしなく舌を垂らしていた。
「あー頭から下は朝露でふやけたのか。」
ぴったりと嵌っていた所もふやけたらしく自重で頭が抜けたようだ。
「しっかし気持ち悪いなぁ。」
そう言うと俺は蓋を外してから水槽を傾けて中身を出した。ずいぶんと気持ち悪い姿になった末っ子のれいむは傾けられた水槽の壁をデローっと伝って足台の上に落ちて
時折「ゆ”ゆ”ゆ”...」と声らしき音を鳴らした。
「あ、おにーさん!ゆっくりおはようございます。」
「ゆっくりおはようございます!」
「おにーさん、それはな...に?...ゆーーーーー!」
「ゆぅ?....れ・れいむ?........ゆーーーーーー!れいむーーーーー!!」
幾ら家族とはいえ、即座にその気持ち悪い物体が自分の家族の一員だと思えなかった。いや、思えないほどに姿が変わっていたのだ。
「れいむ!れいむ!れいむ!ゆ・ゆっくりしていってね!」
「おちびちゃあああああんん!いったいどうしてぇぇぇええ!」
「ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”...。」
「おちびちゃんしっかりしてね!ゆっくりしてね!おかーさんだよ。れいむぅぅぅううう!」
「れいむ!だいじょうぶ?れいむ、なにかおはなししてよ!」
おーおー♪うろたえているなぁ、凄い取り乱しようだ。喋っている言葉の意味が不明だ。
「おちびちゃん、おかーさんが「ぺ~ろぺろ」で治してあげるからしっかりしてね!」
「れいむも「ぺ~ろぺろ」するよ!」
親のれいむと姉のれいむは急いで変わり果てた姿の末っ子のれいむを舐め始めた。だが末っ子のれいむの大半は既にゲル状に溶けている。
「ゆごっ!ゆべぇえええええ!ぎぼちわるいいいい!」
「ゆぶっ!ゆべっ!....れいむ...えぶっ」
「おにーざん!なんどがじてくだざい!おぢびじゃんを、おじびじゃんをだずけてぐだざいいいいい!」
「れいむぅ!れいむぅ!ゆびぇえええええん!」
「えー!なんとかしろって言われてもなぁ.....そもそも治るのか?これ。」
お、コイツいつものスタイルじゃなく足にすがりついて涙やら涎やら垂らして泣いてやがる。あーあー!やめろっつーの!服が汚れる!
たしか、オレンジジュースが良いとか何とか聞いたが、家にはそんなもん無いしなぁ。そもそも、そんなもんぶっ掛けたら流れて悪化しそうだ。
砂糖水?いや結果は同じか。.....ん~面倒だからコーヒー用のグラニュー糖でもぶっ掛けるか。
「ちょっと待ってろ」
俺は家の茶箪笥からコーヒー用のグラニュー糖が入っている防湿瓶を持ってきて適当に直接ザザッと山盛りに振りかけた。
「ゆぎぎぎぎぎぎぎぎ.....ぎっ!ぎぎっ!」
なんか悪化したような気がするが.............あ!これ塩だったわ。
「おにーさん、なんだかおちびちゃんへんだよ?くるしそうだよ」
「れいむ!れいむ!ねぇおへんじしてよ!れいむーー!」
「大丈夫、大丈夫♪ほら、溶けてた体が元に戻ってるだろ」
たしか浸透圧だか浸透作用だかで、ふやけた体が引き締まってきた。さすがだな俺は、歯槽膿漏も塩が入った歯磨き粉で治ると聞いたし。
「ぎぎぎぎぎ...ごぷっ..ごぷっ」
「あぁ!おちびちゃん!あんこさんはいちゃだめーーー!おねがいだからはかないでー!」
「れいむしっかりして。おねーちゃん、もうだいきらいとかいわないから...。」
あー、やっぱダメかぁ。しょうがない、ちゃんとグラニュー糖ぶっ掛けるか。
俺は再度、家に戻ってグラニュー糖がちゃんと入っている防湿瓶を持ってきた。末っ子のれいむの上にかかっている大量の塩をフーっと息で吹き飛ばしてから、
さっきと同じようにグラニュー糖を大量に振りかけた。
「これで大丈夫だ。しばらく様子見てろ、俺は仕事があるからもう行くわ!」
「おにいいいいざぁん!ほんどうにあじがとうございまず!あじがどうございばず!」
「おにーさん、れいむおにーさんのこと、だいじゅぎでず!ぼんどうにだいじゅぎです!!!」
うわぁ...気分悪いわぁ。お前はマジで俺をメンタルクリニック行きにしたいのか?
そして、庭に残された2匹と変な1匹......
「おかーさん、おにーさん行っちゃったね。おにーさんはほんとうにゆっくりしているね。」
「おかーさんは、おにーさんのところにきて、ほんとうによかったわ。」
塩やらグラニュー糖やらをぶっ掛けられた末っ子のれいむは体内の餡子を吐き出すのを止めて今は落ち着いている。時折「ぎっぎぎぎぎ...」と呻いたり
「ふひゅー...ふひゅー...」と息を荒げたりして身を捩っている。
当初2匹は、そんな様子の末っ子のれいむの傍らに寄り添って絶え間なく話しかけたりして看病していたが、春の日差しが誘う暴力的なまでの睡魔にやられて
すっかり寝込んでしまったようだ。
「....おきゃーしゃん?.....おにぇーしゃん?....。」
「ゆぅ....ゆぅ....ゆぅ...ゅ...ゅ...ゆ?...ゆ!ゆゆ!....れいむ?れいむ!!れいむなの?れいむーー!....おかーさん!おかーさん!」
「ゆゆっ!どうしたの?おちびちゃん....おかーさんはゆっくりしているわ....ゅ....ゅ...」
「ゆっくりおきてよ!おかーさん!れいむが!れいむが!」
「....ゆあ!おちびちゃん?おちびちゃんだいじょうぶなの!」
「ゆぅ~♪れいむがなおったーー!れいむ!れいむ!れいむ!」
「おちびちゃーん!ゆっくりよかったわ....ほんとうに...よかった。」
「おにぇーしゃん、おかーしゃん.....れいむさびちかったよ.....。」
後から掛けたグラニュー糖が効を奏したのか、はたまた春の日差しが余計な水分を蒸発させたのが良かったのか真相は謎だが、末っ子のれいむはすっかり元通りになっていた。
外見上は.....。
しばらくの間、れいむ一家は末っ子のれいむに身を寄せ、泣きながら「す~りすり」を繰り返して死の淵に居た末っ子のれいむの生還を喜んでいた。
「おちびちゃん、おなかすいたでしょう。あたらしいおうちにいって、あまあまさんをたべましょうね♪」
「れいむのぶんもたべてもいいからね。れいむはおなかさんすいていないから。」
「さぁあたらしいおうちに、ゆっくりいこうねぇ~♪」
「れいむ~はやくおいでよ♪あまあまさんたべたら、れいむといっしょにおさんぽしようねぇ。」
「ゆ?どうしたの?おちびちゃん?」
「はやくこないとれいむが、あまあまさんぜんぶたべちゃうぞ~♪」
「あみゃあみゃさん!あみゃあみゃさん!れいみゅいっぱいたべりゅ~♪...........ゆっ....ゆっ...ゆ?....ゆぅうううううう?!!!」
「にゃんにゃのこりぇー!!!あんよしゃん!れいみゅのとっちぇもゆっきゅりしたあんよしゃんうごいちぇー!!」
「おちびちゃんどうしたの?!あんよさんうごかないの?」
「れいむ、ゆっくりれいむに、あんよさんみせてみて.........ゆぅ....なんともないよれいむ。いったいどうなってるの?」
「にゃんでぇー?!どぼちてぇー!にゃんでうぎょきゃないにょ?れいみゅの、あししゃん!ゆっきゅりしちぇないでうぎょいてよ!」
「まってねおちびちゃん、おかーさんがいま「ぺ~ろぺろ」してなおしてあげるから。」
「れいむも「ぺ~ろぺろ」するから「あんっしん」してね、れいむ。」
親のれいむと姉のれいむがひっきりなしに末っ子のれいむの足を長い舌で舐めるが、一向に動く気配がない末っ子のれいむの足。
「...どーしちぇ?どーしちぇれいむのあんにょしゃんうごきゃないのぉぉぉおお!!おきゃーしゃん、おにぇーちゃん、にゃんでれいむのあししゃんなおしちぇ
きゅれないの?!ばきゃなの?しぬの?はやきゅゆっくちなおちてよおおおおお!!!」
親のれいむと姉のれいむが一生懸命に舐めているが全然治らない。それどころか、舐めすぎて足の皮が溶け出し、末っ子のれいむの足に激痛が走り始めた。
「いじゅああああいいい!にゃーみぇーちぇー!れいみゅいちゃんだじょ!れいみゅいちゃいっていっちぇるでしょおおお!!れいみゅほんっきゅでおきょるよ!
こにょ.....ばきゃどもめえええええ!!」
「....れいむ....。」
「おちびちゃん....。」
「お・おちびちゃんは、おなかがすいてるのね....それで....くっ。」
「おかーさんゆっくりしてね!そうよ、れいむはおなかがすいてるのよ、けがもひどかったし。あまあまなごはんさんをたべれば、あんよもきっとうごくようになるわ。
ね!れいむ!おねーちゃんが、いまもってきてあげるからまっててね。」
そう言うと姉のれいむは、新しいお家から最後となった残りのバウムクーヘンを咥えて足台の上に持ってきた。
「ゆぅ~♪れいむのあみゃあみゃしゃんだー!ゆっくちたべるにょおおおお!!」
「そうねおちびちゃん、みんなでいっしょに「む~しゃむしゃ」しようねぇ~♪」
「れいむはちょっとだけでいいから、れいむはいっぱいたべてね♪」
「さぁ、おちびちゃんたち~いっしょに~♪」
「む~しゃむしゃ、む~しゃむしゃ」
久々の一家団欒というところか、れいむ一家の3匹は最後のバウムクーヘンに噛り付いて食事を始めた。
「し・しあわ」
「しあわせ」
親のれいむと姉のれいむが最後のバウムクーヘンを食べ、食事中のゆっくりがやる特有の行動「しあわせ~」を言いかけた所で、それを遮る絶叫がこだました。
「ちょっとぉぉおおおお!にゃにしてんのー!!!」
「え?」
「なに?れいむ?」
「こにょあみゃあみゃしゃんは、れいみゅがみちゅけたあみゃあみゃしゃんだよ!にゃに、かっちぇにちゃべちぇくれてんにょー?!」
「こ...このこは....ほんっとに!このこは....」
「....れ・れいむのわからずやー!」
親のれいむがプルプルと怒りに震えながら黙って左右のもみあげを使い、まだ末っ子のれいむが齧っているバウムクーヘンを取り上げ、頭の上に乗せて新しいお家
の中に消えていった。
「かえちぇにょー!それはれいみゅのあみゃあみゃしゃんだにょ!かえちぇよ!きょのくしょばばぁ!」
「かーえーしぇー!いいきゃげんにしゅろよ!ばきゃおや!きょの........げしゅ!げしゅおや!」
「ゲス」それは、ゆっくりの間でも最高ランクの罵声である。あまりにも酷い形容詞がゆえに言った本人も卑下されるほどの醜悪な言葉。
さすがの親のれいむも、それには我慢できなかった。いくら出来が悪くても、植物性妊娠を遥かに凌駕する程の母性が芽生えると言われる胎生妊娠を経て実際に
腹を痛めてまで産み落とした最愛の子供であろうとも、自分に向かって「ゲス」と罵るのは容認はできなかった。
親のれいむは、一度新しいお家に入ったものの、その発言にかってないほどの怒りをその顔に表し、新しいお家の中から飛び出してきた。
末っ子のれいむが動けずに佇んでいる足台に勢いよく飛び降りると、怒りの一閃をもみあげで打った。
「ゲスはあんたのことよ!」
たった一言、大声で怒鳴ると親のれいむは新しいお家の中に戻り沈黙した。姉のれいむも、いつものように末っ子のれいむに優しい言葉を投げかける事はせず、黙って
母と同じように新しいお家の中に入って行った。
「いじゃいいいい!いぎいいいいい!きょのげしゅおや!れいみゅ、にゃんにもわりゅきゅにゃいのに!「ぎゃくったい」しゅりゅばきゃおやは、ちねええええ!」
「....いじゃい.......ゆぅ?きょきょはどきょ?にゃんだきゃへんだにょ?......ありぇ?ゆっゆっゆ!うごきぇにゃい?うごきぇにゃいいいい!!!」
親のれいむが放った強烈な一閃で打ち飛ばされた末っ子のれいむは、足台の上を勢いよく転がり、家の壁と足台の間にある隙間に顔を上にして、すっぽりと
嵌りこんでしまったのである。
言い方を変えれば、巨大なクレバスに仰向けで落ちて身動きが取れなくなった様子と酷似している状態だ。
「おにぇーしゃーん!おにぇーしゃーん!れいみゅにゃんだかうごきぇにゃいよー!しゃっしゃとたちゅけてね!いましゅぐでいいよっ!!」
「.....おにぇーしゃん!ちゃんときいちぇるの?きゃわいくちぇ、ゆっきゅりとしゅた、れいみゅがにょんでるんだにょー!」
「.........しゃっしゃとたちゅけろー!にゃにやってんのおおおおお?!ばきゃにゃの?ちゅぬの?きょのぐじゅうううううう!」
末っ子のれいむが、いくら叫ぼうと誰も来ない。
一方、お家の中では......。
「おかーさん、ゆっくりね。ゆっくりおちついてね。」姉のれいむは、そう言いながら「す~りすり」を繰り返す。
「...ゆ....ゆ..ゆううう。おちびちゃん。おかーさんはどこでまちがえたの?」
「おかーさんはとってもゆっくりしているよ。れいむがいちばんわかっているよ。」
「ゆぅ、れいむ...。」
「おかーさん....。」
~~~その日の夜~~~
「あれ?いねぇな?...........お、いるじゃねぇか。なんだ寝てんのか?!」
「ゆ!ゆぅ~。おにーさん、ゆっくりしていってね。」
「....ゆぅ。ゆっくりしていってね。」
「なんだよ、なんかお前ら元気ねぇな~。はは~ん、お前らバカだから餌を全部食っちまって腹減ってるのか?だが約束は約束だ!ちゃんと約束の日が来るまで
餌はやらんぞ!」
「おにーさん、ごはんさんはまだだいじょうぶよ。おかーさん、ちょっとつかれているの。ただそれだけだから「しんっぱい」しないでね。」
「はぁ、そうっすか?ところであの半分溶けていたクソガキが見当たらないけどどうしたよ?」
「......。」
「.....ゆぅ。」
「ん?」
「........た.....たちゅ.....たちゅけりょ....たちゅけりょ!きょのくしょじじぃ!どりぃえーは、ちゃっちゃとれいみゅをたちゅけりょー!!」
「ん?んん?....どこにいるんだ?」
「.....きょきょだ、きょよきょ!ばきゃにゃにょ?ちぬの?きょのくしょどりぇー!」
「ん~?なにやってんだお前、しかもそんな狭い所で。」
「だしぇー!れいみゅをだしぇー!はーなーちぇー!」
「離せって....お前....バカだろ?お前って嵌るのが趣味なのか?」
「いいきゃら!はやきゅれいみゅをきょきょきゃらだしぇー!!!きょのぐじゅ!」
「相変わらずだな....お前は.....んなもん知らんわ!」
ガラガラガラ....ピシャッ!
「....にゃんで....にゃんで...にゃんでだりぇもたちゅけちぇきゅれないの?.....れいみゅにゃんにもわりゅくにゃいのに.......」
「ゆぅぅ......れいみゅにゃんだきゃ「うんうん」しちゃくなっちぇよ。....ん...んん!.....ちゅっきりいいいいいいい!!!!」
「ふぅ、ひしゃびしゃの「うんうん」は、きもちぇにょかったにょ。きゃわいっくてごみぇんね!」
末っ子のれいむが放出した大量の便は、地面に黒い小山を築き、その先端はだらしなく未だ末っ子のれいむの肛門と繋がっている。
「ゆぅ?」
「ゆぅぅぅううううう!!!くちゃいいいいい!!!めっちゃくちゃいいい!!だれきゃ!はやきゅ「うんうん」を、きゃたじゅけてね!いましゅぐでいいよっ!」
「ゆゆっ!はやきゅきゃたじゅけりょっていっちぇるだろおおお!!!」
「だりぇかー!おへんじしちぇー!」
「......おねーしゃん......」
「ゆぅ....くちゃいよぅ.....」
「.......。」
~~~次の日の朝~~~
折角の休みだと言うのに俺は何の予定もなく、ただダラダラと正午過ぎまでリビングのソファの上で休日を過ごした。
リビングの窓を開け、庭で跳ねる姉のれいむをボーっと眺めてビールを飲んでいた。BGMはもちろん足台と家の壁に嵌っているクソガキの叫び声だ。
たまに聞こえる叫び声に姉のれいむはビクンと反応するが、ぎこちなく無反応を装っている。その姿が滑稽で見ていて面白い。
親のれいむは一生懸命、花やら、庭を這う虫やらを捕まえては、新しいお家に運んでいる。野生生活が長かったんだなぁとボンヤリ思った。
「おにーさん、おにーさん。」
跳ねるのに飽きた姉のれいむが窓際に登ってなんか言っている。
「おにーさん、れいむそっちに行っていい?」
「ダーメ!お前らは外だ!」
「ゆぅ.....れいむ、おにーさんと「す~りすり」したいよ。」
「丁重にお断りする。」
「ていちょぅ?ゆぅ?」
「なんでもいいから、そっから入ってきたら蹴飛ばすからな!」
「ゆぅぅぅぅ!れいむ、おにーさんだーいすき!だから....「す~りすり」しようね!」
「断る!!!」
もう...勘弁してくれよ。饅頭じゃなくて人間の女に「す~りすり」したいって言われたいぜ。まったく。
ピンポーン.....ピンポーン.......
んだよ!うっせーなー!新聞も宗教も全部いらねぇぞ!
ドタドタドタ....ガチャ...「あーはいはい、なんですか~?」
「あのー、こんな「ゆっくりのれいむ」を、見かけませんでしたか?」
不機嫌そうに開けたドアから春のそよ風に乗っていい香りがやってきた、そこには髪の長い綺麗な女性が眩しいほどの笑顔で一枚のビラを持って佇んでいた。
「...あの。」
「は!....はいはいはい、ま・迷子とかですか?」
「えぇ、私の飼っていた、ゆっくりなんですけど。」
「はぁ~かわいい「れいむ」ですね~」
「ありがとうございます。....このゆっくりが、よく「れいむ」だと、ご存知で。」
「まぁ~俺....いや、私もゆっくりが好きでね、今も.....」
~~~一方、庭では~~~
「おかーさん、あおむしさんたべちゃうの?」
「そうよ、おちびちゃん。とっても「えいっよう」があるのよ。おいしいわよ~」
「ゆぅ、なんだかかわいいそうだよ.......」
「...............。」
「おかーさん?どうしたの?おこったの?れいむだいじょうぶだよ、ちゃんとたべれるよ。」
「.............。」
「おかーさん?」
「.....ゆ......ゆ......ゆぁ.....ゆあああああああああああああああああ!!!!!!!!」
春のそよ風は懐かしい香りを運んできた。ペットショップで生まれ両親から無理やり引き離され、絶望のどん底だった自分を優しく包んでくれたあの香り。
苛烈なバッジ取得のための「おべんきょう」も、この香りと、あの微笑があったからこそ乗り越えられた。いつしか自分の両親より傍に居てゆっくりできたあの頃の香り。
もう二度と....もう二度と....そう思って絶望し諦めた、あの香りがする。陽だまりでゆっくりしていたあの頃の思い出が荒波のように襲ってくる。
どっちだ!どこからだ!親のれいむは体を右へ左へと捩りながら探した........こっちだ!
聞こえる!聞こえる!自分をいつも、ゆっくりさせてくれたあの声だ!時には厳しく叱られたが、後で数十倍の優しさで包んでくれたあの声だ!
どこだ!どこから聞こえる!お願いです、教えてください!もう一度だけ....もう一度だけ.....
「...ゆぅ?おかーさ....」
聞こえた!こっちだ!間違いない!確かそこを通ってこの庭に来たあの道だ!!
親のれいむは跳ねた、何度も何度も跳ねた。例えそこに小石があっても痛みなど感じはしなかった。そんな事よりも早く...早く....
そして家の角を曲がった所に彼女は........居た。
「この「れいむ」を飼っていたわけですか~。どことなく利口そうな感じがしますね~♪」
「はい、とってもゆっくりしていた良い子でした。」
「おねえええええさあああああああああん!!おねぇさーん!おねーさーん!おねーさーん!」
親のれいむは全身全霊の力で彼女の足に飛びついた。顔は涙やら涎やらでぐちゃぐちゃだ。
「わ!え?なに?.....どうしたの?............れいむ?れいむなの!」
「おねえええええさあああん!れいむはれいむだよ!おねええええざあああああん!あいだがっだよおおお!もうぜっだいあえないどおもっだああああああ!」
「....あれ?コイツお宅の?」
「れいむ!れいむ!生きていたの!本当にれいむなの?よかったぁ。れいむ....」
「....ん~。なんだかなぁ~。」
彼女は親のれいむの元の飼い主だった......。
親のれいむを膝の上に乗せリビングのソファに座る彼女。実にいい女だ。直視しているとこっちが恥ずかしくなるような横顔なのでチラチラとしか見れない。
親のれいむと話しをする彼女をチラチラ見ていたら何度か目が合う、その度に彼女は極上の微笑を返してくれる。
俺はその度に照れた、照れまくって足元でゴソゴソしている姉のれいむを撫でてごまかした。
「そう...そんなことがあったの...れいむ....ごめんね。おねーさんがしっかりしてなかったから....。」
彼女の頬に大粒の涙が伝う。
「あ・あの...これ良かったら。」
「ごめんなさい。私......」
俺は緊張しながらティッシュペーパーを箱ごと持って彼女に差し出した。
「.....ゆぅ。おねーさん「しょうっかい」するね!このこが、れいむのおちびちゃんだよ。」
「....おねーさん?.....ゆっくりしていってね!!」
俺の差し出したティッシュペーパーで涙をぬぐっていた彼女の視界に、姉のれいむがやってきた。
「まぁ、可愛いおちびちゃん!ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!...ゆふ~ん♪おかーさん、なんだかあかちゃんみたいだね。ゆふふふふ♪」
「もう!おちびちゃんたら!」
「さぁ、おちびちゃんも、おねーさんのお膝にいらっしゃい♪」
彼女は優しく姉のれいむと親のれいむを自分の膝の上に乗せた。
「ゆわー!おねーさん、いいにおい~♪」
「おちびちゃん、とってもゆっくりできるでしょう。このひとが、おかーさんのおねーさんだよ」
ついでに俺も乗せて貰いてぇぇぇぇなぁぁぁぁ!......しっかし、いい女は本当に良い匂いがするんだな。俺まで参るわ。
「ねぇ、れいむ、おちびちゃんは一人だけ?」
ほんの一呼吸だが親のれいむは固まった。
「うん、れいむのおちびちゃんは、ふたりだったけど....しんじゃった。のこったのは、れいむだけよ」
お!おぉ!コイツ!!あのクソガキを切ったな!結構やるじゃねぇか!姉のれいむは無表情に口を閉ざしている。コイツもなかなかだな!!
「....そうなの。ごめんなさい。れいむ.....」
「ゆぅ、きにしないでね。」
コイツらマジで最高だな!!!
「あの、すいません。今までこの子達を飼ってくれて大変感謝してます。凄く言い難いのですが...この子達を.......」
「あぁ~いやいや、気にしないでください!自分は全然いいですから!折角だからコイツと一緒にな!れいむ!」
「....でも、折角懐いているみたいだし...でも、私....」
「全然!いいですよ!つれて帰って末永く仲良くしてやってください!」
「いいんですか?」
「全然OKっす!!」
「れいむ、かえれるの?また、おねーさんといっしょに「す~やすや」や「む~しゃむしゃ」や「す~りすり」できるの?....おちびちゃんもいっしょにいいの?」
「そうよ、また一緒に仲良くできるのよ。みんなも待っているわ。また「おうた」を聞かせて頂戴ね。」
「おねえええええさあああん!!!れいむ、しあわせ~だよ!おちびちゃんもいっしょにいこうね~♪」
「ゆぅ!れいむもいっしょにいく~♪」
「おねーさんのおうちには、れいむのおともだちがいっぱいいるわ。みんな、れいむのおねーさんだよ♪いーっぱいみんなで「す~りすり」して「おうた」を
うたおうね~♪」
「れいむ、たっのっしっみ~♪」
「あら?う~ん......今何か聞こえませんでした?」
「.....どきょ.....どきょいきゅの?.......おきゃーしゃん....おにぇーしゃん.....れいみゅも......いっしょに......いきゅ。」
「さぁ?れいむ、何か聞こえたか?」
「.......。」
「.......れいむ、お庭で遊んでくる~」
あ、またコイツ無表情になった。
そう言うと姉のれいむはポンポンと跳ねて庭に降りた。庭に降りた姉のれいむは遊ぶと言うより何かを探している。ウロウロと地面を見ながらゆっくりと這っている。
「.......ゆ、これくらいだわ」
姉のれいむは、そう呟くと小石を咥えて足台の上に登った。そして、家の壁と足台の間に挟まれている末っ子のれいむを見下ろした。
その瞳は冷静でとても冷たく体の芯から冷えるような眼差しだ。
「ゆ!おにぇーしゃん!.....おにぇーしゃん、おきゃーしゃんとどこゆきゅの?れいみゅも!れいみゅもいっしょにいきゅうううううう.......おがっ!」
姉のれいむが探していたのは、末っ子のれいむの口にぴったりと嵌る小石だった。姉のれいむが落とした小石は前もって計ったかのように末っ子のれいむの前歯をへし折り、
すっぽりとその口に嵌ったのであった。
「おが!おがががが!......おがー!おがー!」
これで末っ子のれいむの声は、もう二度と優しい彼女の耳に届かなくなった....。
「へぇ~結構近くなんですね、いや!重いですよ!あー無理無理無理!自分が手伝いますよ!コッチの方をお願いします。俺はコッチ持ちますので。」
「いや、全然遠くないですよ!大丈夫です任せてください!あーでも家に着いたら喉ぐらいは渇いちゃうかな~♪えへへへへ。」
俺は下心の塊になりつつ、親のれいむを持ち。姉のれいむを彼女に持ってもらって彼女に家に向かった。
~~~数時間後~~~
「YES!!YES!YES!イエース!!あんな、べっぴんさんの電話番号げっと~♪来週のデートもげっと~♪饅頭付きだけど...でも!ツイてるぜ!俺にも春がきたぜ!」
俺は彼女の電話番号と来週の饅頭付きデートのアポを手に入れて嬉しさのあまりソファの上でビッタンビッタンと陸に上がった魚のように跳ねていた。
「しっかしアイツらも....ぷっ.....なかなか......ぷっ......やるなぁ。......ゲタゲタゲタ!」
「そういや、あのクソガキはどうなったんだ?」
俺はクソガキの嵌っていた、家の壁と足台の隙間を見た。
「....ゲラゲラゲラゲラ!おいおい、やるな!あのガキ!」
末っ子のれいむは涙を流しながら小石を口に嵌めて泣いていた。モゴモゴ何か言っている、何を言ってるのか聞きたくなった俺は爪楊枝を上手に使って末っ子のれいむの
口を塞いでいた小石を取り除いた。
「おねーじゃああん!!おがーじゃあああん!どぎょいっだのおおお!!れいびゅはぎょぎょにいりゅにゅー!!!」
「おい!ぐじょじじぃ!おがーじゃんとおねーじゃんはぁ?どぎょ?じゃっじゃといええええええ!!!!」
「あー....お前、捨てられたんだよ。アイツらに。今頃新しい家で楽しくやってるだろうな。」
「にゃんで?!にゃんでれいびゅをおいでいぐううううう?!!」
「当たり前だろ、お前みたいなゲスなんか連れて行くわけないだろ。バカか?」
「ゆ!れいびゅ、げしゅにゃんかじゃないいいいいいいいい!!」
「うっせ!黙って死んでろ!」
ガラガラガラ.....ピシャッ!
「おい!ぎょのぐじょじじぃ!れいびゅじゃまをごごがらだじぇえええええ!!!」
「.....にゃんで....にゃんで、れいみゅを.....おいちぇいくの.....おねーしゃん.......おきゃーしゃん.....。」
「ゆぴっ!......にゃんだきゃ、れいびゅの「あにゃる」じゃんがへんだにょ...。ゆびぃいいい!!!い・い・いだあああいいいいい!!!」
「あにゃるしゃん!あにゃりゅしゃん!ゆっぐじでねっ!.....いぎゃああああ!!!にゃんかはいっちぇきゅりゅううううう!!!いじゃああいいいい!!」
「にゃんにゃのこりぇ?いじゃあああいいいいい!!れいびゅの、じぇくちーな、しぇにゃかしゃんがいだいいいいい!!!」
「ゆあああああ!!いっぱい!いっぱいいりゅううう!!!ゆっくりぎょないでね!.....ゆああああ!にゃに?にゃんにゃの!」
末っ子のれいむが放出した大量の「うんうん」、いや餡子の匂いに誘われて足台の下で越冬していた蟻が大量に群がってきた。
最初は「うんうん」に群がっていたが、蟻達は次第にその先にある末っ子のれいむの「あにゃる」まで掘削を始めた。と、それと同時に背中からも
饅頭の皮を食い破って体内に侵入を始めた。
「いじゃあああいいいいい!!にゃめでね!にゃめでね!れいびゅ、じぇんじぇんゆっぐちでぎないよ!ゆがががががが!」
「いびゃああああ!れいびゅのあんごじゃんが!あんごじゃんがもっでがれるうううう!!!あんござんもっでいっぢゃだめぇー!!!
「あががっがが!おがっ!ががっががっが!おぐじのなががら.....いっばいででぎだああああ!!!ぎっぎぎっぎっぎ!」
末っ子のれいむの体内を掘削しながら掘り進む蟻達。末っ子のれいむの体内を縦横無尽に掘り進み、まるで蟻の巣のようだ。蟻達はひたすら末っ子のれいむの
体内の餡子を運び出し、穴を掘り進む。そして口の中に出入り口を作り、常に「口」と「あにゃる」から出入りを繰り返し、大半の餡子を運び出した。
「どぼじて.....どぼじて.....どぼじてごうなりゅの?........でぃびゅ....にゃんにも....わりゅきゅ....にゃ....にゃいのに....」
「.....おにぇーじゃん....おがぁーじゃん....。」
「もっど....もっどゆっぐぢじだがった....。」
終わり
最後までお付き合いありがとうございました。感謝です。
その光景は昨夜見た末っ子のれいむとは思えない謎の物体が、水槽型虫かごの底に溜まっていた。
緑の網の蓋にしっかりと嵌っていた頭部はいつの間にか抜けて、白くデロデロとした何かの上にちょこんと乗ってだらしなく舌を垂らしていた。
「あー頭から下は朝露でふやけたのか。」
ぴったりと嵌っていた所もふやけたらしく自重で頭が抜けたようだ。
「しっかし気持ち悪いなぁ。」
そう言うと俺は蓋を外してから水槽を傾けて中身を出した。ずいぶんと気持ち悪い姿になった末っ子のれいむは傾けられた水槽の壁をデローっと伝って足台の上に落ちて
時折「ゆ”ゆ”ゆ”...」と声らしき音を鳴らした。
「あ、おにーさん!ゆっくりおはようございます。」
「ゆっくりおはようございます!」
「おにーさん、それはな...に?...ゆーーーーー!」
「ゆぅ?....れ・れいむ?........ゆーーーーーー!れいむーーーーー!!」
幾ら家族とはいえ、即座にその気持ち悪い物体が自分の家族の一員だと思えなかった。いや、思えないほどに姿が変わっていたのだ。
「れいむ!れいむ!れいむ!ゆ・ゆっくりしていってね!」
「おちびちゃあああああんん!いったいどうしてぇぇぇええ!」
「ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”...。」
「おちびちゃんしっかりしてね!ゆっくりしてね!おかーさんだよ。れいむぅぅぅううう!」
「れいむ!だいじょうぶ?れいむ、なにかおはなししてよ!」
おーおー♪うろたえているなぁ、凄い取り乱しようだ。喋っている言葉の意味が不明だ。
「おちびちゃん、おかーさんが「ぺ~ろぺろ」で治してあげるからしっかりしてね!」
「れいむも「ぺ~ろぺろ」するよ!」
親のれいむと姉のれいむは急いで変わり果てた姿の末っ子のれいむを舐め始めた。だが末っ子のれいむの大半は既にゲル状に溶けている。
「ゆごっ!ゆべぇえええええ!ぎぼちわるいいいい!」
「ゆぶっ!ゆべっ!....れいむ...えぶっ」
「おにーざん!なんどがじてくだざい!おぢびじゃんを、おじびじゃんをだずけてぐだざいいいいい!」
「れいむぅ!れいむぅ!ゆびぇえええええん!」
「えー!なんとかしろって言われてもなぁ.....そもそも治るのか?これ。」
お、コイツいつものスタイルじゃなく足にすがりついて涙やら涎やら垂らして泣いてやがる。あーあー!やめろっつーの!服が汚れる!
たしか、オレンジジュースが良いとか何とか聞いたが、家にはそんなもん無いしなぁ。そもそも、そんなもんぶっ掛けたら流れて悪化しそうだ。
砂糖水?いや結果は同じか。.....ん~面倒だからコーヒー用のグラニュー糖でもぶっ掛けるか。
「ちょっと待ってろ」
俺は家の茶箪笥からコーヒー用のグラニュー糖が入っている防湿瓶を持ってきて適当に直接ザザッと山盛りに振りかけた。
「ゆぎぎぎぎぎぎぎぎ.....ぎっ!ぎぎっ!」
なんか悪化したような気がするが.............あ!これ塩だったわ。
「おにーさん、なんだかおちびちゃんへんだよ?くるしそうだよ」
「れいむ!れいむ!ねぇおへんじしてよ!れいむーー!」
「大丈夫、大丈夫♪ほら、溶けてた体が元に戻ってるだろ」
たしか浸透圧だか浸透作用だかで、ふやけた体が引き締まってきた。さすがだな俺は、歯槽膿漏も塩が入った歯磨き粉で治ると聞いたし。
「ぎぎぎぎぎ...ごぷっ..ごぷっ」
「あぁ!おちびちゃん!あんこさんはいちゃだめーーー!おねがいだからはかないでー!」
「れいむしっかりして。おねーちゃん、もうだいきらいとかいわないから...。」
あー、やっぱダメかぁ。しょうがない、ちゃんとグラニュー糖ぶっ掛けるか。
俺は再度、家に戻ってグラニュー糖がちゃんと入っている防湿瓶を持ってきた。末っ子のれいむの上にかかっている大量の塩をフーっと息で吹き飛ばしてから、
さっきと同じようにグラニュー糖を大量に振りかけた。
「これで大丈夫だ。しばらく様子見てろ、俺は仕事があるからもう行くわ!」
「おにいいいいざぁん!ほんどうにあじがとうございまず!あじがどうございばず!」
「おにーさん、れいむおにーさんのこと、だいじゅぎでず!ぼんどうにだいじゅぎです!!!」
うわぁ...気分悪いわぁ。お前はマジで俺をメンタルクリニック行きにしたいのか?
そして、庭に残された2匹と変な1匹......
「おかーさん、おにーさん行っちゃったね。おにーさんはほんとうにゆっくりしているね。」
「おかーさんは、おにーさんのところにきて、ほんとうによかったわ。」
塩やらグラニュー糖やらをぶっ掛けられた末っ子のれいむは体内の餡子を吐き出すのを止めて今は落ち着いている。時折「ぎっぎぎぎぎ...」と呻いたり
「ふひゅー...ふひゅー...」と息を荒げたりして身を捩っている。
当初2匹は、そんな様子の末っ子のれいむの傍らに寄り添って絶え間なく話しかけたりして看病していたが、春の日差しが誘う暴力的なまでの睡魔にやられて
すっかり寝込んでしまったようだ。
「....おきゃーしゃん?.....おにぇーしゃん?....。」
「ゆぅ....ゆぅ....ゆぅ...ゅ...ゅ...ゆ?...ゆ!ゆゆ!....れいむ?れいむ!!れいむなの?れいむーー!....おかーさん!おかーさん!」
「ゆゆっ!どうしたの?おちびちゃん....おかーさんはゆっくりしているわ....ゅ....ゅ...」
「ゆっくりおきてよ!おかーさん!れいむが!れいむが!」
「....ゆあ!おちびちゃん?おちびちゃんだいじょうぶなの!」
「ゆぅ~♪れいむがなおったーー!れいむ!れいむ!れいむ!」
「おちびちゃーん!ゆっくりよかったわ....ほんとうに...よかった。」
「おにぇーしゃん、おかーしゃん.....れいむさびちかったよ.....。」
後から掛けたグラニュー糖が効を奏したのか、はたまた春の日差しが余計な水分を蒸発させたのが良かったのか真相は謎だが、末っ子のれいむはすっかり元通りになっていた。
外見上は.....。
しばらくの間、れいむ一家は末っ子のれいむに身を寄せ、泣きながら「す~りすり」を繰り返して死の淵に居た末っ子のれいむの生還を喜んでいた。
「おちびちゃん、おなかすいたでしょう。あたらしいおうちにいって、あまあまさんをたべましょうね♪」
「れいむのぶんもたべてもいいからね。れいむはおなかさんすいていないから。」
「さぁあたらしいおうちに、ゆっくりいこうねぇ~♪」
「れいむ~はやくおいでよ♪あまあまさんたべたら、れいむといっしょにおさんぽしようねぇ。」
「ゆ?どうしたの?おちびちゃん?」
「はやくこないとれいむが、あまあまさんぜんぶたべちゃうぞ~♪」
「あみゃあみゃさん!あみゃあみゃさん!れいみゅいっぱいたべりゅ~♪...........ゆっ....ゆっ...ゆ?....ゆぅうううううう?!!!」
「にゃんにゃのこりぇー!!!あんよしゃん!れいみゅのとっちぇもゆっきゅりしたあんよしゃんうごいちぇー!!」
「おちびちゃんどうしたの?!あんよさんうごかないの?」
「れいむ、ゆっくりれいむに、あんよさんみせてみて.........ゆぅ....なんともないよれいむ。いったいどうなってるの?」
「にゃんでぇー?!どぼちてぇー!にゃんでうぎょきゃないにょ?れいみゅの、あししゃん!ゆっきゅりしちぇないでうぎょいてよ!」
「まってねおちびちゃん、おかーさんがいま「ぺ~ろぺろ」してなおしてあげるから。」
「れいむも「ぺ~ろぺろ」するから「あんっしん」してね、れいむ。」
親のれいむと姉のれいむがひっきりなしに末っ子のれいむの足を長い舌で舐めるが、一向に動く気配がない末っ子のれいむの足。
「...どーしちぇ?どーしちぇれいむのあんにょしゃんうごきゃないのぉぉぉおお!!おきゃーしゃん、おにぇーちゃん、にゃんでれいむのあししゃんなおしちぇ
きゅれないの?!ばきゃなの?しぬの?はやきゅゆっくちなおちてよおおおおお!!!」
親のれいむと姉のれいむが一生懸命に舐めているが全然治らない。それどころか、舐めすぎて足の皮が溶け出し、末っ子のれいむの足に激痛が走り始めた。
「いじゅああああいいい!にゃーみぇーちぇー!れいみゅいちゃんだじょ!れいみゅいちゃいっていっちぇるでしょおおお!!れいみゅほんっきゅでおきょるよ!
こにょ.....ばきゃどもめえええええ!!」
「....れいむ....。」
「おちびちゃん....。」
「お・おちびちゃんは、おなかがすいてるのね....それで....くっ。」
「おかーさんゆっくりしてね!そうよ、れいむはおなかがすいてるのよ、けがもひどかったし。あまあまなごはんさんをたべれば、あんよもきっとうごくようになるわ。
ね!れいむ!おねーちゃんが、いまもってきてあげるからまっててね。」
そう言うと姉のれいむは、新しいお家から最後となった残りのバウムクーヘンを咥えて足台の上に持ってきた。
「ゆぅ~♪れいむのあみゃあみゃしゃんだー!ゆっくちたべるにょおおおお!!」
「そうねおちびちゃん、みんなでいっしょに「む~しゃむしゃ」しようねぇ~♪」
「れいむはちょっとだけでいいから、れいむはいっぱいたべてね♪」
「さぁ、おちびちゃんたち~いっしょに~♪」
「む~しゃむしゃ、む~しゃむしゃ」
久々の一家団欒というところか、れいむ一家の3匹は最後のバウムクーヘンに噛り付いて食事を始めた。
「し・しあわ」
「しあわせ」
親のれいむと姉のれいむが最後のバウムクーヘンを食べ、食事中のゆっくりがやる特有の行動「しあわせ~」を言いかけた所で、それを遮る絶叫がこだました。
「ちょっとぉぉおおおお!にゃにしてんのー!!!」
「え?」
「なに?れいむ?」
「こにょあみゃあみゃしゃんは、れいみゅがみちゅけたあみゃあみゃしゃんだよ!にゃに、かっちぇにちゃべちぇくれてんにょー?!」
「こ...このこは....ほんっとに!このこは....」
「....れ・れいむのわからずやー!」
親のれいむがプルプルと怒りに震えながら黙って左右のもみあげを使い、まだ末っ子のれいむが齧っているバウムクーヘンを取り上げ、頭の上に乗せて新しいお家
の中に消えていった。
「かえちぇにょー!それはれいみゅのあみゃあみゃしゃんだにょ!かえちぇよ!きょのくしょばばぁ!」
「かーえーしぇー!いいきゃげんにしゅろよ!ばきゃおや!きょの........げしゅ!げしゅおや!」
「ゲス」それは、ゆっくりの間でも最高ランクの罵声である。あまりにも酷い形容詞がゆえに言った本人も卑下されるほどの醜悪な言葉。
さすがの親のれいむも、それには我慢できなかった。いくら出来が悪くても、植物性妊娠を遥かに凌駕する程の母性が芽生えると言われる胎生妊娠を経て実際に
腹を痛めてまで産み落とした最愛の子供であろうとも、自分に向かって「ゲス」と罵るのは容認はできなかった。
親のれいむは、一度新しいお家に入ったものの、その発言にかってないほどの怒りをその顔に表し、新しいお家の中から飛び出してきた。
末っ子のれいむが動けずに佇んでいる足台に勢いよく飛び降りると、怒りの一閃をもみあげで打った。
「ゲスはあんたのことよ!」
たった一言、大声で怒鳴ると親のれいむは新しいお家の中に戻り沈黙した。姉のれいむも、いつものように末っ子のれいむに優しい言葉を投げかける事はせず、黙って
母と同じように新しいお家の中に入って行った。
「いじゃいいいい!いぎいいいいい!きょのげしゅおや!れいみゅ、にゃんにもわりゅきゅにゃいのに!「ぎゃくったい」しゅりゅばきゃおやは、ちねええええ!」
「....いじゃい.......ゆぅ?きょきょはどきょ?にゃんだきゃへんだにょ?......ありぇ?ゆっゆっゆ!うごきぇにゃい?うごきぇにゃいいいい!!!」
親のれいむが放った強烈な一閃で打ち飛ばされた末っ子のれいむは、足台の上を勢いよく転がり、家の壁と足台の間にある隙間に顔を上にして、すっぽりと
嵌りこんでしまったのである。
言い方を変えれば、巨大なクレバスに仰向けで落ちて身動きが取れなくなった様子と酷似している状態だ。
「おにぇーしゃーん!おにぇーしゃーん!れいみゅにゃんだかうごきぇにゃいよー!しゃっしゃとたちゅけてね!いましゅぐでいいよっ!!」
「.....おにぇーしゃん!ちゃんときいちぇるの?きゃわいくちぇ、ゆっきゅりとしゅた、れいみゅがにょんでるんだにょー!」
「.........しゃっしゃとたちゅけろー!にゃにやってんのおおおおお?!ばきゃにゃの?ちゅぬの?きょのぐじゅうううううう!」
末っ子のれいむが、いくら叫ぼうと誰も来ない。
一方、お家の中では......。
「おかーさん、ゆっくりね。ゆっくりおちついてね。」姉のれいむは、そう言いながら「す~りすり」を繰り返す。
「...ゆ....ゆ..ゆううう。おちびちゃん。おかーさんはどこでまちがえたの?」
「おかーさんはとってもゆっくりしているよ。れいむがいちばんわかっているよ。」
「ゆぅ、れいむ...。」
「おかーさん....。」
~~~その日の夜~~~
「あれ?いねぇな?...........お、いるじゃねぇか。なんだ寝てんのか?!」
「ゆ!ゆぅ~。おにーさん、ゆっくりしていってね。」
「....ゆぅ。ゆっくりしていってね。」
「なんだよ、なんかお前ら元気ねぇな~。はは~ん、お前らバカだから餌を全部食っちまって腹減ってるのか?だが約束は約束だ!ちゃんと約束の日が来るまで
餌はやらんぞ!」
「おにーさん、ごはんさんはまだだいじょうぶよ。おかーさん、ちょっとつかれているの。ただそれだけだから「しんっぱい」しないでね。」
「はぁ、そうっすか?ところであの半分溶けていたクソガキが見当たらないけどどうしたよ?」
「......。」
「.....ゆぅ。」
「ん?」
「........た.....たちゅ.....たちゅけりょ....たちゅけりょ!きょのくしょじじぃ!どりぃえーは、ちゃっちゃとれいみゅをたちゅけりょー!!」
「ん?んん?....どこにいるんだ?」
「.....きょきょだ、きょよきょ!ばきゃにゃにょ?ちぬの?きょのくしょどりぇー!」
「ん~?なにやってんだお前、しかもそんな狭い所で。」
「だしぇー!れいみゅをだしぇー!はーなーちぇー!」
「離せって....お前....バカだろ?お前って嵌るのが趣味なのか?」
「いいきゃら!はやきゅれいみゅをきょきょきゃらだしぇー!!!きょのぐじゅ!」
「相変わらずだな....お前は.....んなもん知らんわ!」
ガラガラガラ....ピシャッ!
「....にゃんで....にゃんで...にゃんでだりぇもたちゅけちぇきゅれないの?.....れいみゅにゃんにもわりゅくにゃいのに.......」
「ゆぅぅ......れいみゅにゃんだきゃ「うんうん」しちゃくなっちぇよ。....ん...んん!.....ちゅっきりいいいいいいい!!!!」
「ふぅ、ひしゃびしゃの「うんうん」は、きもちぇにょかったにょ。きゃわいっくてごみぇんね!」
末っ子のれいむが放出した大量の便は、地面に黒い小山を築き、その先端はだらしなく未だ末っ子のれいむの肛門と繋がっている。
「ゆぅ?」
「ゆぅぅぅううううう!!!くちゃいいいいい!!!めっちゃくちゃいいい!!だれきゃ!はやきゅ「うんうん」を、きゃたじゅけてね!いましゅぐでいいよっ!」
「ゆゆっ!はやきゅきゃたじゅけりょっていっちぇるだろおおお!!!」
「だりぇかー!おへんじしちぇー!」
「......おねーしゃん......」
「ゆぅ....くちゃいよぅ.....」
「.......。」
~~~次の日の朝~~~
折角の休みだと言うのに俺は何の予定もなく、ただダラダラと正午過ぎまでリビングのソファの上で休日を過ごした。
リビングの窓を開け、庭で跳ねる姉のれいむをボーっと眺めてビールを飲んでいた。BGMはもちろん足台と家の壁に嵌っているクソガキの叫び声だ。
たまに聞こえる叫び声に姉のれいむはビクンと反応するが、ぎこちなく無反応を装っている。その姿が滑稽で見ていて面白い。
親のれいむは一生懸命、花やら、庭を這う虫やらを捕まえては、新しいお家に運んでいる。野生生活が長かったんだなぁとボンヤリ思った。
「おにーさん、おにーさん。」
跳ねるのに飽きた姉のれいむが窓際に登ってなんか言っている。
「おにーさん、れいむそっちに行っていい?」
「ダーメ!お前らは外だ!」
「ゆぅ.....れいむ、おにーさんと「す~りすり」したいよ。」
「丁重にお断りする。」
「ていちょぅ?ゆぅ?」
「なんでもいいから、そっから入ってきたら蹴飛ばすからな!」
「ゆぅぅぅぅ!れいむ、おにーさんだーいすき!だから....「す~りすり」しようね!」
「断る!!!」
もう...勘弁してくれよ。饅頭じゃなくて人間の女に「す~りすり」したいって言われたいぜ。まったく。
ピンポーン.....ピンポーン.......
んだよ!うっせーなー!新聞も宗教も全部いらねぇぞ!
ドタドタドタ....ガチャ...「あーはいはい、なんですか~?」
「あのー、こんな「ゆっくりのれいむ」を、見かけませんでしたか?」
不機嫌そうに開けたドアから春のそよ風に乗っていい香りがやってきた、そこには髪の長い綺麗な女性が眩しいほどの笑顔で一枚のビラを持って佇んでいた。
「...あの。」
「は!....はいはいはい、ま・迷子とかですか?」
「えぇ、私の飼っていた、ゆっくりなんですけど。」
「はぁ~かわいい「れいむ」ですね~」
「ありがとうございます。....このゆっくりが、よく「れいむ」だと、ご存知で。」
「まぁ~俺....いや、私もゆっくりが好きでね、今も.....」
~~~一方、庭では~~~
「おかーさん、あおむしさんたべちゃうの?」
「そうよ、おちびちゃん。とっても「えいっよう」があるのよ。おいしいわよ~」
「ゆぅ、なんだかかわいいそうだよ.......」
「...............。」
「おかーさん?どうしたの?おこったの?れいむだいじょうぶだよ、ちゃんとたべれるよ。」
「.............。」
「おかーさん?」
「.....ゆ......ゆ......ゆぁ.....ゆあああああああああああああああああ!!!!!!!!」
春のそよ風は懐かしい香りを運んできた。ペットショップで生まれ両親から無理やり引き離され、絶望のどん底だった自分を優しく包んでくれたあの香り。
苛烈なバッジ取得のための「おべんきょう」も、この香りと、あの微笑があったからこそ乗り越えられた。いつしか自分の両親より傍に居てゆっくりできたあの頃の香り。
もう二度と....もう二度と....そう思って絶望し諦めた、あの香りがする。陽だまりでゆっくりしていたあの頃の思い出が荒波のように襲ってくる。
どっちだ!どこからだ!親のれいむは体を右へ左へと捩りながら探した........こっちだ!
聞こえる!聞こえる!自分をいつも、ゆっくりさせてくれたあの声だ!時には厳しく叱られたが、後で数十倍の優しさで包んでくれたあの声だ!
どこだ!どこから聞こえる!お願いです、教えてください!もう一度だけ....もう一度だけ.....
「...ゆぅ?おかーさ....」
聞こえた!こっちだ!間違いない!確かそこを通ってこの庭に来たあの道だ!!
親のれいむは跳ねた、何度も何度も跳ねた。例えそこに小石があっても痛みなど感じはしなかった。そんな事よりも早く...早く....
そして家の角を曲がった所に彼女は........居た。
「この「れいむ」を飼っていたわけですか~。どことなく利口そうな感じがしますね~♪」
「はい、とってもゆっくりしていた良い子でした。」
「おねえええええさあああああああああん!!おねぇさーん!おねーさーん!おねーさーん!」
親のれいむは全身全霊の力で彼女の足に飛びついた。顔は涙やら涎やらでぐちゃぐちゃだ。
「わ!え?なに?.....どうしたの?............れいむ?れいむなの!」
「おねえええええさあああん!れいむはれいむだよ!おねええええざあああああん!あいだがっだよおおお!もうぜっだいあえないどおもっだああああああ!」
「....あれ?コイツお宅の?」
「れいむ!れいむ!生きていたの!本当にれいむなの?よかったぁ。れいむ....」
「....ん~。なんだかなぁ~。」
彼女は親のれいむの元の飼い主だった......。
親のれいむを膝の上に乗せリビングのソファに座る彼女。実にいい女だ。直視しているとこっちが恥ずかしくなるような横顔なのでチラチラとしか見れない。
親のれいむと話しをする彼女をチラチラ見ていたら何度か目が合う、その度に彼女は極上の微笑を返してくれる。
俺はその度に照れた、照れまくって足元でゴソゴソしている姉のれいむを撫でてごまかした。
「そう...そんなことがあったの...れいむ....ごめんね。おねーさんがしっかりしてなかったから....。」
彼女の頬に大粒の涙が伝う。
「あ・あの...これ良かったら。」
「ごめんなさい。私......」
俺は緊張しながらティッシュペーパーを箱ごと持って彼女に差し出した。
「.....ゆぅ。おねーさん「しょうっかい」するね!このこが、れいむのおちびちゃんだよ。」
「....おねーさん?.....ゆっくりしていってね!!」
俺の差し出したティッシュペーパーで涙をぬぐっていた彼女の視界に、姉のれいむがやってきた。
「まぁ、可愛いおちびちゃん!ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!...ゆふ~ん♪おかーさん、なんだかあかちゃんみたいだね。ゆふふふふ♪」
「もう!おちびちゃんたら!」
「さぁ、おちびちゃんも、おねーさんのお膝にいらっしゃい♪」
彼女は優しく姉のれいむと親のれいむを自分の膝の上に乗せた。
「ゆわー!おねーさん、いいにおい~♪」
「おちびちゃん、とってもゆっくりできるでしょう。このひとが、おかーさんのおねーさんだよ」
ついでに俺も乗せて貰いてぇぇぇぇなぁぁぁぁ!......しっかし、いい女は本当に良い匂いがするんだな。俺まで参るわ。
「ねぇ、れいむ、おちびちゃんは一人だけ?」
ほんの一呼吸だが親のれいむは固まった。
「うん、れいむのおちびちゃんは、ふたりだったけど....しんじゃった。のこったのは、れいむだけよ」
お!おぉ!コイツ!!あのクソガキを切ったな!結構やるじゃねぇか!姉のれいむは無表情に口を閉ざしている。コイツもなかなかだな!!
「....そうなの。ごめんなさい。れいむ.....」
「ゆぅ、きにしないでね。」
コイツらマジで最高だな!!!
「あの、すいません。今までこの子達を飼ってくれて大変感謝してます。凄く言い難いのですが...この子達を.......」
「あぁ~いやいや、気にしないでください!自分は全然いいですから!折角だからコイツと一緒にな!れいむ!」
「....でも、折角懐いているみたいだし...でも、私....」
「全然!いいですよ!つれて帰って末永く仲良くしてやってください!」
「いいんですか?」
「全然OKっす!!」
「れいむ、かえれるの?また、おねーさんといっしょに「す~やすや」や「む~しゃむしゃ」や「す~りすり」できるの?....おちびちゃんもいっしょにいいの?」
「そうよ、また一緒に仲良くできるのよ。みんなも待っているわ。また「おうた」を聞かせて頂戴ね。」
「おねえええええさあああん!!!れいむ、しあわせ~だよ!おちびちゃんもいっしょにいこうね~♪」
「ゆぅ!れいむもいっしょにいく~♪」
「おねーさんのおうちには、れいむのおともだちがいっぱいいるわ。みんな、れいむのおねーさんだよ♪いーっぱいみんなで「す~りすり」して「おうた」を
うたおうね~♪」
「れいむ、たっのっしっみ~♪」
「あら?う~ん......今何か聞こえませんでした?」
「.....どきょ.....どきょいきゅの?.......おきゃーしゃん....おにぇーしゃん.....れいみゅも......いっしょに......いきゅ。」
「さぁ?れいむ、何か聞こえたか?」
「.......。」
「.......れいむ、お庭で遊んでくる~」
あ、またコイツ無表情になった。
そう言うと姉のれいむはポンポンと跳ねて庭に降りた。庭に降りた姉のれいむは遊ぶと言うより何かを探している。ウロウロと地面を見ながらゆっくりと這っている。
「.......ゆ、これくらいだわ」
姉のれいむは、そう呟くと小石を咥えて足台の上に登った。そして、家の壁と足台の間に挟まれている末っ子のれいむを見下ろした。
その瞳は冷静でとても冷たく体の芯から冷えるような眼差しだ。
「ゆ!おにぇーしゃん!.....おにぇーしゃん、おきゃーしゃんとどこゆきゅの?れいみゅも!れいみゅもいっしょにいきゅうううううう.......おがっ!」
姉のれいむが探していたのは、末っ子のれいむの口にぴったりと嵌る小石だった。姉のれいむが落とした小石は前もって計ったかのように末っ子のれいむの前歯をへし折り、
すっぽりとその口に嵌ったのであった。
「おが!おがががが!......おがー!おがー!」
これで末っ子のれいむの声は、もう二度と優しい彼女の耳に届かなくなった....。
「へぇ~結構近くなんですね、いや!重いですよ!あー無理無理無理!自分が手伝いますよ!コッチの方をお願いします。俺はコッチ持ちますので。」
「いや、全然遠くないですよ!大丈夫です任せてください!あーでも家に着いたら喉ぐらいは渇いちゃうかな~♪えへへへへ。」
俺は下心の塊になりつつ、親のれいむを持ち。姉のれいむを彼女に持ってもらって彼女に家に向かった。
~~~数時間後~~~
「YES!!YES!YES!イエース!!あんな、べっぴんさんの電話番号げっと~♪来週のデートもげっと~♪饅頭付きだけど...でも!ツイてるぜ!俺にも春がきたぜ!」
俺は彼女の電話番号と来週の饅頭付きデートのアポを手に入れて嬉しさのあまりソファの上でビッタンビッタンと陸に上がった魚のように跳ねていた。
「しっかしアイツらも....ぷっ.....なかなか......ぷっ......やるなぁ。......ゲタゲタゲタ!」
「そういや、あのクソガキはどうなったんだ?」
俺はクソガキの嵌っていた、家の壁と足台の隙間を見た。
「....ゲラゲラゲラゲラ!おいおい、やるな!あのガキ!」
末っ子のれいむは涙を流しながら小石を口に嵌めて泣いていた。モゴモゴ何か言っている、何を言ってるのか聞きたくなった俺は爪楊枝を上手に使って末っ子のれいむの
口を塞いでいた小石を取り除いた。
「おねーじゃああん!!おがーじゃあああん!どぎょいっだのおおお!!れいびゅはぎょぎょにいりゅにゅー!!!」
「おい!ぐじょじじぃ!おがーじゃんとおねーじゃんはぁ?どぎょ?じゃっじゃといええええええ!!!!」
「あー....お前、捨てられたんだよ。アイツらに。今頃新しい家で楽しくやってるだろうな。」
「にゃんで?!にゃんでれいびゅをおいでいぐううううう?!!」
「当たり前だろ、お前みたいなゲスなんか連れて行くわけないだろ。バカか?」
「ゆ!れいびゅ、げしゅにゃんかじゃないいいいいいいいい!!」
「うっせ!黙って死んでろ!」
ガラガラガラ.....ピシャッ!
「おい!ぎょのぐじょじじぃ!れいびゅじゃまをごごがらだじぇえええええ!!!」
「.....にゃんで....にゃんで、れいみゅを.....おいちぇいくの.....おねーしゃん.......おきゃーしゃん.....。」
「ゆぴっ!......にゃんだきゃ、れいびゅの「あにゃる」じゃんがへんだにょ...。ゆびぃいいい!!!い・い・いだあああいいいいい!!!」
「あにゃるしゃん!あにゃりゅしゃん!ゆっぐじでねっ!.....いぎゃああああ!!!にゃんかはいっちぇきゅりゅううううう!!!いじゃああいいいい!!」
「にゃんにゃのこりぇ?いじゃあああいいいいい!!れいびゅの、じぇくちーな、しぇにゃかしゃんがいだいいいいい!!!」
「ゆあああああ!!いっぱい!いっぱいいりゅううう!!!ゆっくりぎょないでね!.....ゆああああ!にゃに?にゃんにゃの!」
末っ子のれいむが放出した大量の「うんうん」、いや餡子の匂いに誘われて足台の下で越冬していた蟻が大量に群がってきた。
最初は「うんうん」に群がっていたが、蟻達は次第にその先にある末っ子のれいむの「あにゃる」まで掘削を始めた。と、それと同時に背中からも
饅頭の皮を食い破って体内に侵入を始めた。
「いじゃあああいいいいい!!にゃめでね!にゃめでね!れいびゅ、じぇんじぇんゆっぐちでぎないよ!ゆがががががが!」
「いびゃああああ!れいびゅのあんごじゃんが!あんごじゃんがもっでがれるうううう!!!あんござんもっでいっぢゃだめぇー!!!
「あががっがが!おがっ!ががっががっが!おぐじのなががら.....いっばいででぎだああああ!!!ぎっぎぎっぎっぎ!」
末っ子のれいむの体内を掘削しながら掘り進む蟻達。末っ子のれいむの体内を縦横無尽に掘り進み、まるで蟻の巣のようだ。蟻達はひたすら末っ子のれいむの
体内の餡子を運び出し、穴を掘り進む。そして口の中に出入り口を作り、常に「口」と「あにゃる」から出入りを繰り返し、大半の餡子を運び出した。
「どぼじて.....どぼじて.....どぼじてごうなりゅの?........でぃびゅ....にゃんにも....わりゅきゅ....にゃ....にゃいのに....」
「.....おにぇーじゃん....おがぁーじゃん....。」
「もっど....もっどゆっぐぢじだがった....。」
終わり
最後までお付き合いありがとうございました。感謝です。