ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2541 ゆっくり飼育~ゆっくりに見えない程度の壁~
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『ゆっくり飼育~ゆっくりに見えない程度の壁~』 12KB
いじめ 観察 小ネタ 赤ゆ 現代 久しぶりの小ネタです
「ゆえぇぇぇん!おかーしゃんはどこなのじぇぇぇぇ!!」
眠りから目を覚ました赤まりさが泣き叫ぶ。
目を覚ますと、見知らぬ森の中に一匹だった。
元々が寂しがり屋のゆっくり、しかも赤ゆっくり。
心細くて、寂しくて、不安で泣いていた。
そうしてしばらくして、泣きつかれて寝てしまった。
目を覚まして辺りを見回す赤まりさ。
改めて一人ぼっちなのを再認識すると、涙目になる。
寂しくて悲しくてゆんゆんと泣いた。
だが、いくら泣いても誰も姿を現さない。
この赤まりさは今日捕まえてきたもの。
野生の親子にラムネを食べさせ、眠った所を捕獲してきたものだ。
両親と5匹いた姉妹達が、目を覚ましたら居なくなっていたのだ。
混乱して泣き叫ぶのも無理はない。
これからこの空間で一匹で暮らすことになるのだ。
「むーしゃ、むーしゃ、しあわ………ゆぅ……ふしあわしぇぇぇぇ」
泣き飽きたのか、空腹に耐えられなくなったのか、赤まりさは自分で狩りに出かけた。
といっても、目を覚ました場所から赤ゆにして数歩跳ねただけ。
それでも赤まりさにとっては大冒険だ。
そうして見つけたものは、変わった形の食べ物。
四角い形をしているが、美味しそうな匂いがした。
恐る恐る口にしてみると、今まで食べた事のない甘味が口に広がった。
普段なら、「しあわせー」と叫んでいただろうが、一人ぼっちなのを思い出して涙目になる。
両親はどこに行ったのか、姉妹たちはどこに行ったのか。
折角の御馳走を食べても、その事が頭を過ぎるばかりである。
美味しい物を食べても、その幸せを分かち合う家族がいない。
そのせいで幸せだとは思えず、あまあまを食べては泣いていた。
満腹になった赤まりさは、家族を捜すべく、森の中を跳ね回る。
しかしこの森は、すぐに赤まりさには見えない不思議な壁に阻まれる。
「ゆぅぅぅ?!どーしちぇここからしゃきにはすすめないのじぇぇぇぇ?!ゆんやぁぁぁぁ!!」
何故先に進めないのか解らず、赤まりさは泣き叫ぶ。
私がレイアウトしたこの水槽は、内側からはゆっくりが外を見ることが出来ないのだ。
これは加工所がゆっくりの生態を研究する上で作り出した物。
原理はゆっくりの巣に張られている「けっかい」というやつだ。
人の目には丸わかりで、いい加減な物ではあるが、ゆっくりにとっては効果絶大の「けっかい」。
一定の間隔で枝や葉っぱを配置すると、ゆっくりはそこに何がるのか見えなくなってしまう。
それを応用してのこの水槽は作られた。
水槽の内側に一定間隔で微量に傾斜や凹凸がついており、この影響で内部のゆっくりからは外が見えないらしい。
壁内部の凹凸や斜面に目が行ってしまって、外が見えていないそうだ。
ちなみに外側から見る分には、ゆっくりにも中の様子は見えるそうだ。
そんな訳でこの赤まりさにとってここは森の中なのだ。
赤まりさはこの狭く限りある森の中を動ける限り動きまわった。
だが家族はおろか、他のゆっくりは一匹も見つからなかった。
そればかりか、食料になる虫さんも、奇麗な声で鳴く鳥さん、それらの姿も声すらも聞く事が出来なかった。
赤まりさは、改めて孤独を自覚し、身を震わせて泣いた。
それから数日たったが、未だ赤まりさは一人ぼっち。
幸いな事に、住めそうな洞穴を見つけることが出来た。
「ちょっとしぇまいけど、ここをまりちゃのゆっくちぷれいしゅにしゅるのじぇ!」
定番のお家宣言を済ませ上機嫌の赤まりさ。
洞穴の中にはご丁寧に藁のベットもあった。
一人ぼっちは寂しいが、赤まりさはここで暮らしていく事を決めたのだ。
不思議な事に赤まりさが狩りに出かければ、必ず食べ物を確保できた。
もっともそれは、この赤まりさを飼っている私が水槽内に適当に配置した餌なのだが、赤まりさは知る由もない。
赤まりさ程度の頭では不思議とも感じていない。
狩りの腕は確実に上手くなっていると思っているが、それを褒めてくれる家族がいない。
赤まりさはそれが悲しくて仕方なかった。
その程度にしか考えていなかった。
「ゆびぇぇぇぇ………さみしいのじぇぇぇ………みんにゃ、どこにゃの?」
餌を食べては家族を探し、疲れてお腹が減れば、食料を探す。
そんな単調な生活に飽きる事もなく、赤まりさは必死で小さな森を跳ね回った。
赤まりさは相変わらず一人ぼっちだったが、この不思議な森の暮らしに大分慣れてきた。
以前よりも長い間、跳ね回る事が出来るようになっていた。
狩りの腕も超一流、いつも自分が満腹になるだけの食料を得ることが出来ていた。
それらがすべて私が仕組んだものとは知らずに、成長した自分を自分で褒め称えていた。
赤ゆっくりサイズでも、長時間跳ね回っていられるのは、赤まりさが「みずうみさん」と呼んでいる小さな水場に秘密がある。
この水には少量の水溶き片栗粉が溶かしてある。
これを毎血に飲んでいる赤まりさは、片栗粉の影響で中身の餡や皮が丈夫になっているのだ。
毎回余計な水分を排出しているから、片栗粉だけ体内に蓄積されていく。
餡に粘性が出すぎて便秘にならないように注意しつつ、赤まりさを丈夫にしてきたのだ。
うんうんは水槽内に敷いた土に混ざるので、ある程度放置しておいても問題ないので世話が楽。
未だに赤ゆっくりサイズなのも毎日食べている餌のせいだ。
甘味はあるものの、栄養は少なく成長出来ないのだが、量は多めに与えてあるので満腹感だけは得られていた。
「きょーもたいりょうだにぇ!さしゅがはまりちゃ!かりのめーじんなのじぇ!」
私の用意した餌を見つけ出し、得意そうにのけぞる赤まりさ。
自信に満ち溢れた顔は、自分が最高にゆっくりしていると語っていた。
そして自信は日に日に増徴し、自惚れに変わっていった。
「ゆげーっぴゅ!きょうもまんぷくなのじぇー!まりちゃはさいきょうでごめんね!」
幸せそうにげっぷをすると、得意そうに仰け反る赤まりさ。
赤まりさは今やこの森の王者、狭い森の食物連鎖の頂点に君臨していると自惚れていた。
もっとも、赤まりさの外敵になるような動植物、昆虫等はいないのだが、赤まりさは、それらが自分を恐れて居なくなったものだと思っていた。
そして、この狭い森での暮らしに飽きを感じ始めていた。
この森を捨てて新しい世界に行ってみたいと思いだした。
そこで沢山のゆっくりを従えた長、いや王に。
この森から外の世界に。
そう、かつて親から聞かされていた、恐ろしいと言われていた、人間のいる畑に。
親達が語り継いでいた恐ろしい人間の話。
その人間達を倒して、幻のゆっくりプレイスである畑を手に入れるために森を旅立つ事を決めたのだった。
本当にゆっくりという奴は、自分の考えをポロポロと口にするので分かりやすい。
赤まりさが目を覚ますと、そこには見慣れた森はなかった。
あるのは冷たくて硬い地面。
石で出来たと思われる、自分の背よりはるかに高い物。
「ゆ?ここはどこなのじぇ?まりちゃのもりしゃんは?」
回りを見渡しても木々はおろか草も見つからない。
赤まりさは慌てて跳ね回る。
だが、地面の硬さですぐに足を止める。
「いちゃいのじぇぇぇ!なんにゃの、このいししゃんはぁぁぁ?!どぼしていじわるしゅるのじぇぇぇぇ!!」
赤まりさは硬い地面を泣きながら睨みつける。
当然地面は無反応、急に土に変わるわけでもない。
赤まりさはそんな地面に怒りをぶつける。
「ゆぅぅぅ?!もうおこっちゃのじぇ!あやまっちぇもゆるしゃないのじぇ!」
涙目の赤まりさは大きく息を吸い込むと、ぷくーっと膨れ上がった。
「どうなのじぇ?!こわいのじぇ?!まりちゃはゆっくちさいきょうなのじぇ!!ばかないししゃんはしんじゃったのじぇ!!」
膨れ上がった途端に得意そうに仰け反る赤まりさ。
どうやらぷくーをしただけで、地面の硬い石が死んだと思ったらしい。
ゆっへんと得意そうに笑うと、赤まりさは再度飛び跳ねる。
そして振り出しに戻る。
「ゆびぇぇぇぇん!いちゃいのじぇぇぇぇ!!」
跳ねる、泣く、怒る、威嚇、勝ち誇るを、3回ほど繰り返した赤まりさは、それでも確実に前進していた。
そしてそれに気がついたものがいる。
「なんなんだじぇ?!うるしゃいんだじぇ!」
赤まりさの騒いでいる声を聞きつけ現れたのは、同じくらいの大きさの赤まりさ。
体も帽子も薄汚れていて、ほんのり生ゴミの匂いもする。
目の前に突然現れた、見るからにゆっくりしていない赤まりさ。
森からやってきた王様気取りの赤まりさは、そんな赤まりさを見下すのだった。
「ゆぷぷー!みるきゃらに、ゆっくりしてないまりちゃなのじぇ!かわいそうなのじぇー」
「ゆゆぅ?!しつりぇいなまりしゃなんだじぇ!おまえもここでくらしちぇれば、そうなるんだじぇ!」
「ゆん!おまえみちゃいな、きちゃないこぶんなんちぇ、まりちゃはいらないのじぇー!まりちゃがここのおーしゃまになっちぇも、おまえはいらないのじぇ!」
汚い赤まりさは自分の事をバカにされて腹を立てる。
だがすぐに勘違いした赤まりさを見て、冷めた目で見つめる。
「おまえ、かんちがいしちぇるだじぇ!ここはにんげんしゃんのまちなんだじぇ、そのうちひどいめにあうんだじぇ!」
汚れた赤まりさはそういうと何処かに跳ねていってしまった。
赤まりさは自分に恐れをなして逃げて行ったと勝手に勘違いし、さらに調子に乗るのだった。
赤まりさはそれからこの「にんげんしゃんのまち」を探索して回った。
もっとも跳ねるとあんよが痛いので、ずーりずーりと喋りながら地面をナメクジのように進んでいった。
それでも硬い地面にあんよが擦れるのは、今まで土の上で暮らしていた赤まりさには苦痛だった。
「ゆぅぅ、どぼしちぇあんよしゃんがいちゃいのじぇ…ここはじぇんじぇんゆっくりしてないのじぇ…」
以前暮らしていた森よりも、少し大きいくらいのこの街。
木や草花は見つからず、代わりにあるのは高くそびえる石の壁。
そして行き止まりには、森と同じく目には見えない不思議な壁があった。
徘徊している最中に、何匹かの薄汚れたゆっくりに出会った。
どれも薄汚れて、ゆっくりしていないゆっくりだと赤まりさは感じていた。
ようやく水場を見つけはしたが、肝心の食べ物が見当たらない。
森で住処にしていたような洞穴も見つからない。
「ゆぅ…ここはなんなのじぇ?…もりしゃんのほうがゆっくりしてたのじぇ…」
結局赤まりさは疲れ果てて、硬い地面の上で寝てしまったのだった。
そして翌朝。
なれない環境と、硬い地面のせいで安眠できなかった赤まりさは、居心地悪そうに目を覚ました。
「ゆぅ…もう、あしゃなのじぇ?…なんだきゃ、からだがいちゃいのじぇ…おなかもすいちゃのじぇ…」
重い体を引きずるように、食料を探す赤まりさ。
狩の名人だったはずなのに、何故ご飯が見つからないのか?
思った事を口にしながら、早朝の街を徘徊する。
しばらく進むと、昨日見かけた汚いゆっくり達が沢山、と言っても4匹ほどなのだが、一箇所に群がっていた。
「むーしゃ、むーしゃふしあわしぇぇ……」
「ゆっぐ、くしゃいよぉぉ………」
何か食事を取っているようだが、その表情は暗い。
顔をしかめながら、中には涙目になりながらも何かを食べている。
何を食べているのかと思い、近づいてみるとなんだかゆっくり出来ない臭いがしてきた。
森では嗅いだ事のない嫌な臭いのする物。
このゆっくり達は、それを必死に飲み込んでいた。
「ゆぅぅ…やっぱりゆっくりできないゆっくりなのじぇ………」
「ゆ?ゆん…」
そんな呟きを聞いた一匹の赤ゆっくりが反応する。
昨日最初に出会った汚い赤まりさだ。
「なにいっちぇるのじぇ、しんいりのくしぇに…」
「そーだよ。れーみゅだって、すきでこれをたべちぇるんじゃないよ、ほかにむーしゃ、むーしゃするものがにゃいんだよ」
「それはれーみゅたちが、かりがへただからなのじぇ!まりちゃはかりのめーじんだきゃら、おいしいごはんしゃんをとってたべるのじぇ!」
赤まりさはそう言うと、ゆっくり出来ないゆっくり達の元を後にした。
「ばかなやつなんだじぇ…ほかにたべるものはにゃいんだじぇ…」
汚れ赤まりさはそう呟くと、苦虫を潰したような顔をしてくさい臭いのする物を食べ始めた。
「ゆ…ゆぅ…どぼしちぇ、ごはんしゃんがみつからにゃいのじぇ…まりちゃはかりのめいじんにゃのに………」
必死に街を彷徨う赤まりさ。
昨日から何も食べないでいるので、そろそろ限界だろう。
元々が燃費の悪い赤ゆっくり。
私が昨日、赤まりさが眠ってから注射した栄養剤も尽きる頃だ。
そんな赤まりさの目の前に、先ほどのゆっくり達が食べていた物と同じ臭いのする物が目に入った。
当然私が仕掛けた物なのだが、赤まりさは気がついていない。
「ゆうぅぅ…くしゃいのじぇぇ………」
臭いだけで涙目になる赤まりさ。
しばらく躊躇していたが、それでも空腹に勝てずそれを口にする。
臭いと格闘しながら、涙を流し租借する。
「むーしゃ…むーしゃ……ふ、ふしあわしぇぇぇぇ………」
ポロポロと涙が頬を伝う。
先ほどのゆっくりしていないゆっくり達と、同じことをしているのが悔しいのか。
狩の名人だったはずの自分が、こんな物しか見つけられないのが悲しいのか。
単に不味くて臭いからなのかは解らないが、赤まりさは泣きながらそう呟いた。
これはコンポスト入門用の餌で、これをしばらく与え続けば生ゴミが美味しく感じられるという物らしい。
当然これを嫌い、食べないで死ぬゆっくりも出ているので、売り上げは今一と思われがちだが、虐待愛好家に親しまれている餌だ。
私が町の野良ゆっくりの生活を再現させるために、この水槽の中のゆっくり達に与えている物だ。
この水槽は森を再現したものより少し大きい。
ミニチュアの壁や電柱は質感は石のようであるが、ただのプラスチック。
ただし地面だけは知り合いの石の加工屋に頼んで、薄く切った石をアスファルト代わりに敷いている。
ゆっくり達の体が汚れる様に、定期的に鉛筆の芯を削った粉や、部屋の掃除をして出た埃等を水槽に投入している。
汚れている赤まりさと他二匹は野良ゆの親を潰して得たものを飼っている。
住処には小さいダンボール風の家を与えておいた。
もっともこいつ等は、未だに人間の町で野良生活をしていると思っているらしい。
街自体はミニチュアサイズなのだが、流石は餡子脳といったところか。
森の水槽から連れてきたのはこの赤まりさ以外には赤れいむが一匹だ。
以前、森水槽で何匹か赤ゆを飼って、群れを作らせてみたところ、調子に乗った一団が人間を倒して畑を手に入れると言い出した。
そこで森組の赤ゆを全部、町水槽に入れてやったら適応出来たのは、赤れいむ一匹だけだった。
残りは餌を食べずに飢え死にしたり、共食いに走ったりした。
危ない奴は私が潰したが、森の生活に慣れていた赤ゆ達はストレスや飢えで死に、数を減らしていった。
この赤まりさもどこまで持つかは分からないが、しばらく楽しませてくれそうだ。
「ゆびぇぇぇぇ…どぼしちぇ…まりちゃは…まりちゃは…」
あのまま森で生活させてやっても良かったのだが、畑を目指して遠征を計画していた様なので人間の町に招待してみた。
赤まりさはこの町を気に入ってくれるだろうか?
赤まりさの絶望はまだ始まったばかりだ。
もう少し数が増えたら、一斉駆除ごっこも楽しいかもしれない。
森の方でゆっくり狩りや、れいぱーで全滅も面白そうだ。
ゆっくりの飼育は、当分辞められそうにない。
完
SSでのゆっくりの扱いが酷いと言われたので、ぬる苛めです。
ぬる苛めになってますかね?
徒然あき
いじめ 観察 小ネタ 赤ゆ 現代 久しぶりの小ネタです
「ゆえぇぇぇん!おかーしゃんはどこなのじぇぇぇぇ!!」
眠りから目を覚ました赤まりさが泣き叫ぶ。
目を覚ますと、見知らぬ森の中に一匹だった。
元々が寂しがり屋のゆっくり、しかも赤ゆっくり。
心細くて、寂しくて、不安で泣いていた。
そうしてしばらくして、泣きつかれて寝てしまった。
目を覚まして辺りを見回す赤まりさ。
改めて一人ぼっちなのを再認識すると、涙目になる。
寂しくて悲しくてゆんゆんと泣いた。
だが、いくら泣いても誰も姿を現さない。
この赤まりさは今日捕まえてきたもの。
野生の親子にラムネを食べさせ、眠った所を捕獲してきたものだ。
両親と5匹いた姉妹達が、目を覚ましたら居なくなっていたのだ。
混乱して泣き叫ぶのも無理はない。
これからこの空間で一匹で暮らすことになるのだ。
「むーしゃ、むーしゃ、しあわ………ゆぅ……ふしあわしぇぇぇぇ」
泣き飽きたのか、空腹に耐えられなくなったのか、赤まりさは自分で狩りに出かけた。
といっても、目を覚ました場所から赤ゆにして数歩跳ねただけ。
それでも赤まりさにとっては大冒険だ。
そうして見つけたものは、変わった形の食べ物。
四角い形をしているが、美味しそうな匂いがした。
恐る恐る口にしてみると、今まで食べた事のない甘味が口に広がった。
普段なら、「しあわせー」と叫んでいただろうが、一人ぼっちなのを思い出して涙目になる。
両親はどこに行ったのか、姉妹たちはどこに行ったのか。
折角の御馳走を食べても、その事が頭を過ぎるばかりである。
美味しい物を食べても、その幸せを分かち合う家族がいない。
そのせいで幸せだとは思えず、あまあまを食べては泣いていた。
満腹になった赤まりさは、家族を捜すべく、森の中を跳ね回る。
しかしこの森は、すぐに赤まりさには見えない不思議な壁に阻まれる。
「ゆぅぅぅ?!どーしちぇここからしゃきにはすすめないのじぇぇぇぇ?!ゆんやぁぁぁぁ!!」
何故先に進めないのか解らず、赤まりさは泣き叫ぶ。
私がレイアウトしたこの水槽は、内側からはゆっくりが外を見ることが出来ないのだ。
これは加工所がゆっくりの生態を研究する上で作り出した物。
原理はゆっくりの巣に張られている「けっかい」というやつだ。
人の目には丸わかりで、いい加減な物ではあるが、ゆっくりにとっては効果絶大の「けっかい」。
一定の間隔で枝や葉っぱを配置すると、ゆっくりはそこに何がるのか見えなくなってしまう。
それを応用してのこの水槽は作られた。
水槽の内側に一定間隔で微量に傾斜や凹凸がついており、この影響で内部のゆっくりからは外が見えないらしい。
壁内部の凹凸や斜面に目が行ってしまって、外が見えていないそうだ。
ちなみに外側から見る分には、ゆっくりにも中の様子は見えるそうだ。
そんな訳でこの赤まりさにとってここは森の中なのだ。
赤まりさはこの狭く限りある森の中を動ける限り動きまわった。
だが家族はおろか、他のゆっくりは一匹も見つからなかった。
そればかりか、食料になる虫さんも、奇麗な声で鳴く鳥さん、それらの姿も声すらも聞く事が出来なかった。
赤まりさは、改めて孤独を自覚し、身を震わせて泣いた。
それから数日たったが、未だ赤まりさは一人ぼっち。
幸いな事に、住めそうな洞穴を見つけることが出来た。
「ちょっとしぇまいけど、ここをまりちゃのゆっくちぷれいしゅにしゅるのじぇ!」
定番のお家宣言を済ませ上機嫌の赤まりさ。
洞穴の中にはご丁寧に藁のベットもあった。
一人ぼっちは寂しいが、赤まりさはここで暮らしていく事を決めたのだ。
不思議な事に赤まりさが狩りに出かければ、必ず食べ物を確保できた。
もっともそれは、この赤まりさを飼っている私が水槽内に適当に配置した餌なのだが、赤まりさは知る由もない。
赤まりさ程度の頭では不思議とも感じていない。
狩りの腕は確実に上手くなっていると思っているが、それを褒めてくれる家族がいない。
赤まりさはそれが悲しくて仕方なかった。
その程度にしか考えていなかった。
「ゆびぇぇぇぇ………さみしいのじぇぇぇ………みんにゃ、どこにゃの?」
餌を食べては家族を探し、疲れてお腹が減れば、食料を探す。
そんな単調な生活に飽きる事もなく、赤まりさは必死で小さな森を跳ね回った。
赤まりさは相変わらず一人ぼっちだったが、この不思議な森の暮らしに大分慣れてきた。
以前よりも長い間、跳ね回る事が出来るようになっていた。
狩りの腕も超一流、いつも自分が満腹になるだけの食料を得ることが出来ていた。
それらがすべて私が仕組んだものとは知らずに、成長した自分を自分で褒め称えていた。
赤ゆっくりサイズでも、長時間跳ね回っていられるのは、赤まりさが「みずうみさん」と呼んでいる小さな水場に秘密がある。
この水には少量の水溶き片栗粉が溶かしてある。
これを毎血に飲んでいる赤まりさは、片栗粉の影響で中身の餡や皮が丈夫になっているのだ。
毎回余計な水分を排出しているから、片栗粉だけ体内に蓄積されていく。
餡に粘性が出すぎて便秘にならないように注意しつつ、赤まりさを丈夫にしてきたのだ。
うんうんは水槽内に敷いた土に混ざるので、ある程度放置しておいても問題ないので世話が楽。
未だに赤ゆっくりサイズなのも毎日食べている餌のせいだ。
甘味はあるものの、栄養は少なく成長出来ないのだが、量は多めに与えてあるので満腹感だけは得られていた。
「きょーもたいりょうだにぇ!さしゅがはまりちゃ!かりのめーじんなのじぇ!」
私の用意した餌を見つけ出し、得意そうにのけぞる赤まりさ。
自信に満ち溢れた顔は、自分が最高にゆっくりしていると語っていた。
そして自信は日に日に増徴し、自惚れに変わっていった。
「ゆげーっぴゅ!きょうもまんぷくなのじぇー!まりちゃはさいきょうでごめんね!」
幸せそうにげっぷをすると、得意そうに仰け反る赤まりさ。
赤まりさは今やこの森の王者、狭い森の食物連鎖の頂点に君臨していると自惚れていた。
もっとも、赤まりさの外敵になるような動植物、昆虫等はいないのだが、赤まりさは、それらが自分を恐れて居なくなったものだと思っていた。
そして、この狭い森での暮らしに飽きを感じ始めていた。
この森を捨てて新しい世界に行ってみたいと思いだした。
そこで沢山のゆっくりを従えた長、いや王に。
この森から外の世界に。
そう、かつて親から聞かされていた、恐ろしいと言われていた、人間のいる畑に。
親達が語り継いでいた恐ろしい人間の話。
その人間達を倒して、幻のゆっくりプレイスである畑を手に入れるために森を旅立つ事を決めたのだった。
本当にゆっくりという奴は、自分の考えをポロポロと口にするので分かりやすい。
赤まりさが目を覚ますと、そこには見慣れた森はなかった。
あるのは冷たくて硬い地面。
石で出来たと思われる、自分の背よりはるかに高い物。
「ゆ?ここはどこなのじぇ?まりちゃのもりしゃんは?」
回りを見渡しても木々はおろか草も見つからない。
赤まりさは慌てて跳ね回る。
だが、地面の硬さですぐに足を止める。
「いちゃいのじぇぇぇ!なんにゃの、このいししゃんはぁぁぁ?!どぼしていじわるしゅるのじぇぇぇぇ!!」
赤まりさは硬い地面を泣きながら睨みつける。
当然地面は無反応、急に土に変わるわけでもない。
赤まりさはそんな地面に怒りをぶつける。
「ゆぅぅぅ?!もうおこっちゃのじぇ!あやまっちぇもゆるしゃないのじぇ!」
涙目の赤まりさは大きく息を吸い込むと、ぷくーっと膨れ上がった。
「どうなのじぇ?!こわいのじぇ?!まりちゃはゆっくちさいきょうなのじぇ!!ばかないししゃんはしんじゃったのじぇ!!」
膨れ上がった途端に得意そうに仰け反る赤まりさ。
どうやらぷくーをしただけで、地面の硬い石が死んだと思ったらしい。
ゆっへんと得意そうに笑うと、赤まりさは再度飛び跳ねる。
そして振り出しに戻る。
「ゆびぇぇぇぇん!いちゃいのじぇぇぇぇ!!」
跳ねる、泣く、怒る、威嚇、勝ち誇るを、3回ほど繰り返した赤まりさは、それでも確実に前進していた。
そしてそれに気がついたものがいる。
「なんなんだじぇ?!うるしゃいんだじぇ!」
赤まりさの騒いでいる声を聞きつけ現れたのは、同じくらいの大きさの赤まりさ。
体も帽子も薄汚れていて、ほんのり生ゴミの匂いもする。
目の前に突然現れた、見るからにゆっくりしていない赤まりさ。
森からやってきた王様気取りの赤まりさは、そんな赤まりさを見下すのだった。
「ゆぷぷー!みるきゃらに、ゆっくりしてないまりちゃなのじぇ!かわいそうなのじぇー」
「ゆゆぅ?!しつりぇいなまりしゃなんだじぇ!おまえもここでくらしちぇれば、そうなるんだじぇ!」
「ゆん!おまえみちゃいな、きちゃないこぶんなんちぇ、まりちゃはいらないのじぇー!まりちゃがここのおーしゃまになっちぇも、おまえはいらないのじぇ!」
汚い赤まりさは自分の事をバカにされて腹を立てる。
だがすぐに勘違いした赤まりさを見て、冷めた目で見つめる。
「おまえ、かんちがいしちぇるだじぇ!ここはにんげんしゃんのまちなんだじぇ、そのうちひどいめにあうんだじぇ!」
汚れた赤まりさはそういうと何処かに跳ねていってしまった。
赤まりさは自分に恐れをなして逃げて行ったと勝手に勘違いし、さらに調子に乗るのだった。
赤まりさはそれからこの「にんげんしゃんのまち」を探索して回った。
もっとも跳ねるとあんよが痛いので、ずーりずーりと喋りながら地面をナメクジのように進んでいった。
それでも硬い地面にあんよが擦れるのは、今まで土の上で暮らしていた赤まりさには苦痛だった。
「ゆぅぅ、どぼしちぇあんよしゃんがいちゃいのじぇ…ここはじぇんじぇんゆっくりしてないのじぇ…」
以前暮らしていた森よりも、少し大きいくらいのこの街。
木や草花は見つからず、代わりにあるのは高くそびえる石の壁。
そして行き止まりには、森と同じく目には見えない不思議な壁があった。
徘徊している最中に、何匹かの薄汚れたゆっくりに出会った。
どれも薄汚れて、ゆっくりしていないゆっくりだと赤まりさは感じていた。
ようやく水場を見つけはしたが、肝心の食べ物が見当たらない。
森で住処にしていたような洞穴も見つからない。
「ゆぅ…ここはなんなのじぇ?…もりしゃんのほうがゆっくりしてたのじぇ…」
結局赤まりさは疲れ果てて、硬い地面の上で寝てしまったのだった。
そして翌朝。
なれない環境と、硬い地面のせいで安眠できなかった赤まりさは、居心地悪そうに目を覚ました。
「ゆぅ…もう、あしゃなのじぇ?…なんだきゃ、からだがいちゃいのじぇ…おなかもすいちゃのじぇ…」
重い体を引きずるように、食料を探す赤まりさ。
狩の名人だったはずなのに、何故ご飯が見つからないのか?
思った事を口にしながら、早朝の街を徘徊する。
しばらく進むと、昨日見かけた汚いゆっくり達が沢山、と言っても4匹ほどなのだが、一箇所に群がっていた。
「むーしゃ、むーしゃふしあわしぇぇ……」
「ゆっぐ、くしゃいよぉぉ………」
何か食事を取っているようだが、その表情は暗い。
顔をしかめながら、中には涙目になりながらも何かを食べている。
何を食べているのかと思い、近づいてみるとなんだかゆっくり出来ない臭いがしてきた。
森では嗅いだ事のない嫌な臭いのする物。
このゆっくり達は、それを必死に飲み込んでいた。
「ゆぅぅ…やっぱりゆっくりできないゆっくりなのじぇ………」
「ゆ?ゆん…」
そんな呟きを聞いた一匹の赤ゆっくりが反応する。
昨日最初に出会った汚い赤まりさだ。
「なにいっちぇるのじぇ、しんいりのくしぇに…」
「そーだよ。れーみゅだって、すきでこれをたべちぇるんじゃないよ、ほかにむーしゃ、むーしゃするものがにゃいんだよ」
「それはれーみゅたちが、かりがへただからなのじぇ!まりちゃはかりのめーじんだきゃら、おいしいごはんしゃんをとってたべるのじぇ!」
赤まりさはそう言うと、ゆっくり出来ないゆっくり達の元を後にした。
「ばかなやつなんだじぇ…ほかにたべるものはにゃいんだじぇ…」
汚れ赤まりさはそう呟くと、苦虫を潰したような顔をしてくさい臭いのする物を食べ始めた。
「ゆ…ゆぅ…どぼしちぇ、ごはんしゃんがみつからにゃいのじぇ…まりちゃはかりのめいじんにゃのに………」
必死に街を彷徨う赤まりさ。
昨日から何も食べないでいるので、そろそろ限界だろう。
元々が燃費の悪い赤ゆっくり。
私が昨日、赤まりさが眠ってから注射した栄養剤も尽きる頃だ。
そんな赤まりさの目の前に、先ほどのゆっくり達が食べていた物と同じ臭いのする物が目に入った。
当然私が仕掛けた物なのだが、赤まりさは気がついていない。
「ゆうぅぅ…くしゃいのじぇぇ………」
臭いだけで涙目になる赤まりさ。
しばらく躊躇していたが、それでも空腹に勝てずそれを口にする。
臭いと格闘しながら、涙を流し租借する。
「むーしゃ…むーしゃ……ふ、ふしあわしぇぇぇぇ………」
ポロポロと涙が頬を伝う。
先ほどのゆっくりしていないゆっくり達と、同じことをしているのが悔しいのか。
狩の名人だったはずの自分が、こんな物しか見つけられないのが悲しいのか。
単に不味くて臭いからなのかは解らないが、赤まりさは泣きながらそう呟いた。
これはコンポスト入門用の餌で、これをしばらく与え続けば生ゴミが美味しく感じられるという物らしい。
当然これを嫌い、食べないで死ぬゆっくりも出ているので、売り上げは今一と思われがちだが、虐待愛好家に親しまれている餌だ。
私が町の野良ゆっくりの生活を再現させるために、この水槽の中のゆっくり達に与えている物だ。
この水槽は森を再現したものより少し大きい。
ミニチュアの壁や電柱は質感は石のようであるが、ただのプラスチック。
ただし地面だけは知り合いの石の加工屋に頼んで、薄く切った石をアスファルト代わりに敷いている。
ゆっくり達の体が汚れる様に、定期的に鉛筆の芯を削った粉や、部屋の掃除をして出た埃等を水槽に投入している。
汚れている赤まりさと他二匹は野良ゆの親を潰して得たものを飼っている。
住処には小さいダンボール風の家を与えておいた。
もっともこいつ等は、未だに人間の町で野良生活をしていると思っているらしい。
街自体はミニチュアサイズなのだが、流石は餡子脳といったところか。
森の水槽から連れてきたのはこの赤まりさ以外には赤れいむが一匹だ。
以前、森水槽で何匹か赤ゆを飼って、群れを作らせてみたところ、調子に乗った一団が人間を倒して畑を手に入れると言い出した。
そこで森組の赤ゆを全部、町水槽に入れてやったら適応出来たのは、赤れいむ一匹だけだった。
残りは餌を食べずに飢え死にしたり、共食いに走ったりした。
危ない奴は私が潰したが、森の生活に慣れていた赤ゆ達はストレスや飢えで死に、数を減らしていった。
この赤まりさもどこまで持つかは分からないが、しばらく楽しませてくれそうだ。
「ゆびぇぇぇぇ…どぼしちぇ…まりちゃは…まりちゃは…」
あのまま森で生活させてやっても良かったのだが、畑を目指して遠征を計画していた様なので人間の町に招待してみた。
赤まりさはこの町を気に入ってくれるだろうか?
赤まりさの絶望はまだ始まったばかりだ。
もう少し数が増えたら、一斉駆除ごっこも楽しいかもしれない。
森の方でゆっくり狩りや、れいぱーで全滅も面白そうだ。
ゆっくりの飼育は、当分辞められそうにない。
完
SSでのゆっくりの扱いが酷いと言われたので、ぬる苛めです。
ぬる苛めになってますかね?
徒然あき