ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2887 僕とれいむと秘密基地
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ankoss
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『僕とれいむと秘密基地』 27KB
虐待 不運 変態 現代 久しぶりの投稿です
虐待 不運 変態 現代 久しぶりの投稿です
※この作品には、一部にほんの少しのHENTAI的表現が含まれます。
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あれは僕が小学生の頃。
生まれた時から大人しい子と親に言われ続けた僕は、そのままそっくり大きくなり、
当時も教室の隅っこに座っては本を読んでいるのが好きな、友達の居ない子供だった。
唯一の友達だったのは、クラスでもガキ大将で通っていたユウジ君だ。
ユウジ君はクラスの誰よりも背が高くて、明るく元気で人気があって、チビで根暗な僕とは正反対の人間だった。
だけどユウジ君は、積極的にクラスのほかの子と係わり合いになろうとしない僕を見つけては
気さくに話しかけてくれ、最初は疎ましく思っていた僕も、彼の独特の雰囲気に飲まれたのか
僕の中では、ユウジ君は一番の友達になっていた。
生まれた時から大人しい子と親に言われ続けた僕は、そのままそっくり大きくなり、
当時も教室の隅っこに座っては本を読んでいるのが好きな、友達の居ない子供だった。
唯一の友達だったのは、クラスでもガキ大将で通っていたユウジ君だ。
ユウジ君はクラスの誰よりも背が高くて、明るく元気で人気があって、チビで根暗な僕とは正反対の人間だった。
だけどユウジ君は、積極的にクラスのほかの子と係わり合いになろうとしない僕を見つけては
気さくに話しかけてくれ、最初は疎ましく思っていた僕も、彼の独特の雰囲気に飲まれたのか
僕の中では、ユウジ君は一番の友達になっていた。
ユウジ君と友達になってから初めての夏、もうすぐ夏休みに入る頃。
放課後わいわいとおしゃべりを楽しんでいる教室で、いつでも下校していいのに、
いつものように机に座って大好きな本を読んでいる僕に、ユウジ君が周りに聞こえないように
こっそりと話しかけてきた。
「なあ、いいとこつれていってやるよ、いこうぜ」
そういわれて、特別予定の無かった僕は、ユウジ君の導くままに、家から少し離れたところにある
大きな公園に一緒に行くことになった。
その公園には、子供が遊ぶような遊具のある広場と、自然保護を目的とした林のような部分があった。
ちょうどその境目の、道ではないところを、ユウジ君は僕を置いて進んでいった。
僕がためらっていると少し離れたところからユウジ君が手招きをしている。
僕は意を決して茂みに足を踏み入れ、何度も転びそうになりながら彼の後をついていった。
それから少しだけ歩くと、突然茂みが開け、子供数人が立って入れるようなスペースが、ぽっかりと空いていた。
「よう、きたか」
僕がそこに入ると、その奥から聞きなれない男の子の声がした。
「ユウジがつれてきたんだもんな、今日からお前も俺達の仲間だ」
奥から顔を出したのは、鋭い目をした僕達と同い年くらいの小柄な少年だった。
その時なぜか、ユウジ君がいつもと違って妙に縮こまり、バツの悪そうな顔をしてこちらを見ていたことを覚えている。
放課後わいわいとおしゃべりを楽しんでいる教室で、いつでも下校していいのに、
いつものように机に座って大好きな本を読んでいる僕に、ユウジ君が周りに聞こえないように
こっそりと話しかけてきた。
「なあ、いいとこつれていってやるよ、いこうぜ」
そういわれて、特別予定の無かった僕は、ユウジ君の導くままに、家から少し離れたところにある
大きな公園に一緒に行くことになった。
その公園には、子供が遊ぶような遊具のある広場と、自然保護を目的とした林のような部分があった。
ちょうどその境目の、道ではないところを、ユウジ君は僕を置いて進んでいった。
僕がためらっていると少し離れたところからユウジ君が手招きをしている。
僕は意を決して茂みに足を踏み入れ、何度も転びそうになりながら彼の後をついていった。
それから少しだけ歩くと、突然茂みが開け、子供数人が立って入れるようなスペースが、ぽっかりと空いていた。
「よう、きたか」
僕がそこに入ると、その奥から聞きなれない男の子の声がした。
「ユウジがつれてきたんだもんな、今日からお前も俺達の仲間だ」
奥から顔を出したのは、鋭い目をした僕達と同い年くらいの小柄な少年だった。
その時なぜか、ユウジ君がいつもと違って妙に縮こまり、バツの悪そうな顔をしてこちらを見ていたことを覚えている。
後で聞いた話では、彼…サタケ君は、隣の学校の、いわゆる不良的な子だったらしい。
何度も周りの子供と喧嘩などをしては、学校からも問題視されるような人物だったそうだ。
仲間、といったが実質彼の子分のようなもので、仲間を増やすようにいわれていたということだった。
何度も周りの子供と喧嘩などをしては、学校からも問題視されるような人物だったそうだ。
仲間、といったが実質彼の子分のようなもので、仲間を増やすようにいわれていたということだった。
だけど僕は特別気にすることは無く、自然とサタケ君とも打ち解けることができた。
少々ワガママな面ももちろんあったけれど、話してみると意外といいやつ、というようなものだ。
「お前にもいいもの見せてやるよ」
そういうサタケ君に手招きされていった、スペースの奥に、僕は信じられないものを見た。
そこにいたのは、綺麗な黒髪を大きなリボンで結った、目の大きなとても可愛い女の子だったのだ。
「この子は?」
僕は思わず自分から口に出して聞いてしまっていた、なぜかわからないが、
一目見ただけでそのこのことをもっとよく知りたいと思ってしまったのだ。
「信じられるか、こいつゆっくりなんだぜ」
「え?」
僕は思わず聞き返した。
ゆっくりは当然知っている、こういった林や、普通の道にもよくいる、人間の生首みたいな小うるさい生き物だ。
中身がどうしてか餡子状の物体で構成されている不思議な生物で、
たいていの場合は自然動物と一緒で自由に、いわゆる”ゆっくりとした生活”を送っているが、
たまに人間に危害を加えるような行動をして駆除されたりしている。
だけど僕のほうをじっと見ているその子は、僕の知っている生首饅頭なんかではなく、紛れも無く人間の女の子とそっくりで
いわれてみれば少し頬が膨らんでいたり、人間のそれとは少し違う大きな目をしている。
だけどいわれなければゆっくりだと気づくことは、僕にはおそらく無いほどだ。
「胴付きゆっくりっていうんだ、にいちゃんが拾ってきたから、ここで飼ってるんだ」
そういってサタケ君はおもむろにそのこのほっぺたをつねりあげた。
「や、やめてあげなよ、かわいそうだよ」
僕が思わず止めるも、サタケ君はケラケラと笑いながら彼女の頬をつねり続けた。
「大丈夫だって、ゆっくりだし、それにほらこいつだって笑ってるじゃん」
そういわれて彼女を見てみると、目の端に少し涙をためていたが、確かににこにこと微笑んでいた。
「この子、名前は?」
「れいむだってさ、あぁあと喉は潰してあるからしゃべれないよ」
サタケ君は、どうしてかそんな残酷なことを、普通の会話のようにさらりと言ってのけた。
「だって叫ばれたりしたらうるさいじゃん、あと足も動けなくした、逃げないように」
「どうしてそんな…かわいそうだよ…」
僕は少し気分が悪くなってしまったが、サタケ君は少しも悪いことだなんて思っていないようで、
「兄ちゃんがやったんだ、でもいいんだよ、ゆっくりだし、こいつは俺の、いや、俺達のおもちゃなんだから、好きにしていいんだよ」
そんな風にいって、再び楽しそうにれいむちゃんのほっぺたを真っ赤になるまでつねり続けた。
少々ワガママな面ももちろんあったけれど、話してみると意外といいやつ、というようなものだ。
「お前にもいいもの見せてやるよ」
そういうサタケ君に手招きされていった、スペースの奥に、僕は信じられないものを見た。
そこにいたのは、綺麗な黒髪を大きなリボンで結った、目の大きなとても可愛い女の子だったのだ。
「この子は?」
僕は思わず自分から口に出して聞いてしまっていた、なぜかわからないが、
一目見ただけでそのこのことをもっとよく知りたいと思ってしまったのだ。
「信じられるか、こいつゆっくりなんだぜ」
「え?」
僕は思わず聞き返した。
ゆっくりは当然知っている、こういった林や、普通の道にもよくいる、人間の生首みたいな小うるさい生き物だ。
中身がどうしてか餡子状の物体で構成されている不思議な生物で、
たいていの場合は自然動物と一緒で自由に、いわゆる”ゆっくりとした生活”を送っているが、
たまに人間に危害を加えるような行動をして駆除されたりしている。
だけど僕のほうをじっと見ているその子は、僕の知っている生首饅頭なんかではなく、紛れも無く人間の女の子とそっくりで
いわれてみれば少し頬が膨らんでいたり、人間のそれとは少し違う大きな目をしている。
だけどいわれなければゆっくりだと気づくことは、僕にはおそらく無いほどだ。
「胴付きゆっくりっていうんだ、にいちゃんが拾ってきたから、ここで飼ってるんだ」
そういってサタケ君はおもむろにそのこのほっぺたをつねりあげた。
「や、やめてあげなよ、かわいそうだよ」
僕が思わず止めるも、サタケ君はケラケラと笑いながら彼女の頬をつねり続けた。
「大丈夫だって、ゆっくりだし、それにほらこいつだって笑ってるじゃん」
そういわれて彼女を見てみると、目の端に少し涙をためていたが、確かににこにこと微笑んでいた。
「この子、名前は?」
「れいむだってさ、あぁあと喉は潰してあるからしゃべれないよ」
サタケ君は、どうしてかそんな残酷なことを、普通の会話のようにさらりと言ってのけた。
「だって叫ばれたりしたらうるさいじゃん、あと足も動けなくした、逃げないように」
「どうしてそんな…かわいそうだよ…」
僕は少し気分が悪くなってしまったが、サタケ君は少しも悪いことだなんて思っていないようで、
「兄ちゃんがやったんだ、でもいいんだよ、ゆっくりだし、こいつは俺の、いや、俺達のおもちゃなんだから、好きにしていいんだよ」
そんな風にいって、再び楽しそうにれいむちゃんのほっぺたを真っ赤になるまでつねり続けた。
その後も、サタケ君はまるでれいむちゃんなんて居ないかのように、僕達とたわいのないおしゃべりをしては、
時折教師の悪口なんかを言いながら、れいむちゃんを蹴飛ばしたりしてストレスを発散しているようだった。
夕暮れ時になり、カラスが鳴き始めたころ、突然サタケ君は話を区切り、立ち上がった。
「あー、もうこんな時間か、俺は帰るわ、じゃあな」
「あ、うん」
「またね、サタケ君」
僕とユウジ君が見送ろうとすると、サタケ君は思い出したように振り返って。
「おっと、ほられいむ、今日の分、また明日な」
ポケットに手を突っ込んで、中から取り出した何かをれいむちゃんの方に向かってぽいと投げて、
そのまま背を向けてすたすたと歩いていってしまった。
れいむちゃんは地面に落ちたそれをつかんで、顔を上げて満面の笑みを浮かべていた。
「ねえ、それなあに?」
僕が聞くと、れいむちゃんは僕のほうを見て、ぱくぱくと口を動かした。
そこで僕はしまった、申し訳ないことをしたと思ってしまった。
れいむちゃんはしゃべることができないのだ、僕の目の前で動く可愛い唇からは、
ひゅーひゅーと風邪をひいたような音しか出てきていなかった。
「あまあまって、いってるんだよ、たぶん、それは飴玉さ」
ユウジ君が言うと、れいむちゃんはさっきひろったそれを両手でごそごそとやり、中から取り出した真っ赤な塊を口に入れた。
すると瞬く間ににこにことした顔がさらにほころんでいき、見ているこっちまで幸せになってしまいそうな気分にさせられた。
ゆっくりは甘いものが好き、れいむちゃんもそれは一緒らしかった。
「ね、ねぇ、僕もれいむちゃんに食べ物あげてもいいのかな?」
僕がユウジ君に聞くと、ユウジ君はにやりと笑って、
「なんだお前、れいむに気があるのか?女の子だからって優しくなるなんて、えろだな、えろ!」
と僕を冷やかした。
僕はすっかり耳まで真っ赤になってしまって、ユウジ君と少しだけ口げんかをした。
けれどすぐに仲直りして、今日はもう遅いということで二人で家に帰ることにした。
「じゃあね、れいむちゃん、必ずまた来るから」
僕がそういうと、れいむちゃんは座ったまま、ひらひらと手を振って僕達を笑顔で見送ってくれた。
僕は帰り道、次に来るときは一杯甘いものを持って来ようと、ずっと興奮してしまっていた。
時折教師の悪口なんかを言いながら、れいむちゃんを蹴飛ばしたりしてストレスを発散しているようだった。
夕暮れ時になり、カラスが鳴き始めたころ、突然サタケ君は話を区切り、立ち上がった。
「あー、もうこんな時間か、俺は帰るわ、じゃあな」
「あ、うん」
「またね、サタケ君」
僕とユウジ君が見送ろうとすると、サタケ君は思い出したように振り返って。
「おっと、ほられいむ、今日の分、また明日な」
ポケットに手を突っ込んで、中から取り出した何かをれいむちゃんの方に向かってぽいと投げて、
そのまま背を向けてすたすたと歩いていってしまった。
れいむちゃんは地面に落ちたそれをつかんで、顔を上げて満面の笑みを浮かべていた。
「ねえ、それなあに?」
僕が聞くと、れいむちゃんは僕のほうを見て、ぱくぱくと口を動かした。
そこで僕はしまった、申し訳ないことをしたと思ってしまった。
れいむちゃんはしゃべることができないのだ、僕の目の前で動く可愛い唇からは、
ひゅーひゅーと風邪をひいたような音しか出てきていなかった。
「あまあまって、いってるんだよ、たぶん、それは飴玉さ」
ユウジ君が言うと、れいむちゃんはさっきひろったそれを両手でごそごそとやり、中から取り出した真っ赤な塊を口に入れた。
すると瞬く間ににこにことした顔がさらにほころんでいき、見ているこっちまで幸せになってしまいそうな気分にさせられた。
ゆっくりは甘いものが好き、れいむちゃんもそれは一緒らしかった。
「ね、ねぇ、僕もれいむちゃんに食べ物あげてもいいのかな?」
僕がユウジ君に聞くと、ユウジ君はにやりと笑って、
「なんだお前、れいむに気があるのか?女の子だからって優しくなるなんて、えろだな、えろ!」
と僕を冷やかした。
僕はすっかり耳まで真っ赤になってしまって、ユウジ君と少しだけ口げんかをした。
けれどすぐに仲直りして、今日はもう遅いということで二人で家に帰ることにした。
「じゃあね、れいむちゃん、必ずまた来るから」
僕がそういうと、れいむちゃんは座ったまま、ひらひらと手を振って僕達を笑顔で見送ってくれた。
僕は帰り道、次に来るときは一杯甘いものを持って来ようと、ずっと興奮してしまっていた。
それから僕は、毎日のように家にあるお菓子をポケットに詰めて、れいむちゃんの所に遊びに行った。
はじめのころは、ユウジ君やサタケ君も一緒のことが多かったけど、
僕はみんなより少しだけ早くきたり、みんなより遅くまで残ったりして、
れいむちゃんと二人きりの時間をつくるようにした。
僕はもっとれいむちゃんのことを知りたかった。
僕と二人きりのときも、れいむちゃんはいつもにこにことしていて、僕の方をぼんやり見たり、周りを見渡したり、ぼーっと一点を見つめたり。
どうもこれがれいむちゃんのゆっくりしているという状態らしい。
僕はポケットに詰めた甘いお菓子をれいむちゃんにあげて、彼女のご機嫌をとった。
僕から手渡されたそれを嬉しそうに受け取って、ほっぺたが落ちそう、という様子を隠さずに
本当に幸せそうに食べてくれるれいむちゃんを見るのが、好きだった。
僕がれいむちゃんとお話をしたくても、声が出せないれいむちゃんの言いたいことを僕が理解することはできなかった。
僕が話しかけるとこちらを向いて、ぱくぱくと口を動かしてくれるので、
僕の言っていることは正しくかどうかはわからないけれど、理解してくれているようだった。
はじめのころは、ユウジ君やサタケ君も一緒のことが多かったけど、
僕はみんなより少しだけ早くきたり、みんなより遅くまで残ったりして、
れいむちゃんと二人きりの時間をつくるようにした。
僕はもっとれいむちゃんのことを知りたかった。
僕と二人きりのときも、れいむちゃんはいつもにこにことしていて、僕の方をぼんやり見たり、周りを見渡したり、ぼーっと一点を見つめたり。
どうもこれがれいむちゃんのゆっくりしているという状態らしい。
僕はポケットに詰めた甘いお菓子をれいむちゃんにあげて、彼女のご機嫌をとった。
僕から手渡されたそれを嬉しそうに受け取って、ほっぺたが落ちそう、という様子を隠さずに
本当に幸せそうに食べてくれるれいむちゃんを見るのが、好きだった。
僕がれいむちゃんとお話をしたくても、声が出せないれいむちゃんの言いたいことを僕が理解することはできなかった。
僕が話しかけるとこちらを向いて、ぱくぱくと口を動かしてくれるので、
僕の言っていることは正しくかどうかはわからないけれど、理解してくれているようだった。
僕はれいむちゃんに、文字を教えてみることにした。
始めはペンを握る所から。
僕のペンを貸してあげて、学校で習うみたいに、優しく補助してあげる。
僕のノートの反対側から、れいむちゃんの描くのたくった線が増えていく。
自分がなぞったところが黒くなっていくのが楽しいようで、終始れいむちゃんはゴキゲンだった。
数日後、僕のノートが一冊れいむちゃんの書き込みで埋まる頃、れいむちゃんは文字をきちんとかけるようになっていた。
短い時間では、ひらがなしか教えることができなかったけれど、僕にはそれで十分だった。
始めはペンを握る所から。
僕のペンを貸してあげて、学校で習うみたいに、優しく補助してあげる。
僕のノートの反対側から、れいむちゃんの描くのたくった線が増えていく。
自分がなぞったところが黒くなっていくのが楽しいようで、終始れいむちゃんはゴキゲンだった。
数日後、僕のノートが一冊れいむちゃんの書き込みで埋まる頃、れいむちゃんは文字をきちんとかけるようになっていた。
短い時間では、ひらがなしか教えることができなかったけれど、僕にはそれで十分だった。
そして僕はまっさらなノートを一冊買って、れいむちゃんと二人きりの時は、筆談をして楽しんだ。
サタケ君もユウジ君も知らない、二人だけの時間、二人だけの秘密。
この逢瀬に僕の鼓動は高まり、僕の頭の中は日毎にれいむちゃんでいっぱいになっていった。
サタケ君もユウジ君も知らない、二人だけの時間、二人だけの秘密。
この逢瀬に僕の鼓動は高まり、僕の頭の中は日毎にれいむちゃんでいっぱいになっていった。
れいむちゃんの名前。
僕の名前。
始めに覚えたのはその二つ。
そして少しづつ文字を会話にしていく。
僕の名前。
始めに覚えたのはその二つ。
そして少しづつ文字を会話にしていく。
れいむちゃんの好きな食べ物は?
一人の時はなにをしているの?
何かしたいことはある?
何か欲しいものはある?
昨日見た夢は?
一人の時はなにをしているの?
何かしたいことはある?
何か欲しいものはある?
昨日見た夢は?
何でもないことをいくつもいくつも。
れいむちゃんは笑顔でそれに答えてくれる。
覚えたての文字は、へたくそだったけど、それは僕も一緒。
二人の会話の記録が詰まったノートと鉛筆は、れいむちゃんにプレゼントした。
れいむちゃんと一緒に過ごした時間の思い出こそが、僕にとって一番大切な宝物だったから。
れいむちゃんは笑顔でそれに答えてくれる。
覚えたての文字は、へたくそだったけど、それは僕も一緒。
二人の会話の記録が詰まったノートと鉛筆は、れいむちゃんにプレゼントした。
れいむちゃんと一緒に過ごした時間の思い出こそが、僕にとって一番大切な宝物だったから。
夏休みに入る一週間ほど前。
僕らの秘密基地に新しい住人がいつの間にか増えていた。
ユウジ君いわく、サタケ君の学校の同級生が二人、勝手についてきたらしい。
僕たちは始め困惑していたが、その二人は友達のようで隅の方でなにか本を読みながら二人だけの世界を作っていたので、
僕たちは僕たちでいつものように遊んでいた。
このころになると、僕はなんとなく、れいむちゃんがサタケ君にいじめられてもにこにこしている理由がわかってきた気がした。
なんだかんだ言っても、サタケ君もれいむちゃんのことが好きみたいで、ほっぺたをつねってもけっとばしても、本気でやってはいない。
なんというか、年の近い兄妹がじゃれあっているような間隔に近い気がする。
けれどそれをいうと、サタケ君は
「だれがゆっくりなんかのこと!」
と、顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。
そんなサタケ君を見て、僕とユウジ君は声を出して笑ってしまう。
れいむちゃんもつられて、いつもの笑顔をもっと綻ばせていた。
僕らの秘密基地に新しい住人がいつの間にか増えていた。
ユウジ君いわく、サタケ君の学校の同級生が二人、勝手についてきたらしい。
僕たちは始め困惑していたが、その二人は友達のようで隅の方でなにか本を読みながら二人だけの世界を作っていたので、
僕たちは僕たちでいつものように遊んでいた。
このころになると、僕はなんとなく、れいむちゃんがサタケ君にいじめられてもにこにこしている理由がわかってきた気がした。
なんだかんだ言っても、サタケ君もれいむちゃんのことが好きみたいで、ほっぺたをつねってもけっとばしても、本気でやってはいない。
なんというか、年の近い兄妹がじゃれあっているような間隔に近い気がする。
けれどそれをいうと、サタケ君は
「だれがゆっくりなんかのこと!」
と、顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。
そんなサタケ君を見て、僕とユウジ君は声を出して笑ってしまう。
れいむちゃんもつられて、いつもの笑顔をもっと綻ばせていた。
「ねぇ、れいむちゃんってさ、かわいいよね」
突然、二人のうち一人が、僕たちの会話に割り込んできた。
僕は二人のうちどちらの名前も知らない、何となく名乗らないうちにうやむやになってしまったからだ。
突然話しかけられて身構えてしまったが、僕はれいむちゃんを誉められてなんだか誇らしい気持ちになった。
れいむちゃんは聞こえたのか聞こえてないのか、いつものようににこにこ顔で、サタケ君はなぜかそっぽを向いてしまった。
突然、二人のうち一人が、僕たちの会話に割り込んできた。
僕は二人のうちどちらの名前も知らない、何となく名乗らないうちにうやむやになってしまったからだ。
突然話しかけられて身構えてしまったが、僕はれいむちゃんを誉められてなんだか誇らしい気持ちになった。
れいむちゃんは聞こえたのか聞こえてないのか、いつものようににこにこ顔で、サタケ君はなぜかそっぽを向いてしまった。
れいむちゃんのことを誉めた彼は、けれどそれっきり黙ってニヤニヤとれいむちゃんを眺めているだけで、ぷつりと会話が途切れてしまった。
気まずさを感じて、僕が何か話題でもないかと考えていると、もう一人の子が彼の肩をたたいて、なにやら耳打ちをした。
そしてまた彼らは隅っこに座って、二人で持ってきたらしい本を開いて、二人の世界を作ってしまった。
僕は二人が熱心に読んでいる本が何なのか気になったが、近づいてまで聞く勇気はなくて、
遠くからだと表紙だけがちらと見えたけれど、内容はわからなかった。
たまにちらりとこちらを・・・というよりもれいむちゃんに視線を走らせるけど、
その視線はなんだか普通じゃない、なんだかいやらしいものだった。
どうもそれが少しひっかかったので、僕は不自然にならないように
彼らの視線かられいむちゃんを守るような位置に移動して、みんなとの会話を楽しんだ。
気まずさを感じて、僕が何か話題でもないかと考えていると、もう一人の子が彼の肩をたたいて、なにやら耳打ちをした。
そしてまた彼らは隅っこに座って、二人で持ってきたらしい本を開いて、二人の世界を作ってしまった。
僕は二人が熱心に読んでいる本が何なのか気になったが、近づいてまで聞く勇気はなくて、
遠くからだと表紙だけがちらと見えたけれど、内容はわからなかった。
たまにちらりとこちらを・・・というよりもれいむちゃんに視線を走らせるけど、
その視線はなんだか普通じゃない、なんだかいやらしいものだった。
どうもそれが少しひっかかったので、僕は不自然にならないように
彼らの視線かられいむちゃんを守るような位置に移動して、みんなとの会話を楽しんだ。
それから数日間、彼らは僕らの秘密基地に訪れなかった。
僕とサタケ君とユウジ君は、相変わらず学校が終わると何となくここに集まって、
れいむちゃんを囲むようにして、何でもないおしゃべりを続けていた。
そのころの話題はもっぱら数日後に控えた夏休みの話でもちきりで、家族旅行に行くだとか、
田舎のおばあちゃんの所にいくだとか、そんなような話がほとんどだった。
「ねえ、せっかくだから僕たちだけでどこか少し遠くで遊ぼうよ!れいむちゃんもつれてさ!」
僕は夏休み間近のわくわくが押さえられず、柄にもなく興奮気味にそう提案した。
するとサタケ君とユウジ君も乗ってきて、とんとんびょうしに話が膨らんでいった。
「あ、でもれいむちゃんは歩けないんだっけ・・・」
「あ・・・うん・・・」
僕がそう言うと、サタケ君はしゅんとして下を向いてしまった。
僕とサタケ君とユウジ君は、相変わらず学校が終わると何となくここに集まって、
れいむちゃんを囲むようにして、何でもないおしゃべりを続けていた。
そのころの話題はもっぱら数日後に控えた夏休みの話でもちきりで、家族旅行に行くだとか、
田舎のおばあちゃんの所にいくだとか、そんなような話がほとんどだった。
「ねえ、せっかくだから僕たちだけでどこか少し遠くで遊ぼうよ!れいむちゃんもつれてさ!」
僕は夏休み間近のわくわくが押さえられず、柄にもなく興奮気味にそう提案した。
するとサタケ君とユウジ君も乗ってきて、とんとんびょうしに話が膨らんでいった。
「あ、でもれいむちゃんは歩けないんだっけ・・・」
「あ・・・うん・・・」
僕がそう言うと、サタケ君はしゅんとして下を向いてしまった。
何故だろう、このごろサタケ君は、初めて会った時のようなとげとげしさが無くなってきたように見えた。
僕らが出会った頃よりずっと、れいむちゃんへの暴力が減ったし、なにより最初の頃からは考えられないけど、
時々こうしてれいむちゃんの喉と足を使えなくしたことを後悔するようなそぶりを見せるようになった。
僕らが出会った頃よりずっと、れいむちゃんへの暴力が減ったし、なにより最初の頃からは考えられないけど、
時々こうしてれいむちゃんの喉と足を使えなくしたことを後悔するようなそぶりを見せるようになった。
「大丈夫だよ、自転車の後ろに乗っけて交代で運ぼうよ」
ユウジ君が沈んだ僕たちを励ますようにそう提案する。
「そっか、そうだよね」
「そりゃいいや、あとは・・・」
サタケ君はまだ何か引っかかるようで、れいむちゃんの姿を上から下へと眺めては、首をひねっていた。
「あぁそーだ」
突然サタケ君がポンと手をたたいた。
「そうそう、このままじゃゆっくりの格好のまんまだから、せっかくだし別の格好させてやろうぜ」
「いいかもね」
すかさずユウジ君が反応した。
僕はというと、そんなことを想像したこともなかったので、一瞬どういうことかわからなかった。
でもれいむちゃんをぼーっと眺めていると、普通の女の子みたいにいろんな格好をしたれいむちゃんが浮かんできて、なんだか胸が高鳴ってきた。
「俺はねーちゃんのタンスから一枚服パクってくるからさ、おまえらはなんかほかのもの持ってきてくれよ」
「オッケー、なんにしようかなぁ」
サタケ君はすでになにを持ってくるのか頭の中に描けたようで、笑顔でれいむちゃんに話しかけながらじゃれあっていた。
ユウジ君も何か当てがあるのか、すぐにその輪に加わった。
けれど僕は、れいむちゃんに似合う何かを、想像しても想像できないほど悶々と妄想してしまい、その日は結局ほとんど会話に参加できずにいた。
それから話を軽く詰めて、僕らは夏休み初日にみんなで隣町の公園までピクニックにいくことに決めた。
子供の足では、自転車を使っても隣町といえど結構な冒険で、皆が皆わくわくを押さえきれない様子だった。
ユウジ君が沈んだ僕たちを励ますようにそう提案する。
「そっか、そうだよね」
「そりゃいいや、あとは・・・」
サタケ君はまだ何か引っかかるようで、れいむちゃんの姿を上から下へと眺めては、首をひねっていた。
「あぁそーだ」
突然サタケ君がポンと手をたたいた。
「そうそう、このままじゃゆっくりの格好のまんまだから、せっかくだし別の格好させてやろうぜ」
「いいかもね」
すかさずユウジ君が反応した。
僕はというと、そんなことを想像したこともなかったので、一瞬どういうことかわからなかった。
でもれいむちゃんをぼーっと眺めていると、普通の女の子みたいにいろんな格好をしたれいむちゃんが浮かんできて、なんだか胸が高鳴ってきた。
「俺はねーちゃんのタンスから一枚服パクってくるからさ、おまえらはなんかほかのもの持ってきてくれよ」
「オッケー、なんにしようかなぁ」
サタケ君はすでになにを持ってくるのか頭の中に描けたようで、笑顔でれいむちゃんに話しかけながらじゃれあっていた。
ユウジ君も何か当てがあるのか、すぐにその輪に加わった。
けれど僕は、れいむちゃんに似合う何かを、想像しても想像できないほど悶々と妄想してしまい、その日は結局ほとんど会話に参加できずにいた。
それから話を軽く詰めて、僕らは夏休み初日にみんなで隣町の公園までピクニックにいくことに決めた。
子供の足では、自転車を使っても隣町といえど結構な冒険で、皆が皆わくわくを押さえきれない様子だった。
その日、皆より少し早めに家に帰った僕は、早速貯金箱をひっくり返して、お金をかき集めた。
そして近所のデパートに一人で行って、服飾コーナーに入り、慣れない女の子物が置いてある場所で散々迷って、
結局大きなピンク色のリボンを一つ買った。
れいむちゃんと言えば、特徴的な赤い大きなリボンが頭に浮かぶ。
たまには違うおしゃれをしてみたいんじゃないかと思って、それに決めた。
そして近所のデパートに一人で行って、服飾コーナーに入り、慣れない女の子物が置いてある場所で散々迷って、
結局大きなピンク色のリボンを一つ買った。
れいむちゃんと言えば、特徴的な赤い大きなリボンが頭に浮かぶ。
たまには違うおしゃれをしてみたいんじゃないかと思って、それに決めた。
それから数日間、僕は部屋に置いてあるそのリボンの入ったプレゼント用の紙袋を、眺めながら、わくわくして過ごした。
学校に行っても、ずっと上の空、気分はすっかり夏休みに向かってしまっていた。
学校に行っても、ずっと上の空、気分はすっかり夏休みに向かってしまっていた。
終業式の日、いつものメンバーで、秘密基地で日が落ちるまで遊んで、家に帰る。
いよいよ決行は明日、今日は早く寝て明日に備えようと思ったけれど、興奮してなかなか寝付けなかった。
珍しく僕が眠る前に家族が皆寝てしまい、家の中は随分静かになってしまった。
なんだか急に寂しい気分になってしまった僕は、ベッドからはいでて明日れいむちゃんに渡すプレゼントのリボン入っている紙袋をあけた。
中に入っていたリボンを眺めていると、無性にれいむちゃんに会いたくなってきて我慢できなくなってしまい、
僕は思いきって寝間着を脱ぎ捨て、洋服に着替えて紙袋を持って、家族を起こさないようにこっそり家を出た。
いよいよ決行は明日、今日は早く寝て明日に備えようと思ったけれど、興奮してなかなか寝付けなかった。
珍しく僕が眠る前に家族が皆寝てしまい、家の中は随分静かになってしまった。
なんだか急に寂しい気分になってしまった僕は、ベッドからはいでて明日れいむちゃんに渡すプレゼントのリボン入っている紙袋をあけた。
中に入っていたリボンを眺めていると、無性にれいむちゃんに会いたくなってきて我慢できなくなってしまい、
僕は思いきって寝間着を脱ぎ捨て、洋服に着替えて紙袋を持って、家族を起こさないようにこっそり家を出た。
自転車を飛ばして公園にいくと、電気のついていない林の方は真っ暗だった。
こんなこともあろうかと、持ってきた懐中電灯で明かりをともし、秘密基地の入り口を見つけて中に入る。
れいむちゃんは、あまり綺麗じゃないタオルケットにくるまって寝息をたてていた。
起こしちゃ悪いかなと思ったけれど、どうしてもれいむちゃんとお話がしたかった僕は、優しく身体を揺すって起こすことにした。
れいむちゃんは寝ぼけ眼を擦りながら起き、ぼーっとしていたけれど、僕に気づくといつも通りのにこにこ顔になって、僕を歓迎してくれた。
「こんばんわ、れいむちゃん」
僕がそう言うと、れいむちゃんは口をぱくぱくとゆっくり動かした。
こんなこともあろうかと、持ってきた懐中電灯で明かりをともし、秘密基地の入り口を見つけて中に入る。
れいむちゃんは、あまり綺麗じゃないタオルケットにくるまって寝息をたてていた。
起こしちゃ悪いかなと思ったけれど、どうしてもれいむちゃんとお話がしたかった僕は、優しく身体を揺すって起こすことにした。
れいむちゃんは寝ぼけ眼を擦りながら起き、ぼーっとしていたけれど、僕に気づくといつも通りのにこにこ顔になって、僕を歓迎してくれた。
「こんばんわ、れいむちゃん」
僕がそう言うと、れいむちゃんは口をぱくぱくとゆっくり動かした。
ゆ っ く り し て い っ て ね
そう言っているようだ、ずっとれいむちゃんと一緒にいる僕は、れいむちゃんの口の動きで何となく言葉がわかるようになっていた。
こんな真夜中に二人きりだなんて、なんだか嬉しくなる。
僕はれいむちゃんを秘密基地の外へ連れ出した。
「ほら、見てごらん、星がとっても綺麗だよ」
そう言って指さした夏の夜空は、今にも手が届きそうなほど、きらきらと綺麗に輝く満点の星空だった。
れいむちゃんは、いつも以上に目を輝かせて、空を見つめている。
僕は本で培った知識を元に、れいむちゃんに一つ一つ、星座の名前やひときわ輝く星の名前を教えた。
れいむちゃんに覚えれるとは思わなかったけれど、にこにこしながら僕が夢中になって説明しているのを聞いてくれているだけで、
僕は胸がいっぱいになるほど幸せだった。
一時間ほどそうしていただろうか、やはり眠かったのだろう、れいむちゃんがうとうととし始める。
時々僕の肩に頭をもたれかけてきて、僕は胸の高鳴りが聞こえやしないかと心配になってしまった。
「夜遅くにごめんね、そろそろ帰るよ」
照れ隠しの為に、少々早口にそう言って、れいむちゃんと少し距離をとる。
「あ、そうだ、今日はれいむちゃんにプレゼントがあるんだ、本当は明日渡すはずだったんだけど、特別だよ」
努めてわざとらしくならないように、精一杯演技して僕は鞄から例の紙袋を取り出した。
本当はこれを渡したくてしょうがなかったのだけれど、素直にいえない自分が少しもどかしかった。
でも、れいむちゃんがそれを受け取って、中を見たときにぱっと咲いた笑顔が、僕のもやもやした気持ちを全部一瞬で吹き飛ばしてしまう。
れいむちゃんの口が早口に動く。
「え、なあに?」
暗くてよく見えなかったせいで、僕が聞き返すと、れいむちゃんは急いで基地の中に入って、すぐに何かをとって戻ってきた。
こんな真夜中に二人きりだなんて、なんだか嬉しくなる。
僕はれいむちゃんを秘密基地の外へ連れ出した。
「ほら、見てごらん、星がとっても綺麗だよ」
そう言って指さした夏の夜空は、今にも手が届きそうなほど、きらきらと綺麗に輝く満点の星空だった。
れいむちゃんは、いつも以上に目を輝かせて、空を見つめている。
僕は本で培った知識を元に、れいむちゃんに一つ一つ、星座の名前やひときわ輝く星の名前を教えた。
れいむちゃんに覚えれるとは思わなかったけれど、にこにこしながら僕が夢中になって説明しているのを聞いてくれているだけで、
僕は胸がいっぱいになるほど幸せだった。
一時間ほどそうしていただろうか、やはり眠かったのだろう、れいむちゃんがうとうととし始める。
時々僕の肩に頭をもたれかけてきて、僕は胸の高鳴りが聞こえやしないかと心配になってしまった。
「夜遅くにごめんね、そろそろ帰るよ」
照れ隠しの為に、少々早口にそう言って、れいむちゃんと少し距離をとる。
「あ、そうだ、今日はれいむちゃんにプレゼントがあるんだ、本当は明日渡すはずだったんだけど、特別だよ」
努めてわざとらしくならないように、精一杯演技して僕は鞄から例の紙袋を取り出した。
本当はこれを渡したくてしょうがなかったのだけれど、素直にいえない自分が少しもどかしかった。
でも、れいむちゃんがそれを受け取って、中を見たときにぱっと咲いた笑顔が、僕のもやもやした気持ちを全部一瞬で吹き飛ばしてしまう。
れいむちゃんの口が早口に動く。
「え、なあに?」
暗くてよく見えなかったせいで、僕が聞き返すと、れいむちゃんは急いで基地の中に入って、すぐに何かをとって戻ってきた。
ありがとう!
それは僕が渡したノートで、僕の目の前でばっと開かれたそれには、大きな文字でそう書いてあった。
「どういたしまして!」
僕はなんだか、嬉しくて嬉しくてしょうがなくなって、叫び出したいような気持ちになってしまった。
言葉にできない甘酸っぱい気持ちが胸の奥に爆発的に広がっていく。
僕は思わずれいむちゃんの手をつかんで、強くにぎって、視線を合わせて・・・
「れ、れいむちゃんっ!ぼ、僕はっ!僕・・・は・・・」
一体僕は何を言おうとしてるって言うんだろう。
頭で考えた思考が、胸から口をついて出そうになる言葉を必死に押しとどめる。
その意味を理解した瞬間、僕は耳まで真っ赤になって、そのまま俯いてしまった。
「ぼくは・・・れいむちゃん・・・が・・・」
れいむちゃんは俯いた僕の顔を心配そうにのぞき込んでくる。
無理もない、いきなり手なんか握って、しどろもどろになって。
情けないような恥ずかしいような気分になってしまい、僕は首をふってぱっと顔をあげて、無理矢理笑顔を作っていった。
「なんでもない、じゃあ、れいむちゃんまた明日ね!」
「どういたしまして!」
僕はなんだか、嬉しくて嬉しくてしょうがなくなって、叫び出したいような気持ちになってしまった。
言葉にできない甘酸っぱい気持ちが胸の奥に爆発的に広がっていく。
僕は思わずれいむちゃんの手をつかんで、強くにぎって、視線を合わせて・・・
「れ、れいむちゃんっ!ぼ、僕はっ!僕・・・は・・・」
一体僕は何を言おうとしてるって言うんだろう。
頭で考えた思考が、胸から口をついて出そうになる言葉を必死に押しとどめる。
その意味を理解した瞬間、僕は耳まで真っ赤になって、そのまま俯いてしまった。
「ぼくは・・・れいむちゃん・・・が・・・」
れいむちゃんは俯いた僕の顔を心配そうにのぞき込んでくる。
無理もない、いきなり手なんか握って、しどろもどろになって。
情けないような恥ずかしいような気分になってしまい、僕は首をふってぱっと顔をあげて、無理矢理笑顔を作っていった。
「なんでもない、じゃあ、れいむちゃんまた明日ね!」
僕は意気地なしだ。
家に帰ると、何ともいえない緊張感から解放されたせいか、ベッドに入った瞬間に深い眠りに落ちていってしまった。
そして朝、目覚ましの時間よりほんの少し早く目覚めて、高揚した気持ちでカーテンをあけて、朝日を浴びた。
家族を起こし、朝食をとり、お母さんからお弁当を受け取って弾かれるように家を出て、自転車に飛び乗りペダルに力を入れる。
外は快晴、気分は最高。
そして朝、目覚ましの時間よりほんの少し早く目覚めて、高揚した気持ちでカーテンをあけて、朝日を浴びた。
家族を起こし、朝食をとり、お母さんからお弁当を受け取って弾かれるように家を出て、自転車に飛び乗りペダルに力を入れる。
外は快晴、気分は最高。
夏休み初日、世界は彩りにあふれ、眩しすぎるほどに輝いていた。
秘密基地のある公園に来たとき、既に基地の前には自転車が一台止めてあった。
誰の自転車だろう、そう思ったとき、入り口から勢いよくサタケ君が飛び出してきた。
けれど何故だろう、サタケ君は瞳いっぱいに涙をためて、真っ赤な顔で僕を睨みつけてきた。
「どうしたの?」
僕が近寄って話かけても、サタケ君は全く無言で、その場を動かなかった。
手は強く握りしめられていて、唇をかみしめている。
一体何があったと言うんだろう、僕がおろおろとしていると、サタケ君は大きく息を吐いてから、絞り出すように言った。
「ゆるせ・・・ねぇ・・・」
「え?」
サタケ君の言っている意味が僕には理解できなかった。
何を言っているのか考えようとするうちに、サタケ君は自分の自転車にまたがってしまう。
「あ、ちょっと待ってよ」
僕が止めようとするも、サタケ君はそのままどこかへ猛スピードで走り去ってしまった。
「何なんだよ・・・」
何が起こったのか分からず、一人取り残されてしまった僕は、とりあえず自転車を止め、基地の中に入ることにした。
誰の自転車だろう、そう思ったとき、入り口から勢いよくサタケ君が飛び出してきた。
けれど何故だろう、サタケ君は瞳いっぱいに涙をためて、真っ赤な顔で僕を睨みつけてきた。
「どうしたの?」
僕が近寄って話かけても、サタケ君は全く無言で、その場を動かなかった。
手は強く握りしめられていて、唇をかみしめている。
一体何があったと言うんだろう、僕がおろおろとしていると、サタケ君は大きく息を吐いてから、絞り出すように言った。
「ゆるせ・・・ねぇ・・・」
「え?」
サタケ君の言っている意味が僕には理解できなかった。
何を言っているのか考えようとするうちに、サタケ君は自分の自転車にまたがってしまう。
「あ、ちょっと待ってよ」
僕が止めようとするも、サタケ君はそのままどこかへ猛スピードで走り去ってしまった。
「何なんだよ・・・」
何が起こったのか分からず、一人取り残されてしまった僕は、とりあえず自転車を止め、基地の中に入ることにした。
けれど僕もすぐに異変に気づいた。
草むらに顔をつっこんだ瞬間、何ともいえない、汗くさいような生乾きの洗濯物のような、微妙なにおいが鼻をついた。
それを確かめる為に奥へ奥へと進んでいくと、少し開けた所に、一冊の本が落ちていた。
なんだかその周囲は少し湿っていて、普通じゃないことが分かった。
「なんだこれ・・・うわっ!」
僕は本を手に取り、中を開いてちらとみた瞬間、思わず驚きでその本をぽいと捨ててしまった。
その本の中身は、裸の男女が絡み合う、刺激的な内容だった。
「これって・・・」
少し考えて、僕はその本の表紙に見覚えがあることに気がついた。
それはどうやら、あの数日前に来ていた二人が持っていた本だったような気がした。
僕らの秘密基地で、こんないかがわしい本をこっそり読んでいたかと思うと、なんだか嫌な気持ちになった。
草むらに顔をつっこんだ瞬間、何ともいえない、汗くさいような生乾きの洗濯物のような、微妙なにおいが鼻をついた。
それを確かめる為に奥へ奥へと進んでいくと、少し開けた所に、一冊の本が落ちていた。
なんだかその周囲は少し湿っていて、普通じゃないことが分かった。
「なんだこれ・・・うわっ!」
僕は本を手に取り、中を開いてちらとみた瞬間、思わず驚きでその本をぽいと捨ててしまった。
その本の中身は、裸の男女が絡み合う、刺激的な内容だった。
「これって・・・」
少し考えて、僕はその本の表紙に見覚えがあることに気がついた。
それはどうやら、あの数日前に来ていた二人が持っていた本だったような気がした。
僕らの秘密基地で、こんないかがわしい本をこっそり読んでいたかと思うと、なんだか嫌な気持ちになった。
本周辺の湿った地面の染みは、そのままれいむちゃんのいる場所のほうに延びていっていた。
そしてまた、においの元もどうやらそっち方面から漂ってくるようだった。
僕は一抹の不安を抱えながら、ゆっくりとそちらに近づいていく。
そしてまた、においの元もどうやらそっち方面から漂ってくるようだった。
僕は一抹の不安を抱えながら、ゆっくりとそちらに近づいていく。
そしてひょいとのぞき込んだ瞬間、僕は全てを後悔した。
「あ・・・ああ・・・・・・あっ・・・・・・」
間抜けな声が、あきっぱなしになってふさがらない口から漏れる。
僕はあまりの衝撃に、その場にへたり込んでしまった。
そこには、白いワンピースを上に被せられたれいむちゃんがうつ伏せに横たわっていた。
けれどその目は虚ろで焦点が合っていなく髪の毛はぼさぼさで、ワンピースの端から出ている素肌はぼろぼろだった。
そのワンピースは綺麗で、おそらくサタケ君が被せた物だと思う。
けれどそれは不自然だ、なぜなられいむちゃんに着せている訳ではなく、タオルケットのように上からかけてあるだけだった。
確かめたくない、そう思いながらも、僕はおそるおそるそのワンピースをめくってみた。
「!!!!」
思わず目をつむってしまう、けれどその光景ははっきりと記憶してしまった。
ぼろぼろでもう使い物にならない服、裸の下半身、真っ白だったであろうお尻は黒ずんでいて、
股の付近には白く濁った液体がべたべたと付着していた。
おそらく這ってここまでたどり着いたのだろう、地面の染みはれいむちゃんの足下から延びていた。
間抜けな声が、あきっぱなしになってふさがらない口から漏れる。
僕はあまりの衝撃に、その場にへたり込んでしまった。
そこには、白いワンピースを上に被せられたれいむちゃんがうつ伏せに横たわっていた。
けれどその目は虚ろで焦点が合っていなく髪の毛はぼさぼさで、ワンピースの端から出ている素肌はぼろぼろだった。
そのワンピースは綺麗で、おそらくサタケ君が被せた物だと思う。
けれどそれは不自然だ、なぜなられいむちゃんに着せている訳ではなく、タオルケットのように上からかけてあるだけだった。
確かめたくない、そう思いながらも、僕はおそるおそるそのワンピースをめくってみた。
「!!!!」
思わず目をつむってしまう、けれどその光景ははっきりと記憶してしまった。
ぼろぼろでもう使い物にならない服、裸の下半身、真っ白だったであろうお尻は黒ずんでいて、
股の付近には白く濁った液体がべたべたと付着していた。
おそらく這ってここまでたどり着いたのだろう、地面の染みはれいむちゃんの足下から延びていた。
そしてれいむちゃんがたどり着いた先で握りしめていたのは、僕が昨日プレゼントした、あの大きなピンク色のリボンだった。
「れいむちゃん・・・」
目を閉じたまま、僕は震える声でその名前を呼んでみた。
けれど反応は返ってこない、誰かが動く物音もしない。
ただガクガクと震える僕の身体から発せられる音だけが、強く耳に響いていた。
「う・・・うぅぅぅぅ・・・ぐっ・・・うっぅぅぅぅぅぅう・・・・・・」
痛いほど歯を食いしばって、痛いほど手を握りしめて、ぼろぼろと流れる涙をただただ流し続けた。
こんなことってありか、どうして、なんで。
そんな言葉がぐるぐると何度も何度も頭の中をかけめぐっていく。
絶望と悲しみと怒りがどうしようもなく僕を支配して、その場から一歩も動けなかった。
目を閉じたまま、僕は震える声でその名前を呼んでみた。
けれど反応は返ってこない、誰かが動く物音もしない。
ただガクガクと震える僕の身体から発せられる音だけが、強く耳に響いていた。
「う・・・うぅぅぅぅ・・・ぐっ・・・うっぅぅぅぅぅぅう・・・・・・」
痛いほど歯を食いしばって、痛いほど手を握りしめて、ぼろぼろと流れる涙をただただ流し続けた。
こんなことってありか、どうして、なんで。
そんな言葉がぐるぐると何度も何度も頭の中をかけめぐっていく。
絶望と悲しみと怒りがどうしようもなく僕を支配して、その場から一歩も動けなかった。
「何かあったの?って、うわっ!」
涙で前が見えなかったけれど、ユウジ君が来たらしかった。
僕がれいむちゃんを見つけてからさほど時間はたってないと思うけれど、随分長い時間が流れた気がしていた。
長い沈黙の後、ユウジ君がぽつりと呟いた。
「・・・なあ、どうする?」
「どう・・・ずるっ・・・っで・・・っ!」
僕は頑張って声を出そうとしたけれど、どうしても嗚咽が混じってしまう。
「埋めてあげようか・・・だってこのままじゃかわいそうだろ」
僕に気を使ってくれたのか、努めて優しい声でユウジ君はそういった。
僕はそれに対して、黙ってうなずくことしか出来なかった。
涙で前が見えなかったけれど、ユウジ君が来たらしかった。
僕がれいむちゃんを見つけてからさほど時間はたってないと思うけれど、随分長い時間が流れた気がしていた。
長い沈黙の後、ユウジ君がぽつりと呟いた。
「・・・なあ、どうする?」
「どう・・・ずるっ・・・っで・・・っ!」
僕は頑張って声を出そうとしたけれど、どうしても嗚咽が混じってしまう。
「埋めてあげようか・・・だってこのままじゃかわいそうだろ」
僕に気を使ってくれたのか、努めて優しい声でユウジ君はそういった。
僕はそれに対して、黙ってうなずくことしか出来なかった。
スコップを取ってくる、と言ってユウジ君は来た道を戻っていった。
それからしばらくして、僕の涙が枯れた頃、サタケ君が何ともいえない複雑な表情で基地の中に入ってきた。
「絶対あいつらだからさ、ぶっ殺してやろうとおもったけど、家、しらなかったや」
サタケ君は無理しておどけたように言って、アハハハ・・・と、乾いた笑い声を出した。
だけどサタケ君はちっとも笑っていなくて、僕と同じように顔を真っ赤に腫らして、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
それからしばらくして、僕の涙が枯れた頃、サタケ君が何ともいえない複雑な表情で基地の中に入ってきた。
「絶対あいつらだからさ、ぶっ殺してやろうとおもったけど、家、しらなかったや」
サタケ君は無理しておどけたように言って、アハハハ・・・と、乾いた笑い声を出した。
だけどサタケ君はちっとも笑っていなくて、僕と同じように顔を真っ赤に腫らして、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
スコップをもって戻って来たユウジ君を交えて、僕たち三人で協力して大きめの穴を掘り、
れいむちゃんの体を拭いて綺麗にして、僕たちの持ってきたサタケ君の白いワンピース、
ユウジ君の白い帽子、そして僕のピンクのリボンを着せてあげてから穴の中にそっと横たえて、優しく土をかけていった。
皆終始ほとんど無言で、鼻をすする音だけが響いていた。
最後に、れいむちゃんの顔に土をかける前に、サタケ君がぽつりと呟いた。
「俺、れいむのこと好きだった、好きだったのに・・・いじめてばっかりで・・・もっと優しく・・・してやれば・・・良かった・・・」
最後の方はどんどん涙声になっていって、嗚咽に消えてしまいそうになってしまっていた。
いつも強気なサタケ君が、ぼろぼろと涙を流しながら泣き崩れるのをみて、僕は胸が締め付けられる思いだった。
れいむちゃんの体を拭いて綺麗にして、僕たちの持ってきたサタケ君の白いワンピース、
ユウジ君の白い帽子、そして僕のピンクのリボンを着せてあげてから穴の中にそっと横たえて、優しく土をかけていった。
皆終始ほとんど無言で、鼻をすする音だけが響いていた。
最後に、れいむちゃんの顔に土をかける前に、サタケ君がぽつりと呟いた。
「俺、れいむのこと好きだった、好きだったのに・・・いじめてばっかりで・・・もっと優しく・・・してやれば・・・良かった・・・」
最後の方はどんどん涙声になっていって、嗚咽に消えてしまいそうになってしまっていた。
いつも強気なサタケ君が、ぼろぼろと涙を流しながら泣き崩れるのをみて、僕は胸が締め付けられる思いだった。
れいむちゃんを埋め終わった後、僕たちはすっかり疲れきってしまって、
当然ピクニックに行くなどという心の余裕もあるはずがなく、その場で解散することにした。
それでも何となく離れがたくて、僕はユウジ君が帰り、
サタケ君が帰っても空が暗くなるまでしばらく基地の中でぼーっと時間をつぶしていた。
そして帰り際にふと気になってれいむちゃんのいた場所を探して、僕があげたノートを見つけて、こっそり持って帰った。
当然ピクニックに行くなどという心の余裕もあるはずがなく、その場で解散することにした。
それでも何となく離れがたくて、僕はユウジ君が帰り、
サタケ君が帰っても空が暗くなるまでしばらく基地の中でぼーっと時間をつぶしていた。
そして帰り際にふと気になってれいむちゃんのいた場所を探して、僕があげたノートを見つけて、こっそり持って帰った。
それから僕は毎日秘密基地に入り浸っては、れいむちゃんのお墓に寄り添って本を読んで過ごした。
始めの頃はサタケ君とユウジ君も来ていたけれど、それぞれ親の実家に帰ったり、
家族で観光に行ったりしているうちに、だんだんと来る回数が減っていった。
それでも僕は夏休みが終わる最後まで、これる限りずっと、秘密基地で時間をすごした。
始めの頃はサタケ君とユウジ君も来ていたけれど、それぞれ親の実家に帰ったり、
家族で観光に行ったりしているうちに、だんだんと来る回数が減っていった。
それでも僕は夏休みが終わる最後まで、これる限りずっと、秘密基地で時間をすごした。
ポケットにはカッターナイフを入れて、もしあいつらがここにきたら絶対に殺してやろうと、本気で思っていた。
でも結局、夏休みが終わっても、もう誰もここへは来なかった。
それから月日は流れて、3人はお互いそんなつもりは無かったけれど、何となく疎遠になり、
中学校、高校と年齢を重ねていくたびに、会う回数も減ってしまっていた。
何もかもが輝いていた当時と違い、あの事件からは僕には全てが灰色にくすんで見えていた。
そして大学も終わる頃、季節は春、定期的にこの基地にやってきていた僕も、ついにこの町を離れる事になってしまった。
今ではあの頃と比べてすっかり体も大きくなってしまい、基地の中には入らなかったけれど、
暇を見つけては公園にやってきて、しばらく外から眺めて行く、ということを続けていた。
中学校、高校と年齢を重ねていくたびに、会う回数も減ってしまっていた。
何もかもが輝いていた当時と違い、あの事件からは僕には全てが灰色にくすんで見えていた。
そして大学も終わる頃、季節は春、定期的にこの基地にやってきていた僕も、ついにこの町を離れる事になってしまった。
今ではあの頃と比べてすっかり体も大きくなってしまい、基地の中には入らなかったけれど、
暇を見つけては公園にやってきて、しばらく外から眺めて行く、ということを続けていた。
怒りも悲しみも、もう時間がたちすぎてすっかり麻痺してしまっていたけれど、
僕の心は、すっかりあの時あの場所で縛り付けられていた。
僕の心は、すっかりあの時あの場所で縛り付けられていた。
だけどそれも今日で終わりにしよう、と自分を鼓舞して、秘密基地の前にやってきた。
前に来て、気持ちを整理するだけのはずが、僕はどうしてかむずがゆい気持ちになってしまっていてもたってもられなくなって、
ついに決心して、服が汚れるのも気にせず、無理矢理小さな基地の入り口に体をつっこんで、中に入っていった。
「あ・・・」
思わず目が釘付けになってしまう。
れいむちゃんのお墓の周りに、細い茎の、小さな青い花が木漏れ日の間に風に揺れながら、いくつも咲いていた。
「あれは確か・・・」
本ばかり読んでいたおかげで、僕の知識はちょっとしたものになっていた。
「思い出した、勿忘草か・・・そうか・・・」
その名前が頭に浮かんだ瞬間、なんだか泣けてきて、年がいもなくぽろぽろと涙をこぼしてしまう。
どうせ汚れたんだ、少しくらい汚れが増えたところで気にすることはないと、
僕はれいむちゃんのお墓の横の地べたに、どかりと腰をおろした。
目を閉じると、つらい記憶もあったけれど、それ以上にきらきらと輝いていた楽しかった思い出が、
れいむちゃんの眩しい笑顔が鮮明に浮かび上がってくる。
なんだか純粋だったあの頃に戻ったみたいな気持ちになって、
僕は胸ポケットに入っていた手帳のページを一枚破って、ペンをとった。
「僕とれいむちゃんと言えば、秘密の筆談だよね」
あの時持ち帰ったノート、ぼろぼろになるまで何度も何度も読み返したけれど、
れいむちゃんと文字のやりとりをするのは、あの夏の日以来のことだ。
「今なら、言えるよ・・・」
あの頃の気持ちを思い出しながら、想いを込めて書き上げた。
「これでよし」
前に来て、気持ちを整理するだけのはずが、僕はどうしてかむずがゆい気持ちになってしまっていてもたってもられなくなって、
ついに決心して、服が汚れるのも気にせず、無理矢理小さな基地の入り口に体をつっこんで、中に入っていった。
「あ・・・」
思わず目が釘付けになってしまう。
れいむちゃんのお墓の周りに、細い茎の、小さな青い花が木漏れ日の間に風に揺れながら、いくつも咲いていた。
「あれは確か・・・」
本ばかり読んでいたおかげで、僕の知識はちょっとしたものになっていた。
「思い出した、勿忘草か・・・そうか・・・」
その名前が頭に浮かんだ瞬間、なんだか泣けてきて、年がいもなくぽろぽろと涙をこぼしてしまう。
どうせ汚れたんだ、少しくらい汚れが増えたところで気にすることはないと、
僕はれいむちゃんのお墓の横の地べたに、どかりと腰をおろした。
目を閉じると、つらい記憶もあったけれど、それ以上にきらきらと輝いていた楽しかった思い出が、
れいむちゃんの眩しい笑顔が鮮明に浮かび上がってくる。
なんだか純粋だったあの頃に戻ったみたいな気持ちになって、
僕は胸ポケットに入っていた手帳のページを一枚破って、ペンをとった。
「僕とれいむちゃんと言えば、秘密の筆談だよね」
あの時持ち帰ったノート、ぼろぼろになるまで何度も何度も読み返したけれど、
れいむちゃんと文字のやりとりをするのは、あの夏の日以来のことだ。
「今なら、言えるよ・・・」
あの頃の気持ちを思い出しながら、想いを込めて書き上げた。
「これでよし」
僕はその紙をれいむちゃんのお墓にお供えして、元来た道をもう一度無理矢理通って、外にでる。
そして一度だけ振り返って、大きな声を出して言った。
「またね!」
そして一度だけ振り返って、大きな声を出して言った。
「またね!」
後はもう振り返らずに、ただ真っ直ぐ歩き出すだけ。
-------------------------------
天国に居るれいむちゃんへ、お元気ですか?
僕は一応元気です、それなりにやってます。
突然でびっくりさせてしまうかもしれないけれど、
あの頃言えなかった気持ちを伝えます。
れいむちゃん、僕はきみのことが好き、大好き、愛してます。
それはあの時も、今も、そしてこれから何十年たっても、
きっと変わることはありません。
僕もいつか必ずそっちに行く時がやってきます。
それまで、僕の大好きなあのにこにこの笑顔で待っていてください。
では、少しの間だけれど、名残惜しいけれど、お別れです。
さようなら。
-------------------------------
天国に居るれいむちゃんへ、お元気ですか?
僕は一応元気です、それなりにやってます。
突然でびっくりさせてしまうかもしれないけれど、
あの頃言えなかった気持ちを伝えます。
れいむちゃん、僕はきみのことが好き、大好き、愛してます。
それはあの時も、今も、そしてこれから何十年たっても、
きっと変わることはありません。
僕もいつか必ずそっちに行く時がやってきます。
それまで、僕の大好きなあのにこにこの笑顔で待っていてください。
では、少しの間だけれど、名残惜しいけれど、お別れです。
さようなら。
-------------------------------
おしまい。
--------------------------------------------
どうもお久しぶりです、ばや汁です。
なんとなく思いつきでタイプしながらお話を考えていたらこうなりました。
どうもお久しぶりです、ばや汁です。
なんとなく思いつきでタイプしながらお話を考えていたらこうなりました。
いい思い出も、すっごく嫌な思い出も、時間の流れの中で感情は曖昧になっていってしまいます。
それが悲しいことなのか、それとも良いことなのかは自分にはわかりません、時々だと思います。
それが悲しいことなのか、それとも良いことなのかは自分にはわかりません、時々だと思います。
あぁ、あんなことあったなとしみじみ思い出すのは、自分への慰めでしょうか。
なんだか忙しさも落ち着いてきたので、あとは気力があれば少しづつ投稿を再開していけるかと思います。
またあまり遠くないうちに、作品でお会いしましょう。
ばや汁でした。
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いつも多数のご意見ご感想ありがとうございます!
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餡小話では消されてしまった作品も多数ありますので、過去作を読みたいと思っていただけた方は
ふたば ゆっくりいじめSS保管庫ミラー-ばや汁ページ-
http://www26.atwiki.jp/ankoss/pages/395.html
http://www26.atwiki.jp/ankoss/pages/395.html
をご活用ください。