ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2945 さあ、お眠りなさい
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ankoss
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『さあ、お眠りなさい』 7KB
いじめ 不運 日常模様 家族崩壊 野良ゆ 姉妹 子ゆ 都会 現代 人間なし ゆっくり視点です
いじめ 不運 日常模様 家族崩壊 野良ゆ 姉妹 子ゆ 都会 現代 人間なし ゆっくり視点です
「さあ、お眠りなさい」
・・・室外機の音。冷たい風、動かぬ底部、汚れと煤。そして突き刺さるような空腹感
今の子れいむにあるのはそれだけだ。
今の子れいむにあるのはそれだけだ。
容赦なく街に吹く冬の風は、室外機のうるさい音と共に、小麦粉の皮に刺さる様な冷気を運び、横に打ち付ける様な雪が小麦粉の皮をぬらす。
喉が焼け付く様にカラカラだ、息をするのも苦しい。
底部は重い。動かない。いや、動かせない。
喉が焼け付く様にカラカラだ、息をするのも苦しい。
底部は重い。動かない。いや、動かせない。
「ゆっ・・・く・・・ち・・・ゆ・・・く・・・」
子れいむは今、「ゆっくりできなく」なろうとしていた。
・・・子れいむは捨てゆっくりではない。山から下ったゆっくりでもない。
子れいむは、野良ゆっくりだったまりさとれいむの子ゆっくりだ。
・・・子れいむは捨てゆっくりではない。山から下ったゆっくりでもない。
子れいむは、野良ゆっくりだったまりさとれいむの子ゆっくりだ。
ゆられる様に蔓にぶら下がっていたのを、子れいむは今でも覚えている。
暖かい温もり、優しい母ゆっくりの歌声。
たくましい父ゆっくりの声。
暖かい温もり、優しい母ゆっくりの歌声。
たくましい父ゆっくりの声。
子れいむは幸せだった。とてもゆっくりしていると思った。
少なくとも、その時はそう思っていた。
少なくとも、その時はそう思っていた。
「おちびちゃん・・・ゆっくり・・・ゆっくりしていってね」
「れいむ・・・がんばってね・・・まりさもいっしょうけんめい・・・いっしょうけんめいがんばるからね・・・」
「れいむ・・・がんばってね・・・まりさもいっしょうけんめい・・・いっしょうけんめいがんばるからね・・・」
子れいむが蔓から落ちたとき、確かにそのぬくもりを感じたまりさが居ない事に気付いた。
他の子ゆっくり、子まりさ二体と顔を合わせて、れいむを見上げる。
他の子ゆっくり、子まりさ二体と顔を合わせて、れいむを見上げる。
「おちびちゃん・・・ゆっくり、ゆっくりしていってね・・・」
「「「ゆっくちしちぇいっちぇね!!!」」」
「「「ゆっくちしちぇいっちぇね!!!」」」
僅かな違和感。
何か感じる寂しさ。
モチモチだと思っていた小麦粉の皮は、煤だらけで泥がこびり付いていた。
サラサラだと思っていた砂糖細工の髪は、解れてボロボロだ。
・・・飾りも汚れて、とても「ゆっくりした様には見えなかった」
何か感じる寂しさ。
モチモチだと思っていた小麦粉の皮は、煤だらけで泥がこびり付いていた。
サラサラだと思っていた砂糖細工の髪は、解れてボロボロだ。
・・・飾りも汚れて、とても「ゆっくりした様には見えなかった」
それでも、子れいむ達はその違和感を口にする事無く、母れいむの温もりを感じていた。
「おちびちゃん・・・すーりすーり・・・」
「ゆゆ!おきゃあしゃん!ちょっちぇもあちゃちゃかいにぇ!」
「まりしゃもしゅーりしゅーりしゅるよ!」
「しゅーりしゅーり!おきゃあしゃん!ゆっくちしちぇいっちぇね!」
「ゆゆ!おきゃあしゃん!ちょっちぇもあちゃちゃかいにぇ!」
「まりしゃもしゅーりしゅーりしゅるよ!」
「しゅーりしゅーり!おきゃあしゃん!ゆっくちしちぇいっちぇね!」
暖かい小麦粉の大きな体。
だがその体躯に見合わず、母れいむは突然、赤ゆっくりの様に泣きじゃくり始めた。
だがその体躯に見合わず、母れいむは突然、赤ゆっくりの様に泣きじゃくり始めた。
「すーりすー・・・ゆぐっ!ゆうう・・・!おちびちゃん・・・!まりさ・・・!ゆぇええぇ・・・!おちびちゃんは!おかあさんがぜったい、ぜったいまもってあげるからね・・・!」
・・・その言葉が意味する事を、子れいむ達が知るには幼すぎたのだと思う。
そして、母れいむの言っていた事も果たされずにいた。
そして、母れいむの言っていた事も果たされずにいた。
・・・・・・
・・・
・・・
「きょれはまりしゃのもにょぢゃよ!」
「れいみゅの!れみみゅにょぢゃよ!」
「うるしゃいよ!ぜんぶまりしゃがちゃべりゅよ!」
「れいみゅの!れみみゅにょぢゃよ!」
「うるしゃいよ!ぜんぶまりしゃがちゃべりゅよ!」
母れいむは「狩り」が下手だったのだろう。
生ごみを漁る事すらできず、子れいむ達が食べるのはいつも砂にまみれた枯れかけた雑草だ。
生ごみを漁る事すらできず、子れいむ達が食べるのはいつも砂にまみれた枯れかけた雑草だ。
「おちびちゃん・・・!けんかしないでね・・・!おかあさんおこるよ!」
母れいむが膨れる。
だから、どうした。図体ばっかりで役にも立たない。
そもそももっとあまあまを取ってくればこんな事になっていない。
だから、どうした。図体ばっかりで役にも立たない。
そもそももっとあまあまを取ってくればこんな事になっていない。
子れいむ達は構わず僅かな枯れかけた雑草をめぐって言う争いを続ける。
奇しくも、母れいむと同じく「ぷくー」をして。
奇しくも、母れいむと同じく「ぷくー」をして。
赤まりさ二体が親れいむに怒鳴り散らした。
「うるしゃいよ!もちょはちょいえばおきゃあしゃんがきょんにゃゆっくちできにゃいにがにがしゃんしかちょっちぇきょないきゃらぢゃよ!」
「そうぢゃよ!おっきいばきゃりぢぇじぇんじぇんやくにちゃちゃにゃいにぇ!」
「そうぢゃよ!おっきいばきゃりぢぇじぇんじぇんやくにちゃちゃにゃいにぇ!」
「ゆうう・・・!おちびちゃん・・・!どぼじでぞんなごどいうのおおお・・・!」
子れいむはそのやりとりを醒めた目で見ていた。
これか、こんな物か。こんな物だったのか。
年端も行かぬ赤ゆっくりになじられ、何もできずに右往左往する。
この時初めて、子れいむは「無能」という言葉の意味と本質を知った。
これか、こんな物か。こんな物だったのか。
年端も行かぬ赤ゆっくりになじられ、何もできずに右往左往する。
この時初めて、子れいむは「無能」という言葉の意味と本質を知った。
・・・
「ゆひゅー・・・!ゆひゅー・・・!ゆぐっ・・・げぇぇぇ・・・!」
緑色に変色した小麦粉の皮、吐き出される餡子。とまらないうんうん。
それは、子れいむが初めて見る、「カビ」だった。
赤まりさの一体が、カビになってしまった。
それは、子れいむが初めて見る、「カビ」だった。
赤まりさの一体が、カビになってしまった。
「おきゃあしゃん・・・きゅりゅじいよぉぉ・・・」
「おぢびぢゃんっ!おぢびぢゃぁぁぁん・・・!」
「おぢびぢゃんっ!おぢびぢゃぁぁぁん・・・!」
すーりすーりやぺーろぺーろを決してしない。カビが移るとわかっているからだ。
何もできなくとも、何をしても、母れいむは泣き叫んで右往左往するだけだろう。
「無能」だから。
何もできなくとも、何をしても、母れいむは泣き叫んで右往左往するだけだろう。
「無能」だから。
ついこの間まで、口汚く母れいむを罵り続けていた子まりさは、母れいむに助けを求めている。
それもまた滑稽とも言える違和感を、子れいむは感じていた。
それもまた滑稽とも言える違和感を、子れいむは感じていた。
「おぎゃあ・・・じゃん・・・どぼ・・・じで・・・ど・・・ぼじ・・・で・・・まり・・・しゃ・・・ちゃち・・・を・・・ゆっくち・・・させちぇ・・・きゅれ・・・ない・・・にょ・・・?」
「お、おちびちゃん・・・!ゆっくりできるよ!ゆっくり!ゆっくりしていってね!・・・そうだ・・・!おかあさんがおうたをうたってあげるね!・・・ゆ~ゆゆ~!ゆーん!ゆ~っくり~していって~ね~!」
「お、おちびちゃん・・・!ゆっくりできるよ!ゆっくり!ゆっくりしていってね!・・・そうだ・・・!おかあさんがおうたをうたってあげるね!・・・ゆ~ゆゆ~!ゆーん!ゆ~っくり~していって~ね~!」
だから何だ、そんな物でどうにかなるのか。
苛立ちが、子れいむの餡子の中に刻まれる。
苛立ちが、子れいむの餡子の中に刻まれる。
「ゆくっ・・・!か・・・!かはっ・・・!・・・!!・・・!」
「おぢびぢゃん・・・!?おぢびぢゃん!おぢびぢゃん!!おぢびぢゃあああああああああん!!」
「おぢびぢゃん・・・!?おぢびぢゃん!おぢびぢゃん!!おぢびぢゃあああああああああん!!」
あっけなく子まりさは餡子を吐き出して動かぬ饅頭となった。
もう、喋る気もうせるほどに、余裕も無く、また馬鹿馬鹿しく思えていたのか、子れいむ達は淡々とそれを見つめていた。
もう、喋る気もうせるほどに、余裕も無く、また馬鹿馬鹿しく思えていたのか、子れいむ達は淡々とそれを見つめていた。
・・・
「あぎぇっ!ゅ"・・・!ゅ”・・・!」
・・・もう一体の子まりさは、自転車のタイヤに巻き込まれて、小麦粉の体の三分の一が千切れ飛んだ。
母れいむが、全くとれぬ「狩り」で居ない間に、少しでも餡子の足しにしようと、雑草を探しに行った時の出来事だった。
母れいむが、全くとれぬ「狩り」で居ない間に、少しでも餡子の足しにしようと、雑草を探しに行った時の出来事だった。
中の餡子に圧力がかかったのか、口からも餡子が漏れ出し、寒天の両目が飛び出している。
もう助からない。子れいむはその時そう思っていた。
それでも・・・
もう助からない。子れいむはその時そう思っていた。
それでも・・・
「ゅ"・・・!ゅ"・・・!にがにがしゃん・・・どきょ・・・?まり・・・しゃの・・・まり・・・しゃ・・・」
それでもまりさは、雑草の欠片を探すして、ナメクジの様に辺りを這いずる。
餡子がボトボトの落ちていた。
餡子がボトボトの落ちていた。
「あっちゃ・・・あっちゃよ・・・」
ようやく舌の感覚で見つけた時、それを大事そうに口に入れる。
「む~しゃ・・・む~・・・しゃ・・・ごぼっ!げぼぇぇぇ・・・!」
口に入れた瞬間、限界に達したのか、最後に餡子の固まりを吐き出し、子まりさはあっけなく動かなくなった。
最後まで「にがにがさん」を食べようとした子まりさ。
何を思ってそんな行動に出たのかを知るには、子れいむはまだ小さすぎた。
最後まで「にがにがさん」を食べようとした子まりさ。
何を思ってそんな行動に出たのかを知るには、子れいむはまだ小さすぎた。
・・・・・・
・・・
・・・
「お・・・ぢ・・・び・・・ぢゃ・・・」
「おきゃあしゃん・・・!ゆっくち・・・!ゆっくちぃぃ・・・!」
「おきゃあしゃん・・・!ゆっくち・・・!ゆっくちぃぃ・・・!」
母れいむは、子れいむの前で動かなくなろうとしていた。
傷だらけの小麦粉の皮、ボロボロの風体。
最後まで何をする訳でもなく、母れいむはそのゆん生を終えようとしている。
傷だらけの小麦粉の皮、ボロボロの風体。
最後まで何をする訳でもなく、母れいむはそのゆん生を終えようとしている。
「いぎ・・・で・・・ね・・・でい・・・ぶ・・・の・・・ぶん・・・まで・・・いぎ・・・で・・・ね・・・」
母れいむ最後の願い。
それは純粋な「ぼせい」からの、儚い、本当に儚い願い。
それは純粋な「ぼせい」からの、儚い、本当に儚い願い。
「おきゃあしゃん!おきゃあしゃああああん・・・!」
「お・・・ぢ・・・び・・・ぢ・・・ゃ・・・ん・・・ゆっくり・・・して・・・いって・・・ね・・・」
「お・・・ぢ・・・び・・・ぢ・・・ゃ・・・ん・・・ゆっくり・・・して・・・いって・・・ね・・・」
母れいむの目が閉じられる。
眠る様に、母れいむは物言わぬ饅頭と鳴り果てた。
母れいむの願い、それが子れいむにかなえられるはずが無かった。無かったのだ・・・
眠る様に、母れいむは物言わぬ饅頭と鳴り果てた。
母れいむの願い、それが子れいむにかなえられるはずが無かった。無かったのだ・・・
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そして今、子れいむは限界に達している。
寒さか?空腹か?そんな事を考える余裕も無い。
寒さか?空腹か?そんな事を考える余裕も無い。
凍てつく雪に包まれて、希望も消えた。
夢も無い。
夢も無い。
「しゃむ・・・い・・・よ・・・ぉぉ・・・」
疲れ切った小麦粉の体を壁に預ける。
「も・・・う・・・ゆっくち・・・しちゃ・・・い」
諦めかけた様に見えた、だが。
「ゆ・・・!ゆ・・・!」
子れいむはまだ動こうとしていた。
動かぬ底部に鞭を撃ち、傷だらけの小麦粉の皮を動かし。
目的も解決策も無く、ただ動く。「ゆっくりするために」
動かぬ底部に鞭を撃ち、傷だらけの小麦粉の皮を動かし。
目的も解決策も無く、ただ動く。「ゆっくりするために」
「れい・・・みゅ・・・は・・・ま・・・だ・・・」
何を言おうとしたかは分からない。
その小さな声は、間違いなく「叫んでいる」
その小さな声は、間違いなく「叫んでいる」
叫ぶ、声にならない叫びを上げる、そのたびに子れいむは、「ゆっくりする」と言う事から遠ざかっていた。
叫び、動く。だが届かない。
叫び、動く。だが届かない。
震える小麦粉の体が、前に崩れ落ちる。
「ゆ・・・く・・・ち・・・しゅ・・・る・・・」
・・・完全に子れいむの動きが止まった。
眠る様にか、倒れ伏したかわからない。
雪が、子れいむだった動かぬ饅頭を包むように積もっていく。
眠る様にか、倒れ伏したかわからない。
雪が、子れいむだった動かぬ饅頭を包むように積もっていく。
「ゆっくりする」という事は、いや、ゆっくり達が生きる「ゆん生」は、ゆっくりできない事の連続なのかもしれない。
朝日が、街を照らし始ていた。
朝日が、街を照らし始ていた。
過去作品
anko2941 無関心、もしくは無邪気
挿絵:○○あき
挿絵:赤ゆあき
挿絵:車田あき